男女共同参画会議(第1回)議事録

  1. 開催日時:2001年1月23日(火) 10:25~11:23頃
  2. 場所:官邸大客間
  3. 出席議員:
     
    森 喜朗 内閣総理大臣
    議長
    福田 康夫 内閣官房長官
    議員
    片山 虎之助 総務大臣
    高村 正彦 法務大臣
    河野 洋平 外務大臣
    宮沢 喜一 財務大臣
    町村 信孝 文部科学大臣
    坂口 力 厚生労働大臣
    谷津 義男 農林水産大臣
    扇 千景 国土交通大臣
    川口 順子 環境大臣
    伊吹 文明 国家公安委員長、危機管理・防災担当大臣
    猪口 邦子 上智大学教授
    岩男 壽美子 武蔵工業大学教授、慶應義塾大学名誉教授
    神田 道子 東洋大学長
    小島 明 日本経済新聞社常務取締役・論説主幹兼国際担当
    佐々木 誠造 青森市長
    住田 裕子 弁護士
    橘木 俊詔 京都大学経済研究所教授
    原 ひろ子 放送大学教授、お茶の水女子大学名誉教授
    福原 義春 (株)資生堂会長
    古橋 源六郎 (財)ソルト・サイエンス研究財団理事長
    師岡 愛美 日本労働組合総連合会副会長
    山口 みつ子 (財)市川房枝記念会常務理事
  4. 議事
    1. 開会
    2. 内閣総理大臣あいさつ
    3. 議員紹介
    4. 議事
      • (1)男女共同参画会議運営規則
      • (2)男女共同参画会議の今後の審議方針について
      • (3)仕事と子育ての両立支援策について
    5. 閉会

    (配布資料)

    資料1
    男女共同参画会議名簿
    資料2
    男女共同参画会議運営規則(案)
    資料3
    男女共同参画社会基本法
    資料4
    男女共同参画基本計画
    資料5
    男女共同参画審議会答申「男女共同参画基本計画策定に当たっての基本的な考え方」-21世紀の最重要課題-
    資料6
    男女共同参画審議会答申
  5. 議事内容
    (坂井副大臣)

    ただいまから第1回男女共同参画会議を開催いたします。なお、議長であります官房長官は、やむを得ぬ急務のため会議の冒頭に出席することができなくなりましたので、私、内閣府副大臣の坂井でございますが、官房長官に代わり、全く異例の措置でございますが、臨時に議長代理を務めさせていただきますので、どうかよろしくお願いいたします。

    まず本会議の初会合に当たりまして、総理からごあいさつがございます。よろしくお願いいたします。

    (内閣総理大臣)

    おはようございます。早朝から御多用の中ありがとうございます。

    本来でございますと、皆さんの辞令書を直接お渡しをすることが礼儀でございましたけれども、実はこれから宮中に参らなければなりません。大変恐縮でございますが、皆様のお前にお配りをさせていただきました。御無礼をお許しいただきたいという次第でございます。

    今日は、こうしてわざわざ、おでかけいただきましたことをお礼を申し上げます。

    男女共同参画会議は、内閣及び内閣総理大臣の「知恵の場」としての機能を果たす国の重要施策に関する会議の一つでございます。本会議は内閣官房長官を議長とし、関係閣僚及び有識者の皆様の知識・経験を十分に活用しつつ、男女共同参画社会の形成の促進に関する基本的な方針、基本的な政策及び重要事項を調査審議し、必要に応じて意見を述べていただくことといたしております。

    今回の中央省庁再編に伴いまして、行政組織のスリム化が進められている中にあって、男女共同参画社会づくりに向けた取組体制については、その実現が21世紀の我が国社会を決定する最重要課題の一つであるという認識のもと、従来に比べその体制が格段に充実・強化されました。この会議も、男女共同参画審議会を発展的に継承し、政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視や、政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響の調査というこれまでの審議会にはなかった新たな機能が付与されております。男女共同参画社会の実現のためには、これらがその機能を十分に発揮していくことが極めて重要であると考えております。

    我が国においては、日本国憲法に個人の尊重、法の下の平等がうたわれており、これまでにも男女共同参画社会の実現に向けたさまざまな取り組みが着実に進められてきましたが、その実現にはなお一層の努力が必要であります。また、少子高齢化の進展、国内経済活動の成熟化等、我が国の社会経済情勢は急速に変化をいたしております。

    こうした状況に鑑みまして、私は男女共同参画会議における第一の課題として、早急に、仕事と子育ての両立支援策の検討を行っていただきたいと考えております。我が国では持続的に少子化が進行しております。その要因の一つとして、経済社会環境の変化の中で女性の就業率が高まりつつあるにもかかわらず、仕事と家庭の両立が依然として困難であるなど、男女共同参画社会の形成が遅れていることも原因の一つとして挙げられております。個人が望む結婚や出産を妨げている要因を取り除き、女性も男性も、家庭生活における活動と仕事その他の活動を両立させて、安心して子育てができる社会を築くことが緊急の政策課題であると考えております。

    この仕事と子育ての両立支援策に関しましては、既に、数多くの提言等が行われておりますが、それにもかかわらず、期待どおりに定着・進展し、効果を上げるに至っていないのはなぜであるのか、議員の皆様にはこうした観点から、施策の現状について調査審議していただき、今後重点的に取り組むべき点や特に配慮すべき点等についての処方箋を速やかに提示していただくようお願い申し上げる次第でございます。

    また、このほかに、本会議が早急に対応すべき個別の課題としては、女性に対する暴力への取り組み等があります。専門的な知見を要するものにつきましては適宜専門調査会等を活用するなどし、これらの男女共同参画社会の推進に関する幅広い課題について、議員の皆様には御検討を進めていただきたいと考えております。

    21世紀の日本の新生を可能ならしめるために、男女共同参画社会の形成は不可欠なものでございます。議員の皆様には、その促進に向けて総合的かつ実質的な検討を行い、着実に成果を挙げていただきますよう、切にお願いを申し上げまして、冒頭のごあいさつとさせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

    (坂井副大臣)

