配偶者からの暴力被害者支援情報

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「女性に対する暴力」に関する調査研究 関係省庁等が行った関係調査一覧

男女間における暴力に関する調査(平成11年度調査)(概要)

平成12年2月
総理府男女共同参画室

第1 調査の概要

1.調査の目的

平成9年6月16日、内閣総理大臣から男女共同参画審議会に対し、女性に対する暴力に関し的確に対応するための基本的方策について諮問がなされ、これに対し、その基礎的部分を中心とした答申「女性に対する暴力のない社会を目指して」が平成11年5月27日に出されている。同答申は、女性に対する暴力を、「重大な社会的・構造的問題であり、男女共同参画社会の実現を阻害するものである」とし、当面取り組むべき課題の一つとして、女性に対する暴力の実態や、それに対する人々の意識を把握するための調査の実施を提言している。これを踏まえ、本調査では、女性に対する暴力に関する国民の意識、被害の経験の態様、程度及び被害の潜在化の程度、理由について把握し、被害者が必要としている援助の在り方を検討するための基礎資料を得ることを目的とする。

2.調査項目
  1. 夫婦間での暴行等について
  2. つきまとい行為について
  3. 痴漢について
  4. 性的行為の強要について
3.調査対象
  1. 母集団 全国20歳以上の男女
  2. 標本数 4,500人
  3. 抽出法 層化二段無作為抽出法
4.調査時期

平成11年9月~10月

5.調査方法

郵送留置訪問回収法(回収は、対象者自身が回収用封筒に回答済みの調査票を密封したものを、調査員が回収した。また、対象者が希望した場合には郵送回収とした。)

6.調査実施委託機関

社団法人 新情報センター

7.回収結果
  1. 有効回収数(率)3,405人(75.7%)
    (内訳) 女性 1,773人、男性 1,632人
  2. 回収不能数(率)1,095人(24.3%)
    (回収不能理由内訳)
    転居144人、長期不在60人、一時不在231人、住所不明22人、
    拒否410人、その他228人(死亡、白票回収、代理記入など)

第2 調査結果の概要

(1)夫婦間での暴行等について
1.夫婦間暴力と認識される行為

夫婦の間で行われたことが暴力にあたるかどうかを11項目について聞いた。
「どんな場合でも暴力にあたると思う」という回答が過半数を超えたのは、『身体を傷つける可能性のある物でなぐる』(88.9%)、『刃物などを突きつけて、おどす』(86.8%)、『足で蹴る』(76.9%)、『相手がいやがっているのに性的な行為を強要する』(60.0%)、『平手で打つ』(55.8%)である。

これに対して、「どんな場合でも暴力にあたると思う」という回答が最も少なかったのは、『大声でどなる』(29.5%)である。
男女別で見ると、「どんな場合でも暴力にあたると思う」と回答した割合の男女差は、差の最も大きい『平手で打つ』で、男性58.5%、女性53.4%と、5.1%の差となっている。

夫婦間暴力と認識される行為 アンケート結果1

夫婦間暴力と認識される行為 アンケート結果2

夫婦間暴力と認識される行為 アンケート結果3

夫婦間暴力と認識される行為 アンケート結果4

2.公的機関等の関与の必要性についての意識

夫婦の間で行われたことに警察や公的な機関などが、解決に向けてかかわるべきかどうかを4項目について質問した。
「警察や公的な機関などが何らかの形でかかわるべき」か「その必要はない」かを聞いたが、まず、『命の危険を感じるくらいの暴行をうける』については、「警察や公的な機関などが何らかの形でかかわるべき」(93.3%)、「その必要はない」(2.6%)と、多くが警察や公的機関などのかかわりを必要としている。以下、『医師の治療が必要となる程度の暴行をうける』については、同様に、「かかわるべき」(86.9%)、「その必要はない」(8.0%)、『医師の治療が必要とならない程度の暴行をひんぱんにうける』については、「かかわるべき」(76.9%)、「その必要はない」(17.2%)と、次第に「かかわるべき」とする比率が低下し、『医師の治療が必要とならない程度の暴力を何年かに一度うける』では、「かかわるべき」(31.1%)、「その必要はない」(62.8%)と逆転する。
男女別では、回答に大きな差は見られないが、AからDのいずれの質問についても、男性に比べて女性の方が「警察や公的機関がかかわるべき」とする割合が低かった。

