第2節 結婚と家族を取り巻く状況

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第2節 結婚と家族を取り巻く状況

この節では、結婚と家族を取り巻く状況について、内閣府の調査等29をもとに考察を深める。

29内閣府男女共同参画局で行われた研究会や調査等を参照する。

1 結婚を取り巻く状況

(配偶者の状況)

第1節で、男女ともに未婚と離婚の割合が高まっていることを確認した。内閣府の調査30によると、「配偶者、恋人はいない(未婚)」との回答は、男女ともに、全世代で2割以上となっており、特に、20代の女性の約5割、男性の約7割が、「配偶者、恋人はいない(未婚)」と回答している。「配偶者(法律婚)がいる」と回答した人は、女性は20代で約2割、30代で約6割、40代以降で約7割となっており、男性は20代で14%、30代で約5割、40代以降で6~8割となっている。また、「配偶者(事実婚・内縁)がいる」と回答した人は、男女ともに1~3%となっている(特-35図)。

特-35図 現在の配偶者状況別ウインドウで開きます
特-35図 現在の配偶者状況

特-35図[CSV形式:1KB]CSVファイル

現在、我が国では、恋愛結婚が約9割である(特-36図)。「恋人として交際」した人数を聞いたところ、「恋人として交際」した人がいないと回答した20~30代の独身の女性は24.1%、独身の男性は37.6%となっている。特に、交際経験がない20代の男性が4割近くとなっている。

独身者と既婚者を比較すると、「恋人として交際」した人が3人以上と回答したのは、20 ~ 30代の独身女性31.0 %、既婚女性53.9%、独身男性24.5%、既婚男性52.7%となっており、既婚者の方が多い。

また、40~54歳の独身女性36.0%、既婚女性45.8 %、独身男性30.4 %、既婚男性51.1%が「恋人として交際」した人が3人以上と回答している。このように、男女ともに20~54歳の既婚者は約5割が、3人以上と「恋人として交際」している(特-37図)。

特-36図 恋愛結婚・見合い結婚の割合推移別ウインドウで開きます
特-36図 恋愛結婚・見合い結婚の割合推移

特-36図[CSV形式:1KB]CSVファイル

特-37図 これまでの恋人の人数別ウインドウで開きます
特-37図 これまでの恋人の人数

特-37図[CSV形式:1KB]CSVファイル

さらに、「これまでの恋人の人数」「デートした人数」について見てみると、男女ともにどの年齢階級においても、既婚者の方が独身者よりもおおむね割合が高くなっている(特-38図)。

特-38図 これまでの恋人の人数・デートした人数別ウインドウで開きます
特-38図 これまでの恋人の人数・デートした人数

特-38図 これまでの恋人の人数・デートした人数(続き)別ウインドウで開きます
特-38図 これまでの恋人の人数・デートした人数(続き)

特-38図[CSV形式:4KB]CSVファイル

30「令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」(令和3年度内閣府委託調査)。以下、本文中に具体的な調査名がなく、「調査」と記載してあるものは全て、同調査。

(結婚に対する意思)

結婚に対する意思について、独身者(これまで結婚経験無し)を見ると、「結婚意思あり31」としたのは、20代では女性64.6%、男性54.4%と、20代では女性の方が男性よりも割合が高いが、30代では男女ともに46.4%、40代以上は、女性は割合が減る傾向にある。一方、男性の場合は、40~60代も2~4割が結婚願望を持っている。

「結婚意思なし32」との回答をしたのは、女性は20代で14.0%、30代で25.4%、男性は20代で19.3%、30代で26.5%となっている(特-39図)。

特-39図 今後の結婚願望(独身者)別ウインドウで開きます
特-39図 今後の結婚願望(独身者)

特-39図[CSV形式:1KB]CSVファイル

結婚したい理由について、独身の男女を比較すると、20~30代、40~60代の男女ともに「好きな人と一緒に生活がしたいから」が約5割となっている。続いて、20~30代では「子供が欲しいから」「家族を持ちたいから」「精神的な安らぎの場を持ちたいから」「一人でいるのは寂しいから」が2~3割、40~60代では「家族を持ちたいから」「精神的な安らぎの場を持ちたいから」が約2割となっている。