    ありがとうございました。ここで初めての会合でもありますので、有識者の議員の皆様から一言ずつ、ごあいさつをいただきたいと思います。 お手元に本会議の議員名簿を御用意いたしましたので、御参照ください。 それでは猪口議員から順にお願いいたします。

    (猪口議員)

    私は上智大学で国際政治学を専攻しておりまして、女性学の専門ではないのですけれども、キャンパスで日々女子学生の指導にも当たっておりますし、また、卒業生から女性の職業人としての希望や悩みを日々聞いております。私自身も、なぜ女性なのに国際政治学をやるのかというようなことを問われながら生きてきた時代を思い出しまして、男女共同参画に心を尽してまいりたいと思っております。

    私が最初に講義をしたときは、女子学生はこの分野に1割ぐらいでしたが、今日では5割を超えておりますので、やはり啓発し続けること、それから女性職業人として存在し続けることが重要ではないかと思っております。

    国際政治の分野も、総理はこの間のアフリカの御訪問でもよく御存じのとおり、戦争や貧困の最初の犠牲者は女性であり子どもであります。また、その影響は何世代にも及びますので、どうぞこの分野を、日本が国際貢献をするときもよろしくお願いしたいと思います。そして、官房長官がこの議長をなさってくださるということで、ナショナル・マシーナリの方式をほかの先進国と同様につくることができまして、この分野はいろいろな分野に関わりますので、分野横断的に政治の高いところから司令塔として、すべての分野を統括していただきますようによろしくお願いしたいと思います。

    国にはいろいろ大事な政策分野がたくさんあると思います。しかし、男女共同参画というのは、日本人の人口の半分の人々に関わることでございます。そして、その半分の人々というのは、声を挙げて自分の困っている状況や問題を、直接、総理大臣や官房長官とか、あるいはほかの国務大臣の先生方に訴えたりお願いしたりすることを思い付かない人々が多いと思います。その人たちはじっと耐えてあるいはあきらめて、そして苦労しているので、日本が国際貢献国家として生きていくためにも、国内がもっと救われていなければならないと思います。自分を生かせる人しかほかの人を生かすことができないと思います。ですから、国内を今よくすること、そこに是非大きな力を注いでいただきたいと思いますし、その中で特別の苦労をしてきた女性たち、あるいはワーキング・マザー、あるいは高齢女性たち、そういう人々の環境をよくしていただければ、世界の中の日本ということも何か基盤を持つのではないかと存じます。どうぞよろしくお願いいたします。

    (坂井副大臣)

    ありがとうございました。岩男議員、お願いいたします。

    (岩男議員)

    岩男でございます。私は社会心理学を専門にしております。

    前の男女共同参画審議会のときには、会長を務めさせていただきました審議会答申の副題にありますように、21世紀の最重要課題の一つである男女共同参画社会づくりという、男性にとっても女性にとってもよりよい社会をつくるための会議に、関係閣僚の皆様がお入りになるものになったということは、非常に大きな期待があるということでございますので、是非期待に応えていくように努力をしたいと思います。

    また併せて、閣僚の皆様は大変お忙しいわけですから、有識者だけの議論ということも今後はあっていいのではないかと思っております。

    それから、総理が子育てと仕事の両立ということをおっしゃいましたけれども、世界の国々を見てみますと、男女共同参画が進んでいる国ほど出生率が高いわけです。ですから、そういう意味でも男女共同参画社会づくりというのは急務であると私も認識をしております。

    また、前の審議会で答申を出しましたときに、多くの方から私のところに直接お手紙をいただきました。大きく2つの御要望がありましたけれども、1つは望む人が選択できる選択的夫婦別姓の実現と、もう一つは個人のライフスタイルの選択に大変大きく影響してまいります、税制とか社会制度を世帯単位の考え方から個人単位化を図るという、その2つであったということを御紹介して自己紹介に替えさせていただきます。よろしくお願いいたします。

    (坂井副大臣)

    小島議員お願いいたします。

    (小島議員)

    小島です。左右に女性の厚い壁に挟まれまして、日ごろの会合と違う居心地を感じております。

    私自身は、経済記者を30年余りやっていまして、この分野は改めて勉強しなければいけない世界であります。20世紀には東西のディバイド、それからIT社会、これは総理が取組を進められているデジタル・ディバイドがありますが、21世紀の日本を考えると、ジェンダーのディバイド、つまり男女の問題、それから世代、ジェネレーション・ディバイド、これらをうまく管理しないと、日本の社会、経済に本当の創造力、活力が生まれないと思います。

    先ほど、猪口議員が高齢女性とおっしゃいましたが、日本において未活用資源というのは、女性と高齢者だと思います。60歳から75歳ぐらいまでの方は、主要国では現役でばりばりやるようないろいろな機会が与えられており、それが結果的には社会の活力と、更にはいろんな負担を軽減することにもつながっています。是非この場で私自身も勉強したいと思います。

    新聞記者は日ごろ勉強が足らぬという、恐らく親心で私を入れていただいたのではないかと思いますし、そう自覚して勉強してまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

    (坂井副大臣)

    神田議員お願いいたします。

    (神田議員)

    東洋大学学長を9月から勤めております神田道子でございます。

    女性学長ということで、実はまだまだ取材が続いているような状況がございます。学長に更に女性というのが付くのは本当のことを言うとおかしいんですけれども、現状としてはまだ「女性」が付く時代でございまして、その実情を踏まえながら、もう少し教育分野へ女性が参画していくことが課題だろうと、私、自分の経験から思っております。

    御存じのように、私立大学は大変難しい時期を迎えておりまして、毎日たくさんの課題を抱えて日々全力投球しているような生活でございます。

    国の関係の男女共同参画に関する会議への参加は、初めてでございます。どうぞよろしくお願いいたします。

    (坂井副大臣)

    ありがとうございました。では、佐々木議員お願いいたします。

    (佐々木議員)

    青森から参りました佐々木でございます。雪をかき分けて、実はようやく到着いたしました。昨日、また一晩で数十センチの降雪で、現在135センチも積もっております。今年になって6メーター40センチも降りました。そんなことでこれは災害にもつながる異例の大変なことだと思っております。

