平成22年版男女共同参画白書

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コラム6

【女性の起業】自らの経験・体験をきっかけにした新たな価値の創造(ビジネスチャンス)


○授乳服の販売からライフスタイル支援まで(F社)

やむなく電車内で授乳をしたときに自ら感じた不自由さを道具で解決しようと考え,外出時に着用でき,授乳時に肌が露出しない授乳服の製作・販売を始め,平成13年に法人化したのがF社である。同社のスタッフの多くが子連れ勤務であり,買物に訪れる人もほとんどが子連れであるため,事務所や販売店舗も含め授乳やおむつ替え用のスペース,ベビーベッドなどを備えている。授乳服という新たな商品分野,買物客が気軽に参加できる各種のイベントとともに,同社が提案したのは“子連れ出勤”という働き方のスタイルである。労働力不足の解消,人材の多様化に効果的とのことで,企業の女性活用の一つのヒントとなっている。


○母親目線で開発したメール配信システムが大ヒット(G社)

子どもの夏休み中,プール開放の有無の電話連絡の大変さをきっかけに,携帯電話のシステムを利用したメール配信システムを開発したのがG社である。母親目線の使い勝手の良さから,平成19年よりヒット,21年にはプライバシーマークと特許を取得し,学校,官公庁,企業において緊急連絡,安否確認,連絡網として利用されている。平成22年3月末には契約団体は700を超え,利用者も25万人超へと急成長した。


○ビジネスを通じた国際貢献(K社)

創業者のYさんは大学時代に途上国支援に興味を持ち,その後バングラデシュに単身で飛び込み,現地の素材であるジュートという麻の一種をいかしたバッグの現地での製品化及び日本での販売を行うため,平成18年にL社を設立した。生産国の人々が自立できる生産体制づくり,妥協しない品質・商品基準,地球環境への配慮などの企業理念,更にその高いデザイン性から多くのファンを獲得している。顧客である日本の消費者と現地製造工場間に情報を共有化する仕組みを作っているほか,生産地ツアーなどを通して二国間の民間交流を深めることにも一役買っている。こうしたビジネスを通じた社会貢献としての側面も注目を集めている。