- 日時: 平成20年2月18日(月) 15:00~17:00
- 場所: 内閣府庁舎3階特別会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
- 会長代理
- 鹿嶋 敬 実践女子大学教授
- 委員
- 加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 神津 カンナ 作家
- 同
- 河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
- 同
- 坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
- 同
- 桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会統括本部長
- 同
- 住田 裕子子 弁護士
- 同
- 辻村 みよ子 東北大学大学院教授
- 同
- 平野 治生 財団法人日本広報センター理事長
- 同
- 山田 昌弘 東京学芸大学教授
- 同
- 渡辺 幸子 多摩市長
- 説明者
- 畠腹 桂子桑折町女性団体連絡協議会会長
- 同
- 有馬真喜子 特定非営利活動法人ユニフェム日本国内委員会理事長、特定非営利活動法人女性人権機構理事長
(議事次第)
- 女共同参画の今後の地域レベルの推進方策について(地域活動)
- [1]ヒアリング
- 畠腹 桂子(桑折町女性団体連絡協議会会長)
- 有馬真喜子(特定非営利活動法人ユニフェム日本国内委員会理事長・特定非営利活動法人女性人権機構理事長)
- [2]意見交換
- [1]ヒアリング
- 袖井会長
-
ただいまから基本問題専門調査会の第36回会合を開催いたします。
今回は、男女共同参画に関する地域活動等についてヒアリングを行いたいと思います。先にお知らせした際には報告書の骨子案について協議することになっておりましたが、地域活動についての内容が不十分なので、報告書の骨子案をつくる前に地域活動についてヒアリングを行った方がよいのではないかという御指摘がありましたので、急遽ヒアリングに変更させていただきました。報告書の骨子につきましては、次回の2月29日に御協議いただくことにしたいと考えております。委員の皆様におかれましては、議題の変更について御了承いただきますようお願い申し上げます。
本日のヒアリングには、福島県の桑折町女性団体連絡協議会会長の畠腹桂子さんと、NPO法人ユニフェム日本国内委員会及びNPO法人女性人権機構の理事長をされていらっしゃいます有馬真喜子さんをお招きしております。お二方におかれましては、急なお願いにもかかわらず快くお引き受けいただき、ありがとうございました。
それでは、最初に畠腹さんから、福島県の桑折町における女性団体連絡協議会の活動を中心にお話を伺いまます。畠腹さんの御説明に続きまして、加藤委員から補足説明をしていただくことになっております。それでは畠腹さん、よろしくお願いいたします。 - 畠腹桂子(桑折町女性団体連絡協議会会長)
-
皆様、こんにちは。御紹介いただきました畠腹でございます。桑折町女性団体連絡協議会の会長、昨年までは福島県婦人団体連合会の理事として、このテーマで活動してきました。その一端をお話しさせていただきます。
パワーポイントを使って説明させていただきます。
桑折町は福島県の北部に位置し、宮城県との境、県都福島市から約12kmの距離にあります。福島県は中通り、会津、浜通りの地域に分かれ、私の住む桑折町は中通りで、東北本線、東北新幹線、東北自動車道が3本平行して走っている町でございます。吾妻山や安達太良山と水光る阿武隈川が流れております。
私の町は「献上桃の郷」と言われ、桃が非常においしくて有名です。桃源郷の春、雅子様や皇太子様がいらっしゃいまして、桃の価値が一層上がりました。「王林」という桃の原木もあります。農家は、昔は養蚕農家が多く、今は果物農家に変わっています。町民の憩いの場、半田沼がハートの形に見えるということで、先日のテレビにハートの半田沼が映ったという話題で持ちきりでした。半田山には昔「銀山」もあって、「半田ごて」はここから出た名だと言われております。ここは国の重要文化財である伊達郡の旧郡役所です。
人口は13,000人ぐらいの小さな町ですが、「婦人会だけで男女共同参画の推進は限界があり、みんなで手をつなぐことにより拡がる」と、女性の団体10団体に呼びかけしました。その団体は資料の「こおり男女共同参画プラン21」の最後のページにありますが、加盟している団体は連合婦人会を核とした女性団体がございます。
レジュメの2番にも書きましたように、平成9年10月に女性団体連絡協議会を結成いたしました。当初、私の身近なところで、「男女共同参画ってどんな三角形?」とか「二等辺三角形なの?」というような言葉が出るぐらいでした。そもそも男女が不平等だということさえも気がついていないといいますか、何の疑問も持たない。今なお人を性別で分け隔てるような意識が強く残っている場面にしばしば遭遇することがありました。「女の人はこっちに来らんしょ」とか、「男はこっちだ」とか、「女はお茶を汲むのが当たり前だ」とか。会合でも、「今日の会議は5つね」とか「10個のお茶を持っていけばいいのね」とか、そのような役割分担がしっかりとあって、それを何ら疑問にも思っていないというわけです。
私は幸いに、学びの機会がありました。第4回の世界女性会議に福島県のNGOとして行きましたときに、世界には女性たちがたくさんいることにまず圧倒されました。世界にはこんなに活動している女性がいるということです。まさしく「考えることは世界・地球規模で、行動は足元から」の言葉どおりです。あともう1つは、スウェーデンに行ったときも、「スウェーデンの福祉は、税金が3割以上と高額ではあるが、安心して最後まで保障される」ということを学んできました。そして女性の大臣たちも税金の使い道を知るべきだと、政策決定の場に進出するのは当たり前という考えに驚かされました。
先ほど画面にテーマや狙いが出ていましたけれども、まず「女性のつどい」を開催しましょうということで、第1回目は、桑折町には「こんなに女性がいる、女性もいるのよ」ということを、北京会議で私が圧倒されたように町民に訴えよう、そういう単純な狙いで始めました。1回目から10回目までの主催事業「女性のつどい」を開催しました。男性から「女性が集まるなら、おれら男性も集まらなきゃなんねえべえ」という声を聞くぐらいにインパクトがあったと思います。福島県出身の登山家でいらっしゃる田部井淳子さんをお招きして講演を聞いたりする中で、徐々に男女共同という意識が高まりまして、10回の「つどい」を継続しました。
それから、2つ目の柱は「行政とともに」にということです。
3つ目は、「実行委員会」組織による事業です。私たち女性団体が認められてきますと、町のいろいろな事業で実行委員会を立ち上げるときに、「桑折町女性団体」も加わるようになりました。これは私たちの存在が認められてきたということです。
それからもう1つ、いわゆる「まちづくり」が挙げられます。国の第2次男女共同参画基本計画の中で、重点事項の12番目の女性の視点が求められるというところに、環境や観光、防災があります。全地婦連の加藤さんにも御指導いただいて、さっそく防災の訓練・学習をしました。19年度は観光に少し力を入れました。人口減の時代、少子化問題は「産めよ増やせよ」のスローガンだけの時代ではないし、「とにかく交流人口増とすれば観光だよ」ということで、「まちづくり」を考えて今、行動しております。
1つ目の柱、表紙は「第1回桃の郷女性のつどい」です。このときは本当にびっくりするぐらい人が集まりました。内容は、先ほど言ったとおり田部井さんの講演を中心に、10団体のPRです。3月3日に合わせて、お雛様を飾ったりもしました。町内にある大きな企業に働く女性が夜間大学となる福島女子短期大学の保育科の生徒さんたちの託児も準備しました。
これは、「第3回桃の郷女性のつどい」です。「桑折さんちの茶の間の話題」という寸劇です。20分程度のちょっとした劇で自作自演です。古い慣習がいまだに残る家族の茶の間での様子を、課題提示として寸劇として表現しました。これは、県の婦人団体が加盟する東北・北海道ブロックの婦人研究大会が、福島市の文化センターで開催された際に上演しました寸劇です。寸劇上演では、役者になった私たちが「男女共同って何よ、男女平等って何よ」と、一番勉強になりました。
桑折さんちのお父さんとの会話で、例えば「嫁にもらってやる」とか、「私は犬猫じゃないのよ」と娘との会話になる。お母さんが「お父さん、そこはまあまあ」と家庭の茶の間でもめている様子ですね。
では、そんな桑折さんちの家庭で育った子どもたちの男女平等についての意識はどうなのかと、子どもたちにアンケート調査をしました。子どもたちは、女の子として生まれてどうか、男の子として生まれてどうか、自己像というのでしょうか、そういう調査をすると、女の子の半分以上は「損した」と。「女の子に生まれてよかった」は少ない。男の子は大体が「良かった」と言うんですね。そういう自己像の歪みはどこからきているのか。こういう桑折さんちの茶の間で育った子どもたちの「平等意識」の実態調査からは、男子よりは女子、小学生よりは中学生と年齢が上がるにつれて、家庭や地域社会や学校でさえも不平等感を抱いている。「あまり平等ではない」も加えると6割が不平等感を抱いている。こういう実態が調査からわかりました。
それで次に、学校へ「ゲストティーチャー」として出向きました。例として、進路については、「どうせ農家なんだから、おまえは農業の跡継ぎをしろよ」とか、「私はお医者さんになりたいんだけど、なぜできないの」とか、私たちが太郎さんになったり、桃子さんになったり、先生役になったりしての寸劇披露をしました。中学校は2年生全員がいわゆる保護者参観日で、保護者の皆さん、お父さんやお母さんと子どもたちが一緒に寸劇を見た後で、進路について男女差別の観点から話し合いました。