    そういう中ですけれども、この件に関しては基本法と基本計画の最後の審議会にも参加させていただきまして引き続きということで、専門の先生方の中で私一人が全く専門ではありませんので、場違いかと思ったんですけれども、お引き受けさせていただきました。つまり、地方自治体は3,200以上ありますが、その中でたった私一人が参加ということで、現場を預かるものとして大変責任重大だと思っております。

    私どもの感じでは、やはり行政の立場は環境をつくって、そして下から持ち上げて支援し、市民が頑張るという状況をいかにつくるか、特に、世代間ギャップをどうやって生じさせないかというのが、どうもポイントのような気がしております。平成8年に私どもは男女共同参画都市を宣言しておりますが、大変張り切ってみんな頑張っていますので、その意気で頑張ってほしいと思っておりまして、ここで勉強させていただいたものを生かさせてもらいたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

    (坂井副大臣)

    ありがとうございます。では、住田議員お願いいたします。

    (住田議員)

    弁護士の住田でございます。多分、この中で一番若い部類の一人であると思いまして、非常に諸先輩方がいらっしゃる中で面映ゆい気持ちでおります。

    前身の審議会では、岩男会長の下、基本法部会にまず所属いたしまして、おかげさまで基本法が成立いたしましたときに、その答申の審議に参加させていただきました。その後女性に対する暴力部会でドメスティック・バイオレンス等の問題に携わってまいりまして、この度また議員に選ばれて非常に光栄に存じています。

    実は、弁護士になる前は法務省の検事をやっておりまして、この席におりますと、何というか非常に懐かしい思いがします。法務大臣秘書官も勤めまして、そのときに初のという言葉を言われたんですが、いつまでも初のというのが女性に付くのもどうかなと思いつつも、次がまた続いてないのもちょっとさびしいという気がしております。

    基本法ができて、今回内閣府の中の重要政策に関する会議の中の一つにこの会議ができて、女性もしくは男性を含めて、男女共同参画社会の形成が一つずつ歩んでいるというのは、非常にうれしく思っております。制度としては、国際的に見て恥ずかしくない、遜色のないものになったとはいえ、今、岩男先生がおっしゃいましたように、女性の活躍度は先進国ではほぼ最下位でありますので、是非仕事と子育て両立も含めていろいろな形での、大臣の先生方のいろいろなお知恵をいただいて、力強い歩みを進めていただきたいと思います。

    私の子どもは2人おりまして、ようやく子育てを離れましたけれども、次世代はこういう思いをしないような、すばらしい21世紀であってほしいなと願っております。どうぞよろしくお願いいたします。

    (坂井副大臣)

    ありがとうございました。では、橘木議員お願いいたします。

    (橘木議員)

    京都大学の橘木と申します。

    私は経済学を専攻しておりますが、必ずしも男女問題が専門ではございませんが、私がここで現われた理由の一つというのは、経済学的に見て男女の問題をどう考えたらいいかということではないかと思います。

    経済学では、公平性と効率性というのはトレードオフ関係がございまして、例えば男女の平等をとことん追及すると効率性が犠牲になることが、例えば有能でない女性を上に上げたときに効率性が阻害されるという問題がございますので、私は経済学的な見地から効率性と公平性の問題をどう考えたらいいかという問題を、学問的に考えたいと思っておりますので、よろしくお願いします。

    (坂井副大臣)

    それでは、総理が中座いたしますので、失礼をさせていただきます。

    (内閣総理大臣退室)

    (坂井副大臣)

    では、原議員お願いいたします。

    (原議員)

    放送大学に勤めております、原ひろ子と申します。

    文化人類学と女性学、ジェンダー研究というのをいたしております。この度の会議でとても大事なこととして、先ほど岩男議員がおっしゃいましたように、是非夫婦別性の問題とか、税制、年金の問題などにも力が入るような方向を含めていただきたいと考えます。

    こちらの大臣の方々も、本日は、なぜか両端に女性大臣がお座りで、男性の大臣が囲まれているかのような座席順ですが、女が男を囲んで追及するというのが男女共同参画ではありません。やはり苦しんでいる男の方もたくさんいらっしゃる。だから、多くの男の方の中には、特に政治家の方はそうかもしれませんけれども、自分の「家内」にはもう頭が上がらない、妻の努力があってこそ、今の私があると思っていらっしゃる方が多いのではないでしょうか。そして、今の私は夫のお陰でという方もいらっしゃると思うんですけれども、非常に苦しんでいる女の人たち、特に暴力の被害者などの方々は戸籍があるから困る、健康保険証で困る、税金で困る、年金のことで困る。つまり、今、私たちの国の仕掛けが全部困る原因になっている。細かいことまでお話しする時間はございませんけれども、要するに夫の暴力から逃げ出した場合に、いろいろ現行の手続上のことでがんじがらめにされていて、結局は暴力夫の下に戻っていかざるを得ないという現実がございます。現場をご覧いただけると本当にいいので、お忙しいと思いますけれども、一度そういうところで女の方たち、それから数少ないですが男の被害者の方も含めて、そういう方たちの現実も、ちょっと災害現場を御視察になると同じ気持ちで、短い時間でもいいからご覧いただきたいと考えます。ありがとうございます。

    (坂井副大臣)

    ありがとうございました。では、福原議員お願いいたします。

    (原議員)

    福原でございます。私の所属いたします業界、あるいは私の会社は大変女性の比率が高くて、またその人たちの働き方が非常に重要な職場でございますので、それなりに実践をした体験がございます。しかし、それはまだ決して十分実ってはおりませんで、更にこれをもう少し磨き上げていかなければいけません。それから私は30年前にアメリカで勤めていたわけですが、そのころのアメリカの社会で百貨店のバイヤーさんなんかはほとんど女性でありまして、その人たちにいかにしごかれたかということを思い出しながら、これからやっていくことは男社会の組織の中に女の人たちを当てはめるのではなくて、女性の方たちの新しい働きの場をつくってあげるような組織をつくるにはどうしたらいいかということだと思います。それが一つであります。

