男女共同参画会議基本問題専門調査会

  • 日時: 平成20年1月29日(水) 13:30~15:30
  • 場所: 内閣府庁舎5階特別会議室

(開催要旨)

  • 出席者
    会長
    袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授
    会長代理
    鹿嶋 敬 実践女子大学教授
    委員
    阿部 正浩 獨協大学准教授
    伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
    帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
    加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
    神津 カンナ 作家
    河野 真理子 株式会社キャリアネットワーク代表取締役会長
    坂本 純子 特定非営利活動法人新座子育てネットワーク代表理事
    桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会統括本部長
    辻村 みよ子 東北大学大学院教授
    平野 治生 財団法人日本広報センター理事長
    室伏 きみ子 お茶の水女子大学教授
    山田 昌弘 東京学芸大学教授
    渡辺 幸子 多摩市長
    説明者
    村松 正博 静岡市総務局都市経営部男女共同参画課副主幹
    松下光恵 静岡市女性会館館長
    鈴木優子 独立行政法人国立女性教育会館事務局長

(議事次第)

  1. 開会
  2. 男女共同参画の今後の地域レベルの推進方策について(組織・推進体制)
    • [1]ヒアリング
      • (1)静岡市・静岡市女性会館
      • (2)独立行政法人国立女性教育会館
    • [2]意見交換
  3. 閉会

(配布資料)

