男女共同参画白書(概要版) 平成29年版

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第7章 女性に対する暴力

第1節 配偶者等からの暴力の実態

(配偶者からの暴力についての被害経験)

これまでに結婚したことのある者のうち,配偶者(事実婚や別居中の夫婦,元配偶者も含む。)から「身体に対する暴行」,「精神的な嫌がらせや恐怖を感じるような脅迫」,「生活費を渡さないなどの経済的圧迫」又は「性的な行為の強要」のいずれかについて,「何度もあった」とする者の割合は,女性9.7%,男性3.5%となっている(I-7-1図)。

I-7-1図 配偶者からの被害経験

(配偶者間における暴力の被害者の多くは女性)

警察における配偶者からの暴力事案等の相談等件数は,平成28年は6万9,908件,検挙件数は8,387件であり,いずれも,配偶者暴力防止法施行(13年10月)後最多となっている。

また,相談等件数のうち85.0%(59,412件)は女性が被害者であり,配偶者間における暴力の被害者の多くは女性となっている。

(配偶者暴力相談支援センター等への相談件数等)

配偶者暴力相談支援センターの数は年々増加しており,平成29年3月現在,全国272か所(うち市町村が設置する施設は99か所)が同センターとして,相談,カウンセリング,被害者やその同伴家族の一時保護,各種情報提供等を行っている。

また,平成27年度に全国の配偶者暴力相談支援センターに寄せられた相談件数は11万1,630件であり,年々増加している(I-7-5図)。

I-7-5図 配偶者暴力相談支援センタ-数及び相談件数の推移

第2節 ストーカー行為,性犯罪,子供に対する性的暴力,売買春,人身取引の実態

(ストーカー事案の相談等の状況)

平成28年のストーカー事案の相談等件数は2万2,737件であり,前年に比べ769件(3.5%)増加した。24年以降は高水準で推移している(I-7-7図)。また,被害者の88.8%が女性で,加害者の84.0%が男性となっている。

I-7-7図 スト-カ-事案の相談等件数の推移

(ストーカー事案に対する対応状況)

平成28年のストーカー事案における検挙件数は2,605件で,そのうち刑法等の適用による検挙が1,919件,ストーカー規制法違反による検挙が769件である。

(強姦・強制わいせつの認知件数)

強姦及び強制わいせつの認知件数は,いずれも平成16年以降減少傾向にあり,28年は強姦989件(前年比178件減少),強制わいせつ6,188件(同567件減少)となっている。

(子供に対する性的暴力の検挙件数)

平成28年の児童買春事件の検挙件数は809件,児童ポルノ事件の検挙件数は2,097件であり,過去10年間の推移を見ると,児童買春事件は26年以降,やや増加傾向にあり,児童ポルノ事件は過去最多を更新した(I7-13図)。また,児童虐待のうち性的虐待の検挙件数は162件(前年比45件増加)となっている。

I-7-13図 児童買春及び児童ポルノ事件の検挙件数の推移

(売春関係事犯検挙件数)

平成28年の売春関係事犯検挙件数は735件となり,前年に比べ減少した。また,要保護女子総数は450人で前年に比べ減少したが,そのうち未成年者が占める割合は33.6%であり,前年に比べ1.0%ポイント増加している(I7-14図)。

I-7-14図 売春関係事犯検挙件数,要保護女子総数及び未成年者の割合の推移

(人身取引事犯検挙件数等)

平成28年における人身取引事犯の検挙件数は44件,検挙人員は46人であり,検挙人員のうちブローカーが5人となっている。また,警察において確認した被害者総数は,26,27年は2年連続で増加していたが,28年は前年よりも減少した。