男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成14年7月22日(月) 13:30~16:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室

(開催要旨)

  • 出席者
    会長
    岩男 壽美子 武蔵工業大学教授
    会長代理
    八代 尚宏 (社)日本経済研究センター理事長
    委員
    北村 節子 読売新聞社調査研究本部主任研究員
    住田 裕子 弁護士
    高橋 和之 東京大学教授
    竹信 三恵子 朝日新聞企画報道部記者
    寺尾 美子 東京大学教授
    樋口 恵子 東京家政大学教授
    古橋 源六郎 (財)ソルトサイエンス研究財団理事長
    山口 みつ子 (財)市川房枝記念会常務理事

(議事次第)

  1. 開会
  2. 女性のチャレンジ支援について
  3. その他
  4. 閉会

(配布資料)

資料1
女性のチャレンジ支援策中間まとめのイメージ(案) [PDF形式:17KB] 別ウインドウで開きます
資料2
「女性のチャレンジ支援策」基本問題専門調査会における主な議論 [PDF形式:324KB] 別ウインドウで開きます
資料3
第11回男女共同参画会議基本問題専門調査会議事録(案)
資料4
第12回男女共同参画会議基本問題専門調査会議事録(案)
岩男会長
それでは、定刻になりましたので、ただいまから男女共同参画会議基本 問題専門調査会の第14回会合を開催させていただきます。
 本日は、9月に予定しております中間まとめに向けて議論を深めていきたいと考えて おります。
 それでは、資料1の「女性のチャレンジ支援策中間まとめのイメージ(案)」を中心に 現在までの議論の論点等について事務局から御説明をいただいた後に御議論をいた だく形で進めたいと思っております。
 それでは、まず事務局から御説明をお願いをいたします。
村上課長
では、前回第13回までの検討内容及び前回調査会の後日いただいた 先生方のご意見を踏まえ、全体にわたり論点を御説明をさせていただきます。資料1 の中の「II.2.具体的検討内容」についての論点と思われる点を中心に御説明いた します。
 「II.1.基本的考え方」としては、構造改革とチャレンジ支援、どのようなチャレンジ かといった内容と国際的に見てどうかということも中間とりまとめでは指摘していきたい と考えております。
 それから次に「II.2.具体的検討内容」のところですが、各企業がポジティブ・アク ションを積極的に推進するための対策の強化が必要というご意見がありました。ポジ ティブ・アクションの積極的な推進及び一層効果あるものとするために、諸外国におい ては男女の雇用管理の状況を報告させるというような例があるので、こういった諸外国 の諸制度を参考にしつつ、法制面を含めた手法の検討を行う。
 それから、公正な評価の徹底を推奨することや、各社がベンチマークとして活用でき るよう、業種、規模ごとの女性の活躍状況、好事例など、目に見える形の情報の収 集、提供、また、表彰や、女性のチャレンジの度合いと企業業績の関係について調査 研究を推進し周知すること、社外取締役を含め、企業の役員に女性の登用を進めるた めの好事例の収集ということ等も検討できるのではないか。
 次に、新たな支援策として、公契約及び補助金の交付の際における新たな支援策を 検討してはどうか。男女共同参画推進状況の報告を求めている地方公共団体の特色 ある取組に期待する。国においては好事例を紹介することや、地方公共団体における 取組を一層効果的なものとするための新たな支援策を検討する。その際、客観的で透 明性の高い評価手法の検討が必要でございます。例えば、入札参加の登録要件とし て障害者雇用比率を採用している地方自治体などの例が参考になります。一部の地 方自治体では、障害者雇用比率の状況を考慮しているということですが、それと同様 に、ポジティブ・アクション計画の策定の有無などの状況を新しい要件として加えては どうかということが考えられます。計画を策定しているかどうかということを聞いて、策 定していれば加点するというのは非常にわかりやすい指標ではないかということです。
 それから「<2>新しい分野へのチャレンジ」でございますが、そのチャレンジ支援策の 方向性として女性の起業に対する支援として、女性が起業するための専門的知識、行 政の支援策、好事例等総合的な情報提供を充実することが考えられる。まず、情報が 十分必要な人に渡っていないんじゃないかという問題があります。その他、SOHO・テ レワーク支援、女性起業家に対する低利貸付制度など、起業支援に関する各省庁の 取組を一層推進するということや、「女性と仕事の未来館」等支援機関のセミナーや相 談や協力ネットワーク等の起業支援を一層充実する。また、起業家に対する統計が乏 しいということもあるので、起業家支援に資するような調査を行うことや、米国、韓国を 始め他国で成功している事例を調査し、情報提供を行うというようなことが考えられま す。
 次に、NPOで活躍する女性への支援です。再参入というようなこともかんがみるとN POは新しい分野として重要であります。それで、女性がNPO等で活躍できるよう情報 提供の充実、NPO活動促進のためのNPO税制の認定要件の見直しの検討をする必 要がある。好事例の情報収集や研究、情報提供を行うこと、保健・医療・福祉分野を はじめ、NPO法人は将来就業機会の拡大の可能性が高いので、NPO法人の活動促 進のためにNPO税制の認定要件の見直しを検討するということが考えられます。
 3つ目として、女子学生、女子生徒のチャレンジ支援として、進路指導、職業指導、 適職選択の支援、職業体験機会の充実も考えられます。
 それから、多様な働き方への支援として、多様な働き方の選択肢として短時間正社 員制度の導入支援や有期雇用契約、裁量労働制の見直しの検討、すなわち子育て や介護等、女性のライフステージに応じて多様な働き方を行き来できる連続的な仕組 みの構築、再チャレンジとして補助的なパートから入職しても意欲や能力に応じて短 時間正社員、フルタイム正社員に移れるような仕組みの構築が重要ではないかと考 えています。
 これに関連しまして、厚生労働省はパートタイム労働研究会の最終報告を出してお ります。
 次に、5つ目として、チャレンジ支援のためのネットワーク等環境整備ということで、再 チャレンジしたい女性やキャリアアップしたい女性、起業したい女性が効率的に必要な 情報を得られるように、関連情報のワンストップサービス化、ネットワーク化を促進して はどうか。具体的には、ヌエックや女性と仕事の未来館など、いろいろ機関がございま すので、それぞれの特色を生かして関連事業において緊密な連携・協力をする必要が ある。また、地域においても女性のチャレンジのために必要な職業紹介、職業訓練な どの情報をハローワークや女性センター、それから苦情処理機関や支援NPOなどが 協力して効率的に提供していくことが重要であり、これがネットワーク化されて地域に おける女性のチャレンジ支援の拠点として活用されるよう、各府省、地方自治体との 連携協力が必要でないか。
 そして、「<3>再チャレンジ支援」について。支援策の方向性としましては、再チャレン ジ支援のための総合的な情報提供の充実を図るため、関連機関の連携・協力を促進 すること、関連情報のワンストップサービス化、ネットワーク化というのがここでも重要 であろう。それから、再チャレンジを望む女性を勇気付けられるようなチャレンジのモデ ルの提供が必要である。
 また、女性の就業につながるような大学・職業訓練施設等における再教育の機会を 拡充することを促すということで、就業につながるようなプログラムが必要ではないか。 その際、意欲と能力のある人が教育を受けられるような奨学金や教育ローンなどの一 層の利用促進、充実というようなことが考えられるのではないか。
 それから、中長期的により大きく、日本の雇用システムとして、年齢に関わりなく働 ける社会の実現が重要である。雇用対策法に基づく指針の指導の徹底が必要だが、 そのほか中長期的には法律によって例えば年齢上限の設定を行う企業に対してはそ の理由を説明する義務を課する、あるいは年齢制限そのものを禁止することについて も可能性を検討すべきではないか。
 次に、「<4>農林水産分野における女性のチャレンジ支援」について、政策・方針決定 の場への参画促進、農業経営への参画促進、起業などによる経営の多様化について 考えられるのではないか。
 大きな構成の2番目として、「(2)企業へのよびかけ」で女性の能力や多様性を活用す るマネージメントができる企業は活性化する。企業収益を上げるためにも、男女間にお ける格差をなくすべきではないか。あるいは、男性も女性も男性一般、女性一般という ことではなくて一人ひとりが中身で評価される新しい企業文化をつくっていくことが必 要である。それからダイバーシティーを踏まえたマネージメント、社会的責任投資の視 点が考えられるのではないか。「(3)国民へのよびかけ」では「ガールズ・ビー・アンビ シャス」、「女性の元気は男性のゆとり、社会の活気」、自分自身の個性、能力を伸ば していくようなチャレンジングな気持ちと強さを持つことが大事である。
 それから、「(4)その他」としては活躍する女性を顕彰するなど、女性の活躍を更に促 進するような企業や団体などの活動を推奨することが考えられる。
 それから、ご参考に「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2002」、これは閣 議決定しましたいわゆる第2骨太と言われているものでございます。この中にも、「高 齢者、女性、若者等がともに社会を支える制度の整備」のところで、男女共同参画社 会を構築し、女性が働くことが不利にならない制度設計にするということが書かれてい ますし、厚生労働省は有期労働契約や採用労働制の見直しということが書いてござい ますし、募集・採用における年齢制限廃止努力の徹底などが書かれています。また、 「男女共同参画会議は、女性の個性や能力が活用されるようなチャレンジ支援策を平 成14年度中に取りまとめ、企業等における女性の能力発揮のための積極的取組の推 進等を図る」と書かれていますし、「テレワーク、SOHOなどの多様な働き方を支援す る」こと、「厚生労働省は、企業による離職者の再就職支援システムや、官民による労 働力需給調整機能の強化など、離職者の再就職インフラを強化する」というようなこと が書かれております。
 また、「雇用政策の課題と当面の展開」という厚生労働省雇用政策研究会において も、多様選択可能型社会の実現に向け個人の新たな挑戦を支援する政策展開、これ は非常に大きな労働市場の動きについての分析と提言でございますけれども、これも これまで御意見のあったようなことと同じ方向で議論がなされています。
 それから、その次に先ほど御紹介しましたパートタイム労働研究会最終報告では、 再チャレンジについて議論されているのと同様の方向性が出ております。以上でござ います。
岩男会長
ありがとうございました。いろいろな研究会その他からちょうどここで検討 していることとうまく呼応するようなものが出ているので大変心強く、私たちも大いに頑 張らなければということだと思っております。
