男女共同参画白書(概要版) 平成29年版

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はじめに 平成28年度を振り返って

  1. 女性活躍推進法等による女性活躍の加速
    • 平成28年4月には,女性活躍推進法が全面施行され,同法で,事業主行動計画の策定・届出等が義務付けられた常用労働者301人以上の一般事業主(民間企業等)について,行動計画の届出率が99.9%(29年3月末現在)と,円滑に施行が行われている。
    • 平成28年度から,国の調達において,ワーク・ライフ・バランス等推進企業を総合評価落札方式等で加点評価する取組を開始し,独立行政法人等での実施や地方公共団体での国に準じた取組,2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会や民間企業等の各種調達においても,国と同様の取組が進むよう働きかけを行っている。
    • 平成28年9月以降「働き方改革実現会議」が開催され,時間外労働の上限規制の在り方など長時間労働の是正,同一労働同一賃金の実現などによる非正規雇用の処遇改善,女性・若者が活躍しやすい環境整備等についての議論を経て,29年3月に「働き方改革実行計画」が取りまとめられた。
    • 平成29年3月に,男女共同参画担当大臣を議長として設置された「いわゆるアダルトビデオ出演強要問題・『JKビジネス』問題等に関する関係府省対策会議」において,同年4月を「AV出演強要・『JKビジネス』等被害防止月間」と位置付け,政府一体となって必要な取組を緊急かつ集中的に実施する緊急対策を取りまとめた。
  2. 男女共同参画に関わりの深い制度改革の動き
    • 平成29年3月に所得税法等が改正され,配偶者控除等について,配偶者の収入制限を103万円から150万円に引き上げるなどの見直しが行われた(30年1月施行)。
    • 社会保障制度については,平成28年10月から,大企業で働く短時間労働者を対象に被用者保険の適用拡大が実施され,また,同年12月には,年金改革法が成立し,中小企業等で働く短時間労働者についても,労使合意を前提に,企業単位で適用拡大の途が開かれた。
    • 国家公務員の配偶者に係る扶養手当については,平成28年11月に一般職の職員の給与に関する法律が改正され,段階的に配偶者に係る手当額を他の扶養親族と同額まで減額するなどの見直しを行うこととされた。
    • 平成29年3月に育児・介護休業法が改正され,保育所に入れない等の場合に最長で子が2歳に達するまで育児休業を延長できることとされた(29年10月施行)。
    • 平成28年12月にストーカー行為等の規制等に関する法律が改正され,規制対象行為が拡大されるとともに,罰則が引き上げられた。また,強姦罪の構成要件及び法定刑の見直し等を内容とする「刑法の一部を改正する法律案」が,29年3月に第193回通常国会に提出された。
  3. 国際的な動向への対応
    • 2016(平成28)年に我が国が議長を務めたG7伊勢志摩サミットでは,SDGs策定後,初のG7サミット開催国として,SDGsに明記された「ジェンダー主流化」の重要性を体現するため,首脳会合のみならず,全ての関連閣僚会合で女性活躍を議題として取り上げ,首脳宣言に女性の能力開花を支援することや女性に対するあらゆる暴力への対応強化にコミットすること等が盛り込まれた。
    • 2016(平成28)年12月,東京において,3回目となる国際女性会議WAW!2016(World Assembly for Women)を開催した。
    • 我が国が主導し,アジア各国の閣僚に参加を呼び掛けて,2006(平成18)年に東京で第1回会合を開催した「東アジア男女共同参画担当大臣会合」等を統合し,発足した「東アジア家族・男女共同参画担当大臣フォーラム」の第1回会合が2016(平成28)年12月にタイ・バンコクで開催され,我が国から,男女共同参画・女性活躍担当大臣が参加した。
    • 2016(平成28)年5月に,内閣総理大臣を本部長とし,全閣僚を構成員とするSDGs推進本部を設置し,同年12月,同推進本部で「SDGs実施指針」が決定され,ジェンダー平等の実現とジェンダー視点の主流化をSDGsの全てのゴールの実現に不可欠なものとして位置付けた。