「共同参画」2016年11月号

「共同参画」2016年11月号

取組事例ファイル/センター編

『ちちしるべ』
(川崎市男女共同参画センター イキメン研究所 企画・作成)

第10回キッズデザイン賞「キッズデザイン協議会会長賞」を受賞しました。(子どもたちを産み育てやすいデザイン 男女共同参画部門 奨励賞)

『ちちしるべ』は、男性にとっての男女共同参画推進事業のひとつとして平成25(2013)年に立ち上げた「イキメン研究所」のなかで企画・作成した父子手帳です。イキメン研究所は、地域の子育て中の父親が研究員となり、男性が男女共同参画社会を担う当事者のひとりとして家庭や地域においてどのようにあるべきかを研究テーマに、子育てサロンや地域イベント等の企画・運営を通じて研究、実践に取り組んでいます。

『ちちしるべ』の特長

『ちちしるべ』の特長の1つ目は、その企画・編集のプロセス自体をイキメン研究所の研究・実践の一環として位置づけていたことにあります。男女共同参画センターで開催した「パパのための子育てサロン」の参加者も交えながら「父子手帳を作るなら」をテーマに話したことが作成の契機となるとともに、その後もサロンを当事者の声を集めるヒアリングの場と捉え、活動を展開してきました。

特長の2つ目は、家庭ごとに生活スタイルは様々であり、また「子どもとの接し方やパートナーとの協力関係に正解はない」との思いから、単なるスキル集・マニュアル本ではなく、それぞれの父親にあった子育てスタイルを見つけていくための考え方、ヒントを示そうと試みたことです。そのために、子どものいる父親3人を「しっかりパパ」「ちょっぴりパパ」「さっぱりパパ」として登場させました。特に理想の父親像を固定的にイメージさせないよう、指南役である「しっかりパパ」にはオス猿が子育てをすることで有名な動物「ヨザル」を設定し、ヨザル以外の登場人物には、読み手が自分をあてはめて読めるように、どこにでもいそうな等身大のキャラクターを設定しました。

3つ目の特長は、他の自治体でも父子手帳が発行されていることから、新たに作成するにあたり「地域のパパたちがビギナーパパたちに地域参画のきっかけとなる父子手帳を届ける」という趣旨で、デザイナーとして仕事をしているメンバーが制作デザインを手がけたことです。表紙のロゴも、道しるべを意味する「矢印」を交差させることで「父」の字を表すオリジナルのものとなっています。


『ちちしるべ』表紙


『ちちしるべ』中面のページ例

地域交流の実践

発行後、メンバーの父親たちは地域の子育てイベントに招かれて講義をしたり、地域づくりをする事業者や団体とイベントを企画したり、あるいは住んでいるマンションや子どもが通う保育所の父親たちと催しものを手がけるといったように、『ちちしるべ』の作成を機に、地域に仲間入りし、積極的に交流を実践するメンバーも出てきています。今後は、地域のなかで男性たちがつながり、家庭・地域に参画する男性を増やしていく循環的な流れを形成できるよう活動を継続発展させていきたいと考えています。


子どもと『ちちしるべ』を読む様子

なお、冊子は男女共同参画センターで行っている「パパのための子育てサロン」や市内各区役所の両親学級で配布していますが、郵送も承っています。お気軽にお問合せください。また、ホームページからもご覧いただくことができます。http://www.scrum21.or.jp/news/publication_ccb/

■施設沿革
川崎市男女共同参画センター(愛称:すくらむ21)は、川崎市の男女平等施策の推進拠点施設として平成11(1999)年に開館しました。センターでは、地域の団体・事業者・関係機関との連携も積極的に図りながら、調査研究、相談、情報収集・提供、学習研修、交流活動支援の各事業に取り組んでいます。とりわけ、男女共同参画推進の担い手・協力者を増やすことを心がけ、様々な分野でより多くの市民のエンパワーメントを図っています。(平成18年度指定管理者制度導入)