 それでは、少しずつ時間を区切りまして御議論をお願いをしたいと思います。まず、2 の「具体的検討内容」の1の<1>の「意欲と能力がある女性が活躍できる職場づくり- 上へのチャレンジ」について大体15分ぐらい御議論をお願いをしたいと思います。
住田委員
この阻害要因の中で私は今まで言っていなかったと思うんですけれど も、女性を使うというとアリバイ的に1人だけ入れて、それだけでもう事足れりとすると いうことが多くて、結局数としても増えない。そして、底上げにもならないというようなと ころはどこかにその視点が入らないでしょうか。えてして何人か入れて、その中で1人 だけを選別して残す。そして、女性を使っていますよというふうに対外的には説明をす る。そのときの選別の仕方が、より男性社会適合性のある女性になりがちで、そうする とあんなふうにはなれないわというロールモデルにもならなくて、結局そういう女性しか 残れないという形で広がりがなくなってしまうのではないかという気持ちが私としては ございます。
坂東局長
いわゆる女性をトークンとしてしか位置付けないということですね。
岩男会長
たしかどこかで3割いないとだめだと。2割までだといわゆるトークンで終 わってしまうと、そういうものを最近目にしたように思いましたが。
住田委員
上に1人ではなくて、上にも厚くというか。
岩男会長
そうですね。
樋口委員
確かに書くときは「「上」へのチャレンジ」と「「横」へのチャレンジ」でいい んですけれども、上へチャレンジするためには下にいなければしようがないでしょう。日 本の実態はまだガラスの天井じゃなくて鉄筋コンクリートの天井だったり、どうかすると 鉄の門扉だったりするんですが、日本の現状というのはそもそも入り口のところでちゃ んと入れていないんです。だから、やはり男女雇用機会均等法の精神をちゃんと生か してちゃんと採ってほしいということですね。そもそも入り口が細いというのが阻害要因 としてあります。
岩男会長
要するに下からずっと上がってきたのではなくて、中途採用などで、ぽん と横から入ることができるようなアメリカ的な仕組みがもっと増えていけば、少し上への チャレンジが実現しやすくなるかなとは思いますけれども。
樋口委員
分母がなければ分子もないよというような感じがするんですけれども。
寺尾委員
均等法が改正されたにもかかわらず女子大生の就職は土砂降りだとい うのはずっと言われていますよね。
坂東局長
女性は中途で退職するリスクが高いという理由で意欲がないだろう、能 力を付けないだろうということで、入り口のところでもう排除してしまうと指摘していくこ とになると思います。
寺尾委員
均等法との関係でそれは違反にならないんでしょうか。少なくとも就職し たいと言っている場合に、もしかしたら結婚するだろうとか、出産して辞めるだろうとい うことを理由に女性に違った扱いをすることはアメリカでは明らかにいけないんですが、 日本ではよろしいんですか。
竹信委員
そんなことはないんじゃないですか。禁止規定になっていますよね。
寺尾委員
そうすると、ローエンフォースメントがきちんと行われていないということに なるんでしょうか。実際上は別に女子は採用しないと表向きは言っていなくて、面接は やるけれども、全然雇う気はない面接はいっぱいあるわけで、それは法に違反してい るわけですよね。それで、恐らく苦情も雇用均等室にいっぱいいっているんでしょうけ れども、そこがきちんと機能していないとすれば、法は禁止しているのにそれがそうい うふうに動いていないというのは違法状態の放置ということですね。
竹信委員
立証がすごく難しい面があるのと、あとは調査する体制が十分ではない のではないか。
岩男会長
苦情処理を担当する機関がもっときちんと機能しないといけないんでしょ うね。
竹信委員
処罰摘発というのは本当は必要なんですよね。そこがすっぽり抜けてい るのはなぜなんだと思いますが。
樋口委員
罰則がないから困るんですよね。
坂東局長
その部分はあくまでも企業の裁量に任されているんです。
樋口委員
企業の方は堂々とおっしゃいますよ。普通に試験をしたら5割は女なん ですよね。そうもいかないから2割にしていただいているとか。でも、2割採るようになっ ただけ大きな進歩ですよね。
坂東局長
皆さん、成績だけでは能力は測れませんなんてよくおっしゃるんですよ ね。
山口委員
ちょっと伺っていいですか。全体のタイトルが「女性のチャレンジ支援策」 ですよね。そうすると、「基本的な考え方」があってあとは「具体的検討内容」がある。 その具体的の中に行政と、企業と、国民への呼びかけを行うということになっています ね。それで先ほどの話だと、行政でとるべきことというのは公契約の部分だけで、企業 との関連が非常に多いですね。これはどういう振り分けをするのかということが私は疑 問なんです。全体を企業というふうにすれば、では企業が女性を登用するために行政 がどういう働きかけができるか、どういうエンパワーメントができるか、企業はどうかと いうことになるんですが、ちょっとこれはわかりにくい。
 特に行政の提言になると、苦情処理・監視専門調査会も公務員をとり上げているの で、その点すみわけがどうなのかなというふうに思うんです。それで、恐らく前提として は女性のチャレンジということになるとあらゆる分野への全面参画だと思うんですが、 今回は企業、つまり範囲としてはビジネスの方だけですか。
坂東局長
経済面と考えています。経済分野では、起業とかNPOとか、経済に関 連した純粋なビジネス以外の部分も考えています。
岩男会長
ここに「行政への提言」とあるのでおやっと思いました。私たちが今検討 していることは経済面でのチャレンジ支援ですから、このほかにまだ中間報告の後に 続くわけなんですね。ですから、中間報告は経済分野のチャレンジ支援が中心になる と考えていいわけですね。
坂東局長
そうです。今まとめていただくのは経済分野で、それに農林水産部分も 入りますけれども、そのほかに公的な公務員ですとか各種団体とか地域社会とかで 女性がもっとチャレンジするにはどうすればいいかとか、経済以外の分野は3月までの 報告で扱っていただこうと予定しています。
 ただ、今回も一番メインで女性がチャレンジすべきで、まだ十分にチャレンジされてい ないのはこの経済分野じゃないか。だから、それを最初に打ち出そうということで経済 プラス農林水産を中間まとめまでに御検討いただくと。
山口委員
経済分野における女性のチャレンジ支援というふうに考えていいわけで すね。いろいろ対価を生むものというのは単なるビジネスだけでなくて、ビジネスという のはどこもついて回るものですから、これはいわゆる企業というふうに考えていいわけ ですか。
坂東局長
一応NPOも入れているんです。それから女性が起業する、自分自身が 自営業となる部分ですとか。
山口委員
要するに、これから順番にあらゆる分野へ検討していくということです ね。今、何となく言っていることはわかるんですけれども、どこまで触れたらいいのかな とちょっと思ったものですから、そういう意味の経済ですね。
樋口委員
1つ質問なんですけれども、内閣府の男女共同参画会議の基本問題の チャレンジ支援ということで論じる分野は、例えば議員に立候補するなどということは 触れてはまずいんですか。政治的分野ですね。
岩男会長
そんなことはないと思います。ただ、中間の後で公的ないろいろな団体 その他……。
樋口委員
というのは、地方に行くとバックアップスクールとか、女性議員に出そう などという動きが大きくなっていますね。そういう政治参画への動きということを無視す るわけにはいかないし、チャレンジと言ったら議員に立候補するなどと一番わかりやす いチャレンジじゃないかと思うんです。
坂東局長
具体的な政党から立候補しましょうなどというようなことはもちろん言って はいけないですけれども、そうした政治活動へチャレンジすることも支援するというのは ここから期待するという形で言っていただくのはいいんじゃないでしょうか。
伊藤委員
先ほどの均等法の話にちょっと戻りたいんですけれども、均等法が守ら れていないというのは事実です。均等法や育休、介護休業法等々の女性の社会進出 を支える諸法について企業に対する遵守あるいは厳守を呼び掛けるということをはっき り言っていく方がよいのではないかと思います。
竹信委員
均等法が守られていないのではないかという指摘はあるかと思うが、何 かあった場合に調査する人員が非常に少なく、体制が十分でないのではないでしょう か。均等法をちゃんと守ることができるための調査監視機関の強化充実ということは指 摘してもいいのではないかと思います。
高橋委員
今のお話は、エンパワーメントの問題ですね。ここでエンパワーメントされ ているのは、いろいろ訓練して力を付けるというような意味で使われていると思うんで すけれども、私などエンパワーメントと聞くと法律家ですから法的な闘う手段を与えると いうような意味で理解したいんです。それで、均等法ができても全然エンフォースされ ていないんじゃないか。だから、1つは行政の方にしっかりしてくださいという言い方も あるかもしれないけれども、私はそれともう一つ重要なのは女性が自分で闘う手段を 法的に設定していく。例えば、挙証責任の転換というふうなことがあれば裁判で闘い やすくなりますし、そういう方向で行政に頼るのではなくて女性が自ら闘っていく手段を もっとつくりましょうということは可能じゃないかと思うんです。
竹信委員
さっきの調査監視機関というのは何をイメージするかというのはなかなか 難しいと思うんですが、挙証責任とか、今の裁判の自分で立証しやすくするというのは 非常に重要なことだと思うんですけれども、均等法以降一番威力を発揮したのは実は 地域労組、女性労組なんです。そこにきたものの8、9割は解決していると言ってい て、なぜそうなのかというと、それまで大きい労組はほとんど手を付けることができて いなかったのでひどいことが行われていて、こんなのは裁判に出したら絶対に負けると いうことが平気でまかり通っていたのが、地域労組が出てきて女性ユニオンができて きて、そこが入っていくと向こうもまいったと言って下りてしまう。それで勝つ。95年以 降に起きたことというのはこれが非常に多かったんです。ですから、調査監視機関が オンブドなのか、NPOなのか、なかなかそこは難しいところなので、それをうまくドッキ ングさせて盛り込むことができればもう少しいいかなという気はします。
岩男会長
イギリスの場合にはNPOなんですね。ロイヤーが集まっているNPOで、 ひとりではろくに文章が書けないような人でも電話一本で連絡をするとそこがあとは全 部やってくれる。ですから、ある意味で間接的に法的に闘う力を各人に与えている。 チャレンジ支援の中にそういうものを盛り込むというのも一つかもしれないですね。
竹信委員
すごく重要なことで、幾ら制度が変わってもそれが利用できないのは バックアップシステムがないからなんです。
岩男会長
それではここで一区切りとしまして、引き続き1のところで御発言いただ いても結構ですし、<2>の「新しい分野へのチャレンジ-横へのチャレンジ」という、こちら の方に移りたいと思います。
山口委員
今、採用しますと、試用期間がありますけれども、私は自分の職業の適 性を見る機会を与えるというか、インターンシップというのをもっと採用すると、非常に自 分の能力と適性に合った職業につくことができるんじゃないかと思います。
