配偶者からの暴力被害者支援情報

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関連法令・制度一覧 配偶者からの暴力防止にかかわる関連法令・制度の概要

配偶者暴力防止法に関するQ&A

この法律の対象

配偶者暴力相談支援センター関係

被害者の保護関係

保護命令

警察による対応

この法律の対象

この法律は女性に対する暴力のみを対象としたものですか。

 この法律は、配偶者からの暴力を対象としており、女性に対するものだけでなく男性に対するものもその対象となっています。したがって、男性の被害者であっても、この法律による保護等を受けることができます。
  しかし、配偶者からの暴力の被害者の多くは女性であることなどから、女性に対する暴力に十分配慮した規定となっています。

この法律は外国人にも適用されますか。

 この法律は、国籍や在留資格を問わず、日本にいるすべての外国人にも適用されます。

籍を入れていない相手から暴力を振るわれています。この法律の対象となりますか。

 この法律における「配偶者」には、婚姻の届出をしている配偶者のほか、事実上婚姻関係と同様の事情にある者も含むことになっています。
 「事実婚」に当たるかどうかは、それぞれの関係や本人の意思などを参考に判断されるものであり、まずは、お近くの配偶者暴力相談支援センター等の相談窓口で相談されることをお勧めします。

別居中の配偶者から暴力を振るわれています。この法律の対象となりますか。

 配偶者は、同居していようが別居していようが関係ありません。別居中の配偶者から暴力を振るわれている場合も、この法律の対象となります。

離婚した元配偶者から暴力を振るわれています。この法律の対象となりますか。

 離婚前に身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動を受けていて、現在振るわれている暴力が、離婚前に受けていた暴力等に引き続き受けているものである場合は、法律の対象になります。
  離婚前には暴力等を受けておらず、離婚後になって初めて元配偶者から暴力を受けた場合は、この法律の対象となりません。

この法律は交際相手からの暴力も対象としていますか。

 生活の本拠を共にする交際相手からの暴力及びその被害者について法律を準用することになっています(※したがって、このQ&A中、配偶者に関する記載は、準用の対象である生活の本拠を共にする交際相手からの暴力及びその被害者にも原則としてあてはまることになります。)。
  「生活の本拠を共にする交際」に当たるかどうかは、あくまで共同生活の外形的な客観状況によることを原則として判断されるものであり、まずは、お近くの配偶者暴力相談支援センター等の相談窓口で相談されることをお勧めします。

同居していた元交際相手から暴力を振るわれています。この法律の対象となりますか。

 生活の本拠を共にする交際をする関係を解消する前に身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動を受けていて、現在振るわれている暴力が、その解消前に受けていた暴力等に引き続き受けているものである場合は、法律の対象になります。
  生活の本拠を共にする交際をする関係を解消する前には暴力等を受けておらず、その解消後になって初めて元交際相手から暴力を受けた場合は、この法律の対象となりません。

配偶者は手は上げないのですが、私を傷つけるようなひどいことをいいます。これは配偶者からの暴力になりますか。

 この法律において「配偶者からの暴力」とは、配偶者からの身体に対する暴力又はこれに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動をいうものとされています。身体に対する暴力以外の「これに準ずる心身に有害な影響を及ぼす言動」とは、いわゆる精神的暴力及び性的暴力等のことであり、刑法上の脅迫に当たるような言動もこれに該当します。
  (なお、「これに準ずる」とあるのは、身体に対する暴力が及ぼす有害な影響に準ずるような有害な影響を心身に及ぼすものということで、軽微なものは除かれるという趣旨です。)

配偶者暴力相談支援センター関係

配偶者暴力相談支援センターとは何ですか。

 配偶者暴力相談支援センターとは、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護を図るための業務を行う施設で、都道府県が設置する女性相談支援センターその他の適切な施設がその機能を果たしています。また、市町村が設置する支援センターもあります。

