「共同参画」2016年11月号

「共同参画」2016年11月号

取組事例ファイル/団体編

「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言賛同者の取組

一昨年「輝く女性の活躍を加速する男性リーダーの会」行動宣言が公表され、現在130名を超える男性リーダーが本宣言に賛同しています。今月は4名の賛同者の取組を紹介します。

ダイバーシティ&インクルージョンを推進!

ANAグループは、2015年度のスタートと共に「ANAグループダイバーシティ&インクルージョン(D&I)宣言」を発表しました。急速に進むグローバル化の中で、D&Iの重要性は益々高まっており、この宣言を起点として「多様性や個性を大切にし、人それぞれの違いを活かし、新しい価値を生み出す事ができる組織」を更に目指しています。

特に、社員の半数以上を女性が占めることもあり、女性がその多様な視点や感性、価値観を活かして、より一層活躍し続けることを経営戦略の一つと捉え、女性の役員数や管理職比率等の数値目標を掲げています。現在、女性役員は4名おり、また、コンタクトセンターであるANAテレマートや、人材サービス・教育研修事業のANAビジネスソリューション等、グループ各社で5名の女性社長が活躍しています。男性社員にとっても、女性上司のもとで仕事をする機会が増え、組織の活性化にもつながっています。

また、次世代経営者の育成に向けて、女性の意識改革を強化するための「ANAグループ女性管理職ネットワーク〜ANA-WINDS〜」(ANA-Women’s Innovative Network for Diversity)の推進、キャリアアップ研修、メンター制度、社外研修への派遣等を積極的に実施しています。併せて、今年度はグループ各社へのD&I推進担当者の設置、女性社員意識調査の実施、選抜研修の実施等に力を入れて取り組んでいます。

D&I推進においては、社員一人ひとりの能力が発揮され、いきいきと働き続けられる環境づくりが不可欠だと考えています。今後も、女性、外国人、シニア、障がいのある社員、LGBTの社員等、全社員がそれぞれのステージで活躍できる環境整備と風土づくりに取り組んでいきます。


伊東 信一郎
ANAホールディングス株式会社 代表取締役会長


ANAグループ女性管理職ネットワーク「ANA-WINDS」を開催


ANAグループ「D&Iフォーラム」の様子

女性の活躍は経営戦略の柱

北陸電力では、2015年度を「女性活躍元年」と位置付け、私自身も「女性の活躍は経営戦略の柱」という考えのもと、あらゆる機会を通して女性への期待についてメッセージを発信し、全社的な意識改革に取り組んできました。

当社は技術系従業員が全体の7割を占める男性色の強い会社ですが、発電所での運転業務や巡視点検、配電設備の停電復旧作業など、技術部門でも多くの女性が活躍し始めています。

また、当社の女性既婚率は65%と全国的にも高いことを踏まえ、2016年3月から「家族参加型育児休業復帰セミナー」を新たに開始し、育児休業中の不安解消やスムーズな職場復帰をサポートするなど、出産後も意欲をもって仕事に取り組める環境づくりに努めています。

将来に向けては、2020年までに女性役職者数を2015年比で3倍に増やす目標を立てています。これまで実施してきた女性懇談会や意識調査の結果から、「仕事と家庭の両立」や「能力不足」を理由として、昇進に不安を持つ女性が多いことがわかりました。この課題を解決するため、2016年8月から新たに女性役職者を対象としたメンタープログラムを開始しました。これは、社内外で活躍する女性リーダーが、研修や交流会を通じてアドバイスを送り、時には相談相手となって役職者としての成長をサポートするもので、年度を通して実施していきます。

今後も、従業員一人ひとりが多様な価値観のもとで、それぞれの強みを伸ばし互いに補い合うことで総合力を高め、みなさまから選択され続ける企業を目指してまいります。


金井 豊
北陸電力株式会社 代表取締役社長執行役員


「家族参加型育児休業復帰セミナー」の様子


電柱に昇って点検をする女性従業員

女性の活躍は“暮らしを支えるお店づくり”に必要不可欠

コンビニエンスストアは若者からお年寄りまで幅広い方々に利用され、お客様の生活全般をサポートさせて頂く存在になってきています。スーパーの代わりに日々の食材や日用品の購買にご利用頂く、女性のお客様も増えてきました。

しかし、これまでの商品やお店作りは男性が中心で行っていました。今後必要不可欠になるのは、女性ならではの“生活への細やかな視点”の活用です。ローソンでは多くの女性社員がイキイキと働き、活躍できるダイバーシティ経営を推進しています。

私は社内で加盟店のみなさんにも、女性がどんどん活躍してほしいと伝えてきました。各エリアにおける女性社員と管理職のダイバーシティに関する意見交換会と、若手女性社員を対象としたキャリア開発研修には、私も参加しています。また、2014年には事業所内保育施設を開所するなど、女性が能力を発揮しやすい風土を築くための応援プログラムも展開し、女性活躍を推進しています。

女性だけに変化を求めるのではなく、男性側の意識改革も必要です。その取組の一つとして、男性社員の育児休職取得を促進しています。その結果、2015年には70%、2016年度9月時点では約85%の社員が取得するまでになりました。

今後も、ローソンは全社員が自発的な行動と、それぞれの価値、能力を最大限発揮することができる環境づくりに力を入れていきます。そして社会的インフラとして、“お客さまにとってなくてはならない存在”となることを目指し、さらに女性活躍、ダイバーシティ経営を推進してまいります。


玉塚 元一
株式会社ローソン 代表取締役 会長CEO


事業所内保育施設の様子


女性活躍研修開催の様子

工場での女性活躍推進

三井化学は、女性採用比率、女性管理職比率、残業時間、有給休暇取得率について、2017年度末までの数値目標を定め、経営課題として女性活躍推進法に対応しています。

(詳細は下記HPをご覧ください。
http://jp.mitsuichem.com/csr/information/2016/2016_0331.htm

現在、特に力を入れている活動のひとつが、化学企業にとっての心臓である工場製造現場での女性の活躍です。当社は、1992年から四半世紀にわたり、現場のオペレーターとして女性社員を採用し、女性の班長や現場の知識を持つスタッフ職として活躍する人も出ています。女性の配属に際しては、力が弱くても作業を安全に行えるよう、設備改善を行いました。その結果、その職場では男性の作業安全性も高まりました。また、女性が配属されると、男性社員が率先して職場の美化に努める、という新たな相乗効果の報告も受けています。

一方、女性が配属可能な職場が限定され、採用人数が限られ、男性に比べて女性の職場定着率は低いという課題もあります。そこで、工場での女性参画をさらに推進するために、まず国内全工場でライン管理職を対象にした女性活躍推進に関する説明会を行い、意識改革に取り組みました。また、工場勤務の女性を対象に、職場環境や希望するキャリア等について聞き取りを行い、今後工場で働く女性を増やし、彼女達がキャリアを継続するために何をする必要があるか、検討の参考にしています。今後も、三井化学のコアバリューの一つであるダイバーシティを企業文化として定着させるため、現場の声を聞きながら積極的に取り組んでまいります。


淡輪 敏
三井化学株式会社 代表取締役社長


工場で活躍する女性社員


工場における女性活躍推進説明会の様子