 例えば女性団体のことなんですが、アメリカのNOW、全米女性機構などは女性団 体にインターンの人たちを迎えて、そして大学の単位にして、そういう社会的な活動の 訓練がまた就職につながるということなので、意欲をかき立て、自分のやりたいところ に行けるという意味で一種の就職前のインターンシップを、もっと奨励をしたらどうかと いうふうに私は思いました。
伊藤委員
私も、学生時代に職業体験みたいなものを推進するというのは、女子学 生のチャレンジ支援という点ではプラスじゃないかという気がします。
岩男会長
そうですね。今、大学でもそれは一生懸命開拓をしてやっております。
伊藤委員
でも、インターンシップが単位化されていないところがまだ多いですね。
岩男会長
それを単位化するというのは一つだと思います。それから、先ほどの例 えば政治家になる人をつくるというようなときに、インターンとして議員のオフィスで夏休 みにお手伝いをするというようなことはアメリカでも非常によくやっていることで、そうい う形で力を付けるというのもいいかもしれないですね。
山口委員
大事なことだと思います。これは制度にしないとだめですね。
岩男会長
そうですね。
坂東局長
この前、アメリカで女性の家庭内暴力の活動をしているNPOの方たち も、どういうふうにしてそういう人材をリクルートするのかと聞きましたら、インターンで学 生の人たちにそこで活動してもらって、それでNPOで働く人たちをリクルートするんだと 言っていました。
山口委員
もう一ついいですか。SOHOを始めいろいろな起業に女性の方たちは大 いにチャレンジしてほしいと思うし、創意工夫がなされていると思うんです。例えばある 23区の中で障害児の子どもたちのための学習塾をやった。そうしたら、1億円からの収 入があったと言うんです。非常にこれは独創的で、一般的な塾でできないようなことで すね。
 そういうようなことは大いに事例として紹介したいと思うし、もう一つ私は先ほど竹信 さんが小さい労働組合の話をしましたけれども、小さいところもそういうことが起きてき る一方で、起業家になりますとそういう労使関係について指導というか、それは割合な いんですね。やはり企業者として適法で、かつ労働条件をより前進させるために、法律 知識というか、実際的な指導がないとつぶれてしまうと思います。
樋口委員
人を雇う者の責任として今、山口委員がおっしゃったことは大変重要だと 思います。ただ、女性と仕事の未来館でやっている起業家支援のセミナーの中には社 会保険労務士を入れてかなり重要な項目としてもう既に研修はやっております。
岩男会長
多様な働き方への支援として、多分皆さんも新聞でお読みになったと思 うんですが、ダイエーが左前になって再建途上にあると思うんですけれども、新しい試 みとして辞めていく人たちにサティフィケートみたいなものを出して、しかも全国どこの ダイエーでも就職できるようです。例えば夫の転勤の場合にも転勤先でそれを使って 育児休業が終わった後、あるいは介護休業が終わった後に復帰できるという、私はあ あいうものはすごくいい試みだと思うので、推奨して後押しをするということができない かということが1つと、そういうものもここで取り込んでいったらどうか。
 ダイエーの場合、やはり企業が左前になっていくと辞めていく人も多くなるとか、いろ いろな問題があるんだろうと思うんです。そういうときに、有能な人材を確保していく一 つの手段としてこれをやるんだというふうにおっしゃっていて、私はそれはすごく心強い と思ったんです。
樋口委員
女子学生が均等法にもかかわらずバブルがはじけて以来、就職が土砂 降りの状況です。20年前に早稲田大学の福沢恵子さんが「女子学生の手帖」というも のをつくり、インターカレッジの自前の取組として均等法ができるまで続いた歴史が あった。実は今の女子学生自身はそういうエネルギーを持っていると思うんです。自分 たちの仕事を、均等法時代ですから一歩も二歩も前進したものですけれども、大学生 同士、高校生同士の仕事に対する研究グループ、そのネットワーキングによる全国的 な女子学生のエンパワーメントが進めばよいと思う。
 ガールズ・ビー・アンビシャスということを、女子生徒や女子学生に対するできれば自 前のそういう仕事に対する自分のキャリアプランとライフプランを考える研究組織みた いなものをつくって、全国的なものにしてほしい、国際的な交流もと願っています。
住田委員
このお話にかみ合うかどうかわからないですけれども、私は弁護士で、 弁護士になりたいという方とか、その周辺の法律業務などの勉強をしたいというような 女性によく話をしてくれという形で呼ばれるんですが、そういう方を見ていると、要する に弁護士とか何とか士という少し体裁のいい格好いい仕事につきたいということで、実 際に何年も就職しないままの方が非常にいらして全体的に見てもったいない。また、 一旦社会から家庭に入り戻るときには同じ条件では戻れず、それであればいいわとい う感じであきらめてしまう女性がいるのは、その能力が社会に還元されず歯がゆいと いう思いをしているんです。
 格好いいところばかりに目を向けずに、地道に働くというような方向にも広がってほし い。特に、カウンセラーなど、生半可なことでやってしまうとかえって本人も相手の方も 傷つけるような、そういう風な非常に厳しい職業であるので、さっきのインターンシップ なども大事なのかもしれませんし、現実を見ていただくような、社会との接点をもっと広 くしていただくような、そういう場面を多方面にやっていただくことが必要ではないかと 思っております。
岩男会長
実は先日、ある銀行の幹部からやはり同じようなことを言われたんです ね。既に銀行に勤めている女性たちが、いろいろな専門学校的な資格が取れるような ところに多額のお金をまず払うんだそうです。ところが、行ってみると自分の考えていた のとは相当違うとか、大変だとかというのでどんどんお金を無駄にしながら結局何も実 らない。要するに、何もかも一歩から着実にやっていかないとだめだということを声を大 にして言ってくださいと言われてしまって、私も困ってしまったんですけれども、全く同じ ような状況がいろいろなところにあるということだと思うんです。
竹信委員
それは全くおっしゃるとおりで、インターンシップに例えば普通学生さんを 入れるというイメージが非常に強いと思うんですが、これは企業がやるかどうかちょっと 難しいと思うんですが、主婦で働きたい人とか、失業をしている方とかを入れていただ くような仕組みは何とかつくれないだろうか。それにカウンセリングをうまくちゃんとかま せないと、ただ行くだけだともうそれで自信喪失して終わりなので、なぜあなたはそこ でそうなってしまうのかというと、ここのところがこうだからなんだよということが言えるよ うなものをくっ付けながらやらないとだめなんですよね。
住田委員
私は前に個人で法律事務所をやっていたときには主婦の方に日替わり で秘書さんで来てもらっていたんですね。それで、人によってはパソコンなどの勉強も されたりとか、電話の応対の本を読んで勉強されたりとかして、本格的に仕事をしたい という方はまた更にスキルアップして別のところに就職された方もいらしたんですね。
 ですから、いろいろな形での可能性があるなということを私自身も感じているんです けれども、なかなかそういう道は非常に難しいものがあるという感じはしました。個人 的な話ではなくてもっと組織的にそういうふうな受け入れる体制づくりをするというのは 非常に意味にあることではないかと思いました。
竹信委員
今企業によるトレーニングがだめになってきているということがすごく問題 になっています。そんなことをやっている余裕はないと。
寺尾委員
再チャレンジの場合も女性向けのトレーニングのプログラムの開発が必 要だと思います。行政がパイプ役あるいはカウンセリングのプログラムをつくるなり何な りやっていけることではないかという気がするんですが。
竹信委員
行政がつくってしまうと余りいいものができないことが多いので、できれ ばNPOとか。
寺尾委員
企業はそこまでお金は出してくれないでしょうから、お金の問題をちょっと 申し上げたんです。行政がと申し上げたのは、別に行政がつくらなくてNPOでもいいん ですけれども、そこに何かの形で財政援助をしていくということをしないと、幾ら言っても だめですよね。
岩男会長
再チャレンジのお話にも入っておりますので、その点も含めて御発言をい ただきたいと思います。再チャレンジのときに特に重要になるのかもしれないんですけ れども、アメリカなどの場合に履歴書の書き方からNPOが指導しているんですね。そし て、面接の受け方と。日本の場合は学生のための面接の受け方の、要するにハウ ツー物みたいなマニュアル本はたくさんありますけれども、再チャレンジをする人のた めのものというのは何もないので、そういうものも組み込んで先ほどのお話で一つの パッケージにするというのを提案したらいいんじゃないかと思います。
伊藤委員
そういう意味で、女性の再就職や就業支援を支えるNPOに対する支援 というのははっきり政策的に打ち出すというのは大切なことだと思うんです。もちろん補 助金等を出す場合はきちんとチェックした上でだと思いますけれども。
八代会長代理
政策というと、とかく財政支援というお話が出てくるんですが、ただ、 今の財政事情では出たとしても涙金しか出ないんです。ですから、私はやはり支援も 大事ですけれども、個人が多様な働き方を選択できるように基本は規制緩和といいま すか、民間企業がそれをできるようにする仕組みですね。
 例えば派遣というのはまさにそれをやっているわけで、パートタイマーの人を雇って 訓練をやって働けるようにするためのいわば訓練を与えて派遣先に送っているわけで すね。ですから、今は非常に派遣ビジネス自体がまだよくない働き方だという前提でさ まざまな規制を受けている。それから、職業紹介と派遣というのは別の法律でワンス トップサービスがまだまだできないようになっている。ですから、私はやはりそういうこと を大々的にできるのは企業であって、企業がもっとしやすくするという方向、これが一 番効果的ではないか。
岩男会長
八代委員がおっしゃったように利用者がお金をちゃんと払ってそういう仕 組みを利用して新しい就職先を見つけていくという、やはりそういう仕組みなんでしょう ね。何でもサービスとして無料で受けるというようなことではなくて、コストがかかれば それだけ一生懸命やるという面もあると思いますので。
八代会長代理
人材ビジネスから見れば、高学歴で働いた経験もある人でちょっと 子どもが手が離れた女性が今は十分活用されていないという面があるので、ここは是 非支援できると思います。
山口委員
北欧などでも、コンピュータの男女格差をなくすためにノルウェーなども文 部科学省に当たるところが一生懸命教育をしていましたし、それからスウェーデンなど も女性団体がコンピュータ教育をしている。私たちも人を探すときにコンピュータが使え るかどうかというのは最低条件なんです。それは企業が喜ぶとか喜ばないとか、そう いう話ではなくて、本当に字が書けるか書けないかと同じぐらいの条件になっているの で、やはりここで格差を生まないようにこういう再教育の訓練にはそれが一種の必須 課目ぐらいにして徹底的にやった方がいいと思うんです。各女性センターなどの新しい ところに行ってみますと、みんな立派なコンピュータが入っているんです。やはり一番 利用者が多い。