配偶者暴力相談支援センターに行きたいのですが、どこに連絡すればよいのですか。

 「配偶者暴力相談支援センターの連絡先」などについては、各都道府県にお問い合わせください。このウェブサイトの配偶者暴力相談支援センターのページにも「全国の支援センター一覧」を掲載しています。また、全国共通番号#8008(はれれば)から相談機関を案内するDV相談ナビを実施しています。

配偶者暴力相談支援センターではどのようなことをしてくれるのですか。

 配偶者暴力相談支援センターの業務には、以下のようなものがあります。

  1. 相談や相談機関の紹介
  2. 医学的又は心理学的な援助等
  3. 被害者やその同伴家族の緊急時における安全の確保及び一時保護
  4. 自立支援のための情報の提供等
  5. 保護命令制度の利用についての情報の提供等
  6. 被害者を居住させ保護する施設の利用についての情報の提供等

 なお、6つの業務すべてを行っているとは限りませんので、お問い合わせください。

一時保護とはどういうことですか。

 一時的に、配偶者と離れた専用の施設で安全に生活することです。一時保護を行うかどうかは、女性相談支援センター長が決定します。一時保護にはお金を払う必要はありません。

どこに一時保護されるのですか。

 都道府県が設置している女性相談支援センターの一時保護所か、女性相談支援センターから委託された民間の施設等になります。

 いずれも、安全な施設です。

一時的に保護してもらった後、行くあてがありません。結局、配偶者のところへ戻らなければならないのですか。

 配偶者のところに戻らなくても生活できるよう、自立のための支援等が行われます。住まいや仕事のことなど、今後のことも含め、相談されることをお勧めします。

子どもがいるのですが、子どもも保護されるのですか。

 子どもなど被害者の同伴家族も必要があれば一時保護されますので相談してください。

被害者の保護関係

近所の人が、配偶者から暴力を受けているのを見ました。どのような対応が考えられますか。

 法律では、配偶者からの暴力を受けている人を見つけた場合は、配偶者暴力相談支援センターや警察官に通報するよう呼びかけています。

 家庭内で行われることが多い配偶者からの暴力は、発見するのが困難な上、被害者も様々な理由から保護を求めることをためらうことも考えられます。被害者の保護を図るための情報を広く社会から求めるため、法律は、このように呼びかけています。

医者が、傷を見て、配偶者からの暴力だと思った場合、必ず通報するのですか。

 この法律では、医者や看護師等の医療関係者が、配偶者からの暴力によるケガなどを見つけたときは、配偶者暴力相談支援センターや警察官に通報することができることとなっています。ただ、この場合、被害者の意思を尊重するよう努めることとなっています。ケガをした場合は安心して医者の診断を受けるようにしてください。

保護命令

保護命令とは何ですか。

 保護命令とは、被害者の申立てにより、裁判所が配偶者に対し出す命令のことです。

 この保護命令には6つの種類があります。

  1. 被害者への接近禁止命令
    配偶者に対し、1年間、被害者につきまとったり、住居(6.の退去等命令の対象となる住居を除く)、勤務先など被害者が通常いる場所の近くをはいかいしたりすることを禁止するものです。
  2. 被害者への電話等禁止命令
    配偶者に対し、1.の有効期間内、被害者に対する次の行為を禁止するものです。
    面会の要求/行動監視の告知等/著しく粗野乱暴な言動/無言電話・緊急時以外の連続した電話・文書・FAX・メール・SNS等送信/緊急時以外の深夜早朝(22時~6時)の電話・FAX・メール・SNS等送信/汚物等の送付等/名誉を害する告知等/性的羞恥心を害する告知等・物の送付等(電磁的記録の送信を含む)/GPSによる位置情報取得等
  3. 被害者の同居の子への接近禁止命令
    配偶者に対し、1.の有効期間内、被害者と同居している子につきまとったり、住居、学校などその子が通常いる場所の近くをはいかいしたりすることを禁止するものです。
  4. 被害者の同居の子への電話等禁止命令
    配偶者に対し、1.の有効期間内、被害者と同居している子に対する次の行為を禁止するものです。
    行動監視の告知等/著しく粗野乱暴な言動/無言電話・緊急時以外の連続した電話・文書・FAX・メール・SNS等送信/緊急時以外の深夜早朝(22時~6時)の電話・FAX送信/汚物等の送付等/名誉を害する告知等/性的羞恥心を害する告知等・物の送付等(電磁的記録の送信を含む)/GPSによる位置情報取得等
  5. 被害者の親族等への接近禁止命令
    配偶者に対し、1.の有効期間内、被害者の親族(成年の子を含む)等につきまとったり、住居、勤務先などその親族等が通常いる場所の近くをはいかいしたりすることを禁止するものです。
  6. 退去等命令
    配偶者に対し、2か月間(住居の所有者又は賃借人が被害者のみである場合は、被害者の申立てがあったときは6か月間)、被害者と共に生活の本拠としている住居からの退去及び住居の付近のはいかいの禁止を命ずるものです。
保護命令の対象となるのはどのような場合ですか。

