男女共同参画会議(第2回)議事要旨

(開催要領)

  1. 開催日時:2001年4月3日(火) 17:00~18:40
  2. 場所:官邸大客間
  3. 出席議員
     
    森 喜朗 内閣総理大臣
    議長
    福田 康夫 内閣官房長官
    議員
    片山 虎之助 総務大臣
    河野 洋平 外務大臣 (代理 衛藤 征士郎 外務副大臣)
    町村 信孝 文部科学大臣
    坂口 力 厚生労働大臣
    谷津 義男 農林水産大臣
    平沼 赳夫 経済産業大臣
    伊吹 文明 国家公安委員長、危機管理・防災担当大臣
    斉藤 斗志二 防衛庁長官
    猪口 邦子 上智大学教授
    岩男 壽美子 武蔵工業大学教授、慶應義塾大学名誉教授
    神田 道子 東洋大学長
    小島 明 日本経済新聞社常務取締役・論説主幹兼国際担当
    佐々木 誠造 青森市長
    住田 裕子 弁護士
    橘木 俊詔 京都大学経済研究所教授
    古橋 源六郎 (財)ソルト・サイエンス研究財団理事長
    師岡 愛美 日本労働組合総連合会副会長
    山口 みつ子 (財)市川房枝記念会常務理事
    (説明者)
    樋口 恵子 仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会長

    (議事次第)

    1. 開会
    2. 議事
      • (1)男女共同参画会議運営規則の一部改正について
      • (2) 男女共同参画会議の今後の審議方針について
      • (3) 仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会の検討状況について
      • (4) その他
    3. 閉会

    (配布資料)

    資料1
    男女共同参画会議運営規則(平成13年1月23日男女共同参画会議決定)の一部変更について(案)
    資料2
    今後の進め方について
    資料3
    仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会検討状況報告
    資料4
    仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会委員名簿
    資料5
    公務員制度改革の大枠(抜粋) [PDF形式:316KB] 別ウインドウで開きます
    資料6
    第1回男女共同参画会議議事録(案)

    (概要)

    ○ 内閣総理大臣によるあいさつの後、各有識者議員からも自己紹介を兼ねたあいさつが行われた。

    ○ 男女共同参画会議運営規則の一部改正について
    各省大臣欠席時の副大臣の代理出席に関し運営規則の改正が提案され、原案の通り決定された。

    ○ 男女共同参画会議の今後の審議方針について
    議長から、男女共同参画会議に「基本問題専門調査会」「女性に対する暴力に関する専門調査会」「苦情処理・監視専門調査会」及び「影響調査専門調査会」を設置することが提案され、原案のとおり決定された。また、各専門調査会の人選については、議長に一任し、内閣総理大臣と相談の上決定することとなった。

    (古橋議員)

    苦情処理・監視専門調査会では、施策の優先順位を議論していく必要がある。各省庁内、省庁間、男女共同参画に関するものとそれ以外というように、各施策について優先順位を検討していく上で難しい議論も出ると思われるので、特に閣僚議員の皆様に御協力をお願いしたい。

    (住田議員)

    議員立法で配偶者間の暴力に対して法律ができると聞いている。女性に対する暴力に関する専門調査会では、成立後、実施の中で出てくる問題や、数年後の改正に当たって調査検討を行うことになると思うので、御支援をお願いしたい。

    (内閣官房長官)

    各専門調査会において、調査検討の進め方等について議論し、次回の本会議に報告していただきたい。

    ○ 仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会の検討状況について
    仕事と子育ての両立支援策に関する専門調査会の検討状況について、同専門調査会の樋口会長から報告が行われた。

    (佐々木議員)

    中小都市及び地方の農村部でも同じ状況にあるので、大都市周辺についてのみに焦点を絞らないでいただきたい。

    (福原議員)

    駅やその近くに保育所を作るに当たり特典をつけることが望ましい。無認可保育所の管理をどうするか考えるべき。保育所ですべてをまかなうのは無理であるので、3世代世帯に対する優遇措置を講じてはどうか。

    (神田議員)

    教育によって文化的な基盤を変えることが重要。報告にあるように、学校教育が行われる場に両立のための施設をつくって、そこで学生等が活動し、その上で教科書による教育も行うなど、構造的に考えていく必要がある。

    (師岡議員)

    女性労働者の半分以上が非正規雇用という実態を検討する必要がある。また、現在の労働時間に対する検討も行うべき。さらに、看護休暇の必要性、駅型保育に対する子供の立場からの慎重な検討、すべての保育所への届出義務化と立ち入り検査、保育所への人材確保にはコストがかかるという認識、学童保育をすべての小学校区に設置し、公的責任の明確化を図ることなどを検討すべき。

    (山口議員)

    農村、中小零細企業や自営業者の問題にも触れるべき。保育所の地域内の需給調整を考えるべき。幼保一元化について、厚生労働大臣と文部科学大臣で一度議論していただきたい。

    (谷津議員)

    農林水産業を職業としている女性の仕事と子育ての両立のための環境整備が他産業の女性と比べて劣ることがあってはならない。農山漁村では子育て等について広域的に相談、情報交換できる機会をつくることが必要であり、また、多世代家族で個々の能力に応じ子育てを楽しめるように仕事や育児、家事を分担、協力し合い、多世代家族の良さが発揮できることが重要である。このような状況を踏まえ、仕事と子育ての両立の支援体制の整備を含め、女性の参画促進のために積極的に取り組む必要があると考えている。

    (古橋議員)