 ところが、必ずしも職業の支援じゃないんですね。ホームページを楽しむとか、そうい うところであって、だんだんこれから労働力人口も減ってきますし、女性がいろいろなと ころで働く場合にはIT技術が必要となるので、これは私は大いに奨励するという具体 策を出した方がいいと思うんです。
伊藤委員
先ほどの八代委員のお話とも絡むんですけれども、私も企業への再就 職の支援をするのはどんどんやったらいいと思うんです。でも、それは横へのチャレン ジという問題も含めて、NPOでの再就職活動に対する支援なり育成なりという点も考 えておいた方がいいんじゃないかと思うんです。やはり競争してもらわないと。NPOの ようなある種の小回りの効く就業活動みたいなものが企業活動とは違う形で何か成果 を生み出す可能性もあるのではないかと思うんです。
岩男会長
多様なものがあった方がいいということですね。では、樋口委員どうぞ。
樋口委員
厚生労働省で去年から再就職、特に高学歴女性の再就職モデルの開 発が始まって、今女性と仕事の未来館で検討・実施しています。1年目はITに関する 再就職モデル、これからは建築関係に関する再就職モデルに取り組むということに なっています。日本の女性の場合、職場への再チャレンジというものを特に高学歴の 人に力を入れなければいけないと思っています。
岩男会長
それでは、「2.(1)<4>農林水産分野における女性のチャレンジ支援」とい うところまで含めて御発言をいただきたいと思います。
古橋委員
この間、私は農林水産のときに出なかったんですけれども、農林水産の 中で非常に大切なこととして、リーダーを育成していくことがあると思いますが、そのた めにもリーダーの基になるネットワークが実際の農村生活においては重要です。ネット ワークの中でリーダーを育てていくということです。都会から農村に入ってきた人が、新し い考え方でリーダーになろうと思っても難しい状況があります。しかし、それに対し て共鳴する女性が多ければそのリーダーが育っていく。ですから、そのときに一番大 事なことはそこにおけるリーダーを育てていくネットワークだと思います。
岩男会長
しかも、そのネットワークが世代を超えたというところが大事だというのが 私の意見です。
八代会長代理
あと、ちょっとこれはうまく合うかどうかわかりませんが、農業生産 法人の活用ということが実はこういう女性のチャレンジ支援にも関係しているんじゃな いか。つまり、農村というのは基本的に自作農主義ですので、自分で業を起こすか、 あるいは家族内協定というのか、非常に働き方の選択肢が狭いわけですね。ですか ら、普通に雇用関係で働くような場が広がれば、均等法や労働基準法に守られるわけ ですから、間接的な役割ですけれども、今、農水省がせっかく一生懸命やっています 農業生産法人をもっと活用していく。今の農業生産法人は非常につくりにくい状況なの で、もうちょっと規制緩和していくというのは要望も非常に多いと聞いておりますので、 それとこういう女性のチャレンジ支援が実は結び付いているんだということもどこかでメ ンションしていただければと思います。
古橋委員
私はその点については前から、農村における株式会社による農業という ことを言っているんですけれども、ずっとだめなんですが、やっと今度経済特区の中で 株式会社によるものをつくろうかという話も出ているんです。
八代会長代理
この農業生産法人はまさにそれなんですよね。妥協案なんです。
古橋委員
今は有限会社とか、そういうものしか認めていないんです。
八代会長代理
ただ、株式会社が農業生産法人に出資することをようやく認めてい るんです。ただ、まだ10分の1しかないので、これをもっと広げようということです。
古橋委員
これから中国とかいろいろなところと対抗していくためには、そういうよう な規模拡大ということをやっていかなくちゃいけないときに、規模拡大の最大の手段で ある株式会社組織による農業生産法人をやらないということ自体私はおかしいと思い ます。
 ところが、株式会社に農地取得を認めると、また一大地主をつくり出すなどという考え 方の人たちがまだ残っていたものですからずっとできないですけれども、しかし私は農 業の大規模化ということのほかに今、八代委員がおっしゃったような近代的な労働環 境を維持するという見地から株式会社組織というものが必要だと思います。そうすれば 土曜日も休めるし日曜日も休めるから、そういうようなことを考えようと言っているんで すが、これはやっと出てきて経済特区の中で株式会社による農業生産を認める かというところまできたというふうに聞きましたので、どこかで合理的な会社組織という ことを触れていただいたらいいんじゃないかと思います。
伊藤委員
今の議論との関連で、前にちょっと申し上げたと思うんですけれども、商 工自営業の女性の問題というのはここでは扱わないという確認でよろしいんでしょう か。経済活動での女性のチャレンジということになりますと、農業と同じような形の問 題を抱えていると思うんです。それについてここで、例えば農産分野あるいは自営業 等とかちょっと入れる形で何か処理できないかなと思うんですけれども。
古橋委員
この点について、陳情を受けるけれども、商工業の場合のその人たちに 対する施策というのは具体的に何をやったらよいのでしょうか。
伊藤委員
家族経営協定の形をむしろ自営業に持ち込むという形で対応するのが いいかなと思いますが。
寺尾委員
現在商工自営業にこうした施策がないのは、農業の方は跡継ぎ問題が あるけれども、商工自営業の方は跡継ぎ問題がなくてただつぶれていくだけだからな んですか。
伊藤委員
そんなことはないです。実際に跡継ぎ問題はもちろんあるし、逆に生き残 りのために女性のアイデアで商店街が活性化した例はいっぱいあるわけです。
山口委員
本当に跡継ぎがなくてつぶれていく。まして大型店舗になっているから、 むしろ農業よりも大変なのは中小企業だと思います。私はSOHOに商店や中小商工 なんか入らないのかなと思うんですけれども。
 それから、古橋先生がネットワークの必要性についておっしゃいましたが、私は全く そうだと思います。農業の女性たちというのは自分が働いた分だけの分量が測れな かった。それが、無人スタンドから売り始めて、それから隣りの方と女性同士でおまん じゅうをつくるとか、漬物をつくるとか、つまりお小遣いを持ち始めているわけです。これ から先がどうあるか。農業経営協定と言っても形だけになったのならば、では自分で現 金を握った方がいいわよと、こういうことになるので、彼女たちにどういう費用の付け方 をしたらいいのかということがひとつあると思うんです。だから、株式会社構想もいいん ですが、少しずつ広げていくというやり方の方がどうも日本の農業の考え方から言うと いいんじゃないかと思うんです。大きな株式会社になってしまうと、そこでまた何か問 題が起きるんじゃないかという心配があるんです。ですから、私は農業の女性たちが そういうお小遣いを持っていることをもっと拡大するためにはネットワークをどうやって広 げていくか。ここをひとつ工夫しなきゃならないと思います。
岩男会長
古橋先生に教えていただきたいんですけれども、株式会社というのは例 えば3,000万円の資本が必要であるとか、今は特例でちょっと違うものも出てきたみた いですけれども、そういう非常に大規模なものを求めているんだと、山口委員がおっ しゃったことが大変現実味を持ってきまして、それこそ有限会社か何か……。
古橋委員
農業生産法人というのは今は有限会社とか、そういうのが多いんです ね。それは極めて家族経営的なんです。しかし、そうじゃなくて企業が実際に土地を 持っていいじゃないのと。畑作や何かで、株式会社が土地を保有してもいいじゃないか と思います。
竹信委員
その株式会社がやる場合に、さっきも女性の近代的な労働を確保するた めと入れろというのは私も確かに非常に重要で今、会社がやっているような女性差別 を繰り返させないような方法を入れつつ、それを導入するということがやはり必要なん でしょうね。
古橋委員
農地転用さえ規制されれば、大きな企業がその農地を持っても私は悪 いことはないと。規制がしっかりしていればですね。ところが、それについて、そうする ときっと会社がうまいことやってすぐ転用するんじゃないかというようなことを言うけれど も、それは役所がしっかりして農振地域の指定等がきちんとして転用を規制すればい いし、そういうことによって農業の近代化というのは私は起きていくんじゃないかという 気がするんです。
岩男会長
そろそろその次のセクションに移りたいと思っております。
古橋委員
商工について聞いておいてください。やはり具体的に何か方策があるの かと。
山口委員
もう一言、言わせてください。中国でものすごい広大な土地で、農薬を 使った野菜がいっぱい入ってきますよね。私は、日本の農業を考えますときに、無農 薬だとか減農だとか有機農業の工夫をしていますよね。
 食料の自給率が落ちているし、やはり食べ物の安全だとか自立だとかということは 大事なので、そこに関わる女性たちがもっとそういう考えだとか信条だとか、そういうも のを持って、そういう分野に女性が新たに参入していって確立していくというか、新農 業と女性というか、そういう可能性を非常に期待するんです。都会に暮らしていると何 か限界、飽和状況で、たまに地方に行きますと、むしろ農業に将来があるんじゃない かと。女性たちがいろいろなアイデアを持って、ただ大変だというだけではなくて、それ を担っているんだという元気を持ってやっていけば、また新しい農業ができるんじゃな いかと思うんですけれども。
住田委員
女性は意外と農学部に進学していまして、農業、漁業等の研究施設で 非常に地道にこつこつやっている方がいらっしゃるんですね。そういう方々の研究成果 を是非実践に結び付けていただきたいなという気持ちがしてならないんです。
岩男会長
それから奨学金も、例えばそういう分野に行く女性のためにイヤマークさ れた奨学金を用意するというような形で支援をするというようなことは可能だろうと思う んですね。
樋口委員
私も農業はこの社会の、環境問題も含めて重要な問題になっていくと思 います。私は最近、観光農園を手広く御夫婦でやっていらっしゃる女性からこんな悩み を聞きました。農業は幾ら機械化されたといっても直接力仕事になる部分が多い。だ から、男女共同参画、男女平等と言うとき、どうしても対等になりきれないものがある、 とおっしゃるんですが。
竹信委員
栽培しているものによると思うんですけれども、私の知っている人は女の 人が1人で世帯主で農業をやっている人なんです。それで、農繁期には人を雇う。親 戚に来てもらうのと人を雇って、観光農園なのでお客さんを鍛えつつ客にやらせる。そ こでついでに売っちゃうとか、もちろんつくっているものによるのでだれでもできるわけ じゃないんだけれども、いろいろな工夫ができるんだろうなと思うので、そういうシーズ をうまく集めてあげるときっといいんでしょうね。
山口委員
ちょうど国際婦人年以降、農業女性の問題を女性団体で討論したとき に、やはり農業の機械を女性に合わせてつくれという、そこから始まったんです。私は 各大学の機械工学科にいる女性の人たちに、農業女性が働きやすい機械開発をして ほしいんです。女性に適した道具を開発するということも大事なので、そんなことも ちょっと提言したいと思います。
