男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成21年12月4日(金) 15:00~17:30
  • 場所: 内閣府本府講堂

(開催要旨)

  • 出席者

    <基本問題・計画専門調査会>

    会長
    羽入 佐和子 お茶の水女子大学学長
    会長代理
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授(監視・影響調査専門調査会会長)
    委員
    石川 哲也 神戸大学大学院教授
    伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
    大隅 典子 東北大学大学院教授
    岡本 直美 日本労働組合総連合会会長代行(監視・影響調査専門調査会委員)
    帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
    勝間 和代 経済評論家・公認会計士
    河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
    坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
    佐藤 博樹 東京大学教授
    辻村 みよ子 東北大学大学院教授
    林 陽子 弁護士

    <監視・影響調査専門調査会>

    委員
    勝又 幸子 国立社会保障・人口問題研究所部長
    神田 道子 独立行政法人国立女性教育会館理事長
    潮谷 義子 長崎国際大学学長
    住田 裕子 弁護士
    袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授、東京家政学院大学客員教授
    山谷 清志 同志社大学教授

(議事次第)

  1. 男女共同参画会議(第32回)に関する報告
  2. 基本計画(第2次)及び監視・影響調査報告書フォローアップ
    • 関係府省ヒアリング
    • 基本計画6分野 高齢者等が安心して暮らせる条件の整備
    • 基本計画10分野 男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育学習の充実
    • 監視・影響調査報告書 多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習施策について
    • 監視・影響調査報告書 高齢者の自立した生活に対する支援について

(配布資料)

資料1 様式1
「6.高齢者等が安心して暮らせる条件の整備」 [PDF形式:259KB]別ウインドウで開きます
資料2 様式2
「男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について」
2-(1)
内閣府作成資料 [PDF形式:152KB]別ウインドウで開きます 参考資料 [PDF形式:329KB]別ウインドウで開きます
2-(2)
厚生労働省作成資料 [PDF形式:95KB] 別ウインドウで開きます
資料3 様式1
「10.男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育・学習の充実」 [PDF形式:197KB] 別ウインドウで開きます
資料4 様式2
「男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について」
4-(1)
文部科学省作成資料 [PDF形式:248KB]別ウインドウで開きます
資料5 様式1
「監視・影響調査報告書 多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習施策について」 [PDF形式:209KB] 別ウインドウで開きます
資料6 様式2
「男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について」
6-(1)
内閣府作成資料 [PDF形式:185KB]別ウインドウで開きます
6-(2)
文部科学省作成資料 [PDF形式:138KB]別ウインドウで開きます
6-(3)
厚生労働省作成資料 [PDF形式:138KB]別ウインドウで開きます
資料7
「監視・影響調査報告書 高齢者の自立した生活に対する支援について」 [PDF形式:313KB] 別ウインドウで開きます
資料8 様式2
「男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について」
8-(1)
内閣府作成資料 [PDF形式:371KB]別ウインドウで開きます
8-(2)
総務省作成資料 [PDF形式:104KB]別ウインドウで開きます
8-(3)
財務省作成資料 [PDF形式:143KB]別ウインドウで開きます
8-(4)
厚生労働省作成資料 [PDF形式:115KB]別ウインドウで開きます
資料9
平成21年11月26日 男女共同参画会議(第32回)資料 [PDF形式:987KB]別ウインドウで開きます
羽入会長
皆様ありがとうございます。こんにちは。第51回の基本問題・計画専門調査会と、それから本日は第42回監視・影響調査専門調査会の合同の会として開かせていただきます。
 私は基本問題・計画専門調査会で会長をしております羽入と申します。どうぞよろしくお願いたします。今回の合同専門調査会の司会進行を務めさせていただきます。
 今回は2つの専門調査会を合同で開始いたしますことから、簡単にそれぞれの専門調査会でのフォローアップ内容について御説明をさせていただきます。1つは第2次男女共同参画基本計画につきまして第6分野と、それから第10分野、つまり高齢者等が安心して暮らせる条件の整備、それから男女共同参画を推進し多様な選択を可能にする教育学習の充実のフォローアップを行います。
 そして、更に監視・影響調査報告書につきまして平成20年の6月に男女共同参画会議で決定されましたもの、高齢者の自立した生活に対する支援についてと、それから19年5月に決定いたしました多様な選択を可能にする能力開発・生涯学習施策についてのフォローアップを行います。この2つの報告書のフォローアップ内容につきましては、新たな基本計画に向けた資料として活用させていただきたいと思います。
 それでは、議題に入りますが、まず、11月26日に行われました男女共同参画会議の報告を議員でいらっしゃいます鹿嶋会長代理からお願いいたします。
鹿嶋会長代理
鹿嶋です。先週の木曜日の26日に開かれた連立政権になって初の男女共同参画会議の様子を御報告いたします。
 3つ議題がございました。1つは女子差別撤廃委員会最終見解への対応、2つ目が第3次男女共同参画基本計画の策定について、3つ目は監視・影響調査専門調査会でずっと議論してきました新たな経済社会の潮流の中での生活困難を抱える男女についての最終報告及び意見決定をしていただくという、大きく3つのテーマでした。
 26日は、昼ごろ福島大臣と一緒に総理のところへ伺いまして、男女共同参画の現状などをフリーに話す機会がございました。10分間ぐらいだったんですが、このとき、総理はGEMという問題を考えていらしたらしくて、ジーイーエムと読むのかジェムと読むのかということを秘書官にお尋ねになって、その秘書官が私どもに来て、どう読むんですかというような質問があった。その意味で、話す中身もジェンダー・エンパワーメント・メジャーが大変日本は数値的に遅れているという話もしておられましたし、それから、男性がもう少し変わらなければだめですねというような話もしておられました。
 その話が実は参画会議の延長線上にもずっとございまして、議事録にもそれが残っているわけです。非常に印象に残っているのは、参画会議での総理のあいさつ、「友愛社会を築く上での第一歩は男女共同参画社会の形成である」とおっしゃっていたことでした。
 それから、男女共同参画社会をつくるためには政治が頑張らなくてはならないということも言っておられましたが、これなども個人的に解釈すれば民法の改正といったような問題を含めてやはり政治の問題になるわけですから、そういうことで大変心強い発言であったと考えております。
 1つの最初の議題でありました女子差別撤廃委員会の報告につきましては、これは皆さん資料の9を見ると参画会議の資料があります。女子差別撤廃委員会報告の最終見解の対応について、男女参画会議の議員である家本賢太郎、帯野久美子、岡本直美、勝間和代議員の意見がありましたのでるわけですが、それを報告いたしました。
 まず、民法改正。これについては是非改正が必要であるということです。婚姻年齢、離婚後再婚禁止期間とか選択的夫婦別氏の問題です。それから、女子差別撤廃条約の選択議定書の批准の問題、女性参画の拡大のためのポジティブ・アクション。さらに4番としては、女性に対する暴力の根絶。これらの点については、新たな男女共同参画基本計画でも最大限対応すべきであると申し上げましたところ、赤松農林水産大臣からは民法改正については民主党政策書に書かれており、大いに進めるべきだという意見をいただきました。
 また、千葉法務大臣からは民法改正については、平成8年にせっかく法制審議会を通して答申していただいたのに、実らせることなくきたことが大変残念であったと。民法改正には厳しい対応もあるけれども、納得いただけるように努力したいという趣旨の発言もありました。
 西村外務大臣政務官からは選択議定書の問題について、早期批准について関係省庁と真剣に取り組みたいとの発言がございました。
 第3次基本計画につきましては、佐藤議員が報告をしたわけでありますが、男女共同参画基本計画の有識者の意見としては、先ほど申し上げましたようにジェンダー・エンパワーメント・メジャーが大変低いというようなことを、どうするのかという問題、それから第1子出産で7割の女性が仕事を辞めているような現状の改善、男女間の賃金格差も依然として開いている。どう格差を縮めていくかといったようなこと等々です。また、女性の就業継続は子育て家庭への最大の経済的支援である。民法改正、特に選択的夫婦別氏については、結婚してもこれまでの姓を続けることを選べるというのは選択肢が広がって有意義であるといったことについて、有識者意見として発表をいたしました。
 もう一つ、3番目の柱ですけれども、新たな経済社会の潮流の中でという問題については私が報告をいたしました。皆さんのお手元にもそのときのペーパーが一揃いあると思いますが、生活困難の実態が連鎖的に広がっている。しかも、固定化し、かつ、その要因を探っていくと複合化しているという現状を報告しました。子どもへの連鎖ですね。これが見られるということも。貧困の割合が高齢単身の女性や、母子世帯などの女性で高くなっていること、更には不安定雇用、非正規雇用への男性への生活困難の広がり、これについても報告をしました。
 この生活困難の背景にある男女共同参画の問題はどういう点が大きくクローズアップされるのかということにも、いわゆる女性の就労については非正規雇用に集中しているような現状、それから出産・育児を契機に退職する女性が多い、そういう実態。女性への暴力が女性の自尊心や心身を傷つけて、自立に向けた社会参加、就業を困難にしている現状、そういうことを申し上げた上で、大きくくくれば、固定的な性別役割分担の問題が背景にあること。同時にそれは男性に対してもプレッシャーを与えているということです。特に最近の若い男性の結婚へのためらいといったものは、男は稼ぐ人というジェンダーバイアスがある中で、その役割を十分に果たせないことにもあるのではないかということも申し上げました。
 それをどういうふうに今後取り組んでいくかということにつきましては、セーフティ・ネットを再構築する必要があるというふうなことを申し上げました。いわゆる長期勤続を前提にしたセーフティ・ネットではなくて、現状のような賃金が低くて頼るべき家族がいなくなった家族の変質、そういうふうなものをふまえた上でのセーフティー・ネットの構築が必要であるとうふうなこと、それから世代間のいわゆる生活困難の連鎖を断ち切る取組も必要だと。そして、そのような取組はいわゆるピンポイントでやるのでなくて連帯、複合的に、それから1人の人に対してさまざまな角度から複合的ないわゆる支援をしていく必要があるのではないかというふうなことを申し上げた次第でございます。この件については大変大臣の皆さんも関心を持っていただいて、その後に、どの大臣だったか、発言があったりいたしました。
 そういうような3つの柱から報告をいたしまして、最初の男女共同参画会議を終えたわけですが、雰囲気としては大変男女共同参画という問題に対して理解があるというふうな印象であります。印象ですから、どういうふうになるのか今後わかりませんけれども、大変、頼りになるなあと思いつつ会議に臨んだことは確かであります。