結婚したい理由について、独身の男女間で差を見てみると、20~30代では、女性の方が高いものは、差が大きい順に「経済的な安定を得たいから」(女性17.0%、男性7.4%)、「老後が心配だから」(女性15.9%、男性7.8%)、「両親や親類を安心させたいから」(女性19.6%、男性12.4%)、「子供が欲しいから」(女性26.9%、男性19.9%)、男性の方が高いものは、差はそれほど大きくないものの、「好きな人と一緒に生活したいから」(女性51.4%、男性52.7%)、「社会的に認められたいから」(女性5.9%、男性7.1%)、「家を守る必要があるから」(女性1.5%、男性2.7%)となっている。40~60代では、女性は「経済的な安定を得たいから」(女性16.8%、男性4.0%)、「家から出たいから」(女性7.5%、男性1.4%)、男性は「好きな人と一緒に生活をしたいから」(女性44.0%、男性49.0%)、「一人でいるのは寂しいから」(女性13.6%、男性18.6%)等となっている(特-40図)。

特-40図 結婚したい理由別ウインドウで開きます
特-40図 結婚したい理由

特-40図[CSV形式:2KB]CSVファイル

積極的に結婚したいと思わない理由について、独身の男女で比較すると、女性の場合、5割前後となっている項目は、20~30代で「結婚に縛られたくない、自由でいたいから」、「結婚するほど好きな人に巡り合っていないから」、40~60代では、これらの項目に、「結婚相手として条件をクリアできる人に巡り合えそうにないから」「結婚という形式に拘る必要性を感じないから」「今のままの生活を続けた方が安心だから」「仕事・家事・育児・介護を背負うことになるから」が加わる。男性の場合、5割以上となっている項目は無いが、「結婚に縛られたくない、自由でいたいから」「結婚するほど好きな人に巡り合っていないから」「結婚生活を送る経済力がない・仕事が不安定だから」が20~30代、40~60代で約4割となっている。

男女間で差があり、女性の方が高いものは、「仕事・家事・育児・介護を背負うことになるから」(20 ~ 30代: 女性38.6 %、男性23.3 %、40 ~ 60代: 女性49.4 %、男性25.9%)、「名字・姓が変わるのが嫌・面倒だから」(20 ~ 30代: 女性25.6 %、男性11.1%、40~60代:女性35.3%、男性6.6%)などで、男性の方が高いものは、「結婚生活を送る経済力がない・仕事が不安定だから」(20~30代:女性35.0%、男性36.0%、40~60代:女性31.4%、男性40.9%)となっている。この項目間差は20~30代よりも、40~60代と年代が上がる方が大きくなる(特-41図)。

特-41図 積極的に結婚したいと思わない理由別ウインドウで開きます
特-41図 積極的に結婚したいと思わない理由

特-41図[CSV形式:2KB]CSVファイル

独身女性が、積極的に結婚したいと思わない理由について、「仕事・家事・育児・介護を背負うことになるから」を挙げる背景には、社会や周囲、また、自分自身のアンコンシャス・バイアスの他、仕事・家事・育児・介護のバランスを取ることに苦労している既婚女性の姿を見て判断している可能性もある。

上記のアンコンシャス・バイアスについて、結婚・子供、家族の視点から見てみると、「事実婚や同棲よりも結婚(法律婚)するべきである」について、20~30代の女性は反対が賛成を上回っている一方、40~60代の女性及び男性は、賛成が反対を上回っている。「結婚したら夫婦で同じ名字・姓を名乗るべきである」について、女性、特に20~30代は反対が賛成を上回り、男性、特に40~60代は賛成が反対を上回っている。また、「長男がお墓を守るべきである」「長子が家を継ぐ・家を守るべきである」「長男の嫁は、長男の嫁としての役割を果たすべきである」等の考え方については、女性の反対の割合が非常に大きい(特-42図)。別の内閣府の調査33では、「男性は結婚して家庭をもって一人前だ」について、男性、特に50代、60代は、「そう思う」「どちらかといえばそう思う」の割合が高い(特-43図)。女性は、既存の制度・考え方についての反対割合が高いが、男性は、特に中高年で、賛成割合が高い、あるいは反対割合が高くない。

