男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会

  • 日時: 平成15年5月30日(金) 10:00~11:16
  • 場所: 内閣府5階特別会議室
  1. 出席者
    • 島野 会長
      原  会長代理
      大津 委員
      奥山 委員
      垣見 委員
      北村 委員
      小谷 委員
      住田 委員
      瀬地山委員
      林  委員
      前田  委員
      若林 委員
  2. 議題
  3. 議事内容
    島野会長
    ただいまから、男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会の第23回会合を開催いたします。
     前回の会合では、「女性に対する暴力全般」について、これまでの本専門調査会で出された意見を整理しました。本日は、これに対する関係省庁からの意見聴取を行います。したがいまして、内閣府に加え、警察庁、総務省、法務省、外務省、文部科学省及び厚生労働省の担当課長等に同席いただいております。
     それでは、本日の配布資料等につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
    久保内閣府男女共同参画局推進課長
    それでは、本日の資料について御説明させていただきます。
     まず資料の1でございますけれども、これまでの御意見の整理でございます。これは前回、9月の第22回専門調査会で配布させていただきました資料を、その会合での御意見を踏まえて加除訂正いたしたものでございます。本日は、これに基づきまして関係省庁からの意見聴取が行われる予定でございます。
     続きまして資料の2でございますけれども、関係省庁説明用資料でございます。このうち、資料の2-1は内閣府から提出させていただいておりますけれども、出版等の関係業界の自主規制の状況、また「青少年の保護育成に関する都道府県条例規制事項一覧」につきまして、説明の時間は設けておりませんけれども、検討の御参考にしていただければと思っております。
     それから、ただいま御説明いたしました資料1、2につきましては、委員の皆様方に速達またはファックスで送らせていただいているところでございます。
     それから、本年度も来月の12日から25日までの2週間、「女性に対する暴力をなくす運動」を実施いたします。内閣府では、本日席上に置かせていただいておりますリーフレット約8万枚と、同じ図柄のポスター約2万枚を各省庁、都道府県や関係団体に配布するとともに、新聞、テレビ、広報誌、ホームページ、携帯電話などの各種媒体を通じた広報啓発活動を実施中でございます。
     更にまた緑色のチラシのとおり、「女性に対する暴力に関するシンポジウム」について、来月の25日に開催予定でございます。今回は基調講演を南野参議院議員と瀬地山委員にお願いするとともに、パネルディスカッションなども予定しているところでございます。
     そのほかといたしまして、配偶者暴力防止法の見直し作業に関する要望書を、dpi(障害者インターナショナル)日本会議と東京弁護士会からいただいているところでございます。以上でございます。
    島野会長
    それでは、本日の議題である「女性に対する暴力の今後の課題についての関係省庁からの意見聴取」を始めます。
     なお、関係省庁への質問については意見聴取が終わった後にまとめて行うことにいたします。また、時間がなくなった場合には、次回の会合以降、各課題の検討の際に行うことにいたします。
     それでは、警察庁からお願いいたします。
    吉田警察庁生活安全局生活安全企画課長
    私から論点はたくさんあるんですが、幾つかコメントしておきたい点についてだけ申し上げたいと思います。
     資料1の順番にいきたいと思います。まず盗撮に関する法整備についてであります。盗撮についてはお手元の資料にも3つばかりの都道府県の条例を添附しておりますが、すべての都道府県のいわゆる迷惑防止条例において、卑わい行為の禁止という中で痴漢とか盗撮、これを一括して卑わい行為ということですべての県で規制がございます。それに基づいて、警察では盗撮も含めた卑わい行為の取締りを行っているわけであります。
     具体的に盗撮のみ何件ということはわかりませんけれども、卑わい行為全体で大体年間4,000人以上を検挙しているところであります。罰則を見ますと、都市部を中心に卑わい行為の罰則は高くなっているということで、大体都市部では6か月以下の懲役、50万円以下の罰金ということであります。盗撮だけが重いというのは東京都でありまして、1年以下の懲役、100万円以下の罰金ということでございます。
     あとは痴漢の取締りの徹底でありますが、これも盗撮と同様、この条例の卑わい行為ということで強制わいせつに当たらないようなものを取り締まっております。強制わいせつが昨年1年間で3,400件ばかり、それから卑わい行為は先ほども申しましたように全体で四千数百件程度検挙しております。
     公然わいせつでございますが、公然わいせつの取締りについてはストリップショー等を除く、要するに陰部を出すというような態様などについては、大体年間1,500件ばかり検挙しております。そういった意味で、公然わいせつは痴漢の一類型としてもあるという認識で取り締まっております。女性が被害に遭う公然わいせつというのは500件近く、子どもの被害というのは300件ばかり検挙しています。
     それから、被害者への配慮とケアということでは自前で臨床心理士資格等を持っている職員を雇ったり、研修を行ったりしていますが、精神科医とか民間のカウンセラーとの連携も全国の都道府県で被害者施策一般ということで図られております。
     次に女性警察官の採用の拡大でございますが、今、全国で女性警察官は1万人を超えております。10年前の約倍になっております。年間採用は昨年は1,100人であります。これも10年前の採用数の倍、前年よりも300人増やしているということで、逐次女性警察官の数を増やしているところであります。
     大きい3点目は、犯罪の予防の中の性犯罪を助長するおそれのある雑誌等の制限についてであります。これはほかの省からもあるかと思いますので簡単に申し上げますと、わいせつ物頒布等ということで刑法あるいは青少年保護条例で取り締まる。もう一つは風俗営業等取締法で個室ビデオとかアダルトショップについて規制をするようなこと、それからネット上でもポルノ映像を流すようなものについては風俗営業法で子どもを客としてはいかぬというような規制を行っております。
     それから、インターネットについてでありますが、出会い系サイトの規制法というものが前国会でできたところであります。そういった意味で、自主規制等とも連携をしながら取締りも行っているところでございます。
     それから、いわゆる児童売春・買春でありますが、これは児童買春・児童ポルノ法に基づいて検挙を積極的に行っているほか、被害少年については精神面をも含めてカウンセリング等に努めているところであります。
     なお、低年齢者を対象とする統計の実施ということでありますが、お手元に資料を配布しておりますが、これは既に児童買春・児童ポルノ法違反について被害少年の人員の学職別統計をとっており、ホームページで公表する等、公にしているところであります。
     トラフィッキングについては刑法の略取誘拐、監禁であるとか入管法、児童買春・児童ポルノ法、職業安定法、売春防止法等によって取り締まっているところであります。それからまた、外国の捜査機関等とも連携を図っており、そういう事例も見られるところであります。
     それから、外国人被害者の支援であります。これも女性ということで女性の扱い一般と同じように女性警察官による取り調べ、それから婦人相談所あるいはカウンセラー等との連携をするようにということで都道府県を指導しているところであります。
     それから、ストーカー行為についてであります。警察が行う対応の明示ということでございますが、どういうことができるのか、どういう取締りができるのか、どういう対応ができるのかということは警察庁、それから県でパンフレットあるいはビデオ等もつくって広報に努めているところであります。
     それから、ネットワークの形成については一般的に被害者支援ということで各都道府県レベルで警察と関係の機関あるいは民間のカウンセラーとの連絡協議会が警察本部レベル、それから警察署レベル等でも全国でできて、必要に応じて連携を図っているところであります。
     それから、加害者への対応の注意ということであります。加害者に対して不用意に対応した場合にはかえってひどくなるというようなお話かと思いますが、もしそういう事例が具体的にあればよく調べてみたいと思いますので、いつでも指摘をいただければと思います。
     それから、ストーカー相談事案の措置結果の集計でございます。これはお手元の資料に配布しておりますが、ストーカー規制法に基づく措置状況、ストーカー規制法以外の法令による検挙状況、あとは防犯指導とかパトロールとか、そういう任意の行政措置ということで集計をして警察庁のホームページで公表等を行っているところであります。資料のとおりでございます。
     それから、配偶者暴力防止法との連携強化でありますが、配偶者からの暴力事案でもストーカー規制法に定める要件を満たせば適用が可能でありますので、実際にも適用しているところでありますが、さらに積極的に適用するようにということで指導をしているところであります。以上、概要でございます。
    島野会長
    ありがとうございました。それでは、次に総務省からお願いします。
    橋本総務省情報通信政策局情報通信政策課コンテンツ流通促進室課長補佐
    総務省からは資料1にございますこれまでの意見の整理でまいりますと、「1.性犯罪」の「(3)犯罪の予防」の中のインターネット等の制限の自主規制という点に関係しまして取組みを御説明させていただきたいと思います。お手元の資料の2の3に沿って御説明申し上げます。
     総務省におきましては、インターネット上の違法有害なコンテンツに対する取組みといたしまして、安心して見られるという選択肢をユーザーの方にお示しするという観点から、まず1点といたしましてコンテンツ安心マーク、これは仮称でございますが、制度の創設の推進に取り組んでいるところでございます。
     施策の概要でございますが、コンテンツ安心マークというものを付与されているインターネット上のコンテンツのみ見られるようにするために、その審査基準をまず策定するという内容でございます。この内容につきましては、それぞれのサイトごとにマルかバツか決めるということではなく、これについては物理的になかなか困難な面もございますので、アンダーラインを引いてございますが、サイト単位ではなく開設者単位で運営体制等について安全性を審査し、安全と認められたものに対してマークを表示する権限を付与するという仕組みを検討しているところでございます。これはいわゆるブラックリスト方式に対しましてホワイトリスト方式と言う場合もございますけれども、安心して見ることのできるエリアを確保するという観点の取組みでございます。