 以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。今の御報告について御質問あるいは参画会議においでになっていらっしゃった委員の方々、何か御意見はございますでしょうか。ありがとうございます。
 それでは、続きまして、前回の基本問題・計画調査専門調査会での質問の回答を観光庁からお願いしたいと思います。
観光庁
観光庁でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
 前回の会議の方で、基本計画に書かれております観光地づくり、地域づくりを推進するため女性を含む幅広い関係者の協力を得て、観光旅行につきまして諸策を推進しているということを具体的にどういうことなのかということで御質問があったというふうに聞いております。もちろん、観光というのは交流人口の拡大地域経済の活性化が非常に大きく、雇用の創出にもつながるということで、観光振興の果たす役割は大変大きいと考えております。
 そのために各地域の特色を生かした観光地づくりを推進するということで女性を含めまして幅広い関係者の協力・連携が必要だというふうに考えております。このため、地域おこしでありますとか観光に関する政策あるいは方針の決定過程としての各種検討会等については、女性を含めまして観光に御見識のある方々に御参画をいただき、ご意見をいただいております。
 御指摘していただいております女性からの視点というのも、これは非常に大切だと我々も考えておりまして、以前開催しておりました観光立国推進戦略会議では、女性委員として湯布院の玉の湯の桑野社長、マリ・クリスティーヌさんに御参加いただき、各種ご意見を賜ったほか、各種検討会でも女性にも参加をしていただいているところでございます。
 また、旅館やホテルのおかみさんが互いにそれぞれの課題等について意見交換を行う勉強会とか、そういった取組も進められているところでございます。
 帯野先生から御質問をいただいている「観光分野は女性の雇用が高いというふうに聞くが」という点につきまして、ホテル・旅館業では、女性比率が56.7%という状況でございます。総務省の「事業所・企業統計調査」によると全産業平均だと42.5%ということですので、そういう意味では女性比率が高い産業であるというふうに認識しております。
 また、旅行する側につきましても、国内の宿泊旅行回数ということでデータを見てみますと、平成19年のデータですが、女性は1人当たり1.56泊という状況であり、男性の1.44泊と比較しましても、女性が若干上回っている状況でございます。国内観光旅行の宿泊全体の数が今、なかなか伸び悩んでいるといいますか、落ち込んでいる状況にある中、観光振興を図っていくためには女性の視点も非常に大切であると考えているところでございます。
 このほか、各地域で女性が活躍している取組が行われております。観光庁では、各地の先進的な取組でございますとか、ほかの地域にも非常に参考になる取組を事例集として取りまとめ、普及啓発活動をしております。一例を申し上げますと、銀山温泉のおかみのアメリカ人でいらっしゃいますジニーさんや、草津温泉の旅館組合の婦人部で構成されている「湯の花会」の取組を事例集で取り上げ、紹介をさせていただいているというところでございます。
 以上でございます。
羽入会長
帯野委員から御質問がございましたけれども、いかがでいらっしゃいますか。よろしゅうございますでしょうか。
帯野委員
どうもありがとうございました。ただ、私が質問させていただいた8つございますけれども、これに対しての具体的なお答えは難しいということなのでございましょうか。
観光庁
データ上、今、取れるところは御説明させていただいたつもりでございますけれども、どの辺を御説明すればよろしゅうございますでしょうか。
帯野委員
では、例えば観光客のうちの宿泊数は教えていただきましたが、観光人口のうちの女性の割合とか、あるいはそれを受け入れる側の女性人口の割合、いわゆるおかみさんではなくて、ライフスタイルの変化とともに観光というもののあり方もずいぶん変わっているはずですので、その観光マーケット全体の中での女性の労働力の変化とか、あるいは女性の労働力がもたらす観光集客への効果、つまり相関性など、結論までいかなくても、その前段階のデータというのはまだ取られてないということでよろしいのでしょうか。
観光庁
旅行される方の割合がどれぐらいかというデータは今申し上げました宿泊数のデータしか把握しておりません。受入れ側の旅館でありますとかホテルの割合というのは先ほど申し上げたとおりで いますが、従来から多いパターンではないかというふうに思っております。
 観光を進めていく上で、女性の視点はもちろん先生御指摘のとおり非常に大切だと思っておりますけれども、そういう意味では、具体的に数値的にその連関性ということで分析しているということはございません。
帯野委員
なかなか難しいなと思いながら、御質問させていただきました。観光というものが産業界の中でも政府の中でも今まで余り明確にとらえられていなかったということで、過去におけるデータ分析は難しいということは理解しております。ただ、今後、マーケティング、観光戦略を書く上で、統計というのは大切になりますので、その中で女性というものを意識してデータを取っていただきたい。そのデータを基に分析して、観光業界で女性にどのような可能性があるのか、そこは私たちこの委員会からの視点でお願いしたいし、一般的な観光振興のためにも女性の動向というのはとらえるべきではないかと思いますので、是非お願いしたいということです。
 それから、観光業界の中では、先ほど申しましたように、おかみさんという狭義のとらえ方ではなくて、いろいろな地域で新しいビジネスが展開されていると思います。お土産屋、旅館、ホテルだけではなくて、あらゆるところで新規ビジネスが生まれているはずなので、そういうところも観光庁の方で是非調べていただきたい。そういうデータなどを取るのが難しければ、全国の中で幾つかのモデル地域でも構わないと思いますし、正確な数でなくてもいいので、経年変化ですね。直接取るのが難しければ、例えば大学に委託するとか、地域のNPOと一体になって行うということでも良いので。是非、数値の分析、それからどういうビジネスが展開されているか、ケースを調べていただいて、そういう情報を共有する場をつくっていただけたら。その先に、そういうビジネスモデルを発展させるような政策が何か書けないか、それが私がここに書きました質問の中の7あるいは8の主旨です。そういうことも含めまして、今後、調査をお願いしたいということで終わらせていただきたいと思います。
羽入会長
どうぞ。
観光庁
先ほど申し上げましたのは、もうかつてやっていた観光立国推進戦略会議の方でございますけれども、それはお二人ですけれども、全体で10人弱ぐらいですね。
羽入会長
ありがとうございます。それでは観光庁の方、どうもありがとうございました。
 引き続きフォローアップを進めてまいりますが、ヒアリングの時間の目安を配付してございますので、それに沿って進めていきたいと思います。
 まず、関係省庁から配付資料でございます「男女共同参画基本計画に関する施策の評価等について」に基づいて説明をいただき、それから委員の皆様から事前にいただいた質問に合わせて回答していただくということにしたいと思います。まず、基本計画第6分野の高齢者分野について、厚生労働省から御報告をお願いいたします。
厚生労働省
それでは、厚生労働省雇用均等児童家庭局総務課の堀井と申します。座って恐縮ですが、よろしくお願いいたします。
 私から基本計画6分野の部分について御説明をさせていただきますが、今日、かなり大部な資料が配付をされておるようでございますけれども、基本的にこういった様式の横型の資料につきましては既に厚生労働省が関係する分野についてやっている施策を網羅的に書かせていただいておりまして、もう一点、内閣府さんからの御依頼で、この縦長の様式にという形のものがあるかと思います。こちらは、この横長の資料よりもピンポイントで最近の動きでございますとかそういったことをまとめさせていただいておるものでございますので、私からこの様式の2の中のポイントについて御説明をし、かつ、お忙しい先生方、あらかじめ資料にお目通しいただいて御質問をいただいたということで、その回答をさせていただくという流れでさせていただきたいと思います。
 それで、まず、こちらの縦長の様式2の右上に[資料2-(2)厚生労働省作成]と書いてある、施策名としましては「高齢者が安心して暮らせる介護体制の構築」、この資料を合わせてごらんいただきたいと思います。
 まず、この分野に関してでございますが、1.主な施策の取組状況及び評価のところですけれども、これはいろいろ新聞報道等でも昨今の厳しい景気の状況、そして介護人材の不足に関していろいろ報道されましたので、既に御案内の委員の方々もいらっしゃるかもしれませんが、まず1つ目の括弧のところで[介護にかかる人材の確保]の部分で介護報酬の内容を記載してございます。21年4月からの介護報酬改定におきましてはプラス3%の報酬改定を実施をいたしまして、例えばこの内容では負担の大きな業務への評価でございますとか、専門性の評価、介護従事者の定着促進、こういった内容を勘案した対応をしておるところでございます。
 また、次の○でございますけれども、更にこの報酬改定に加えまして、平成21年度の補正予算におきまして、介護職員、これは常勤換算になりますが1人当たり月1.5 万円に相当にする規模の介護職員処遇改善交付金というものを創設をいたしたところでございます。これは今、立ち上がったところでございますが、22年度以降2年目となる時期にはキャリアパスに関する要件なども加えて実施をしたいということで考えております。したがいまして、2の今後の方向性、検討などに関しましては、このまず介護報酬改定前後の状況を具体的に賃金などについて実施調査をしましてフォローしていくことを考えております。
 また、もう一つの介護職員処遇改善交付金、これらは23年度までという基金でございますので、24年度以降は具体的に処遇改善の状況ですとか、介護事業者の経営実態を見ながら、制度の見直し、介護報酬の改定、そういう介護保険制度全体の中での対応ということで考えていくということでおります。
 そして、早口で恐縮ですが、事前にいただいた御質問についてでございます。
 まず、こちらの質問表のナンバー1ということで、五條委員からいただいた質問で、詳細な質問の内容につきましては、右側の質問内容をごらんいただきまして、私からの説明は省かせていただきますが、こちらにつきまして、御質問内容にありますように、例えば高齢者のみの世帯における女性の状況を踏まえた健康支援方策ですとか、農林水産省などとの連携に基づいて実施というふうなダイレクトな形で私どもとして予算化あるいは事業化して実施をしている事業はございません。
 しかしながら、この御質問の基本的な考え方に流れていると思われます高齢者女性の健康支援対策ということにつきましては、監視・影響の調査報告書、高齢者の自立した生活に対する支援に関する監視・影響調査の報告書の中にもありますように、私どもとしましてもいろいろな取組を行っておりまして、要介護状態になることを予防するための支援でございますとか、生活習慣病に着目した健康診断などの実施、あるいは骨粗鬆症の予防対策の推進と、こういったことで実施をしておるところでございます。
 また、健康確保対策ということで申し上げれば、健康増進法という法律に基づきまして健康増進事業という中身で、例えば具体的には健康手帳の交付でございますとか、健康相談ということを行っていまして、平成21年度から、この健康手帳に記載する項目ということで、地域の実情に応じて、女性の健康づくりに関する事項を設けることができるようなというふうな対応をしております。
 また健康相談の重点課題ということで、女性の健康ということを追加をしているところでもございます。また、これは個人的な見解ですが、政府の中の役所で男女共同参画推進本部なども設置して横断的にできることはやろうということで、連絡会議なども内閣府さんが主催してやっておられますので、そういう場を活用して、例えば私ども厚生労働省の施策をいろいろな各省の関係者の方に周知をしていただくとか、こういうこともやってもいいのではないかというふうに考えております。
 次にいただいた御質問の関係でございますが、No.2の袖井委員からいただいた質問でございます。老人クラブの関係の御質問でございます。これは基本的に老人クラブにつきましては、今の状況ですが、今、数としては約12万のクラブがございます。そして、会員数は約762 万人ということで、これは60歳以上人口のうちの約21%に相当する人数というとでございます。それで、活動の中身としましては、基本的に健康、友愛、奉仕という3大運動を中心に、これまでの豊富な人生経験ですとか、知識・技能を生かして生きがいと健康づくりのための社会活動を地域で支え合う基盤づくりを展開するための、高齢者の方々の自主的な組織という形になっております。