 接近禁止命令等は、配偶者からの身体に対する暴力又は生命、身体、自由、名誉若しくは財産等に対する脅迫(以下「身体に対する暴力等」という。)を受けた被害者が、配偶者からの更なる身体に対する暴力等により、その生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいときに、裁判所が被害者からの申立てにより発するものです。
 退去等命令は、配偶者からの身体に対する暴力又は生命若しくは身体に対する脅迫(以下「身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫」という。)を受けた被害者が、配偶者からの更なる身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫により、その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときに、裁判所が被害者からの申立てにより発するものです。

離婚した元配偶者に対する保護命令も可能ですか。

 この法律では、離婚した元配偶者に対する保護命令も認められています。

 ただし、離婚前には、対象となる暴力を受けておらず、離婚後になって初めて元配偶者から対象となる暴力を受けた場合は、認められません。

同居していた元交際相手に対する保護命令も可能ですか。

 この法律では、生活の本拠を共にする交際をする関係にあった元交際相手に対する保護命令も認められています。

 ただし、生活の本拠を共にする交際をする関係を解消する前には、対象となる暴力を受けておらず、その解消後になって初めて元交際相手から対象となる暴力を受けた場合は、認められません。

≪接近禁止命令等≫

接近禁止命令等の対象となる「脅迫」の具体的な内容は何ですか。

 接近禁止命令等の対象となる「脅迫」は、「生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知してする脅迫」です。これは、脅迫罪(刑法第222条第1項)と同じ文言としています。
 令和5年(2023年)法改正の施行(令和6年(2024年)4月1日)までは、告知の内容となる加害の対象は、被害者の生命又は身体に対するものに限られていましたが、新たに自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知してする脅迫も対象となりました。

 注:告知される害悪の内容は、一般に人を畏怖させるに足りる程度のものであることが必要です。また、害悪告知が人を畏怖させるに足りる程度のものであるかどうかは、害悪告知に至る経緯、加害者と被害者との関係、被害者の心理的状況などの個別的事情をも考慮に入れることになります。告知の方法は、言葉による方法、態度・動作による方法、暗示的方法や他人を介して間接的に通告する方法も含まれ得ます。

告知する害悪の内容は、実現することによって犯罪となるものであることを要するのですか。

 害悪の内容については、それが実現することによって犯罪となるものであることを要しないと考えられます。

権利行使(「裁判を起こす」、「・・・を請求する」など)を告げる場合は、「脅迫」に該当しますか。

 具体的な言動が接近禁止命令等の対象となる「脅迫」に該当するか否かは、個別の事案における証拠に基づき裁判所が判断することとなるものです。

 一般論としては、保護命令の対象となる身体に対する暴力等は、不法なものであることを前提としており、正当な権利の行使として行われたと認められる場合には接近禁止命令等の対象となる「脅迫」に該当せず、正当な権利の行使として行われたと認められない場合には接近禁止命令等の対象となる「脅迫」に該当し得ると考えられます。

被害者が「恐怖を感じた」と言えば、「脅迫」に該当することになるのではないですか。

 接近禁止命令等の対象となる「脅迫」は、一般に「人を畏怖させるに足りる程度のもの」であることが必要であり、個別具体的な事情によって判断される事柄であるため、必ずしも被害者が「恐怖を感じた」と言ったことのみをもって「脅迫」に該当すると判断されるとは限らないと考えられます。