学校でごみ箱が溢れていると、「女の子はいないのか。どうしたんだ」というように、先生方もジェンダーバイアスといいますか、女だから掃除するのは当たり前のような意識があることも感じてましたので、小学生には「男らしさ・女らしさ」について90分の授業、中学生は、これは女子向き・男子向きの職業選択のテーマで50分の授業。それに私たちも参加して、寸劇をして一緒に話し合いました。
次の年は、そういうことであれば、子どもたちが楽しく遊びながら学べる「ジェンダーかるた」をつくろうということで、小学生4、5、6年、中学生は1、2年、「あ」から「ん」までの45句の五・七・五の俳句作り。次の年は絵札作りです。この画面は「第8回桃の郷共生のつどい」で、かるた大会をしているところでございます。「目玉焼き、お父さんつくれば炒り卵」とか、「あ」とか「い」とか本当に一生懸命練習してきて、「負けちゃった」なんて泣く子もいたほどのかるた大会でした。このかるたは今もあちこちで、公民館、学校で使っていただいております。
子どもたちがそういうふうに学んで楽しんでいれば、私たちももっと勉強しなくてはならないということで、模擬議会をしました。この画面は、自分たちが議員になって本物の町長、各課長が答えている場面です。2回目の模擬議会では、今度は自分たちが行政執行側や議員になりました。傍聴者は当然本物の議員さん、役場の課長さん、町長さん、町内会長などにおいでいただきました。2回開催の女性模擬議会は、私たちの、いや町民への意識を変えました。
2回の模擬議会を経て、現在、女性議員が2人出現しました。この9月に出たばかりです。合併せず自立の町を選んだ桑折町は、20人の議員さんが18人に減って、現在は14人。その中に女性が1人長くおられたのですけれども、今回この女性団体のメンバーから2人当選でき、14人中3人の女性議員になりました。近隣町村では珍しいということです。でも、議員が出たと喜んでばかりはいられません。これからが問題だと思いますが、政策決定の場に女性が入ったことは、女性団体結成当初は考えられなかったことです。14人のうち女性議員が3人になるまでには、10年の月日がかかりました。
10年間の中で、姉妹都市のアメリカのエリザベスターン市との交流もできました。「推薦状を書くことにより経費半額補助」ということで、女性団体から4人がアメリカに行きました。この場面は、次の年、こちらにもおいでいただいたときに、私たちが粽をつくったり、地元の季節の食べ物を食べて交流しているところでございます。
次は実行委員会の1つをお話しします。私どもの桑折町は、奥州街道と羽州街道の2つがある町としてちょっと珍しいのかなと思うのですが、道路空間賑わい創出のための社会実験として「桑折茶屋やまつり」を行いました。御多分に漏れず桑折町もシャッター通りになってしまい、歩く人が本当に少ない。賑わいを求めるにはまず自分たちからということで、連合婦人会をはじめ、民生委員や交通安全母の会等10団体の人たちが、タンスの引き出しからおばあちゃんの古着などを出してきて、みんなで「旅人気分ウォーク」として街道を歩きました。わらじを履いているのは、老人クラブの方々にわらじのつくり方を習って、わらじ草履を自分たちで作って、150人もの人が町の中を闊歩しました。議員さんたちが、「おれらも混ぜろよ」と白波五人男の格好をして歩きました。みんなそれなりになり切って、賑わい気分といいますか、旅人気分で歩きました。写真は、脇にいる水色の着物姿が殿様で、町長でございます。高齢化率26%になった町ですけれども、町が人で賑わうためにとにかく「歩こう」ということのデモンストレーションです。
先ほどの旧郡役所は明治16年の建物だそうですが、町の真ん中にある明治17年に建てられた「蔵」が壊されようとしたときに、足場を組みブルーシートがかけられているのを、たまたま町長が、「すばらしいケヤキをふんだんに使った蔵なので取り壊さないで貸してくれ」と頼んだそうです。しばらく見ていても何も動きがないので、「じゃあ、私たち女性団体の活動拠点として使わせてください」と。たまたま、そのときに県の補助事業の新聞記事が目につき、それに応募しました。町から約500万円、県から約500万円いただきました。トイレを新しくし、増改築で「蔵」を甦らせました。NPOよりは簡単に、少ない人数でできる組合を、そこに「桑折御蔵 元気こおり本舗有限責任事業組合」を立ち上げました。今は女性団体が運営していますけれども、今の「元気こおり本舗」の理事長は男性です。商工会のサービス部長さんで、私は副理事長です。「桑折御蔵」は、観光案内ともてなしどころ。パソコン集計によりますと、5月27日にオープンして約6,900人、月1,000人ぐらいが立ち寄っているようです。
写真は、オープンのときの様子です。この蔵には「マルト」という屋号があって、昔は呉服屋さんだったそうです。 こんなふうに飾り付けた古い写真を真似て、こんな飾りの提灯をつけてのオープンでした。
奥州・羽州街道「桑折宿」。半田銀山があったので銀山の郷「桑折御蔵」などと、名称も町民から募集しました。
次は「桑折さんちのだんご汁」です。第10回の記念大会で、桑折の郷土色としてどういうものを残しておきたいかというアンケート調査の結果、米のないときの代用食といいますか、「すいとん」を発信することにしました。ここの桑折町は、蕎麦文化ではなく小麦粉文化なんです。つまり、肥沃な土地なんです。そこで穫れた小麦粉を使った「桑折さんちのだんご汁」を、もてなしとして食していただいております。1杯200円です。知事さんもいらしてくださいました。
そういうことで、私たちの団体が男女平等参画を目指して「ジェンダーかるた」の作成、議員の誕生にまで行動してまいりました。今までの活動を画面を通しながら、早口でお話しさせていただきました。ありがとうございました。 - 袖井会長
-
どうもありがとうございました。内容が大変豊富なのでちょっと時間が足りなかったかと思います。後で皆様からの質問をしていただきますので、そのときに話し足りなかったことも補足していただければと思います。
それでは、加藤委員から補足説明をお願いいたします。 - 加藤委員
-
簡単なメモを御用意させていただきました。今、地域社会がどういう状況にあるのかというあたりを含めて、「1.現状の把握」ということですが。委員の先生方はよく御承知だと思いますけれども、価値観や人権意識が異なり、地域固有の文化や歴史も多様な背景を持つ人々が同じ地域の中に暮らしています。地域において男女共同参画を進めていく苦労は、今の畠腹さんの報告の中では時間の関係でさらっとこの10年間の取組を御紹介するだけにとどまって、さまざまな背景を背負った人たちとどう折り合いながら男女共同参画を進めていくのか、苦労までは話が及びませんでしたが、この調査会では「地域における男女共同参画を推進していくためには」ということがテーマでございますので、やはりそういったいろいろな価値観を持っている人がいるということをあらためて共有しておく必要があると考えております。
それから、地域社会は経済格差、過疎化に苦しんでいて、負のスパイラルから抜け出すことが非常に難しくなっている。その中で桑折町は、市町村合併をしないという決断をします。町の行動計画の中に、住民自治の仕組みづくりという柱を立てていらして、施策の方向性と体系をプランの中で明確にしています。その体系の中に、「男女共同参画社会の実現に向けて」というのが柱の1つに入っております。こういう中で、女性たちのグループだけではなく、広範な男性を含めて地域住民を巻き込みながら、男女共同参画への理解促進の取組が、例えば子どもたち向けの「ジェンダーかるた」づくりであったり、模擬議会をして町長はじめ町会議員、県会議員、あるいは国会議員の方たちにお出かけをいただく。そういう模擬議会は、桑折町に限らず全国で、町の財政を聞くような集まりを女性たちが中心になって企画し開いているところが他にもございます。財政破綻を来してしまいかねない市町村がある中で、こういう日頃からの取組が大事なのかなと考えております。
次に、現在の地域活動は、高齢者や女性が主体になっていると考えております。ところが、桑折町の取組は、「桑折御蔵」という明治時代の蔵を再生して、御自分たちで出資をなさって有限会社にして御蔵を町の中に再生したわけです。そこが1つのコミュニティの中心として、町の人たちが何かの折にその御蔵でだんご汁を含めて食事をしたり、 語り合うスペースは、男女共同参画を進めていく上での「拠点」ではないかと思います。
次に、企業等の社会的責任(CSR)を促進するために、ステークホルダー(利害関係者)の役割が注目されています。女性団体の多くは、男女共同参画の活動とともに消費者活動、環境保護の活動にも取り組んでいます。広範なテーマに取り組んでいるわけです。ですから、健全な企業行動を促進するような社会システムを構築していくうえで果たせる役割も大きいのではないかと思います。男女共同参画の視点、消費者問題の視点など、包括的・総合的に企業を評価していくことが大切だと思います。
「関係性を築くプロセスとエンパワーメント」に関連して、先ほどの畠腹さんの報告に戻りますが、この10年間の取組をお聞きいただいたわけですけれども、このプロセスがまさに女性たちのエンパワーそのものだと御理解いただけたのではないかと思います。
ただ、このとき、強力なリーダーシップを発揮する人に他の人たちがフォロアとして追随して行くというリーダーシップの示し方ではなく、包括的・総合的な視点を持ってリーダーシップがとれるような仕方がとても大事なのではないかと思います。メンバーの中には議員になった人たちもいますが、それは、その人自身の能力もさることながら、それをフォローする周囲の人たちの力もありますし、いろいろな総合的な力が蓄積されて、成果を上げていると思います。
今後の課題ですが、これからの男女共同参画を推進していく上で、地域における男女共同参画をどう進めていくのかが大きなポイントになっていくだろうと思います。昨年、国立女性教育会館が30周年をお迎えになられて、2日目に東南アジアの各国の代表の方をお招きになってフォーラムをお開きになりました。そのフォーラムで各国の方がおっしゃいましたのは、やはり「地域における男女共同参画を、皆様方はどういうふうに進めていらっしゃるのですか」ということと、グローバリゼーションに対して高い関心を寄せていらっしゃいました。