資料1
静岡市資料 [PDF形式:128KB] 別ウインドウで開きます
資料2
静岡市女性会館資料 [PDF形式:2078KB] 別ウインドウで開きます
資料3
国立女性教育会館資料 [PDF形式:335KB]別ウインドウで開きます
資料4
基本問題専門調査会 第33回議事録(案)
袖井会長
ただいまから基本問題専門調査会の第35回会合を開催させていただきます。お寒い中、たくさんの方に御出席いただき感謝いたします。
 前回は、本調査会の報告書の論点の素案について御検討いただきました。現在、皆様方の御意見に基づきまして事務局で努力して作業を行っているということでございますので、次回あたりに皆様に御検討していただきたいと思います。
 今回は再びヒアリングに戻りまして、地域における男女共同参画の推進体制、特に男女共同参画センター等の組織体制についてヒアリングと意見交換を行いたいと考えております。
 本日のヒアリングには、静岡市、静岡市女性会館及び国立女性教育会館の方をお招きしております。最初に、静岡市女性会館についてヒアリングを行いたいと思います。静岡市女性会館はNPO法人が指定管理者となって運営されておりまして、昨年12月に上川男女共同参画担当大臣が訪問され、熱心な取組に感銘を受けられたということです。最初に静岡市男女共同参画課の村松副主幹から指定管理者制度導入の経緯等について御説明いただき、引き続いて静岡市女性会館の松下館長からお話をお伺いいたします。それでは、よろしくお願いいたします。
静岡市 村松副主幹
それでは御説明させていただきます。静岡市男女共同参画課の村松でございます。よろしくお願いいたします。
 静岡市女性会館への指定管理者制度の導入経緯及び指定管理者の決定の経過等につきまして、資料に沿って御説明させていただきたいと思います。資料1をお願いいたします。
 指定管理者制度ですけれども、皆様御承知のとおり、「多様化する住民ニーズにより効果的、効率的に対応するために、民間の能力を活用しつつ、住民サービスの向上を図るとともに、経費の節減等を目的とする」というように定義をされております。この基本的な考え方に立ちながら、静岡市におきましては、指定管理者制度運用の方針を別に定めております。その中に男女共同参画、子育て支援等特定の施策を実施するための施設で、経営の効率化よりも市民団体、地域団体との連携や育成などが優先される施設におきましては、指定管理者の募集に際しまして複数または単独の団体に限定して募集することができると定めております。
 この方針によりまして、女性会館の指定管理者の選定に際しましては、公募ではなく過去10年間の女性会館事業の蓄積の中に「女性会館の運営の担い手」を求めようという考え方に立ちまして、「指定管理者に必要な条件」を、国及び市の男女共同参画施策を十分に理解している、女性会館の成り立ちや経緯を十分に理解している、市内に活動拠点のある非営利の団体と定めまして、対象を限定して募集したところでございます。
 それではIIの方に移っていただきます。静岡市におきましては、平成15年度の地方自治法の一部改正によります指定管理者制度の創設を受けまして、女性会館の民間委託化の検討という指示が静岡市行財政改革推進大綱により出されました。市全体といたしましては、行財政改革という大きな流れの中での指示であったわけですけれども、単なるコスト削減を目的とする民間委託は、結果として女性の低賃金労働の助長につながる可能性があり、女性会館には安易なコスト削減につながるというだけでは導入できないということで、受け入れることはできないというものでした。
 また、平成7年度から実施をしております人材育成事業の修了生の中から多様な人材が育ってきているという状況がありまして、平成15年度に「女性会館を考える会」を設けたわけですけれども、その意見も踏まえまして、先ほども述べましたが、企業ではなく過去10年間の女性会館事業の蓄積の中に女性会館の運営の担い手を求めるという方針を決定いたしました。
 更に、この方針を具体化するために「女性会館民営化プロジェクト」を立ち上げまして、コーディネーターやメンバーのアドバイスを受けながら女性会館の運営を担う人材あるいはその団体の研究・発掘を目的とした「女性会館企画運営研究会」という講座を実施いたしました。この講座の参加者ですとか、あるいは団体の中から受託団体を選ぶというプロセスを経まして、平成17年度、18年度の2年間、民間への講座開設等の一部業務委託を実施したところ、いろいろなデータから民間活力の有用性が立証されたということで、指定管理者制度の導入を決定いたしました。
 IIIの方に移っていただきまして、具体的な指定管理者の「候補団体の選定」についてです。まず女性会館業務を通じまして情報把握のできている団体、これは過去2年間に遡って49団体をリストアップいたしました。その団体につきまして、市内に活動拠点を有することですとか、女性会館との協働・連携の実績を有すること、男女共同参画の推進を団体の主目的とし男女共同参画の推進に関する活動を多面的・対外的に行っていること、団体としての活動を1年以上継続して行っていること、こういう記載の4条件によりまして、この49団体を審査した結果、5団体が条件をクリアいたしました。
 その条件をクリアした5団体に対しまして、実際に指定管理者を受けるに当たって人の雇用やいろいろな体制確保ができるかどうかを事前調査ということでヒアリングを実施した結果、1団体のみが応募の意思表示をしましたので、結果として1団体に対象を限定して指定管理者を募集したという経緯をたどっております。
 募集をした1団体から応募がありましたので、課内審査、所管審査委員会による公開プロポーザルを伴う記載の審査の視点に基づく実施審査を行った結果、合格点をクリアいたしましたので、指定管理者選定委員会での候補者決定、議会の議決を経まして、本年4月よりNPO法人男女共同参画フォーラムしずおかに指定管理者をお願いしているところでございます。
