男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成20年8月4日(月) 15:00~17:00
  • 場所: 永田町合同庁舎第1会議室

(開催要旨)

  • 出席者
    会長
    袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授、東京家政学院大学客員教授
    会長代理
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    委員
    阿部 正浩 獨協大学教授
    帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
    加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
    坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
    桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会理事
    住田 裕子 弁護士
    辻村 みよ子 東北大学大学院教授
    平野 治生 財団法人日本広報センター理事長

(議事次第)

  1. 地域における男女共同参画推進の今後のあり方について(報告書案の検討)

(配布資料)

資料1
男女共同参画センター等の職員に関するアンケート結果について [PDF形式:248KB] 別ウインドウで開きます
資料2
地域における男女共同参画推進の今後のあり方について
資料3
基本問題専門調査会 第38回議事録(案)
袖井会長
今日は本当に暑い中、お集まりいただきありがとうございました。ただいまから基本問題専門調査会の第41回会合を開催いたします。
 本調査会では昨年7月以来、地域における男女共同参画の今後のあり方について調査検討を重ねてまいりまして、この秋には最終的な報告書をまとめるということで進めてまいりました。
 本日、残りの論点について御協議いただいて、それから委員の方々の御了解が得られましたら、本日をもってこの報告書についての協議は終わらせていただきたいと考えております。
 本日の協議結果を踏まえた最終的な報告書案を委員の方々にお送りして、御確認いただいた後、最終的な報告書として、秋に開催されます「男女共同参画会議」に報告したいと考えております。委員の方々、どうぞよろしくお願いいたします。
 それでは本日の議事に入ります。
 前回の調査会では男女共同参画会議で出された意見を中心に、残された論点について御協議いただくとともに、報告書案について最初から順を追って一通り御意見を伺いました。
 その中で、今回の報告書の中でも重要な位置づけをしております男女共同参画センター等における職員の処遇や人材育成について、実態を把握する必要があるということになりました。そこで事務局で、全国の男女共同参画センター等の職員等に関する調査を実施していただきました。これは本当に短い期間であわただしく調査したんですが、予想以上に高い回答率を上げて、これまでにない結果が得られたかと思います。
 その調査の結果と前回の調査会の協議結果を踏まえた報告書案につきまして、事務局から説明をお願いいたします。
安田企画官
それでは御説明いたします。資料1と参考資料がございます。参考資料の後ろから2枚目と3枚目をお出しいただければと思います。全国の男女共同参画センター等にこの調査票をお配りして、資料1をつくってございます。
 何を尋ねたかといいますと、まず施設の運営形態。直営であるのか指定管理者であるのか。指定管理者の場合はどういった団体が運営しているのか。
 設問1といたしまして、研修に関する設問でございます。館長と館長以外に分けまして、館長と館長以外の人々が、それぞれ国レベル、あるいは都道府県外、あるいは都道府県内の研修にどれだけ参加しているのかを設問1で聞いてございます
 。設問2といたしまして、これは回答を書かれた方の主観的な判断でございますけれども、館長以外の職員の研修機会が十分に確保されているのかどうか、出張旅費が不足して遠方への研修等に参加しにくいという状況があるのかどうか、それから、出張を伴う研修が正規職員に限られているのか、という3点を設問2で聞いております。
 設問3で、職員の募集方法を聞いております。「広告・ハローワーク等で募集」、「口コミ等の紹介」、「その他」の3分類で正規職員、非正規職員のそれぞれについて聞いております。
 それから、調査票2が委員の皆様方の主たる御要望でございました収入でございます。やや細かいのですけれども、出向職員とそうではない職員にまず分けまして、それぞれ男女別、それから役職別、正規・非正規、それから正規・非正規の中でもフルタイム、パートタイムの別に聞いてございます。
 このような調査をかけました。資料1の説明に移らせていただきます。調査期間は短かったのですけれども、全体で201 カ所から回答をいただきまして、回答率は70.8 %でした。全国のセンターにファックスで送らせていただいたんですが、そもそも職員が常駐しておらず、締め切り後になって「今日そのアンケートを見たので」という連絡も結構ありました。その割には回答率が7割強ということですので、上出来なのかなと思っております。
 どういった機関からお答えいただいたのか、「回答施設属性」のところに書いてございます。直営、指定管理者それぞれ書いてございます。一番右側に「年収に関する質問」だけ全体の回答状況と異なる数字を入れておりますけれども、これに関しましては、御協力いただいたセンターの中にも、「年収は個人情報であるので答えたくない」というところが幾つかございました。そういったところを控除した回答施設数が「年収に関する質問」のところに書いてございます。それでも総計が201 と194 でございますので、年収も含めてかなりの数のセンターがお答えいただいているのかなと思っております。
 マル2は「回答施設職員の女性比率」を書かせていただいております。直営、指定管理者とも7割台の後半、男性は30%に満たない数字でございます。
 マル3で「回答施設当たり職員数」を書いております。直営の場合は平均6.75人、指定管理者の場合が10.76 人、平均で7.89人でございまして、直営よりも指定管理者の方が職員の数がかなり多いという状況でございます。
 結果概要でございます。先ほど御説明いたしました研修の状況でございます。施設全体と、直営と指定管理者がそれぞれ違う線で入っております。研修の参加状況をざっと見ていただきますと、直営も指定管理者も、ほぼ似たような形をしているということでございます。「参加せず」が一番多いのですが、1回、2回、3回以上と回数が増えるにしたがって全国的な研修、都道府県外の研修については下がっているけれども、都道府県内の研修については、3回以上参加されていることが多いということでございます。
 直営と指定管理者、特に我々の関心である指定管理者がどういう状況にあるのかということでしたけれども、あまり大きな差は見られなかったと思っておりますのが、館長の状況でございます。次は正規職員の研修の状況でございます。これも何となく館長と似たようなカーブを描いているわけでございますけれども、特に自治体直営の赤い線を注目していただくと、全国的な研修、都道府県外の研修、いずれも自治体直営の方が指定管理者よりも「参加せず」が多くなっています。5人以上参加したものも、指定管理者の方が多くなっているんですが、先ほどありましたように指定管理者の方が職員の数が多いですので、その点をカウントするとどうなるかはわからないのですが、少なくとも「参加せず」を見る限りにおいては、正規職員については、自治体の直営よりも指定管理者の方がより多く研修を行っているのではないかと思われます。
 非正規職員も正規職員とほぼ同様のカーブを描いていて、「参加せず」に特に注目すると、自治体直営の方が参加していない率がやや高くなっている。5人以上参加したものも、指定管理者の方が若干高くなっているのではないかと思います。
 次は、アンケートを書いた人の主観になりますけれども、館長以外の職員の研修機会が十分確保されているのかどうかということでございまして、「該当する」、「ある程度該当する」が一番高くなっております。「該当しない」という答えが多いのかなと思っていたのですが、必ずしもそう言えないという状況がこれでおわかりいただけるのではないかと思います。
 それから「遠方の研修機会の確保」ということで、出張旅費が不足しているため、資金の問題で遠方への研修に参加しにくいのかどうかという問いでございます。これも「該当する」、「ある程度該当する」というのが、ケース的には一番高いのですが、それぞれが30%そこそこですので、思ったよりも、資金面で研修機会が確保しにくいという結果でもないのかなと思っております。このようなグラフになってございます。
 次は、研修の参加には非正規職員が除かれているのではないかという観点から、出張を伴う研修は正規職員に限っていますかという問いを立ててみたところ「該当しない」がそれぞれ6割程度になっていて、出張を伴う研修等への参加を正規職員に限っている施設は比較的少ないのではないかという結論でございます。