最後に、この調査会でもこれまで女性センター、男女共同参画センター等々の運営者、男女共同参画の行政の御担当の方にお越しいただいてヒアリングをしてまいりました。 これからのセンターは、今まで以上に地域から「あのセンターは私たちのセンターだ」と、この「私たちの」という気持ちをいかに醸成していけるかということが、大事なポイントの1つになるだろうと考えております。
最後は、行政のあり方の見直しを今、政府でもおっしゃっていますけれども、行政も企業もNPOもNGOも市民団体も、同じ目線で1つのテーブルに着いて議論ができるような雰囲気づくりといいますか、フレームができるといいなと思います。ヒアリングの中で、指定管理者を受けていらっしゃる方たちの中でも、団体への役割の1つとして指導・助言ということが入っておりましたけれども、私は、男女共同参画という政策は指導や助言で広がるものでは決してないといつも考えております。 - 袖井会長
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どうもありがとうございました。自由討議の時間は後ほどたくさん設けてありますので、この場で簡単な確認事項や質問がございましたら挙手をお願いします。
よろしいでしょうか。それでは続きまして、NPO法人ユニフェム日本国内委員会理事長の有馬真喜子さんからお話をお伺いします。よろしくお願いいたします。 - 有馬真喜子
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(特定非営利法人ユニフェム日本国内委員会理事長、特定非営利活動法人女性人権機構理事長) 有馬でございます。今日は、このような場で発言する機会を与えていただきまして、ありがとうございます。
国際協力と地域の活動の男女共同参画の活性化に関して話をしろという非常に難しいテーマで、どうしようかなと思ったのですけれども、要するに、ユニフェム及び女性人権機構が今日行っている活動を少し御紹介させていただいて、こんなことも1つの例になり得るのではないかということを提示させていただければと思います。
資料3が私が持ってまいりましたものでございます。あとは新聞の切り抜きがあるかと思います。20分ということですので、簡単に申し上げさせていただきます。
まず1番目。「 Think Globally Act Locally」とは、国際婦人年、1975 年からの世界の女性たちの合言葉の1つでございます。なぜこの言葉が1975年の国際婦人年に出てきたかということですが。私はそのとき、フジテレビから取材に参っておりました。私自身の感想ですが、1975年の第1回世界女性会議は非常にもめた会議だったんです。世界の女性たちがそこで初めて会った。特にどういうもめ方をしたかというと、開発途上国の女性たちといわゆる先進国の女性たちとの対立です。先進国の女性は、当時はウーマンリブ華やかなりし頃でしたから、そのようなリブの主張をする。片や開発途上国の女性は、「あなたたちが言っているのは寝言みたいな話じゃないか」、「今日食べられるか食べられないかという貧困の問題を抱えているのに、あなたたちの言っているような話は全く受け入れられない」と言うので、大変な対立があった。それで「メキシコ宣言」は満場一致ではないわけでございます。行動計画はかろうじて採択されましたけれども、そういう大変な対立があった。結局、同時参加したNGOでございますが、そのときは「NGOフォーラム」とは言わないで、最初は「NGOトリビュ ーン」と言っておりましたけれども、そこに参加したNGOの人たちから出てきたのは、要するに、これはお互いを知らないということだと。お互いを知り合う、お互いの状態を知り合うことからまず始める、つまり、それはグローバルな視点を持つということ。自分たちが生きている世界だけが世界ではないということを知る。ただ知ればいいという話ではない、解決をしようと。解決をするためには、つまりは足元から行動していかなければいけないのではないかというので、「 Think Globally Act Locally」ということが当時から出てきたのではないかと私は理解しております。
そしてこのときに、NGOからの提案で、翌1976年の国連総会で採択されてできたのがユニフェム(国連女性開発基金)でございます。当時は名前が違っておりましたけれども。それはいわゆる先進国の女性たち、特にNGOの女性たちの1つの思いですね。自分たちができることを何かしようじゃないかと、基金をつくって支援をしていく形でユニフェムが誕生したという経緯を持っております。
ですから1番は、私たちは集うことによって、あるいはお互いを知ることによって、国境を越えて女性たちの現状を知る。それは視野を広げることであり、お互いに対する理解を深めることであり、そして刺激を与え合うことであり、それなら何かしようじゃないかという行動を促すことであるということではなかったかと思います。
2番に移らせていただきます。それでは男女共同参画とは何かというと、これは1つの分野ではなくて、もう諸先生方は百も御承知のとおり、横串であって、今日言われているジェンダーの主流化というのは、つまり、どのような分野にも男女共同参画の視点が入っているべきであるという考え方だと思います。その中の1つとして、国際協力・交流があると思います。国際協力・交流というのは、日本の男女共同参画基本法の5つの目標の1つでありますし、第2次基本計画でも何をなすべきかはしっかり書かれていることでございまして、ただ実行すればいいというように、日本では基本的な概念はもうでき上がっていると思うわけです。つまり、国際との絡みで言えば、そういう横串としての男女共同参画を国際協力や交流の分野にも入れていこうというのが、1つ大事な点ではないかと私は思っております。
それは何かといいますと、つまり地域で国際協力・交流の視点を持って、女性センターあるいは男女共同参画センターを中心に活動する、あるいは行政が何かの活動をすると、そこからまた新しいネットワークが生まれるのではないか。それは児童虐待に取り組むとか、高齢者の介護に取り組むのと同じように、国際協力・交流という分野でもそこに関心を持つ団体とのネットワークができていって、男女共同参画の視点が広がる土台になるのではないかということを考えます。
ユニフェムの日本国内委員会の活動はその1つでございます。ユニフェムというのは国連の基金の1つですが、国内委員会は今、世界に18ぐらいありまして、最初はフィンランドですけれども、いろいろな国にございます。ユニフェムの日本国内委員会は、資料3を1枚めくっていただきますと、どのようなところが加盟しているかが書いてございます。ユニフェムの日本国内委員会で正会員はこのようなところですということで、そこからユニフェムに特化して活動する地域等委員会をつくって活動しているのですけれども、北九州、佐賀、大阪、堺などまだまだ広がりは少ないですけれども、このような団体がそれぞれ地域で思い思いに活動をしていらっしゃいます。その活動の様子は、お手元にニューズレターを2つつけてありますのでご覧いただけるかと思いますが、それぞれの地域の活動は全く思い思いでございます。例えば北九州でしたら、御承知のとおり北九州は環境問題に非常に熱心ですから、環境団体と手を組みながらその中に参加していくというのがございます。名古屋では、このニューズレターをつくってくださっているのですけれども、女性センターの運営をしておられます。それからユニフェム堺は、地元の地域婦人団体の1つでございますけれども、議員さんを出すということで今回たくさん立候補なさったとか。そのようないろいろな形がありまして、私たちは何もまとまったことはなくて、地域で思い思いに活動しているということでございます。
資料をもう1枚おめくりいただきますと、そこに地域等委員会の住所やメールアドレスが書いてございます。興味がおありでしたら、このようなところで活動をしているということの例でございます。
資料をもう1枚おめくりいただきますと、ユニフェム日本国内委員会は一体どういうところに拠出をしているかという表がございます。そこにありますように、最近ではカンボジアやラオスなどでございます。また、資生堂さん等の御支援を得まして、アフガニスタン、これは女性センターの運営でございますが、そういうところに拠出をしているというような活動をしております。要するに、ユニフェムというのは、トータルとしては地域の活動があって、その地域で募金活動などいろいろな活動をして、国内委員会にそのお金が上がってきまして、私たちがまとめて国連のユニフェムが指定する活動の中のどれかを選んで拠出をしていくという、つまり地域と国際とがつながってくるような活動です。ですから、私たち国内委員会がなすべきことは、地域で募金をしてくださった方々などに、皆様が募金してくださったお金がどう使われていますという情報をしっかりお返しすることではないかと思っております。それはニューズレターを通じて、あるいは会合を通じてということもございますが、もう1つは、スタディツアーというのを実施しておりまして、使われている現場を見ていただくというお返しの仕方もする。そういう形で地域の活動をより活性化していくということを考えて、今活動をしているわけでございます。
もう1つ、ユニフェムについて述べさせていただきますと、2の後半に1つ書かせていただきましたけれども、男女共同参画の視点というのはいろいろなところに入るべきだという考えから、今年の5月に横浜で「TICAD Ⅳ」というアフリカ開発会議が行われますけれども、その「TICAD Ⅳ」の中で、男女共同参画の視点を持ったシンポジウムを開催できないかと計画をして、今いろいろと仕掛けをしているところです。そのときにシンポジウムが幾つかあるのですけれども、今3つ決まっていまして、JICAが南南協力、JBICがマイクロファイナンス、 あとJETROがいわゆる経済支援ということで、もう1つぐらい余地があるというので、やはりジェンダーの視点がそこに入るべきではないかと、私たちと他の国連機関、特にUNFPA(国連人口基金)が一緒になりまして、それからユニセフも関心を示してくださっております。