害悪の告知は、直接伝えられる必要がありますか。

 害を加える旨の告知は、直接伝えられる必要はなく、間接的な手段(他人を介した間接的な通告など)であっても対象になり得ると考えられます。

既に自由、名誉又は財産に危害を加えている旨の告知は接近禁止命令等の対象になりますか。

 加害は未然のものであることを要し、単に過去の加害行為の告知に過ぎないときは、「脅迫」には該当しませんが、行為者の行為が将来にわたる害悪の告知と認められる場合には、「脅迫」に該当し得ます。

「脅迫」について、告知内容の加害の対象に「自由、名誉又は財産」が追加されたことにより、具体的にどのような行為が接近禁止命令等の対象となりますか。

 令和5年(2023年)の法改正は、配偶者からの暴力は、加害者が自己への従属を強いるために用いるという特殊性に鑑み、害悪を告知することにより畏怖させる行為として、「脅迫」を対象としたものです。具体的な言動が「脅迫」に該当するか否かは、個別の事案における証拠に基づき裁判所が判断することとなるものですが、例えば、
 ・「「言うことを聞く」と言うまで外に出さない。」などと告げるような場合(自由に対する脅迫)
 ・「性的な画像をネットで拡散する。」などと告げるような場合(名誉に対する脅迫)
 ・「キャッシュカードを取り上げる。」などと告げるような場合(財産に対する脅迫)
 などが対象となり得ると考えられます。
 これらのほか、個別具体的な状況により、生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨の告知と認められるものは、「脅迫」に該当し得ます。

自由に対する脅迫については、どのようなものがありますか。

 自由に対する脅迫については、例えば、刑法の脅迫罪に関し、身体・行動の自由、謝罪に関する意思の自由、職業選択の自由に関して裁判例があります。
 (想定される例:いずれも個別具体的な状況により判断されます。)
  身体・行動の自由:部屋に閉じ込め、外出しようとすると怒鳴るなど
  謝罪に関する意思の自由:土下座を強制するなど
  職業選択の自由:従わなければ仕事を辞めさせると告げるなど

名誉に対する脅迫については、どのようなものがありますか。

 具体的な言動が接近禁止命令等の対象となる「脅迫」に該当するか否かは、個別の事案における証拠に基づき裁判所が判断することとなるものですが、一般論としては、例えば、性的な画像を広く流布させると告げる行為や、悪評をネットに流して攻撃すると告げる行為が名誉に対する害悪の告知と認められる場合には、「脅迫」に該当し得ます。

いわゆる経済的DVは、財産に対する脅迫に該当しますか。

 具体的な言動が接近禁止命令等の対象となる「脅迫」に該当するか否かは、個別の事案における証拠に基づき裁判所が判断することとなるものですが、一般論としては、例えば、キャッシュカードや通帳を取り上げると告げる、被害者の財産を勝手に使うと告げるなどの行為が財産に対する害悪の告知と認められる場合には、「脅迫」に該当し得ます。

性的自由に対して害を加える旨を告知した場合には、自由に対する脅迫に該当しますか。

 性的自由に対して害を加える旨の告知も自由に対する脅迫となり得ます。

夫婦間での口喧嘩も「脅迫」として扱われるのですか。

 接近禁止命令等の対象となる「脅迫」に該当するか否かは、個別具体的な状況に照らして判断されるものですが、
 ・「脅迫」は、一般に「人を畏怖させるに足りる程度」のものであることが必要であること
 ・接近禁止命令等が発令されるには更なる身体に対する暴力等により、その生命又は心身に重大な危
  害を受けるおそれが大きいことを要件としていること
 から、このような要件を満たさない場合には、対象とはなりません。