 その次は「職員の雇用方法」ということで、人数と施設の割合が書いてございます。これもそれほど違いはないのですけれども、正規職員を広告・ハローワーク等で募集している指定管理者の割合が、自治体直営に比べて高いということでございます。その他というのは、おそらく直営の場合は出向者も含まれてしまっていると思われますが、これで見る限りにおいては、指定管理者の方が、広告・ハローワーク等で募集している割合が高いということでございます。
 それから非正規職員でございますけれども、こちらは正規職員とは違って、あまり媒体による差はないのではないかということでございます。
 その次からが、今回の調査の主たる目的であった年収でございます。今回はパートタイム職員についても尋ねたんですけれども、人によって勤務時間が様々で単純な比較が難しいということもあって、この表におきましては、パートタイムを除外して、フルタイムの職員だけで比較してございます。
 まず全体の状況でございます。自治体直営の場合は、200 万円~300万円のところが高くなっていて、400 万円~500 万円で少し下がって、800 万円~900 万円のところでまた上がるという、M字カーブに似たような2つのこぶがある形になってございます
 。指定管理者につきましては、M字ではなく、一番多いのは300 万円未満で、そこを頂点になだらかに下がっていくということでございます。
 参考までに、民間事業所のデータとして国税庁のデータ、これはパートタイム労働も入っていますので、あまり正確な比較にはならないんですけれども、それを入れております。
 全体を館長及び管理職と一般職員で分けて、(2)と(3)でグラフをつくっております。館長及び管理職は、非常にわかりやすい形ですけれども、自治体直営の場合、800 万円~900 万円が最も多くなっております。一方、指定管理者におきましては、館長管理職といえども300 万円未満の層が一番高くなっている状況がみられるかと思います。
 非正規職員を除く一般職員も館長・管理職とほぼ同様の傾向が見られるのではないかと思います。自治体直営の場合は700 万円~800 万円が一番高く、それに次いで600 万円~700 万円の層があって、その範囲がピークになっておりますけれども、指定管理者につきましては、館長同様300 万円未満の層が一番高く、それに次いで400 万円未満、500 万円未満のところがピークになっており、自治体の直営と比べて逆の相似形を描いています。
 その後に、参考までに男女別の職員の収入をここでまとめております。これは前のデータから想定できる部分も多いんですが、女性の場合は、200 万円未満の層が一番高くなっており、700 万円未満のところでやや持ち上がりかけておりますけれども、それからなだらかにまた下がっている。男性の方は、700 万円~800 万円未満のところが一番高く、それに向かってだんだん高くなっているという状況です。
 それをさらに館長と管理職、それから一般職員とに分けたのがその次のグラフでございます。館長の場合は、男女差はそれほどない状況でございますが、一般職員の傾向は、多分全体の傾向におおいて大きなウェートを占めているのだと思いますけれども、女性の方が男性に比べて、特に300 万円未満の層の割合が高いという状況でございます。男性の方も700 万円未満の層をピークに、2つのサイドで下がっているという状況でございます。
 最後は、自治体直営と指定管理者で職員の正規・非正規の割合をグラフにしてございます。フルタイムの職員だけのものが上の2つでございまして、パートタイムも合わせた全職員のものが下の2つでございます。いずれも指定管理者の運営する施設は、直営の場合に比べて非正規職員の割合が高くなっていることが見てとれるかと思います。
 以上が資料1でございます。この調査結果と前回いただいた御意見を踏まえまして、報告書を若干直させていただいております。資料2の方をご覧いただければと思います。修正点のまず1つ目が2ページでございます。これは図15~19を引用して、やや分析不足ではないかという御意見がございましたので、男女ともに「まちづくりのための活動」への参加率が最も高くなっている。また、「子どもを対象とした活動」は女性の参加率が男性よりも高くなっており、特に30歳代後半から40歳代の女性の「子どもを対象とした活動」への参加率が顕著に高くなっている」ということ。それから、同じ年代の女性については、「安全な生活のための活動」についての参加率が高いという特徴を書かせていただいております。
 3ページ。今回の資料1の調査を踏まえまして「実態をみると、指定管理者が運営する男女共同参画センター等は、自治体直営の男女共同参画センター等に比べると、給与水準が低い職員の割合が多く、また、非正規職員の割合が多い」という一文を追加してございます。
 4ページ。これは前回の調査会で御意見をいただきました。地域活動の定義のようなものを書いた方がいいのではないか、特に産業振興のようなものも入るということをしっかり書くべきだという御意見だったと思います。そういった趣旨で、地域活動には、ボランティア活動以外に、産業振興などを含むあらゆるものを対象にしているんだということを書いてございます。
 5ページ。これも前回の調査会並びに前回の男女共同参画会議の論点としてございました。「特に、今後は、これまでは地域の活動にあまり参加してこなかった就労中の男女や退職後の世代等の積極的な参加を促していくことも重要な課題となる」ということを書かせていただいております。
 6ページ以降、事例がたくさん並んでおりまして、いろいろと御意見を頂戴したところでございます。6ページでは、ここで採りあげた事例は例示にすぎないということ、そして、必ずしも活動している本人たちが男女共同参画の活動だと思っているわけではなく、プロセスとして見た場合に、この調査会で男女共同参画の事例であると捉えられるものも広く採り上げているということを書いてございます。
 8ページ以降、事例を直しております。まず事例の数が多過ぎるという点に関しましては、6ページの(1)の地域における課題の事例がたくさんありますけれども、この部分に関しましては、小見出し、例えば「地域おこし・まちづくり」、「商店街の活性化」、「産業振興」、「防犯・防災」、「環境」など、小見出しを付けまして、基本的には1つの分野ごとに1つの事例を書いてございます。
 それとともに、事例の2行目ぐらいに、なぜその事例を選んだのか、その趣旨がわかるような記述を挿入してございます。
 ここで落とした事例は、一番後ろに「別冊付録 事例編」として付けてございます。本体の一部ではあるんですけれども、見やすくするために別冊として付けてございます。15ページ。DVの事例をもう少し追加した方がよいのではないかという御意見をいただきましたので、ザ・ボディショップの事例を追加してございます。
 それから、内閣府で出している地域づくりの活動に関するDVDの事例も追加した方がよいという御意見を踏まえまして、これは今回全部別冊付録の方に回しましたけれども、数事例追加してございます。ここは赤くなっていないので、新規はわかりづらくなっておりますが、別冊はDVDの事例を追加してございます。
 30ページ。赤字になっている部分と消している青字部分は、この専門調査会で御意見をいただいて、文章の構成をひっくり返して入れてございます。
 別冊の方でございますけれども、新しく入れたものは、1ページで言いますと、2番目の滋賀県のNPOの事例、3番目の熊本県の「風の会」の事例、次のページの、福島県の「森の民話茶屋」、4ページの岐阜県の「ビスターリマーム」という地域の旅館・民宿の女将の観光の取組の事例でございます。それから子育ての新潟県の「マミーズネット」の事例が新しく追加してございます。
 説明は以上でございます。
袖井会長
どうもありがとうございました。男女共同参画センター等の職員に関する調査結果と報告書案についての説明は以上でございます。
 それでは協議に入りたいと思います。最初に、前回から残されておりました男女共同参画センター等の職員の処遇や人材育成等について協議したいと思います。特にこの調査の結果なども含めまして、少し御議論をいただいて、それに引き続きまして、報告書案について御意見をお聞きしたいと思います。最初にただいまの説明について、何か御質問や御意見がありますでしょうか。
 では辻村委員。
辻村委員
ありがとうございます。特に年収の比較などはこれまでデータが全く出ていなかったと思いますので、大変貴重な調査をしていただいたと嬉しく思っております。質問させていただくとすればですが、一般に男女の平均賃金差が100 対68くらいであるということが言われているわけですので、例えば男女共同参画センターにおいては、これよりも格差が大きかったら大変だという気持ちがいたします。13ページの上の段に、各年収ごとのグラフが出ているのですけれども、仮に中間値を取って計算したら、100 対68よりも男女格差が大きくなっているのか、小さいのか、若干好奇心があったのですが、この辺りは、そういう計算あるいは見通しはありますでしょうか。
 これは報告書には反映されていませんよね。報告書は男女比については全く触れていないですね。
安田企画官
はい。
袖井会長
数がそんなに多くないので、そのあたりはどうでしょうか。
辻村委員
それに額もわからないので計算はできないと思いますけれども、どのように理解したらいいのでしょうか。
安田企画官