    もう一つは、社会インフラとしての保育所をどう考えるか。これは先ほど少子化の問題が出ましたが、少子、子育てのことについては非常に決定的な問題であろうと思います。フランスはフランスなりに大変よくやっているところもあるし、それがまたうまくいっていないところもあると思います。というようなことを、少し皆さんに教えていただいたり、あるいは自分でも研究していきたいと考えております。

    (坂井副大臣)

    ありがとうございました。では、古橋議員お願いいたします。

    (古橋議員)

    ソルト・サイエンス研究財団の古橋でございます。

    私は平成元年まで、34年間国家公務員をしておりましたけれども、今、振り返ってみますと、その間には随分制度改革をやってきたのではないかという気がいたしております。

    私の男女共同参画社会との最初の出会いは平成3年でございまして、そのときに婦人問題企画推進本部機構に関する検討会というのが開かれまして、それに参加したのが最初でございます。

    その後、平成6年に男女共同参画審議会ができまして、そこで男女共同参画ビジョンというものをつくりましたけれども、その第2部会長としてそれに参画させていただき、更に平成9年に岩男会長の下、法律に基づき男女共同参画審議会ができまして、そこで基本法というものを提言したわけでございますけれども、そのときの基本法検討小委員長、それからまた、今回の基本計画策定の起草委員長を務めさせていただきました。

    10年前を振り返りますと、現在のこのような閣僚を交えての参画会議ができたということは大変感慨無量でございます。

    私はよく友人から、お前はなぜ男女共同参画の仕事をやっているんだということを、冷やかしぎみの人もいるんですけれども聞かれるわけであります。

    これには、まず、この21世紀を見まして、少子高齢化とか、経済の成熟化国際化とか、あるいは価値観の多様化とか、そういうことの中において活力ある福祉社会ということと、環境問題とかODAとか、国際社会への積極的貢献ということを果たしていくために、この男女共同参画社会が必要であるということも考えたからであります。

    もう一つは、女性のみならず男性も、非常に長寿化してきており、職場環境が変わってきているというときに、家庭と職場と、それから地域社会にバランスの取れた生きがいを求めていくということが、今や必要なのであるというような考え方から、私はこれに関与してきたわけでございます。

    このような関係で、今まで基本法もでき、基本計画を政府に策定していただきまして、大体啓蒙の段階というものはとりあえず一応でき上がったなと、しかしこれからはまさに、それに基づいて非常に難しい実行の段階に入ったわけであります。そのためにこのような閣僚の方々と一緒の会議ができたと理解しております。

    したがいまして、今後はもっと具体的な内容について推進をしていかなければいけないわけでございますけれども、その場合におきましては基本計画にございます長期的な課題、これはなかなか世論の動向もございますし、いろいろ議論の分かれるところでございますが、そういうものを見ながら推進していくものもございます。そして、かつまた基本法ができたので、直ちに国民にこれだけの効果があったということを示す必要があるので、それに応じたような施策も講じていかなければいけないと思いますので、ひとつ閣僚の皆様方よろしく御協力のほどお願いいたします。

    (坂井副大臣)

    ありがとうございました。では、師岡議員お願いいたします。

    (師岡議員)

    連合の副会長をしております師岡でございます。

    私は、自治労の副委員長という立場も兼務しておりまして、ただいま福岡から単身赴任中でございます。

    働く女性の問題が、男女共同参画会議という中で議論をできるということを、私は大変うれしく思っておりますし、これは先ほどからいろんな御意見が出されておりますけれども、21世紀の日本の社会の枠組みをつくるということが、この参画会議の中の役割としても求められていることだと思っております。

    私がこの会議のメンバーになることを知られました皆様方から、大変な激励をいただきました。それだけにこの会議への期待と関心が大きいということが十分伝わりました。したがいまして、この間努力いただいた皆様方にも本当に感謝を申し上げたいと思っておりますし、基本法の中にも地方公共団体の果たす役割ということがきちんと明記されてございますので、私は両方の立場から、この会議の中でいろいろ問題提起もしていきながら、真の意味での男女共同参画社会をつくっていきたいという思いでございます。

    後ほど議論の時間がございますので、後の議論の中で提起させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

    (坂井副大臣)

    ありがとうございました。山口議員お願いいたします。

    (山口議員)

    山口でございます。財団法人市川房枝記念会に所属しておりますが、私どもの財団は自治省認可の唯一の女性の財団でございまして、民主主義政治のために政党に中立の立場で女性の政治的教養を高めるという仕事をしております。

    一方、私は1975年に国際婦人年連絡会ということで、全国組織のあらゆる領域の女性団体と連絡会をつくってまいりまして、国連に呼応して平等、開発、平和というところで超党派的にNGOの活動をしてまいりました。

    1975年の婦人問題企画推進本部ができたときは、本部員の方が全部男性の事務次官でいらっしゃいました。女性が一人もいないので、市川委員長を中心に私どもは、女性がこういう本部に入らないのはおかしいということで運動をしました。以後25年間続けている中で、やはり法律的にも制度的にも、きちんとした女性問題、男女平等参画と申しますか、法的な推進制度をつくっていただきたいということを長い間言い続けてきまして、今日このような形で発足いたしましたことを大変喜んでおります。

    今日のメンバーを拝見しておりますと、福田、河野、町村というお名前が書いてありますが、こういう大臣方のお父上を私は存じあげて、いろいろお願いしてきたことを考えると、我が身も随分年をとったもんだなという気がいたします。参画会議ができましたので、女性団体は攻撃型というよりも、政策提言型、政府に対するパートナーシップとして行動したい。国際婦人年連絡会もNGO行動目標というのをつくっております。参画会議に対し非常に期待が大きいので、私自身が押しつぶされないようにとり組み、参画会議ができてよかったなという、そういうものを実現していきたいと思っております。

    特にNGO活動ですが、先般、緒方貞子先生が退任されましたけれども、私どもは民間から緒方先生を国連総会政府代表に御推薦申し上げて、ときの外務大臣、総理大臣が認証されて、今や世界を駆け巡るお役をなさいました。大変それを誇りに思います。

