「共同参画」2022年3・4月号

特集1

「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」地域シンポジウムの開催
内閣府男女共同参画局総務課

「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」(以下「男性リーダーの会」)は、現在約270名の企業の社長や地方自治体の首長等に御参加いただき、取組の共有や意⾒交換を⾏っています。昨年度より各地域企業の男性リーダーへと本会のネットワークを拡げることを目的に、地域シンポジウムを開催しています。今年度は、秋田県・愛知県と共催で開催し、当日は、各地域企業の代表や社長をはじめ多くの方に御参加いただきました。

秋田開催


愛知開催


開会挨拶

野田聖子 内閣府特命担当大臣(男女共同参画) 女性活躍担当大臣

開会にあたり、全国各地に男女共同参画の裾野を広げ、若い女性がのびのびと力を発揮し、若い男性とともに活躍できるような地域を作っていくことが、地⽅創⽣と少⼦化対策にとっての鍵となることについて述べました。

また、視聴いただいている企業経営者へもこの認識を共有するとともに、「男性リーダーの会」への参加と、本シンポジウムで得られる⼥性活躍の好事例を組織へ持ち帰り、地域における女性活躍を加速していただくよう呼びかけました。

野田聖子 内閣府特命担当大臣(男女共同参画) 女性活躍担当大臣


佐竹敬久 秋田県知事

自身の経験に基づきながら、海外では官民問わず数多くの女性が専門性の高いキャリアを活かして活躍しており、女性一人ひとりが個性と能力を十分に発揮できる豊かで活力ある社会を構築しなければ、日本は世界で取り残されるという危機感を訴えました。

また、今回のシンポジウムを契機に、秋田県内の女性活躍が前に進むことを期待する旨を述べました。

佐竹敬久 秋田県知事


大村秀章 愛知県知事

「女性が元気に働き続けられる愛知」の実現を目指し、企業トップの「女性の活躍促進宣言」の募集、「あいち女性輝きカンパニー」の認証、そして同認証の優良企業表彰の3つの制度を根幹に据え、様々な取組を進めており、今回の地域シンポジウムをきっかけに、女性の活躍の輪が一層広がることを期待している旨を述べました。

大村秀章 愛知県知事


基調講演

平成26年の「男性リーダーの会」発足時のメンバーであるカルビー株式会社伊藤社長とサイボウズ株式会社青野社長より、「男性リーダーによる女性活躍推進への想いと取組」をテーマに講演いただきました。


秋田県

伊藤秀二氏 カルビー株式会社 代表取締役社長兼CEO

伊藤社長の御講演では、「社員の男女比率=管理職における男女比率」があるべき姿であるという想いの下、女性活躍を進めてきたこと、そして、一番大事なのは、組織トップが「女性活躍を進める」という強い意志を持ち、「なぜ女性活躍を進めるのか」「なぜ進めなければならないのか」をトップ自身が納得しなければ絶対に進まない、という熱い想いをお話しいただきました。

また、女性活躍のためには働き方改革が重要であるが、その際、女性のためだけでなく、男性も含めた働く人全てのための改革として進めることが、非常に大きなポイントである旨をお伝えいただきました。

そのうえで、女性の活躍だけでなく社員全員の活躍を目指すことが、結果として女性管理職の増加につながり、個人の力の集結が企業の成長へとつながることを御説明いただきました。

伊藤秀二氏 カルビー株式会社 代表取締役社長兼CEO


愛知県

青野慶久氏 サイボウズ株式会社 代表取締役社長

青野社長の御講演では、平成17年に離職率が上昇したことをきっかけに働き方の多様化に取り組み始めたこと、そして「100人100通りの働き方」をスローガンに、公平性よりも個性を重んじることで、一人ひとりの幸福と生産性を追求してきたことをお話しいただきました。

また、働き方改革によって生じた時間の制約という問題に対し、個人戦ではなくチーム戦という考えの下、社員同士の連携プレーを可能とする制度づくり等、具体的な取組を進めてきたことを御紹介いただきました。

最後に、世界における日本のジェンダー・ギャップ指数の低さ、特に「政治」・「経済」分野での遅れを指摘したうえで、日本の今の現状は「年上の男性に権限を集中させる支配的な文化」が根強いことに起因しており、このような文化からの脱却が、女性や若者たちの活躍を促し、幸福度と生産性の高い社会づくりにつながる旨を訴えていただきました。