年代別や学歴要件別などいろいろな分析ができると面白かったんでしょうが、今回は時間の制約もありまして、そこまで細かい問いは出しておりません。男女センターにおける男女の賃金格差というところまで踏み込んだ分析はできておりません。申しわけありません。
塚崎推進課長
1つ補足させていただきますと、非正規と正規の割合ですが、非正規が全体で見ますと42%くらいで、正規が58%くらいです。これは資料の方には書いていないのですけれども、正規が58%になっておりまして、非正規の中で女性が占める割合は9割ということで非常に多くなっておりまして、それも賃金のフルタイムの中に反映されているんだと思います。
辻村委員
それはそれとして明示しておいた方がいいかもしれないですね。
袖井会長
その辺のところは書いておいた方がいいと思います。
辻村委員
報告書に性別が全然出てこなかったので、その辺りも強調したらいいのではないでしょうか。
袖井会長
こちらに入っていないですよね。
桜井委員
この短い時間でまとめていただいてありがとうございました。本当に貴重な資料だと思います。
 2ページに「回答施設職員の女性比率」とありますが、今、課長がおっしゃった非正規・正規の職員の男女比を出していただけませんでしょうか。
 もう一つ、年収のところですが、ここはパートタイムの職員を除外しているということで、男女共同参画センターではこのことも非常に問題になっているところです。こういった雇い方しかできなくなっている現状がありますので、パートタイム職員の年収や、それを含めた一般の職員の年収など、ここのところも是非知りたいと思います。出していただくことが可能でしょうか。
塚崎推進課長
パートタイムにつきましては、勤務時間を尋ねていないのでなかなか比較が難しいということで、グラフの中では落としております。時間当たりの賃金ということで出せないもので、それで比較をしない形にしているんです。値自体は出てくるんですが、それを並べて比較するのはなかなか難しいと思います。
桜井委員
パートタイム職員の賃金については聞いていないということでしょうか。
塚崎推進課長
聞いています。
桜井委員
年収で聞いてるわけですね。
塚崎推進課長
はい。
桜井委員
ですから、年収でいいのではないかと思います。その人の勤務時間が短いのか長いのかよくわかりませんが、男女共同参画センターから得られる収入は、年収にしてこのくらいでしかないということがわかればいいのではないかと思います。
塚崎推進課長
はい。
袖井会長
それではよろしくお願いします。せっかくこれだけの調査をしていただいたので、もう少しこちらの方に入れてもいいかなという気がします。特に男女別などではですね。
 他に何か御意見や御質問がありますでしょうか。
阿部委員
このアンケート結果は公表されるのでしょうか。
塚崎推進課長
はい。
阿部委員
もし、公表されるのであれば、ちょっと短絡的に結論を得ているところがあるのではないかと思っています。例えば最初の「回答施設当たりの職員数」は、直営よりも指定管理者の方が多いと出ているんですが、それは複合施設か単独施設かによっても人数が変わってくるのではないかということが予想されます。その辺りも細かく記入しないと、よくわからないところがあるのではないか、というのが1つ。
 他にもいろいろそういうところがあって、例えば3ページのマル3の職員の雇用方法は、正規職員を広告・ハローワーク等で募集している指定管理者の割合が直営に比べて高いのは当たり前であって、こんなことを書いていいのかということを私はむしろ危惧します。細かく見ていくといろいろ出てくると思うんです。その辺りを精査したうえで公表された方がいいのではないかと思います。
袖井会長
この調査結果はどういう形で公表するんですか。報告書にも一部は載せますよね。これだけを別に報告するということはあるんですか。
安田企画官
公表といいますか、本調査会の資料としてホームページにアップするということでして、大々的に内閣府調べ、何月何日記者発表という形ではないです。もしそうしない方がいいということであれば、ホームページに出さずに、修正して委員の皆様の御了解を得たうえで別途公表した方がいいのか、それとも調査会にかけた資料として出させていただいた方がよろしいのか、そういうことだと思います。
袖井会長
この資料1自体をホームページに載せるわけですか。そうすると解釈は少し慎重にした方がいいかもしれないですね。
 他に何かありますか。
 私もよくわからないんですが、どうして指定管理者の方が人数が多いんでしょうね。何か推測はつきますか。
安田企画官
全くの個人的な推測でございますけれども。多分、指定管理者は、今回が第1期目で初めて応募したということでございますので、事業の提案などをする中で事業量をかなり大きくせざるを得ない部分がある。自治体直営でやっても人をたくさん採らなければいけないと思うんですけれども、今は公務員の人件費がベースになっているということもあり、なかなかできない。指定管理者の方はより融通が効くので、館長の年収などを抑えながら、事業量に見合った人数を、それでもかなり安くなってしまっているんですけれども、採ることができているのではないかなと個人的には思っております。この調査だけではよくわからないというのが、本当のところでございます。
袖井会長
他にありませんか。桜井委員どうぞ。
桜井委員
今のなぜ直営の方が人数が少ないかということですが、直営の方は正規の職員は本当に少ない人数ですが、その周囲に何人ものアルバイトやあるいはボランティアを配しています。その人件費は事業費や施設管理費にもぐってしまうということもあると思います。ですから、しっかり賃金をもらっている人の数、というように読んだ方がいいかもしれません。しかし、それを指定管理者に任せようということで、公募する。指定管理者の方は、正規の人数ではとてもできないということで、指定管理料の中の人件費を細分化して、必要な人数を確保して応募するという傾向があります。
 これまで、直営からNPOに代わった指定管理者の中にもそういうところが多くあります。NPOが指定管理者を取ったところは大変評価をされているところが少なくありません。この間ここに来てくださった静岡市のアイセルなどがその例ですが、事業のコマ数や事業数も、直営でやっていたときよりも増えて、来館者数も多くなって、そういう意味ではすごく評価されているという傾向があることは確かだろうと思います。
 もともと直営の場合には、県や市の職員が館長やスタッフとなっていますから、その方たちの1人あたりの年収はかなり高い。ですから、人数はもともとそれほど多く充てられない。どうするかというと、ボランティアと称して、周囲の女性団体などに事業をやってもらうということが常態化していました。結果として周囲で動いていた女性団体たちがNPOをつくって自分たちが指定管理者になっていくという形での循環が見えてきたかなという感じはあります。
袖井会長
そういうことを書いた方がいいでしょうか。その辺どうでしょうか。
桜井委員
書いてほしいですが、複雑になって、かえって理解しにくい報告になるかもしれませんので、現段階ではそこまでは書く必要はないかと思います。
袖井会長
ただ、人数が多いことは確かですし、賃金が低いことも確かですから、そういう解釈は成り立つと思うんです。
平野委員
発表の仕方ですが、専門調査会にこういう資料を配ったという発表されるんですか。それともこういうアンケートを行ったという別立ての発表をされるんですか。
塚崎推進課長
専門調査会の資料として公表します。
平野委員
これは手直しはできないんですか。
塚崎推進課長
御意見をいただいた分を直して、それで御了解を得られればと考えております。
袖井会長
これは報告書と一緒に出すんですか。それとも議事録と一緒に出るんですか。
塚崎推進課長
会議の資料としてお出しします。
袖井会長
そういうことですから、ちょっとおかしいところや問題があるところは、是非今御指摘いただきたいと思います。会議の資料としてホームページに出ることになります。
坂本委員
本当に貴重な調査をありがとうございました。私もこうやって見せてもらうと、いろんなことがよく見えてきます。初めてこういう調査をされたということで、限られた時間の中でということでしたけれども、これをきっかけに地域の男女共同参画を推進していく非常に重要な役割を担っている男女共同参画センターのありようというものを、こういう席で議論する必要があるのではないかという気がしています。
 今、議論になっている給与の問題や、雇用の在り方も問題だと思うんですが、NPO等に指定管理者で委託された場合、どういう考えを持って、館長等の給与は低いけれどもたくさん人手を確保して、事業を一生懸命やっているのかという深いところまで調査をしてもらった方がいいのではないかと思います。
 この報告書に関しても、初めての調査がなされたけれども、今後の推進体制を考えるうえで、もう少しあるべき姿というか、望ましいありようをこういう会議の場で提案していく必要がありますので、継続していろいろと取り組めるような書きぶりにしていただけるといいのではないかと思います。
袖井会長
