AGGI高級実務レベル会合への報告

背景

ジェンダー統合に関するアドホック・アドバイザリー・グループ(AGGI)は、1999年9月にAPEC閣僚会議で承認された「APECにおける女性の統合のためのフレームワーク」の効果 的な実施を支援するために、同年、高級実務レベル会合(SOM)において設立された。AGGIは、ジェンダーをAPECのプロセスと活動の主流にするという分野横断的作業を助言し 監督するために、二年の期限を与えられている。SOMは1999年に、2001年のAGGIの期限見直しに合意した。

このレポートは、2001年6月からのAGGIの進捗状況を概略し、また1999年以降に課せられた業務に対するAGGIの功績を概観し、そしてAGGIの任務を完了するために必要な今後 の活動に関して助言を行う。このレポートはAGGIがその役割を完了するために期限を2002年末まで延長することを勧告する。延長期間によって、AGGIはメキシコからの第二回女性問題担当大臣会合の準備支援要請に応じ、会合の実施を確実にすることが可能にもなる。

SOMII以来のAGGIの進捗状況

6月からの業務の重要分野は以下を含む。

  1. フォーラがAPECのプロジェクト・プロポーザルにジェンダー基準を使用できるような具体的な指針の開発
  2. APEC職員への質の高い実用的な資料の配布を確実にするためにジェンダー・リソースキットの企画に関するマーケティング専門家との協議
  3. APEC職員がジェンダーをより容易に効果的に業務に利用することを助けるために、APEC職員が直面する問題、新しい可能性のある戦略と実際の検討
  4. 「フレームワーク」の実施に関する進捗状況の監視を容易にするオプションの開発
  5. 2002年第二回女性問題担当大臣会合の準備
  6. ジェンダー主流化の良い事例集の発行
  7. APECフォーラでジェンダー情報セッションを開催(2001年6月までに4回が終了し、さらに今後4回が予定されている)

これらの活動はAPEC職員が業務にジェンダーを組み入れ、APECの成果を高める支援してきた。APEC職員は提案された資料やプロジェクトに関して、見解をリードしたり、共有し たり、助言を与えることを含めて、AGGIの努力を支援しつづけている。

1999年からのAGGIの任務の進捗状況

過去21ヶ月にわたり、AGGIは「フレームワーク」の実施を確保する実質的な活動を行ってきた。AGGIはAPECにおける新しい実践の基礎づくりを助け、ジェンダーの統合に関して助 言を求めるようなフォーラの中での意欲と関心を高めるような環境を作ってきた。

AGGIの任務の重要な成果は以下を含む。

  • AGGIは戦略、手法、資料の総合的プログラムを明確にした。
  • AGGIはSOMとAPECフォーラに対してジェンダーについての助言を行い、女性を活動に統合するためのAPECの適応力を向上させた。
    -AGGI議長は現在及び将来のSOM議長、作業部会の代表と共に定期的に非公式会合を開き、関係分野についてジェンダーの専門的知識の提供と助言を行っている。
  • AGGIは重要な任務を完了した。
    -プロジェクトの形態や評価におけるジェンダー基準の確立と、フォーラを支援する指標の実施
    -情報セッションとジェンダー分析ワークショップの開発
    -ジェンダーの主流化に関する良い事例の収集と普及
  • AGGIはその他の任務によりSOMによる年一回の監視の手順とプロセスの確立を通じて基礎を築いてきた。

AGGIはこれまでの任務によって、APECフォーラによる「フレームワーク」の実施のための確固とした基盤を提供してきた。多くのフォーラ、議長及びそれぞれの職員は、ジェンダー 課題を認識し、活動に女性が関わることを増やすという実践的な手段を講じてきた。AGGIは特に貿易・投資委員会(CTI)、財政管理委員会(BMC)、経済インフラグループ(GEI)の 取り組みと現在及び将来のSOM議長に対してコメントをしている。こうしたAGGIとの取り組みはジェンダー統合の優れたロールモデルとなった。その他のフォーラもまた、更なる活 動の提案とともに、ドラフト段階のものについて審査したり、非常に有用なフィードバックすることを含むAGGIの活動に対して大変に貴重な支援と指導を行ってきた。AGGIはまた多く のジェンダー統合プロジェクトのための多大な財政的支援をAPECから受けている。