    そういうことで、人材は女性たちの側にもたくさんあり、そういう人たちを発掘することが、これから21世紀をより一層活性化することではないかと思いますので、そういう面からも私なりの役割を果たしていきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

    (福田官房長官)

    どうもありがとうございました。私、官房長官の福田でございます。

    今日は記者会見があり、ちょっと時間が掛かりまして、大変冒頭失礼いたしましたけれども、この会議の議長を務めさせていただきますので、どうかよろしくお願いをいたします。

    こちらにいらっしゃる大臣、閣僚の方々は皆様方のパートナーとして、今、お言葉がございましたけれども、これからの会議で決めたことの実行役となる立場でございますので、どうかよろしくお願いしたいと思います。

    こちらの配列は一切の意図はございませんので、お断りを申し上げておきます。

    それでは議事に入ります前に、私の方から本会議設置の経緯について御説明申し上げます。

    本会議につきましては、総理のごあいさつにもありましたとおり、中央省庁等の再編に伴いまして、前身でございます男女共同参画審議会を発展的に継承する形で、内閣府に置かれる重要政策に関する会議の一つとして設置されたものでございます。御参考までに、皆様方のお手元に、これまで男女共同参画審議会において御議論をいただいたうち最近のものでございます、女性に対する暴力や男女共同参画基本計画に関する答申などを資料としてお配りいたしておりますので、議員の皆様方におかれましては、この審議会におけるこれまでの議論も十分に御参考いただき、更なる検討を進めていただければというように思っております。

    それでは、議事に入らせていただきます。

    初めに、男女共同参画会議運営規則についてお諮りいたします。

    まず、お手元の資料に沿って私の方から概要を御説明いたします。

    議事についてですが、第3条「会議を欠席する議員は、代理人を会議に出席させ、又は他の議員に議決権の行使を委任することはできない」

    審議の内容等の公開につきましては、第6条「議長は、会議における審議の内容等を、会議終了後、遅滞なく、適当と認める方法により、公表する」

    第9条「会議の議決により、専門調査会を置く場合は、専門調査会に会長を置き、議長の指名する者がこれに当たる」などが大事なところでございます。

    いかがでございますか。

    (「異議なし」と声あり)

    (福田官房長官)

    ありがとうございました。

    それでは、男女共同参画会議運営規則につきましては、原案のとおり決定することといたします。

    次に男女共同参画会議の今後の審議方針につきまして、これから御審議をいただきたいと存じます。

    本会議における当面の審議事項としては、先ほどの総理のごあいさつで御指摘がありましたとおり、仕事と子育ての両立支援策に関する検討や、女性に対する暴力に関する問題のほか、男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視及び政府の施策が男女共同参画社会の形成に及ぼす影響の調査、積極的改善処置、選択的夫婦別姓に関する問題など、さまざまな問題があると考えられます。

    これらに関しまして、まず有識者議員の方々から御自由に御意見をいただきたいと思うのでありますけれども、どうぞよろしくお願いをいたしたいと思います。

    どうぞお願いいたします。

    いかがでございますか。

    (古橋議員)

    まず、専門調査会の関係について2点ほど申し上げたいと思います。基本法の中に政策決定過程に対する枠組み機構として、この会議という体制が設けられたということは、一つは政策の総合性、あるいは効率性を確保するということと、国民の信頼を得ながら、国民の意見を反映しながらこの政策を推進していくということのためであると私は理解いたしております。

    そのために有識者議員は、この会議におきましても、10分の5以上でなければならないというのが、規定の中で設けられているわけでございます。したがいまして、この有識者の意見や要望というものを、できるだけ関係閣僚に聞いていただいて、それを実施していくということがこれから大変大きくなると思いますけれども、いまだこの男女共同参画社会の形成というのは、先ほども申し上げましたように、ある程度の理念とか、計画というものはできましたけれども、具体的な段階に入ってまいりますと、まだまだ意見の対立があるということもございます。

    そしてまた、今度は新しい委員の方もおられましたし、また閣僚の方々はなかなかお忙しいということもございますので、先ほど岩男委員が言われたと思いますけれども、この有識者だけの間でいろいろと意思の統一をし、議論をしていくという場を是非設けていただきたいというのが、第1点でございます。

    第2点目は、専門調査会でございますけれども、恒常的な専門調査会と、アド・ホックな専門調査会というものを分ける必要があるのではないか。この基本法の会議に関する規定の中には、政策を推進することを監視する部分と、それから政策をつくる場合の影響調査の部分があるわけですけれども、こういうものは法律に書いてある事項でございますので、こういう事項については恒常的な専門調査会として是非つくっていただきたいと思います。

    先ほどの仕事と子育ての両立というような問題は、これはもう既にこの計画の中にも入っておりますし、政府においても新エンゼルプランというようなものが既に策定されておりますので、先ほどの総理のごあいさつにもございますけれども、なぜそれがうまくいっていないのか。また、今まで各種審議会において、これに関係して提言されていた事項というのはどういうものがあって、それがまだなぜ実現されていないのか、そして更に追加すべき施策があるのかないのか、そういうものについて早急に検討をして、優先順位を付けて、それの行程表を付けていくこと、すなわちどういうふうに実施していくか、どういう準備段階でやっていくかというようなことをやる調査会というものを是非つくる必要があると思いますので、ひとつよろしくお願いをいたしたいと思います。

    2番目に、官房長官へのお願いでございますけれども、先ほど猪口議員からも言われたと思いますけれども、この男女共同参画社会の形成は御案内のように、基本法が国会において、21世紀の最重要課題ということで前文が付いて、そして全会一致をもって議論されたもので、大変重要なものだと思っております。

    しかしながら、これを実施していくということにつきましては、まだまだいろんな反対意見もございますし、いろいろな難しい問題があると思います。各省庁間の調整、あるいは各省庁の中の反対意見というような問題に対して、お互いの間で議論を詰めていくと、そのときに最終的にはやはり決断が必要になると思いますけれども、そのときに内閣のかなめである官房長官、そして各省庁ににらみが利く官房長官に是非この担当大臣をやっていただきたいと思います。これは今までの審議会における提言の中にずって書いてありますので、ひとつその点はよろしくお願いをいたしたいと思います。