特-42図 家族に関する意識(結婚・子供、家族)別ウインドウで開きます
特-42図 家族に関する意識(結婚・子供、家族)

特-42図[CSV形式:1KB]CSVファイル

特-43図 性別役割意識(男性は結婚して家庭をもって一人前だ)別ウインドウで開きます
特-43図 性別役割意識(男性は結婚して家庭をもって一人前だ)

特-43図[CSV形式:1KB]CSVファイル

結婚相手に求めること(理想)について、独身の男女は、20~30代、40~60代ともに「価値観が近い」「一緒にいて落ち着ける・気を遣わない」「一緒にいて楽しい」が5~7割となっている。既婚の男女も、結婚相手に求めたこと(理想)について、20~30代、40~60代ともに「価値観が近い」「一緒にいて落ち着ける・気を遣わない」「一緒にいて楽しい」が5~7割となっている一方、現在結婚相手に求めること(現実)については、同項目で割合が、4~6割と減る。

独身の男女間で大きく差があり、女性の方が高いものは、「満足いく経済力・年収」(20~30代:女性32.6%、男性5.8%、40~60代:女性39.3%、男性4.7%)、「正規雇用である」(20~30代:女性15.1%、男性4.4%、40~60代:女性14.9%、男性0.7%)等で、既婚の男女間の理想・現実ともに同傾向であるが、結婚後、現在結婚相手に求めること(現実)は、これに「家事力・家事分担できる」が加わる(特-44図)。

特-44図 結婚相手に求める・求めたこと別ウインドウで開きます
特-44図 結婚相手に求める・求めたこと

特-44図 結婚相手に求める・求めたこと(続き)別ウインドウで開きます
特-44図 結婚相手に求める・求めたこと(続き)

特-44図 結婚相手に求める・求めたこと(続き)別ウインドウで開きます
特-44図 結婚相手に求める・求めたこと(続き)

特-44図[CSV形式:4KB]CSVファイル

結婚したい理由、結婚相手に求める・求めたこと(理想と現実)から、依然として一定程度の女性が、結婚は経済的安定の手段と考えていることが窺える。

31「結婚意思あり」は、「現在、既に予定がある・決まっている」「現在、予定はないが是非したい」「現在、予定はないが出来ればしたい」の累計値。

32「結婚意思なし」は、「出来ればしたくない」「したくない」の累計値。

33内閣府「令和3年度性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」(令和3年9月公表)。

(子供を持つことに対する意思)

現在、子供がいない独身及び既婚の男女の「理想の子供の数」について見てみると、「0人(子供はいらない)」か「2人」に傾向が分かれている。「0人」と回答したのは、独身女性は20代で23.9%、30代で43.4%となり、独身男性は20代で30.9 %、30代で37.7%となっている。

一方、「2人」と回答したのは、独身女性は20代で39.8%と割合が最も高く、30代で23.9%、独身男性は20代で32.2%、30代で26.8%となっている。既婚女性は20代で49.3%と最も割合が高く、30代で35.8%、既婚男性は20代で29.1%、30代で31.0%となっている(特-45図)。

特-45図 理想の子供数別ウインドウで開きます
特-45図 理想の子供数

特-45図[CSV形式:2KB]CSVファイル

コラム3 事実婚の実態について

2 離婚を取り巻く状況

(1) 離婚

(離婚をめぐる状況)

第1節で、平成27(2015)年以降、離婚件数は毎年約20万件で推移しており、離婚件数は婚姻件数の約3分の1となっていることを確認した。このことに伴い、離婚をめぐる状況も多様化しており、50~60代の離婚経験者の内訳を見ると、50代女性は19.4%が離婚経験があり、うち、現在有配偶7.0%、現在独身12.5%となっている。60代女性は18.4%が離婚経験があり、うち、現在有配偶5.5%、現在独身12.9%となっている。

50代男性は13.3%が離婚経験があり、うち、現在有配偶5.9%、現在独身7.4%となっている。60代の男性は12.9%が離婚経験があり、うち、現在有配偶5.0%、現在独身7.8%となっている。