     次のページで、いま一つ、技術的な対応といたしましてモバイルフィルタリング技術の研究開発に取り組んでいるところでございます。現在、インターネット上ではパソコンで見られるサイトにつきましてはサービスとしてフィルタリングサービスというものが行われているんですけれども、携帯電話等のモバイル端末につきましては現在そのようなサービスはございませんので、このモバイルにつきましてもフィルタリングができるような技術開発をする必要があるというところで取り組んでいるところでございます。このような、本来見たくないようなものは見ないで済むような選択肢を提示することによって自主的な、健全な流通が行われるということを目的とした内容でございます。
     総務省からは以上でございます。
    島野会長
    ありがとうございました。それでは、次に法務省からお願いいたします。
    白濱法務省刑事局参事官
    説明資料といたしましては、資料2-4を御覧になっていただきたいと思います。
     まず第1に1の(1)のアの「強姦罪の法定刑の引上げ」ということでございます。法定刑につきまして、そもそもそのときの罪質や他の罪の刑との均衡、あるいはその犯罪による被害の内容、程度等、種々の点を考慮して定められているものでございます。法務省といたしましては、近年におきましても特に性犯罪の被害者への配慮という観点から強姦罪の告訴期間の撤廃あるいは被害者保護ということでビデオリンクの導入などの法整備を行ってきておりますけれども、強姦罪の法定刑というものにつきましても他の凶悪犯罪の対処の在り方の問題と合わせて今後検討してまいりたいと考えておるところであります。
     次にイの「盗撮に関する法整備」でございます。先ほど警察庁さんからも御説明がありましたけれども、この盗撮事案につきましては先ほどの条例のほかに住居侵入あるいは軽犯罪法によって一定限度で処罰することは可能でございます。もっとも、住居侵入はともかく、軽犯罪法あるいは条例違反について法定刑がやや軽いという御指摘があることも承知しておりまして、その諸事案について新たな罰則の整備というものは検討課題であると認識しております。
     ただ、この盗撮と申しましてもいわゆる肉眼で見る場合、あるいは双眼鏡等で見る場合、いわゆる窃視、盗み見でございますけれども、このような類似行為についてどこまで当罰性がある行為として処罰の対象とすべきかという問題や、プライバシーに関わる話でございますので、裸体あるいは下着など以外のことに関する人に知られたくないというプライバシーでございますね。例えば室内での盗聴、そのようなことをどのように保護していくかという問題もありますので、いわば保護法益と絡めて今後、慎重に検討すべき問題であろうと認識しているところであります。
     次にウの「痴漢、公然わいせつの取締りの徹底」、これは先ほど警察庁さんから御説明がありましたし、これらについて取締りを徹底していくということは当然でございます。
     次にエの「ptsd以外の精神障害の傷害罪等の対象化」ということでございますが、刑法の傷害罪等における傷害について最高裁は「他人の身体に対する暴行によりその生理的機能に障害を与えることである。あまねく健康状態が不良に変更した場合を含む」としておりまして、また暴行によらない障害も同様の傷害に当たるとしているところでございます。したがいまして、人の精神的機能に障害を与える場合、これも人の生理的機能に障害を与える場合に含まれるわけでございまして、精神障害を与えた場合も傷害罪等の傷害に当たり得ると考えられまして、実際精神障害に傷害罪等を含めた裁判例も存在するところであります。
     もっとも、もちろん個別事案におきましては当然ながら具体的な症状や医師の診断書に基づいて具体的な判断をする事柄であろうと思っております。
     それから、(2)の「被害者女性の立場に立った刑事手続の実施」という項目でございます。これについてはお手元に『犯罪被害者の方々』へという小冊子を置かせていただいております。この目次を見ていただきたいと思いますが、この小冊子の中には検察庁を中心とした刑事手続の流れ、それから被害者支援のための一般的制度、検察庁では被害者支援制度というものを置いておりますが、その制度あるいはホットライン、いわゆる電話番号でございますが、こういうものについて紹介しているわけでございます。この小冊子は平成14年度から配布しておりますけれども、平成14年度は全部で30万部、それから平成15年度は足りない分を補うということで10万部、主に各地方検察庁に配布しておりまして、御要望があれば各警察署にも置かせていただいておるところでございます。
     次に(3)の「性犯罪を助長するおそれのある雑誌、ソフト、ビデオやインターネット等の制限」でございます。わいせつ物の頒布、販売あるいは公然陳列等についてはそもそも刑法により処罰の対象となっておりまして、雑誌等の販売もここに該当するわけでございます。また、インターネット上でわいせつ画像を含む電子データをサーバーのハードディスクに記憶蔵置してアクセスしてきた不特定多数の者にこの画像を閲覧させる場合にはわいせつ物の公然陳列罪が成立するという裁判例もございまして、これらの規定を厳正に今、適用しているところであります。
     更に新しい形態として電子通信によるわいせつな電子的記録の頒布、これについて処罰することができるように本年9月に法制審議会の答申を受けておりまして、現在その法案について準備中でございます。
     次に「児童ポルノ頒布等の罪」でございます。児童ポルノの頒布、販売、公然陳列等については児童買春・児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律により処罰の対象とされておりまして、雑誌等の販売にとどまらずインターネット上での先ほど申し上げたわいせつと同じような公然陳列については犯罪が成立するとされております。
     更に児童買春・児童ポルノに対して厳しい態度で臨むということの宣明をするということ、更に現在の児童買春の法定刑の引上げ、それから条約上の義務に対する対応でインターネット上の児童のポルノの電子画像の送信行為等でございますが、これについて一部改正の法律案が議員提案により平成15年の通常国会に提出されたわけでございますが、衆議院の解散により現在は廃案になっているところであります。
     次に2の「売買春等」であります。(1)の「売買春一般」の厳正な取締りでございますが、売春防止法で処罰される行為について厳正な取締りを行うということはもとより当然のことであります。
     「児童買春」の関係でございますが、児童買春の法定刑の引上げ等については先ほど申し上げましたように平成15年度の通常国会に議員の方で提出されて、今後その推移を見守るということであります。
     次に(3)の「人身取引(トラフィッキング)」の関係でございますが、アの「加害者の処罰の強化」、これは先ほど警察庁さんから説明がありましたけれども、刑法あるいは職業安定法、労働基準法、入管法、売春防止法、風営法、児童福祉法等々によっておおむね処罰されているだろうと考えております。
     イの「国際組織犯罪防止条約及び同条約人身取引補足議定書」でございます。国際組織犯罪防止条約については平成15年の通常国会で承認されておりまして、15年の通常国会におきましてこの条約締結のための法律案を提出しておりましたが、審議未了のため廃案とされたところでございまして、現在再度提出のために準備している段階でございます。
     それから、昨年12月9日に署名されました人身取引の補足議定書でございます。これにつきましては、そのうちの人身取引に関してはおおむね現行法で処罰されていると考えているところでありますが、ただ、すべて現行法で処罰が担保されているかどうかに関しては、現在関係省庁と協議しながら調査検討をしているところでございます。
     次にウの「国際協力の促進」でございます。いわゆる捜査共助あるいは犯罪人の引渡しという問題に関しましては、条約があればもちろんそれに基づいて行うわけでございますが、条約を締結していない国も国際法に従っていつでも行うことが可能でございます。トラフィッキングという国際的な犯罪に対処するため、今後とも法務省といたしましては関係国と協力を深めていきたいと考えているところでございます。法務省からは以上でございます。
    島野会長
    ありがとうございました。次に、外務省からお願いいたします。前回会合で北村委員から質問のありました、「インターネット上において性犯罪を助長するおそれのある情報を規制する国際的な規約等はあるのか否か。」についてのお答えを含めてお願いいたします。
    前川外務省総合外交政策局国際社会協力部人権人道課企画官
    当省の関係では、資料1の3ページの「人身取引」に関しまして特に今、法務省の方からも御説明がありましたけれども、国際組織犯罪条約、それから人の密輸に関する議定書批准に向けた準備作業を鋭意進めている最中でございます。
     それから、「人身取引」の項目の最後のところの国際協力ですけれども、これにつきましてはお手元の資料2-5の3ページ目にお配りしていますが、人身取引の協力に向けた国際的な啓発等々を目的としまして、例えばシンポジウムですね。これは今まで幾つかやっておりますけれども、2000年にはアジア・太平洋地域に関する人のトラフィッキングについてのシンポジウム、それから2001年と今年の2月には児童に焦点を当てたトラフィッキングに関するシンポジウムを行っております。
     それから、東南アジア等々を中心にアジア地域における協力の枠組みとして2にいわゆるバリ・プロセスという「人の密輸・不法移民及び国境を越える犯罪に関する地域閣僚会議」というものが2002年からスタートしておりまして、これに関する会合というものがこれまで2回開かれております。内容としましては国際地域協力、情報の共有、それから政策法整備、法執行、こういった分野に分けてそれぞれ意見交換と、それから政策に関する今後の在り方について協議をしているところでございます。
     3つ目ですが、国際移住機関という国際機関がありますけれども、ここを通じて東南アジア、ベトナムとかフィリピンとか、こういったトラフィッキングが問題となっているような地域におけるいろいろな啓発のためのプロジェクトあるいは支援プロジェクト等々を実施しております。更に、我が国が国連に設けております「人間の安全保障基金」というものがございます。ここを通じましても東南アジア、例えばカンボジア、ベトナム、フィリピン等々で活動をしている国際機関を支援する形で幾つか協力を進めております。