 それで、細かい事業もいろいろやっておるんですが、時間がかなり押しているようでございますので、詳細は省かせていただきますけれども、このような一定程度の人数がいらっしゃる組織ということもありますので、厚生労働省としては、一定の支援を継続していくことは必要かなというふうには考えております。
 一方、袖井委員からの問題意識の方で、例えばNPO活動などの地域活動への関心が高いということもござまいしたが、こちらはちょっと時間の関係もありますので、後ほどお目通しいただければと思うんですけれども、この横長の表の方の資料7の3ページの一番下の○のところに、例えば、これは厚生労働省の施策なんですけれども、退職後において雇用・就業の創出が期待される地域貢献活動分野に、団塊世代等が自らの経験を生かして円滑に就業できるようにNPO法人などに体験訓練、相談、情報提供の実施をお願いしてモデル的に展開しているという事業があります。したがいまして、いろいろな形で今後ますます多様化が、高齢化社会になって、その中でも進んでいくということになると、いろんな観点の施策の展開が必要であるのかなと考えております。
 続きまして、いただきました質問で3番です。これは潮谷委員からいただいた御質問でございます。高齢者雇用安定法に関する質問でございまして、私どもがお出しした横長のこちらの資料には企業の割合しか書いてございませんでしたので、その具体的な数字をという御示唆でございました。それで、この数字につきましては、高齢者の雇用確保法に基づきまして、高齢者の雇用確保措置が義務づけられた平成18年度以降の実際のその措置を実施した企業の数についてということになるんですが、まず平成18年度の数が6万8,324 件、そして平成19年度が8万1,762 件、そして平成20年度が9万351 件、このような数字になっております。この数字がそれぞれ全体の企業件数の、報告件数の何%かという数字につきましては資料の中にありますように、18年度が84%、19年度が92.7%、20年度が96.2%という数字でございましたので、御報告をさせていただきます。
 そして、男女別の数と職種というお尋ねがあって調べてみたんですが、これはもともと企業から報告をいただいて、その数字を今、紹介をさせていただきまして、企業に御報告をお願いする内容に男女別の数というのを私どもはお願いをしていないものですから、この統計では取れませんでした。それでちょっと違う数字にはなるんですけれども、労働力調査の中で男女別の就業率の、この18年度以降の推移を見ていますと、この高齢者雇用確保措置が義務化された18年度以降、そんなに大きい数字ではないんですが、就業者数と就業者率がほぼ上昇傾向にあるとみていいのではないかと。具体的に例えば60~64歳までの層で、平成18年の就業率が男性が67.1で女性が39というパーセンテージでございましたが、これが20年の平均では男性が72.5で女性が42.5という形になっておるところでございます。
 そして、続きまして、御質問の4の部分でございます。これも潮谷委員からいただきました育児・介護休業法の関係で集団指導という言葉の意味についてのお尋ねです。これは私ども具体的に各都道府県労働局の雇用均等室で実務をやるときの中の使い方のような言葉で、そういう意味ではちょっとわかりにくい言葉を書いてしまって恐縮でございましたが、具体的には通常、個々の事業所に対して、この法律を施行するために指導するというのが個別の指導になるわけです。
 ただ、例えばある企業に共通して見られるようなこと、例えば中小企業などが育児休業の規定を整備をしなければいけないけれども遅れが見られるなど、そういう共通の問題を有する企業を複数集めて、その複数の事業所を対象にそういう場を活用して効果的に行政指導を行うというやり方もやっております。ここの集団指導というのはそのことを指して申し上げたところでございます。
 そして、続きまして、こちらの高齢者の関係のフォローアップの御質問で、私どもからの御回答で最後の御質問になるんですが、番号でいいますとNo.14の、これは伊藤委員からの御質問でございます。介護休業の取得の割合が低いという御質問でございました。それで、これは伊藤委員、育児休業と比較して御指摘があったのかと思います。育児休業も介護休業もデータとしましては雇用均等基本調査という統計を使っております。ただ、育児休業の場合は分母となる人が例えば女性でいいますと出産をした、男性でいいますと配偶者が出産したというのを分母に置いて、分子はその育児休業を取得した者ということをやっているんですが、介護休業の場合は、介護を必要とする家族がいるかどうかは会社が必ずしも把握しておりませんので、全労働者を分母に置いているという状況になっています。したがいまして、非常に薄まってしまって取得割合が低いという形になっている結果でございます。
 一方、介護休業については雇用保険の制度の中で介護休業給付というのが出ておりまして、その取得者の数の推移を見てみますと、例えば男女込みですが、平成16年度では、この介護休業給付の受給者が4,986 人ということになっていますが、年々増加傾向にありまして、平成20年度では7,727 人ということになっています。したがって、まだ取得の割合は低いんですが、割合だけで一喜一憂ということではなくて、人数的には徐々に増えている。しかしながら、一層の周知について努力をしていかなければいかなければいけないというところはやはり残るかなというふうに考えております。
 いつも本当に駆け足で申し訳ないんですが、以上です。
羽入会長
ありがとうございます。それでは、続きまして、監視・影響調査報告書について、まず内閣府から御説明をお願いいたします。
内閣府
私の方から資料8-1に従って御説明をさせていただきます。まず、高齢者の自立した生活に対する支援についてのうち、高齢男女の就業促進と社会参画でございますけれども、内閣府の高齢者対策における役割というのは高齢社会対策基本法及び高齢者社会対策大綱を所管しておりまして、それに従って、関係省庁の相互調整を図るというのが役割でございます。ただ、社会参画の関係については直接に幾つかの事業をやっておりまして、それについて御説明いたします。
 資料8-1の参考に、こういう横長の表裏の1枚の資料を付けておりますので、そちらをごらんいただけますでしょうか。高齢者の地域活動の参加を促進していくことは非常に今後重要であるというふうに考えておりまして、特にこれから団塊世代に、それから団塊世代がちょうど60代に入ってきたということで、そういった方々をいかに地域活動に参加させて、むしろその高齢者自身に高齢社会を支えていっていただくことが重要であるというふうに考えております。
 そういったことを念頭に置きまして、1つは私どもの方で高齢社会フォーラムというのをやっております。これは一般的に社会参加しましょうという呼びかけだけではなくて、もっと地域でNPOなりボランティア団体を引っ張っていただくような、そういう意識の比較的高い方を対象にして、そういう方の事例発表を中心にデイスカッションをしていただく、各地にそれを持って帰っていただいて、活動に反映させていただくというねらいでやっていまして、これまで東京1か所でやっていたのを今年度から2か所の開催に増やしました。これで約200 人程度の方が御参加をいただいております。今年度は東京のほか、あと福岡でも開催をいたしました。
 2つ目といたしまして、その裏側にありますけれども、エイジレス・ライフ実践者及び社会参加活動事例の紹介事業というのをやっております。これは年齢にかかわらず、いろいろな活動で御活躍なさっている高齢者の方を、表彰という言葉は使っていないんですけれども、顕彰し、またその事例を紹介するということで、皆様の参考にしていただくという活動をいたしております。平成元年度から始めておりまして、これまで延べ807 人の個人の方と、あと434 団体の方を御紹介をいたしております。
 この事例は地方自治体ですとか関連の団体から御推薦をいただいておりますけれども、その際には極力女性の事例を掘り起こしていただきたいということでお願いをいたしておりまして、このエイジレス・ライフ実践者、個人の事例で申しますと。21と、21年度は47人中18人の方が女性の事例でございました。
 続きまして、資料8-1の1、2ページ目。高齢者の経済的自立を進めるための制度・環境の整備ということで、ワーク・ライフ・バランスの推進について御説明をさせていただきます。
 ワーク・ライフ・バランスについては平成19年の12月に官民が合同で「仕事と生活の調和憲章と行動指針」というものを策定いたしまして、それに基づいて現在、関係省庁が一体となって施策を推進しているところでございます。連携推進・評価部会というものを頻繁に開催いたしまして、それぞれが何をやっていくかということを相談しながら進めているわけでございますけれども、施策を具体的に進めているということもございますが、1つの成果として今年初めてワーク・ライフ・バランス・レポートというものをまとめました。これからも毎年こういった形で、今、何をそれぞれの主体が取り組んでいて、どこまで成果が上がっているかということを御報告していきたいと思っております。
 この進め方の特徴として憲章、行動指針で数字目標を定めておりまして、それを3ページに載せておりますが、14個指標がございます。例えば育児休業の取得率ですとか、高齢者男女の就業率、あと、フリーターの数といったものを指標に挙げております。こういった指標を見ますと、ちょっと時点やデータの関係でばらばらですけれども、総体として14のうち10は改善の方向にあるということで、まだまだ進めていかないといけない点がたくさんございますけれども、概ねトレンドとしては一応進んでいるのかなという評価をいたしております。
 内閣府として特に力を入れておりますのは、先ほどのレポートの作成ですとか、あるいは国民運動しての広がりを持たせたいということで、「カエル!ジャパン」というキャンペーンをしておりまして、これは企業だけではなく広く個人の方にも御参加いただける活動ということで、現在、1,410の個人、企業の方が御登録をいただいて、取組をしていただいているところでございます。
 以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。それでは同じ報告書に関係して、厚生労働省から御説明を続けていただきます。お願いいたします。
厚生労働省
それでは、今、ごらんいただいております。右肩に資料8と書いてございます資料の最後のページ(4)のところをお開きいただければと思います。高齢者向けのジョブ・カードということで紹介をさせていただいておりますが、横長の資料5の方にもジョブ・カード制度の概要ですとか実績等については紹介をさせていただいていますが、特に高齢者の持つ多様な職務経歴を記載をすることが可能になるように、これはまた別の法律なんですけれども、高年齢者雇用安定法に基づいて求職活動を支援しようというふうな形で活用することもできる様式を新たに作成をしたということを御紹介させていただいております。
 したがいまして、その様式は通常のジョブ・カードの様式があるんですが、特に高齢者の方はいろんな職務経験を持っているという方が多いので、そういうのをきちっとPRできるような形の、違う形にしておりますので、こういったものを活用して再就職ができるような普及を進めていきたいというのを1つ考えておるところでございます。
 そして、次のページでございますが。こちらの施策としましては、家庭・地域における支え合いの下での生活自立に向けた取組という中で、1の中で、まず、地域福祉と推進特別支援事業というものを紹介をさせております。これは各いろいろな地域におきまして、支援を必要とする人々に対する措置ということでございまして、一定の形での助成をしておるところでございます。実施主体は市区町村というふうな形になっております。
 そして、次のところで、高年齢者虐待防止と早期退院に向けた対策の推進ということで記載をさせていただいております。高齢者の虐待の防止法につきましては、今、法律に基づきまして、さまざまな取組を行っておるところでございますけれども、特に高齢者の虐待相談等、窓口の設置・周知につきましては、20年10月現在の調査でほぼ100 %の市町村において体制が整っているという状況でございます。具体的には99.2%のところで実施済みということで、18年時点の調査で67.3%でございましたが、極めて伸びてきているというふうに考えております。
 また、高齢者の権利擁護等推進事業という形で紹介をさせていただいておりますが、これは各都道府県が実施する介護施設、サービス事業従事者に対する研修ですとか、あるいは権利擁護に関する専門的な相談体制、虐待防止ネットワークの構築などの支援というのを内容にしております。