確かに今まで議論してきて、男女共同参画センターの職員、特に非常勤の職員の待遇が悪いというようなことは、感覚としてみんなわかっているけれども、実際に具体的なデータがなかったんです。NWECで調査なさったんですが、あれは一度ここでも発表していただいたんですが、不完全なものであったということで、今回の調査になったんです。何しろすごく短期間で、私は「間に合わないんじゃないですか」と申し上げたら、事務局の方で「やる」とおっしゃって、桜井委員にも調査票のチェックをしていただきました。そういうこともどこかに書いた方がいいかもしれません。圧倒的にデータがないんです。
 私どももずっと議論していて、本当に隔靴掻痒という感じで、事例でいろいろと話は聞いていますけれども、全体としてのデータがないので、そういうことも書いた方がいいかもしれませんね。男女共同参画センターはどうあるべきかというところまで書けるかどうかはわかりませんけれども、実態を正確に把握することはどこかに書きたいなと、個人的には思います。
板東局長
今、御指摘のように、議論としては、あるいは調査にしてもまだ突っ込みが不十分なところはあろうかと思います。さらに議論していただくのもなかなか難しいかなということがございまして、お話のようにこれは継続して考えていくべき事柄であると思っております。次の基本計画の改定を考えていったときに、この男女共同参画の推進体制がどうあるべきなのか、あるいはどういう現状にあるのかということをトータルで把握しながら、次の方向性を出していかなければいけないと思いますので、その議論に是非つなげていく必要があるのではないかと思っております。
 これについては、またいろいろお知恵をお借りしながら、もっともっと深く突っ込んでいく必要があるのかなと思っております。
袖井会長
他に何かありますでしょうか。今、特に処遇の問題が採りあげられてきたんですが、人材育成についても、研修に出ているか出てないかだけで内容的なことまで聞いていないので、その辺のところがちょっとよくわからないんですが、その辺についても何か御意見がありましたらお聞かせいただけますか。意外に参加しているということがわかったという程度で、できれば内容とか、どのくらいの長さだったとか、そこら辺のところも本当は知りたいんです。時間不足で聞けなかったという状況がございます。この辺のことについて何かありますか。研修などについて、桜井委員、何かありますか。
桜井委員
直営の方が研修に出ていないという調査結果は、それはそのとおりだろうと思います。すべてではありませんが、熱心ではない直営のセンターもあります。その点、指定管理者はこの仕事をやりたいということで応募していますから、研修だけでなく、すべてに一生懸命の傾向があるように思います。直営のところは、館長にしても主だった職員にしても、2年か3年に一度異動で自治体から派遣されて来る方なので、どういう方が見えるか全くわかりません。男女共同参画に関して関心があるかどうかもわかりません。研修についてもその方たちの裁量に委ねられるので、この結果はそのとおりだろうと思います。
 意外だったのは、研修への参加要件というところです。正規職員に限っているのかどうかというのが、そうではないという結果になっていました。ここのところはきちんと読まないといけないと思いました。男女共同参画センターの場合、館長も正規の職員でないことも珍しくありませんから、その辺はもう少し詳しく見ないと、軽々に判断できないと思いました。
袖井会長
最初の問題意識としては指定管理者制度に問題があるという問題意識でやったんですが、むしろ直営に問題があるという感じですね。
桜井委員
直営の問題は、直営の問題としてありますが、指定管理者制度に大きな問題があります。まず、指定管理期間が3年や5年では、期限の定めのないスタッフを安定的に雇って育てていくこと、それから事業の継続性ということも難しいという問題です。もう一つは、直営でやっていたときに比べ指定管理料を大変低く設定する自治体が少なくないので、結果、スタッフの賃金が大変低く抑えられてしまうという大きな問題があります。
  しかし、どちらが熱心かというと、指定管理者になっている人たちの方が熱心です。2007年12月に全国356の女性センターを対象に自己評価についての調査を実施しました。その結果、指定管理者制度をとっているセンターではその65%が自己評価を実施していましたが、直営では27%にすぎませんでした。指定管理者の方が危機意識も強いですし、事業にしっかり取り組んでいるところが多いのではないかと思っています。
鹿嶋委員
この調査で一番悩ましいとすれば、自治体の正規の職員が不熱心という問題はあるんですが、非正規のNPOの職員などはやはり雇用の不安定さがあるわけです。それをどうするかというところまではなかなか踏み込めなくて、これは日本の産業社会を覆っている全体の問題でもあって、ここで一番悩ましいとすれば、問題点の指摘はできるけれども、そこからどうするかということは、雇用の問題まではとても踏み込めないと思うんです。
 そうすると、どのような落としどころがあるのかとなると、そういうことを前提にして、男女共同参画センターはどうあるべきかというところまで多少触れるのか。NPOが増えていって、問題点としては指摘するんですけれども、雇用の不安定な職員が出てくるのもある程度是認しつつ、そういう中でどういう対応をしていけばいいのかというところを少し提示するのか。その辺はどうなんですかね。ここはそこまではやっていないんですよね。問題点を指摘しているだけなんです。それが限界ですかね。その辺どうすればいいかわからないし、どうなんでしょうか。
桜井委員
単純かもしれませんが、そんなに難しいことでもないかと思うんです。直営のセンターを指定管理に出すときに極端な場合には予算を半減させるということが問題なわけで、経費の節減をどう考えるかということだろうと思うんです。自治体としては政策として男女共同参画を進めているわけです。この施設を使って男女共同参画施策を具体的に市民向けにやっていくために、一体幾らかけるのかというころですから、男女共同参画を施策としてどうやっていくのか。そこに幾ら投入していくのかというところが一番の問題だろうと思っています。それが、予算の節減の刈り込み場になっているという現実があるわけです。
鹿嶋委員
そういうのは、書けないでしょう。
桜井委員
ですけれども、自治体の指定管理者制度の具体的な設計の問題だと思うので、そこのところは何とかならないかと。
帯野委員
ちょっと議論から外れてしまうかもしれませんが、指定管理者制度という制度そのものが、もともと指定するときに考慮されるのは主に経費ですよね。その中のプログラムがどれくらいその目標に近づけるか。よりよいプログラムになるかということはあまり評価されない。
 各都道府県で違うかもしれませんが、最初に管理者を指定するときに、そういう審査があるだけで、中間審査というのはないです。
桜井委員
やっているところもあります。
帯野委員
これだけ経費が節減できましたということとは別に、これだけ進行できましたよという中身の方の評価は、する機会もないし、評価をする人も少ないし、その評価を自治体は管理者に求めないところが、指定管理者制度の大きな欠陥かなと思います。
桜井委員
指定管理者を選考するときの選考基準なんですが、経費の節減というのは大体30%くらいなんです。これを20%とか25%くらいのパーセンテージで評価するというところもあるんです。帯野委員がおっしゃるように、そこのところの比率を小さくしていくことによって、必ずしも経費の節減だけに注目して、指定管理者を選ぶということではないんだということになれば。それからどこを選ぶかというのは選考委員に負うところも大きいです。
鹿嶋委員
そんなことはないでしょう。指定管理者は、経費の節減というのが最大の目的でしょう。
桜井委員
そうです。
鹿嶋委員
それがなければああいうパブリックサービスはきちっと残しておいた方がいいと思いますが、やはり経費の削減ですよ。
坂本委員
指定管理者に応募する立場からすると、いい事業をしたいという意欲が大きいので、いい事業をしたいとか、事業費にコストを割きたいと思ってしまうんです。気がついたら、人件費を自分たちでおとしめているという結果になるんです。
 数字を出すのは難しいかもしれないけれども、今回の調査でも、直営と指定管理者のところでは格差がある。あまり行き過ぎた格差を容認してコストカットをするような採用の方法というのは、ある程度自重しなければいけないということをちょっと書き込んでもらった方がいいと思うんです。
 全体として予算を縮小して指定管理者にするというのはわかるんですけれども、今のような同一労働で賃金格差が開くことを男女共同参画センターの場で起こしてしまうのは、進むべき方向性と逆進してしまいますので、一定の配慮を持った上での指定管理者制度を導入して欲しいということを書いてもらった方がいいかと思います。
袖井会長
ちょっと時間も過ぎましたので、報告書について何か御意見をいただけますでしょうか。これまでもかなり議論してきましたが、今回もかなり赤字とか青字とか、いろんな訂正が入っておりますので、何かありましたら、どうぞ。
 特に書き換えたところについて何か御意見がありますでしょうか。例えば2ページとか、3ページ、4ページでありますが、どうでしょうか。
鹿嶋委員
単純ミスで16ページの事例のところで「団塊世代を通じた」になっていますけれども、これはおかしいのではないですか。
塚崎推進課長
「団塊世代向けの講座」とするところを、ちょっと消し過ぎてしまっています。申し訳ございません。
袖井会長
何か御意見はありますでしょうか。
平野委員