50~60代の現在独身の人に着目すると、女性は約半数が離婚経験があり、男性は半数以上がこれまで一度も結婚していたことはない(特-46図)。

特-46図 過去の離婚の経験別ウインドウで開きます
特-46図 過去の離婚の経験

特-46図[CSV形式:1KB]CSVファイル

離婚した時の状況を見ると、令和2(2020)年に、別居し離婚した人の別居を開始した年齢は、男女ともに30代が最も多く(女性32.5%、男性30.3%)、続いて40代(女性27.5%、男性28.8%)、20代(女性21.4%、男性15.8%)である(特-47図)。また、令和2(2020)年に離婚した人のうち、6割近くには、親権を行う子供がいた(特-48図)。なお、この20年ほどは親が離婚した未成年の子の数は毎年約20~26万人で推移しており、未成年人口1,000人に対しておおむね10人で推移している(特-49図)。

特-47図 別居時の年齢別離婚件数(令和2(2020)年)別ウインドウで開きます
特-47図 別居時の年齢別離婚件数(令和2(2020)年)

特-47図[CSV形式:1KB]CSVファイル

特-48図 夫妻が親権を行う子の数別離婚件数の割合(令和2(2020)年)別ウインドウで開きます
特-48図 夫妻が親権を行う子の数別離婚件数の割合(令和2(2020)年)

特-48図[CSV形式:1KB]CSVファイル

特-49図 親が離婚した未成年の子別ウインドウで開きます
特-49図 親が離婚した未成年の子

特-49図[CSV形式:1KB]CSVファイル

法務省の調査34によると、協議離婚経験者の離婚時の就業状況は、男性の場合は85.0%と大半が正規の職員・従業員であったが、女性の場合、「パート、アルバイト等」が36.6%と最も多く、続いて「正規の職員・従業員」が31.2%、「不就業(主婦、主夫、家事手伝い等)」が24.2%となっている(特-50図)。

特-50図 離婚時の就業状況別ウインドウで開きます
特-50図 離婚時の就業状況

特-50図[CSV形式:1KB]CSVファイル

夫婦関係が破綻した原因を見ると、男女ともに「性格の不一致」が一番多く、女性で57.6%、男性で69.6%と、6~7割となっているが、女性の場合は「精神的な暴力」がこれに続き、29.8%となっている(特-51図)。「精神的な暴力」については、例えば罵声や暴言を浴びせる、大声で怒鳴る、汚い言葉で被害者を非難する、などの心無い言動等が続くことにより、相手の心を傷つけることを指すが、その結果、PTSD(心的外傷後ストレス障害)に至るなど、刑法上の傷害とみなされるほどの精神障害に至れば、刑法上の傷害罪として処罰されることもある、重大な人権侵害行為である。なお、女性の3人に1人は「身体的な暴力」「精神的な暴力」のいずれか、もしくは両方を離婚理由として挙げており、DV(配偶者暴力)を受けた人への支援や、DV対策の重要性が窺える(特-52図)。

特-51図 夫婦関係が破綻した原因別ウインドウで開きます
特-51図 夫婦関係が破綻した原因

特-51図[CSV形式:1KB]CSVファイル

特-52図 離婚原因として身体的・精神的な暴力を挙げている人の割合別ウインドウで開きます
特-52図 離婚原因として身体的・精神的な暴力を挙げている人の割合

特-52図[CSV形式:1KB]CSVファイル

続いて、将来の離婚の可能性について見てみる。将来、「離婚可能性あり」と回答した人35は、男女ともに約15%となっている。年代別で見ると、男女ともに40代が高く、20%前後となっている(特-53図)。

特-53図 今後離婚する可能性別ウインドウで開きます
特-53図 今後離婚する可能性

特-53図[CSV形式:2KB]CSVファイル

「離婚可能性あり」と回答した人を、雇用形態別に見てみると、男女ともに、おおむね正規雇用労働者よりも非正規雇用労働者で割合がやや高めになっている。例えば、20~30代の女性については、非正規雇用労働者(20代23.7%、30代20.7%)、専業主婦(20代15.1%、30代18.1%)、正規雇用労働者(20代12.5%、30代15.1%)の順となっている。(特-54図)。