青野慶久氏 サイボウズ株式会社 代表取締役社長


~シンポジウム参加者の声~

基調講演

今までの「オッサン文化」ではなく、女性・若者文化が今後の企業の柱になることが、成長する企業への一つの鍵だと強く感じた。

トップが強い意志を持ち、働く人のために改革を行っていかないと進まない、というお話に大変心を打たれた。何のために女性活躍を推進しているのか、女性活躍自体が目的化していることはないか、今一度考えて自社の推進を行っていきたいと深く感じた。

パネルディスカッション

今までの考え方ではいけない、そう思うトップがいれば変わるということが伝わった。若い女性を引き留めるために環境を整える、言葉だけではあまりいい印象にはならないが、それが必要なことなのだと、聞いていて思った。

女性活躍推進は手段であって目的ではない、目指すべきは地域の価値を高めること、という言葉に合点がいった。


パネルディスカッション

「女性活躍推進における組織トップの役割」をテーマに、各県内の男性リーダー、女性リーダーによるパネルディスカッションを行いました。


秋田県

新谷明弘氏 株式会社秋田銀行 取締役頭取
佐々木智佳子氏 イオン東北株式会社 取締役副社長兼人事総務本部長
佐竹敬久氏 秋田県知事
陶山さなえ氏(ファシリテーター) 秋田県理事

愛知県

盛田淳夫氏 敷島製パン株式会社 代表取締役社長
田中秀範氏 株式会社テルミック 代表取締役
梅本美恵氏 株式会社システムリサーチ 取締役
河野真理子氏(ファシリテーター) 株式会社キャリアン 代表取締役


女性活躍推進に対する自身のコミットメント、自身が組織トップから受けた影響について

「前に進みたい」という想いを持つ女性を周りが助ける風土を作ることが、企業として人材が活躍する場を作ることにつながる。
従業員一人ひとりの働き方に合わせて、トップがリーダーシップをもって取り組むことが非常に重要。日本のこれからを牽引する若い世代の文化や価値観に、自らが合わせに行く姿勢も大事にしている。

女性活躍推進のために、今後取り組んでいきたいことについて

共働き世帯がほとんどの中、家庭内の性別役割分担を見直し、いかに女性の負担を軽くすることができるかが重要。
IT化が進み、男性と女性の仕事の区別はなくなっている。社会の進歩を多様な面で認識することで、女性の活躍の場を広げることができるという意識を企業が持つことが必要である。
アンコンシャスバイアスについて、管理職以上の社員に対しては、セミナーなどの機会を通じて、無意識な思い込みを排除し、部下の意思を尊重することの重要性を伝えている。同時に、会社としてチャンスは平等に与えていることを伝えるなど、女性側の意欲を引き出すことも大事。

シンポジウム参加者へのメッセージ

女性活躍の推進は、目的ではなく手段。人を活かし企業を成長させ、地域経済、産業の競争力を高めるとともに、地域の価値を高め、地域経済にインパクトを与えることが本来の目的。自社、企業経営者、女性当事者、地域における慣習、意識を変えていくことが、地域を変える大きな力になる。機会があればその旨を発信するとともに、地域企業とともに努力していきたい。
人口動向調査によると、愛知県では20代を中心に女性が関東へ転出超過しており、これは地元の魅力が低下していることを表している。この流れを止め、地域が活性化するために、女性が働きたくなるような職場環境を整えることが、企業としての大きな責任であり、企業トップが目指すべき方向である。


秋田銀行 新谷頭取、イオン東北 佐々木副社長、陶山理事、佐竹知事
※写真左上から時計回り
秋田銀行 新谷頭取、イオン東北 佐々木副社長、陶山理事、佐竹知事


テルミック 田中代表、敷島製パン 盛田社長、キャリアン 河野代表、システムリサーチ 梅本取締役
※写真左上から時計回り
テルミック 田中代表、敷島製パン 盛田社長、キャリアン 河野代表、システムリサーチ 梅本取締役


シンポジウムの内容や、参加者の声はこちらでも紹介しています。

秋田県
https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/male_leaders/event/index_20220421.html

愛知県
https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/male_leaders/event/chiiki_symposium.html


「男性リーダーの会」への御参加はこちらから!
男性リーダーの会
https://www.gender.go.jp/policy/sokushin/male_leaders/join.html

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