古橋委員
今は農業ばかりの話ですけれども、林業の場合におきましても林業経営 者は結構女性が多いんですが、林業労働者に女性が少ないんです。しかし、これから の林業労働者というのは機械施工の中における労働者になると思います。プロセッサ とか、そういうものを駆使していける労働者で、そうすれは女性でも結構そういうことは できるわけですね。そして、それは肉体労働者というよりももう技術者なんです。
 しかし、その場合における機械は日本の場合は平地における機械じゃなくて極めて 小規模の急傾斜地に対応できるような機械をつくることが今、非常に求められていま す。その開発が今、日本で遅れているのでその点ははっぱをかけているんですが、そ ういうふうになっていけば林業に女性も参画できる。産地において林業に女性が参画 をしていけば、女性が木材や建築についてもっと注文を付けるとか、産地における女性 と消費地における女性が連携をとって地産地消というようなことが行われればシックハ ウスとか、そういうような問題が起きてこないんじゃないか。そういうふうな問題があり ますから、この農林水産分野における女性のチャレンジというのは農業、食料を生産 する者、あるいは食料ではありませんけれども花とか、あるいは林業でも私は非常に 重要であるということをここでもっと前向きな点からも言ってほしいと思います。
樋口委員
水産漁業はいかがですか。
古橋委員
水産で一番問題になってくるのは魚病対策で、抗生物質の薬を使った 栽培・養殖漁業が非常に今、行われていて、中国のウナギについては大分言われる ようになりました。日本においても栽培・養殖漁業が行われて、そのえさに抗生物質を 混ぜて対策を立てていますが、抗生物質の残留性が人間に影響を与えるのではと懸 念されています。
 ところが、私が前から問題にしているのは、魚病というものに対してそれをやるのは 獣医師なんです。魚病の専門家というのはいないんです。しかし、それが問題になる がために栽培・養殖漁業の中における魚の中に相当の慢性毒性の抗生物質が入って くるんじゃないか。それが私は一番今、日本において大きくて、それがわかったときに は大変な問題になるので、早く魚病対策について考えましょうと言ってきました。そう すると、水産の場においても安全に関心のある女性が栽培・養殖漁業とか、そういう場 所に入っていって、安全なる魚の栽培・養殖漁業をやるべきではないかと思っていま す。したがって、そういう意味において安全という面からも女性があらゆる分野に参画 していくということが大切であるということを言ったらいいんじゃないかと思います。
樋口委員
安全とか環境というものをどこまで書き込むかは別として、私たちの議論 の中の根底にやはりそれは置きたいですね。
岩男会長
そうですね。基本的な考え方に盛り込んでいくことは必要だと思います。
寺尾委員
食の安全に対する要求がそれなりにありますが、それが産地と消費地を つないでダイナミックに展開できるような仕組みになっているのか。つまり、農村の女性たちもいろいろなアイデアを出したり何かして、それが食の安全に関心がある主婦 層にどれだけ結び付いていっているのか。相互のインターアクションによって、そういう ビジネスが大きくなり得るし、農業や農林水産業も大きく変化していけるわけです。 ネットワークという言葉が出ましたけれども、そこでネットワーキングが滞りなくいってい るのか。それとも、何か問題があるのかという観点からお伺いしたんです。
伊藤委員
事例報告の中でも、明らかに起業をしている女性の場合は食べ物の安 全性にすごく配慮しながら都市との関係をうまくつくりながら動いておられる方が、この 分野では成功しておられるわけですね。だから、先ほど山口委員がおっしゃったように 安全性の問題とか環境の問題への配慮と、農業の女性のチャレンジでの成功という のはすごく関連性が高いんじゃないかと思います。
古橋委員
そういう産地の方で安全なものをやっている女性が今は自分たちの個人 的な努力で都市の人たちといろいろな形で連携を図っているんです。それについて、も う少し安全なものをつくっている女性たちの販路がちゃんとうまくいくような、都市との 結び付きがうまくいくようなシステムをもう少し検討したらどうですかとか、そうすれば更 にまた産地における女性たちが規模拡大もできるわけでしょう。そういうようなことの ネットワークをもう少し考えたらどうですかということを、このチャレンジ支援の中で書くこ とはできると思います。
寺尾委員
ソフトの問題で、例えば有機農業の野菜についても表示方法が何年か 前にできましたね。ああいうようなことは行政がやっていくことですけれども、そのパイ プをつないである意味でマーケットをつくっていくというところは、やはり放っておいてで きる部分ではないと思います。
古橋委員
高度情報化社会なんだから、そういう産地でつくっている女性たちがちゃ んと立派なホームページをつくって発信すればいいんです。そうしたら、都市の消費者 がそれに申し込むというシステムにすればいい。しかし、本当にその人たちがやってい るかどうかというのはどこかがやはり監視をしなければいけない。そういうようなシステ ム全体をセットとしてつくっていけば、女性のチャレンジの政策提言になると思います。
岩男会長
この提言にどこまで入れることができるかというのは考えていかなけれ ばいけないと思います。
 それでは、次に「II.2.(2)企業へのよびかけ」、「(3)国民へのよびかけ」、「(4)そ の他」について何かございましたら御発言をお願いいたします。
八代会長代理
先ほど話のありました男女格差をなくせば企業利益が上がるという 点ですが、これだけでは企業の方はわからないので、なぜ格差をなくせば企業利益が 上がるのかというのがクエスチョンとしてはあって、それは先ほどおっしゃった差別の 立証責任の話につながってくる。つまり、差別の立証責任を企業が引き受けられるた めには能力主義マネージメントというか、業績評価をきちんとしておけばそれに対応で きるわけで、それはどちらにしても企業がこれから年功制から転換するときに不可欠な ものになるわけですね。ですから、その意味でも女性の能力や多様性を活用できるマ ネージメントができる企業は活性化。そういう個人の能力、行政評価をきちんとすること によって男女間における格差というか、業績評価をきちんとすることによって先ほど 言った同一価値労働同一賃金になるわけですけれども、それによって結果的に企業 利益も上がるし、格差もなくなるという一種のやや予定調和的かもしれませんが、実は それが一番、今、大事な点で、それをきちんとやっておけば立証責任の転換もある意 味では抵抗がなくなるのではないかと思います。
山口委員
日本の経済団体が、そういうところで少し男女共同参画で日本の企業が 活性化するという意味で、女性の能力活用ということで、こういう努力をしているという 企業広告を大新聞に1ページぐらい出してはどうか。その方がよほど有効活用で企業 にとってもいいと思うんです。やはりインターネットだとか、そういうことよりも、大きな新 聞にそれを一斉にシーズンが来たら出してくれると、中高年向きとか、若い女子学生 向きとか、そうすると全体として企業イメージもよくなるんじゃないかと思うんです。
 広告によって男女共同参画で、それが生き生きとする社会だと、そのイメージのため に特に女性の採用に力を入れている企業について日経連等が広告を出してくれたらい いなと、私はそういうふうに思いました。
坂東局長
ちょっとずれますけれども、「(4)その他」として話のあったところで、例え ば活躍する女性を顕彰するとか、あるいは企業を顕彰するとかというようなことも是非 期待する。頭に置いていたのは、エイボンだとかの活動なんですけれども、どんどんい いところをほめてあげるというのも大事なんじゃないかと思います。
山口委員
私はもっと積極的に、我が社はこういうことをやっていると。それで、日経 連がリーダーシップを取ってやってくれるようになると少し違うんですね。ダイバーシ ティと言っているくらいですから。
高橋委員
「企業へのよびかけ」について思ったんですけれども、こういったことを呼 び掛けることは非常に重要だと思うんです。しかし、それは本当に経営者に理解しても らうためにはもう少しそれが必要だということが目に見える形で出てこないとだめだと 思うんです。ですから、本当に利益が上がったということを統計的か何かで見せること も必要ですけれども、もう一つは全体を関連づける形で私は非常に重要だと思うのは、 ポジティブ・アクションの計画策定をしている場合に入札参加資格の要件として評価す るという点ですね。非常に難しいんだということですけれども、要件として加えることも 考えられるということであれば、ここら辺をもうちょっと強調する形で連動しているんだと いうことがわかるようにしていただきたいと思いました。
岩男会長
是非そうしたいと思います。
伊藤委員
ISOみたいな形もいいかもしれない。女性のエンパワーメント推奨企業 みたいなものをリストアップして紹介してあげるためには、そのための標準あるいは基 準が必要だと思うんです。今、厚生労働省はたしか簡易ポジティブ・アクションのため の表をつくり始めているということですが。
岩男会長
推進協議会ですね。毎年男子学生、女子学生の就職希望ランキングリ ストというのが出ますけれども、あれは特に女性の場合にはやはり女性に非常にフレ ンドリーな企業が上の方へきているんだと思うんです。
伊藤委員
女性の人気企業というのは明らかにそうなっていますからね。
岩男会長
明らかにそうですから、それを出す。それから、山口委員の御発言を聞 いていて思ったんですけれども、広告もあるでしょうが、企業に女性のチャレンジ支援 の担当の方を置いていただくよう推奨する。というのは、やはり日経連としても作って いただくということをお願いしたらどうでしょうか。
 また、先ほどのポジティブ・アクションの法制化のところもほかにいろいろ御意見やアイ デアがあればと思いますが。
樋口委員
日本とアメリカの経済力差が付いたのはこの違いと思うくらいですが、地 方自治法で、日本は入札を決めるときにこうした問題を入れることが難しいんですか。
古橋委員
それは国の場合と地方公共団体の場合と違って、地方公共団体の場合 は価格以外のことでも、例えば執行能力・技術力とか、そういうふうなことを考えられる ように施行令を改正したんです。それで、国の場合はまだそこのところについて厳しい ことを言っているということなのですけれども、私どもは入札の参加の登録要件について はある程度こういうポジティブ・アクション的なものを入れても問題はないというふうに 考えます。
 しかし、入札といっても、要するに入札の参加登録要件と実際に競争入札をしたとき と2つ機会が考えられるんです。登録要件というものは事前に入札に参加するために 各役所に各企業から審査書類を出して、それについて点数を付けて格付けを行うんで す。その中から実際に入札するときに、入札参加者を選定します。だから、入札の参 加登録のときに、女性に対してフレンドリーな企業について点数をプラス何点を与える というのは、私はあって問題ないと思うんです。