     以上がトラフィッキングに関する当省の関係の取組みでございますけれども、先ほど御指摘がありましたインターネット上の性犯罪を助長するおそれのある情報を規制する国際的な規約等に関しては資料2-5の1ページ目にお配りしましたサイバー犯罪条約というものがございまして、この条約の中に児童ポルノに関する犯罪を規制していこうという内容がございます。具体的には、児童ポルノをコンピュータシステムを通じて頒布をしたり、頒布をするために製造したり、アップロード、それからリンクを張ったりすることによって利用可能化する行為を各締約国が国内法上の犯罪とするということを定めております。
     また、手続面ではこういった犯罪取締りを容易にするためにコンピュータデータの保全や提出、捜索、押収等についても定めてございます。この条約につきましては既に我が国としては署名を済ませておりましてできるだけ早い段階、できれば次の国会等での締結を目指してただいま準備している最中でございます。当省の関係では以上でございます。
    島野会長
    ありがとうございました。次に、文部科学省からお願いいたします。
    大木文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長
    文部科学省の資料は2-6というものでございます。「教育現場におけるセクシュアル・ハラスメントへの対策について」ということで、文部科学省に関しましてこれまでの意見の整理の中で指摘されています事項について考え方を御説明したいと思います。
     セクシュアル・ハラスメントは個人の尊厳、人格を侵害するもので、勤務環境、修学環境を害する重大な問題でございます。特に教育現場であります学校においては絶対にあってはならないことでございまして、事案が発生した際には速やかに被害者救済・保護を行いますとともに、事実究明を行い、厳しく対処することが重要と考えております。
     「大学におけるセクシュアル・ハラスメントへの対策について」でございますが、まず国立大学につきましては、文部科学省を設置者としまして国立大学等の教職員を対象とした訓令を制定いたしまして、その中で各国立大学等における啓発活動の実施や相談体制の整備等を義務づけております。この訓令を受けまして、各大学においてはセクハラ防止に関するガイドラインや倫理規定等の作成、すべての教職員、学生を対象とした研修会の実施など、学内におけるセクハラ防止のためにさまざまな対策を実施しております。公私立の大学につきましては、原則として設置者である地方公共団体や学校法人、それから各大学のそれぞれの権限と責任に基づき、対応が図られるものと考えております。
     文部科学省といたしましては、国立大学等の教職員を対象とした訓令を各公私立の大学に対しましても送付いたしまして、当該訓令の趣旨を踏まえて啓発活動の実施や相談体制の整備等、セクシュアル・ハラスメントの防止等の積極的取組みの要請をしているところでございます。
     各大学における取組みの現状につきましては、文部科学省におきまして調査を行っており、その結果を配布資料の参考の<1><2>に示してあります。参考の<1>にございますように、国立大学のほぼすべて、大学全体でも82%でセクシュアル・ハラスメントの相談窓口が設置され、国立大学の96%、大学全体でも75%で調査対策機関が設置されております。
     それから、参考<2>にございますように全国の381の大学でセクシュアル・ハラスメントに対するガイドライン、倫理規定が設定され、201の大学で研修会が開催されるなど、各大学において取組みが進んでおります。これは、調査をした時点が若干古いわけでございますが、その後、13年度の時点ではセクハラに関する相談窓口を設置していなかった大学におきましても、現在相談官を置いて個別に対応をしておりますし、13年の時点で全学的な調査・対策機関を設置していなかった国立大学につきましても現在、相談窓口や相談官の設置などにより対応したり、対策機関の設置を検討しているところもございます。セクシュアル・ハラスメントでございますが、対応によっては信用失墜行為等に該当するものでございまして、各国立大学においては懲戒処分等を厳しく運用いたしております。
     「大学内の連携の強化」というものが2番目の御指摘でございますけれども、この問題の解決のためには例えばセクハラ相談員個人のみによって対応するのではなく、システムとして相談の結果等が適切に大学の教職員に伝わり、かつ大学の運営に反映させる仕組みを整えることが重要であると考えております。文部科学省といたしましても、相談・苦情を受けた場合には相談窓口と人事部門等の連携によって円滑な対応を行うよう、各大学にお願いしているところでございます。
     それから、「外部の独立した第三者機関の設置について」はペーパーの中で御指摘がなされておりますけれども、先ほど御説明いたしましたようにセクハラの相談窓口や調査対策機関の設置などの取組みが進んできておりまして、まずこうした機関等を活用いたしまして、それぞれの大学の権限と責任においてセクシュアル・ハラスメントに対応することが重要であると考えております。
     なお、現在、人権擁護委員法に基づきまして人権擁護活動を行う民間ボランティアを人権擁護委員として委嘱しているほか、全国各地の地方法務局に無料で人権相談に応じる「常設人権相談所」を開設したり、同じく地方法務局に「女性の人権ホットライン」という女性の人権相談についての専用相談電話を設置するなどの取組みが行われております。大学においてセクハラに関する問題が生じた場合にも、この問題の解決に資する外部の機関としてはこうした「常設人権相談所」等を活用することが考えられるのではないかと考えております。
     続きまして、「大学以外の教育の現場におけるセクシュアル・ハラスメントへの対策について」でございます。大学以外の教育の現場におけるセクハラに関しましては、学校や教職員への保護者や地域住民の信頼を著しく損なうということでございまして、懲戒処分等を含め、厳正に対処し、教員の服務規律の確保を図ることが必要であると考えております。このため、文部科学省といたしましては学校を設置する教育委員会において職場環境の保持の観点から男女雇用機会均等法等を踏まえ、服務規定の見直し等の雇用管理上の適切な配慮を行うこと、それから学校としての特質を踏まえ、教職員と児童生徒・保護者との関係におけるセクハラが行われることのないよう、教職員への注意喚起を行ったり啓発等を行いますとともに、相談・苦情に適切に対応できる体制を整えることなどについて指導をしているところでございます。
     更に、各種の会議や研修等においても男女雇用機会均等法等の趣旨の徹底及び教員の服務規律の徹底に努めるよう指導をしております。各都道府県指定都市、教育委員会における取組みの現状につきましては、文科省におきまして47都道府県と12の指定都市の教育委員会を対象にして実施いたしました調査の結果を配布資料の参考<3>、参考<4>にお示ししております。
     参考の<3>にございますとおり、平成12年の7月現在の数字ですが、セクハラ防止を目的とした研修・講習会の実施状況については53の県市が実施済みもしくは実施予定であり、6県市が実施について検討中でございます。また、その他周知・啓発の方法につきましては多くの県市が学校に対する通知を発出したり、約半数の県市が職員だよりやパンフレット等により周知・啓発を行っております。このほか、ホームページに掲載いたしましたり、児童生徒や保護者向けの広報誌等に掲載している県市もございます。
     それから、参考の<4>にございますとおり、平成12年の7月現在、セクハラに関する問合せ、相談、苦情等を受け付ける窓口及び相談員はすべての県市において設置済みもしくは設置予定でございます。平成12年時点の調査でございまして、その後の追跡をいたしましたところ、セクハラ防止を目的とした研修・講習会の実施、あるいはその予定がなかったところが6県市あったわけでございますが、その後、新たなセクハラ防止に関する研修の実施や職員だより、会議等での周知などによって意識啓発の取組みを広げてまいっております。また、教育現場におけるセクハラに対しましては懲戒処分等を含め、厳正に対処しており、教員の服務規律の確保を図るということが必要でございます。文部科学省におきましても平成13年度において把握している範囲では、わいせつ行為等に関し、懲戒処分を受けた教職員は100名に上っているわけでございまして、厳しく対処しているわけでございます。
     文部科学省といたしましては、今後とも各学校や都道府県等におけるセクハラ防止に関する取組みの促進に努めてまいりたいと考えております。以上でございます。
    島野会長
    ありがとうございました。最後に厚生労働省からの御説明がある予定になっておりますが、所用のためにおいでになるのが遅れております。今までの各省庁等からの御説明に対する御質問を皆様から一括していただきます。どうぞ御自由に御発言ください。
    原会長代理
    警察庁の報告でいくつかの数字を口頭でおっしゃってくださったんですが、これらの数字を後日、いただきたくお願いいたします。
     それから、文部科学省の報告では国立大学が法人化した後も、今ここで御報告くださったようなことが成り立つんでしょうか。
     さらに、法務省の方には「人身取引」の中に臓器の売買が含まれているのかどうか教えていただきたいです。日本でそういうことが起こっているかどうかわからないんですけれども、特にこのごろ東欧の収入が余りない国では、男の人は出稼ぎに行って、女の人は腎臓を売ったりいろいろして、それが医学のために使われることもあるけれども、トルコの食料品市場に食肉として売られているという話もあるとか、本当に何が起こるかわからない世の中になってきちゃったんだなと思います。日本ではまだそういうことがないことを祈るんですが、万一のそういう場合にどういう法律が適用されるのか関心があります。
    島野会長
    それでは、時間に余裕がございますので、お1人の発言に対してもしお答えいただければお願いします。
    大木文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長
    国立大学の法人化後は、セクシュアル・ハラスメントの防止等につきましては現行の人事院規則ではなくて、男女雇用機会均等法の第21条、それから厚生労働大臣が定める指針に基づいて各国立大学法人が責任を持って取り組むということになってまいります。文科省といたしましても、今後とも各種の会議等において啓発活動を実施したり、相談体制の整備など、セクハラ防止に積極的に取り組むということを要請してまいります。大学においてセクシュアル・ハラスメントの問題が生じることのないよう、今後とも努めてまいりたいと思っております。
    北村委員
