平成19年版男女共同参画白書

本編 > 第1部 > 特 集 国際比較でみた男女共同参画の状況

特 集 国際比較でみた男女共同参画の状況 ―女性の活躍とワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)

日本の女性の社会参画は,国際的に見ても全般的に低い水準にある。一方,女性の社会参画の進んだ諸外国に目を向けると,仕事と子育ての両立支援策等,女性の就労に関する環境が整備されていること,ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和) 1が図れていること,女性に活躍の場を提供するための積極的な取組を進めていること等,条件が整っている国が多いと考えられる。ここでは,政治・行政,働く場,生活の3つの側面から男女の参画状況や背景となる制度,組織等における女性登用のための取組について日本と諸外国を比較・分析する。

特集のポイント


第1節 概観

  • 日本の女性の社会参画水準は,西欧諸国のみならず,一部のアジア諸国と比較しても決して高いとはいえない。男女共同参画の基本的な法的枠組みは整っており,各国と比較しても劣っていないが,社会で指導的立場に立つ女性は依然として少ない。
  • 固定的性別役割分担意識は,欧米諸国に比較すると依然強いが,近年変化してきている。

第2節 国際比較でみた男女共同参画の現状

1.政治・行政

  • 女性の国会議員割合は,ここ10年ほどの間に増加しているが,国際的に見ると日本はアジア諸国を含めた諸外国と比べて低い水準にある(189か国中131位)。
  • 国家公務員の管理職に占める女性割合を見ると,日本は1.8%で各国と比べて低い。

2.働く場

  • 働く場における女性の参画も低水準にとどまっている。女性の就業割合は,一部のアジア諸国よりも高い水準にあるが,管理的職業従事者に占める女性の割合は,韓国とともに著しく低くなっており,他国と比較して伸びも小さい。
  • 日本の女性の労働力率を年齢階級別にみると,子育て期に当たる30歳代前半で低下するM字カーブを描くが,外国の女性の1970年代からの年齢別労働力率の推移をみると,欧米諸国を中心にM字カーブの底が解消して逆U字カーブを形成している。
  • 日本のパートタイム労働者の比率は他の先進諸国と比べて高い水準にあるが,特に女性のパートタイム労働者の割合が増えており,フルタイム労働者との賃金格差・処遇格差が男女の賃金格差の一因となっている。

3.生活

  • 男性の家事・育児時間は,諸外国と比較して著しく短い。
  • 日本では,固定的性別役割分担意識の変化にも関わらず,労働時間は諸外国と比較して長く,その分,家庭や地域で過ごす時間が短くなっている。

第3節 女性がより活躍できる環境に向けた取組

1.仕事と生活の調和のための取組

  • 育児支援制度については,各国様々な特徴をもつが,全体にスウェーデン,ノルウェー等北欧諸国で充実している。
  • 労働時間制度については,西欧諸国で時短の動きが見られる。アジア諸国においても制度面では整備されているが,大幅な実労働時間短縮には至っていない。
  • パートタイム労働については,西欧諸国で法整備が進んでいる。
  • その他にも,米国や英国,オーストラリア等は,近年,企業に対するガイドラインの策定やウェブサイトによる総合的な情報提供等,近年ワーク・ライフ・バランスを推進する取組を進めている。

2.女性の登用促進のための取組

  • 国会議員の登用促進のために,クォータ制(割当制)が導入されている国は多く,ノルウェー,スウェーデン,ドイツ等政党が自主的に導入している例のほか,近年の韓国のように法律によって定めている国もある。クォータ制以外にも,民間団体による女性選挙候補者への支援やメンター制の導入等の取組が見られる。
  • 公務員の採用・登用に関しても,クォータ制や数値目標設定から人材情報の提供まで各国で様々な取組が進められている。
  • 公的部門以外でも,ワーク・ライフ・バランスや女性の登用を推進する企業が増えており,政府がこれらの動きを支援し,資金援助や情報提供等,総合的な取組に乗り出している。

おわりに

  • 女性の参画が企業の経営に好影響を与える可能性や,仕事と生活との調和のとれた環境が仕事に対する満足感をもたらすことなども指摘されており,男女が仕事にも家庭生活等にもバランスよく参画できるような環境を整備する必要がある。