 また、各地域に地域包括支援センターを設けておりますが、こういったところでの虐待の防止ですとか、早期発見のための事業、そして権利擁護のための事業、こういったものを展開をしていくということで考えております。今後も引き続き、こういった取組は地道に定着をしていくようにということで考えております。また、地域福祉を活性化する体制ということで、いろいろな小さな活動拠点、こういったところの活動はとにかく非常に重要でございますので、そういうことについての展開を考えておるところでございます。
 そして、この関係で、厚生労働省に事前に御質問をいただいておりまして、こちらの先ほどの質問表の番号で申し上げるとNo.6になります。袖井委員からいただいた質問でございます。介護人材の関係でございますが、先ほどいろいろ介護報酬改定でございますとか基金の施策を紹介させていただきましたけれども、賃金アップばかりが議論されるが、キャリアを図れないことも離職率の高さにつながるのではないかという内容でございます。
 それで、1つ関係する調査を御紹介をさせていただきますと、介護労働安定センターが実施した平成20年度の調査なんですが、まず働く人と、それを働いてもらっている人、両方サイドを見たもので、まず事業者側の認識としては、介護職員の早期の離職の防止ですとか、定着促進のために社内研修の実施などの能力開発の仕組みは必要だというふうに考えている方が約41%いらっしゃるという結果が出ております。また、一方、働いている職員側の方の意識としましても、働く上での悩み、不安、不満を解消するという上で、介護能力の向上に向けた研修というのは有効だということで回答された方が約44%いらっしゃるということになります。他方、ではこの職員側の方で現状研修が十分に行われているかという回答をした方が約29%ということで、この辺りの差を埋めていくという必要はあるのかなというふうに考えています。したがいまして、御指摘のように、能力開発ということもありますし、更にはその先を見越した介護人材のキャリアアップということも非常に重要だというふうに私どもとして認識をしています。 それで、具体的にどのようなことを考えているかという御質問なんですが、まず年内を目途に介護職員のキャリアパスに関する懇談会というのを今開催しておりまして、これは介護事業者の団体ですとか有識者の方にお集まりいただいて、具体的にはその団体の方からキャリアパスに関する現状の取組状況や介護の現場における課題について意見交換をしていただいたり、あるいは懇談会の開催以降、介護事業者団体からキャリアパスモデルを提供していただいて、そういったものを全国の介護事業者の方に提供する、情報を提供するということをしようかということで考えておるところでございます。
 そして、続きまして、次にいただいた御質問でございますが、11番で、これも袖井委員からいただいた御質問でございます。シルバー人材センターの関係でございます。まず、利用者の男女比ということで、数字を申し上げますが、平成21年3月31日現在の会員数でございますけれども、76万4,162 人ということになっております。それで、この中の男女比の内訳ですが、比率から申し上げますと、男性が66.7%、女性が33.3%ということで、人数で申し上げますと、男性が50万9,408 人、女性が25万4.754 人ということになっております。確かに比率ということでは女性の方の割合が少なくてという状況になっております。
 それで、シルバー人材センター自体、事業の趣旨としましては、定年退職後、臨時的、短期的あるいは軽易な就業を希望する方に対して、その地域社会の日常生活に密着した形で仕事を確保して、そしてそれを提供する。そして、ニーズが多様化している特に高齢者の方の就業実態に合わせた就業機会の拡大ですとか、生きがいづくりということをやっておりますので、これは当然のことながら、男性・女性含めて女性の方にも参画をしていきたいというふうに考えています。
 そういったことで、御質問の問題意識につながるかと思うんですか、女性職員の、女性会員の職域の拡大のために、女性が魅力的に感じる就業先の開拓をやったり、あるいは就業に関する相談などを行う女性就業拡大推進員を配置をするとしました。それで、これはタイムリーな御質問だったんですが、ちょうど平成21年度から実施ということでまだこれから実際には活躍していただくということになろうかと思うんですが、そういうことで、現在3割程度という会員をもっと活用していきたいというふうに考えております。
 それで、御質問の中にシルバー人材センターの事務局職員の男女比ということもあったんですが、大変申し訳ないんですが、この数字については把握をしていないということでございます。
 そして、続きまして、これは潮谷委員からいただいた御質問です。12番の関係でございます。それで、消費税財源の年金、最低保障年金についての今後の制度設計についての御質問でございます。それで、結論から申し上げますと、具体的には本当にこれからということになっていまして、今、この場で紹介をできるような内容がないんですが、ただ、この点に関しまして民主党のマニフェストの中では以下のようなことが書いてあります。
 まず、年金制度を例外なく一元化し、すべての人が所得が同じなら同じ保険料を負担する。納めた保険料をもとに受給額を計算する所得比例年金を創設する。そして、消費税を財源とする月額7万円の最低保障年金を創設する。所得比例年金を一定額以上受給できる人には最低保障年金を減額するという、それを骨格とする法律を平成25年に成立させることをお示ししたという状況になっています。したがいまして、いろんな現行制度につきましても、今後新制度との整合性も図りながら必要な方策の検討などやっていくということで、成案ができたものから取り組んでいくということになろうかと思います。
 それで、いただいた御質問の中で[3]ということで、社会保障費総額に占める年金の増大の比率ということでいただいております。それで、現行の年金制度についてなんですが、平成16年の制度改正で、将来の保険料水準を規定をするということと、それからマクロ経済スライドと、具体的には負担の範囲内で給付水準を自動的に調節する仕組み、これを設けたという状況です。
 それで、前のデータになるんですが、社会保障給付金の将来見通しということで、全体の中で例えば年金・医療・福祉について、それぞれの割合がどうなるかというのを算出をしまして、19年の実績でいいますと、社会保障全体総額の中で年金が52.8%という形になっていたんですが、その時点の推計では27年度が5.09%、そして37年度が46.1%ということで、必ずしもここの時点では、むしろ医療ですとか福祉の比重が高まるということもあって、御懸念のようなところはなかったというわけです。
 しかしながら、いずれにしても高齢化がこれから進行していくという中で、きっちりと安心して暮らせる社会保障制度を構築することのためにどういう形でやっていくかということで、連立政権合意ですとかマニフェストとかこういったことも踏まえながら、そして財源をきちんと確保しながらやっていくということで考えておるところでございます。
 駆け足でございますが、私から以上です。
羽入会長
それから厚生労働省は公務で途中退席をなさるということで、調査報告書の生涯学習支援策についての御説明をお願いすることになっておりますが。
厚生労働省
大変失礼しました。それでは、資料でいいますと、資料6ということで、右肩に番号を振ってあるこの様式2の一番最後の(3)の厚生労働省作成というところをお開きいただければと思います。こちらにつきましては、すみません。先ほどと順序が逆になったような感じですが。ジョブ・カード制度の記載をされていますが、その具体的な多様な選択を可能にする能力開発、生涯学習ということで、雇用形態に中立的な職業能力開発機会の確保ということで、今、こちらに書かせていただいておりますように、非正規雇用者等の職業能力形成機会に恵まれない方などを中心として具体的にはキャリア・コンサルティングを通じた意識啓発や課題を明確化した上で企業実習と座学、この組み合わせで実践的な職業訓練の機会を提供するということをやっております。これを企業からの評価結果や職務経歴等をにジョブ・カードということでまとめているという状況です。
 それで、こちらは20年の4月から実施をしているという状況で、21年8月末までの取得状況の数字をこちらに書いておりますが、カードの取得者自体は約12.7万人ということで、訓練の受講者が約6.1 万人ということになっています。また、教育訓練給付というのが雇用保険制度にございまして、こちらもちょっと前の改正になりますが、要件緩和ですとか給付率上限の一本化などで使いやすいような形にしておるところでございます。教育訓練給付の実績などについては下の参考データのところをごらんいただければと思います。
 以上です。大変失礼しました。
羽入会長
この点はまた後ほど議論はしたいと思います。もう一つだけ、袖井委員からの御質問、成年後見制度について法務省からの御回答をお願いいたします。
法務省
それでは法務省でございます。成年後見制度の利用につきまして御質問がありましたので、若干御説明をさせていただきます。成年後見制度は認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力の不十分な方々を保護・支援するための重要な制度であります。広く利用されるべきものであります。
 法務省といたしましても、これまで成年後見制度の周知を図り、広くこの制度が利用されるよう取り組んできたところでございます。具体的に申し上げますと、まずホームページへの掲載を行っているほか、毎年度制度広報用パンフレットの印刷・配布を行っております。パンフレット配布につきましては、制度利用を必要とされる方々に情報が到達するよう、まず法務局、地方法務局の窓口に備えつけるほか、社会福祉関係者等で構成する団体であります社会福祉協議会ですとか、社会福祉士会、また制度利用の対象となり得る方ですとか、その家族の方々で構成されます老人クラブですとか、認知症・障害者等の家族会などに広く配布をしておるところでございます。また、市町村におきましても、戸籍窓口等に備えつけていただくよう依頼し、配布をしております。
 更に、成年後見制度一般につきましては、法務省民事局参事官室、各市町村の地域包括支援センター、全国の弁護士会や司法書士会、また全国の社会福祉協議会、日本社会福祉士会等におきまして、問い合わせを受け付けているほか、日本司法支援センターいわゆる法テラスでございますが、におきましてもコールセンターを設け、成年後見制度一般の紛争解決のための諸制度、適切な相談窓口等を紹介しておるところでございます。なお、成年後見制度を利用するための申立ての手続等に関する案内につきましては、全国の家庭裁判所において受けられるようになっておると承知をしております。
 また、成年後見制度の広報・普及に関しましては、市町村でも地域の実情に応じた取組がされているものと承知をしております。このような市町村が行う成年後見制度の利用を支援する事業に対しましては、厚生労働省が成年後見制度利用支援事業として国庫補助を行っているということも承知をしておるところでございます。
 このような周知活動を行っておるわけでございますが、成年後見制度の利用状況ということになりますと、最高裁判所の統計資料によりますと、成年後見関係事件の家庭裁判所への申立て件数は制度の運用を開始した平成12年度におきましては9,007 件でありましたところ、平成20年度におきましては2万6,459 件ということで、当初と比べますと、約2.9 倍ということになりますが、大幅に増加しているものと承知をしております。
 法務省といたしましては、今後も成年後見制度一般について幅広く周知をすることはもちろん、その周知方法につきましても改善に努めてまいりたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
羽入会長
それでは、これまでの各省からの御説明に対して委員の方から御質問、御意見、どうぞ。伊藤委員。
伊藤委員
先ほどの介護休業の件なんですけれども、分母が全労働者というのはわかったんですが、ただ実感として7,000 人台というのはちょっと少ないというふうに思うんです。介護を必要としている勤労者に対する調査であるとか、取得者に対するフォローアップというのはやっておられるのかどうかということをお聞きしたいと思います。実は大学で介護休養をどうやって制度化するかと悩んでいるところもありまして、ちょっとお聞きしたいなと思ったんです。
羽入会長
では、お願いします。
厚生労働省
今の御質問の点で、確かに先ほど介護休業給付の数字を御紹介をさせていただきましたけれども、やはり育児休業給付を受け取っている取得者数と比較すると桁が違うという状況になっております。それで、ただ、伸びていることは伸びつつあるので、今後という話はあるかもしれません。