3番目でございます。国際的な男女共同参画の課題が幾つかございまして、それに取り組むことも大事なことでして、国際人身取引を含む女性の人権や女性の貧困、母子保健。母子保健は、今年の洞爺湖サミットでもたぶん大きな課題になってくると思います。それから女子教育、エイズを含む感染症の問題など。このような国際的な男女共同参画、ジェンダーの課題とされているものがございます。MDGs(国連のミレニアム開発目標)に8つの目標がございますけれども、その中の3つは女性に関連している。そういう課題の克服のために、いろいろな活動がそれぞれのところで行われておりまして、ここに書いてございますように、起業やマイクロファイナンス、エイズポジティブ女性への職業訓練などいろいろございます。そういうことに取り組むのは国境を越えた共同作業として取り組むことが大事ではないか。ユニフェム国内委員会や、もう1つのNPO法人の女性人権機構は、これはささやかですけれども、そうした問題意識を持って今日活動しているところです。
昨年7月の女性人権機構のシンポジウムはその一例でございます。これは、今年もう一度フォローアップの会議をやらないかという打診が現在来ているところです。この女性人権機構のシンポジウムに関しましては、お手元に新聞の切り抜きをお配りしていますけれども、基調講演者に2006年のノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス、グラミンバンク総裁をお招きして、国連大学、読売新聞、外務省との四者共催で開催することができました。これは日本が国際的なジェンダー、男女共同参画の課題に取り組む1つの例として、かなり評価されたものだと思います。お手元のオレンジ色の冊子がそのときの報告書でございます。このシンポジウムの前に専門家会合を行っておりまして、そこで各国から出された資料や、ユヌスさんの講演の全文がここに載っております。興味がおありでしたら御覧になっていただければと思います。
なぜこれが地域と関連があるかということですが、このシンポジウムが終わった後にスタディツアーをしました。このシンポジウムには地方からも出てくださいまして、1人は横浜市男女共同参画推進協会の桜井陽子さんで、横浜の例を御紹介くださいました。もう1人は長野県中野市の女性農業経営者会議の前会長の清水照子さんで、農村女性が起業で頑張っているという話をしてくださいました。そして、ASEAN10カ国プラス3国の方々と御一緒に、つまりASEAN10カ国は政府とNGOの両方から代表が出てきていただいたのですけれども、その方々と御一緒に、清水さんの農村の、女性の起業家たちが頑張っていて、いろいろ起業しているところへスタディツアーに行ったのです。そうしましたら、これまでに行ったあらゆる専門家会議やこのシンポジウムよりも、この研修スタディツアーが最も好評で、「あれが一番役に立った」と言うんです。「とても面白かった」、「地域の女性たち、農村女性がこんなに生き生きとしているのか」と。つまり、彼女たちはバラを育てたり、おやきをつくっている。さっきの畠腹さんがおっしゃった例そのままですけれども、そういうことにASEANの女性たちは特に大きな関心を持ちました。次にやれということになったら、どこかの地方でやろうかなと、今考えているところです。先ほど加藤さんからも御指摘がございましたように、地域の活性化が今とても大事で、国際の面でも地域が1つのキーになり得るのではないかと思っています。
それで、最後でございますが、4番目の課題に取り組むのはまさにAct Locallyでございます。関心を持っている女性たちは地域にたくさんいると思うんです。特に95年の北京会議のときには、日本から5,000人を超える女性たちが参加したわけですね。そのとき、「タンポポの綿毛のように」という1つの合言葉があったんです。タンポポの綿毛のようになって、みんなそれぞれ世界のいろいろなところに飛んでいって、あるいは自分の国に綿毛として飛んで帰って、そこに根づいて花を咲かせようという話があったと思うんです。そういう人たちがいる。その前には、地域で海外派遣が行われていて、そこで培われた人たちがいる。さっき畠腹さんがスウェーデンの例を話されましたけれども、いろいろな国に行っているわけです。それから、地域に外国人が明らかに増えてきている。その人たちとの交流も増えてきている。 そういうわけで、国際ということに関心を持つ人たちは地域にたくさんいる。団体もある。その人たちは何らかの活動を始めている。やっている人たちがいる。つまり、地域にそういう意味での資源はあるんじゃないか。そうすると、女性センター、男女共同参画センター、あるいは行政の役割は何かというと、まさにさっき加藤さんがおっしゃったことでございますが、結節点になり得るということです。結び目の1つになり得て、そこでちょっと背中を押してあげる役割。「あなたたちのやっていることはとても大事なんだ」と背中を押してあげる役割。あるいは場を安く提供するとか、何かのイベントやお祭りがあるときに声をかけるとか、そういうちょっとしたことでこの資源を活性化できるのではないかと思うんです。
そういうときには、NPOというのは誠に便利なものでございまして、いろいろなところにお声かけができるんです。「平等の目線で」とさっきおっしゃいましたが、「平等の目線で」というのはなかなか難しいことだと思っております。しかし、行政や男女共同参画センターが結節点になり得る。NPOは糊の役割といいますか、やろうと思えばできないわけではないなと思っているわけです。
最後に書かせていただいたことは、女性センターや男女共同参画センターというのは、これまで培ってきた日本の資源の1つだと近頃とみに思うんです。これは特に開発途上国に関してとても有効なものだと思っております。つまり、そこに集まれば字を習うことも、 職業訓練を受けることも、マイクロファイナンスの話に乗ってもらうこともできる。あるいは相談も保健指導もできる場所というのはとても大切です。特に途上国の中で男女差別意識の強い文化の国々においては、女性が集まるところへなら行けるんです。例えば、私たちは今、アフガニスタンでやっているのですけれども、女の集まりの場だから行けるんです。アフガニスタンでは、夫がついていなければ女性は市場に買い物に行けないのです。しかし、女性センターには女性が行けるんです。女性だけが集まっているのは非常に安心感を与えるようでして、そこに行けば何かができる。アフガニスタンの場合には、そこでマイクロファイナンスもやっています。それから、「国によっていろんな文化があるものだな」と思って、私たちにはよくわからなかったんですけれども、今非常に盛んなのが靴づくりです。靴をつくっています。そういうことがありまして、インドネシアの大津波のときには、日本が100万ドルをユニフェムに支援してくださったのですが、インドネシアの一部や東チモールのあの辺の一部に女性センターをつくった。この女性センターが災害復興の1つの力になり得たんです。女性センターに行ったら生理用品が配られるとか、子どもにお乳を飲ませることができるとか、そういうことで役に立った例もございます。そうしますと、女性センターそのものが日本の資源じゃないか。これから途上国などで、例えば「草の根無償・人間の安全保障資金協力」を使って、ODAでそのようなことをやってみることができるんじゃないか。そうすることによって、日本の地域の女性センター、男女共同参画センター、あるいは行政も大きくなれるんじゃないかと考えます。
以上でございます。どうもありがとうございました。 - 袖井会長
-
どうもありがとうございました。それでは、自由討議に入る前に、有馬さんに確認事項や質問がありますでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは自由討議に入りたいと思います。どなたからでも結構ですから、御自由に御発言ください。御質問でも御意見でも結構です。 - 辻村委員
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ありがとうございました。大変興味深いお話を伺いました。私は今、仙台の東北大学におりますので、福島県の男女共生センターを何度か利用させていただいているのですが、今日のお話で、県との関係がレジュメにはあったのですけれども、お話の中にはありませんでした。 福島県は、東北地方では条例の制定率も一番高いですし、男女共生センターの予算規模も非常に活発にしていらっしゃるのですけれども、桑折町の活動は県の活動とどのように繋がっているのかという質問が1つ。
それから、福島県には女性団体の連絡協議会が28あると統計に出ているのですけれども、そのうちの1つにどういうふうに数えられているのか、横並びの他の協議会とどのようなネットワークをお持ちなのかということです。
それからもう1つ。私も以前、講演に何回か呼んでいただいたときに、いろいろな市町村で条例をつくっておられることを知っていましたものですから、桑折町はまだできていないのですね。条例はその後どうなりましたでしょうか。3つ質問です。 - 袖井会長
- では、よろしくお願いします。
- 畠腹
-
県との繋がりということですが。二本松市に県の男女共生センター「女と男の未来館」があります。そもそも私たちの団体は、そこのスタートのときに、こけら落としに「桑折さんちの茶の間の話題の寸劇をやってよ」と言われて上演しました。そこの主催事業には必ず参加しております。それから県の婦人団体連合会の理事という立場もありましたので、自分の女団連の活動もそこに加わらせていただき、そこの主催の団体活動育成事業で、7月、会津美郷町での発表をしました。県の男女共生センターとは、参画まではいきませんが、参加させていただく部分は私たち女性団体にはありました。
