配偶者からの暴力防止にかかわる関連法令・制度の概要
保護命令
※令和6年4月1日から施行される配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律の一部を改正する法律(令和5年法律第30号)による改正前の情報です。
保護命令
配偶者からの身体に対する暴力を受けた被害者が、配偶者からの更なる身体に対する暴力により、又は、配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた被害者が配偶者から受ける身体に対する暴力により、その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいときに、裁判所が被害者からの申立てにより、配偶者に対して発する命令。(1)被害者への接近禁止命令、(2)被害者への電話等禁止命令、(3)被害者の同居の子への接近禁止命令、(4)被害者の親族等への接近禁止命令、(5)被害者と共に生活の本拠としている住居からの退去命令、の5つの類型があります。
生活の本拠を共にする交際相手から身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた被害者についても準用されることにより、上記と同様の場合に保護命令が発せられます。
(1)被害者への接近禁止命令
被害者へのつきまといや被害者の住居(当該配偶者又は生活の本拠を共にする交際相手と共に生活の本拠としている住居を除く。)、勤務先等の近くをはいかいすることを禁止する命令。
期間は6か月。
(2)被害者への電話等禁止命令
被害者に対し次に掲げるいずれの行為もしてはならないことを命ずるもの。被害者からの申立てにより、被害者への接近禁止命令と同時に又はその発令後に発令されます。
- 面会を要求すること。
- その行動を監視していると思わせるような事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
- 著しく粗野又は乱暴な言動をすること。
- 電話をかけて何も告げず、又は緊急やむを得ない場合を除き、連続して、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、若しくは電子メールを送信すること。
- 緊急やむを得ない場合を除き、午後十時から午前六時までの間に、電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、又は電子メールを送信すること。
- 汚物、動物の死体その他の著しく不快又は嫌悪の情を催させるような物を送付し、又はその知り得る状態に置くこと。
- その名誉を害する事項を告げ、又はその知り得る状態に置くこと。
- その性的羞恥心を害する事項を告げ、若しくはその知り得る状態に置き、又はその性的羞恥心を害する文書、図画その他の物を送付し、若しくはその知り得る状態に置くこと。
(3)被害者の同居の子への接近禁止命令
被害者と同居する未成年の子へのつきまといや子の学校等の近くをはいかいすることを禁止する命令。被害者からの申立てにより、被害者がその同居している子に関して配偶者又は生活の本拠を共にする交際相手と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認める場合に、被害者の生命又は身体に危害が加えられることを防止するため被害者への接近禁止命令と同時に又はその発令後に発令されます。
※子が15歳以上の場合は子の同意がある場合に限ります。
(4)被害者の親族等への接近禁止命令
被害者の親族その他被害者と社会生活において密接な関係を有する者(親族等)へのつきまといや住居、勤務先等の近くをはいかいすることを禁止する命令。被害者からの申立てにより、被害者がその親族等に関して配偶者又は生活の本拠を共にする交際相手と面会することを余儀なくされることを防止するため必要があると認める場合に、被害者の生命又は身体に危害が加えられることを防止するため被害者への接近禁止命令と同時に又はその発令後に発令されます。
※親族等の同意がある場合に限ります。
(5)被害者と共に生活の本拠としている住居からの退去命令
配偶者又は生活の本拠を共にする交際相手に被害者と共に生活の本拠としている住居からの退去及び住居の付近のはいかいの禁止を命ずる命令。期間は2か月。
配偶者である相手方が保護命令に違反すると
1年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処せられます。
申立ての方法
申立書に以下の項目を記入し、管轄のある地方裁判所に提出します。
- (1)配偶者又は生活の本拠を共にする交際相手からの身体に対する暴力又は生命等に対する脅迫を受けた状況
- (2)配偶者若しくは生活の本拠を共にする交際相手からの更なる身体に対する暴力又は配偶者若しくは生活の本拠を共にする交際相手からの生命等に対する脅迫を受けた後の配偶者又は生活の本拠を共にする交際相手から受ける身体に対する暴力により、生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと認めるに足りる申立ての時における事情
- (3)被害者の同居の子への接近禁止命令の申立てをする場合にあっては、被害者が同居している子に関して配偶者又は生活の本拠を共にする交際相手と面会することを余儀なくされることを防止するため被害者の同居の子への接近禁止命令を発令する必要があると認めるに足りる申立ての時における事情
- (4)被害者の親族等への接近禁止命令の申立てをする場合にあっては、被害者が親族等に関して配偶者又は生活の本拠を共にする交際相手と面会することを余儀なくされることを防止するため被害者の親族等への接近禁止命令を発令する必要があると認めるに足りる申立ての時における事情
- (5)配偶者暴力相談支援センターの職員又は警察職員に対して(1)から(4)までの事項について相談し、又は援助若しくは保護を求めたことの有無及びその事実があれば、
- 相談、又は援助若しくは保護を求めた配偶者暴力相談支援センター又は警察職員の所属官署の名称
- 相談、又は援助若しくは保護を求めた日時・場所
- 相談又は求めた援助若しくは保護の内容
- 相談又は申立人の求めに対して執られた措置の内容
※配偶者暴力相談支援センターや警察の職員に相談等をしていない場合は、(1)から(4)の事項についての申立人の供述を記載した書面を作成し、公証人の面前で宣誓した上で認証を受け、その書面を申立書に添付することが必要です(認証を受けるには11,000円が必要となります。)。
申立てに必要な費用や書類の詳細は、最寄りの地方裁判所にお問い合わせください。