    セクハラというのか、最近でも例えば小学生の担任で、熱血教師という話ですけれども、1日に何十回もメールを入れて、好きだ、愛していると言ったというようなことが話題になっております。相手が年少であるがゆえにこういうことが現実に起こっていても年長あるいは大学生などに比べても問題が非常に潜在化してしまい、埋没してしまうという危険性が非常に高いだろうと思います。例の熱血教師も必ずしもロリコンとは言えないでしょうし、そこら辺の事実は知りませんけれども、こういう小学生なり年少者に対する、私はセクハラだと思いますが、セクハラが現実にどうなっているのかという調査を過去あるいは近々、きちんと子どもたちに向けて行おうとする考えがあるのかどうか。この辺りをひとつお聞きしたいと思っております。
     それからインターネット関連で、欧州のサイバー犯罪に関する条約というものがありますけれども、これも結局ターゲットは実は児童ポルノというところに絞られているわけであって、国際的には恐らくそういう形で児童ポルノの部分についての規制なり、あるいは制限というものに対して非常に厳しい状況があるんでしょうけれども、現実にインターネットなどに向かいますと、日本が例えばモザイクをかけて制限を加えるなどということの愚かさを逆に感じますし、モザイクがかかっているがゆえに、例えば卑わいさとか、あるいはモザイクがかかっているがゆえにavなどにおいてコンドームが実はきちんと使われているにもかかわらず、それを確認できないというような事態が起こっているやに思っております。この辺りの、インターネットにおける自主規制なのか、あるいは制限なのかというのは非常に微妙でしょうけれども、日本という国が国際的な規制の現実を踏まえて今のポルノの在り方について見直しをしようとするような考え方があるのかどうか、是非お聞きしたいと思っております。
    島野会長
    最初の質問は文部科学省で、それから次は法務省でよろしいですか。
    北村委員
    最後の問題はインターネットに関連する部分ですから、各省庁がいろいろ関連されていると思います。
    瀬地山委員
    その関連でよろしいですか。まさに今、北村委員が問題にされた点なのですが、つまり性器を見せるかどうかということが日本の場合には判例の積み重ねもあって、それがわいせつの基準となっているわけですけれども、そのことがどれだけの合理性を持っているかというのは私ははなはだ疑わしいと思っていまして、その意味では先ほどおっしゃっていた住み分けを徹底化させるということの方がよほど意味がある規制としての考え方ではないかと思うんです。そういう検討というのはなされないのかということが1点です。
     そこからもう少し離れますが、基本的には同じ発想で、私はやはり性犯罪を分けるメルクマールというのは当事者間に合意があるか否か、これが一番の大きな点であると思うんです。当事者間に合意がないものというのは即性犯罪であると考えるときに、これは警察、法務に関わるんですが、公然わいせつで痴漢に類似するような痴漢も含めてで結構ですけれども、痴漢に関してはやはり強制わいせつが三千数百件、それから卑わい行為等も含めて4,000件というのは、実数に比べて余りに乖離をしていると言わざるを得ないと思うんです。これについてもう少しどうにかならないのか。刑法的には恐らく痴漢というのは強制わいせつで考えているはずなのでどうにかならないのかというのが1点です。
     それから、売買春に関して、これはほかの委員とは意見が違うと思いますが、その発想から言うと当事者間に合意のある売買春というのは、私は売買春を一般的に取り締まるのではなくて、当時者間に合意のないものについて、何らかのトラフィッキングがあるとか、児童売春が絡んでいるとか、そういうものについてきちんと取り締まっていくということが必要で、そうしないとかえって理由不明な、あるいは作為的な取締りが行われることによって意味のないブラックマーケット化が売買春に関して起きる可能性があるのではないかと考えているんです。厳正な取締りということを書いていらっしゃいますけれども、どこに力点を置こうとされているのかお聞きしたいという点です。
    島野会長
    では、今までに出た質問に関してのお話を承ります。
    絹笠文部科学省高等教育局大学課課長補佐
    北村委員のおっしゃられましたセクハラに関する調査でございますけれども、文部科学省では懲戒処分という観点から調査を行っておりまして、教職員の児童、生徒に対するわいせつ行為につきましては原則懲戒免職にするようにということで指導を行っております。ですので、児童、生徒に対するわいせつ行為、またそれに近いようなものについては基本的には懲戒処分になり得ることが多いのではないか。
     そういった観点から、懲戒処分について把握することは可能ですし、現在やっておりますけれども、最初におっしゃられたことで非常に顕在化していないケースが多いというのは事実でございまして、私どもが知っている例におきましてもある県でわいせつ行為みたいなものが発覚しまして懲戒免職をされた。そうしましたら、自分たちもこういうことを以前受けたことがあるというようなことを子どもが先生に相談して、それが教育委員会に伝わって、たしか2件ぐらい続けざまに昔の行為を処罰したというようなこともございました。私どもとしては、こういったわいせつ行為は許されない行為なんだということを懲戒免職ないしは厳しい懲戒処分を行うということでメッセージを伝えて、そのことによってそうしたものを職員の方に子どもたちが伝えれば、それが必ず教育委員会にいくような形にしていきたい。
     また、そのために教育委員会の人事管理の担当者の方々に対する研修会におきましても、セクハラとはどういうものであるのかとか、またはわいせつ行為は原則懲戒免職とすべきものであるというようなことにつきまして、毎年ではないですけれども、頻繁に研修会などにおきましてそうした形で指導も行っておりますので、そうしたものを通じましてこうしたものの把握ないしはこうしたわいせつ行為やセクシュアル・ハラスメントに関する防止に努めてまいりたいと思っております。
    北村委員
    どこまで可能かはわかりませんけれども、あるいはそれが明らかになると大変な事態になる危険性はありますが、子どもに無記名でそういう事実に遭遇したことがあるかとか、あるいはそういうことを耳にしたことがあるかというような形で、子どもに直接問い掛ける調査というのはいまだかつてないんですか。
    絹笠文部科学省高等教育局大学課課長補佐
    セクシュアル・ハラスメントに関してそうしたものは行われていないと思います。実際上、それをやる場合に子どもたちのプライバシーであるとか、またはそうしたものを子どもに聞くことがどうか。私も県にいたときに人事担当をやっておりましたけれども、子どもに対するわいせつ行為を行った場合に、子どもに対してどういったことを先生が行ったのかを聞くというのは非常に難しいことでございまして、保護者の方とか養護教諭の方々を通じまして間接的に聞くとか、それでもやはりその子どもたちに対する後のケアなども非常に慎重にやらなければいけない部分もございますので、そうした形で一般的に聞くということについてはなかなか難しいのではないかと思いますし、またそうした問題がございます上に、もともとこれは都道府県教育委員会が基本的に権限を持っていることでございますので、そうしたプライバシーに絡むことを文部科学省がどこまで教育委員会に対して指導できるかということになると、今お答えするのは難しいのではないかという趣旨で申し上げました。
    北村委員
    私がなぜそんなことを聞くかというと、つい最近、私の区域で2件立て続けにデートレイプが起こっているんですけれども、被害者は子どもであるにもかかわらず、子どもはそのことを親に伝えることができない。要するに、自分が被害者であっても、これは自分の中に非があったんじゃないだろうか。その人とデートしたことに問題があるんじゃないかという責めが余りにも強くて、被害者である自分を親に伝えられないという状況があることを見ますと、恐らく相当な被害を受けていながら子どもたちがもちろん担任の先生に言えるはずがない、あるいは親に伝えるはずがないという状況があるのではないかということを大変危惧しております。
    白濱法務省刑事局参事官
    最初にございました臓器の関係でございますが、臓器の売買に関しましては法務省所管ではございませんけれども、臓器の移植に関する法律というものがございまして、これによって一定の規制がされております。これは国外犯も処罰されておりますので、例えば日本の国外で臓器の売買をした場合にはこの法律によって処罰されるということでございます。
     それから、わいせつの基準の見直しでございます。これは御存じのように最高裁で一定の基準を示しておりまして、執行機関としてはその基準に従って実際には行っているわけでございますが、わいせつについてどう考えるかということは先生の御指摘のとおりいろいろな議論がございまして、我々といたしましてもそういう国民の意識と申しますか、それを踏まえて検討していかなくちゃいけない問題だろうとは思っております。ただ、私は担当者ではございませんけれども、現在直ちにどうだこうだということを持ち合わせているわけではございません。
     それから、売春の問題でございます。いわゆる児童を対象とする売春はまた別といたしまして、成人女性に対する売春という問題にいたしますと、売春防止法は売春をする行為あるいはその相手方となる行為を禁止しているわけでございますけれども、ただ、売春行為あるいはその相手方となる行為のいずれについても、これを処罰するという規定を置いているわけではございません。これは先生が御指摘のとおり、判断能力が十分にある者に対しては私生活上の行為ということで、あえてこれを刑事処罰の対象とはしていないというわけでありまして、ただ勧誘とか、そのものではないものに関してやはり性風俗を害するものに関しては処罰しているわけで、それに関して厳正な取締りということをこのペーパーに書いているわけでございます。
    吉田警察庁生活安全局生活安全企画課長
    インターネットでの卑わいな映像等についてでありますが、1つは児童ポルノ、もう一つはわいせつ、それからその外周にある卑わいないわゆるポルノについて、風俗営業法でありますとか、あるいは今度の出会い系サイト規制法でも、文字も含めてですけれども、子どもに見せない、児童に見せないという規制を一般的にしております。それで、その実効性を上げるにはやはり技術の進歩というか、子どもが見られないようにという措置をとることが一番でありますので、総務省とか経済産業省とか関係省庁と連携を図りながらそういう技術開発の促進ということで住み分けができるようにということを進めているところであります。
     それから、国際的な協力であります。欧米では児童ポルノに特に厳しいということでありますが、その分野では外国の捜査機関とicpo等を通じて連携しており、児童ポルノ事犯はインターネットで何件も摘発事例もございます。更に国際協力を拡大しようということで欧米と協力関係を前進させるような取組みも進んでいるところであります。