特-54図 離婚の可能性(雇用形態別)別ウインドウで開きます
特-54図 離婚の可能性(雇用形態別)

特-54図 離婚の可能性(雇用形態別)(続き)別ウインドウで開きます
特-54図 離婚の可能性(雇用形態別)(続き)

特-54図[CSV形式:3KB]CSVファイル

既婚女性の個人年収は、本調査結果でも6~8割が300万円未満(「0円(収入はない)」を含める)であることから、離婚を契機に女性が貧困に陥るリスクがある(特-55図)。

特-55図 既婚者の個人年収(年齢階級別)別ウインドウで開きます
特-55図 既婚者の個人年収(年齢階級別)

特-55図[CSV形式:1KB]CSVファイル

「離婚可能性あり」と「その他(「絶対にないと思う」、「まあないと思う」、「どちらとも言えない」、「わからない・考えられない」の累計値)」で比較した場合、「結婚相手に求めること」について、多い項目は、男女ともに、「一緒にいて落ち着ける・気を遣わない」「一緒にいて楽しい」「価値観が近い」であり、「その他」と回答した人の方が「離婚可能性あり」より多い。

一方、「離婚可能性あり」と回答した人の方が、「その他」より多い項目は、女性の場合は、「満足いく経済力・年収」「家事力・家事分担できる」「正規雇用である」「子供好きである」、男性の場合は、「金銭感覚が近い」「容姿・ルックスに好感がもてる」となっている(特-56図)。

特-56図 結婚相手に求めること(離婚の可能性ありとその他の比較)別ウインドウで開きます
特-56図 結婚相手に求めること(離婚の可能性ありとその他の比較)

特-56図[CSV形式:1KB]CSVファイル

34法務省「協議離婚制度に関する調査研究業務」(令和3年3月実施・4月公表)。

35離婚可能性ありは、「現在、離婚準備中(調停中・裁判中含む)である」「かなりありそうだと思う」「あるかもしれないと思う」の累計値。

(2) シングルマザー36

第1節で、ひとり親世帯の動向を確認したが、シングルマザーについて、ターニングポイント別、年代別、就業状況別の状況を見てみる。

20代でシングルマザーとなった人と40代でシングルマザーとなった人を比較すると、「20代でなった人」は、平均すると21.9歳で最初の結婚をし、22.8歳で第一子を持ち、25.8歳で離婚し、(再婚する場合は)30.7歳で再婚している。「40代でなった人」は、平均すると26.8歳で最初の結婚をし、29.1歳で第一子を持ち、43.3歳で離婚し、(再婚する場合は)42.0歳で再婚している(特-57表)。

特-57表 シングルマザーのターニングポイントにおける年齢別ウインドウで開きます
特-57表 シングルマザーのターニングポイントにおける年齢

特-57表[CSV形式:1KB]CSVファイル

最終学歴後の初職については、「20代でなった人」は「非正規雇用労働者」の割合が最も高く35.7%となっている。一方で「40代でなった人」は、「正規雇用労働者」の割合が75.5%を占める。

現在の就業状況について、「正規雇用労働者」の割合はどの年齢層も3割前後と、シングルマザーになった年齢によって大きな差は見られないが、「40代でなった人」は、現在「非正規雇用労働者」である割合が最も高く、46.9%となっている。現職の勤務形態も、非正規雇用率に関連して「40代でなった人」で「短時間勤務」の割合が高く、28.6%となっている(特-58図)。

このように、シングルマザーの初職の雇用形態、結婚、出産、離婚の年齢も多様になっていることが分かる。

特-58図 シングルマザーの就業状況別ウインドウで開きます
特-58図 シングルマザーの就業状況

特-58図[CSV形式:1KB]CSVファイル

特-59図 シングルマザーの最終学歴別ウインドウで開きます
特-59図 シングルマザーの最終学歴

特-59図[CSV形式:1KB]CSVファイル

36第1節で言及した、ひとり親世帯の女性、母子世帯の母親と同義であるが、ここでは便宜的に「シングルマザー」とする。

コラム4 ターニングポイントの年齢~「人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」より

3 収入を取り巻く状況

ここでは、収入を取り巻く状況について、結婚前と後、第一子が生まれる前と後の理想と現実、中高年の現状等について整理する。

(結婚後の収入)