 それで、今、伊藤委員からいただいた御質問の関係で、確かに介護をしながら働き続けたいといったニーズがあるのではないかということで、ちょうど先般改正した育児・介護休業法におきまして、今、その介護休業というのは本格的な介護に至る前の一定程度の見極めのための期間ではあるんですが、さはさりながらその見極めよりももっと短い例えば病院の付き添いとか、そういうところにも使えるようなというお声もあったので、一日単位で取得できる5日間程度の休暇制度を設けるという対応をしたところでございます。
 ただ、今後はまた更に高齢化が進んで非常に必要になってくる部分があると思いますので、それは私どもの厚生労働省として介護保険制度全体を守っている制度ですので、両方を使いやすいようにという観点も見ながら取り組んでいきたいというふうに考えています。
 以上です。
伊藤委員
ありがとうございます。
羽入会長
佐藤委員、どうぞ。
佐藤委員
介護休業が育児休業と違って難しいのは、育児休業はできるだけお子さんが生まれたら育児休業取って子育てに参加しくださいと。でも、介護休業はできればとらない方がいいわけですね。取っても、社会的資源をうまく利用してできるだけ早く復帰する方がいいと、そういう仕組みなので、ですから、増えればいいのかということはなかなか難しい。取る必要のある人が取れるということが大事。
 あともう一つは、さっきの御説明、今まではまず有給休暇をまず取るというのが結構多かったんです。ですから、表に出てこなかった。今度は無給ですから、入りましてもかなりかぶっている。もう一つはそれこそ実態がよくわからないので、厚生労働省で委託研究を今年やることになっていますので、その結果が出れば多少出てくると思います。
岡本委員
今のお話に絡んでなんですが、実際には介護のために退職をする方が非常に多いというデータをお持ちだと思います。そこの問題を解決していかなくてはいけないというふうに思いますし、それから、介護の休職を取れる家族の範囲というものが、今は子どもが親を看る、または親が子どもを看る、または配偶者を看るということでの範囲で、法律上はなっているわけですね。実際には核家族化であったり、同じようなことですが単身が増えたり、また非婚化というような状況の中で、今の家族のあり方というんでしょうか、これまで考えられてきた家族の範囲ということをもう一度きちんと議論をしていかないといけないのではないかと思っています。
 私がそのことを思うのは、例えば配偶者の親であれば扶養していなくても、同居していなくても介護休業は取れるわけですけれども、兄弟・姉妹の場合は同居かつ扶養をしていなければ取れないというようなことで、まさに非婚化、単身化の中でそういった範囲でいいんだろうかということを非常に強く思っています。これは意見として申し上げておきます。
厚生労働省
ありがとうございます。今、お二人の委員から御意見ですとかいろいろ補足をいただきましたが、育児・介護休業法自体は既に御案内のように最低限の基準というイメージがございます。つまりその基準は必ず守らなければいけない。したがいまして、各企業がそれぞれの企業の実態に合わせて上増しをしたりそういった形というのはもちろん可能であると思います。これは育児・介護休業法のみならずすべての法制度に言えることだと思うんですが、確かに世の中の状況ですとかニーズに合わせて、その要件が果たしていいのかどうかというのは時々の状況でいろいろ見直しをしていくということはあり得るのかなということがあります。
 そして、更に介護休業の関係でいいますと、介護と育児の決定的な違い、幾つかありますが、育児の場合はある程度子どもが成長していくにしたがって、何年経てば例えば学校に入る、何年経てば中学校へ入る、そういう目安が立ちますけれども、介護はなかなかそうはならない。そういったところが一部難しいところでもあります。いずれにしましても、介護保険制度も私どもが持っていますので、全体としてどういう形にするのが労働者の就業の継続などにいいかというところについてはいろいろ御意見を伺いながらやっていてきたいというふうに思います。
羽入会長
更に御意見・御質問いかがですか。
住田委員
介護とかその他とか、今、大きな問題がたくさんございまして、そのための各省のいろんな施策があることはわかるんですけれども、先ほどの先般の事業仕分けのように、どの程度実効性のあることをやっているかということを問われるという時代になってきたと思います。そういう意味では、こういうところで窓口でこういうものをやっています、研修をこうしていますというより、どういう研修をやって、そしてそれがどのような意味があったか、そして、それがそのような制度の利用にどのようにつながったかと、費用対効果というとちょっと性急に過ぎると思いますけれども、やはり意味のある、よかったものについての成功事例的なものをお示しをされて、地域の実情として、この地域でこのようなことをやったからこういう形につながったというような、そういうようなアイデアを、国で集約されて、あちらこちらに情報交換できるような、そういう場としていただきたい。もう政策の羅列という時代ではなくなったのではないかなという気がいたします。
羽入会長
ありがとうございました。厚生労働省、何かございますか。
厚生労働省
私どもを含め、内閣府はじめ全省庁として今の御意見についてはとらえていかなければいけない課題だと思います。それで、私ども、例えば雇用保険でやっている事業についてもPDCAサイクルなども中で回していて、なるべく目標もアウトプットではなくアウトカムというような取組をやっていますが、やはりそれが具体的な施策の効果としてどう結びついたかというところをよく見るようにという御指摘だと思いましたので、御指摘を受け止めさせていただきたいというふうに思います。
羽入会長
潮谷委員。
潮谷委員
お答えいただいた中で、実は高年齢者の雇用確保措置のことについてですが、この中で女性が非常に低いわけですね。やはり私はここの中から読み取っていかなければならないのは、1つは女性が現実に生活の困難というところでは男性よりも比率として高い状況の中にあるという現実があります。それからもう一つは女性が男性よりも長寿ということがあります。更に、女性はこれまでのこの年齢に達した方々はキャリアがなかなか形成できていないと、そういう状況もありますので、単にこの確保措置ということが、こういうふうに伸びていますということだけではなくて、そこの中に女性自体が非常に低くあるという原因ですね、そういったものが今日大変大事になってきますし、ほかの省庁におきましてもこの点はきちっと受け止めていかなければならない課題ではないかということを感じさせられたところでした。
 それから、袖井先生のところでのお答えで、介護のところがございましたんですけれども、私の大学も介護人材を養成をしているわけですけれど、現実に、このたび3%アップをいたしました報酬単価のアップ自体が一般的な就労状況と比較したときに決して高くない。それと、高校のレベルの中で福祉人材として大学を選びたい学生に対して高校の指導は、社会福祉の領域は非常にきつくて報酬も低くて行かない方がいいよというような指導がなされている状況の中にあります。やはり袖井先生もおっしゃっていらっしゃいますように、仕事のやりがい、ここら辺りのことも含めて、報酬とともに厚労省の方では大臣の約束の中で社会福祉人材の養成というのが法的にも位置づけられておりますので、是非お考えをいただきたい。そして、その一方の中で社会福祉士及び介護福祉士法の改正が行われました。ですから、これが質的にどのように担保していかれるのか、そこら辺りのことを含めて、今後とも是非フォローアップをよろしくお願いしたいと思います。
 それから、年金制度の質問についてであります、1つは時間軸とキセイドのというところ、「キ」のところが「既」が本当で、これはミスプリになっておりますので、御報告をさせていただきます。確かにこのたびのマニフェストの中では25年度までと法律の成立を言われております。しかし、この25年度までに解決しなければならない既に実行されている法律との関係というのは相当私は詰めていかなければ難しさがあるのではないかということを懸念をしております。それは今ここでどうこうということではなくて、懸念をしているということを申し添えさせていただきます。以上です。
厚生労働省
今、潮谷委員から幾つかいただいたことで、最後の点以外のところで申し上げますが、まず、女性の就業の非常に低いというのは、多分、最後に私が御紹介をした就業率の数字が男性と比較して低いという御指摘だと思います。それで、確かに女性の就労をめぐってはいろんな課題がありまして、率の問題もあるかもしれないんですが、いわゆるM字カーブとか、しかも本来的には継続就業をしたいという希望があってそういう状況になっていない。そういう課題はございます。結局、いろいろな答えを用意していくということが大事かなというふうに思っていまして、その家庭的責務との両立支援策で続けられるようにすると、そういったことがいろいろな賃金格差の問題ですとか管理職の数の問題ですとか、そういったことにも絡んでくる可能性もありと思いますし、いろいろなことをやっていきながら、更には雇用という形でないフレキシビリティの高い働き方をしたいと、そういうニーズも増えてくると思いますので、それはまた違うやり方をやっていきたいと思います。
 そして、介護人材の関係は確かにほかの職種と比べてまだまだではないかと。特にきつい厳しいというふうなお話がありました。それで、実際問題、介護の仕事に就いている方々に関して見ますと、非常にやりがいがあるということで一生懸命やってくださっているという方も非常に多くなっておりまして、厚生労働省としましても例えば11月11日を介護の日というふうに定めて、要は仕事の中身ですとか、やりがいですとか、介護の仕事のすばらしさを伝えるというふうにソフト面からの取組ということもやっています。そして、更には従事している本人だけではなくて、要はその介護を受けている方がそういうのをわかっていただくということで、今、御指摘があった社会福祉士及び介護福祉士法の改正もやって、教育内容の見直しをやり、要はその一人ひとりに向き合った介護のケアの推進という形で、ちょうどそれも緒につき始めたばかりで、やはりいろいろな利用者の方々の理解も得られるような介護を提供し、更にそういう仕事のやりがいも高め、先ほどお話したような介護報酬ですとか基金の取組につながっていくのかなというふうに考えております。
 以上です。
羽入会長
ありがとうございます。先ほど住田委員からも御発言がございましたけれども、私ども今度の基本計画、第3次を策定するに当たりまして、やはり具体的な実現が明らかになるような具体的な施策ができるような、そして効果が測定できるような形にしたいというふうに考えております。では、加えて、どうぞ。
坂本委員
すみません。質問の11番の袖井委員のところで、御回答になったシルバー人材センターの方に今、今年度からですか、女性の就業活動推進員さんを置かれる。これは大体シルバー人材センターの全体の中でどのぐらいの箇所で置かれているのか。それと、その女性の人材、就業というか雇用というのは33.3%とかなり低いと思うんです。何か具体的な目標数値の設定というのはなされているんでしょうか。
 実は、私の住んでいる新座市のシルバー人材センターはすごく活発に活動されているんですけれども、やはり女性が少ないんですね。今ここのところいろいろな御事情もあったりして、高齢でお一人になる女性がすごく増えている実感があります。大変お困りになっているところもありますので、具体的にここは早急に数値目標を掲げて広げていっていただきたいなと地域の感覚として思うところでありますので、ちょっと具体的に伺いたいと思います。
厚生労働省
すみません。後ろから失礼いたします。まず、今、御質問のありましたシルバー人材センターの女性就労拡大推進員でございますけれども、これについては各シルバー人材センターとの希望を取って配置しているところでございますが、今年度は現在はまだ70名強の配置となっております。それから、また今後の会員拡大、そして女性の比率向上ということでございますけれども、もちろん、今、推進配置しているように、女性の拡大も重点的にやっておりますけれども、会員全体ということでございますと、現在の76万人という会員、これをいつまでというふうに今定めているわけではないんですけれども100 万人まで持っていきたいというのが我々の目標値としております。やはり今後、高齢化が進む中、こういった就業形態、シルバーのような就業形態ももちろん必要と思っていますので、これについては非常に拡大していければなと思っております。特に女性についても現在3分の1ですので、女性の会員を伸ばすことが会員全体の拡充につながっていくのではないかというふうには考えております。よろしくお願いいたします。
羽入会長
ありがとうございます。ほかに御意見、よろしゅうございますでしょうか。
 それでは、法務省、厚生労働省の皆様、どうもありがとうございました。