    更にまた大変お忙しいところ恐縮なんでございますけれども、担当大臣である官房長官と我々有識者との間において、この問題について議論する場というものを是非設けていただければ大変幸せでございます。以上です。

    (福田官房長官)

    ありがとうございました。猪口議員。

    (猪口議員)

    今回、やはり内閣府の中で、この会議を開催していただけることになりましたので、目に見える結果をかなり出していただきたいと思うのです。精力的に仕事が進んでいるという実感を得たいと思います。

    そこで、行革会議の基本的な考え方の中に、政策評価をやっていくという考え方がございます。今までは、政府がやることは、大体において正しいのではないかという見方が強く、本当にその政策は結果をもたらしたのか、どう評価できるのかという観点が必ずしも明確ではなかったのですが、行革会議の中でもすべての分野の政策について、政策評価を行うという考え方が出てきました。ですから、是非この分野につきましても評価をしていく。こういうことをやったではなくて、その結果どういうふうに改善が実際に出たのかということを見ていくという基本的なスタンスを取っていただければと思います。

    例えば、できることならばそれを数値化して、どのくらいの進歩があったか、発展があったかを見ることができればいいと思うんです。

    例えば、国連がジェンダー・エンパワーメント・メジャーという、大ざっぱではありますけれども非常に総合的な指標が国連にあります。日本は、社会発展に関するその他の項目ですと世界の3位や4位と非常に高い水準なんですが、このジェンダー・エンパワーメント・メジャーになりますと38位で、ロシアは抜いたとしてもG7の中でも最下位ですし、日本より高く位置しているところで、例えば南アフリカとかバハマとかキューバとかエクアドルとかコロンビアとかいろいろございます。その指標の取り方等若干の改善が必要な面もあるかもしれませんが、そういうことも含めて提案できればよろしいと思います。

    それから、私が期待したいのは、例えばこれから何年掛ければ、このランクを10ランク上げることができるのかということです。38位じゃなくて28位にもっていくためにはあと何年ぐらい掛かるのか、やはりそういう中期目標を立てて、そしてすべての政策はその達成度において評価していただきたいということです。すべての道は、結果的には女性の立場が、国際的に見ても日本は先進国として非常に高い水準ではないかと言われるように、その指標につながる結果を得たいということなんです。

    勿論数量化できない部分もあります。ただ、指標化できる部分もあり、それについては評価がやりやすいので、先生方お忙しいのですけれども、でもその数字をフォローするには1分しか掛かりませんので、どのぐらいの達成度があるのかという形で、是非結果がオーライになるようご指導していただきたいということなのです。まず中期目標を立て、政策は達成度において評価されるという形に持っていっていただきたいと思います。

    例えば、今、総理がお話しくださいました子育て支援につきましては、全国の保育園で定員割れしているところもあるのですけれども、3万人ぐらいの待機児童がいるわけです。ですからこれを、では何年掛けたらほとんどゼロに持っていけるのか、あるいは、1万人程度にまで持っていけるのかということを、まず中期目標を立てていただいて、そしてそれは、例えば1年後においてどのぐらい達成できたのかということをチェックしていただき、何をやったというのではなくて、こうすると結果がよくなるということを、是非この内閣府における基本的な政策手法にしていただければと思いますので、いろいろと突破口をつくっていただきたいと思います。

    そして、子育て支援につきましては、定員が余っているところは、専業主婦の子どもも一時保育などで預かっていただければと思います。第2子、第3子を育てるためにも、上の子を預けることができれば、余裕が生まれるということもあったりします。ですから、地域の実情に応じて新しい工夫をすることも必要ですし、また数量化して達成度をだれでもがチェックできるという部分については、できるだけそういう方向に持っていっていただくと。そういうことをお願いをしたいと思いますので、政策手法として、リーダーシップを持って私たちを指導していただきたいと思います。どうぞ官房長官よろしくお願いいたします。

    (福田官房長官)

    ありがとうございました。今の件につきましては、総務大臣がいろいろ発言したいところだと思うけれども、今日は有識者の方々の御意見を伺うということにいたしますので、後日よろしくお願いいたします。

    それでは、師岡議員お願いいたします。

    (師岡議員)

    取り組みを進めるということに関しましては、トップでいらっしゃる皆様方の決断によるところが非常に大きいのではないかと思っております。基本計画は、10年間ということで既に策定されておりますけれども、その中で当面優先すべき課題として、私どもの関わっております雇用、労働関係について、少し意見を述べさせていただきたいと思います。働く女性が増えているということについては、状況としてあるわけでございますが、差別を解消して男女平等な雇用の場を確立するということに対する課題は、極めて幅広い課題だと思っております。

    1つは、家庭責任は女性が担うという、固定的な役割分担意識や社会の慣行が非常に根強くございますし、結婚や出産、育児などで仕事をやめる女性労働者は、相変わらず多いわけでございます。女性が働き続けることのできる環境をつくっていかなければならないと思っております。

    一方の家族的責任を担えない立場にある長時間労働や転勤、こういった仕事一辺倒の今の男性の働き方、これを改めるということが非常に要素としては大きいと思っております。

    また、税政改革や社会保障の関係、こういったことについても見直しを行うべきであるというふうに思っているところでございます。

    2つ目は、今、パート労働者や派遣労働者が大変増えているわけでございますが、この方たちの不安定な雇用と低い労働条件、そして不十分な社会保障の改善ということが求められると思っております。

    3点目になりますが、あらゆる社会の意思決定機関への女性の参画については、特に、国や地方での女性の公務員の管理職等への登用を積極的に行いながら、社会全体をリードしていかなければならないと思うわけです。これは、先ほども出ておりますけれども、少子高齢化への対応とも関わる、非常に喫緊な課題であると受け止めているところでございます。

