「共同参画」2013年 9月号

「共同参画」2013年 9月号

連載 その3 女性首長から

宇部市の男女共同参画への取組について
宇部市長 久保田 后子

宇部市ロゴ


宇部市は、山口県の南西部に位置し、人口約172千人、温暖で雨が比較的少なく、豊かな自然環境に恵まれています。

明治以降、石炭産業で栄え、大正10年に村から一躍市となるなど急速な発展を遂げ、戦災復興後は、化学工業を中心とした近代的工業都市へと成長してきました。しかし一方で、降下ばいじんによる大気汚染などの公害が深刻化してきました。そうした状況を「共存同栄・協同一致」という宇部の精神(こころ)の下、「産官学民」が一体となって、科学的なデータに基づく話し合いによって克服しました。この手法は「宇部方式」と呼ばれ、平成9年に国際環境計画(UNEP)から「グローバル500賞」を受賞するなど国際的に高く評価されています。

この市民一丸となったまちづくりへの取り組みは、女性リーダーの活躍による「まちで彫刻を飾る運動」や、まちにうるおいを求める「緑化運動」「花いっぱい運動」などの市民運動の高まりにつながっていき、「緑と花と彫刻のまち」をキャッチフレーズとする現在の宇部のまちづくりのDNAとして受け継がれています。

これらの市民運動の中心的役割を担っていた女性団体は、その後、男女共同参画社会の実現を目指して、学習会や講演会、シンポジウムなど活発な活動を展開していき、行政に対しても、積極的に提案を行いました。そのような熱気あふれる活動の中で、行政の施策も着実に前進し、本市では、平成10年6月の市議会で、中国地方で初めて男女共同参画都市宣言が決議され、続いて「宇部市男女共同参画推進条例」の制定や「宇部市男女共同参画基本計画」の策定をはじめ、他市に先んじた取り組みを行ってきました。

特に、平成20年4月に、配偶者暴力に係る相談業務を充実するため、県下の市町に先駆けて「宇部市配偶者暴力相談支援センター」を設置、平成22年3月に、「宇部市配偶者等からの暴力防止及び被害者支援に関する基本計画」を策定するなど、被害者への相談の対応や保護、支援の実施について関係機関との連携を図りながら効果的に取り組んでいます。

一方、女性の社会参画の実現を進めるためには、具体的な数値目標の設定とポジティブ・アクションを推進していくことが必要なことから、私が平成21年就任時に掲げたマニフェストに、平成25年度末までに市の審議会委員等への女性の登用率を50%にする目標を入れ、全庁を挙げて取り組んでいるところです。この結果、平成21年6月の35.5%から平成25年6月の48%と登用率が高まっています。

私は、山口県内初の女性市長として就任以来、先人たちから受け継いだ宇部の精神(こころ)を誇りとして、市民が心を一つにして共に栄えていけるよう、英知を結集して、明るく安心安全に暮らせるまちづくりを進めています。

今後も本市のさらなる発展のために「市民と語る、考える、動く」を基本姿勢としながら、平成33年の市制100周年に向けて、総合計画に掲げている「みんなで築く活力と交流による元気都市」の実現を目指していきます。

最後になりますが、本市では、半世紀を越える歴史のある最大規模の国際展である「UBEビエンナーレ(現代日本彫刻展)」第25回展を今年9月29日から11月24日まで開催します。ぜひこの機会に「元気都市うべ」にお越しいただき、楽しいひとときをお過ごしください。

くぼた・きみこ氏
くぼた・きみこ/1955年生まれ。1978年、早稲田大学政治経済学部政治学科卒業。1995年、山口大学大学院経済学研究科修了。1995年〜1999年宇部市議会議員、1999年〜2009年山口県議会議員、2002年環境省環境カウンセラー任命、2009年宇部市長就任。現在2期目。