公的機関等の関与の必要性についての意識 アンケート結果1

公的機関等の関与の必要性についての意識 アンケート結果2

3.夫や妻から暴行等を受けた経験の有無

現在、夫や妻がいる、又は、過去に夫や妻がいたが現在はいないという2797人に、夫や妻から暴行等を受けた経験の有無を9項目について聞いた。
『命の危険を感じるくらいの暴行をうける』については2.7%、『医師の治療が必要となる程度の暴行をうける』については2.6%の人が“あった”(「何度かあった」と1、2度あった」を合わせたもの)としている。なお“あった”については『大声でどなられる』の37.7%が最も多かった。

また、男女別では、『命の危険を感じるくらいの暴行をうける』において、男性0.5%(※)、女性4.6%の人が“あった”としている。

夫や妻から暴行等を受けた経験の有無 アンケート結果1

夫や妻から暴行等を受けた経験の有無 アンケート結果2

夫や妻から暴行等を受けた経験の有無 アンケート結果3

夫や妻から暴行等を受けた経験の有無 アンケート結果4

4.夫や妻がいる(又はいたことのある)人全体と、そのうち身体的な暴行を受けた人との配偶者(事実婚や別居中を含む。以下同じ)の属性の比較

ここでは、身体的な暴行を行った配偶者の属性について分析する。過去に別の配偶者がいた場合、「身体的な暴行を行った配偶者」の属性だけを取り出した比較ができないため、「現在夫や妻がいる」又は「過去に夫や妻がいたが現在はいない」者2797人のうち、「過去に別の配偶者がいた」者を除いた2329人(男性1166人、女性1163人)を対象に、身体的な暴行を行った配偶者の属性を比較する。
この人たちの「配偶者の性・年齢別」「配偶者の職業別」「配偶者の学歴別」「配偶者の収入別」構成比と配偶者から身体的暴行を受けた男性40人、女性161人の計201人(夫や妻から「命の危険を感じるくらいの暴行をうける」、「医師の治療が必要となる程度の暴行をうける」、「医師の治療が必要とならない程度の暴行をうける」といった経験を有する人のうち、過去に別の配偶者がいなかった人)のそれとを比較した。
上記の2329人は、「現在配偶者がいる、又は過去に配偶者がいた」「過去に現在と異なる配偶者はいない」という条件に該当している人たちなので、ここでは、この人たちを「該当者」と呼ぶ。また、そのうち配偶者から身体的暴行を受けた人たちを「被害者」と呼ぶ。

i) 配偶者の性・年齢別比較

配偶者の年代別では、「該当者」では、最も構成比が高いのは、男性50代(27.5%)、女性60歳以上(28.5%)であるが、「被害者」では、最も構成比が高いのは、男性60歳以上(30.0%)、女性60歳以上(26.1%)である。

配偶者の性・年齢別比較

ii) 配偶者の職業別比較

ここでは、配偶者の職業を『自営業者』『勤め人』『その他』の3区分でみてみる。(※)

『自営業者』が占める割合についてみると、「該当者」では男性6.6%、女性16.7%であるが、「被害者」では、男性15.0%、女性16.8%となっており、男性で、「該当者」における割合に比べて「被害者」に占める割合が高くなっている。

『勤め人』が占める割合についてみると、「該当者」では男性26.0%、女性52.9%であるが、「被害者」では、男性25.0%、女性54.7%となっている。

『その他』が占める割合についてみると、「該当者」では男性65.4%、女性26.9%であるが、「被害者」では、男性55.0%、女性24.8%となっており、男性で、「該当者」における割合に比べて「被害者」に占める割合が低くなっている。

