「共同参画」2017年11月号

特集2

APEC 女性と経済フォーラム2017
内閣府男女共同参画局総務課

9月26日から29日まで、ベトナム・フエにおいて、「APEC 女性と経済フォーラム2017」が開催されました。その概要と成果について、御紹介いたします。

ベトナム社会主義共和国フエにおいて、「APEC 女性と経済フォーラム」が、9月26日~29日の4日間の日程で開催され、APEC域内の閣僚級、企業の役員級、起業家及び学識経験者らが参加し議論が行われました。日本からは、武川恵子男女共同参画局長が日本代表団長として参加しました。

今回のAPEC 女性と経済フォーラムでは、「変わりゆく世界における女性の包摂及び経済的エンパワーメントの強化」をテーマに、「持続的、革新的、包摂的な成長に向けたジェンダー平等の推進」「女性が経営する中小企業の競争力と革新の強化」「人材養成におけるジェンダーギャップの縮小」の3つのサブテーマを議題として、経済成長や女性の経済参画について、APECエコノミー間における経験、情報及び優良事例の共有のための議論が行われました。

 APEC(アジア太平洋経済協力)とは、アジア太平洋地域の21の国と地域(「エコノミー」と総称しています。)が参加する経済協力の枠組みです。その経済規模は、世界全体のGDPの約6割、世界全体の貿易量の約5割及び世界人口の約4割を占めています。

女性と経済に関する政策パートナーシップ〔PPWE〕(9月26・27日)

PPWEにおいては、各エコノミーから官(実務者級)、民(役員級)が参加し、女性と経済に関する各エコノミーの取組の発表、PPWE戦略計画及び女性と経済フォーラム声明案の議論などが行われました。

内閣府からは、南調査課長が第4次男女共同参画基本計画や女性活躍推進法、STEM分野への女性活躍を推進する取組など、日本国内における女性活躍推進に関する施策や取組状況を報告しました。

そのほか、APECにおいて実施している日本プロジェクト「2020年までに管理職に占める女性の割合を高めるための個別行動計画」(外務省)及び「APECジェンダー・ダイバーシティ経営フォーラム」(経産省)について紹介するなど、日本の貢献について報告を行いました。

APEC BEST AWARD(9月27日)

サイドイベントとして、APEC域内における女性の起業の発展に対するマスメディア、実業界及び官界の関心を高めること等を目的とした女性起業家表彰イベントが開催され、日本から、林文子横浜市長がオープニングスピーチを行いました。

11エコノミーから13名が参加し、日本の矢島里佳さん(株式会社 和える)は、「APEC BEST AWARD(大賞)」と「Best Social Impact賞」の二つの賞を受賞しました。

矢島さんが経営する「和える」は、日本文化を現代のニーズに溶け込ませた、乳幼児期から暮らしの中で活かせる商品の販売や、ホテルの部屋を職人の技術を用いてプロデュースするなど、日本の伝統を次世代につなぐ仕組みづくりを、ビジネスを通して行っており、そのコンセプトとビジネスモデルが世界共通のベストプラクティスと評価され、受賞に至りました。


矢島さんと主催者と審査員
〔写真:APECウェブサイトより〕

女性と経済に関する官民対話〔PPDWE〕(9月28日)

ビジネス界、産業界、政府、若手の女性リーダーらが登壇し、4つのテーマごとにパネルセッションが行われました。

開会式では、ズン・ベトナム労働傷病兵社会大臣から、女性が経営する中小企業の地域統合能力を強化し、支援する経済団体や組織を繋げるなど、規模を拡大していくことの必要性について言及がありました。


PPDWEフォトセッション
〔写真:APEC VIET NAM 2017ウェブサイトより〕


PPDWEパネルセッション
〔写真:APEC VIET NAM 2017ウェブサイトより〕

女性と経済に関するハイレベル政策対話〔HLPD〕(9月29日)

最終日に開催されたHLPDにおいては、各エコノミーの閣僚級が出席し、女性と経済に関する各エコノミーの取組方針等についてスピーチが行われました。

林市長による基調講演では、仕事と家庭生活の両立を進める横浜市の取組を紹介し、「両立支援」に続くステージである「女性リーダーの育成・登用」を加速させるべきであると訴えました。


林市長による基調講演

日本代表団長として出席した武川局長は、日本国内の取組として、女性活躍推進法や女性役員育成に向けた研修、男性の家事・育児促進に関する広報活動、海外で活躍する女性との交流事業などを紹介し、安倍政権における国際的な取組として、APECにおける日本プロジェクトの紹介のほか、SDGs達成に向けた取組、女性起業家資金イニシアティブを通じた支援などを報告しました。

また、APECメンバー同士で協力していくことの重要性について発言しました。


武川局長によるスピーチ

HLPDにおいて本フォーラムの成果である「APEC女性と経済フォーラム2017声明」が採択されました。

※ 声明や報告内容の詳細については、男女共同参画局のHPをご覧ください。
http://www.gender.go.jp/international/int_kaigi/int_apec/wef2017.html


HLPD各エコノミー代表

APECに参加して 株式会社和える代表 矢島里佳さん

今回、創業時から和えるで取り組んでいる、文化と経済両輪での成長を目指すビジネスモデルの開発の重要性について、プレゼンさせて頂きました。本受賞により明確になったのは、伝統継承はもはや日本だけの課題ではなく、世界各国の喫緊の課題であるということです。「文化が経済を育て、経済が文化を育む」ビジネスの手法を用いた継続性のある伝統継承の在り方が、今世界に必要なイノベーションであると認めていただいたこと、とても嬉しく感じると共に、改めて世界の伝統継承が厳しい局面に置かれている状況を感じる機会となりました。本受賞を励みに、日本の伝統はもちろん、世界の伝統を次世代につなぐ一翼を担えるよう挑戦し続けたいと存じます。


APEC BEST AWARDで受賞した矢島さん

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