     それから売春取締りの重点でありますが、1つは児童買春・児童ポルノ法の児童を対象とするもの、それから成人の売春はいわゆる管理売春と言われる女の人が働かされているという形態の売春事犯の取締り、それから暴力団が介入しているもの、あとは外国人女性が働いているもの、これが特に重点であります。あとは、売春かどうかわからないという部分も風俗営業法で取締りをしているところであります。以上です。
    前川外務省総合外交政策局国際社会協力部人権人道課企画官
    当省の関係では、あくまでも国際的な協力の枠組みをつくらせていただくということで、特にネット上の児童ポルノを含めてサイバー犯罪というものが比較的新しい犯罪であるということで、これに関する国際的な協力の枠組みということでは欧州評議会が中心になって作ったサイバー犯罪条約というものが初めてのものであるということで、日本としても積極的にこれに関与していこうということで、これまで作業を進めているところでございます。
     したがいまして、先ほど御指摘があったような日本としてのわいせつの在り方とか、規制の在り方を更に検討していくかどうかについては、実際に現場に当たられている関係省庁の方々ともいろいろ調整、協議させていただきながら、更にそういう国際的な側面からいろいろとやれる部分があれば引き続き協力させていただきたいと考えております。
    島野会長
    ありがとうございました。それでは、厚生労働省から御説明をお願いいたします。
    中村厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長
    お手元の資料の2-7を見ていただきたいと思います。私どもの方では、8項目の現状についてメモをつくってまいりました。
     まず最初に「性犯罪」について被害者のケアのための対策ということで、ptsdに対する医療的ケアにつきましては診療報酬上、参考資料の1にも出ておりますけれども、入院の精神療法、通院の精神療法として評価をされておりますし、児童、思春期あるいは20歳未満の患者さんに対して、そうしたケアを行った場合には加算を行うなどの配慮がされておるところでございます。
     また、性犯罪の被害者のケアについては、特に精神面等については精神保健福祉センターあるいは保健所等で精神保健福祉相談を行っております。被害者のケアの中でも特に難しいものについては精神保健福祉センターにおいて専門的知識を有する医師あるいは保健師等が面接あるいは電話による相談に応じているというような状況でございますし、精神保健福祉センターの医師については必要に応じて診断あるいは医療機関への紹介、医学的指導等も行っておるところでございます。
     次に、児童買春につきましては平成11年に児童買春ポルノ法が制定をされておりまして、その中で児童のケアについての規定もございますので、児童相談所の方に相談、通告があるわけでございますが、14年度の状況を見ていますと101件というような状況でございまして、法律が制定されて以降、毎年100件前後の相談があるというような状況でございます。そうした相談があった場合には、児童の心身の状況でありますとか家庭の環境、生活環境等を総合的に判断をいたしまして、カウンセリングによる対応、それから児童相談所における一時保護、更には施設への入所措置、あるいは場合によりますと医療機関にお願いするというようなこともございますが、そうした対応をやってきておるところでございます。
     次に「人身取引」ということでございますが、「国際的な組織犯罪の防止に関する国際連合条約を補足する人、特に女性及び児童の取引を防止し、抑制し及び処罰するための議定書」の批准という課題があるわけでございますが、これについては関係省庁間での検討が外務省さんを中心になされておるわけですが、厚生労働省の関係におきましては児童福祉法におきまして児童売買あるいは児童取引の国民の国外犯の処罰規定を設けることについて検討をしているところでございます。後ほど少しお話いたしますけれども、16年の国会で児童の虐待の防止に関連をいたしまして児童福祉法の見直しをする予定になっておりまして、その際に合わせて関係の改正ができればというような心積もりで作業を進めております。
     それから、職場における「セクシュアル・ハラスメント」につきましては、男女雇用機会均等法21条に職場におけるセクシュアル・ハラスメントの防止をするための雇用管理上の必要な配慮を事業主に義務付けておりますので、企業等への周知啓発、行政指導、あるいは具体的にセクシュアル・ハラスメントを防止するためのノウハウを提供するような講習事業、こうしたものを実施しておるところでございます。14年度の雇用均等室への相談件数の状況を見てみますと、全体の相談件数の42.3%がセクシュアル・ハラスメントによって占められておりまして、7,682件相談件数がございますうちの5,924件が女性労働者からです。また、4,975件の行政指導を行った実績がございます。
     次に「高齢者に対する虐待の問題」でございます。この問題につきましては、平成12年度から特別養護老人ホーム等において身体拘束ゼロ作戦というようなことで施設職員等による不適切な対応を防止するための取組みを実施しております。参考資料3を見ていただければと思いますが、合わせて15年度におきましては医療経済研究機構が実施します家庭内の高齢者虐待に関する全国実態調査、あるいは地方公共団体、具体的に申し上げますと資料にありますように横須賀市、金沢市で先駆的な取組みが行われておりますので、こうしたものについての支援を行っておるところでございます。
     「児童虐待」につきましては非常に大きな社会的問題になっておりまして、平成12年には児童虐待防止法が制定をされておりましてちょうど3年目になるわけでございますが、現在3年後の見直しということで全体の施策体系の見直しを実施しておるような状況でございます。できれば来年の国会において児童福祉法あるいは児童虐待防止法自身は議員立法でございますので、それは国会の方で既に取組みの動きもございますので、そうした形で見直されるのかなと思っております。今回は特に予防と、それからケアですね。それから親の指導、あるいは自立に向けての辺りを中心にした見直しをしたいと思っております。
     それから、虐待の中でも性的虐待のことでございますが、14年度の状況を見てみますと児童相談所で受け付けて処理をした児童虐待の相談件数につきましては2万3,738件というような状況になっております。そのうち性的虐待は820件、3.5%くらいの割合になってございます。性的虐待につきましては児童の人格に対する影響が非常に大きいということもございまして、児童福祉施設等における個別的なケアを重視しておるところでございます。
     次に「性感染症」の問題でございます。性感染症の問題につきましては感染症法に基づきます性感染症についての予防指針でありますとか、あるいは後天性免疫不全症候群に関する予防指針等に基づいて地方公共団体、医療関係者、民間団体等とも連携をしまして、予防を中心に施策を進めていくということを基本に進めておるところでございます。特に性感染症の状況で性器クラミジアなどを見てみますと、女性についての患者さんが14年度では2万5,321人というような状況になっておりますので、そうしたことも注意しながらやっていく必要があるのかなと思っております。
     それから「望まない妊娠、10代の妊娠」ということについて申し上げてみますと、20歳未満の方の人工妊娠中絶の状況は14年で4万4,491件というふうになっておりまして、これは10年前の1.4倍ぐらいの状況になっております。全体が0.78倍と減少している中で、10歳代といいますか、20歳未満の方の人工妊娠中絶が増加をしておりますので、私どもとしても非常に問題だなという認識を持っております。そういうことでございますので、そこに書かせていただいておりますように、思春期のクリニック事業でありますとか、あるいは妊娠について悩んでいる者に対する相談援助事業等、あるいは望まない妊娠ということで妊娠中絶を予防するための効果的な避妊教育プログラムの開発に関する研究等、さまざまな取組みをしておるところでございます。以上でございます。
    島野会長
    ありがとうございました。それでは、どうぞ御自由に。
    前田委員
    ちょっと多くなると思うので手短に申し上げます。
     まず主として法務省なんですけれども、強姦罪の法定刑の引上げをこのように積極的に取り組んでいただけるというのは非常にありがたいといいますか、確かに強姦致傷罪181条をどうするかとか、それから傷害致死罪205条をどうするかとか、いろいろ難しい問題はあろうかと思いますが、是非早く前向きに取り組んでいただきたい。この方向でやっていただきたいということと、盗撮についても警察、検察が今の迷惑条例ではやり切れないから名誉棄損などで無理して立件したりして重く処罰した例がありますね。もう判例まで固まってやはり盗撮、それから盗撮ビデオを販売するというのは重大な犯罪なんだという方向に動いてきていると思うんです。ですから、ここは強姦罪の法定刑の引上げほど簡単にはいかないと思うんですが、是非前向きに取り組んでいただきたいということです。これは御質問にならなくて申し訳ないんですけれども。
     あとはトラフィッキングに関しては厚生労働省に御質問なんですが、児童福祉法の改正を考えていらっしゃるということが最後の御説明にありましたけれども、法務省とのすり合わせとかもかなり進んで、要件とかかなり固まってきているのかということを御説明いただきたいということです。
     それから、ポルノに関しては、これも法務省と警察庁、主として法務省かもしれませんけれども、厳正な処罰を行っているということなんですが、私はそうは思えないんです。今、東京都で青少年保護育成条例の改正を始めたんです。それで、青少年にポルノを見せないようにするにはどうしたらいいかということで、本とかいろいろなことの規制をもっときちんとしようじゃないかという議論をしたときに、今の子どもたちは皆パソコンでインターネットでダウンロードしてポルノのビデオを買っています。
     そういう状況の中で、日本語で説明があるので明らかに日本でつくられていると思うんですが、さっきの生活安全企画課長の言葉で言えば、本当にポルノの核心部分そのものですよね。完全なわいせつ物が自由に見られる状況で、幾らでも子どもが買えるという状況になっている中で保護を規制してどうするんだ。モザイクなんてかかっていないわけです。それが氾濫している。それで、現場の人にいろいろ聞いてみるとかなり危機的な状況といいますか、事実上、枠は外れてしまっている。サイバーポリスとかいろいろ言っていて、ハイテクの部分というのはある意味でつかまえられるはず、検挙できる部分があるはずなんですが、国外犯とか何とかという問題ではないと思うんです。国内でやっている行為というのはかなりはっきりしている。