結婚後の収入について、「結婚前の望み(理想)」は、女性は20~30代、40~60代ともに「結婚前と同様の収入」「結婚前を上回る収入」の累計値が60~70%となっているのに対し、「実際どうだったか(現実)」は、女性は20~30代、40~60代ともに「結婚前と同様の収入」「結婚前を上回る収入」の累計値が約50%、「結婚前を下回っても家庭のために時間をある程度使えるぐらいの収入」17~21%、「配偶者控除や企業の配偶者手当を受けられるぐらいの収入」12~14%となっている(特-60図)。

特-60図 結婚後の収入(結婚前の理想と現実)別ウインドウで開きます
特-60図 結婚後の収入(結婚前の理想と現実)

特-60図[CSV形式:1KB]CSVファイル

(第一子が生まれた後の収入)

第一子が生まれた後の収入について、「第一子が生まれる前の望み(理想)」は、女性は20~30代、40~60代ともに「第一子が生まれる前と同様の収入」「第一子が生まれる前を上回る収入」の累計値が約70%となっているのに対し、「実際どうだったか(現実)」は、「第一子が生まれる前と同様の収入」「第一子が生まれる前を上回る収入」の累計値が約42~45%、「第一子が生まれる前を下回っても育児のために時間をある程度使えるぐらいの収入」19~28%、「配偶者控除や企業の配偶者手当を受けられるぐらいの収入」12~16%となっている。

結婚当初、子供が生まれる前から、配偶者控除や企業の配偶者手当を考慮して、就業調整をする意識は高くないが、「現実」としては、それらを受け取れるくらいの収入になるように就業調整をしている女性が約1~2割いる(特-61図)。女性の低賃金、非正規雇用労働者が多い雇用形態、アンコンシャス・バイアスが複雑に絡み合っていると考えられる。

特-61図 第一子が生まれた後の収入(第一子が生まれる前の理想と現実)別ウインドウで開きます
特-61図 第一子が生まれた後の収入(第一子が生まれる前の理想と現実)

特-61図[CSV形式:2KB]CSVファイル

(結婚後、第一子が生まれた後の働き方)

結婚後、または第一子が生まれた後の自分と配偶者の働き方について、「理想」と「現実」を比較すると、「現実」で増えているのは、20~30代、40~60代どちらの年代においても、男女ともに、「夫は原則フルタイム勤務/妻は家事に専念(働かない)」である。一方、「理想」では、20~30代の既婚の男女では、「夫婦ともに原則フルタイム勤務」とした人が約5割となっている(特-62表)。

特-62表 結婚後・第一子が生まれた後の自分と配偶者の働き方(理想と現実)別ウインドウで開きます
特-62表 結婚後・第一子が生まれた後の自分と配偶者の働き方(理想と現実)

特-62表[CSV形式:1KB]CSVファイル

「結婚後の配偶者の働き方(理想)」について、20~30代の既婚女性は、配偶者(夫)に対して、「家庭と仕事を両立してほしい」が最も多く35.4%、続いて、「どちらか言うと仕事に専念してほしい」(22.5%)、「出来れば収入を増やしてほしい」(10.6%)となっている。40~60代の既婚女性は、20~30代の既婚女性に比べ、「家庭と仕事を両立してほしい」が減り、「どちらかと言うと仕事に専念してほしい」が増加し、両者が同程度の約27%となっている。

一方、20~30代の既婚男性は、配偶者(妻)に対して、「家庭と仕事を両立してほしい」が最も多く34.4%、続いて、「どちらか言うと家庭に専念してほしい」(15.7%)、「扶養の範囲内で働き、家庭のことをやってほしい」(9.7%)となっている。40~60代の既婚男性は、20~30代の既婚男性に比べ、「家庭と仕事を両立してほしい」が減り、「どちらかと言うと家庭に専念してほしい」、「扶養の範囲内で働き、家庭のことをやってほしい」が増加している(特-63図)。

特-63図 結婚後の配偶者の働き方(理想)別ウインドウで開きます
特-63図 結婚後の配偶者の働き方(理想)

