第1節 男女共同参画の視点に立った各種制度等の見直し

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III 男女共同参画社会の実現に向けた基盤の整備

第9分野 男女共同参画の視点に立った各種制度等の整備

第1節 男女共同参画の視点に立った各種制度等の見直し

ア 働く意欲を阻害しない制度等の検討

○ 働き方の多様化を踏まえつつ、働きたい女性が就業調整を意識しなくて済む仕組み等を構築する観点から、税制や社会保障制度等について、総合的な取組を進めている。

  • 内閣府では、令和4(2022)年3月2日、男女共同参画会議の下に置かれた計画実行・監視専門調査会において、女性の視点も踏まえた税制や社会保障制度等について審議を行った。【内閣府(男女共同参画局)、関係府省】
  • 厚生労働省では、社会保障制度については、令和4(2022)年10月及び令和6(2024)年10月に予定されている短時間労働者に対する被用者保険の適用拡大に向けて、周知・専門家活用支援事業等を実施し、企業・従業員の双方に改正内容と意義が理解されるよう、周知・広報を行っている。【厚生労働省】
  • 厚生労働省では、配偶者の収入要件があるいわゆる配偶者手当については、税制・社会保障制度とともに、就業調整の要因となっているとの指摘があることに鑑み、配偶者の働き方に中立的な制度となるよう、労使に対しその在り方の検討を促すことが重要であり、引き続きそのための環境整備を図っている。【厚生労働省】

イ 家族に関する法制の整備等

○ 現在、身分証明書として使われるパスポート、マイナンバーカード、免許証、住民票、印鑑登録証明書なども旧姓併記が認められており、旧姓の通称使用の運用は拡充されつつあるが、国・地方一体となった行政のデジタル化・各府省間のシステムの統一的な運用などにより、婚姻により改姓した人が不便さや不利益を感じることのないよう、引き続き旧姓の通称使用の拡大やその周知を行った。【関係府省】

  • 旅券(パスポート)の旧姓併記については、令和3(2021)年4月1日以降の申請について、旧姓の併記を希望する場合には、戸籍謄(抄)本、旧姓が記載された住民票の写し又はマイナンバーカードのいずれかで旧姓を確認できれば、旧姓の併記を認めるよう要件を緩和するとともに、旅券の身分事項ページで、併記されたものが旧姓であることを外国の入国管理当局などに対して分かりやすく示すため、英語で「Former surname」との説明書きを加えることとしたところであり、その周知に取り組んだ。
  • 内閣府では、各種国家資格等における旧姓使用の現状等に関する調査を実施し、302の国家資格等(総務省平成23年「資格制度概況調査結果」に基づき整理)のうち、ほとんどの国家資格等において、旧姓使用ができるまたはできる予定であることを公表した。【内閣府(男女共同参画局)】
  • 旧姓の通称使用の拡大の現状と課題について取りまとめ、令和3(2021)年9月30日、男女共同参画会議の下に置かれた計画実行・監視専門調査会へ報告した。【内閣府(男女共同参画局)】

○ 法務省では、ホームページに「選択的夫婦別氏制度(いわゆる選択的夫婦別姓制度について)」という項目を設けて、夫婦の氏に関して、国民への情報提供をしているところ、令和3(2021)年10月には、平成22(2010)年に法務省で準備した法案の骨子、戸籍の記載例を盛り込むなど、ホームページの更新を行った。

内閣府において、令和4(2022)年3月に、夫婦の氏の在り方などに関して国民の意識を調査した「家族の法制に関する世論調査」の結果を公表した。法務省のホームページにおいても、その結果を公表するなどした。【法務省、関係府省】

○ 女性の再婚禁止に係る制度の在り方等については、令和4(2022)年2月、法制審議会から、女性に係る再婚禁止期間の廃止等を内容とする民法改正の要綱が答申された。【法務省】

ウ 男女の多様な選択を可能とする育児・介護の支援基盤の整備

○ 子ども・子育て支援新制度の実施による幼児期の学校教育、保育、地域の子ども・子育て支援の充実、幼児教育・保育の無償化、「新子育て安心プラン」を踏まえた保育の受け皿整備、「新・放課後子ども総合プラン」に基づく放課後児童クラブの受入児童数の拡大などにより、地域のニーズに応じた子育て支援の一層の充実を図っている。【内閣府、文部科学省、厚生労働省】