     それについて、今の基準でいけば明らかにわいせつ物なんですから、きちんと対応していただきたい。その中には、この研究会のテーマで言えば非常に女性を物扱いにしたりとか、それは趣味の問題だと言えばそうかもしれないけれども、非常に悪い影響を与えるような内容のものも入っているということだと思うんです。
     4点申し上げましたけれども、ほとんど質問ではなくて申し訳ありません。
    白濱法務省刑事局参事官
    強姦罪の法的な引上げに関しましては先ほど申し上げたとおり、他の法定刑の引上げと合わせて検討してまいりたいと思っております。
     それから、盗撮については、先ほど若干申し上げましたように、いわゆる被害女性の羞恥心あるいは、性的な尊厳を保護するという考え方と、それからプライバシーという考え方がございまして、どちらの方の保護法益を重視していくかということで規定の対象や規制方法がさまざまになろうかと思っておりまして、いろいろ難しい問題がございます。とは言っても、先ほど先生の方からございましたように多少法定刑が条例等では低いという御指摘もございますので、今後とも検討してまいりたいと思っております。
     それからポルノの関係でございますが、インターネットに関しましては先ほどわいせつ物の関係で現行法では確かに限界がございまして、今、法制審から答申を受けましていわゆるわいせつ物をインターネットで送信する行為について法案を準備中でございますので、規制の方法が大分異なるということになります。
    前田委員
    どこまで進んでいるか、ちょっと教えていただければと思います。
    白濱法務省刑事局参事官
    もちろん我々といたしましても厚労省さんと十分協議しながらやっているところでございます。
    中村厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長
    では、私の方から児童福祉法の改正についてお話をさせていただきますと、先ほど申し上げましたように児童福祉法については今回は虐待をメインのテーマに改正をしようと思っております。そういう中で、かねて懸案でありました選択議定書の批准の必要な法的改正もやっていこうということで、ほぼ関係省庁の方向づけができてまいりましたので、まだ細かい条文作業について今この場でお話ができるような状況ではありませんけれども、法務省さん、警察庁さん、あるいは外務省さんの御協力を得ながら改正をしていきたいということで、関係省庁の連携は十分とれるような体制をとらせていただいておりますので、私どもとしてはきっちりした改正ができればと思っております。
    林委員
    法務省と文部科学省に質問があります。
     最初に今、前田先生がおっしゃった強姦罪の法定刑の引上げについては私も前田先生と同意見でありますので、今回法務省の方から検討が必要という肯定的な御意見が出たことを大変うれしく思っております。それで、事務局案の方では、「法定刑の下限を3年に引き上げる。」とあり、私個人としてはこの3年というものに必ずしも賛成ではないんですけれども、それについて何か具体的な検討が始まっているのでしたらお聞きしたいということです。従前の国会議事録などをこの問題について読んでみますと、必ずしも法務省のお答えは前向きでなかったと思います。7月に女子差別撤廃条約の政府報告書審査がありまして、委員会コメントの中で強姦罪の法定刑を上げるようにという見解が出ていたと思いますが、今日こういうすばらしいお答えが出たこととcedawでのコメントというのは何か関係があるのではないかと思いますので、ちょっとお返事をいただきたいと思います。
     それから、もう一点法務省についての御質問なんですが、2ページ目の児童ポルノの頒布罪のところで2行目の<3>で「条約上の義務に対する対応等を盛り込んだ改正法案が出たけれども廃案になった」という点ですが、これはサイバー条約と、それから子どもの権利条約の選択議定書批准に向けた対応をする法案と理解していいんでしょうか。以上が法務省への質問です。
     それから文部科学省への質問ですが、セクシュアル・ハラスメントの研修について3ページ目に数字が出ています。今日、戒能委員が御欠席ですので、もしいらしたらいろいろ御意見があったと思うんですけれども、53県市が実施済みというのは数として随分少ないのではないかと思いました。やはりリーフレットをただ読むというのと、実際に研修でだれかの話を聞いたり、ロールプレイをやらされたりというのでは、本人の意識に与える影響というのは大分違うのではないかと思います。私が経験した裁判でも、例えば校長先生がptaの会長にセクハラをしたとか、管理者である教頭、校長が女性の教員にセクハラをしたということも実際に判例集に載っているケースで出てきていまして、トップの意識も相当変えていかなくちゃいけない部分だと思いますので、研修啓発の点について今後どういう取組みをしていかれるのかということを伺いたいと思います。
    奥山委員
    今のことに関連して合わせてよろしいですか。最初の原先生のところでご質問すればよかったんですが、大学等の教育機関におけるハラスメントの防止の問題ですけれども、先ほどの文科省の御説明ですと、いただきました資料の2-6のところで相談窓口の設置であるとか、研修会の開催であるとかお話しいただき、設置などは100%近い形でハードの枠組みが組んであるわけですね。それに基づいて研修会の開催が、これは少し回数的には落ちますが、実施されているという状態なんです。
     実は私はこういう問題について少し関与しております関係で、時として全国の国立とか私立の大学にお招きをいただきましてこういう話をさせていただくんです。多分それは研修の一環としてお招きいただいたんだと思うんですが、実際上、私が経験した限りで言いますと、行った先では、出席してお聞きになるのは何十人もいらっしゃれば多いということなんです。しかも、それは遠くから講師を呼んでいるので何とか数を集めたという感じがひしひしと感じられるようなところがあるんです。
     もし、そういうことが実態であれば、ハードの枠組みとか研修の回数を増やしても、中身の実質がほとんど伴っていない。そういう点で本当に防止についての効果が上がっているかどうかというと、少なくとも私の経験するところでは必ずしも適切ではない状況がまだまだあるのではないか。
     そういうことを考えますと、先ほど所掌が今度、厚生労働省の方に国立大学法人化の関係で移るようなお話もありましたので、そちらにお答えいただくのは適切かどうかわかりませんけれども、もう少しどういう中身でやっていらっしゃるかとか、どのくらいの人数が出席されたかとか、もう一歩踏み込んだ調査と指導をなされないと、余り意味がないのではないかと私の経験では感じます。その辺のところをどうお考えになるのか、林委員の御質問と合わせて文科省の方からお聞きしたいと思います。
    住田委員
    その件だけに絞って1点、私も意見及び要望を申し上げます。
     先ほどの文科省のお話を聞きますと、結局は研修をすることと、それから厳正な処分をすることによる威嚇力によって、それだけでもって予防しよう。しかも、それは文科省の指導は限界があって各都道府県の教育委員会にお任せすべき問題であるというふうにどうも聞こえてしまいました。
     私自身は、教師もしくはトップの管理者の下位の者に対するセクシュアル・ハラスメントといいますのは業務上横領と同じで常にそばにある誘惑でありまして、大部分の方はまじめにやっていらっしゃるんでしょうけれども、〇・何%の確率で常に起き得る事故だと思っております。そういうような危機管理という考え方から見ますと、研修というのは単に一つの手段でしかない。第三者による常なるチェック、どういうふうな研修がされ、それに対してどういうふうな対応や効果があるかという、いろいろな意味でのチェックが働く品質保証システムといいますか、そういうふうな発想が一切抜けているのではないかということが非常に懸念されました。
     ですから、その一環としては当然子どもからも意見を聞くようなチェックシステムが考えられる。それが難しいという形で手をこまねいていらしたら今回の校長先生のように問題を先送りして自分の任期の間だけは何とかやらせて、ほかの学校に押しつけるという形で終わってしまいます。そういうふうな事故予防という観点からきちんと文科省がそれを研究する。その成果を各都道府県の教育委員会に対して指導なり伝達するというような形でやらないと、今後も似たようなことが起こり得ると思います。
    島野会長
    それでは、林委員の御質問に対し、またあとの2人の御意見に対してどうぞ。
    白濱法務省刑事局参事官
    まず強姦罪の法的な引上げでございますが、最近犯罪が非常に凶悪化してきておるということで、治安に対する不安感というの非常に高まっているわけでございます。その中で、そういう治安に対する信頼と申しますか、そういうものを回復することが必要である。そういう中で、強姦罪だけではなくてその他の殺人とか、あるいは強盗とか、そういう凶悪犯罪に対して法定刑全般を見直す必要があるのではないかということで、その一環として検討してまいろうということでございます。現時点で、強姦罪をどうするのかというのはほかの法令も全部いろいろ検討してみないと言えない話ではないかと思っておりますので、現時点でどうかという具体的なことは申し上げられないかと思います。
     それから、いわゆる児童ポルノ及び買春法の改正の関係でございますが、これは議員提案でございますので法務省がどうだこうだと言う立場ではございませんけれども、先ほど先生が御指摘のサイバー犯罪条約と、それから児童の権利条約の選択議定書について、改正案がこの2つの条約を担保しているというふうに理解をしております。
    絹笠文部科学省高等教育局大学課課長補佐
    まず最初の53は少ないということでございますけれども、初等中等教育の仕組みといたしまして小学校、中学校の先生、これは市町村立学校の先生でございますが、任命権は都道府県が持っておりまして、都道府県が任命権に基づいて研修を行うという仕組みになっております。ですから、この58というのは48都道府県と政令市、任命権を持っているところがどれぐらい研修を行っているのかということを調べたものでございまして、この48プラス政令指定都市を調べることによりまして市町村立の小中学校、県立の高等学校も含めてそういうものはすべて対象になりますので、私立は入りませんけれども、公立の小中高等学校はほぼ入ってくることになります。そういった小中学校の仕組みの関係で53ということを書いただけでございまして、対象になっている教員はかなりの部分を占めているということになると思います。