意見でなくて質問です。今回読んでみて私は読めなかったんですが、26ページ、(3)国際的な役割というところがありますね。最初の2行は、どういう意味でしたか。「男女共同センター等が全国に数多く存在することは、国際的な視点から見ると、日本の大切な資源である」、これはどういう意味でしたか。
袖井会長
これはたしか有馬真喜子さんが、お話しになったんだと思います。海外で、特に発展途上国で、日本のセンターが大変評価されているという話です。
平野委員
それはちょっとだけここに書いてありますね。
袖井会長
ちょっとわかりにくいです。
平野委員
有馬さんの話は別にして、この文章はわかりますかね。
袖井会長
その次を読めばわかるんです。
平野委員
開発途上国では非常に大事だと書いてありますね。そしてそのセンターの意義を発信していくことも大事だと書いてあり、そこはよくわかるんです。最初の2行が、私はわかったように読んでいたんですが、実は昨日読んでみてわからなかったんです。日本のセンターが評価されていると有馬さんがおっしゃったんでしたか。それをここに書いたんですか。
袖井会長
多分そういう意味だったと思います。
平野委員
わからないですね。
袖井会長
これはちょっとわかりづらいですね。
鹿嶋委員
「国際的な視点」というのも取ってしまった方がいいのかもしれないですね。「男女共同参画センター等が全国に数多く存在することは日本の大切な資源といってもいいだろう」とか、そんな形ですね。
平野委員
ない方がいいですね。
 全体の構成ですが、今日の綴じ方をみていてもよくわからないんですが、報告書がありますね。別冊付録というのが出るんですか。
袖井会長
別冊付録といいますか、資料ですよね。
板東局長
本文とは別に、ということだと思います。
平野委員
途中に表が出てきますが、これはどういう位置づけになるんですか。
板東局長
これは一般の方に説明するときの資料というだけです。
平野委員
報告書と、報告書に付くものは、私は当然に図1とか図2がまず付くのではないかと思うんです。
塚崎推進課長
初めに本文がございまして、次に図がありまして、あとの部分は補充的な資料でございます。
平野委員
これは単なる付録ですか。まちづくりの事例とか、これも資料の1つですか。
塚崎推進課長
資料の1つではあります。
平野委員
そうすると別冊付録と書いてあるのがよくわからないんです。これを含んで全体になるんですね。そうすると、別冊付録という言い方がおかしいですね。
塚崎推進課長
中に入るんですけれども、今回はまだきちっと綴じていませんので。
袖井会長
この概要図はどこに出るんですか。
塚崎推進課長
参考資料という形で後ろの方に付きます。
袖井会長
頭に概要みたいなものを付けるんですか。それはつくらないのですか。
塚崎推進課長
それは考えておりません。
袖井会長
普通は概要を付けて、次にこれを付けてという形かなと思ったんですが。
板東局長
文章が多少長いので、概要的なものも工夫した方がいいかもしれません。ちょっと検討させてください。
袖井会長
例えば記者発表をするときなどですが、本文を全部読んでいただくのは無理かなと思います。そうすると、これがかなりわかりやすいかと思いますので、概要とこの概要図を前に出した方がいいのではないかなと思います。そして資料を後ろに付けるとかですね。
 他に何かございますか。
平野委員
ついでにもう一つ。資料1をもし公表されるとすれば、阿部先生がおっしゃったように、これだけでは分析はとてもできないということなら、現状はこういうことでしたというだけの調査結果にしておいてはどうかなと思うんです。それならば、解説や本文にどう書き入れるかということは別にして、例えば3ページを見ますと、先ほど話に出ましたように、「指定管理者の施設の方が平均的に職員数が多いことに留意が必要」などというコメントを付けると、それではどうなっているんですかという話になりますから、事実関係だけをさらっと書いた調査結果にしてはどうでしょうか。
 表の下にも1行か2行書いたものがございますね。これも言ってみれば、調査結果でまとめてしまうのか。表を書いてその下に全部書き入れるのか。いずれにしてもバランスが取れていないなという感じがします。ですから余計な分析はしないで、事実はこうでしたというだけにしていただければどうでしょうか。本当はその後の分析とか、それに対する対策は別の観点から見る必要があると思うんですけれども、そういうことにしておけばとりあえずはいいのではないかと思います。
袖井会長
確かに数があまり多くないし、あまり詳しいことを聞いていないので、深入りしない方が安全かなと思います。今、平野委員がおっしゃったように、事実だけにして、留意が必要だとか、あまりそういうことは書かない方がいいでしょうね。図の下に書いていくというのはどうでしょうか。
平野委員
よくわからないですね。これも書いてあるのと書いていないのがあって、結果概要とどこが違うのかなと思ったりして、よくわからないです。
塚崎推進課長
同じものですけれども、わかりやすいように図の下にも書いたということです。
平野委員
全部同文とは限らないけれども、似たようなことが書いてあるんです。本当は、各委員の方がおっしゃるように、これを見てどうするかとか、この中に書き込むかどうかも含めて、検討しなければいけないんでしょうけれどもね。
板東局長
事務局の方から申し上げるのもなんですが、先ほど阿部先生から御指摘があったこととも関係しますが、これは職員の募集方法といいますか、雇用方法を聞いているんですが、その他が多くて、これがどのくらい意味があるのかということもあって、場合によってはここのところは落とした方がいいのかもしれないと思います。
袖井会長
「その他」の内容は書いてもらったんですか。
塚崎推進課長
書いてもらっていません。
袖井会長
普通は「その他」として、その内容を書いてもらうんですが。
板東局長
ここから何か特別なことが出てくるということでもなさそうなんです。先ほどのお話のように、ちょっと誤解を生むかなと思います。
阿部委員
今、平野委員が言われたとおり、多分、単純集計結果をホームページ等にアップして、その解釈等は本文中でやった方が安全ではないでしょうか。報告書の中でどこまでできるかということはありますけれども。単純集計結果では、指定管理者の方がいいようにしか読めないんです。でもそうではないというところを、どこか別の情報源から持ってこないと、本文のような書きぶりにはならないという問題が、どうしても出てくる。
桜井委員
いいというのはどういうことですか。
阿部委員
最少コストで、いいことをやっているとしか読めないわけです。だから、そこに他の問題があるとなってしまうわけです。
桜井委員
そのための資料になってしまったら困りますしね。
阿部委員
付加的な情報をどこまで書き入れるか、というところが大事なような気がします。
桜井委員
でも、これでは困るのです。
阿部委員
そうなんですけれども、出てきた数字はそうなっているんです。
桜井委員
結局、女性の低賃金に支えられる男女共同参画センターでは困ると、みんなあえいでいるんですが。
袖井会長
私もよくわからないんですけれども、例えば研修などは結構指定管理者が参加していますよね。直営はあまり行っていない。これはどうしてなんですかね。
桜井委員
女性センターの指定管理者になっている東北地方のNPOの例ですが、予算が非常に少ないなかでも、スタッフ全員がそれぞれ年に1、2回は例えば東京で行われる研修でも出かけていかれるように、必死で研修費用を確保するという大変な苦労をしています。男女共同参画センターの仕事をどれだけの熱意をもって担っていくかの問題だと思います。
船木政策企画調査官
阿部委員がおっしゃったように、このデータの単純集計だけを見ると、指定管理者の方が熱心だという結果になると思います。実は私自身も環境系のNPOをやっていたり、指定管理者制度で運営している団体の運営委員をやったりして、どんな状況かを見てきています。指定管理者制度そのものの問題点とは言いませんが、官から民へというコストダウンのところと、民にしたことによる事業の広がりというか、積極的な展開という話のところが、実はお金の話とリンクはしているんでしょうけれども、指定管理者制度でやられている方が熱心にやられていて、最少コストで頑張っていると見えてしまうところはあるかなと思います。
 これは感覚的な話ですけれども、私も研修等々でお話をさせていただく機会が非常に多い中で、すごく熱心に私のところに来るのは、指定管理者で各センターを運営している人です。それが正規か非正規かはわかりませんが、女性の方が私のところに来て、「こんな話をしたいので来てください」などと、すごく熱心だということは実感として持っています。この数字が持っている意味は、指定管理者制度によるネガティブな部分というよりは、ポジティブな部分が数字で見えているというのが、私も個人的な印象としてはすごく感じます。
 最初の議論に戻りますけれども、桜井委員がおっしゃっていた指定管理者制度の問題点と、坂本委員がおっしゃっていた、それがどうあるべきかということを書き込んでほしいということのリアリティーは、今日お聞きして感じたんですが、そもそも論としての指定管理者制度の問題点と、男女共同参画の話をどのように書き込むかが、すごく悩ましいところかなということを、お聞きしていて感じたところです。最後は感想みたいな話になって申しわけありません。
