男女共同参画会議基本問題専門調査会

  1. 氏に関する法的な扱い
    • 「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」(民法第750条)
    • 「戸籍は、市町村の区域内に本籍を定める一の夫婦及びこれと氏を同じくする子ごとに、これを編成する。」(戸籍法第6条)。
  2. 選択的夫婦別氏制をめぐる世論の動向
    • (1)世論調査結果

      夫婦別姓については、昭和62年の世論調査において賛成13.0%から、約10年後の平成8年の同調査で賛成は32.5%(通称使用を含めると55.0%)へ増加している

      世論調査における選択的夫婦別氏制(夫婦の別姓)に対する意識の変化 (%)
      選択的夫婦別氏制(夫婦の別姓)
      について<1>
      昭和62年
      (1987)
      平成2年
      (1990)
      平成6年
      (1994)
      平成8年
      (1996)
      別姓賛成 13.0 29.8 27.4 32.5
      通称使用<2> 22.5
      どちらともいえない<3> 16.4 14.7 17.0
      別姓反対 66.2 52.1 53.4 39.8
      わからない 4.4 3.4 2.2 5.1
      注)
      <1>回答者総数の結果
       
      <2>「夫婦が婚姻の名字(姓)を名乗ることを希望していても、夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだが、婚姻によって名字(姓)を改めた人が婚姻前の名字(姓)を通称としてどこまでも使えるように法律を改めることについては、かまわない」との考え方。平成8年調査から新たに選択肢に入ったもの。
       
      <3>については、平成8年調査より選択肢から削除。
      出典)
      • 女性に関する世論調査(昭和62年3月調査)総理府
      • 女性に関する世論調査(平成2年9月調査)総理府
      • 基本的法制度に関する世論調査(平成6年9月調査)総理府
      • 家族法に関する世論調査(平成8年6月調査)総理府
    • (2)同氏制反対意見の背景

      平成12年5月から10月までの間、男女共同参画基本計画案等に対して総理府で受付けた意見から選択的夫婦別氏制の導入を望むものを整理したところ、以下のとおり。

      • 男女共同参画社会実現の阻害要因となっている。
        • 家意識、女性蔑視、固定的な役割分担の温床となっている。
        • 多様な生き方が容認される社会の実現を阻む要因となっている。
      • 結婚や出産に当たっての障害となっている。
        • 一人っ子同士の結婚の場合、家名存続のためには、男女がともに旧姓を名乗れるようにすることが必要。
        • (同氏制に反対のため入籍していないカップルの場合)婚外子に対する差別や偏見から子供を持つことを控えている。
      • 女性が社会進出していく上での障害となっている。
        • 女性が働きやすい社会の実現を阻む要因となっている。
        • 旧姓で発表した研究成果や業績が自分のものとして認知されにくい。
  3. 選択的夫婦別氏制の検討経過(別紙1
    • 平成8年2月、法制審議会が「婚姻制度等に関する民法改正要綱」を答申。
    • 平成11年6月、男女共同参画社会基本法が成立、施行され、これを受けて、平成12年12月には男女共同参画基本計画が閣議決定された。
    • 男女共同参画基本計画(別紙2)において、男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直しとして、家族に関する法制の整備をあげ、男女平等等の見地から選択的夫婦別氏制度の導入について、国民の意識の動向を踏まえつつ、引き続き検討を進めることとしている。
  4. 旧姓使用においての対応
    • 選択的夫婦別氏制の具体的な対応の一つとして旧姓使用について、福田官房長官より、以下の御発言があった。

      平成13年5月18日衆議院内閣委員会 石毛議員の質問に対して
      「(略)・・・、旧姓を使用できないことによる女性の社会生活上の不便や不利益を少しでも軽減するために何かできることはないかと考えておりまして、関係省庁に検討を行うよう男女共同参画局に指示しているところであります。」

      平成13年5月24日参議院内閣委員会 小宮山議員の質問に対して
      「(略)・・・。簡単にできそうなところで、公務員の職場での旧姓使用も徹底していないということもあり、身の回りのところからやっても良いのではないか。」

    • 旧姓使用拡大に対する意見について(別紙3
    • 旧姓使用について、国民の関心も高く影響の大きいものを例として検討した(別紙4)。