それから2つ目。県婦人団体連合会や商工会女性部、農協などがそれぞれ加盟している県の女性団体連絡協議会ですが、市町村にある女性団体連絡協議会は、福島県の場合、私の知っている範囲では桑折町と伊達市、川俣町と会津の方に1つぐらいで、そうはなさそうです。だから、それとその上部というつながりはないんです。
3つ目はこれからです。議員も選出されたことですし、19年度ももう終わりますけれども、条例をつくるためにはどうすればいいのか、勉強会をしようということになっています。今、「まちづくり」の方では、フォーラムのパンフレットがお手元にあると思いますが、ちょうど3月2日開催の「歩いて楽しめるために」取り組み、条例の勉強会がなかなか立ち上がらなくて、これからというところです。これからの私たちの課題だと思います。
ありがとうございます。 - 辻村委員
- 男女共生センターは、宿泊施設も持っていて非常に立派なところですが、例えば桑折町の方がそこにお泊まりになったり、そういう利用は実際にしていらっしゃるのですか。
- 畠腹
- はい。県の婦人団体連絡協議会の総会は必ずその会場でします。
- 辻村委員
- それは泊まってですか。
- 畠腹
- 宿泊して夜の研修会ももちろんしております。ただ、桑折町の女性団体が泊まってというのはまだありません。
- 袖井会長
- ありがとうございます。他にどなたか御質問がありますでしょうか。
- 河野委員
-
今日は興味深いお話、ありがとうございました。非常にリアルないろいろなお話を伺えて、勉強になりました。10年間これだけのことをされている間には、実は私も仕事でそちらにうかがっていたときに、雇用状況が非常に厳しい時期があって、全国の中でも非常に厳しかった時期があったと思いますが。最後に時間が足りなくてお話を伺えなかった部分があったのですけれども、最後から4番目のところで、たぶん非常に御苦労されたマネジメントの部分です。先ほど加藤委員から少し補足していただいたところもあると思うのですが、もしマネジメントのポイントアウトされている中で、ここは大変だったというようなところがもしあれば、 ちょっとコメントをいただければ、というのが1つです。
それと、本当に小さいことで恐縮ですが、その次のパワーポイントで「I am OK、You are OK」というのがあるのですが、これは「I am NO」ではなくて、「not OK」ですよね。パワーポイントなので、そうかなと思うのですが、出典というか、確認をさせていただければと思いました。 - 畠腹
-
今回はマネジメント以下の部分は画面を消すことになっていたのですけれども、内閣府から依頼された期限が短かったので消さないままになっていたというのが正直なことです。
御指摘があった「I am OK、You are OK」というのはどこですか。 - 河野委員
- 細かいことでごめんなさい。「I am NO」と書いてあるのは、たぶん「not OK」の交流分析の中の一部を持ち込まれたのかなと。
- 畠腹
-
済みません。そういうことです。
やはり人間関係といいますか、ソーシャル・キャピタルというものを宝にしなくてはいけないということです。所属の欲求といいますか、こういう団体に入る欲求といいますか、一人ポツンとではなく、そういう欲求は元来、人間にはあるんですよね。それを満たすためにも、「あなたもオーケーよ、私もオーケーよ」ということで、お互いに信頼関係の上に、交流が深まる。ややもすると悪い点を指摘してしまう。「それは違うよ」と、すぐに言いたくなってしまう。そうではなく、みんなが長所を認め合っていいものを転移していく、ということが大事なのかなと思ってやっているつもりです。出典は交流分析です。 - 袖井会長
- よろしいでしょうか。他に。
- 坂本委員
- どうもありがとうございました。桑折町でちょっと伺いたいのですが。男女共同参画では、そういう町がまだ日本にはたくさんあるんだろうなと思うような、ちょっと切なくなるお話から始まって、最後はとても景気のいい、「桑折さんちのだんご汁」を食べてみたいなと思うような素敵なお話が出てきたのですけれども。まちづくり事業は始まったばかりということで、成果はこれからだと思うのですけれども、現状、町に対するどんな効果を見込まれているのか。また、こういう部分が今後地域の成果として期待できそうだという部分がありましたら教えてください。
- 畠腹
- 先ほども少しお話しましたが、3月2日に「街道を生かしたまちづくりフォーラム」を開催します。主催は「桑折地区歩いて楽しめる地域づくり懇談会」で、これは私が会長という立場です。それから、「奥州・羽州街道『桑折町宿』パートナーシップ」も会長で、町で女性が会長をすることに何ら抵抗がなくなってきた。そして、最後の「『桑折宿』パートナーシップ」というのは、先ほど「元気に町を歩きましょう」の画面でお見せしました賑わいですね。町の中が本当に寂れてしまって、賑わいがない。昔のような賑わいをつくるとは言わないまでも、しかし、高齢社会にあって、お年寄りたちが隣の家へ行って、「あの人は一日も居てお茶を飲んでいったのよ」なんて苦情が出るんじゃなくて、こういう「御蔵」に集まっていろいろお話しすることによって、精神的な豊かさも取り戻せる。また、歩くことによって町の中が賑わう。車じゃなく、人のための道路であることを基本とした地域づくり、街道を生かしたまちづくり。歩いて楽しめるようにするために、「私たちはもっと自分たちの桑折を知らなくちゃいけない」、「歴史も勉強しよう」、「自然の豊かさも勉強しよう」、「観光案内についてもっと勉強しよう」と、桑折学という地元学の必要性と重要性に気づきました。桑折学部会と賑わい創出部会と町並み部会が誕生しました。「桑折御蔵」は昔「マルト」という屋号で呼ばれていたなど、屋号があるんです。そういう屋号を復活再生させる。昭和の初めはもう歴史になり、それらを活かしながらのまちの賑わいに発展させたいと思っております。なおかつ、そのことは、子どもたち、今の中学生、小学生たちにも残さなくてはならない。 それが私たちの使命ではないか。こんなふうに思っております。
- 坂本委員
- そうすると、今までは主に男性が企画やアイデアなんかを出していたところに、女性が時間をかけて参画する場をつくっていったことによって、女性の視点でのいろいろな新しいアイデアや取組が進み始めて、地域の中に新しい話題や居場所ができてきて、地域がとても活性化していっているというのが現状だということですね。
- 畠腹
- はい。オール100%活性ではないですけれども、そういう部分があちこちに点々と出てきています。今回、奥州街道と羽州街道の分岐点の復元で、国土交通省から「手づくり郷土(ふるさと)賞」をいただきました。地域では励みになって、女性ももちろん老いも若きも頑張る姿、元気が出てきました。
- 坂本委員
- ありがとうございました。
- 鹿嶋委員
-
現状をちょっとお聞きしたいのですが。男性共同参画が今はどの程度まで理解がされているのか。プラン21の記録集の5ページを見ていますと、そうそうたるメンバーが来賓として来ていますよね。ということは、桑折町では男女共同参画がこの人たちにもきちんと理解されて、皆さんがイベントをするときも、男女共同参画といえばみんなツーカーでやってくれるようになっているのか。それとも、男女共同参画というのはどこかでよれた理解のされ方をしていて、何となく一般化してしまっているのか。平等ということがかなりまともに理解されてきているとすれば、さっき有馬さんがおっしゃったような、それは女性団体連絡協議会が結節点の役割を果たしたからそういう成果があったのか、というのが第1の質問。
もう1つは、やはりメジャーな組織になってしまったと思うんですよね。ところが、女性たちは新しい世代がどんどん出てきますから、新たな女性たちにとっては、メジャーな組織になったことでギャップが出てこないかどうか。要するに、これだけのそうそうたる顔ぶれが集まるような大組織になってくると、やはり若い人たちといいますか、何となく格差が出てこないかどうか。そういうところで新たな問題がまた出てきていないのかどうか。
その2点をお伺いしたい。 - 畠腹
-
ありがとうございます。「男女共同参画って何だ」と、言葉さえもわからなかった。51の町内会があるんですが、町内会長さんが集まるところに町のプランを持って行って、また寸劇で面白おかしく「アハハ、オホホ」と笑わせながら気づきを図ったり、もちろん学校に行って話もしたり、特定の地域に行ってそこの人たちと懇談してきました。正直まだまだです。月刊の「町広報」には、男女共同参画で1ぺージ必ず取ってください、そして、言葉のちょっとした説明、例えば「ジェンダーって何?」とか、そんなことも入れてくださいということで昨年は広報されていたのですが、今年はそれはなくなってしまいました。ただ、データはとってませんけれど、道行く人に「男女共同参画という言葉を知ってる?」と聞くと、内容はわからなくても言葉だけは半分以上はわかると思っているんです。私たちのメンバーの中でも、「問題なんだよね。うちの父ちゃん。御飯まだかとかと言うんだよね、遅く帰ってきたのに」と。議員さんが自らも言っています。「何だ、今日も行くのか」と言われたとか。だから、現実はまだまだなんです。でも、それに負けずに一歩ずつみんなで頑張ろうということです。
それから、メジャーな存在、組織になっただろうということですが。この頃は「圧力団体」なんて言われて笑われてしまって。役場の人も御蔵にちょこちょこ出てきてくださったり、デスクワークだけでなく、「一緒にやろうよ、御蔵は成功させよう」と担当職員が言ってくださったりします。ですから、行政との協働も、長期総合計画で「コラボレーションでございます」、「官民一体となって」と掲げても、「やらなくちゃ駄目じゃないの」と面と向かっては言わないけれども、住民主体のまちづくりを今進めているんです。