接近禁止命令の要件である「「心(精神)」への重大な危害を受けるおそれが大きい」の具体的な内容は何ですか。

 「心身に重大な危害」とは、少なくとも通院加療を要する程度の危害であり、このうち、「心(精神)」への重大な危害としては、うつ病、心的外傷後ストレス(PTSD)、適応障害、不安障害、身体化障害(以下「うつ病等」という。)が考えられます。
 配偶者等から身体に対する暴力等を受けたことにより、これらのうつ病等の通院加療を要する症状が出ており、配偶者等から更なる身体に対する暴力等を受けるおそれがある場合には、基本的に、「重大な危害を受けるおそれが大きい」と考えられます。
 また、迅速な裁判の観点から、上述の「うつ病等の通院加療を要する症状が出て」いるという事実を立証するため、申立ての際に、うつ病等の診断書を添付することが必要になります。

 注:なお、接近禁止命令等の申立てをする際には、診断書の添付とは別に、身体に対する暴力等を受けたこと、配偶者からの暴力とうつ病等の因果関係、更なる身体に対する暴力等を受けるおそれが大きいこと等の接近禁止命令等の要件について、主張・立証が必要となります。

被害者の気分がめいっている場合についても該当しますか。

 接近禁止命令等の要件において、更なる身体に対する暴力等により心身に重大な危害を受けるおそれが大きいことを求めており、「気分がめいっている場合」であっても、うつ病等で通院加療を要するものと認められないときは、接近禁止命令等が発令される場合には該当しないものと考えられます。

「脅迫」によりうつ病等(うつ病、心的外傷後ストレス障害(PTSD)、適応障害、不安障害、身体化障害)の症状となった場合に、仕事や家庭(DV以外の子育て・介護等)にも要因がある場合には、接近禁止命令等が認められないのですか。

 身体に対する暴力等を受けた者が、配偶者からの更なる身体に対する暴力等により、その心身に重大な危害を受けるおそれが大きいときは、接近禁止命令等が認められることになります。
 ご質問のような場合には、脅迫行為及び他の要因の内容・程度等の立証により、被害者がうつ病等に至った要因として配偶者からの身体に対する暴力等以外のものがなかったとしても、配偶者からの身体に対する暴力等によりうつ病等の症状で通院加療を要するものになったといえるときであって、かつ、更なる身体に対する暴力等を受けるおそれが大きいときは、接近禁止命令等が認められ得ることになります。

接近禁止命令について、1年では足りない場合にはどうするのですか。

 再度の申立てが可能であり、1年を超える接近禁止命令等が必要である場合には、再度の申立てに基づき判断されることになります。

被害者への電話等禁止命令及び被害者と同居の子への電話等禁止命令の禁止行為である「緊急時以外の連続した電話等」について、「連続して」とは、具体的にどのように判断されるのですか。

 「連続して」とは、短時間や短期間に何度もという意味です。具体的には、電話やファクシミリ装置、SNS等の連絡手段やそれにより送信した回数や間隔など個々の事案により判断されることとなります。

子への接近禁止命令が発令され、子への電話等禁止命令が発令されない場合がありますか。

 子への接近禁止命令と子への電話等禁止命令は、いずれも、被害者が同居している子に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するために必要があること等を要件としており、両方の命令が発令されるには、どちらも要件を満たしている必要があります。
 このため、二つの命令の両方が申し立てられた場合において、子への接近禁止命令の発令の要件を満たすと判断されるとしても、子への電話等禁止命令については、当該命令の必要性が具体的事実に基づき判断されることになります。
 なお、どちらかの命令のみを申し立てることは可能です。

≪退去等命令≫

退去等命令を出してもらうには、配偶者と生活の本拠を共にしていなければならないということですが、配偶者の暴力がひどく、一時的にホテルで生活している場合には出してもらえないのですか。

 生活の本拠を共にするというのは、被害者と配偶者が生活の拠り所としている主な住居を共にする場合をいいます。したがって、生活の拠り所としている主な住居を共にしていれば、一時的にホテルや実家に避難していたり、女性相談支援センターで一時保護を受けているといった場合も生活の本拠を共にしている場合に含まれると考えられます。