  • 幼稚園・保育所・認定こども園を通じた共通の給付や小規模保育への給付、地域の事情に応じた認定こども園の普及、地域子育て支援拠点や放課後児童クラブ等地域のニーズに応じた多様な子育て支援策を着実に実施している。
  • 待機児童の解消に向け、保育所等の整備を推進するとともに、それに伴い必要となる保育人材の確保、子育て支援員の活用等を推進している。
  • 保育士等・幼稚園教諭を対象に、賃上げ効果が継続される取組を行うことを前提として、収入を3%程度(月額9,000円)引き上げるための措置を、令和4(2022)年2月から実施している。
  • 多様な保育ニーズに対応するため、延長保育、休日保育、夜間保育、病児・病後児保育、事業所内保育等の多様な保育サービスの充実を図っている。
  • 就業の有無にかかわらず、一時預かり、幼稚園等における預かり保育等により、地域における子育て支援の拠点やネットワークを充実させている。
  • 幼児教育・保育の無償化の着実な実施や保育サービス利用にかかる支援等により、保護者の経済的負担の軽減等を図っている。
  • 放課後等デイサービス等の通所支援や保育所等における障害のある子供の受入れを実施するとともに、マザーズハローワーク等を通じ、きめ細かな就職支援等を行うことにより、そうした子供を育てる保護者を社会的に支援している。

○ 子供の事故防止に関連する関係府省の連携を図り、保護者や教育・保育施設等の関係者の事故防止の意識を高めるための啓発活動や、安全に配慮された製品の普及等に関する取組として、令和3(2021)年度は、平成29(2017)年度から定めている「子どもの事故防止週間」を7月19日~25日とし、関係府省庁が連携して集中的な広報活動を行う取組等を実施した。【消費者庁】

○ 子供の安全な通行を確保するため、子供が日常的に集団で移動する経路等の交通安全環境の整備や、地域ぐるみで子供を見守るための対策等を推進している。

未就学児を中心に子供が日常的に集団で移動する経路については、令和元(2019)年に実施した緊急安全点検の結果を踏まえ、道路管理者により対策を実施する約2万8,000か所のうち約2万3,000か所、警察において対策が必要とされた約7,400か所のうち約7,200か所について対策を完了した(令和3(2021)年3月末時点)。

このほか、令和3(2021)年6月に、下校中の児童が巻き込まれる重大な交通事故が発生したことを受け、全国の公立小学校の通学路について、学校・教育委員会、道路管理者、警察等が連携し、各市町村で構築している推進体制を活用しながら合同点検を実施し、地域の実情に対応した、効果的な対策を検討して可能なものから速やかに対策を講ずるなど、通学路における交通安全の確保に向けた対策を実施した。また、放課後児童クラブの来所・帰宅経路についても、市町村立小学校が行う合同点検を踏まえつつ安全点検を実施し、主たる来所・帰宅経路の設定を行うなど、来所・帰宅経路の安全の確保に向けた対策を実施した。【警察庁、文部科学省、厚生労働省、国土交通省】

○ 国土交通省では、安心して育児・介護ができる環境を確保する観点から、住宅及び医療・福祉・商業施設等が近接するコンパクトシティの形成や、住宅団地における子育て施設や高齢者・障害者施設の整備、各種施設や公共交通機関等のバリアフリー化、全国の高速道路のサービスエリアや「道の駅」における子育て応援施設の整備等を推進しており、高速道路のサービスエリアについては整備が完了した。【国土交通省】

○ 厚生労働省では、医療・介護保険制度については、多様な人材によるチームケアの実践等による効率化・重点化に取り組みながら質の高いサービスの充実を図るとともに多様な人材の育成・確保や雇用管理の改善を図った。その際、特に介護分野における人材確保のため、介護の理解促進や介護の魅力発信のためのイベントの開催、多様な働き方や柔軟な勤務形態を介護事業所にモデル的に導入することを通じて、効率的・効果的な事業運営の方法についての実践的な研究を行うモデル事業の実施、介護に関する入門的研修の実施と併せて受講者の介護事業所へのマッチングまでを一体的に行う事業を実施するなど、総合的に介護人材確保の取組を推進した。

介護現場の生産性向上に関する取組を全国に普及するため、生産性向上に資するガイドラインの取組内容に関するセミナーを、介護現場の経営者層・介護従事者層それぞれの職種の役割に応じて、令和3(2021)年度に25回開催した。【厚生労働省】

○ 厚生労働省では、医療・介護の連携の推進や、認知症施策の充実等により、地域の包括的な支援・サービス提供体制(地域包括ケアシステム)の構築に向けた取組を着実に進め、家族の介護負担の軽減を図っている。【厚生労働省】

○ 厚生労働省では、男女とも子育て・介護をしながら働き続けることができる環境の整備に向けて、育児・介護休業法の履行確保を図っている。

また、次世代育成支援対策推進法の周知を行うとともに、仕事と子育ての両立を推進する企業を対象とした認定及び特例認定の取得を促進している。【厚生労働省】