先輩からのメッセージ

- 村山 美乃さん
- 神奈川工科大学
工学部応用化学生物学科 教授
自己紹介
専門:無機材料化学
ナノサイズの無機材料で持続可能な社会の実現を目指して研究しています。
理工系分野を選択した時期・理由
心のどこかで,今,たまたま工学系を職業にしているという気持ちがあります。もしかしたら,数年後には小学校の卒業文集に書いた『将来の夢:作家』を実現しているかもしれない!と思ってしまうくらい,いろいろなことに興味があります。作家だけでなく,弁護士,外交官,薬剤師,建築士・・・などなど,子供のころから文系理系問わず,いろいろな職業に憧れてきました。そのたびに,仕事内容や大学で学ぶことを調べておもしろそうだな,と思ったことを選んできたら,今ここにたどり着きました。高校2年のときの文理選択は,分岐点だったかもしれません。文系クラスには数学,理科がないですが,理系クラスには国語,社会もあったので理系に進みました。もしかしたら,父も祖父も理系なので知らず知らずのうちに影響を受けたのかな,とも思います。
現在の仕事(研究)の魅力やおもしろさ
現在の研究テーマのひとつは,触媒化学です。高校3年で建築学科を受験して全滅し,空間認識能力の低い方向音痴には向いていないのだろうと,得意な化学の分野に進路変更しました。化学のおもしろさには,見たこともない新しい物質を作り出すことがありますが,私の場合は特に,化学反応そのものを制御するカギとなる触媒に興味があります。歴史をガラリと変える発明は難しくても,小さくていいから日常生活の中で『これ,私が考えた方法で作られたんだよ』と言える仕事がしたいです。自分が作ったものを世に送り出すために,会社も設立しました。大学では学生のみなさんの素朴な疑問や,思いがけない指摘にハッとさせられることが多々あります。ハタチ前後の柔軟な発想力に触れられることが楽しい仕事です。
女子中高生・女子学生の皆さんへのメッセージ
中高は明治8年開学の女子校に通い,進路指導らしいものはほとんどない環境でした。偏差値などにとらわれず,志望する進路を選べたことに感謝しています。当時,通学途中に『ほしいものが,ほしいわ。』という広告がありました。今も心に残る言葉です。先入観や打算に惑わされず,欲しいもの,やりたいことが何かを見極めて進路を選択してください。もちろん,不安や心配もあることでしょう。もし失敗したり予想通りでなかったりしても,人生にはやり直しや回り道をする余白が充分にあります。まずは,一歩踏み出してみましょう。文理,男女など二極で考えると大げさに感じるかもしれませんが,何事にも中間があり,続けていくうちにちょうどよい加減がみつかるはずです。