     その次の研修の中身でございます。これはお話をお聞かせいただきまして、私も初めて聞きまして残念としか申せなくて何とも言い難いんですけれども、私ども部分的には各大学のところへどういう取組みを行っているのかということで、例えばリーフレットをつくって配っているとか、新入生が入られたときに学生生活の案内ということでそうしたものを載せているとか、そうした取組みが幾つかなされていることは承知しておりますけれども、個別具体的の研修会で何名行っているというところまでは把握しておりません。また、実際にどういう実例だったのかわからないんですけれども、大学の中でもそれぞれ担当の先生方を決めてやっていることもあろうかと思いますので、そうした方々だけが来られたのか、それとも全員の教員を対象にしたんだけれども、多少しか集まらなかったのかということはよくわかりませんで、そのことは何とも申せないんですけれども、実態も部分的には把握しているということだけしか申せないという状況でございます。
     それから、小中学校の研修の内容でございますけれども、小中学校の教員の方々に対する研修といたしましてはセクシュアル・ハラスメントがまずどういうものなのか、小中学校の校長先生の中にも今のセクシュアル・ハラスメントの考え方をなかなか御理解いただいていないようなケースもございますので、そうしたものの全体でまず管理職になった段階でセクシュアル・ハラスメントというのはどういうものなのか。そうしたものは許されないんだということを把握してもらいたい。何か問題が起きたときに、お子さんとか保護者の方々が第一報を入れるケースといたしましては管理職の方々が非常に多うございますので、まずそこでしっかりした認識を持って、そうしたものがあった場合には直ちに教育委員会に報告し、教育委員会の方でその事案に応じていろいろ対処していくということが必要でございますので、まず校長先生の方々の研修会におきましてセクシュアル・ハラスメントがどういうものかをやるということを第一に考えております。
     また、文部科学省といたしましては先ほども申しましたけれども、人事管理担当者に対する研修会というものを文部科学省として都道府県の人事管理担当者の方々を集めて行っておりますけれども、そこではセクシュアル・ハラスメントはどういうものかということと同時に、ある程度の事案に則したような形でこうしたものは行われたけれども、この事案についてどういうところが問題であるかとか、またどう対処すべきかということをケーススタディのような形でやっていることもございますので、それはそのときの状況などに応じましていろいろな形で行っているところでございます。
     最後の処分と研修で予防しようとしているということでございまして、品質を保証するためにもう少しシステムとして何かすべきではないかということがございますけれども、まず校長先生が先送りにした云々ということに関しましては、今回のケースはどうなるかわかりませんが、小中学校におきましてそうしたセクハラ行為が行われたような場合に管理職の方々も懲戒処分ないしは文書訓告といった行政上の措置をなされるということがかなり最近増えてきておりまして、まず管理職の方々はそうしたものが自分の在任中問題が発覚しなければいいということではなくて、報告しなかったこと自体が問題であり、そのときは場合によっては懲戒処分の対象にもなり得るということをまず認識してもらいたい。また、そのためにもそうした形での厳しい管理職の方々に対する対処も行っていただきたいということで文部科学省は指導をしておりまして、まずそれが第1にあるのではないかと思っております。
     それで、処分と研修とございますけれども、これはやはり基本的には職員の方々の意識の問題であり、まずその方々の意識としてそうしたものは許されないのでやってはいけないということを思っていただきたい。そして、それらが実際に行われたときには処分を行うという形でそうした認識を更に強めるような形、悪いことをした以上は当然ながらそうしたものは処分されるんだというような形を行っていくということが基本にあろうかと思っております。
     また、実際にそうした事案が起きたときには校長から教育委員会に話をして、教育委員会の方から指導主事なり、管理担当の管理主事が実際にその場に行って保護者、教員、または管理職から話を聞くというような形で調べるということになろうかと思いますので、そうした形での仕組みは現在でも取られているところでございます。
    垣見委員
    法務省にお伺いしますけれども、御説明の中に『精神障害の傷害罪等の対象化』ということでの解説が記述されてございますが、実際にこの種の事例で起訴をされた例が年間どのぐらいおありになるのか、把握されているんでしょうか。
    白濱法務省刑事局参事官
    件数自体は今、持ち合わせておりませんが、精神障害では例えば最近では強制わいせつ行為によってptsdを負わせたことに関して強制わいせつ致傷罪というものもございますし、それから無言電話によりptsdを負わせた事案、あるいは無言電話で外傷性のストレス障害を負わせた事案、それから被害者宅付近を徘徊したり、あるいは被害者等に対して怒号等、大きい声を上げて嫌がらせを行って入院加療約3か月を要する不安及び抑うつ状態を負わせたということに関しての傷害罪ということで、これはいずれも判決が出た事例でございます。ただ、件数は具体的には把握しておりません。
    垣見委員
    精神に障害を与えた事案への対応については、当調査会でも今後の問題として議論されているところなので、もし数的な面でも把握できるのであれば把握をいただきたいと思います。
     それからもう一点、お配りいただいた『犯罪被害者の方々へ』というパンフレットですが、実は弁護士会でも犯罪被害者の保護に関していろいろ委員会をつくったりしてやっているんですけれども、そういうところへお分けをいただくわけにはいかないかどうか。予算的な制約があると思いますけれども、いかがでしょうか。あるいは、どなたかと御相談すれば入手できるのかどうかご教示下さい。
    白濱法務省刑事局参事官
    部数の問題がございますが、特に現在は先ほど申し上げましたように検察庁に置いておいて、あるいは警察署に要望があれば置かせていただいて、いらっしゃった方が自由に持って帰れるような状態になっております。ですから、特に制限したわけではありませんが、ただ、本当に予算の問題等でこれまで2年間で40万部つくっております。今年の分は既に全部配布してしまっているものですから、それは担当の方とも相談させていただいて検討してまいりたいと思います。
    垣見委員
    各弁護士会も犯罪被害者の問題は積極的に取り組んでおりますので、そこへ法務省で作成された『犯罪被害者の方々へ』と題する資料を配布していただければ、充分活用されて効果はあると思いますので、御配慮いただければと思います。
    原会長代理
    32ページに証拠品の返還ということを書いてございますが、私たちは被害者になったときにどんなものが証拠品になり得るかということをまず知らない場合が多いわけです。以前に北村委員は、例えば強姦に遭ったときの衣類をちゃんと取っておくことが大事だということをおっしゃっていたことがあります。こういうことが私たちにはわかっていないので、今後全体に周知方に努めるときにどういうふうにするかということは私たちの課題でもあると思っておりますので、よろしくお願いいたします。
    白濱法務省刑事局参事官
    今の関係で、もちろん刑事事件として捜査が始まりましたら具体的に証拠品はどれだということでやっていくわけでございますけれども、それに至らない場合とか、あるいは現時点では直ちに告訴を考えているわけではないけれども、将来考えたいといった場合に関しては御相談していただく、あるいは検察庁に被害者支援員が常駐しておりますので、そういう者に相談していただいてどういうものを取っておきましょうかということであれば、お答えできると思います。
    原会長代理
    性犯罪に遭った場合、ぞっとして嫌だからぱっとそのときに着ていたものなどは捨ててしまうとか、洗濯しちゃうなどして、いろいろ忘れたいと思う心の状態があるわけですから、それをちゃんと取っておかなくちゃという常識とする必要についてなんです。よろしくお願いします。
    大津委員
    トラフィッキングのことで質問が法務省と厚生労働省の方にあります。
     法務省の方で、いわゆるトラフィッキングのことで加害者の処罰の強化というふうに書いてあります。これは本当にそうなんです。大手ブローカーが最近捕まりましたけれども、捕まってもたった1年10か月の刑を科せられて、今まではほとんどがそれこそ職業安定法違反と出入国管理法違反で罰金刑くらいで出てきているというふうな状況の中では、この処罰の強化というのは大切な問題であると思っています。
     それともう一点、女性の被害者の点がすべて抜けているのではないでしょうか。子どもというのは必ず書かれていますけれども、成人女性に対する保護をどうするのかということが抜け落ちていると思います。厚生労働省の方にも児童福祉法において児童の売買及び児童取引のというふうに書いてありますが、ここの中で女性というところが書かれておりません。人身売買に関しては児童だけではなくて女性たちが被害に遭っております。その実態を是非把握してくださいますようにお願いいたします。
     それで、女性たちが保護されたときに一体どこが受け入れるのか。それはシェルターの問題というものがありますし、それから帰国するに当たっては帰国費用をどこが持つのか。それから、心のケアの問題をどこがどういうふうにするのかという具体的なところがこれからなされるというふうに私は期待しております。そういうものがないと、どんどん強制送還されたらそれでおしまいではないんです。加害者が(ブローカー、やくざ、国際的人身売買マフィアなど)処罰され、そしてその女性たちは保護され、保護をした後にその背後にいる人たちを捕まえるには、やはりビザを出し、保護をする。そうしないと女性たちは怖くて何もしゃべりませんし、適切な処罰ができないと思っておりますので、その辺りの意見をお聞かせくださればよろしいんですが。
    原会長代理
    関連で外務省さんに伺いたいんですけれども、資料の2枚目のバリ・プロセスのところで、こういう点で我が国はもっと経験知識を関係国に広める、だから、日本として誇りにしうることというのはこのようなことで何なのか、ちょっと知っておきたいんですけれども。
    島野会長
    合わせてよろしいでしょうか。大津委員のお話は御意見ですね。
    大津委員
    そうです。それで、その取組みをどういうふうになさっているのかということです。
    島野会長
    被害者に関してですね。これらの取締り処分について、法務省お願いします。
    白濱法務省刑事局参事官