    これまでも、議論が尽くされてきたことかと思いますけれども、もう少し具体的に申し上げてみますと、1つは職場における平等確保の問題につきましては、男女雇用機会均等法がありますけれども、これを遵守をするということが非常に大事であると思っております。なかなかこの問題が職場の中で定着をしないという状況を、何とか克服しなければならないと思いますし、男女間の賃金格差も一向に解消されないということがあるわけです。

    この基本法の中にも間接差別を盛り込むべきだという意見があったかと聞いておりますけれども、こういった間接差別の禁止に向けての検討や、母性権利を行使した場合にそのことが差別とならないこと等も、この中で取り上げて進めていくべきことだと思っております。

    民法改正の問題は、先ほど出されましたので、割愛させていただきます。

    2点目になりますけれども、増えております正規労働者とパート、派遣労働者との均衡待遇の問題です。日経連の今年の研究報告の中にも多様な働き方というのが記載されてございました。これは、女性や高齢者、障害を持つ人が働くという立場からしても、私は評価ができると思っておりますけれども、その働き方の中身を何としても検討していかなければならないのではないか。賃金や労働条件、処遇面での均等待遇確保ということは、今、多様な労働力ということから考えてみても重要なことであると思っております。雇用保険や社会保険加入要件、こういったことも基本法の理念にかかわる問題だと思っております。税制の問題も先ほど申し上げられておりました。

    この後、仕事と家庭生活の両立支援については、専門調査会のお話しがございますので、割愛させていただきますけれども、是非こういったことを優先課題として選考しながら、この会議の中で取り上げて御議論いただきたいと思っております。

    (福田官房長官)

    ありがとうございました。岩男議員、お願いいたします。

    (岩男議員)

    仕事と子育ての両立支援ということで、女性のための施策というようなニュアンスが大変強いと思っているんですけれども、一言だけ申し上げたいと思うんです。実は日本の社会を活性化するというか、日本を経済的にも元気づけるためには、このグローバライゼーションの世の中で、大きなリスクを取って競争ができるような社会にしなければいけないわけで、もし男性が家族を全部自分の肩に背負い込んでいるとすれば、とても大きなリスクなんか取れないと思うんです。ですから、男性のためにも一家に2つの財布がないととても安心できないという、そこをやはり強調して、そういうスタンスで、だれでも望む人が生き生きと働ける社会をつくるという、そうしないと日本の経済的な再活性化というのも非常に難しいという、そこを十分に考えていただきたいというふうに思います。

    (福田官房長官)

    どうもありがとうございます。では、住田議員お願いします。

    (住田議員)

    この会議の最初で数値目標の話がございましたが、基本法におきましても、積極的改善措置でポジティブアクションが定められましたのに、このGEMの結果というのは非常に大きな問題であります。それに対しては日々監視して調査していただきたいということが一つです。

    その裏腹として、基本法という入れ物が今回できましたけれども、肉付けする意識、ソフトの部分というが非常に大事かと思っております。その意味でいきますと日本は、例えば先ほどの性別役割分担意識、男は仕事、女は家庭という考え方について、欧米諸国はおかしいというのが8、9割ですけれども、日本はようやく5割ぐらいをうろちょろしていると、こういう意識の問題があります。

    それから、女は家庭の中で、子どもは3歳まで母親が育てなくてはならないという、いわゆる母性神話、これもほかの国ではどんどん変わってきております。確かにこれまでは正しい、ないしは常識であったと思われていたものも、21世紀変わってくるかと思います。そういうふうなきめ細かな部分も含めて考えていただきたい。

    最後に、最後の審議会のときに申し上げましたが、審議会において、男女共同参画関係の予算の御説明にきていだたく省庁が、法務、警察、外務、農林、そして労働、厚生と、限られたところでございました。今回、内閣府の中の会議で全省庁の大臣がお越しいただいておりますので、各省庁におかれまして強力なリーダーシップの下で、男女共同参画の視点を持って政策を立案いただけますことを心から期待しておりますのでよろしくお願いいたします。

    (福田官房長官)

    ありがとうございました。原議員よろしくお願いいたします。

    (原議員)

    手短に申しますが、先ほど古橋議員がおっしゃいましたように、専門調査会は恒常的なものと、課題によっては例えば6か月とか、ときには3か月というのがあるかもしれませんし、1年というのもあるかもしれませんが、そういうものを臨機応変につくっていただきたい。

    その専門調査会の委員の中には、例えば仕事と子育てというところでは、いわゆるお仕事を持っていないお母さんの立場にいらっしゃる方も、今、産むか産まないかを考えている方々もメンバーに入る。それは拡大の会議になるかもしれないけれども、やはり多様な当事者に入っていただいて一緒に考えていただくということが大事かと思います。

    子育てだけではございませんで、影響評価などでも、言うなればおじさん、おばさん、ないしはおじいさん、おばあさんが見る評価と、若い方がこれからの日本を担うという気持ちで、行政政策の在り方を見る見方は、視点が異なるかもしれない。そういうところで、先ほどから世代間の問題というのが出ていますが、是非若者の参画を進めるべきです。

    国連の会議でも、ご存じのようにこのごろは若者の発言をずんずん受け止めていくという動きになっているものもあります。3月の国連の女性の地位に関する委員会で、日本の施策に関しての報告をして、世界の各国の人たちがそれを見詰めるというのがございます。そういうこともちょっと頭におとめいただきまして、なるべく今度の3月の国連での日本政府代表の方の御報告に、このようにやり始めているんだということが御発言いただけるような、姿勢を示していただけるように、私どもも一緒に考えたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

    (福田官房長官)

    ありがとうございました。では、神田議員お願いいたします。

    (神田議員)

    私は教育を専門にしておりまして、女性学、教育社会学、社会教育学にまたがり研究をしております。仕事と家庭の両立ということでいろいろな施策が行われておりますが、なかなか進まないという根底には、社会的な文化基盤というのでしょうか、そういうものが依然として性別分業を支持するような性格を持っていることが影響していると考えられます。それを変えていくために、教育、学習が非常に重要でございまして、先ほど住田議員がおっしゃられたように、ハードの面もさることながら、教育の内容をどうしていくのか、どう変えたらいいのかということが重要かと思います。