 ところが、実際にその中から入札を何社かやって競争で入札をしたときに、こちらの 方がフレンドリーだから価格は高いけれどもこちら側の方をやってやるよということにつ いては、私はそれは問題があるよということを言っているんです。実際の登録要件のと きには、例えば建築会社の場合だと設計技師が何人いるとか、過去におけるどんな工 事を請け負ったかとか、そういうようなことによって全部点数が付いて、国交省が建設 業法においてある程度の基準を示して、それによって各地方公共団体も対応している んですけれども、登録要件については私は主観的事項としてその点数の中に入れて いいということは言えるのではないか。
岩男会長
今大学の21世紀のCOEのプログラムの中にも女性がどのくらい研究者 として働いているかが評価のひとつに入ることになっているんですね。ただ、どのくらい にそれを評価するかは評価委員会の裁量に任されているんですけれども。
伊藤委員
それこそトップ30をやったらどうですかね。男女共同参画トップ30という 形で。国際的にもトップ30はアピールするみたいなことを内閣府で進めていくというこ ともあり得るんじゃないかと思います。自薦他薦を含めてやる形でないと民主的ではな いので、自薦他薦の形でトップ30を出してもらって、それを何らかの形でチェックして男 女共同参画推進トップ30みたいな形でアピールしていくというのはあり得るんじゃない か。その上で、国際的に日本の男女共同の推進しているトップ30はこれですよという 形でアピールしてあげるようなことを5年に1度やるとかということをやってもいいんじゃ ないかと思います。
岩男会長
ダボス会議に資料を提供するとかですね。
伊藤委員
ファミリーフレンドリー企業の表彰と同じような形でやることはできるだろ うと思うし、やはり5年に1度でも3年に1度でもいいですけれども。国際的に日本は男 女平等が進んでいないと言うけれども、こんなに進んでいる企業はありますよという形 でアピールすることも、日本企業の国際競争力の問題とか、国際的な評判の問題に 絡めても重要なことじゃないかと思います。
樋口委員
ちょっと提言しようかなと思ったんですが、要するに今、企業の話にきて しまっていますけれども、ロールモデルの話などがありましたが、具体的に100人に聞 きましたという話は、例えば女の経営者、起業家100人集めると非常にモデルもいろい ろで、ショートヒストリーを入れていくとか、あるいはビデオをつくる。100だと1人1分で も100分だから、ビデオだとちょっと長過ぎますかね。小冊子ならば100人に聞きまし た。1人1ページで、どういう経路でどういうふうにと顔がちゃんと見えてという、100 ページならば大したものじゃないですね。
 それから再就職、再チャレンジといういろいろなパターンを含めて、これは有名でなく ても何でもいいと思うんです。それで100人というのと同じように、私たちは100の企業 を選びました。それで、いろいろな大から小までいくと、中小企業などでファミリーフレン ドリー企業の表彰に選ばれるところなどを見ると、結構地方だと小さな産業があって、 ついこの間どこかに行ったら女の船頭を使っている観光会社がありまして、このごろ有 名人になって起業も盛んで、娘船頭かと思ったら子持ち3人船頭だというのですっかり 気に入っちゃって、もう三十幾つのお母さんですけれども、本人がやりたいと言い、やり たいと言った人をやらせてみようじゃないかとやらせる経営者がいるわけで、そういう 小さいところから大きいところまでトップ100をやったらどんなものでしょうか。
岩男会長
ほかにもまだいろいろ御意見はあるかと思いますけれども、中間まとめ のイメージ案の構成と内容について御自由に御発言をいただきたいと思います。
山口委員
ガールズ・ビー・アンビシャスというメッセージの提案がありましたが、日 本の社会というのは割と野心という言葉が嫌なんです。本当はいいんですけれども、こ こはむしろチャレンジで前向きでいくということがいいと思うんです。それはちょっと気に なっていたので、皆さんどう考えられるか。
樋口委員
ボーイズ・ビー・アンビシャスという呼びかけが日本の男性の心を動かし 近代を切り開いてきたことを思うと、21世紀はガールズ・ビー・アンビシャスからだと 思っています。別にこだわっているわけじゃないです。基本的な理念というか、踏まえ る言葉です。
山口委員
この前、ピープルズにしようとか何とか、そんな議論は出ましたよね。男 とか女とか言わないでと。私はこれはいかがかなと思ったんですが、皆さんいかがで しょう。
樋口委員
日本の近代を切り開いた言葉が象徴的だったように21世紀はということ で、今度は、ボーイズに加えてガールズも志を持とうということなんです。
岩男会長
猪口委員はアスパイアリングとおっしゃったんですけれども、やはりちょっ とわかりにくいと思うんです。ですから、志を持とうの方がまだいいかと思います。
古橋委員
私は今度の提言の中で、やはり新しい制度改革というのは契約の面に おける制度改革、それからもう一つは短期の正社員、3年というものをもっと対象範囲 と期間を広げてやる。そういうことが女性の働き方の多様性というときには非常に大き い意義があると思うものですから、この短期間正社員について、なぜそれが必要かと いうことを言っていきたいと思います。
八代会長代理
今、古橋委員がおっしゃったのはすごく実は基本的なポイントで、厚 生労働省は短時間正社員は認めますけれども、短期間正社員は絶対とは言いません が認めないんです。なぜかというと、それは終身雇用を阻害するからであって、終身雇 用であれば短時間でも認めるけれどもと、そこはやはり短時間正社員と短期間正社員 は全然違うものですから。
古橋委員
それが私はまさにおかしいんだと思うんです。そこが労働団体なりいろ いろなところで、現在の人たちが不安定になるからそういうのは困りますよという考え はあるかもしれないけれども、しかし私は女性のいろいろな働き方を考えていけばそう いうようなものがあって、いろいろな多様性、それこそダイバーシティが一番社会にい いんじゃないかなという気がするんです。
竹信委員
長期雇用と終身雇用は違うと思うので、終身雇用というと生涯勤めない と大損するシステムですから、私はそれはやめた方がいいと思うんです。ただ、短期に してしまうとそこでもって雇う側がものすごく有利になるというか、不安定になるのは事 実なんです。それで、長期雇用だったら自分から必要ならば辞められるんです。ところ が、今、人々は終身雇用は辞めたらいけないと思い込んでしまっている。ここに間違い があるので、短期正社員を積極的につくろうというのは私は入れない方がいいんじゃ ないかと思います。
八代会長代理
竹信さんのおっしゃる短期というのは1年以内だと思うんですが、3 年とか5年でもそうですか。
竹信委員
3年も5年も同じですよね。
古橋委員
私は、例えば看護婦さんが出産等でどんどん辞めていくときに看護婦さんを採用 しようと思うと、3年間くらいだったらちょうど育児休業期間中に3年間で看護婦を雇おう と思う、そういう需要は今いっぱいあるんです。ところが、それができない。看護婦さん はパートか、雇ったらある程度永久に雇わなくちゃいけない。そういうふうになってしま うと雇えなくなる。したがって、私は女性の働き場所としては5年とか、あるいはだんだ ん育児休業が長くなってくるんだから、その期間に合わせた、そして正社員並みの資 格があるわけですから、そういうものを雇っていくことの方がよほど女性の機会が広が ると思います。
竹信委員
それは解雇要件の見直しとか整理でもってかなり対応できる話だと思う んですけれども、難しいんでしょうか。
古橋委員
解雇するというのは大変ですよ。
竹信委員
今のままではそうですね。
八代会長代理
そこは竹信さんのおっしゃるように解雇要件の見直しと代替的なん ですが、どちらにしても多様化の一つとして両方考えていったらどうかという考え方もあ ると思うんです。
 それから、このときに必ず大事なのは、いわゆる長期雇用あるいは終身雇用とそうい う3年ないし5年の有期雇用の代替性ということをすごく組合の人は心配するんです が、同時に1年間のパートタイムの不安定な仕事と、3年ないし5年の、少なくともその 間は雇用は保障されているわけですから、それとの代替性のどちらを考えるかという 問題であって、年収1,000万近いパートタイマーがいるわけですから。今、派遣も同じ 問題を持っていて、正社員に比べれば不安定だけれども、パートに比べればより安定 しているというか、派遣元が教育訓練をしてくれたり、いろいろなメリットがあるんです ね。だから、何と何を比較するかという視点がすごく重要で、だからこそ多様な働き方 の中に中間に位置付けられないだろうかということなんです。
竹信委員
その話は今の状況ではちょっと厳しいだろうなと思うんです。私も全部そ れがだめだと思っているわけでは本当はないんですけれども、現状でいくとちょっと厳 しいだろうなと思ってしまうものですから。
古橋委員
中庸を取るというのは非常に難しい話なんだけれども、やはり中庸という ものがあっていいんじゃないかなという気がするんです。終身雇用と臨時雇用の真ん 中を取るということです。
竹信委員
今、そういう制度の使われ方を取材で見ているものですから、そうすると 今は時期尚早かなという気がするんです。いきなりそれを入れてしまうと、もうあと3年 ぐらい待っていただけませんかという感じがちょっとしてしまうんですけれども。
岩男会長
大学などは人材の流動性ということで今、大体5年ぐらいの有期の採用 というのでむしろプラスに評価する。さっきのトップ30でもプラスにそれは評価されるん ですね。国を挙げて進めようとしているんです。研究者として考えているときに恐らくイ メージしているのは基本的には男性が多いんだと思うんですけれども。
竹信委員
職種や職場によってすごく違うので、それは余りにもあり過ぎるので、そ ういう意味で多分専門性の高いものならば全然問題なくて、むしろ逆にプラスになるん だというのはとてもよくわかるんですけれども。
古橋委員
今の職種がまだすごく制限されているでしょう。だから、その中でまず職 種を広げるということですが、有効なのになぜみんな賛成してくれないのかと本当に不 思議に思っているんです。
竹信委員
それはすごくひどい状況のものが現にあるからだと思います。その歯止 めが見つからないうちにそれをやってしまうと……。
古橋委員
ひどい事例というのは、どういうふうにひどくなるんですか。
竹信委員
自治体などの雇い止めの話とか。どんどん3年任期で変えていくわけで す。
古橋委員
それは最初から3年間とか5年間で雇うわけで、本人はそれを覚悟して いるわけでしょう。それで、よければ再延長すればいいんだけれども、本人は意識して その前提で入ってくるんだから問題ないんじゃないですかね。
竹信委員
雇う方は皆さんそうおっしゃるんですけれども。
八代会長代理
今の規定では再延長はできないんです。3年間だけで3年終わった らもうそこでその人を雇止めにするか、正社員にするか、どちらかしかないわけです。 それから、現実に地方自治体で雇っていてかなり問題なのは、今の3年間の有期雇 用の対象というのは例えば修士を持っているとか、すごく専門的な人で、かつ臨時的 な仕事ですから、逆にもしそういう人を自治体で補助的な仕事で雇うんだったら1年間 のパートにするしかないんですね。