特-63図[CSV形式:2KB]CSVファイル

「第一子が生まれた後の配偶者の働き方(理想)」について、20~30代の子供がいる女性は、配偶者(夫)に対して、「家庭・育児と仕事を両立してほしい」が最も多く41.7%、続いて、「どちらかと言うと仕事に専念してほしい」(15.8%)、「出来れば残業を減らして早く帰宅してほしい」(10.7%)、「出来れば収入を増やしてほしい」(9.9%)となっている。40~60代の子供がいる女性は、20~30代の子供がいる女性に比べ、「家事・育児と仕事を両立してほしい」が12%ポイント程度減り、「どちらかと言うと仕事に専念してほしい」が5%ポイント程度増加している。

一方、20~30代の子供がいる男性は、配偶者(妻)に対して、「家庭・育児と仕事を両立してほしい」が最も多く30.0%、続いて、「どちらかと言うと家庭・育児に専念してほしい」(22.2%)、「扶養の範囲内で働き、家庭・育児をやってほしい」(9.1%)となっている。40~60代の子供がいる男性は、20~30代の子供がいる男性に比べ、「家庭・育児と仕事を両立してほしい」が11%ポイント程度減り、「どちらかと言うと家庭・育児に専念してほしい」が12%ポイント程度増加している(特-64図)。

特-64図 第一子が生まれた後の配偶者の働き方(理想)別ウインドウで開きます
特-64図 第一子が生まれた後の配偶者の働き方(理想)

特-64図[CSV形式:2KB]CSVファイル

結婚後も第一子が生まれた後も、夫婦ともに原則フルタイムで勤務し、家事・育児と仕事を両立させることを理想としている人が男女ともに一定程度いるほか、「(夫には)どちらかと言うと仕事に専念してほしい」と考えている女性、「(妻には)どちらかと言うと家事・育児に専念してほしい」と考えている男性等、夫婦の働き方についての考え方は、世代間・年代間・性別間でも多様化している。

(年収をめぐる配偶者・恋人との違い)

配偶者・恋人との年収の違いについて見ると、女性は全ての年齢層で3~4割が「相手の年収はもっと高い方が望ましい」とし、男性は全ての年齢層で2~3割が「相手の年収はもっと低くても良い」37と回答している。また、女性は全ての年齢層で約1割が「相手の年収との関係で、家事・育児等は出来れば自分がやらなければならない」と考えている(特-65図)。

特-65図 配偶者・恋人との年収の違い別ウインドウで開きます
特-65図 配偶者・恋人との年収の違い

特-65図[CSV形式:2KB]CSVファイル

アンコンシャス・バイアスについて、仕事・収入・家事の視点から見てみると、「男性は外で働き、女性が家の中で家事を支えるべきである」について、20~30代の女性は10%ポイント以上の差で反対が賛成を上回り、40~60代の女性、20~30代の男性も反対が賛成を上回る一方、40~60代の男性は賛成が反対を上回っている。「男性にある程度収入がないと結婚すべきでない」について、男女ともに10%ポイント以上の差で賛成が反対を上回っている(特-66図)。

特-66図 家族に関する意識(仕事・収入・家事)別ウインドウで開きます
特-66図 家族に関する意識(仕事・収入・家事)

特-66図[CSV形式:1KB]CSVファイル

内閣府の別の調査38によると、夫婦の役割分担に関しては、20~30代の男女間では、「共働きでも男性は家庭よりも仕事を優先するべきだ」、「家事・育児は女性がするべきだ」という意識にギャップがあり、男性の方が「そう思う」傾向にある(特-67図)。

特-67図 性別役割意識(性・年代別)別ウインドウで開きます
特-67図 性別役割意識(性・年代別)

特-67図[CSV形式:2KB]CSVファイル

37「相手の年収は今のまま~下がってもいい」「相手が扶養を受けることを考えると、相手の年収は今のまま~下がってもいい」の累計値。

38内閣府「令和3年度 性別による無意識の思い込み(アンコンシャス・バイアス)に関する調査研究」(令和3年9月公表)。

(中高年を取り巻く状況)