 続きまして、第10分野の教育分野について。発表、御回答をいただきたいと思います。まず文部科学省からお願いいたします。
文部科学省
文部科学省男女共同参画学習課長でございます。委員の先生におかれましては、日ごろより御指導・御支援賜りまして誠にありがとうございます。
 それでは、資料4の10分野(1)「男女平等を推進する教育・学習」をご覧ください。
 まず、初等中等教育の充実について、学校教育では、学習指導要領に沿って男女の平等や男女相互の理解と協力の重要性についての指導を行っております。例えば、高等学校家庭科では家族・家庭の意義や社会とのかかわりについての学習をする際に、男女が協力して、家族の一員としての役割を果たし家庭を築くことの重要性について指導を行っているところでございます。その他、平成18年3月に政府において決定された「食育推進基本計画」等を踏まえ、「食育推進プラン」の充実を図っております。
 PTAの関係では、日本PTA全国協議会・全国高等学校PTA連合会・全国国公立幼稚園PTA連絡協議会の全国大会等などを通じ、男女の性別に関わりなく地域の様々な人材がPTA活動に参加することの重要性をあらゆる機会に周知しております。
 事前に御質問いただきました質問の7の潮谷委員から「幼稚園での教育、学習では、具体的にどう指導されているのか。男女平等は生命の始まりから教育的配慮が必要だということで、どう指導されているか」という御質問でございますが、幼稚園では、幼稚園教育要領に基づいて指導が行われており、男女平等の意識の基礎を養うため、例えば幼稚園教育要領の領域「人間関係」において、3点ございます。
 [1]友達と積極的にかかわりながら喜びや悲しみを共感し合う[2]自分の思ったことを相手に伝え、相手の思っていることに気付く[3]友達のよさに気付き、一緒に活動する楽しさを味わう、など性別にかかわらず、幼児一人一人の個性が尊重され、互いに認め合い、助け合うことについて指導をすることとしています。
 資料に戻りまして、高等教育の充実については、まず、女子学生が、特に理系に進む比率が低いということもあり、「女子中高生の理系進路選択支援事業」において、科学技術分野で活躍する女性研究者・技術者、大学生等と女子中高生の交流の機会の提供や実験教室、出前授業の実施等、女子中高生の理系進路選択を支援しています。
 平成18年の総合科学技術会議の決定では、女性研究者の活躍を拡大するための環境整備について意見具申されており、大学における女性研究者の参画を促進するよう、全国公私立大学に対して協力を要請しているところでございます。
 さらに、国立大学の女性研究者、女性教員の割合ですが、これは平成12年5月に国立大学協会の報告において、「平成22年までに女性教員の割合を20%に引き上げる」という達成目標を設定して以来、全国立大学法人への調査によりますと、女性教員の割合が向上しており、13年では7.6 %だったところ、年々向上して、20年では11.8%という数字になっております。一方、文部科学省が実施している学校基本調査によると、この国大協の調査と同様助教以上での数で平成21年の本武者の数字を見ますと、国立大学が12.2%と少し増えておりますが、全体の数としてはまだ少ない状況にあります。一方、私立大学では、21年は21.5%となっております。
 これに関連して、質問の8番の伊藤委員から「OECDのデータにおいて、大学型高等教育への日本の女性の進学率が著しく低いことについて、その背景をどのように考えているか。また、OECDにおける女性の高等教育への進学についての歴史的経過について整理をしてほしい」という御質問をいただきました。
 それにつきましては、本日、文科省資料を配付をさせていただきました。これは「図表で見る教育 OECDインディケータ(2009年版)」から抜粋をしたもので、2007年女性の大学型高等教育進学率は、日本はスイスと並んで40%となっており、委員御指摘のようにOECD各国平均に比べて低い状況になっています。
 なお、男女合わせた進学率では46%となっており、これもOECDの平均に比べると約10ポイント低くなっております。
 そして、歴史的な変遷ですが、これは2枚目の資料を見ていただきますと、女性の大学型高等教育進学率の変遷は、2007年は1998年と比べて13%ポイント伸びています。さらに、男女合わせた進学率も10%ポイント上昇しています。
 このOECD統計におきましては、高等教育を「大学型」と「非大学型」に分類をしており、非大学型高等教育プログラムは、通常、大学型高等教育よりも修業年限が短く、就職に直接結びつく、実践的、技術的及び職業技能に焦点を絞ったプログラムで、我が国の「短期大学」は、履修期間が短いために、この調査上非大学型高等教育に分類されております。この非大学型高等教育進学率については、資料の3枚目「女性の非大学型高等教育進学率(2007年)」をご覧いただきますと、OECD各国平均よりも高い数値になっており、我が国は38%でございます。
 データは以上ですが、御質問にありました「わが国における女性の大学型高等教育進学率が諸外国に比べまして低くなっている背景」というのは、なかなか一概には申し上げられないところがありますが、我が国では、男女合わせた全体の大学型高等教育の進学率が低くなっていること、及び先ほども見ていただきましたように非大学型高等教育の女性進学率が、諸外国よりも高くなっていることが要因ではないかと考えております。
 次に質問8の②「教育における男女別データ公表について、どこまで徹底して実行しているのか」という御質問ですが、全国学力・学習状況調査では、解答用紙に男女の記載欄はございます。ただ、これは解答用紙において個人が特定できないような形で調査を実施しているため、採点後にまた学校を通じて、個々の児童生徒に調査結果をフィードバックしていますが、そのときにきちんと各個人に返却できるように、個人票を各児童・生徒に正しく提供するということで、男女の性別や個人の番号などを書かせております。これは男女別で調査の結果を出すという目的ではなく、男女別の集計・公表は行っておりません。その点は御理解いただければと思っております。
 ほかに文部科学省の行っている男女別データを集計・公表している調査としては、学校基本調査が各学校種における園児、児童・生徒、学生の人数及び教員数や、高等学校等卒業者の男女別にみた主な産業別・職業別就職者数、大学等卒業後の状況についてデータを男女別に集計し公表しています。そのほか、学校教員統計調査、児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査、高等学校卒業(予定)者の就職(内定)状況調査など、学校基本調査と合わせて13の調査につきまして男女別のデータを公表しております。
 3つ目の「各国公私立大学の男女共同参画についての取組について現状を整理してほしい」という御質問すが、現在文科省で整理をしたものがございませんで、これは今まで、国立大学につきましては特に国立大学協会が定期的に各大学の男女共同参画の取組について調査をしておりますので、それを私どもは参考にさせていただいております。以上でございます。
 次に、質問の9の辻村委員から「大学における女性研究者の参画促進の協力要請を国公私立大学に対して行っているが、国立大学に対して実施したような調査は、私立大学に対しては行っていない。私立大学に対して調査等はできない、また、私立大学連盟等への要請もできないという判断か」という御質問です。まず、御指摘の国立大学の調査については、先ほど申しましたように、これは国立大学協会が行ったもので、文部科学省が行ったものではありません。男女共同参画の各大学の取組については、自主的に各大学で取り組み、進めていただくことを基本とさせていただいており、文部科学省としても、調査の在り方も含め、今後、各大学団体とも相談しながら、大学に対し、適切な働きかけなどを今後行ってまいりたいと考えているところでございます。
 次に、質問9の②「国大協の目標(平成22年までに20%)に比して、今11.8%で、「割合が向上している」と評価はしているけれども、この数値を改善する方策についてどのような判断をしているのか」と、あともう一つ関連する御質問として、質問10①「高等教育・学術分野における男女共同参画のために、日本学術会議では、科学者委員会男女共同参画分科会が調査や提言を行っているが、この内容をどのように評価し、対応しているか」という御質問でございます。
 これは、国公私立大学に通じました男女共同参画の推進に向けた方策については、男女共同参画基本計画等の理念を踏まえ、各大学の自主的な取組によって進められるものと認識しているところで、国立大学では法人評価を実施しておりますので、男女共同参画基本計画等を踏まえ平成20年度以降に係る国立大学法人の年度評価及び中期目標期間評価の実施にあたり、法人が取り組む必要のある最小限の共通事項の観点として、「男女共同参画の推進に向けた取組が行われているか」を新たに追加して、国立大学法人評価において積極的に評価することを明確にしているところです。
 また、平成21年度に実施した20年度の業務の実績に関する評価では、男女共同参画の推進に向けた取組を注目事項等として積極的に取り上げ、今推進をしているところでございます。以上でございます。 資料の2ページ目をご覧ください。社会教育の推進について、まず一つは男女共同参画の視点に立った家庭教育の推進ということで、これまで様々な家庭教育の支援に関する事業を行ってきており、例えば、父親の家庭教育への参加を促進するための事業、また「家庭教育支援チーム」を設置して、企業へ家庭教育出前講座などの学習機会、情報提供などを行っているところでございます。
 男女共同参画に関する学習機会の充実として、「女性のキャリア形成支援プラン」では、平成16年度から18年度まで、女性が社会で十分能力を発揮し、多様なキャリアを形成するための支援策等について調査研究を行いその成果を普及しており、また、「男女共同参画社会に向けた教育・学習支援に係る特別調査研究」では、女性のライフプランニングに関する意識形成等を促す学習プログラムの開発や、女性が地域おこし・まちづくりに参画するための学習支援の在り方等を検討しています。
 独立行政法人国立女性教育会館での推進について、女性関連施設や女性団体等の基幹的指導者に対する「女性関連施設、団体リーダーのための男女共同参画推進研修」を実施しています。また、「男女共同参画に関する統計の調査研究」を実施し、データブックを作成したり、「家庭教育・次世代育成支援のためのプログラムに関する調査研究」を行い、新たな支援プログラムを開発したりしています。さらに、「地域活性化に向けた男女共同参画推進に関する調査研究」において、男性の次世代育成支援活動への参画とその促進についての調査を行い、事例集などを作成しています。
 次に、教育関係者の意識啓発について、現在の2次計画に沿いまして、「社会的性別」(ジェンダー)に係る内容は、教育現場などに徹底要請をしています。
 教員養成課程においては、教員を志望する者に対し、日本国憲法の履修を義務づけ、この中で基本的人権についての認識を深めさせているところでございます。特に、独立行政法人教員研修センターでは、人権教育指導者養成研修を実施しております。また、国立女性教育会館では、大学等のキャリア教育担当者等を対象に、「女性のキャリア形成支援推進研修」を実施しております。
 続きまして、男女共同参画社会の形成に資する調査研究の充実については、先ほど御説明しました「女性のキャリア形成支援プラン」や「女性のライフプランニング支援総合推進事業」を行っており、独立行政法人国立女性教育会館においても、様々な女性の基幹的指導者を対象とした研修や、調査研究を実施しております。
 最後に、今後の方向性、検討課題等ですが、学校教育では、小・中・高等学校の新学習指導要領に基づき、引き続き児童生徒の発達段階に応じて、社会科、家庭科、道徳、特別活動等において、男女の平等や男女相互の理解と協力の重要性について指導していくことにしております。
 PTA活動では、引き続き、男女共同参画の重要性について周知を図り、また、家庭教育支援では、その取組の推進を図ってまいりたい。さらに、国立女性教育会館の調査研究及び研修の成果を全国の女性教育関連施設で活用して、一層の男女共同参画の推進を図るとともに、国立女性教育会館の調査研究及び研修、交流事業について高い評価を得られるよう引き続き充実を図っていきたいと考えております。
 続いて、(2)「多様な選択を可能にする教育・学習機会の充実」をご覧ください。生涯学習の推進について、各大学における社会人の学ぶ機会を増加させるため、社会人特別選抜、昼夜開講制、夜間大学院、公開講座を促進しているところでございます。放送大学や通信教育を行う大学・大学院において、時間・空間的な制約を受けない高等教育の機会の提供を推進しているところでございます。