若い人のことは、これからはPTAだなと私は思っているんです。PTAの子育ての真っただ中のお母さんは、「女性団体って何」とか、「ばあちゃんたちがやっているんでしょ」みたいな感覚もなきにしもあらずです。やはり役員メンバーを変えながら、私だけが1人で引っ張るわけじゃないということで、挨拶も「みんなでやろうよ」と10団体の長が、開会挨拶で壇に上がったり、いろいろ工夫はしています。そこら辺はこれからの課題になっております。 - 袖井会長
- どうもありがとうございました。
- 山田委員
-
有馬先生に質問させていただきたいのですけれども。途上国では、もちろん男女の差別・格差は大きくはあるのですけれども、むしろ階層格差、特に女性同士の格差が非常に大きい国が多いと思います。日本は逆に、今まではですけれども、男女格差は大きいけれども、男性同士、女性同士の経済格差は小さかったという特徴があると思うのです。途上国を見ている場合に、昔からインドやスリランカ、インドネシア、フィリピンなど、かなり昔から女性がトップとして活躍している国も多いけれども、むしろ貧困にあえぐ女性も多いということがあると思うのです。その関係、つまり女性がトップで活躍することと、貧困女性の地位の向上が図られるということは関係があるのかないのか。もちろん国によって異なるということは重々承知していますが。
といいますのは、やはり日本でも、資料として配付された新聞記事にあるように、男女雇用機会均等法ができて、キャリアとして活躍する女性が増える一方で、女性のフリーターのような人も増えてきているという現状があります。つまり途上国と同じような状況が、もしかしたら日本にも生まれ始めているような気もしますので、もしそういうことに関して、有馬先生のお考え、御見解をお聞かせいただければと思います。 - 有馬
-
ありがとうございます。山田先生が御指摘のとおりで、今回のこの報告書の中でも、例えばブルネイから来た人は、「ブルネイにはそういう格差なんてない」、「女性の貧困なんてない」と言うんです。「石油があるからみんなお金持ちだ」というようなことを言ったり。これは、おっしゃるように、どの階層の人が来たかによると思います。しかし一方で、シンポジウムに出てくださったフィリピンの女性は、本当に貧困層の女性でした。自分たちが住む場所を確保するために闘っている貧困層の女性がいたわけですけれども、彼女の発言はみんなに非常に感銘を与えた。おっしゃるように、私も男女を問わない貧富の格差の方がより大きいのだろうとは思います。でも、そうであればあるだけ、女性の中での貧困層がやはり最下層といいますか、最も困難な状況を抱えているということがあるんじゃないか。だから、マイクロクレジットなど、ユヌスさんのやられたようなことが届いていくのは、結局そういう女性たちを何とかしようということがあったから届いているのかな、というように思うんです。
それで、山田先生がお書きになっているもので、私もやはり経済的な格差ももちろん大事ですけれども、希望の格差というのが人間にとっては最大の格差じゃないかということを思います。そういう点では、貧しい女性たちが、自分たちが生きていく希望を持てるような状況を、何とかつくっていけないかなと。それぞれの国の運動・活動をしている人たちもそう思っているのではないかと思っております。 - 桜井委員
-
地域におけるリーダーの養成や育成ということが、最近またかなり言われるようになってきました。国立女性教育会館のヒアリングのときにも、NWECは女性リーダー養成に力を入れると言っていました。そうはいいましても、地域社会におけるリーダー養成というのは可能なんだろうかと、私は疑問に思っています。
有馬さんは海外も含めていろいろなところで、女性リーダーにお会いになっていらっしゃいますし、ご経験も豊富だと思いますので、まずこの点から伺わせてください。女性のリーダー育成、リーダー養成っていいますが、そういうことって実際、可能なんだろうか。もし可能であれば、どういう研修でなら可能なのかだろうか、ということについて、アドバイスがいただければと思います。
それから畠腹さんにも、女性のリーダーはつくろうとしてできるものなのかということについて伺いたい。私は個人にフォーカスしての女性リーダー育成には疑問をもっていて、「女性センターは地域の女性リーダーの養成・育成をすべき」という形で、その事業を要請されても困るなあと思っています。やはり組織基盤強化、キャパシティ・ビルディングの視点で取組まないと。でもそれは、これまでの女性リーダーの育成、養成とは違うものだと思います。地域における男女共同参画の推進が、女性リーダーの育成、養成という戦略で可能なのかと思っているものですから。ぜひその点を伺わせていただきたいと思います。 - 有馬
-
引き続き大変難しい御質問で、私もよくわからないんですけど。私は自分の経験から言いますと、養成しようと思って何か研修をしたから養成できるというものではないという感じを持っております。つまり、ネットワークしましょうと言っても何も始まらないように。具体的な事柄があって、それを一緒に仕事をすることによって解決しようと努力する中で、ネットワークというのはつくられていく。同じように、リーダーといっても、一緒に何か仕事をしていく中で出てくる人は出てくるのではないか。そういう点では、視野を広げるとか刺激を与える機会をできるだけ増やして、いろいろなことをいろいろな人たちと一緒にやってみる。特に異業種、この業界だけではなく違った業種の人たちと一緒に何かをすることによって人は育ってくるんじゃないか、という感じを持っているんです。つまり、思わぬことに興味を持っていく。そうすると、面白いからやってみようという中で人は育ってくるとか、そういうようなことがあるんじゃないかという感じを持っています。
それで、よく言われますね。この間、NWECの30周年のときに、私、韓国とか中国を含めてのリーダー養成シンポジウムをさせていただいたのですけれども、出てくるのは決まってロールモデルが大切であるということ。そうなんですけど、今どき、あの人のようになりたいと思いますかね。若い人が年上のあの人のようになりたいと。そんな単純ではなくて、私は未だにテレビ局と関わっているものですから、テレビ局から見てみますと、何か変なのが出てくる方が新しい刺激を与えて、そっちがいい、その方がウケるみたいなところがあります。そうなると今の御質問というのは、否定的なことではないんですけれども、いろいろな場を増やしていく、人が面白いと思う場を増やしていく、いろいろなことをやってみる中から人は育つような感じを持っています。 - 桜井委員
- 別に研修ということではないということでしょうか。
- 有馬
- 例えば、その中に隠れテーマとして研修を組み込んであるとか、裏マニュアルとして研修が入っているとか、そういうものじゃないですか。それでステップが上がっていくとか。さっき畠腹さんがおっしゃったことで、そうだと思ったのですが、清水さんから昔聞いたことがあるんですけれども。地域というのはとても大変ですよね。だから、地域でリーダーになっていくためには、彼女も7つか8つぐらい役をやっていた。例えば、地域の氏神様の神社の奉納会の下働きから代表になって、こうなってどうなってと、そういうものがあるということを聞いたことがあります。彼女は今、市会議員をやっていますけれども、なかなか大変ですよね。
- 畠腹
-
お答えになるかどうかわかりませんが、私の場合は、県の婦人団体連合会、全地婦連の51団体の1つの福島県の婦人団体連合会の会員になって、いろいろな研修の機会が増えました。桑折町の女性団体会長になって、伊達郡という市になる前の7つの町の伊達管内の婦人連合会長で県の理事になりました。それ以前に、「男女共同参画」のための劇をと依頼されたときは、正直ちんぷんかんぷんでした。大体そういう女性大会とか何とか大会というと、オープニングには太鼓とか、お母さんコーラスをやるとか、パフォーマンスをしていましたよね。劇をやるんだというので、「何の劇をやるんですか」というと、「男女共同参画、うーん」という感じでした。そういう中で研修といいますか、触れていく中で学びが非常に多かったですね。
それから福島県の場合は、県の教育委員会の社会教育分野で、婦人教育養成講座というのが国立磐梯青年の家であるんです。今は少なくなりましたが、市町村から各2名なり1名なりの旅費が出ました。そこの卒業生で、磐梯青年の家の名から「磐青の会」という会が今もずっと続いているんです。そういう研修を受けたことによって、「還元しなくては」という気持ち。旅費をいただいて2日3日のお泊まりの研修をして、帰ってきて「あっ、そう」と終わってはいられないということです。町、市レベル、郡レベル、県レベルにも「磐青の会」があります。それぞれが活動しているし、そして、その中で「いいリーダーとなって頑張ってください」と。私も地域婦人団体連合会の役は当然やらなくてはということですから、研修は私の場合は最高によかったです。
私は今、桑折町の婦人団体連合会の会長ではありません。県に後継者養成講座があり、私の町が会場となった年に、「ただ講演を聞くような講座から、もう一歩の工夫は」ということで、「演習をしましょうよ」と提案しました。先ほどの交流分析のようなことを実践しました。県の社会教育主事の先生と参画場面から入っていきました。そして会場であることで自分の町の人もたくさん参加できました。次は、会長だけでなく後継者養成のためにどこに行くのでも一緒に行く。例えば行政にお願いに行くときも、次なる候補2~3人と一緒に行く。そういう共通理解に立つ。私はすんなりと思っているけれども、受けた方は嫌だと思っているかもしれませんが。「私は会長を8年したから、次、大丈夫よね」というように次々と受け継いでいける。「リーダーは、常にバトンタッチできるようにリレーゾーンに並ぼうよ」なんて冗談を言って。だから、「女団連の会長は10年終わったから、その次、みんな考えていてよ」なんてふざけ半分で言うときに、「いいよ」なんて言っているけど、果たしていざとなったらどうなるかわかりません。そういうことで結論は、研修は非常に役に立った。後継者養成講座や磐梯青年の家での研修や県婦連の研修は、やはり視野が広くなりますし、大きな団体であればあるほど中央の講師をお呼びできて、お話も聞けたことはプラスでした。 - 袖井会長