配偶者の職業別比較

iii) 配偶者の学歴別比較

「該当者」における割合と「被害者」における割合を比較すると、男性では、配偶者の学歴が『高等学校』であるものが「被害者」に占める割合は低くなっているが、それ以外の場合では割合が高くなっている。女性では、配偶者の学歴が『短期大学、高等専門学校』『四年制大学、大学院』『その他』であるものの割合が「被害者」に占める割合は低くなっているが、それ以外の場合では割合が高くなっている。

配偶者の学歴別比較

iv) 配偶者の収入別比較

「該当者」における割合に比べて、「被害者」における割合が高いのは、男性では、配偶者の収入が『収入なし』『100~200万円未満』『400~700万円未満』であり、女性では、配偶者の収入が『100~200万円未満』『400~700万円未満』『1000~1500万円未満』である。

配偶者の収入別比較

5.身体的な暴行被害の相談の有無

「あなたはこれまでに、あなたの夫や妻から、次のようなことをされたことがありますか」と聞いた中で「命の危険を感じるくらいの暴行をうける」、「医師の治療が必要となる程度の暴行をうける」、「医師の治療が必要とならない程度の暴行をうける」について、ひとつでも「何度もあった」、「1、2度あった」と回答した人(274人)に、そのことについて、だれかに打ち明けたり、相談したかを聞いた。
何らかの“相談をした”(※)人は50.4%と、「どこ(だれ)にも相談しなかった」(40.9%)人を上回っている。何らかの“相談をした”の内訳は、「友人・知人に相談した」(31.8%)と「家族に相談した」(31.8%)に集中し、他はいずれも2%台以下の割合となっている。

身体的な暴行被害の相談の有無 アンケート結果

6.身体的な暴行被害を相談しなかった理由

「あなたはこれまでに、問15であげたような夫や妻からの行為について、だれかに打ち明けたり、相談したりしましたか」と聞いた中で「どこ(だれ)にも相談しなかった」と回答した人(112人)に、その理由を聞いた。「自分さえがまんすれば、なんとかこのままやっていけると思ったから」と「自分にも悪いところがあると思ったから」がともに40.2%と最も多くなっている。

身体的な暴行被害を相談しなかった理由 アンケート結果

(2)つきまとい行為について
1.被害経験の有無

ある特定の異性にしつこく、つきまとわれた経験の有無について聞いた。
「ある」が9.4%、「ない」が88.4%となっている。男女別では、「ある」と回答した人は、男性で4.8%、女性で13.6%であり、女性の方が多くなっている。

被害経験の有無 アンケート結果

2.加害者との関係

ある特定の異性にしつこく、つきまとわれた経験について、「ある」と回答した人に、その相手とどのような関係であったかを聞いた。
「ただの顔見知り」「友人・知人」「恋人・夫や妻」「元恋人・元の夫や妻」「職場関係者」といった、面識ある相手によるものが81.2%となっている。
男女別では、男性では「ただの顔見知り」(31.6%)が最も多いが、女性では「知人・友人」(25.7%)が最も多くなっている。

加害者との関係 アンケート結果

(3)痴漢について

女性(1773人)に、交通機関などの中や路上などで痴漢の被害に遭った経験の有無について聞いた。「1回あった」(17.0%)と「2回以上あった」(31.7%)を合わせた“あった”は48.7%となっており、約半数の人に被害の経験がある。

痴漢について アンケート結果

(4)性的行為の強要について
1.被害経験の有無

女性(1,773人)に、「あなたはこれまでに、異性から、おどされたり、押さえつけられたり、凶器を用いたりして、いやがっているのに性的な行為を強要されたことがありますか」と聞いた。
「1回あった」(4.6%)と「2回以上あった」(2.2%)を合わせた“あった”は6.8%となっている。

