男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成20年7月14日(月) 15:00~17:00
  • 場所: 永田町合同庁舎第1会議室

(開催要旨)

  • 出席者
    会長
    袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授、東京家政学院大学客員教授
    会長代理
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    委員
    阿部 正浩 獨協大学教授
    伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
    帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
    加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会理事
    住田 裕子 弁護士
    辻村 みよ子 東北大学大学院教授
    平野 治生 財団法人日本広報センター理事長
    渡辺 幸子 多摩市長

(議事次第)

  1. 地域における男女共同参画推進の今後のあり方について(男女共同参画会議で出された論点等の検討)

(配布資料)

資料1
地域における男女共同参画推進の今後のあり方について
資料2
基本問題専門調査会 第36回議事録(案)
資料3
基本問題専門調査会 第37回議事録(案)

(議事の概要)

6月13日の男女共同参画会議で出された意見等に基づく論点とともに、報告書について協議した。
男女共同参画センター等の職員の就業実態を検討するために、根拠となるデータが必要であるという意見が出された。

○意見交換の概要

【地域活動の担い手】

  • 地域活動のうち、子育て等の分野は30代の女性が中心、まちづくり等の分野は男性が中心になっている。まちづくり等の活動は男女共同参画の視点で見直し、もっと女性が参画できるようにするとともに、子育て等の身近な活動に男性が参画する必要がある。
  • 子育て中の女性が地域活動に関われるよう、地域で子育てをサポートできる設備や制度を整備する必要がある。
  • 働く世代の男性がもっと地域活動に関わるべき。そのためにワーク・ライフ・バランスを進める必要がある。
  • 地域の女性が担ってきた活動において、後から入った男性がトップを占めてしまうという問題がある。
  • 大学は生き残りをかけて地域活動を始めているが、男女共同参画の視点がない。高校生、大学生向けに男女共同参画を組み入れた事業が必要。
  • 地域において、男女共同参画の視点を持つリーダーを育てることと、既に活動しているリーダーに男女共同参画の視点を持ってもらうことの、両方が必要。

【行政と地域住民】

  • 行政と市民の対等なパートナーシップや信頼関係が重要。自立した市民、自立した自治体職員として自ら考え、ともに行動するという市民視点が重要。
  • 行政と住民が対等にやりとりできる場として、男女共同参画という政治領域がある。パブリックコメントやオンブズマンの仕組みを取り入れた苦情処理など、男女共同参画の分野はこれまでも地方行政のあり方の新しいスタイルをつくってきた。
  • 根強い固定的役割分担意識を変えていくには、地方公共団体の首長の意識をいかに変えるかが重要。トップの意識が、役所と地域全体に対して大きな影響力を持つ。
  • 女性の登用やワーク・ライフ・バランスは、公務部門が最も遅れている。国・地方公共団体ともに、男女共同参画に配慮した人事を行うべき。←4月に策定された女性の参画加速プログラムに基づき、公務部門における女性の参画をより積極的に進めている。
  • 公務部門でも、管理職の民間からの中途採用等の人事システムが必要。
  • 地方公共団体の人事においては、優秀な職員を専門職とゼネラリストのどちらとして育成するか、政策決定過程に女性をどのように配置するかというジレンマがある。

【男女共同参画センター等、職員、指定管理者制度】

  • 男女共同参画センター等・男女共同参画行政がどれだけ役立っているかという評価を、データとして提示できるようにする必要がある。
  • NPOは、人件費を安く設定することによって指定管理者に選定されている。職員は低い報酬で頑張るため行政の評価は高いが、2代目以降は続かない。
  • 女性センターの職員等、行政が外部から人を雇う場合は給与水準がかなり低い。この状況では人材の確保・育成が困難。また、公がワーキングプアを生み出すようなことがあってはならない。
  • 指定管理者となった団体が経営的に自立できる仕組みを考えていく必要がある。
  • 男女共同参画センター等の職員の給与水準等の実態について、根拠となるデータが必要。
  • 男女共同参画社会の基本には人権尊重と女性の活用がある。後者は社会福祉から就労へという自立の促進であり、もう一つは意志決定過程への参画である。今の日本社会の重要政策として何回も言わなければ理解してもらえない。

【その他】

  • 本文中に数多くの事例が挿入されているが、分野ごとに整理して数を減らし、削ったものは事例集として添付するとよい。
  • 男女共同参画を目的とする活動だけでなく、男女共同参画の観点からプロセスを評価できる事例も含めてよい。ただし、なぜその事例を採りあげたのか、もっとわかりやすく記述するべき。
  • 男女共同参画に関する地域活動ではDV関連のものが最も多いため、DV関連の事例をもっと入れるとよい。
  • 地域において、男女共同参画の視点という種まきは終わっており、次のステップとして、地域を男女共同参画の視点でどうつくるかという動きが芽生え始めている。その意味で、地域における男女共同参画はタイムリーな企画だった。

(以上)