    職業安定法違反の関係は先ほど御紹介したとおりでございますが、確かに一般的にはかなり大規模な事犯で被害者も多いと言われているわけですけれども、実際に裁判で対象になった女性は2人ということで、どうしても証拠の収集という問題がございます。その2人に対しての職業安定法違反ということでございますので、1年10か月という量刑が重いか軽いかというのはいろいろ御議論はあるかもしれませんけれども、裁判所としてはその訴因に合わせて量刑したのではないかと思います。
    北村委員
    厚生労働省と文部科学省に対してですが、今般この専門調査会では女性に対する暴力の今後の課題という中に、性感染症の問題や、10代の望まない妊娠の問題などを入れていただいたことに対して、長年この問題に取り組んできた者としては大変感謝をしておりますが、厚労省の方に14年の10代の人工妊娠中絶4万4,491件という数字が出ております。残念ながらこのデータがまだ私の手元になかったものですから、平成13年度に比べて実は2,000件減少しているんです。この辺りについて、厚労省としてどう分析されておるのか。10代妊娠で取り上げられた事業のすべての問題に私は実は中心的に関わっているものですから私の仕事でもあるのかもしれませんが、お答えいただきたいことと、そうは言っても10代妊娠の問題は国の取組みとしてはやや手ぬるい部分がございまして、今日、実は世界人口白書を皆様のお手元にお配りさせていただきましたけれども、unfpaなどは思春期の若者への健康と権利の投資という言い方をして、この世代の問題がないがしろにされることは将来まさに地球レベルでの大問題になるんだということで話題にしております。
     国の取組みとしては、例えばイギリスにしても、フランスにしても、スウェーデンにしても、アメリカも一部そうですけれども、例えば10代妊娠と言えば経口避妊薬、ピルの無料配布とか、少なくとも1週期目ぐらいは無料で提供し、その後も100円とか200円くらいで手に入れられる。これが国の施策として取り組んでいる10代妊娠対策です。しかし、日本は残念ながらこういう具体的な取組みが、自分が関わっていながら自分を批判することになりますけれども、健やか親子21キャンペーンというキャンペーンとか、あるいは研究とか、やや手ぬるい感じがします。緊急避妊ピルなどが恐らく平成14年度の人工妊娠中絶の数に大きく影響したという自負心を持っておりますけれども、こういう取組みに対する厚労省の考え方がどうなっているのか、是非伺いたいと思います。
     それから文科省には、性感染症の拡大と10代妊娠問題というのは非常に深刻な問題に今、日本でなっているんですけれども、その一方で性教育バッシングが起こっています。例えば東京のある養護学校では性教育に熱心な教師たちが結果として批判の対象になり、校長が一般教員に降格されたというような事件が起こり、学校の教諭たちは性教育の取組みに対して非常に消極的にならざるを得ないという、まさに異常な事態が起こっておりますけれども、本省の立場では全国的に起こっている性教育バッシングというものをどう分析しておられるのか、是非お聞かせいただきたいと思います。
    原会長代理
    関連ですが、イギリスなどでは10代の少女が妊娠した場合に、相手の彼の方がどこかに逃げてしまったとしても「産みたい、育てたい」と思っている場合には、子どもが育つ環境を保証するためのお金が赤ちゃんに対して出る。だから、妊娠して出産し育児する意思がある10代の人に対しては、その出産した女性の親が金持ちであるかどうかには関係なくお金が出るとのことです。
     そういうこともあって、本当に産みたい人、育てたい人が育てられるようになっているし、そういうときに学校が、「あなたは恥だからもう学校に来るな」とか、いじめの対象にならないような工夫も行われているということです。日本では仮に18歳以下の人が産みたいと思ったときは、かなりいろいろな環境が整っていないと、学校も家庭でも地域でも産んで育てるというのは大変だという現状がございますね。こういうものもやはり合わせて北村さんの御意見と一緒に長期の検討になると思いますが、よろしくお願いしたいと存じます。
    中村厚生労働省雇用均等・児童家庭局総務課長
    北村先生のお話のまず統計の件なんですが、実はおっしゃられるとおり、私の申し上げた数字というのは実はまとまったものを母子保健課から昨日聞いてお話をした数字ですので、近く公表されると思います。おっしゃられるように、13年度が4万6,511件でございましたから減っております。これがどういうことに起因するのかというのは今、申し上げたような事情で詳細な分析はこれからということで、今こういうことでということは申し上げられる状況にございませんので御勘弁をいただきたいと思います。
     それから、これまでお話がありましたように、思春期の保健問題につきましては日本家族計画協会の方にお願いをして、思春期相談のクリニックでありますとか、妊娠について悩んでおられる方々の相談事業、あるいは家族計画の特別相談とか、いろいろやっていただいております。
     また、特に15年度からは思春期問題のみならず、最近ではお子さん方の健康の問題として食事の問題というので食育の問題であるとか、あるいはいいお産というようなことも絡めて、新たな取組みとして実態での取組みに女性をしていくような仕組みでありますとか、あるいはその教材の開発というようなことにも近く取り組んでいこうと考えております。特に先ほど先生自身の御発言にもありましたように、性教育をめぐる件は実は国会でも相当議論になっておりまして、どういうテキストを使うべきか、発達の段階に応じてどうしていくべきか、相当いろいろ議論もございますので、私どもに課せられた仕事としてそうしたテキストづくりをしていくということが国会等での約束にもなっておりますので、そうした面での取組みをしていくということになろうかと思います。この問題については教育の現場とも非常に密接な話でございますので、文科省の方ともよく御相談をしながら進めてまいりたいと思っております。
     それと、今、申し上げましたような点につきましては非常に少子化の議論がされておりまして、次世代育成支援というような切り口の中でも従来、次世代育成支援といいますと仕事と子育ての両立とか、そういう局面で語られることが多かったわけですが、なかなか少子化が続く中で働き方の問題でありますとか、子育て全般に目を向けていくというようなことと並んで、次の世代の親になるべき若い方々の自立でありますとか、そういう中でもこうした思春期の問題というのも一つのテーマとして取り上げて取り組んでいっていただいたらいいのではないかと思っております。次世代育成支援につきましては、先の通常国会で法律が制定されまして、10年間の時限立法ではありますけれども、各自治体や企業、特に301人以上の企業については義務づけというようなことになっておりますが、そういう計画づくりの中で、特に地方自治体でもこうした問題について柱を立てて取り組んでいってほしいというようなことを国の指針ではお示しをしているところでございます。
    大木文部科学省生涯学習政策局男女共同参画学習課長
    先生から御指摘のありましたような性感染症あるいは10代の妊娠中絶の拡大といった問題につきましては、文科省としても非常にゆゆしい問題だと考えておりまして、学校教育における性教育の充実に努めてきているところでございます。
     学校教育におきましても、男女がお互いを異性としてきちんと尊重できるような心を育てたり、性に関する科学的知識というものをきちんと教え、それに基づいて適切に自分で意思決定して行動の選択ができるような、そういう資質や能力というものを育てていきたいと考えております。
     例えば、中学生の時期では学習指導要領におきまして妊娠が可能となる生殖機能の成熟について正しい理解を図ったり、異性の尊重、それから非常にあふれています性情報に対して自分で適切に対処するようにというような指導を充実したところでございますし、性感染症の予防については感染経路を断つということが重要で、性的な接触をしないこと、それからコンドームなどが有効だということにも触れるということになっているわけでございます。
     高等学校におきましても、保健などにおきまして受精、妊娠、出産、それに伴う健康問題ですとか、家族計画の意義、人工妊娠中絶の心身への影響などについて理解できるような指導の充実というものを図っているところでございます。
     性教育に関するバッシングについて御指摘がございましたけれども、子どもの発達段階に応じまして、その時期に一番必要なことをきちんと教えていくということが重要だと考えておりまして、何もわからないような幼い段階でその方法だけを一律に教えてしまうということは必ずしも適切ではなくて、やはり発達段階というものを見ながら、心も体もトータルに育てていくことが適切ではないかというふうに私どもは考えております。教師向けの指導の手引きですとか、事例集の作成なども準備を進めているところでございまして、そうしたことを通じまして学校における性教育の充実というものに努めていきたいというふうに考えております。
    前川外務省総合外交政策局国際社会協力部人権人道課企画官
    先ほど御質問のありましたバリ・プロセスに関する我が国の取組みですけれども、バリ・プロセスにおきまして我が国は国際地域協力と、それから政策法整備、法執行という2つのアドホックがあります。そのうちの前者の国際地域協力の中のアドホックグループの中の6つの分野に分けたサブグループがあるんですけれども、その中の情報共有分野というところのコーディネーター役を担当しておりまして、本件に関わる政策の在り方とか、情報に関するウェブサイトの情報の整備、それから情報共有のための活動の活性化に関する報告書をまとめたりしております。
     それから、後者の政策法整備、法執行の専門家グループ活動におきましては、昨年度のレビュー会合のホスト支援を行いました。また、我が国は本プロセスの全ての作業部会に外務省のみならず関係省庁の協力を得て専門家を参加させています。それから、閣僚会議、閣僚レベル会合の方では昨年及び今年とも外務省より副大臣が出席されまして議論等に積極的に貢献しております。以上のような状況でございます。
    島野会長
    ほかに御質問がおありと思いますが、恐縮ですけれども時間になりましたので、質問の続きは次回の会合以降、各課題の検討の際に行うこととして、本日の議事は終わります。
     なお、次回の会合では性犯罪と売買春の課題についての検討を行います。
     最後に、資料4をごらんください。事務局に第22回会合の議事録案をまとめていただきましたが、これにつきましてはこのとおり決定し、内閣府のホームページ等で公開することとしてよろしいでしょうか。

    (異議なし)

     それでは、第22回会合の議事録につきましては速やかに公開することにいたします。
     なお、次回の専門調査会は12月5日(金)に開催する予定としております。
     それでは、これで女性に対する暴力に関する専門調査会の第23回会合を終わります。本日はどうもありがとうございました。