- 日時: 平成14年9月27日(金) 13:30~16:00
- 場所: 内閣府3階特別会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 岩男 壽美子 武蔵工業大学教授
- 会長代理
- 八代 尚宏 (社)日本経済研究センター理事長
- 委員
- 伊藤 公雄 大阪大学教授
- 同
- 住田 裕子 弁護士
- 同
- 高橋 和之 東京大学教授
- 同
- 竹信 三恵子 朝日新聞企画報道部記者
- 同
- 松田 保彦 帝京大学教授
- 同
- 山口 みつ子 (財)市川房枝記念会常務理事
(議事次第)
- 開会
- 女性のチャレンジ支援について
- 「女性のチャレンジ支援策について」今後の進め方(案)について
- 閉会
(配布資料)
(概要)
事務局から、「女性のチャレンジ支援策について 中間まとめ(案)」について説明が行われた後、自由討議が行われた。
- 「I なぜ今、女性のチャレンジ支援が必要か」について
- 八代会長代理
- 少子化対策としてのチャレンジ支援というのは確かに言い過ぎかもしれないが、少子化対策と矛盾しな いチャレンジ支援について一言コメントしておくことは重要ではないか。
- 住田委員
- 管理職と男女の給与所得差の2つが我が国のGEMを低くしている大きな原因の一つであることをどこかで 書けないか。また、保育所の不足などの制度自体がまだまだ不十分なので、これに関して、簡単でもいいので入れていた だく方がいいのではないか。
- 「Ⅱ 1.意欲と能力がある女性が活躍できる職場づくりー「上」へのチャレンジ-」について
- 高橋委員
- 「イ 新たな方策の検討」については、表現が分かりにくいので、もう少し分かりやすくしていただきたい。
- 住田委員
- 好事例の紹介では少し弱い気がするので、そこを膨らませていただきたい。
- 「Ⅱ 2.新しい分野へのチャレンジー「横」へのチャレンジ-」について
- 八代会長代理
- 「女性の起業は女性の無償労働を有償のものに転換させ」というと、いわば家事労働を報酬を得る労 働に転換するということになるが、それは別に起業だけでなくてサラリーマンとして働いている場合も同じことであって、な ぜ起業の場合とだけ結びつくのかよく分からない。
- 伊藤委員
- もうちょっと分かりやすい表現で、従来女性が担ってきた無償労働を、起業の中で経済的な評価に結び付く ような方向へ転換をするんだという話をもっとはっきり書かれた方がいいのではないか。
- 八代会長代理
- 起業の次に挙げられるNPO法人に過度に頼るのではなくて、きちんとした報酬を得たサービスを受け るべきだという意味で更に家事労働から市場労働に転換していくことは結構なことだと思うが、それはあくまでも政策的に 中立的でなければいけない。
- 山口委員
- 男性が中心になってつくってきた社会が出来上がっているわけで、そういうところに女性が参入することは 非常に難しい。そこに参入するには、今まで無償労働をしていた分野で起業として入り込む女性のアイデアが必要だと思 う。起業やNPO活動にどんどん女性たちが中心となって入り込むことが社会の活性化につながると思う。
- 竹信委員
- 問題は性別役割分業が今のところはまだあるということ。
- 八代会長代理
- 人員削減による長時間労働者の増加と、低賃金の短時間労働者の増加が同時に進行しているとする 書き方では、働き方の多様化は悪であるということになってしまう。
- 竹信委員
- 今の女子学生の問題点として、女性の場合差別的な扱いがきちんと解決されていないことが結構多い。そう いった差別の解消につながるものを、あえて何らかの形で入れた方がいい。何らかの監視のための情報把握を一層強化 し差別があった場合に必要な対応ができるようにするとか。
- 伊藤委員
- 関西では、就職採用の段階で差別的な取扱いがなかったかどうかを、チェック票を学生に配布して対応して いるところもある。
- 高橋委員
- 地域におけるネットワークを図るということの中に、もう少しオンライン上でネットワークをつくっていくことも打ち出した方がいいのではないか。
- 「Ⅱ 3.再チャレンジ支援」について
- 八代会長代理
- 財務省は、消失控除を設けたことによって逆転現象がなくなったから配偶者控除の問題は解決し、あと は一般の人が誤解しているだけだというが、決して誤解ではなく、これは50%の限界税率をかけられているのと同じなの で、当然、就業調整を行うのは当たり前であることを明確にしたい。
- 八代会長代理
- 何が年齢にかかわりなく働ける社会の実現を妨げている要因となっているのかという現状説明が重要 である。また、きちんとしたルールをつくって、それに基づいて一定の範囲の人にとってはきちんとした補償金を払うような 形で解雇できるというルールが明確になれば、ある意味で定年の必要性自体がなくなってくるのではないかという考え方 があって、これは経済学界ではかなり広く受け入れられている。
- 松田委員
- 立法化が難しいのは、判例法自体が変わってきて解雇しやすくなってきており、解雇の制限の法理が、社会 的客観的合理性とか、社会的に見て妥当と言えるかという、非常に流動的、弾力的なものであること。
- 八代会長代理
- 問題は、判断のぶれが非常に大きくて、非常に不確実性がある状況であること。また、訴えるだけの資 力がない中小企業の労働者は全く保護されていない状況にあることも判例法の問題点である。
- 「Ⅱ 4.農林水産分野における女性のチャレンジ支援」について
- 竹信委員
- 女性の経営における「貢献」を明確にすることと、近代的な経営の目的が生産性の向上だけではなくて男女 共同参画のためであるということをはっきりさせることが必要である。
- その他
- 松田委員
- 男女ともに「レッツ!」という要素を入れることが必要ではないか。
最後に、内閣府より、次回の男女共同参画会議に報告し了解を得るための女性のチャレンジ支援策についての今後の 検討の進め方に関する事務局案の説明が行われた。
(以上)