    保育をボランティアでやるのもよいが、それ以外の方法として多様な仕組を用意する必要がある。そして看護婦等の資格を持った人が従事する安価で安全なベビーシッターが必要であり、そのような分野での起業が成立し得るかどうか検討して欲しい。職住接近の街づくりには、家族構成の変化に合わせた住宅づくりや、コミュニティづくり、自然との共存を考え、男女共同参画が推進できるような都市計画を考えて欲しい。保育に要した費用への支援については、税制控除よりも予算措置でまかなう方がいいと思うが、諸外国の事例もよく考えて検討して欲しい。

    (住田議員)

    「地域こぞって子育てを」という視点では、現在働いている人だけでなく、全女性並びに全男性に向けた施策を期待したい。

    (小島議員)

    最終報告では、単に政府に対する財政援助等の要望だけではなく、自己責任や自立、社会的な価値観など、社会的な啓発も意図したまとめ方にして欲しい。

    (佐々木議員)

    地域に子育て中の女性と子育て経験者をつなぐコーディネーターがいて、子育て中の女性がいつでも子育て経験者に相談できる状況になればとても助かるという声がある。地域全体で子育てを見守り、必要なときに手伝いができる仕組みとして、このようなものができればよいと思っている。駅の保育施設で一時保育を行うことがニーズに合っているのではないか。病児の小児科医等での保育については、実際にやってみたが好評であり、たいへん結構なことと思う。

    (橘木議員)

    男性の育児休暇について、所得保障はどうするのか。

    (樋口会長)

    有給休暇の上積みは無理であり、雇用保険や健康保険で対応できないかという議論になっている。

    (猪口議員)

    公的保育を中心にして、補完的に民間を導入するという立場で進めるべきだと思っている。また、農山漁村や中小都市については、調査会では問題はないという整理だったが、今日の御意見のように、全国地域差なく進めることが大事と考えている。いろいろなところに目に見える形で保育所を作れば、一般に対し時代が変わったという啓発にもなるのではないか。三世代世帯への支援は難しいのではないか。ベビーシッター等は非常に料金が高いこともあり、予算での対応と同時に、改めて保育料の税制控除について議論すべき。すべての学校内に学児自習室を設置し、従来の学童保育と選択できるようになればよい。今専門調査会で議論している事項については、議員の賛同があれば議論が進むので、御指摘いただきたい。

    (町村議員)

    子育て体験については大いに進めようと考えている。空き教室については全く制限はないのに何故進まないのかと思っているので、皆様にもお調べいただきたい。幼保の一元化については、一度にはできないので、施設の共用や人材の養成段階から進めているところである。最終的には決断をして、当然一元化すべきだと思っているが、幼稚園側には財源がないという壁がある。

    (坂口議員)

    幼保一元化については我々も考えており、建物などでは進んだがまだまだなので、何とかして進めていきたい。また、無認可保育所についてはより具体的な対策を手掛け始めている。
    御報告については、一部、将来の課題として検討することが適当なもの、既に着手しつつあるものもあるが、早急に着手すべき多くの重要な課題をご指摘いただいたと考えており、実現を図っていきたい。その際相当な予算措置を伴うものでもあることから、関係大臣のご理解をお願いしていきたい。

    (伊吹議員)

    本日の御報告は、企業の取り組みと政府の支援につきると思う。育児休暇を取った際に、復帰時に必ず元の地位に戻すことを法律によって強制し、復帰までは健康保険や厚生年金の企業負担分程度は企業に持ってもらい、自己負担分は国が面倒を見るという議論になるのではないか。また、男女共同参画社会は女性だけではなく男性にも良い社会であり、そのためには国民もそれなりの負担をすべきという意識を書いていただきたい。

    (片山議員)

    仕事と子育ての両立は単に少子化対策ではなく、女性すべてが社会参画を行うという感じを強く受ける。今後女性は全員が働き、その子供は皆保育ということならば、発想を変えて本格的な体制を整える必要がある。そうであれば、個別の地域ごとにどうするかを議論をする必要があるのではないか。例えば、子供を預ける地域と働く地域が違っても良いということなのか。

    (岩男議員)

    男女共同参画社会は多様な生き方を目指すものであり、働きたくない人を無理に働かせることは考えていない。ただ、今後の労働力不足は明らかであり、女性が働くことは日本にとって望ましいという考え方からはその通りだと思う。
    また、せっかく大臣がいらっしゃるので、与党で祝日法の改正の話が出ているようだが、「こどもの日」については「母に感謝する」とされており、母だけでなく父にも感謝すべきであるので、この際一緒に変えていただくことをお願いしたい。

    (樋口会長)

    この専門調査会は、森総理が本会議の場で、いろいろ施策を行っているのに実現しないのは何故かとの発想から立ち上がったものであり、そこは非常にありがたいと思っているし、私個人の体験でも政府が両立支援を打ち出したということに対する感謝の声が届いている。
    少子化は仕事と子育ての両立ができないことが大きな原因との認識が総理を始め政府や世論に広がり、また男女共同参画社会基本法にもあるように、自ら働きたい人が働ける社会になることが望まれている。

    (片山議員)

    それは理解している。実効性のある両立支援策を、できれば総論でなく地域ごとに考える必要があるということ。別に反対しているわけではない。

    (樋口会長)

    実効性のある方策を行う方向で議論を行っている。指標を出したり、不足がある部分が分かる情報を出すことなどを考えているが、皆様の御協力をお願いしたい。

    (内閣官房長官)

    本日の御意見も踏まえて、六月を目途に最終報告を取りまとめていただきたい。

    ○ その他
    男女共同参画社会の推進に関する動きとして、事務局から「公務員制度改革の大枠」の関連部分について、また谷津議員から農林水産関連の新しい動きについて説明がなされた。
    また、第一回男女共同参画会議議事録(案)が提示され、公開することが了承された。

    ○ 内閣総理大臣からあいさつが行われた。

    (以上)