加藤委員
今回この調査をしていただいてとてもよかったと思います。本報告書の中にどういう書き込み方ができるのだろうかと思いまして、読んでいて、3ページの「4 推進体制の現状と課題」、「(1)様々な課題を抱える推進体制」のところの書き方は、センターだけに特化する書き方でなく、例えば今日机上配付として男女局が19年度に取りまとめていただきました「地方公共団体における男女共同参画社会の形成」等々に、政策の推進状況が用意されていますけれども、そこの46ページには、男女共同参画女性関係予算の都道府県の推移が平成17年度、18年度、19年度ということで記載されております。
 一般会計予算の中で男女共同参画関連の予算がどのくらいの割合なのかということも、これを見れば一目瞭然ですので、本課並びにセンターを合わせた人と予算の最近の推移を書き込んでおく必要があるかなと思います。
 併せて、客観的なデータが少な過ぎるので、説得力を持たせる意味でもう少し図を記述の間に入れ込んでいくようなことが必要かなと思いました。3ページでは図37、図38が別冊に入っていますが、実際の記述の間に入れていくと、読みやすくなるのかなと考えています。
 記述の中では、男女共同参画に関する予算や人員が削減される地方公共団体も増えてきている、あるいは3ページの(1)の下から4行目、5行目辺りに、厳しい財政事情も相まってということも書いてあります。同じ報告書の19ページでは、「(4)効率的な事業運営」ということで、地方公共団体の厳しい財政状況を背景にして予算の削減や組織・出先機関の整理統廃合が進められている、真ん中辺りには、これまで以上に費用対効果に配慮することと書いてありますけれども、この辺りの書きぶりは抽象的ですので、もう少し具体的に、地方財政が厳しいけれども、その中にあってもとりわけ男女共同参画関係予算がどのくらい減っているのかということを、報告書の中で少し触れられるとよいと思います。
 私が関わっている仕事の1つに消費者問題もございます。消費者問題の方では、消費者団体が2001年から毎年1回47都道府県を対象にいたしまして、消費者行政関係予算、これは本課とセンターの両方でどのくらいの予算を付けているか、一般会計予算に対して、本課並びにセンターの予算がどのくらい減らされているのかというような調査を毎年1回実施しております。
 それを毎年の比較だけではなくて、例えば2003年と2007年、5年くらいでどのくらい減らされているかというと、この減り具合は、男女共同参画の比ではなくて、非常に厳しい状況にありますので、そういうことも少し頭に入れながら、広く納税者の方に理解と、男女共同参画に対する応援をいただくために、本報告書がより深い書き方ができるといいなと考えております。
 以上です。
袖井会長
どうもありがとうございました。図表を中に組み込むということですか。
加藤委員
はい。ただ、どういう発表のされ方をするのかよくわからないなかでの意見なのですが。
袖井会長
あまりそういうスタイルはないですね。
塚崎推進課長
例えば図37、図38で、もう少し具体的に、何年間でこれだけ減っているということを文章で入れていくのも1つの方法としてあるのではないかと思うんですが、そういう方法でもよろしいでしょうか。
袖井会長
普通こういうお役所で出す報告書では、図を文章の中に入れ込んでいるようなものあまりないですので、具体的にちょっと数字を入れたらわかりやすいかもしれませんね。確かに図を見ると、グラフが下がっているというのが一目瞭然で、その辺はそうかもしれませんね。
鹿嶋委員
この手の年収の調査はほとんどないですよね。その意味でこの調査は、単純集計ではあっても、貴重ではあると思うんです。いかに格差が大きいかと言われているんですが、正規職員と非正規職員との間にこんなに格差があるのがはっきり出ているという点では、そういう意味ではこのデータは貴重だと思います。
 そのことをどのように読むか。自治体のトップの立場に立てば、NPOにした方がコストが安くて済むと読むんでしょうけれども、そうではなくて、我々の立場から言えば、この安い賃金の中で疲弊しているというようなことを書く材料とすればいいわけです。そういうことをここに少し足していけばいいのではないですか。
桜井委員
これでは男女共同参画センターの職員は、職業として成立しなくなります。NPOが指定管理者になってその第1世代は頑張ってやっていますけれども、後継者が出てこなくなります。それはどこのNPOも同じだろうと思いますけれども。職業として成立しないということは、リーダー育成や能力開発以前の問題です。後継者も育たない。
塚崎推進課長
指定管理者につきましては、27ページの上から3段落目くらいのところでございますけれども、「しかし、低コストでの運用を図るための手段として指定管理者制度が導入されることもある」と書いてあるんですが、このあたりの記述をもう少し膨らますということでよろしいでしょうか。
鹿嶋委員
概要版を出して、この辺りを前に特出しした方がいいかもしれません。これだとぱっと飛ばしてしまう。この辺りのところを特出しして、前のページに出してはどうか。
住田委員
文章の手直しでどうこうということではなくて、予算のための話だと思うんです。女性が今まで担っていた仕事というのが、ディーセント・ワーク、アンペイドワーク、無償労働ですね。そのあたりのものは、今まで公的な機関がやっていたものをどんどん民の方でやったときに、こんなに問題が生じていまして、多分介護も似たような問題だろうと思います。
 疲弊してしまうというのは本当によくわかります。相談窓口になっていらっしゃる方は、消費者問題もそうですけれども、介護の問題なども、相談だけではなく、現実の手が必要なところは、同様の問題が生じておりまして、そこら辺が結局、財政のとき、予算のときにばっさり削られやすい力の弱いところであるということだと思うんです。
 結局遠回りのようだけれども、男女共同参画については、必要性ということをきちんと認識していただいて、それを削るのは、今の日本では世界から見てもおかしいんだということを、どこかで言わざるを得ない。この文章の中には盛り込みにくいので、ここではそんなところなんだろうなと思います。
 優秀な女性の方が低賃金で頑張っていらっしゃるという実態は、私も本当によくわかるんですが、その方々にはそれを一つのステップアップの機会にしていただきたい。新たなリーダーとなり得る人材が生まれるというのは、男女共同参画のリーダーでもいいですけれども、こういうところで主婦から社会の中に取っ掛かりをつくって、そこで活躍して、またいろんなところに呼ばれるような形での、ステップアップの材料にしていただくのも一つかなという気がしています。
 ここは終着点ではなくて、人材流動化の中でこういうところを担うということで、そういう方々の素質・素養を別の部分でも生かしていただくような、そんな視点も持たないと、ここだけで一生を満足できる収入は得られないのは、今のディーセント・ワークが片隅に追いやられる実態の中ではやむを得ないのかなという感じがします。いいとは絶対に思いませんけれども、そんな感じがしてならないんです。
桜井委員
通過点でいいということですか。
住田委員
通過点というより、いろんなところで、今、人材の争奪線が始まっているということです。少子化の中で、高齢者の活用をもっとしましょう、女性の活用をしましょうというのは、本当にやる気、熱意のある方々、ヒューマンスキルの高い方々に関しては、うまくマッチングすると思います。今後、また新たな職業に手が出てくる、来てくださいというお話が出てくる。そういう時代に今後変わらざるを得ない。そうしないと日本はやっていけないという気がしているんです。
 そういうことを含めて、男女共同参画のプロであるとともに、別分野のプロになって、別分野にも飛躍していいっていただきたいという希望を持っております。
袖井会長
他に何かありませんか。
河野委員
休みも多かったので、ちょっとずれているかもしれませんが、いろいろ教えていただいて、疲弊している状態というのはよくわかりました。
 一つ心配なのは、私は利害関係などは全然ないので一国民としての感覚なんですけれども、例えば年収が低いとか、なかなか継続的に雇用ができない実情が出てきたときに、それを誰が見て、どう思うかということは非常に重要だろうと思うんです。まずは「そうなの」と思ってもらうためには、この男女共同参画の事業が価値があるものだということが大前提になります。その辺りも同時に、非常に重要なものであるという大前提と、質の高いものをアウトプットしているということが両輪できちんと出されないと、逆に意味をうまく捉えてもらえないのかなと思います。
 私は企業側なので、組合員が旗を上げているように聞こえてしまうんです。この調査会はそれとは違いますので、そこを誤解されないような出し方をしなければならない。
 先ほど出ていたようなことが、その方々の継続雇用かできないことが、どうして国民の男女共同参画推進に影響を来すのかというところがうまくリンクされていかないと、なかなか応援歌はもらいづらいような気がしますので、その辺をどうリンクさせるかという書きぶりも重要なんだろうと思いました。
 この表については、とりあえず第1回目として、これだけの短い期間でこうして調査していただいたことに最大の敬意を表したいと思っております。皆様のコメントにあったように、ちょっと粗いコメントなのと、怖いなという部分があるので、逆にその辺りをこれから実情を踏まえた上で議論をするということで、スタートという意味でのインフォメーションにするといいような気がします。