 次に、学校施設の開放促進等ということで、これは平成16年度から放課後や週末等に小学校の余裕教室を活用して、子どもたちの安心・安全な活動拠点(居場所)を設け、地域の多様な方々の参画を得て、学習活動や様々な体験・交流活動等を推進する「地域子ども教室」を、また19年度からは「放課後子ども教室推進事業」を推進しております。
 続きまして、青少年の体験活動等の充実については、「豊かな体験活動推進事業」を推進しており、また、総務省・農水省と連携して、「子ども農山漁村交流プロジェクト」を実施しております。さらに、「地域ボランティア活動推進事業」において、地域におけるボランティア活動の全国展開を推進し、地域の教育力の再生を図るという事業などを行い、青少年の体験活動を、また青少年の育成を図るような取組を推進しているところでございます。
 次に7ページですが、民間教育事業との連携では、「生涯学習フェスティバル」を開催したり、高度情報通信ネットワーク社会に対応した教育の推進では、小・中・高等学校におきまして情報教育の推進をしいるところで、特に、新学習指導要領では、「情報モラルを身に付け」ることをそれぞれ新たに明記しております。
 7ページ最後のところのエンパワーメントのための女性教育・学習活動の充実についてですが、これは「専修学校を活用した再チャレンジ事業」や「再チャレンジのための学習支援システムの構築」等を通じまして、例えば、出産・育児後の女性等を対象に、身近な場所で再チャレンジのための学習機会の提供などを実施しております。
 「女性のキャリア形成支援プラン」や「女性のライフプランニング支援総合推進事業、そして国立女性教育会館における学習機会の提供につきましては、先ほども御説明しましたので、省略させていただきます。
 進路・就職指導の充実では、これまで、小・中・高等学校で一貫したキャリア教育を実施するための事業や、特に、高等学校の普通科におけるキャリア教育を充実するための調査研究事業、さらに、小・中学校の発達段階に応じた組織的、系統的なキャリア教育プログラムの開発などを行う調査研究などを実施しております。
 9ページの職業意識の醸成、意識啓発の実施では、大学等におけるインターンシップの推進を図っております。また、理工系分野等でのチャレンジ支援の推進として、「女子中高校生の理系進路選択支援事業」や、先ほど申しました「女性のキャリア形成支援プラン」などにおいて、科学技術分野への進路選択支援に関する先進事例の調査・提供を行い、社会教育関係者等に向けた取組のモデルプログラム事例集を作成しております。国立女性教育会館では、「女子中高校生夏の学校」などを行っております。
 就職指導の充実では、大学において「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」を実施し、優れたインターンシップ・キャリア教育等の取組を実施する大学等を支援しております。また、各関係会議などで、大学等に対して、学生に対する就職指導の際に、男女雇用機会均等法の趣旨に沿った配慮を行うよう要請をしており、同様に、企業や経済団体などにも要請を行っております。
 最後ですが、今後の方向性、検討課題等としまして、生涯学習の推進については、「放課後子ども教室推進事業」、家庭教育の推進、放送大学における教育内容の充実、情報教育の充実が検討課題だと考えております。また、エンパワーメントのための女性教育・学習活動の充実では、男女共同参画の更なる推進のために国立女性教育会館の事業を更に推進するとともに、女性のライフプランニングの支援の充実を図っていくことが重要だと考えております。最後に、進路・就職指導の充実では、今後更にキャリア教育の推進等が必要だと考えております。
 引き続き、資料6(2)「2.女性のライフステージごとのニーズに即した能力開発・生涯学習施策」について手短に御説明させていただきます。
 まず、就業・起業や地域活動への参画につながる能力開発・生涯学習の実施では、先ほどの説明と重なりますが、「女子中高生の理系進路選択支援事業」の実施、国立女性教育会館でも「女子中高生夏の学校」を実施し、さらに「女性キャリア形成支援サイト」において、多様な女性のロールモデル事例等を紹介しております。
 国立女性教育会館では、NPOなど地域活動への女性のチャレンジに対する支援や、地域における次世代育成支援活動への男性の参加促進など、地域の活性化を図り、男女がともに活躍できる方策を検討するための「地域活性化に向けた男女共同参画推進に関する調査研究」を実施し、それに対してまた「家庭教育・次世代育成支援指導者研修」を実施しております。さらにNPO活動に着目し、その実態と女性の社会活動の支援方策を検討するための「女性のキャリア形成のためのプログラムに関する調査研究」等を実施しております。
 次に、子育て等による就業中断期の存在も考慮した能力開発・生涯学習の実施では、先ほども説明いたしました「再チャレンジのための学習支援システムの構築」や「専修学校を活用した再チャレンジ支援事業」、また「就業能力補助支援事業」、さらに女性のライフプランニング支援のための推進の事業などを実施しております。
 今後の方向性、検討課題等につきまして、今申し上げた施策等を、更に推進を図っていく必要があるとに考えております。
 以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。ただいまの御報告に対して辻村委員、伊藤委員、鹿嶋委員、勝又委員、潮谷委員の順でお願いいたします。
辻村委員
辻村でございます。御回答ありがとうございました。時間もございませんので2点のみ確認及び再質問をさせていただきます。
 私立大学につきまして伺ったところは、国立についても国大協が調査したのであって、文科省は関わっていない。自主的に任せているんだという御回答と受け止めたのですけれども、そういたしますと、学術会議の調査によりますと私立大学で80%ぐらいが何も取り組んでいないのです。取り組む意思もないというところに丸印が付いてきているものですから、ちょっとショックを受けました。これに対してどうしたらいいかということですが、それだったら私大協に調査をしてもらえばいいのではないかと思うのですが、その働きかけも文科省という立場ではできないという御回答だったのでしょうか。あるいは国立についても国が調査をしても構わないのではないかと思うんですけれども、そこのところを再度質問させていただきます。
 それとの関係で学術会議のことを第2点目に伺いました。すなわち、ほかができないから学術会議がそれしかないのかという形で、学術会議では科学者委員会男女共同参画分科会で調査をいたしました。これは私が委員長のときですから、学術会議で何をやっているかを質問したのではないのです。ですから、回答が学術会議から回答が来ているのが非常に奇異な感じなんですが、それを聞きたかったのではなくて、それは全部知っているんです。
 そうではなくて、学術会議が提言を出しても、梨の礫になっているのではないかという危惧があるものですから、この学術会議の提言を文科省はどのようにお受け止めになったのか。あるいは内閣府男女共同参画局とか、その他男女共同参画政策の中で学術会議が調査をする。それだったら予算も要りますね。だから、そういうふうに期待をされているのか、そういう全体の政策の中での学術会議の位置づけを、学術会議以外のところに伺うというのが私の趣旨でございました。
 以上です。
羽入会長
続けてお願いします。
伊藤委員
質問というよりも意見になるかもしれませんが、今日はOECDのデータを出させていただいたんですけれども、今回の教育分野で男女共同参画を考えるときに、やはり女性の教育の問題というのはかなり重要ではないかと思います。女性研究者の拡大とも絡むわけです。母数がなければ増やそうにも増やせないと思います。
 歴史的経過を伺ったのは、実は1990年前後ぐらいに起こった動きを考えていたからです。この時期OECD諸国で大学型高等教育の進学率が上昇し始めました。成長戦略の中で知識社会に向かってOECD諸国が方向転換したのです。残念ながら、日本の場合は、失われた10年か20年か知りませんけれども、高等教育に対する財政支出ができなかった。このことが、大きな問題だったのではないかと思っています。
 大学型の高等教育の進学率はOECD平均をかなり下回っている。10ポイントも下回っているというのはかなり大きな問題です。このことは日本社会全体で共有していただきたい課題だと思います。
 なぜOECDで大学進学率が増えたかといえば、女性の高等教育進学が増えているからなんです。OECD平均はたしか男女差で女性が10ポイントぐらい男性を上回っているはずです。大学型高等教育だと女性の方が経済先進国では10ポイントぐらい進学の割合が高いという結果になっている。ただ、日本に関しては先ほどから言われているように実は男女が逆で、男性の方が女性より10ポイント以上大学型高等教育の進学率は高い状況になっている。もちろんヨーロッパなどは専門学校に男性は行くということが大きいんだろうと思いますけれども、ここ15~20年ぐらいの大学型高等教育の変化の中での男女共同参画ということを、私たちはかなり深刻に考えなければいけないのではないかなと思っています。
 だからにデータのジェンダー統計はきちんとしていただきたいと思うんです。やはり対策を立てようにも、データがなかったらば対策は立てられないと思うんです。お聞きしたのは全国一斉学力テストの前にパイロット調査をやったときには、私の記憶だと小中ともほぼ全教科女子が男子を上回っていたはずだからなんです。小中で女子の方が成績が上なのに、何で大学進学になるとこうなってしまうのかということも含めて、きちんとした形でデータに基づいた対策が必要なのではないかと思っています。私の勘違いかもしれませんけれども、やはりデータに基づいた、ジェンダー統計に基づいた教育についての整理は必要なのではないかと思っています。
羽入会長
鹿嶋委員、どうぞ。
鹿嶋委員
資料4の3ページ辺りの質問をしたいんですけれども、学習指導要領の高等学校家庭科、高等学校の家庭科を今から書くのでいろいろ議論をしたんですが、新・旧の学習指導要領には、ともに男女共同参画という言葉は出てこない。ただ、それぞれの解説書には出てくるわけです。ただ、いずれにしろ新しく書く教科書には、男女共同参画という視点は欠かせないと考えています。
 疑問点は、ここに書いてあるような学校教育現場の関係者への男女共同参画、ジェンダーの視点への理解を促す周知徹底といったことは、本当にかなりの成果を上げているのかどうかということなんです。一部聞くところによると、教育委員会の中には男女共同参画に反論反発する人もいるという。そういう中で、問題なく進んでいるのかどうかということをまず第一点として聞きたい。
 第二点は、男女共同参画の人権教育がここに書いてある。確かに男女共同参画には人権重視の側面があり、基本法の前文では男女の人権が尊重されることの大切さをうたっているわけです。ただ、男女雇用機会均等法がいわゆる福祉から出発してその衣を脱ぎ捨てたように、人権はもちろん大事なんですが、これもまた前文にあるように社会情勢や経済の変化の中でも、男女共同参画の理念が必要になっています。例えば私は、企業が社内で男女共同参画の浸透を図るにあたっては、福祉ではなくて経営の柱として推進してもいいのではないか、福祉に閉じ込めておくことは、それが女性を対象にしたものと考えていることの反映ではないかと思っているわけです。実際に日本の企業の中でも経営方針、経営指針の中に男女共同参画といった言葉を入れているところも出てきているわけです。
 そういうことを考えていくと、人権教育という視点はもちろん欠かせないんですが、一方で人権から更に踏み込んで生活の中の一部として、各教科の中にこういう視点を入れていく必要があるのではないかという気もするんですが、教えていただければと思います。
羽入会長
勝又委員、どうぞ。
勝又委員
先ほどの伊藤委員の御質問に対する答えで、全国学力テストの男女別データの公表について、もともと全国学力テストはその目的でやっていないので、男女についての集計をしていないというお答えだったんですが、基本的なことなんですけれども、この学力テストというのは統計法においてはどういう縛りになっているのか。
 つまり、一般的な統計で公的な統計として登録をしていれば、33条で提供することができるとなるんですが、これはそういう位置づけがどうなっているのかということについて伺いたいということと、もし仮にこれがそういう統計法に関係のない行政統計で、そういうものに使っていないとすれば、何らかの形でそういう学力と男女差みたいなものを知ることのできる統計というのを、文科省としては整備しているかどうかについて伺います。
羽入会長
潮谷委員、どうぞ。
潮谷委員