退去等命令の期間の特例(被害者のみが所有又は賃借している場合)について、所有関係や賃借関係をどのように証明するのですか。

 例えば、土地の登記簿(所有関係)や賃貸借契約書(賃借関係)が考えられます。

土地は被害者、建物は相手配偶者が所有又は賃借する場合には、どうなるのですか。また、賃料を支払わずに借りている場合(使用貸借)は対象となりますか。

 本要件については、被害者が居住する建物が単独で所有又は賃借するものであることとしており、建物を所有・賃借する者が被害者でない場合には、該当しません。
 また、使用貸借については、対象としていません。

≪申立方法等≫

保護命令を出してもらうにはどうすればよいのですか。

 保護命令を出してもらうには、まず、申立書を作成して、裁判所に提出する必要があります。
 配偶者暴力相談支援センターは、被害者に対し、保護命令の制度の利用について、情報の提供、助言、関係機関への連絡などの援助を行うこととされています。被害者が保護命令の申立てを希望する場合には、申立先の裁判所や申立書等の記入方法などを助言していますので、お近くの配偶者暴力相談支援センターにお問い合わせください。
 接近禁止命令等を申し立てる場合、申立書には、

  1. 身体に対する暴力等を受けた状況
  2. 配偶者からの身体に対する暴力等により、被害者の生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいという事情
  3. 被害者の同居の子への接近禁止命令・電話等禁止命令の申立てをする場合、被害者がその子に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するためその子への接近禁止命令・電話等禁止命令を発令する必要があると認めるに足りる申立ての時における事情
  4. 被害者の親族等への接近禁止命令の申立てをする場合、被害者がその親族等に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するためその親族等への接近禁止命令を発令する必要があると認めるに足りる申立ての時における事情
  5. 配偶者暴力相談支援センターの職員又は警察職員に1.から4.までの事項について相談したり、援助や保護を求めたことがあれば、

 などを記載します。

 注:退去等命令を申し立てる場合は、上記1.は「身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた状況」に、上記2.は「配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫により、被害者の生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいという事情」になります。


 この申立書を、

 のいずれかに提出することとなります。

申立書はどのように書いたらよいのですか。

 特に決められた書式はありません。必要な事項を簡潔な文書で明瞭に書いてください。裁判所によっては、独自に申立書のひな形を用意している場合もあります。
 配偶者暴力相談支援センターは、被害者に対し、保護命令の制度の利用について、情報の提供、助言、関係機関への連絡などの援助を行うこととされています。被害者が保護命令の申立てを希望する場合には、申立先の裁判所や申立書等の記入方法などを助言していますので、お近くの配偶者暴力相談支援センターにお問い合わせください。

申立てにはお金が必要ですか。

 手数料として1,000円が必要となります。そのほか、書類の相手方への送達のための費用などを裁判所に予納することが必要となります。

配偶者暴力相談支援センターの職員や警察職員に相談等をしたことがないのですが、この場合、保護命令は出してもらえないのですか。

 このように、申立書に配偶者暴力相談支援センターの職員や警察職員に相談した事実等が書けない場合は、その代わりに、

  1. 身体に対する暴力等に対する脅迫を受けた状況
  2. 配偶者からの身体に対する暴力等により、被害者の生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいという事情
  3. 被害者の同居の子への接近禁止命令・電話等禁止命令の申立てをする場合、被害者がその子に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するためその子への接近禁止命令・電話等禁止命令を発令する必要があると認めるに足りる申立ての時における事情
  4. 被害者の親族等への接近禁止命令の申立てをする場合、被害者がその親族等に関して配偶者と面会することを余儀なくされることを防止するためその親族等への接近禁止命令を発令する必要があると認めるに足りる申立ての時における事情

 について書いた書面を公証人役場に持っていき認証を受け、この認証を受けた書面を申立書と一緒に地方裁判所に提出します。

 なお、このための手数料として1万1,000円が必要となります。

 注:退去等命令を申し立てる場合は、上記1.は「身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた状況」に、上記2.は「配偶者からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫により、被害者の生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいという事情」になります。

