平成24年版男女共同参画白書

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第3節 安心して親子が生活できる環境づくりに関わる課題

1 ひとり親家庭等に対する支援の推進

内閣府は,男女共同参画会議基本問題・影響調査専門調査会女性と経済ワーキング・グループにおいて,子どもの貧困率や母子世帯等の貧困率について算出し,基本問題・影響調査専門調査会報告書で公表した。

また,中学校3年生及びその保護者を対象とした生活意識に関する調査を実施し,分析の一つとして「相対的貧困層」に該当していると思われる者とそうでない者との比較を行った。

厚生労働省では,母子家庭の母等について,母子及び寡婦福祉法(昭和39年法律第129号)等に基づき,(ア)保育所の優先入所,日常生活支援事業等の子育て・生活支援策,(イ)母子家庭等就業・自立支援センター事業,母子家庭自立支援給付金等の就業支援策,(ウ)養育費相談センターの設置等の養育費の確保策,(エ)児童扶養手当の支給,母子寡婦福祉貸付金の貸付けによる経済的支援策といった自立支援策を総合的に展開している。

平成23年度においては,上記施策の推進を図るとともに,安心こども基金を活用して,高等技能訓練促進費等の支給期間の拡大やひとり親家庭等の在宅就業の環境整備の推進等,就業・自立に向けた支援を実施した。

また,ひとり親家庭の自立支援の拡充を図るため,平成22年8月より,児童扶養手当の支給対象を父子家庭の父にも拡大している。

さらに,平成21年12月に復活させた生活保護の母子加算(月額2万3,260円(子一人,居宅(1級地)))について,子どもの貧困解消を図るため,23年度においても引き続き支給した。

2 生活上の困難の次世代への連鎖を断ち切るための取組

文部科学省では,家庭の経済状況等によって子どもの進学機会や学力・意欲の差が生じないように,以下のような取組により教育費の負担軽減を進めている。

ア.
幼稚園の入園料や保育料に係る経済的負担を軽減する「就園奨励事業」を実施している地方公共団体に対して,幼稚園就園奨励費補助金によりその所要経費の一部を補助している(第6章第2節1(5)参照)。
イ.
補助金の交付及び地方財政措置により,市町村が,経済的に就学困難な学齢児童生徒の保護者に行う就学援助事業を助成し,貧困が世代を超えて継承されることがないよう,子どもの学びの支援を実施している(第4章第3節6参照)。
ウ.
高等学校等については,家庭の経済状況にかかわらず,全ての意志ある高校生等が安心して教育を受けることができるよう,引き続き公立高等学校の授業料を無償とするとともに,私立高等学校等の生徒については,高等学校等就学支援金を支給することとしている。
エ.
高等教育段階における取組として,学ぶ意欲と能力のある学生等が経済的理由により修学を断念することがないよう,独立行政法人日本学生支援機構が実施する奨学金事業の充実や,各大学が実施する授業料減免等への支援を行うとともに,学生等に対し,自らが次の社会の担い手であることの気づきを促す各大学等の取組を奨励している。
そのほか,生徒や保護者,地域,社会のニーズに応じた定時制課程・通信制課程の在り方について検討するた めの調査研究を実施した。