- 私、1つお聞きしたいのですが、「ジェンダーかるた」というのはすごく面白いアイデアだと思うのですが、どういうきっかけでこういうものを思いつかれたのかということと、かるたの中身は子どもたちが考えたんですね。
- 畠腹
- はい。中心は、こどもたちですが。
- 袖井会長
- これはたぶん、お家へ帰って家族と話すことによって、親にも非常にいいインパクトになるんじゃないかと思うのですが、この効果はどのようなものだったのか、ちょっとお聞かせください。
- 畠腹
-
これは、町の教育委員会にお願いして、学校の校長先生たちにもお願いしました。きっかけは、遊びながら楽しくということです。今のようにゲームばかりでなくて、家族や友達とできる昔のお正月のかるたのようなものを復活させたいということから、交通安全のかるたがあるとか、いろいろな分野のかるたがあるけれども、私たちは「ジェンダーかるた」だということで、子どもたちにお願いしました。家庭でお父さん、お母さんも一緒に作成に参加していいということが条件です。だから、出てきたものは、これはお父さん、これはお母さんの作成だと思われる句もあるんですけど、例えば、「あ」の「朝ごはん、手づくりおにぎり僕の腕」というのは中学校1年生の男の子です。「め」は「目玉焼き、父さん作るといりたまご」、これは小学生です。絵も、すごく素朴な絵があったかと思うと、すごく上手な絵があったりする。それは親の手が加わっているなと。でも、「それでもよしとしようよ。家族で話し合う過程が重要。男女共同参画って何だということに、ちょっと触れるだけでもプラスだよね」ということでできたものです。でもきっかけは何かと言われると、ちょうどお正月頃の発想だったんです。
それから、桑折町は「歴史と文化のまち桑折」と言っていますので、俳句の会を立ち上げようということが今出ています。80歳ぐらいのお母さんたちが結構張り切って、「昔やったんだ」なんて意気込みが出てきたりしているんです。
そんなことで、家庭でも学校でも、遊びながら男女共同参画なるものを浸透できそうだと。今日は「ジェンダーかるた」の現物を持ってこなかったですね。すみません。
もう1つありましたか。 - 袖井会長
- 例えば、家庭にどんな影響があったのかということです。
- 畠腹
- お父さんが、「一緒にやったよ」とか、「子どもに言われるからな」、「俺もやらなくちゃな」と、全部が全部ではないけれど、そういう生の声は入ってますね。それから、「公民館活動でも使ったよ」、自分たちがつくったんだから婦人会も「これを使ってかるたとりをやったよ」等々。審査員には学校の先生にも入っていただいたり、地区の方も入ったり、もちろん私たちも入ったりしましたので、句や絵を家族で作ることに始まり、かるたとりに至るまで、そのプロセスから遊びにまでジェンダーへの気づきがあった、影響はあったと思われます。
- 袖井会長
- ありがとうございます。
- 河野委員
-
話題が移ってしまうのですが、先ほど桜井委員から御質問があったことについて、人材育成が専門なもので、実情を一言よろしいでしょうか。
リーダー養成は本来男女は関係がないテーマで、リーダーは座学で育つのかということだと思うのですけれども。別にこれは研究者がいてやっているというわけではないですが、1つの企業の結果から言うと、座学だけでは育たない。けれども、座学は、気づきがあって、刺激があって、そして知識を身につけるために重要だと思います。ただ、例えばリーダーというのは、自分がリーダーシップのノウハウをすべて持っていて、スキルがあるからといっても、人はついてこない。そこでやはり経験という目に見える実績が必要で、先ほど幾つかの役職をというのも、たぶんそれは見える実績だと思うので、その方の年輪としてすごく重要だろうと思います。
私たちも常に考えているのは、やはり企業でいうと、女性はポジティブアクションという形になってきていて、ロールモデルといいますか女性の先輩がいなくて、男性からは教えていただけなかった。少し情報が少なかった部分については、取りまとめて座学でやるのは非常にいいことだと思います。しかし、具体的にポジションを少し与えて、その中で体験しながら習得していかないと、本人もまわりも納得するリーダーにはならない。失敗してもいいと言うと失礼かもしれませんが、やはりたくさんの適材適所の経験の場をうまくお与えする、マッチングすることが最大のリーダーの養成になるのではないかと思います。
ですから、例えば研修会は、もちろん先ほど有馬さんがおっしゃったとおりだと思うのですが、その後の個別のフォローをどのようにしていくかが1つの課題だと思います。センターさんの方でうまくフォローをずっとして差し上げることができれば、2年後、3年後、5年後に、その方々がいい意味でのロールモデルに育っていかれるだろうと思います。先ほどのロールモデルがというお話は私も大賛成で、女性だけではなく男性でも、上を見ていて、こうなりたいという人がいない場合がほとんどなので、そういう意味では新しい形といいますか、今の時代に合った方々が出てくればいいというメッセージを出すだけでも、勇気を持って、特に女性は出てくれるのかなという気がします。最後は感想で申しわけありません。以上です。 - 辻村委員
-
有馬先生が先ほど「結節点」という言葉と「糊」という言葉を使われたことには、大変感銘を受けたのですけれども、ユニフェムの場合には公的性格がありますよね。政府の拠出金によって国連の機関として成立している。しかしながら、その国内委員会をNPOとして立ち上げられているということで、民と官が自ずと二重になっているところがあるのかなと考えていたのですが。ポジションとしては民ですね。そういうことで、ぜひ結節点の役割をうまく生かしていただきたいということと、政府に要望をいろいろ出していらっしゃいますね。拠出金の増額などはお出しになっているのですけれども、その他、例えば男女共同参画政策その他について要望をお出しになれる立場なのかといったことも考えました。そういったことでいろいろ御指導いただきたい、というよりも、いろいろ役に立っていただけたらいいなというのが1つです。
それから、官民の結節点はそうですが、これまで私は、この調査会で、産学官民の中の学がずっと男女共同参画には落ちていたという話をしたのですけれども。最近、大学の中でジェンダー研究所がネットワークを組みましょうということで、女性学のジェンダー研究所が集まったら14できておりました。ただ、この前も少し言ったと思いますけれども、大学や学長から、「ジェンダーというのが出るとよくないから、目立たないようにやってください」と言われたとか、皆さんいろいろ問題を抱えていまして、運営資金もないし、問題を抱えています。でも、学の中も、そういう男女共同参画ネットワークのようなものをつくり始めましたので、官と民、また学という形でネットワークができていけばいいなと考えておりますので、よろしくお願いいたします。 - 有馬
- ありがとうございます。おっしゃるとおりユニフェムは、政府の拠出金で国連の方は成り立っています。それで、国連からの予算配分がないわけで、拠出金のみによって成り立っている団体です。私たち各国の国内委員会はそれぞれ任意団体、あるいは全く民間の立場です。辻村先生がおっしゃったとおり、今、ODAは30%カットできて大変減っていますので、増やせとか減らすなとか、それから、国連改革でジェンダーのポジションをどうするかというときには要望書を出したり、そんなことはいたしております。
- 袖井会長
- よろしいですか。
- 鹿嶋委員
- 有馬さんにお聞きしたいのですけれども。ユニフェムの支援先ですが、いただいた表を見ると、カンボジア1万ドルとか、いろいろ書いてあるのですが、例えばミャンマーについては過去にそういう例があるのでしょうか。なぜそういうことを聞くかといいますと、あそこは、大体1万ドルあれば教室が2つぐらい建ちます。私が今関わっているのは、ノルウェーの人たちとつくる学校で、8月にできるんです。ただ、あそこはカードは使えない、キャッシュしかだめなんですよね。それで、行くときはわれわれもキャッシュを持っていくしかないんですけれども。例えば私が個人的にそういう要望を出せば、ユニフェムで取り上げてくれるのかどうか。義務教育も男女共同参画の基本だと思うんです。そういう中できちんと勉強することは大事だと思うのですが、根本的に崩れてしまっているんですよね。それをちょっとお伺いしたいのですが。
- 袖井会長
- いかがですか。
- 有馬
-
ありがとうございます。私たちユニフェムには縛りがありまして、国連のユニフェムがこういうところをやりますというリストが来るんです。その中ら選ぶことになっています。ミャンマーは入っていたことがないんです。やはり今の立場というのがちょっと難しいのだろうと思います。ですから、鹿嶋先生がおっしゃったことは、やはり個人的にといいますか、単独でということしかないんじゃないでしょうか。
おっしゃるように、学校をつくることはとても大事なことだと思いますが、これは私の全く個人的な印象ですけれども、どんな仕事でも同じだと思うのですが、続けているとどんどん純化していくというか、初心からだんだん離れていくところがあります。ユニフェムは、政策決定のようなところにばかり関心を持っていて、本当に初心で大切な部分からだんだん離れていっているような傾向があります。実は、一昨年私たちが女性人権機構をつくったのは、1つはそういうことがあって、もっと役に立つことをしたいということがありました。これは正直な感想ですけれども。それから、御承知のとおり国連の安保理決議の1325で、女性が紛争解決や平和構築に参加するという中にユニフェムが入ったものですから、そういうところに非常に視点が向いています。今おっしゃったような学校をつくるようなところから離れぎみなところがあるのは、多少問題があるなと思っております。 - 住田委員
