コラム5 就職氷河期世代考察~「人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」より

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コラム5

就職氷河期世代考察~「人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査1」より


「就職氷河期世代」とは、1990年代のバブル崩壊後の雇用環境が厳しい時期に就職活動を行った世代を指す2

ここでは、昭和50(1975)年~昭和59(1984)年に生まれ、令和3(2021)年調査時点で37~46歳の人を「就職氷河期コア世代」とし、その前後の世代と比較する3

最終学歴後、初めて就いた仕事(初職)について見ると、「就職氷河期コア世代より上の世代」は、男女ともに「就職氷河期コア世代」「就職氷河期コア世代より若い世代」より正規雇用労働者の割合、1,000人以上の企業規模である割合が高い。一方、「就職氷河期コア世代」「就職氷河期コア世代より若い世代」の間には大きな差が見られない(図1、図2)。

(図1)初職の雇用形態(世代別)別ウインドウで開きます
(図1)初職の雇用形態(世代別)

(図1)[CSV形式:1KB]CSVファイル

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(図2)初職の企業規模(世代別)

(図2)[CSV形式:1KB]CSVファイル

しかしながら、就職時の「仕事への希望度(就職前の希望通りだったか)」を見ると、「就職氷河期コア世代」では、「希望通り」と回答する割合が「就職氷河期コア世代より若い世代」と比較して低くなっている。

特に、初職が非正規雇用であった人の、就職前に感じていた「仕事への希望度(希望通りだったか)」を見ると、「就職氷河期コア世代より若い年代」では、初職が非正規雇用であっても「希望通り」とする割合が、「就職氷河期コア世代」と比較して高く、男性において、その傾向が顕著である(図3)。「就職氷河期コア世代」では、不本意に非正規雇用にならざるを得なかった人が一定数いる一方で、「就職氷河期コア世代より若い世代」では、「非正規雇用も選択肢の一つ」と捉えている人もいることが推測される。現に、初職の満足度について、「就職氷河期コア世代」は、前後の世代と比較して、全ての項目で満足度が低くなっている。

(図3)仕事への希望度(希望通りだったか)別ウインドウで開きます
(図3)仕事への希望度(希望通りだったか)

(図3)[CSV形式:1KB]CSVファイル

世代間の違いは、初職をめぐる状況に留まらない。例えば、独身者が、今後、積極的に結婚したいと思わない理由のうち、「結婚生活を送る経済力がない・仕事が不安定だから」を見ると、男女ともに「就職氷河期コア世代」で「当てはまる」と回答した割合が高く、特に男性では5割近くに上る(図4)。

(図4)今後、積極的に結婚したいと思わない理由が、「結婚生活を送る経済力がない・仕事が不安定だから」としている割合(世代別)別ウインドウで開きます
(図4)今後、積極的に結婚したいと思わない理由が、「結婚生活を送る経済力がない・仕事が不安定だから」としている割合(世代別)

(図4)[CSV形式:1KB]CSVファイル

また、「就職氷河期コア世代」は、他の世代と比べて将来に対する不安を強く感じている。中でも、将来の年金受給に関する不安が大きく、「就職氷河期コア世代」の女性のうち4割以上が「高齢になっても年金受給が不透明・見通しが立たない」に「当てはまる」もしくは「やや当てはまる」と回答している(図5)。

依然として、就職氷河期世代は他の世代と比較して、現在も様々な課題に直面していることが分かる。引き続き、就職氷河期世代に対して必要な支援4を行うとともに、第二の就職氷河期を生まないようにすることも重要である。

(図5)将来に対する不安の理由が、「高齢になっても年金受給が不透明・見通しが立たない」としている割合(世代別)別ウインドウで開きます
(図5)将来に対する不安の理由が、「高齢になっても年金受給が不透明・見通しが立たない」としている割合(世代別)

(図5)[CSV形式:1KB]CSVファイル

1「令和3年度 人生100年時代における結婚・仕事・収入に関する調査」(令和3年度内閣府委託調査)。

2第4回就職氷河期世代支援の推進に向けた全国プラットフォーム(令和4(2022)年5月12日開催)資料1では、「い わゆる就職氷河期についての明確な定義は存在しないが、おおむね平成5(1993)年~平成16(2004)年に学校卒業期を迎えた者を指し、浪人・留年等を経験していない場合、令和4(2022)年4月現在、大卒でおおむね40~51歳、高卒でおおむね36~47歳である。」とされている。

3ここでは、大卒、短大卒、高卒の就職活動時期に鑑み、次のとおりとした。
「就職氷河期コア世代」:昭和50(1975)年~昭和59(1984)年生まれ=令和3(2021)年調査時点37歳~46歳
「就職氷河期コア世代より若い世代」:昭和60(1985)年生まれ以降=令和3(2021)年調査時点20歳~36歳
「就職氷河期コア世代より上の世代」:昭和49(1974)年生まれより前=令和3(2021)年調査時点47歳~69歳

4「就職氷河期世代支援プログラム」(「経済財政運営と改革の基本方針2019」(令和元(2019)年6月21日閣議決定)において取りまとめ)に基づく就労や社会参加への支援等が行われている。