私の質問に対して幼稚園教育要領の中でのお答えでございましたが、現実に今は幼稚園と保育所は幼保一元化という中で文科省、厚労省は関わりを持っております。更に認定こども園という形の中で、これも両省が関わりを持っております。そんな中にありまして、やはり男女共同に関わります教育、保育の中の状況というのがこのままでいいとお考えであるかどうか。その辺を伺いたいと思います。 辻村先生の先ほどの質問に更に関連してでありますけれども、国大協の目標値に対しまして割合は向上していると評価をされていらっしゃいますが、それは甚だ疑問ということを率直に申し上げさせていただいて、文科省がこの調査に関わりを今後とも持たないということであれば、国大協に対して今、世の中の数値目標は更に高くなっているという現実的なところの中から、御指導をするというお考えはないのか。
 更には私大協の問題について、同じように私は何らかの方向性を見出していく、つまり男女共同参画というのはそういう国公立、私大という枠組みの中で文科省がお考えになっていらっしゃるのかなということで、ややちょっと不安視もあります。
 以上です。
羽入会長
大隅委員、どうぞ。
大隅委員
大変興味深い資料を見せていただいて、ちょっとびっくりしているところなんですけれども、そもそも数字が不思議なので、まずそこのところをお尋ねしたいんですが、プリントのあまりきれいに見えない高等教育進学率の図A2.3「大学型高等教育進学率」。これはお隣の韓国のデータを見ますと大学型が60%になっていて、下の図A2.4を見ますと韓国が50%になっていて100%を越えてしまうんですけれども、そもそもこの資料を信じてベースにしていいのでしょうか。
 少なくとも諸外国との比較はとりあえず置いておいたとして、日本が仮に男女合わせた形での大学進学率が45%だとすると、私がしょっちゅう見ている自然科学系の女子学生の学部の割合で25%という数字があるんです。そうするとどういうことかというと、女性の大学進学率が40%で、そのうち自然科学系が男女合わせたときに25%ということは、大学に進学する女性の中では、保健とかも含めてということなんですけれども、いわゆる理系と言われる方に女性が、実は多く進学しているという数字になってしまう気がするんですが、私の理解でよろしいでしょうか。
 そこが根本的に違うと、例えば諸外国に比べて理工系で女性が活躍していない。何とかしてイノベーションにつなげていきたいという議論を、別のところでは必死にしているんですけれども、そもそもそしたらそこではなくて、女性の進学率を上げれば自然にそこが増えるのだったら、全然やり方が変わってくると思うんです。なので、この数字は非常に大事なことだと思いますので、できれば是非再調査をして教えていただきたいと思います。
羽入会長
ありがとうございました。多岐にわたりましたけれども、よろしくお願いします。
文部科学省
ただいまの御質問につきまして、御回答をさせていただきます。
 全部お答えできるかわかりませんが、まず1つ目、「国立大学、私立大学の女性教員の比率の向上について、大学の実勢に任せるだけでよいのか、また、文部科学省として調査しなくてよいのか」という御質問でございますが、先ほども申しましたように、大学の女性教員の比率を高めることは、男女共同参画基本計画等の理念を踏まえて、最終的には、各大学の自主的な取組によって進めていくべきものだと基本的には認識をしております。
 もちろん、文部科学省としてもその取組を促していく必要はあると考えており、やはり最低限の基礎的なデータなども、国立大学協会に任せるだけではなく、文部科学省としても把握していかなければならないのではないかと考えております。
 本日委員の先生方から貴重な御意見をいただきましたので、担当の局とも相談しまして、できるだけ現状のデータも把握し、国立大学、私立大学における男女共同参画の取組の状況なども把握し、また、団体などを通じて働きかけなどしてまいりたいと考えているところでございます。
 鹿嶋委員からの「学校教育現場の関係者に対して、男女共同参画やジェンダーへの視点への理解を促すことに関して、成果が上がっているのか、また、それについて何か現場で問題があるのかどうか」という御質問ですが、かつて指摘のなされたような問題等が起きているという話は、特に聞いておりませんが、適切に教育現場で男女共同参画に関する周知徹底が行われていると認識しております。
 現在、教員の研修は、基本的には各教育委員会が実施しており、法定の初任者研修や10年経験者研修などの内容についても、文部科学省から「これをやってください」という形ではありませんので、男女共同参画の内容がすべての教育委員会、すべての教員に実施されているかどうかは明確には把握しておりません。
 また、もう一つ御指摘のありました「男女共同参画は人権教育という視点だけではなく、生活教育、経営の視点も含んでいく必要があるのではないか」ということですが、そういう新たな男女共同参画の視点をきちんと現場の教員の方にもしっかり認識していただくことは必要なことだと思いますので、第3次基本計画の策定に向けて、特に教員研修の中で、例えば、教員研修の推進のプログラムを少し現代的な課題に合わせて考えるなど検討していかなければいけないと考えております。
 次に、「全国学力・学習状況調査は、統計法においてはどういう縛りになっているのか」という御質問でございますが、基本的にはこの調査は、統計法に基づいて実施しているものではありませんので、統計法上の縛りはありません。
 また、「学力に関して、男女差を把握する統計を実施する必要があるのではないか」という御指摘ですが、文部科学省では「教育課程実施状況調査」というものを何年かに一度実施しております。前回は男女別のデータを出しており、これにつきまして次回何年後にやるのかはまだ決まっておりませんが、そういう調査の中で男女別データをとっていくことについては、今後の検討課題ではないかと考えております。
 以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。恐らく更に御質問もあろうかと思いますけれども、時間も押しておりますので、これで終了にいたしますが、やはり基礎資料を用いて、それがどのような形で達成するのかとか、それがどのような意味があるのかということを、第三次計画を通してまた実現していく必要があるかと思っておりますので、是非この基礎資料になる数字を収集しておいていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。よろしいでしょうか。
 それでは、文部科学省からの御説明ありがとうございました。
 今回は合同でさせていただいておりますけれども、フォローアップにつきましては今回が最終になります。そこでこのフォローアップは分野ごとに分けてしてまいりましたが、WGは既に動いておりまして、WGを通して議論するべきもの、あるいはその分野の中に入り切れないものもあろうかと思います。今後また全体の会議を開きますが、現時点で何かお気づきの点、全体を通しての御意見等がございましたらどうぞおっしゃってください。
住田委員
今日、先ほど厚労省の方にも一つ申し上げたんですが、これは全体に通じることで再度申し上げたいと思うんですが、先ほどの文科省の方の政策一つずつ納得できるものであり更に進めていっていただきたいものばかりなんですが、実際はその裏付けとなる予算が今回見事にああいう形で削られたということで、しかも削ったときの理由が私どもから見ると実態に即していない、現状の認識については全く持っておられないという、極めて残念な結果でありました。
 これに関しまして、私は別の総合科学技術会議のメンバーですが自然科学の分野でも、非常に不見識で不穏当な発言がございました。それに対して、総合科学技術会議の有識者議員は共同声明それから別の科学者の方々がやはりそれに対しての批判というのを出されたといういきさつがございます。つまり、今の政府がこれから新たに予算を組もうとしているときに、根本的な理念として大いに危ぶまれる状況があるということを私は感じております。
 先ほど鹿嶋会長が総理はこういうふうにおっしゃったとおっしゃったんですけれども、今日の新聞報道を見ましても、扶養控除は廃止して、しかし配偶者控除は残す、夫婦別氏制度について法務大臣そして男女共同参画大臣も、当然賛成しておられますが、総理の国会での正式の答弁はこれについては慎重にということです。男女共同参画に関して言えば、私はきちんとした形で進めていただける政権かどうかについては極めて重大な懸念を持っております。
 そういう意味では、私はこのメンバーの1人にしかすぎませんけれども、本会議の方の有識者の委員の方々、議員の方々がそれなりのアピールをしておいていただかないと、今日の項目も一つずつは立派でも結局予算の裏付けのない、そしてどこに行くのかといったらよくわからないところに行くということになりかねないと懸念します。ましてや今回の子ども手当につきましてはOECDから極めて鋭い的確な指摘がございました。これはどういうことかといったら、ばらまきである、保育所とかそういう環境整備に使った方が有効であると。ですから、事業仕分けもマニフェストにあるものについてももう一遍やっていただきたいほどです。といいますのは、総合科学技術会議もなくなる可能性があると政務の方がおっしゃったくらいでして、男女共同参画会議だって政権の耳の痛いことを言ったらやはり嫌がられると思っていますから、私も今日は非常に穏当な形で言おうと思っているのですけれども、少なくともこの今後重大な政策にかかわり、かつ、それに対しての予算についてはやはり識者の議員方がきちっとした形でアピールされることを私は心から期待しております。
羽入会長
ありがとうございます。ほかに。では、林委員。
林委員
はい。今後の来年以降のスケジュールのことについて1つ提案があって発言をさせていただきます。
 今日一枚紙で、基本問題・計画調査専門調査会の委員の皆様宛てに私の名前でペーパーを出させていただいております。これは第3次基本計画の中に女性差別撤廃委員会から指摘をされたマイノリティ女性の問題を是非入れていただきたいということで、NGOから既にいろいろな要望が男女共同参画局に届けられております。今回の日本政府への総括所見の中では具体的に先住民族のアイヌ、被差別部落、在日コリアン及び沖縄の女性を特定をして、こうした女性などを含む包括的な調査を実施することの勧告を受けています。
 NGOからは、今後、来年以降のとりまとめに当たってヒアリングをしてもらいたい、あるいはこのような基本計画策定の委員の中にマイノリティの女性の代表を登用してほしいといった具体的な提案が出ておりますので、是非こういった点について御検討をお願いいたします。また、さまざまな団体から来ています要望書についても現在、事務局でとりまとめ中と伺っておりますので、委員の目に触れるような形で情報提供をよろしくお願いいたします。
羽入会長
ありがとうございます。どうぞ、袖井先生。
袖井委員
袖井でございます。今、大変な経済不況の中でかなり若い女性たちの間に保守的な傾向が進行していますね。そして、私は非常に危惧しているのは、大勢がこうだからこれでいいんじゃないかという方向には是非行ってほしくはないんです。もちろん、データに基づくいろんなことは必要なんですが、やはりここまで来て、やっとここまで来たということなので、それをストップさせてほしくないということと、それから私は第2次計画の策定のときにかかわりましたけれども、やはりあのときいろいろな社会的な反対の動きもありまして、かなり直させられてしまいました。特にジェンダーという言葉について、あるいはジェンダーという言葉の解釈についてですね。ですから、第3次計画についてはやはりもっと本当に毅然とした態度で前進しなければいけないと思っておりますので、よろしくお願いします。
羽入会長
ありがとうございます。恐らく最終的な提案をしていく際に、多くの事柄を議論し、そして、私ども、毅然としてという表現が適切なのかどうかわかりませんけれども、実際に実行すべきことというのを計画の中に盛り込む必要があるというふうに考えております。これから、具体的に更にワーキンググループで検討し、そして全体で情報を共有しながら、第3次でございますので、更に確実なものを我々はつくっていくということが必要だと私は考えております。
 それでは、今日の議論はここまでにさせていただきまして、事務局からの御連絡をお願いいたします。
大西企画官
それでは、基本問題・計画専門調査会の委員の皆様の机上には予定表を置いております。お手数ですが、御都合の悪い日を御記入いただき、お帰りの際、事務局まで御提出またはファックスにてお送りいただければと思います。
 次回の基本問題・計画専門調査会の日時は追って御連絡させていただきます。また、監視・影響調査専門調査会につきましては今月22日に監視・影響調査ワーキンググループとして15時から、永田町合同庁舎で予定しております。
 以上でございます。
羽入会長
ありがとうございます。今回、基本問題・計画専門調査会と監視・影響調査専門調査会の合同の会合とさせていただきました。皆様、御協力ありがとうございました。また省の方、どうもありがとうございました。

(以上)