-
御質問になるかどうかわかりませんが。いろいろな場面、特に地域においてこのような女性団体が活躍しているのはとても嬉しいことですが、そろそろリーダーづくりの話から、後継者の問題、つまり若い方にどうやって広げていくかを考えなければならない時期にきているのかなと思います。特に後継者に関して言えば、今、非常にいいお話を聞いたのですけれども、女性の足の引っ張り合いということがあちらこちらから聞こえるのが気になっています。カリスマ的なリーダーがいらっしゃる間は、その方がこの人という形で禅譲すればわりとうまくいくのですが、そううまくいかないところもあって、結局は資産が次に繋がっていかないという残念な事態があります。そういうことに対して、何らかの御提言等をいただければありがたい、ということが1つです。
それからもう1つは、女性の集まりは、私も幾つか入っているのですけれども、得てして1人の方のお話が自分のことを含めて非常に長くなってしまって、司会役が非常に難しいと思うんです。企業でも同じで、会議で発言し出して止まらなくなる。男性の場合は飲んでいるときなどに、「それはまずいよ、場の空気を読め」ということを教えてもらえるのだそうですが、女性はなかなかそういう厳しい意見を言っていただけないから伸びない、と。企業の方から、「上に上げたいんだけれども、どうしても女性のトップは」、というのはよく聞く話です。皆さん、そうですか。何か賛同してくださっているようでもありますが。 - 桜井委員
- 男性も同じです。話が長いです。
- 住田委員
- 男性も同じですが、男性の場合は叩かれる。女性の場合は叩かれるチャンスが少ない。実質的な裏の訓練が非常に少ないということがよく言われているんですね。ですから、そういうところはある程度意識して研修の中にも組み込んでいった方がいいのではないかという気はしたのですけれども。それについて何かアドバイス的なものをいただければ、私も地方に行ったときにお話ししたいと思います。
- 袖井会長
- 畠腹さん、御経験から何かいかがですか。
- 畠腹
- 先ほども言いましたように、町の審議会委員はいつも決まったメンバーなんです。何々団体の長、連合婦人会長、町内会長、老人会長など、顔ぶれがいつも金太郎飴なんです。それで私は、「直接女性団体を推薦母体にしてくださるのであれば、推薦しますよ」という形にして、長だけが委員とならない。次なる副会長さんや庶務、会計など人を変えて、いろいろな会のメンバーとなる。例えば、桑折町に「うぶかの郷」という宿泊研修センターがあって、温泉つきですけど、そこの支配人さんも私たちの副会長です。最初は臨時で働いていたけれど、今は支配人になって「女将さん」と呼ばれている。そういうことを踏んでくる、経験することが必要です。「これこれがあるんだけど、どう?」と言うと、「みんなの意見を聞いて行けばいいのね」というふうになってきて、いつも同じ人にならないようにしています。しかし、若い人を入れるのはなかなか難しいですね。子育ての真っ最中、就労女性も、もちろん男性も、地域づくりやボランティア活動のできる環境・システムづくりが必要ですね。
- 袖井会長
- 有馬さんはいかがですか。
- 有馬
-
これは住田先生がおっしゃったように、一番難しいことだと思います。ニューズレターの後ろに1つ出ていますけれども、升本美苗さんという副会長をなさっていた方が亡くなられまして、「美苗基金」というのをつくりまして、地域で活動している団体、特に若い研究者の支援を始めて、もう5年ぐらい経っています。そういう中からうまく育ってくれるかなと思っているのですが、若い人は育っていないですね。そのときは一生懸命なさるんですけれども、あとは続いてこない。だから、私が今考えているのは、ITを使って何かできないかなということです。若い人と一緒にやっていくというのは本当に難しいことだと思います。
それから、住田先生がもう1つおっしゃった、なかなか訓練ができないと。これはあると思いますね。社会的な訓練は場数を踏む以外にないようで、まさにKYというのはいろいろあるんじゃないでしょうか。 - 板東局長
- 先ほど有馬先生から、地域に外国人が入ってきていて、そういう問題も国際的な活動の中に広がっていくというお話もありましたが、地域の中での内なる国際化に対応したいろいろな男女共同参画の視点からの取組は、まだまだそう多くないのかなという感じがするのですけれども。外国人の方のエンパワーメントも含めて、今後、そういう内なる国際化という意識を我々の中でどう定着、発展させていくかという問題があるかと思います。例えばそういう国際的ないろいろな活動と、国内の地域レベルのことは、どのような形で繋がっていくのかということについて、アドハイスをいただければありがたいのですが。
- 有馬
-
ありがとうございます。内なる国際化で、例えば横浜でやっていた例は、非常に初歩的なものですけれども。子どもが学校からお知らせを持ってくる。そのお知らせに書いてあることが、「明日、給食がありません」というのか、「スリッパを持ってきなさい」というのか読めないというので、私たちのところにそれをファックスで送ってもらって、何を書いてあるかということをお知らせするとか、そういうことをやったりしたことはあるんです。そういうことで少しずつ広がったりしたことはあります。
それから、横浜市の男女共同参画の審議会には、今はどうなっているのかわかりませんが、かつては外国人の方が必ず1人入っていました。日本の男性と結婚したインドネシアの人が入っているというようなことがありました。そういうことによって、地域の中に情報が伝わりやすくするということ。あなたたちは決して一人ではないと。それから、そういう方々の場合には、女性に対する暴力の問題に苦しんでおられる方が多いものですから、そういう情報が入ってくることがありました。
あと、ユニフェムでは今、升本美苗基金の活動支援に、アフガニスタンから日本に見えているスルタニさんという、つくば市にお住まいですが、その方々の活動を支援したということはございました。これといういい広がりはなかなか難しいのではないかと思っております。 - 袖井会長
- どうもありがとうございました。そろそろ時間ですけれども。何か御発言ありますでしょうか。
- 桜井委員
- 今の横浜のことを少し。有馬さんがおっしゃってくださったように、横浜では審議会に、今は外国籍の女性ではなくて、女性の家サーラーという主に外国籍の女性のためのシェルターのディレクターが入ってくれています。女性センターで働いていて肌で感じるのは、有馬さんがおっしゃったとおりで、在住外国籍の女性にとっていま一番の問題はやはり貧困と暴力だろうと思います。そこに地域で支援をしていくときに、日本語が話せる女性を対象に支援事業を行うのとは違う困難があります。具体的には、お金と手間が格段にかかり、同じ資源を投入しても10分の1ぐらいのサービスしかできない。なにか支援事業を行おうとしても、そこにどこからもお金が出てこないというのが現状です。外国籍女性支援をしているNPOは、例えば外資系企業の助成プログラムに応募して助成金を得たり、寄付や会費などをようやく集めて、それで支援を行っています。女性センターはまだ、日本の女性の貧困問題にようやく取組み始めたところがでてきたということで、格差社会の中で困難な状況にある外国籍女性への支援はほとんど手がつけられていないという、そういう状況だろうと思っています。
- 河野委員
- 加藤委員の資料2と地域の活動との関係で。地域でいろいろ芽が出ているんですけれども、これから起こすところや、今出たばかりのところはリーダーが重要だと思うのですが、5年、10年経ってくると、これは一般的な団体と一緒に考えていいかどうかわからないのですが、そろそろきちんとマネジメントをして継続することがすごく重要だと思います。桑折町は、その辺がうまくいっているからだろうと思って御意見を伺いたかったんですけど。ちょうど取りまとめてくださった加藤委員の資料のプロセスとエンパワーメントのあたりに、このような団体のマネジメントのポイントのようなものが盛り込まれているように思いまして。今、NPOのマネジメントとかNGOのマネジメントとか、いろいろ言われているのですが、もしかすると、この男女の部分というのは少し色をつけた上で、何か少しポイントみたいなものがあるようにマネジメント上思いまして、こちらの資料もとても重要かなと思いましたので、一言つけ加えさせていただきます。
- 袖井会長
-
ありがとうございます。よろしいでしょうか。
それでは、今日は、畠腹さんと有馬先生、本当にありがとうございました。すばらしいお話で目から鱗といいますか、やはりいろいろな意味で男女共同参画はセカンドステージだなということをしみじみ感じさせられました。畠腹さんの御活動は本当にすばらしくて、できれば、こういう活動がもっと日本全国に広がっていくといいなと思います。有馬先生の、地域がキーだというのは本当にそうだと思います。男女共同参画にも国際交流が挙がっていますけれども、今一つ実体化しなくて上滑りしていたのですが、本当に今日のお話を聞いて、こういうことでできるんだなと。女性センターとか、男女共同参画センターが1つの地域資源、それから国際社会における資源だというのはすばらしい御提言で、是非とも報告書にそういう視点を入れさせていただきたいと思います。本当に今日はありがとうございました。
それでは、最後に事務局から何か御報告がありますでしょうか。 - 塚崎推進課長
- 次回でございますけれども、今月の29日、金曜日、1時半からこの会議室で開催する予定でございます。開催日が迫っておりますので、開催通知と御出席の回答用紙を机の上に置かせていただいております。本日御提出いただくか、もしくは21日、木曜日までにファックスなどで御返答いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
- 袖井会長
- それでは、これで基本問題専門調査会の第36回会合を終わります。本日はどうもありがとうございました。
(以上)