 こちらのアンケートの表紙のところで、雇用状況と研修と書いてあったんですけれども、先ほど口頭でおっしゃっていた人材育成と人材開発全般について本当は聞きたかったんだけれども、研修というわかりやすい質問をしたということになっていると思うんですが、本来であれば、さっきおっしゃっていたように、そこだけではないです。
 これは1つ質問になるかもしれませんが、疲弊しているということが定量的に表れているものがあるのであれば、それを持ってきた方が本当は早いと思ったんです。例えば、エンプロイ・サーティスファクション(職業満足感)のようなものを今回のアンケートで考えなかったのかとか、逆にそのような情報をこれから取るような企画はないのかとか、そういうものも一つあると、直接的にわかりやすいような気がしました。
 最後に、NPOの現状など、この実情は日本全体のことなので、今の現実・現状の中で、問題はこうなんだけれどもどうしていくかという戦略めいたものが少し表せたら、それは一番読みたいところだと思うのです。難しいだろうと思うんですけれども、このままこういう問題があるからできないというだけでは、ちょっともったいないという気がしました。その辺で、何か知恵が絞れないかなという感想です。
袖井会長
どうもありがとうございます。他に何かありますか。
住田委員
今回のこの調査は、こういう問題について専門調査会が目を向けているんだということをわかっていただくためにも、非常によかったんだろうと思います。そうしますと、先ほど言った疲弊の実態を調査していただくと、例えば200 万以下の方ですと、親元からの援助がないと、とてもではないけれども自立した生活ができないとか、もしくは結婚できないとか、結婚しているから主婦のパートとしてなんとかやっていけるのであるが、なかなか子供は産みにくいとか、そういう具体的な悩みを聞いていただいて、女性のワーキングプアの方々の実態を聞いていただくというのは、定量的でなくても、中身として具体的な悩みを聞かせていただくのも非常に参考になるのではないかという気がいたしました。
 そしてその方々がどうして、もっと収入のよいところに転職できないのか。ここがやりたいからやっていらっしゃる方がかなり多いと思うんですけれども、実はもっと収入のよいところを探しているんだけれども、女性ゆえに、年齢ゆえに、なかなか就職できないという声も出てきた方が、私としては意味があるのではないかなという気がしました。以上です。
袖井会長
ありがとうございます。どうぞ。
河野委員
施設のアンケートの中で、例えば「管理職員(パート)」という表記があるじゃないですか。すごくよくわかるんですけれども、これが表に出たときにおかしくはないですか。アンケート用紙の設問4のところです。女性・男性の自治体、他団体からの出向など、この辺りのところもあるんですが、管理職をフルタイムとパートと分けてありますね。多分ここ特有のものだと思うんですが、一般的には、逆に、管理職をパートで認めているのかということになってしまいます。そこが大前提だと思ったもので、そういう働き方があるところなんだと。
鹿嶋委員
実際にあるんです。
袖井会長
館長さんがパートだとかね。
河野委員
質問としてこちらから投げかけてしまって、書いてしまって、管理職としてしまっていいものなんですか。
袖井会長
仕方がないですね。
桜井委員
珍しくないです。
河野委員
パートというと、もう少し時給的なものを感じてしまったので、何か違和感があるんです。
塚崎推進課長
例えば週2日しかいらっしゃらないという形の勤務形態もあります。時間であくまで働くということです。
河野委員
それでもできる管理職なんですね。週2日しかいなくてもできてしまう。
鹿嶋委員
パートの所長などもいます。
袖井会長
他に何かございますか。先ほど桜井委員から出ていた、指定管理者の方がとても熱心だというポジティブな面は入れた方がいいでしょうか。それとも入れない方がいいでしょうか。
桜井委員
多分、複雑になってわかりにくくなるのではないかと思います。
袖井会長
ただ、直営の人たちよりも熱心であることは確かですね。
鹿嶋委員
ただ、NPOの女性職員にもワーキングプアがかなりいて、幾つかかけ持ちしているわけです。特に子供さんがいるような女性は、女性センターは安定した職場ではないんです。その辺りは今回きちっと指摘しておいた方がいいのではないかと思うんです。21世紀の最重要課題の最前線にいる人たちが、ワーキングプアというのは、どこかおかしいです。
桜井委員
ワーキングプアとしての女性センター職員などということになったら、しょうがないですね。
鹿嶋委員
官庁でも男女間格差は大きいですからね。
板東局長
今センターのところでいろいろ御意見をいただきましたので、表現をもう少し工夫させていただきます。また、先ほどの御指摘のように、センターの役割とか事業の重要性も強調しながら、今御指摘のように、男女共同参画推進が推進している方向とは違うような矛盾が生じない形で事業の展開の仕方を考えていくべきだという話を、少し強調する表現にさせていただければと思います。
 それから、先ほど加藤委員からもお話があり、また袖井会長の方からも少し概要をまとめたらというお話がございました。これは確かに、非常に読みにくいです。どこが強調されているのかわかりにくいということがありますので、わかりやすい概要版のようなもので、それを見ていただければ全体像がわかり、強調したい点がわかるものをつくらせていただきたいと思っております。
袖井会長
他に何か。よろしいですか。
辻村委員
以前に中間まとめの段階で一度指摘させていただいたことがありましたが、15ページの「配偶者等からの暴力」というところの用語ですが、これは法律上は「配偶者の暴力」で、配偶者は内縁関係も含むということですね。ここで「等」を使ってあるのは、配偶者及び交際相手、恋人も入るという趣旨ですね。
 そういたしますと事例が2つあって、上の方の事例のDVは、これは官民連携ですから、配偶者暴力防止法の配偶者の方だけで、恋人は入らない取組ですよね。ところが今回加えてくださった事例の方は企業がやっているもので、恋人や夫からの暴力ということで、デートDVが入る。ですけれども、上の事例も下の事例もDVという言葉が使ってあります。このDVの略語の概念は、配偶者等ということで、広くとっているDVですか。
塚崎推進課長
DV根絶キャンペーンという言い方は、ザ・ボディショップの方でしていますので、こういう書き方になっています。
辻村委員
恋人が入っている・・。これに対して、上の事例の方も、DVの被害者支援だけれども、上の方は官がやっているもので、これは法律に則っているもので、恋人は入らないんですね。
塚崎推進課長
入らないです。
辻村委員
同じ言葉を使っていますので、それではいいでしょうか。法律家としては気になったのです。これは結局、法律を超える立場がこの報告書に結構出ているわけですね。第二次基本計画でもデートDVに取り組むのが必要だとまでは書いてありますけれども、これはかなり推し進めているというか、事例の方であえて恋人の方を取り上げているということは、強い意図が認められるのです。ここのDVという用語が、これでいいかと思ったのです。違うものを同じ略語で使っていますので。
袖井会長
私も気になって質問したんですけれども、例えば「配偶者等」となっているところと、3行目のところは「等」が入っていないでしょう。ここら辺のところは気になります。
辻村委員
「配偶者等」と入っている場合は、法律を超えて恋人が入っている場合で、配偶者だけになっているところは、法律に準じた場合という分け方をされているのですね。ただ一般の人が読んでそれがわかるかどうかということです。わかって欲しいということですね。それでここの配偶者には内縁関係も含むということです。これは法律に書いてあるからというわけです。ですから、ここで言う「等」には恋人が入っている。
塚崎推進課長
「等」は恋人が入っています。本文のところはそういう整理でございます。
辻村委員
事例のDVは上と下で意味が違うということですね。
塚崎推進課長
それぞれの団体の用語に合わせて書かせていただいているのですが、下の方の事例に注を入れた方がよろしいでしょうか。
辻村委員
そこはちょっと気になったのです。
袖井会長
統計などが取れるのは「等」が入らない方ですね。暴力の全体的な相談件数、保護命令件数等が増加傾向にあるというのは「等」が入らない方ですね。内縁は入るけれども恋人は入らないということですね。注を付けた方がいいかもしれませんね。
 私も幾つか気になったんですが、日本語として問題のありそうなところがありまして、その辺のところ、お気づきのところがありましたら、また御指摘いただきたいと思います。
 例えば9ページですけれども、「防災・防犯」のところです。「生活する女性の目から」というのは、女性だけが生活しているわけではないと思うので、よくわからなかった。「女性の目から」だけでいいのではないかと思いました。ときどき気になる表現があるので、また、お気づきになりましたら、教えていただきたいと思います。
帯野委員