暴力を受けてから3ヶ月がたっています。接近禁止命令等は出ますか。

 更なる配偶者からの身体に対する暴力等により生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいと判断されれば、接近禁止命令等は出されます。暴力を受けてからの期間については、上記の暴力を受けるおそれがあるかないかの判断材料にはなりますが、一律、これ以上たっているからダメというものではありません。

暴力を受け、配偶者暴力相談支援センターに相談に行ってから3ヶ月がたっています。接近禁止命令等は出ますか。

 更なる配偶者からの身体に対する暴力等により生命又は心身に重大な危害を受けるおそれが大きいと判断されれば、接近禁止命令等は出されます。暴力を受けてからの期間や相談に行ってからの期間については、更なる暴力を受けるおそれがあるかないかの判断材料にはなりますが、一律、これ以上たっているからダメというものではありません。

申立てからどのくらいで保護命令は出るのですか。

 法律で、裁判所は速やかに裁判をすることとなっています。期間については、それぞれの事案によって異なってきますが、迅速に保護命令が出されるものと思います。

申立書を出した後、何かしなければならないことがありますか。

 裁判官との面接があり、事情を聞かれる場合が多いと思います。

保護命令を出す前に、裁判所が配偶者の話を聞くことはありますか。

 基本的には、裁判所が配偶者から話を聞いた後で保護命令を出すこととなります。

配偶者から話を聞いたりせずに、早く命令を出してもらわないと、暴力がエスカレートしそうなのですが。

 配偶者の話を聞いていたのでは、保護命令の目的を達することができないといった事情があるとき、例えば、緊急に命令を出さなければ、被害者の生命身体に重大な危険が生じると思われる場合などで、暴力等の事実など保護命令の発令要件の証明が可能なときは、配偶者から話を聞かずに保護命令を出すこともあります。

配偶者が裁判所に出てこない場合は、いつまでたっても保護命令は出ないのですか。

 このような場合は、配偶者には話す機会は与えたけれども、配偶者自らがこの機会を放棄したとみなし、配偶者から話を聞かずに保護命令を出すこともあります。

保護命令に反して配偶者が近付いてきた場合、どうすればよいですか。

 保護命令に違反することは犯罪です。110番などにより、警察に通報してください。保護命令に違反した者は、2年以下の拘禁刑(※)又は200万円以下の罰金に処せられます。
 ※令和7年(2025年)5月31日までは懲役

保護命令を取り消したいのですが、可能ですか。

 保護命令については、被害者が裁判所に取消しを申し立てれば、命令は取り消されます。また、接近禁止命令等については、被害者への接近禁止命令が効力を生じてから3か月が経過した場合(退去等命令については退去等命令の効力が生じた日から2週間が経過した場合)において、配偶者から申立てがあり、被害者が取消しについて異議がないことを裁判所が確認したときも、命令は取り消されます。

≪保護命令手続のデジタル化≫

保護命令の手続はオンラインで行うことはできますか。

 令和5年(2023年)の法改正では、保護命令手続について、その内容に応じて、順次実施することとしています。
 まず、映像と音声の送受信による通話の方法による口頭弁論等については、全面的なデジタル化に先行した時期、具体的には、民事訴訟法改正法の施行日(注1)以降に実施することが可能となります。
 次に、保護命令手続の全面的なデジタル化(インターネットを利用した申立て、決定書の電子化、電子化された事件記録の閲覧(電磁的事件記録等の閲覧)など)については、民事関係手続デジタル化法の施行日(注2)に実施することとなります。
  (注1)令和8年(2026年)5月24日まで(具体的な施行日は今後決定)
  (注2)令和10年(2028年)6月14日まで(具体的な施行日は今後決定)

警察による対応

警察に相談に行くと、どういう措置をとってもらえるのですか。

 警察では、被害者等の生命・身体の安全の確保を最優先に検挙その他の適切な措置を執ることとしています。

警察は、配偶者を検挙しない場合には何もしてくれないのですか。

 警察では、配偶者の検挙が困難な場合であっても、配偶者に対して指導、警告を行ったり、被害者に対して防犯指導や適当な相談窓口を紹介したりするなど、被害者を支援することとしています。