第3節 様々な分野における女性の参画

本編 > 1 > 第1章 > 第3節 様々な分野における女性の参画

第3節 様々な分野における女性の参画

(着実に増加する司法分野における女性割合)

裁判官に占める女性の割合は,女性の新任判事補採用者数の増加に伴い着実に増加しており,平成25年では18.2%となっている。なお,26年4月1日現在,女性3人が最高裁判所の裁判官に任命されている。

検察官,弁護士についても,平成25年の女性の割合がそれぞれ14.9%,17.7%となっており,着実に増加している。

司法試験合格者に占める女性割合は,年によって差があり,平成25年度の司法試験については23.3%である(1-1-12図)。また,法曹養成に特化した教育を行う専門職大学院である法科大学院において,女子学生の割合は27.6%(平成25年5月1日現在)と約3割を占めていることから,今後の司法分野での女性の参画拡大が期待される。

1-1-12図 司法分野における女性割合の推移 別ウインドウで開きます
1-1-12図 司法分野における女性割合の推移

▲CSVファイルCSVファイル

(農山漁村における政策・方針決定過程への女性の参画)

農林水産業に従事する女性は,それぞれの産業の重要な担い手であるとともに,地域社会の活性化に大きく貢献している。

しかしながら,農業委員会,農業協同組合,沿海地区出資漁業協同組合等,地域における政策・方針決定過程への女性の参画は徐々に増加しているものの,その割合は低く,女性役員のいない農業委員会は,平成24年度は666(38.9%),農業協同組合は23年度は321(44.4%)ととなっている(1-1-13図)。

1-1-13図 農業委員会,農協,漁協への女性の参画状況の推移 別ウインドウで開きます
1-1-13表 農業委員会,農協,漁協への女性の参画状況の推移

▲CSVファイルCSVファイル

(メディアにおける女性の参画)

新聞や放送等のメディア分野における女性の参画は,提供する情報の内容が偏ることを防止したり,性・暴力表現に関する有効な対策等,メディアが自主的に女性や子どもの人権に配慮した表現を行うなどの取組を進めていく上で重要な役割を果たすものと期待されている。

新聞及び放送業界における女性の参画状況について見ると,新聞・通信社等,日本放送協会の全従業員に占める女性の割合,新聞・通信社等の女性記者の割合,民間放送,日本放送協会の女性管理職の割合は,全体として徐々にではあるが増加しており,平成25年における全従業員に占める女性の割合は,それぞれ,新聞・通信社等は15.3%,民間放送は21.0%,日本放送協会は14.7%となっている(1-1-14図)。

1-1-14図 各種メディアにおける女性の割合 別ウインドウで開きます
1-1-14図 各種メディアにおける女性の割合

▲CSVファイルCSVファイル

(国際的に見ても低い水準にある我が国の状況)

以上のとおり,政策・方針決定過程において「指導的地位7 」に占める女性の割合は緩やかに増加しているものの,その水準は依然として低く,政府が定める「2020年30%の目標」を達成していないものがほとんどである(1-1-15図)。

1-1-15図 各分野における「指導的地位」に女性が占める割合 別ウインドウで開きます
1-1-15図 各分野における「指導的地位」に女性が占める割合

▲CSVファイルCSVファイル

7「指導的地位」の定義:(1)議会議員,(2)法人・団体等における課長相当職以上の者,(3)専門的・技術的な職業のうち特に専門性が高い職業に従事するものとするのが適当(男女共同参画会議決定(平成19年3月14日))。

また,国際的には,2013(平成25)年に国連開発計画(UNDP)が発表した「人間開発報告書」によると,我が国は,人間開発指数(HDI)が測定可能な187か国中10位であり,ジェンダー不平等指数(GII)は測定可能な148か国中21位となっている。一方,世界経済フォーラムが2013(平成25)年に発表したジェンダー・ギャップ指数(GGI)は,測定可能な136か国中105位となっている。

GGIの順位はHDIやGIIの順位に比して著しく低くなっており,我が国は,人間開発の達成度では実績を上げているが,人々が政治・経済活動に参画し,意思決定に参加する機会においては,諸外国と比べて男女間の格差が大きいと分析されている(1-1-16表)。

1-1-16表 HDI,GII,GGIにおける日本の順位 別ウインドウで開きます
1-1-16表 HDI,GII,GGIにおける日本の順位

▲CSVファイルCSVファイル

コラム6 指導的地位に就く女性の増加に向けた男性リーダーの取組(オーストラリア)

(注)

HDI 人間開発指数(Human Development Index)

国連開発計画(UNDP)による指数で,「長寿で健康な生活」,「知識」及び「人間らしい生活水準」という人間開発の3つの側面を測定したもの。具体的には,出生時の平均寿命,知識(平均就学年数及び予想就学年数),1人当たり国民総所得(GNI)を用いて算出している。

GII ジェンダー不平等指数(Gender Inequality Index)

国連開発計画(UNDP)による指数で,国家の人間開発の達成が男女の不平等によってどの程度妨げられているかを明らかにするもの。次の3側面5指標から構成されている。

【保健分野】・妊産婦死亡率 ・15〜19歳の女性1,000人当たりの出生数

【エンパワーメント】・国会議員女性割合 ・中等教育以上の教育を受けた人の割合(男女別)

【労働市場】・労働力率(男女別)

GGI ジェンダー・ギャップ指数(Gender Gap Index)

世界経済フォーラムが,各国内の男女間の格差を数値化しランク付けしたもので,経済分野,教育分野,政治分野及び保健分野のデータから算出され,0が完全不平等,1が完全平等を意味しており,性別による格差を明らかにできる。具体的には,次のデータから算出される。

【経済分野】・労働力率 ・同じ仕事の賃金の同等性 ・所得の推計値 ・管理職に占める比率 ・専門職に占める比率

【教育分野】・識字率 ・初等,中等,高等教育の各在学率

【保健分野】・新生児の男女比率 ・健康寿命

【政治分野】・国会議員に占める比率 ・閣僚の比率・最近50年の国家元首の在任年数