第4節 非正規雇用労働者の処遇改善,正社員への転換の支援

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第4節 非正規雇用労働者の処遇改善,正社員への転換の支援

1 同一労働同一賃金の実現に向けた均等・均衡待遇の取組や正社員への転換に向けた取組の推進

厚生労働省では,非正規雇用対策については,平成28(2016)年1月に策定した「正社員転換・待遇改善実現プラン」等に基づいた取組を進めてきた。

また,パートタイム・有期雇用労働法及び改正労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律が令和2(2020)年4月から施行された(パートタイム・有期雇用労働法の中小企業の適用は令和3(2021)年4月1日)。

雇用形態に関わらない公正な待遇を確保するため,パートタイム・有期雇用労働法に基づく報告徴収等により同法の着実な履行確保を図った。また,事業主が何から着手すべきかを解説する「パートタイム・有期雇用労働法対応のための取組手順書」や,各種手当・福利厚生・教育訓練・賞与・基本給について,具体例を付しながら不合理な待遇差解消のための点検・検討手順を詳細に示した「不合理な待遇差解消のための点検・検討マニュアル」等を活用し,周知を行った。さらに,パートタイム・有期雇用労働者の均等・均衡待遇の確保に向けた事業主の取組を支援するために,事業主に対する職務分析・職務評価の導入支援・普及促進等を行った。

加えて,企業における非正規雇用労働者の待遇改善等を支援するため,平成30(2018)年度より47都道府県に設置している「働き方改革推進支援センター」において,労務管理の専門家による個別相談やセミナー等を実施した。なお,令和2(2020)年度からは,新型コロナの拡大を受け,オンラインでの個別相談やセミナーも実施した。

2 公正な処遇が図られた多様な働き方の普及・促進

厚生労働省では,職務,勤務地,労働時間を限定した「多様な正社員」制度の普及・拡大を図るため,雇用管理上の留意事項や企業の取組事例について,オンラインセミナーの開催や専用サイトへの掲載により周知を行った。

また,被用者保険の適用拡大を円滑に進める観点から,短時間労働者本人の希望を踏まえて労働時間の延長等を行う事業主に対する支援を実施した。

有期契約労働者の育児休業・介護休業の取得要件や,育児休業・介護休業等に関するハラスメントの防止措置について周知徹底を図るとともに,指導等により,同法の着実な履行確保を図っている。また,有期雇用労働者の育児休業・介護休業の取得要件の緩和等を内容とする改正法案を第204回国会(令和3(2021)年)に提出した(第2章第2節参照)。

国の行政機関で働く非常勤職員の給与については,平成29(2017)年5月に,平成30(2018)年度以降,特別給(期末手当/勤勉手当)に相当する給与の支給を開始すること等を各府省等間で申し合わせたが,当該申合せに沿って各府省において取組を行った結果,着実に処遇改善が進んできている。

総務省では,地方公共団体の臨時・非常勤職員の適正な任用・勤務条件を確保するための改正法(地方公務員法及び地方自治法の一部を改正する法律(平成29年法律第29号))の施行(令和2(2020)年4月1日)により,各地方公共団体で導入された会計年度任用職員制度について,制度導入後の運用の実態を把握し,必要な助言,情報提供を行っている。