26ページの国際的な役割のところですが、「国際的な視点」を取っていただいて非常にわかりやすくなったと思います。でも、男女共同参画センター等が全国に数多く存在することは、日本の大切な資源というよりは、この資源というのが海外で、特に途上国に情報を発信していくということであれば、ここは世界の資源であるとした方が、国際的な役割が強調されると思います。
鹿嶋委員
これは世界にしてしまうと、ちょっとわからなくなってしまう。例えば日本の大切な資源であると同時に、開発途上国に対しても情報を発信できるとか、そういう適切な言葉を補った方がいいかもしれません。ここで世界と書いてしまうとおかしい。
辻村委員
日本にとっては大変貴重な資源であると言える、そんな感じですかね。
河野委員
今言ってくださったところですが、「外国人の女性で、日本で結婚されている人たちも」というお話をした記憶が少しするんですけれども。そういうことを考えると、日本人のための日本の場所だけではなくて、海外から来ている女性のためにもなるという話をした気がしていまして、そこがうんと短くなって、そうなったのかもしれません。入れる必要はないとは思うんですけれども、何となく下との違和感があります。下は下で有馬先生のお話だったと思います。上の方はその辺が一緒になってしまったような気がいたしました。
住田委員
日本にとって大切な資源であるともに、世界に向けて発信できる日本の資源であるとも思います。世界に向けて発信できるという視点を1つ入れていただきたいと思います。
帯野委員
実際に世界に向けて、国外にそういう情報を、各地域のセンターが情報発信をしているかどうかというのは、私は本当に知らないのですが。ここに事例がありますけれども。
住田委員
北九州市などは、日韓交流などいろいろやっています。
鹿嶋委員
海外に向けて男女共同参画の推進の大切さを発信できる、ということですね。
板東局長
ここは個々の施設がということよりも、むしろ我が国でこういうものが全国津々浦々にあること自体が、ある意味で我が国の強みであり、国際的にも、そういった女性のこれからの活躍ということを考えたときに、非常に有効な手段、仕組みであるということを海外に発信していきましょうということかと思います。御指摘のように、個々に発信できる施設は限られるかもしれませんが、全体として見たときの我が国のセンターの状況なり役割について発信していくことも含めていると思います。
袖井会長
この辺は書き直していただきたいと思います。
住田委員
北欧地域などは日本に比べてもっと進んでいますので、アジアの中で、その存在感は非常に大きいということを一つ入れておいたらどうでしょうか。
袖井会長
どうもありがとうございます。その前の25ページの、事例の見出しも私はちょっと気になるんですが、「府内にとどまらない広域的な」というところで、「府内にとどまらない」というのは要らないと思うんですけれども、どうでしょうか。「広域的な人材育成のための研修」でいいのではないかと思うんです。
 12ページで、これも見出しなんですが、上から2つ目の事例です。商店街の話で「女性による女性の自立と社会参加のための支援」というのも、「女性による」というのは要らないのではないかと思うんです。全体的にくどいというか、見出しがくどいですので、削ってもいいかなと思います。
 他に何かございますか。皆様の御意見をいろいろとお伺いして、一番問題になるのは指定管理者制度のところではないかと思います。その辺りはもう少し慎重に考えて、概要版では、特に女性のワーキングプアを創出する場になってしまっているということや、先ほど住田委員から御指摘があったように、そこをステップアップの契機として女性がさらに飛躍できるチャンスになるのではないかとか、そういうこともはっきり書いた方がいい。
 今までの内容を見ると、悪いことばかりになっています。賃金が低い、何が悪いとか、あまりもネガティブな話ばかりなので、もう少し前向きなことを書いた方がいいかなという気がします。というのは、全体的に考えて官から民へといいますか、官ではない民のよさもあると思うんです。指定管理者をやっていらっしゃる方は、ただ熱心だということではなくて、地域の実情を非常によく御存じだと思います。だからお役人の方が上から俯瞰的に見て決め付けているのに比べると、NPOの方たちなどは地域の状況に詳しく、地域に根付いてやっていらっしゃるといういい面もあるんです。
 問題は、それが利用されて搾取されているという面もあるので、何かポジティブな面も今後の展望としていきたいと思います。
住田委員
ここのところで活躍していらっしゃる方が、地方公共団体で女性の審議会委員を増やそうとするときの供給源になっていまして、そういうところに入られてから、さらに別のところに動いていらっしゃる事例もかなり見て来ました。そういうものを見ていますと、審議会委員として地域の実情に即した意見を、ヒューマンスキルを高めたうえで発言できるような人に育っていることは事実だろうと思います。
桜井委員
審議会委員は職業にはならないので、やはり女性センター職員など男女共同参画の推進を専門性をもって行っていくことが、職業として確立しないと先が続かないと思います。
住田委員
どうして転職ができないかというのは是非調査していただきたいと思うんです。地方と言うか、わりと狭い世界ですと、審議会委員をやって、既存の旧来の非常に有力な方々と同席することによって新しい仕事につながったという事例はなくはないです。
袖井会長
審議会委員になって、それから議員になるという方もありますね。少数ですけれども。
桜井委員
私は、男女共同参画センターに勤めていることが職業になるということでなければ駄目だろうと思っています。それが職業にもなって、そこをステップに出ていく人がいてもいいけれども、そこが仕事なのかボランティアなのかわからないようなことでは、先は疲弊するばかりだろうと思っています。
袖井会長
どうもありがとうございます。よろしいでしょうか。
 それでは、そろそろ予定の時間になりましたので、まだまだ御意見もあるかもしれませんが、ありましたら、後で事務局の方にお伝えいただきたいと思います。一応今回でこの議論は終わりということにいたしまして、私の方で事務局と調整して本日の協議結果を踏まえた報告書を作成し、委員の方々にお送りして、御確認いただきたいと思います。
 最終的な報告書は秋の男女共同参画会議で報告する形をとりたいと思っておりますが、いかがでございましょうか。

(異議なしと声あり)

袖井会長
それではそのようにさせていただきます。
 次に資料3をご覧ください。3月26日の第38回基本問題専門調査会の議事録案を事務局でまとめていただきました。このとおりに決定し、内閣府のホームページ等で公開することとさせていただいてもよろしいでしょうか。

(異議なしと声あり)

袖井会長
それでは、速やかに公開させていただきます。
 最後に報告書の取りまとめの手順等について、事務局から説明していただきたいと思います。
塚崎推進課長
報告書の取りまとめの手順でございますけれども、本日いただきました御意見を踏まえて報告書を見直しまして、必要な部分につきまして変更を加えたうえで、委員の皆様方にお送りしたいと思います。時期でございますけれども、8月の半ばぐらいになるかと思います。
 御確認いただいた後に、最終的な報告書として確定をさせていただきたいと考えているところでございます。
 どうぞよろしくお願いいたします。
袖井会長
8月の半ばまでですか。概要版もつくるわけですよね。そんなに急がなくても、8月いっぱいくらいでいいでしょう。
塚崎推進課長
それでは8月の末くらいまでとします。
袖井会長
そういうことにさせていただきます。概要版はかなり重要だと思いますので、皆様にいろいろ御意見をいただいた方がいいかと思います。8月の終わりくらいに、皆様にお送りしてまた御意見を伺いしたいと思います。
 本調査会では、昨年7月以来、地域における男女共同参画推進の今後のあり方について調査検討を進めてまいりましたが、このテーマについての協議は今回をもちまして終了となります。
 委員の皆様形にはスムーズな議事運営に御協力をいただき、また精力的に御議論をいただき、貴重な御意見を多数いただきましてありがとうございました。
 それでは最後に、男女共同参画局の板東局長からごあいさつをいただきたいと思います。
板東局長
ただいま袖井会長からお話がございましたように、一年余りにわたりまして、割合難しいテーマであり、実態がわかりにくいというテーマにつきまして、大変熱心な御討議をいただきましてありがとうございます。
 調査の方も、実態把握の方も、分析の方もまだ不十分だという点も、今回我々としても反省しているところでございますけれども、先ほど申しましたように、この議論はこれでおしまいということではなく、これから先につなげていきたい、発展させていきたいと思っておりますので、引き続いてこのテーマについても御指導をよろしくお願い申し上げたいと存じます。
 この報告を通じまして、第1ステージからセカンドステージへという方向性をお示しいただいたことは非常に重要だと思っております。大きな方向性のところをさらに肉付けをしていったり、もう少し社会的にもわかりやすい形で問題提起をしていくということを、さらに工夫していきたいと思っております。
 本当にありがとうございました。次のテーマもかけていくと思いますので、よろしくお願い申し上げます。
袖井会長
それでは、これで基本問題専門調査会の第41回会合を閉会いたします。
 どうもありがとうございました。

(以上)