活動の進展の見込み

AGGIはAPECとそのフォーラに対して、「フレームワーク」の実施及び、ジェンダーについての助言と専門的知識を監視するという困難な任務に取り組んだ。

APECのフォーラと密接に作業しながら、AGGIはジェンダーを業務に組み入れようとして経験した難問に気づいた。AGGIには作業プログラム、政策、プロジェクトを含むフォーラの 活動にジェンダーについての助言を提供するという高い期待が課されてきた。このことはフォーラのメンバーが自分たちの業務にジェンダー課題を取り入れる能力をまだ獲得して いず、専門的補助が必要であることを示している。さらにジェンダー課題の重要性は各エコノミーには認識されつつある。たとえば韓国とベトナムは最近IT能力開発の企画および農 業におけるジェンダーとグローバル化に関してAGGIに意見を求めている。支援,メカニズムとジェンダー助言サービスがあれば、職員の能力を築く手助けとなり、SOM、APEC フォーラ、各エコノミーにジェンダーについての助言を提供することになる。もうひとつの重要な格差は、女性の参加を増やす上でAPECの成果を確認できる中心的な監視手段がな いことである。たとえば現在のところ、女性の代表を増やすAPECの努力の成果を測るプロセスもメカニズムもない。

ジェンダーの統合に持続可能な実践の確立を確実にするために今後の業務を必要とする重要な分野は以下を含む。

  1. フォーラとSOMにジェンダーについての助言を提供するメカニズム
  2. ジェンダーに関する業務を自ら行うための知識や技能を職員に備えさせるためのキャパシティ・ビルディングの実践
  3. 実施されたことの監視。
今後の作業

AGGIの期限延長により、フォーラ内で達成された優れた活動状況を維持し、AGGIは以下のようなAPEC内の持続可能な実践の確立を完了できる。

  • APECフォーラ職員が自らの業務にジェンダーを活用する技術と能力を形成する
  • APECフォーラへの女性の参画の調査を含んだジェンダーの統合に関するAPECの進展の基準となるプロセスの改善
  • フォーラとSOMに対する実践的な支援と指導を提供するジェンダーについての諮問的手段の確立
  • テーマの作成と予備的資料を含んだ2002年第二回女性問題担当大臣会合の準備支援。

12ヶ月の期限延長があれば、来年の上半期に、フォーラのニーズとの整合をはかる「実地テスト」を行うために、上級職員と密接に協議してAGGIは新しい実践を試行する。少数の フォーラがこの作業の協力を要請される(貿易・投資委員会(CTI)とともにより技術的なグループが含まれる)。提案される可能性のあるプロジェクトは以下を含む。

  • ジェンダー・サービス・プロジェクト

このプロジェクトはフォーラの活動にジェンダーについての助言を提供する(たとえば作業プログラム、プロジェクト、政策、ジェンダー「手法」)一つ以上のジェンダー諮問サービス を試みる。オプションとして非常勤のジェンダー専門家への資金援助、女性専門アドバイザーのデータベース(ジェンダーとAPECの中心分野の専門知識を持つ女性で構成され る)とキャパシティ・ビルディングのためのワークショップと手法が含まれる。ワークショップは業務の中に、職員が(ジェンダー・フォーカルポイントを含む)ジェンダーを容易に活用 する専門知識と技術を備える研修を提供できることになる。

  • 基準設定プロジェクト

このプロジェクトはAPECが「フレームワーク」を実施する上での進捗の基準を評価する戦略を開発し、試すことになる。

  • ジェンダー・フォーカルポイント・ネットワーク

このネットワークは最小のコストで来年までに開発が可能である。このネットワークはジェンダー・フォーカルポイント間に支援を提供し、ジェンダーの専門知識を築くことになる。長 期的に見れば、このネットワークはSOMにジェンダーの専門知識を提供する機能を果たす。

勧告

AGGIはSOMが以下を行うことを勧める。

  1. APECが「フレームワーク」を実施する上でのAGGIからの支援による多大な進展と、フォーラの活動にジェンダーを統合するためAGGIからの助言を求めるフォーラの反応を認めること
  2. APEC全体に長期的で持続可能な実践を確立するために、2002年の完了までAGGIの期限延長を承認すること
  3. 第二回女性問題担当大臣会合の準備支援をAGGIが行うことを求めるメキシコの要請に合意すること
  4. 現在のジェンダー・フォーカルポイントの業務による恩恵を評価し、今後全てのフォーラがAGGIと協力して業務を行うジェンダー・フォーカルポイントを指定するよう命じること
  5. 全てのエコノミーが公的な女性のための機関を国内のAPEC政策調整に含めるように奨励すること
  6. APEC全体で2002年以降にジェンダーに関する業務を持続していくAPECジェンダー・フォーカルポイントのためのネットワークの確立のため、AGGIが今後SOMへの提案を行っていくことに注意すること
  7. APECフォーラによるジェンダー基準の指標とその使用を承認すること
  8. 「APECにおける女性統合のためのフレームワーク」の実施に関して閣僚に向けたドラフトSOMレポートを承認すること
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