    最近女性の4年制大学への進学率が上がってきております。この女性たちは、結婚・育児に関係なく生涯にわたって職業を継続する生き方を志向しています。しかし、いろんな障害があって職業を継続できない人も多いのが実状です。女子学生自身がこの実状を深く理解するだけでなく、もう一歩進んで解決への社会的青写真あるいは地図、プログラムを作るような教育が必要だと思っております。

    大学教育だけでなく、学校教育全体で女性の職業の位置付けを明確にする教育を重視する必要があります。社会教育領域でも同様ですが、さらに男女共同参画社会を創っていく力をつける学習や活動を推進する条件整備などの施策は今後さらに重要になりましょう。

    (福田官房長官)

    ありがとうございました。ちょっと時間の関係もございますので、あともう一方、では小島議員にお願いいたします。

    (小島議員)

    共同参画と言いながら男性が余り黙っているのもあれですから、ちょっとフットノート的ですが。

    先進国も軒並みみんな出生率が下がっているわけです。しかし、国によっては、あるところまで下がって上がってきた国があると。

    それから水準では日本より低いところに、例えばドイツが日本より少し低く、イタリアがもっと低いんです。日、独、伊と言うと、何か聞いたことのある組み合わせが低いのですが、それはある社会学者によりますと、男性中心社会が限界にきたと、恐らく高度成長期にもう男性を中心に、しゃにむに働いて実績が出てきたんでしょうけれども、経済、社会が成熟すると違う機能が必要になってくるというところかもしれません。

    2点目は、私が尊敬している学者にピーター・ドラッカーさんという人がいるんですが、彼は絶えず人口問題を議論していまして、日本についても先進国についても、今の出生率を放ったらかしにしたら、国家、社会としたら集団自殺になると。アメリカはそれを移民その他で解決したが、移民で十分対応できないとすれば、出生率そのものをどう対応するのかというのが国の長期的な大問題だと。振り返ってみると戦後50年間、日本の人口というのは毎年平均100万人ずつ増えたんです。これから50年間50万人ずつ減り続けるわけです。非常にこれは大事な長期問題だと思います。

    第3点、最後ですが、この問題は社会の意識というか価値観とか、そういうものに根差した問題ですから、意識改革みたいなものを進める必要があると思います。その手段として、例えばいろんな意識調査みたいなものを行うことがあり得るかもしれません。意識調査をして、問題の所在がどこにあるかということをこちらで確認して施策を考えるという点と、それから問題意識があったときに調査その他を通じて、国民に新しい価値を浸透させるという効果があると思います。

    例えば、高度成長初期、中期の世論調査、意識調査を見ますと、女性の方々は本当は子どもはこんなにいらないんだけど、実は3人、4人、5人とできちゃったという時代がありました。ごく最近の意識調査を見ますと、実は独りっ子しかいない。だけど本音では条件さえ整えばあと1人、2人欲しいんだという数が多いんです。潜在的な意識があって、しかしその条件が整えばというところが問題で、それがどういう条件なのかということを探るのも重要だという感じがします。

    (福田官房長官)

    ありがとうございました。時間の関係でまだ御意見を伺っていない方もいらっしゃるんですけれども、この辺で打ち切らせていただきたいと思います。

    ただいまの御議論なども踏まえまして論点を整理しまして、次回の会合において会議の審議方針を決定いたしたいと思っております。

    その際、重要事項及び専門的な知識を必要とする事項につきましては、専門委員及び専門調査会の設置も含め検討したいと思いますけれども、よろしゅうございますか。

    (「異議なし」と声あり)

    (福田官房長官)

    ありがとうございました。

    それでは次に、先ほどの総理のごあいさつにより、当会議は早急に検討すべき事項として御指示がございました、仕事と子育ての両立支援策の検討方法についてお諮りをいたします。この仕事と子育ての両立支援策につきましては、専門的な事項を含めて検討する必要がありますことから、男女共同参画会議令第1条第1項及び第2条第1項に基づきまして、専門委員及び専門調査会を設置して検討をいただくことといたしたいと思います。

    いかがでございましょうか。

    (「異議なし」と声あり)

    (福田官房長官)

    ありがとうございました。

    ありがとうございます。

    次に、この仕事と子育ての両立支援に関する専門調査会の委員についてお諮りをいたします。専門調査会の委員につきましては、男女共同参画会議令第1条第2項及び第2条第2項に基づきまして総理から専門委員を任命していただき、これを受けて私が専門委員及び議員のうちから専門調査会の委員を指名し、早急に検討開始することといたしたいと思います。

    具体的な人選につきましては議長に一任していただくこととし、総理ともよく相談の上、決定いたしたいと思っておりますが、よろしゅうございますでしょうか。

    (「異議なし」と声あり)

    (福田官房長官)

    ありがとうございました。

    ありがとうございます。

    それでは、仕事と子育ての支援に関する専門調査会に関しましては、申し上げたとおり決定することといたします。

    以上をもちまして、本日の男女共同参画会議は終了いたしますが、運営規則第6条の規定に基づきまして、会議終了後、私の方から会議の開催等に関しまして記者発表することを予定いたしております。その際、本会議の資料につきましては公表することといたしますけれども、よろしゅうございますか。

    (「異議なし」と声あり)

    (福田官房長官)

    どうもありがとうございます。

    それでは申し上げたとおりの扱いとさせていただきます。

    なお、後日あらかじめ発言者の確認を得た上で、発言者名を明記した議事要旨を公表することといたしたいと思っておりますので、出席議員におかれましては、それまでの間は自らの発言を除きましては、対外的な公表は慎重に取り扱われるようにお願いいたします。次回の会議は、仕事と子育ての両立支援策につきまして、専門調査会から中間的な検討状況について説明を受け、更に御議論を進めていただきたいと思います。

    また、その他の事項につきましても、今後の審議方針等につきまして御審議いただきたいと考えております。

    開催日時及び場所等、詳細については別途御連絡をいたします。

    これで終了でございますが、本日は大変ありがとうございました。どうぞまたよろしくお願いいたします。