第1節で有業の既婚女性の約6割は所得200万円未満であること、単独世帯の女性は5割以上が世帯所得300万円未満であること、有業女性のうち単身者(未婚)の約2割(23.9%)は、世帯所得が200万円未満であることを確認した(特-11図、特-23図、特-24図再掲)。

本調査結果でも、個人年収について、既婚女性は、6~8割が年収300万円未満であり、うち収入が無い層も1~2割となっている。独身女性は、5~6割が年収300万円未満となっている。一方、既婚男性で300万円未満(収入なし含む)なのは1~3割であり、独身男性で300万円未満(収入なし含む)なのは4~6割となっている(特-68図)。

特-68図 年齢階級別個人年収別ウインドウで開きます
特-68図 年齢階級別個人年収

特-68図[CSV形式:2KB]CSVファイル

さらに40~50代の男女について、既婚者と独身者(居住形態別)の個人年収を見てみると、既婚女性では、主婦(働いていない)の割合も高いことから、「100万円未満(収入なし含む)」の割合が独身女性と比べ高い。一方、独身女性で個人年収300万円未満(収入なし含む)なのは、「一人暮らし」が約5割、「親と同居」が約6割となっている。既婚男性では「100万円未満(収入なし含む)」の割合が低く、親と同居の独身男性では「100万円未満(収入なし含む)」が25.7%と最も高く、その他の独身男性で18.9%となっている。また、「700万円台以上」の割合が独身男性で低い(特-69図)。

特-69図 個人年収(既婚者と独身者(居住形態別)の比較)別ウインドウで開きます
特-69図 個人年収(既婚者と独身者(居住形態別)の比較)

特-69図[CSV形式:1KB]CSVファイル

このように、中高年独身女性は貧困のリスクを抱えて生活をしている人が多く、また既婚女性も、配偶者との離死別を契機に貧困に陥る可能性がある人が多数いることが分かる。

(貧困率)

貧困率を年齢階級別に見てみると、20代の男性で21.5%と最も高く、次いで20代の女性で19.6%と20代で貧困率が高い。男女ともに30~50代で貧困率は低くなるが、60代では上昇し、特に60代の女性で15.7%となっている。シングルマザーの場合は、「20代でなった人」32.7%、「30代でなった人」30.5%、「40代でなった人」23.4%と、若い年代でシングルマザーとなった人の方が貧困率が高い(特-70図)。

特-70図 貧困率(男女別、年齢階級別)(シングルマザー)別ウインドウで開きます
特-70図 貧困率(男女別、年齢階級別)(シングルマザー)

特-70図[CSV形式:1KB]CSVファイル

(現在の不安・将来の不安)

低所得や貧困は、不安感にも影響を及ぼしている。

現在の不安、将来の不安について、年齢階級別に見てみると、男女ともに、現在の不安は20~39歳で高く、将来の不安は40~54歳で高い傾向にある。現在の不安で、割合が高い項目は、男女ともに20~39歳では「子供の育児に掛る費用や教育費負担が大変である」「生活がぎりぎりで、貯金ができない」「仕事で精神的な疲労が溜まっているが、なかなか休めない」となっている。将来の不安で、割合が高い項目は、40~54歳では「高齢になっても年金受給が不透明・見通しが立たない」「高齢になっても働かないといけなくなる」「高齢になって身体が不自由になり、誰かの介助が必要になる」「高齢になって十分な生活ができなくなる」等がある(特-71図)。さらに40~50代の既婚、独身に分けて、現在の不安を見ると、「衣食住に困ることがある」「生活がぎりぎりで、貯金ができない」「周りに親しい人がおらず孤立している」について、男女ともに独身の方が既婚よりも高い割合となっている(特-72図)。

特-71図 現在の不安、将来の不安別ウインドウで開きます
特-71図 現在の不安、将来の不安

特-71図 現在の不安、将来の不安(続き)別ウインドウで開きます
特-71図 現在の不安、将来の不安(続き)

特-71図[CSV形式:3KB]CSVファイル

特-72図 現在の不安(40~50代)別ウインドウで開きます
特-72図 現在の不安(40~50代)

特-72図[CSV形式:1KB]CSVファイル

コラム5 就職氷河期世代考察~「人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」より