被害経験の有無 アンケート結果

2.加害者との関係

異性から、いやがっているのに性的な行為を強要された経験の有無について聞いた中で、「1回あった」、「2回以上あった」と回答した女性に、その相手とどのような関係であったかについて聞いた。
「まったく知らない人」が25.6%と最も多くなっているが、「ただの顔見知り」「友人・知人」「恋人」「夫」「親」「きょうだい」「その他の同居していない親類」「職場関係者」といった、面識ある相手によるものも多い。

加害者との関係 アンケート結果

3.相談の有無

「あなたはこれまでに、異性から、おどされたり、押さえつけられたり、凶器を用いたりして、いやがっているのに性的な行為を強要されたことがありますか」と聞いた中で、で「1回あった」、「2回以上あった」と回答した女性に、受けた行為について、だれかに打ち明けたり、相談したりしたかと聞いた。
何らかの“相談した”(※)人は54.5%と、「どこ(だれ)にも相談しなかった」(38.8%)を上回っている。何らかの“相談した”の内訳をみると、「友人・知人に相談した」(30.6%)、「家族に相談した」(22.3%)、「警察に連絡・相談した」(10.7%)などの順となっている。

相談の有無 アンケート結果

4.相談しなかった理由

「あなたは、性的行為を強要されたことについて、だれかに打ち明けたり、相談したりしましたか」と聞いた中で「どこ(だれ)にも相談しなかった」と回答した女性(47人)に、相談しなかった理由を聞いた。 「恥ずかしくてだれにも言えなかった」が55.3%と最も多くなっている。

相談しなかった理由 アンケート結果

5.仮に被害を受けたとした場合の相談意思の有無

「あなたはこれまでに、異性から、おどされたり、押さえつけられたり、凶器を用いたりして、いやがっているのに性的な行為を強要されたことがありますか」と聞いた中で「まったくない」と回答した女性に、いやがっているのに、異性から性的な行為を強要されたと仮定して、その場合どうするかを聞いた。
どこかに“相談する”(※)という人は75.5%で、「どこ(だれ)にも相談しないと思う」という人(6.3%)を大きく上回っている。“相談する”の内訳では、「家族に相談すると思う」(42.3%)が最も多いが、問25では10.7%であった「警察に連絡・相談すると思う」が39.5%となっている。実際の被害経験がある人の回答の傾向とは異なった傾向がみられる。

仮に被害を受けたとした場合の相談意思の有無 アンケート結果

第3 調査結果の概要

問1 性別
問2 年齢
問3 職業
問4 学歴
問5 年収
問6 配偶者の有無
問7 現在配偶者のいる者に、現在の配偶者の年齢
問8 現在配偶者のいる者に、現在の配偶者の職業
問9 現在配偶者のいる者に、現在の配偶者の学歴
問10 現在配偶者のいる者に、現在の配偶者の年収
問11 過去の配偶者(現在配偶者のいる者は、現在とは異なる配偶者)の有無
問12 現在の配偶者との結婚年数
問13 夫婦間暴力と認識される行為
問14 公的機関等の関与の必要性についての意識
問15 夫や妻から暴行等を受けた経験の有無
問16 夫や妻から身体的な暴行を受けた時の気持ち
問17 身体的な暴行被害の相談の有無
問18 身体的な暴行被害の相談の結果
問19 身体的な暴行被害を相談しなかった理由
問20 つきまとい行為の被害経験の有無
問21 つきまとい行為の加害者との関係
問22 痴漢の被害経験の有無(以下女性のみ)
問23 性的行為の強要の被害経験の有無
問24 性的行為の強要の加害者との関係
問25 性的行為の強要についての相談の有無
問26 性的行為の強要についての相談の結果
問27 性的行為の強要について相談しなかった理由
問28 性的行為の強要の反復性
問29 性犯罪被害経験のない者に対し、仮に被害を受けたとした場合の相談意思の有無
問30 性犯罪被害経験のない者に対し、仮に被害を受けたとしても相談しないと思う理由