 ですから、竹信さんのおっしゃることはわかるんですが、今、法律で非常に厳しく規定 され過ぎているからそういうひどい使い方の人しか使えないという、そういう一種の逆 矛盾みたいなことも起こっていると思うんです。
竹信委員
いずれにしてもそういう使い方が現にあるわけで、それをちゃんと分析し て歯止めをかけられていないという状況で、有期雇用拡大をうたってしまうのはまず い。まともな有期雇用をつくろうという積み重ねがもうちょっと出てきて、もうちょっとそう いうものなんだということが通用してからでいいかなという気が私はするんです。
古橋委員
だけど、パートと終身雇用との中間がないというのは、まさに多様性の 時代にいろいろな生き方を生きようとするときに非常に私は硬直的な考え方だと思うん ですけれども。
竹信委員
考え方じゃなくて事実なんです。私は事実を見ているからそう言っている わけです。哲学の問題じゃないんです。
古橋委員
事実で弊害があるのならば、それはそういうふうになったときに直してい けばいいんじゃないですか。
竹信委員
だから、直すために今その準備ができていないと言っているんです。有 期雇用がいいと言っている人は終身雇用の人なんですね。一部の学校の先生とか、 専門職などではそういうニーズがあるのはわかっているので、もちろんそれはそれで 対応していけばいいと思うんです。増やしていくということもいいと思うんですけれども、 ただし、あらゆるものにそれを導入するというふうにいうとちょっと誤解をされるだろうな という話なんです。
古橋委員
そうすると、有期雇用契約や裁量労働制等の見直しを検討といった表現 であればいいんですか。
竹信委員
これもボーダーですけれども、でもそこまでだめとも言えませんから。
古橋委員
私は逆にもっと踏み込んで言っていきたいと思ったんです。やはりこれだ け激変の時代にそれに対応した制度がないといけません。それを選択するのは個人 の選択なんだから。
坂東局長
正社員になるのはとても難しいが、なったらものすごく保障されていて、 それほどの働き、貢献をしなくても年功序列で処遇されるという働き方との余りの大き な格差があり過ぎると。
竹信委員
それはもちろん問題なんですけれども、でもそれは短期間を増やしてい けば大丈夫なのかということが今の情勢を見ているとどうも見えてこないんです。だか ら、実際にそこまでもし踏み込むんだったら、本来のこの研究会の中で短期間で雇い 止めになっている人の話を呼んで聞くべきだったんですね。大抵長期雇用の人が、こ の方がいいんじゃないかと言っているんです。
 だから、私は質の高い有期雇用制度や裁量労働制を検討するならばいいと思います が、それ以上言ってしまうと、何だばらばらの劣悪労働をまた増やすのかという誤解を 受けてしまって、この提言そのものがそっぽを向かれる可能性が今のところはまだあ るんです。だから、ずっとだめというわけではないんです。そういうニーズがあるという のもわかります。
古橋委員
では、客観的な資格がちゃんと認定できるようなことについて更にそうい うものを増やすと。
竹信委員
質の高いという感じでいいと思うんです。つまり、有給休暇などもきちん とある意味では保障されているとか、賃金もちゃんとしているとか、それからひどい扱 いを受けないとか、いろいろな意味ですけれども、それだったら私は問題ないと思いま す。
古橋委員
有期雇用契約というのはまさに有期の正社員として雇うわけでしょう。だ から、そういう点は全然問題にならないんじゃないですか。
竹信委員
ならないでしょうか。私はなると思います。
八代会長代理
恐らく運用の問題だと思うんです。3年でも5年でも正社員ですから 正社員と同じ待遇が保障されているはずなので、それが実態上守られていないから制 度自体が悪いということにはならないので、正社員だってひどい労働条件の人もいる わけで、そこは一律に労基法の問題ではないかと思うんです。
竹信委員
短時間正社員制度はいいんですよ。導入支援をすることも。それで有期 雇用契約が問題なんです。だから、これはいろいろな有期雇用契約があって、中には かなり質の悪いものがいっぱい入っていて、実はそれが比率で言うと割と多いんです ね。だから、質の高い有期雇用契約であればいいと思います。少なくとも80年代半ば 以降起きていることはかなりそういう質の悪い有期雇用ばかりが増えてきているという 認識ですから。
住田委員
今やはり状況が非常に失業者が多くて雇用情勢が悪いということは前 提になっているので、まだリストラし切れていないわけですね。そこら辺が桎梏となっ て、安上がりのそういう不安定な労働条件の人しか使えないという企業側のニーズが あるので、それを前提にしてしまうとこういうのも竹信委員がおっしゃるように悪用され る可能性はあるなという感じは確かにいたします。
樋口委員
少子化対策と子育て支援の部分は、どこかで触れていただいたほうが いいと思います。
住田委員
少子高齢化が急速に進展しつつある我が国においてとか、日本の社会 においてとか、そういう趣旨で。
岩男会長
そうですね。
樋口委員
女性のライフステージに応じてという感じで。これで育児も介護も入りま す。
岩男会長
文言については、積極的な前向きな表現としていきたいと思います。構 造改革なしには活力を取り戻すことはできないというようなことをきちんと言っていくと いうような、簡潔だけれども強いメッセージを出していくというような方向で提案したいと 思います。
山口委員
「構造改革と女性のチャレンジ支援」とか、「雇用システムの構築」といっ たキーワードや「女性の元気は男性のゆとり、社会の活気へ」という点をサブタイトル 等として生かしていただいて。この間、樋口さんは男女共同参画会議のときにいいこと を言われていたんです。活用という言葉じゃなくて活躍だということをおっしゃられて、 私はあれはなるほどなと思って感心したんですけれども、例えば女性の活躍による共 同参画はかぎとか、そういうような前触れがいいんじゃないかと思います。
樋口委員
人生50年社会から人生100年社会へと人生の方は構造的に変化してし まっているわけですね。その変化に対応する社会的改革が行われていないことが今 の閉塞状況なんだから、暮らしの構造改革と総理はおっしゃいましたけれども、人生の 構造的変化がすでに実現しているんですから、それに対応した事実に基づいた構造改 革が必須で、それがなかったらここから離陸できないんだということをもっと言ってもい いんじゃないでしょうか。
竹信委員
先ほど議論になったことでもう少しポジティブに提案すると、私も有期雇 用は絶対増やさない方がいいと思っているわけではないんです。ただ、さっき言った理 由で、労働条件の質の高いとか、質の高い有期雇用契約や裁量労働制へ向けた見 直しを検討とか、ポジティブな感じでいっていきたいなと思うんです。いいイメージの有 期雇用と労働裁量制というのはあると思うんです。確かに自発的なというか、自分から 選べるということで、それは必要だと思うんです。ヨーロッパなどは現に本当にそうなっ ているのは結構ありますから。
 ただ、日本では本当にイメージが暗いので、それでいくとまたそれをやろうとしている なというふうに絶対思われるんです。頭がすぐそっちにいってしまうし、現にそういう人 は多いです。だから、ここで言おうとしていることはそういういい労働条件の短期雇用 契約とか、裁量労働制をもっとたくさん増やしてみんなで伸び伸びと働けるようにしよう と言っているんだと思うので、質の高い有期雇用契約や裁量労働制に向けた見直しを 検討することにはだれも異論がないし、いいんじゃないかと思ったんですけれども。要 するに、労働条件がちゃんとしているということですので、そういうものが入れば納得す るし、古橋さんと八代さんの本来おっしゃりたいことはそれなんじゃないかなと思います んで。
岩男会長
それから、前にスローワークのこともおっしゃっていましたね。ですから、 そういうこともどこかにきちんと入れてと思います。
竹信委員
そういうことも含めて入れてくれれば、そういった過酷な感じのイメージが ぐんとなくなって、もっといいことを言おうとしているということがわかると思うんです。
岩男会長
それでは、全体の中間まとめのイメージの方は大体こんなことでよろしゅ うございますか。
 それから、ちょっと私の感想なんですけれども、好事例を挙げるということをいろいろ おっしゃって、それはサンプルとして挙げるのはとてもいいと思うんですが、私は好事 例から必要なことはもう少し分析的にというか、どういう共通項がそこにあるのかという ことを出さないと、ただこういういい例があります、ああいういい例がありますでは不十 分じゃないかなという感じがしますので。
山口委員
物語になっちゃいますからね。
樋口委員
別に事例を挙げなくても論理的でいいんじゃないですか。
伊藤委員
でも、事例があった方がわかりやすいですね。
樋口委員
モデル100とかはこれをPRしていく上でつくることで、今ここでしなけれ ばならないとは思わなかったんですけれども。
伊藤委員
ただ事例の呈示だけではなくて、ちゃんとどこが良いのか悪いのか分析 して整理するというのがないと、お話を読むだけで終わりというのでは困ると思いま す。
寺尾委員
私はさっきの100人の話を伺って、そういう冊子を是非つくってたくさん配 るということはとても大事だと思いました。
樋口委員
それで共通項を出してですね。
寺尾委員
分析だけの話だと、だからやって欲しいという声にはなっていかないと思 うんです。だから、一方でやってほしいという声を大きくしていくことはすごく大事で、分 析はある意味でこれまでもやってきて、いろいろビジョンやプランで言ってきているわけ ですから、その部分はそう思います。
樋口委員
付録に付けますか。
寺尾委員
先程出た"アンビシャス"も私はいいと思っていたんですが。チャレンジと いう言葉と呼応するような言葉が何か欲しいと思ったんですね。志でいいんでしょう か。NHKの朝のテレビドラマでガールズ・ビー・アンビシャスと言われて育った女性の 話がありました。今までボーイズ・ビー・アンビシャスというのが言われてはきたけれど も、ガールズ・ビー・アンビシャスは朝ドラは別にして言われてこなかったのですから、 そういう意味で女性が元気になって21世紀の日本の未来を開きましょうというメッセー ジとして悪くないと思います。アンビシャスを訳さなければ、それは野心とは取られな いと思います。ボーイズ・ビー・アンビシャスと言ったクラークの言葉が持っている明治 のころのあのイメージを持ってくるというのであれば、私は悪くないとは思ったんです。 やはりこの暗い時代に何か明るい材料をここに見つけましょうということはとても大事だ と思うんです。
山口委員
何かいい言葉を見つけましょう。それで、このごろは横文字を使うと怒ら れるんです。できるだけわかりやすいようにやはり日本語の持つ、漢字の持つよさで 何かいいのをつかまえて。「ボーイズ・ビー・・・」も 私たちぐらいだったら札幌のポプラ 並木と一緒に思い出すけれども。
寺尾委員
そうすると、何と言ったらよろしいんでしょうね。そこは解説がないとだめ ですか。
岩男会長
まだいろいろ御意見もおありだろうと思いますが、時間もまいりましたの で本日言い尽くせなかった御意見につきましてはまた今月末までに事務局にファック スでお送りをいただきたいということでお願いをしたいと思います。
 それでは、どうも大変ありがとうございました。これで閉会にさせていただきます。

<後日追加のあった各委員からの意見>

岩男会長
1)「こういうことをしましょう」というアピール性のあるものにすべき。
 2)全体の構成は、阻害要因があってそれに対しどのようなチャレンジ支援策があるか というものにした方がよい。その際、現状については、参考として添付してはどうか。
八代会長代理
女性起業家数の日米格差が大きいとしても、仮にそれが男女にか かわらず大きいということであれば、別の問題ではないか。男性の方も比較して格差 が日米でどうかを比較すべきではないか。
伊藤委員
女性のチャレンジ支援の位置付けに、国際的な視野が必要なのではな いか。例えば、ダボス会議の指摘にもあるように、女性の経済活動への参加の低さ が、日本の経済・社会の弱点であることは、どこかで書き入れた方がいいのではない か。国際的な競争の中で、女性の社会参画の度合いがその国の民度や成熟度を示 す指標の一つになっていることを書くことで、政界、経済界などへの意識に働きかける 必要があると思う。
北村委員
  • 再就職支援に関して、子育ての退職に加えて、「高齢者介護で休業し た女性が、復帰や継続をあきらめないための措置」にも言及を。
  • パートから正規雇用へのシフトシステムの整備に言及を。
  • 実際に起業し、成功している女性の事例を、起業を希望する女性のモデルとして提 示するために、女性経営者の協力者ネットワークなどを活用、希望者との接触を図る。
竹信委員
  • 業種や規模ごとの女性の活躍状況や好事例等、目に見える形での情 報の収集及び提供かと思うが、さらに職場での男女の達成度について起業からの報 告制度を義務づけられないか。管理職比率も大切であるが男女別の募集を禁じるよう になってから、各企業がどの程度女性を採用しているのか、登用の前の段階として把握すべき。「女性の管理職が必要だ」といわれているにもかかわらず、現在管理職候 補の年代の女性がきわめて少ないといった状況になっている。
    母集団が少ない中での女性管理職は発言権が弱く、女性の昇進が、女性の底上げ にはつながらない状況が生まれている。国連などで「3割を女性に」と数値目標を挙げ ることが多いのは、10‐20%程度では女性が働きやすい組織に変えていく力になら ず、かえって状況が厳しくなるからといわれている。3割を超えてやっと、組織そのもの を変える力になりうる。こうした状況を是正するためには、女性の採用比率を含めた男 女平等についての現状把握が不可欠で、報告制度の導入が必要。
  • チャレンジ支援のネットワーク等環境整備について、「職業紹介、職業訓練等」のた めのハローワーク等地域における支援機関との連携に加え、求職活動中、又は働き 始めてから不当な扱いを受けた人々の問題を解決するため、条例で規定した苦情処 理機関や支援NPOと連携することが重要。
高橋委員
  • 意欲と能力がある女性が活躍できる職場づくりとして、子育てが終わっ て再就職しようとする女性等が、必要な情報を簡単に入手できるようにしていくことが 重要。関係機関をネットワーク化してトータルでシステムを作り、ワンストップサービス が受けられるようにすべき。
  • 経済分野における女性のチャレンジを促進する取組として、公契約における取り組みは重要。例えば、入札参加資格の登録の際の評価項目の一つとして男女共同参画 の推進状況を盛り込むといった取組が考えられる。その場合、均等法違反の指導の 有無を点数化するなど、評価方法は明確であることが望ましい。
寺尾委員
  • 雇用の分野において男女ともに能力や意欲がきちんと評価されるべ き。
  • 一旦就業を中断した女性の再チャレンジ支援を充実させるべき。中年層の女性の再 チャレンジの強調が必要。
樋口委員
  • 女性による町づくりに挑戦している女性を事例として紹介したい。
  • 次のプランを提案したい。
  1. ガールズ ビー アンビシャス・プラン
    • 少年少女の夢大募集。各賞を必ず男女同数選ぶ。
    • 少女のリーダーシップと発表能力、ディスカッション能力を養成するプログラム作りと 実施。
    • パパ(ママ)の職場ツアーを推奨。
    • 国際的な少女の集会、シンポジウムを開催してはどうか。
  2. ウィメン ビー アンビシャス・プラン
    • 好事例集「100人から聞きました」を作成してはどうか。
       →再就職(再入学を含む)、起業、転職、転身、1つの企業内でのチャレンジ等、多様な 事例を集め顔の見える多様なモデル作りを行う。
    • 仕事と家庭両立ライフ型の企業と行政のネットワークつくり(イギリスのオポチュニ ティ・ナウのような。)を推進すべき。
    • 女性の活躍を進めようとする男性管理職への研修の機会提供。経営者団体などに 女性のチャレンジ支援を常に考えるフォーカルポイントを作る。
    • 再就職プランの開発と実行。奨学金貸与。EX.「再チャレンジプラン」を募集し、該当 者に奨学金を与える他、政策が人目に触れる機会を増やす。
    • 子育てネットワーク等当事者能力を持って新しいアイデアで地域に参加している女性たちへの支援をすべき。
  3. シニアウーマン ビー アンビシャス・プラン
    • 日本の高齢女性は、21世紀半ばには人口の4分の1~5分の1を占める。高齢女性 の動向が日本を、ひいてはアジアを左右することを踏まえ、高齢化に取り組む女性の 国際的ネットワーク作りを支援する。
    • 高齢女性の健康作り支援の充実。
    • 高齢社会における住宅のあり方などについて、女性側の発信が多い。高齢女性の 活動にチャレンジ支援をすべき。
古橋委員
  1. 柔軟で多様な働き方を選択できる社会へ
     -短期正社員制度の推進(有期労働契約の規制緩和)-

    女性の長期的なチャレンジを可能とするような柔軟で、多様な働き方ができるよう な支援が必要である。このため、多様な働き方の一つのあり方として、「短期正社員 制度」を推奨してはどうか。
     日本の長期雇用システムでは、雇用保障が厳格なためフルタイム正社員としての 中途採用が非常に難しい。また、現行の短期(有期)契約制度は、原則として1年を超 えない期間を定めた有期契約を締結することになっているが、一部の高度な専門知識 を必要とする業務等や満60歳以上の労働者の間に締結される労働契約は3年まで認 められ、その適用範囲が限定的なため、制度自体の制限が厳しく、再就職を希望する 能力のある人材を活用することが難しい。
     このため、「拘束性の高いフルタイム正社員か補助的なパート」の二者択一ではなく、 中間的な働き方として、残業、転勤などの拘束性は少ないが基幹的な仕事をする短 期間正社員など多様な働き方を認め、フルタイム正社員と統一的に雇用保障・処遇を 行うことが、企業の活性化を促進し、個人のゆとりにもつながると考える。
     従って、有期雇用の期間制限を3年から5年に延長し、適用範囲を拡大するなど現行 の制限を緩和するとともに、短期間でも正社員と同じような処遇で、能力のある人材を 活用することが望ましい。

  2. 公契約における男女共同参画の推進について
     「公契約」については、我が国の契約制度の原則である「公正性、経済性」から みると、男女共同参画の推進状況を入札参加資格の登録要件として求めることについ ては、検討を重ねることが必要ではあるが、例えば建設工事の入札参加登録資格の 登録要件における評価の中で「ISOの取得状況」や「障害者雇用の状況」を点数化し、 評価している地方自治体の取組を参考に、「男女共同参画推進状況」を求めることを 提言してはどうか。その際、客観的かつ透明性の高い評価がなされることが必要であ る。
     例えば、
    • <1> 厚生労働省の都道府県労働局雇用均等室から労務管理面における指導を受け ていないこと
    • <2> ポジティブ・アクションの計画を策定している企業などについては、点数化するなどの積極的評価を行うなどが考えられるのではないか。
松田委員
  • 「どのようにして女性のチャレンジを支援するか?」あるいは「何ゆえに 女性のチャレンジ支援が必要なのか?」ということも重要だが、現在の差し迫った状況 (と私は考えています)のもとでは、女性のチャレンジ支援が何を目指すのかを具体的 に示し、女性のみならず社会全体にモチベーションを与えることが急務。
  • 均等原則の下における同一労働同一賃金という考え方の確認ならびに制度の普及 が必要。
  • 公契約もしくは政府調達における雇用均等推進企業に対する優遇税制制度の導入 が必要。

    (1)「(公)契約制度は、会計制度の一環として予算の執行についての手続きを定める ものであるから、契約の実行を通じて、一定の行政目的を達成しようとするような内容 を含むことは契約制度の本旨にもとるものといわなければならない。また、行政目的を 達成するための内容を契約制度に含める時には、契約制度上、公正性の原則を失 い、経済性の原則も確保することができなくなる」(岡田康彦編『新訂会計法精解』大蔵財務協会、昭和63年)と言われている。したがって、予決例72条1項ならびに自治 令167条の5が定める「・・・経営の規模及び状況に関し、一般競争参加者に必要な資 格・・・」にいう「経営の状況」には、このような一定の行政目的を達成するためのもの は含まないと解されている。

    (2)しかしながら、他方、中央建設審議会は平成5年の建議「公共事業に関する入札・ 契約制度の改革について」の中で、競争参加資格審査における「その他の評価項目」 の中に「労働福祉の状況」などを加えることを提言している。

    (3)また、労働弱者の雇用促進対策と言う政策を掲げている自治体が労働弱者で構成 されていると判断した特定企業と随意契約した事案について、「競争入札に適しない」 か否かの判断に当たり、当該地方自治体の政策決定又は政治的要素を考慮されると 判示した裁判例(山口地判平成4年3月5日、判タ793号150頁)があり、既に環境政策 の面で実行されているこうした措置が労働政策特に雇用政策面に及びつつある。

  • いずれにせよ、現在我が国が置かれている状況は、1950年代の後半から1960年代 のはじめにかけて、アイゼンハウアー政権後のアメリカが直面した直面した経済活動 の停滞による国民活力喪失の時代に酷似している。経済活動のみならず国民の活力 を回復するためにも、新たな競争関係を作り出す政策が必要であり、それがまさに男 女共同参画の推進ということであろうと考える。
山口委員
  • 家族・家庭、近隣関係、ボランティア活動等、多くは女性が担っている 無報酬労働について、以前、経済企画庁が試算をしたが、当調査会でも独自に取り上 げる必要がある。「経済分野」での構造改革とは、報酬と無報酬を不可分としてとらえ る考え方を入れることによって男女共同参画社会の意味が明確になると思う。基本法 には、男性の社会参画やボランティア活動を明記しているが、男性が無報酬労働を理 解しない限り、この項目は男性の単なる「余暇の善用」になってしまう。
  • 配偶者控除がなくなるということは、「専業主婦」がなくなるともいえる。私は、女性も 当然、労働による報酬を得て自立することだと考えている。将来を選択する助成に「多 様な生き方」ということでよいのか、仕事をもつことが当たり前であるとの方向性を調査 会として出す必要はないか。
  • 公共事業の審査に関し、「男女共同参画」を新しい環境条件として加えたい。育児、 介護等への支援を受けているかについて聞くことは、企業が働く環境に留意している ことを表すので項目に取り入れたい。
  • 女性のSOHOは、もともと大企業への女性参入が困難なことも一因にある。日本経 済の下支えは中小企業であり、不況下で倒産も多いことから、SOHOも同様ではない か。SOHOへの支援策は融資もさることながら倒産を防ぐ方策が検討できないか。
  • 「チャレンジする女性たち」として、学術・芸術・文化・スポーツ等分野での世界的活 躍が目覚ましい女性たちの活躍をもっと社会に紹介しチャレンジを奨励したい。
  • 国の女性センターについて、ヌエックの情報・学習と未来館の仕事はそれぞれ独立し て事業を推進しているが、両者の事業の緊密な連携を深めることは、共同参加施策の ため効果的である。

(以上)