 IVに移っていただきまして、「指定管理者の事業等の評価方法等について」ということになりますけれども、これは市全体の考え方といたしまして「指定管理者制度導入施設の評価制度」を定めております。大きく年度評価と総合評価の2つに分かれております。年度評価ですけれども、これは所管課が毎年実施する評価になりまして、主に事業計画に対する履行確認が中心となってきます。これに対して総合評価は、各局に設置された評価委員会が指定期間を通じて総合的に行う評価になります。履行状況の確認、指定管理者の創意工夫、利用者へのサービスの向上、施設個別の評価項目等について点数化をいたしまして、それに評価委員会の意見を添えたものになります。
 年度評価、総合評価、共にその結果を指定管理者選定委員会に報告するとともに、指定管理者に対しても通知をし、併せて市のホームページの方で結果を公表する形になっております。
 静岡市女性会館につきましては、本年4月から指定管理者制度を導入したばかりということもありまして、その評価の段階につきましては実績がないものですから、実施をしてみての具体的な問題点などはまだお答えができるような段階ではございません。
 以上、行政の側からの静岡市女性会館への指定管理者制度の導入の経緯及び指定管理者の決定の経過等について説明をさせていただきました。ありがとうございました。
静岡市女性会館 松下館長
静岡市女性会館館長の松下でございます。この度は、このような席にお招きいただきまして本当にありがとうございます。それでは、用意しましたパワーポイントと資料を使って御説明申し上げます。
 なお、先にお話をされた村松さんと重なる部分は省かせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
 (2ページ)
 静岡市女性会館は、「女性をとりまく諸問題を解決し、男性と女性が従来の性別役割分担意識にとらわれず、お互いに協力し合いながら社会の発展をめざす」という目的を持って、「男女共同参画社会」実現のための学習や活動の拠点として平成4年に開館いたしました。
 今年で開館して16年目、中心市街地に立地して「アイセル21」として多くの市民に親しまれています。ご覧のような地上4階、地下1階の建物で、中央公民館との複合施設です。
 昨年度の年間の利用者は36万人を超えておりまして、女性会館部分だけで16万人近い利用があります。詳細は、お配りした資料の「アイセルの風2007」の9ページから26ページ辺りに御紹介しておりますので後でごらんください。
 (3ページ)
 指定管理者制度導入までの静岡市側の経緯につきましては、先ほど村松さんから説明がございました。私は女性会館が開館する少し前に夫の転勤で静岡市に転入し、市の人材育成事業「アイセル女性カレッジ」の1期を受講しました。その後、5期、6期では企画運営委員として関わってきました。
 平成16年3月、女性会館から呼び掛けがあり、女性会館の今後について意見を求められました。集まったのは10名程度と記憶しています。集まった私たち市民側から、「女性会館の民営化については、行政や一部の関係者、市民だけでなく広く呼び掛けて勉強しよう」という意見が出され、「女性会館企画運営研究会」を行うことになりました。主催は女性会館でしたが、7名の市民が呼び掛け人となり、私もその1人になりました。
 5月29日にその1回目が始まりました。私は、女性会館の民営化に関心はありましたが、当時はそんなことが果たして可能かと、初めは懐疑的でした。しかし、先行している大田区や名古屋市、尼崎市などを始め各地の女性センターに1人でお邪魔してお話を聞くうちに、「当事者が担う」、「力は、責任を担って初めて付いてくる」という言葉に深く共感して実現の可能性を考えるようになりました。
 秋には、研究会に出席していた「アイセル女性カレッジ」の1期から5期までの修了生と当時開講中の6期生の8人が集まって自主勉強会を開始し、そこに学校司書だった4人も加わり、それがNPO設立につながりました。
 平成17年3月3日にはNPO法人の設立を登記しました。NPOにつきましては、お手元にお配りしましたフォーラムしずおかのオレンジ色のリーフレットがありますのでご覧ください。
 (4ページ)
 指定管理者制度が導入されるまでの特徴を、私たち団体の側からまとめてみました。
 まず、「女性会館企画運営研究会」を、女性会館が市民とともに企画して協働で進めていった点を挙げたいと思います。平成17年度の業務委託も平成19年度の指定管理者制度の導入も、広く一般市民に情報公開して進めていき、一般公開の場で審査会が開かれました。そこで選定されたことは、応募団体である私たちは大変ではありましたが、透明性といった点で今も本当によかったと思っております。
 また、施設管理ではなくソフト部門から市が業務委託に出したことは、私たち市民団体が公募に際して意欲的、前向きに応じられた点だと思っております。もちろん委託の人件費がきちんと予算化されていたことも大きな理由でした。
 一部業務委託を経て指定管理者制度導入に繋がっていったことは、導入する市も、応募する私たち団体にも余裕ができました。私たちは2年間の業務委託の経験を積んで応募に臨むことができましたし、女性会館の利用者にも安心していただけたと思っています。
 既存の団体ではなくて、まさにニーズの当時者だった「アイセル女性カレッジ」の修了生が自主的にグループを立ち上げてサービスを提供する側になったことをアピールしたいと思います。女性会館のインキュベーター機能から私たちは生まれました。
 (5ページ)
 ここにつきましては、先ほど村松さんから説明がありましたので省かせていただきます。
 (6ページ)
 それでは、指定管理者としてどのように女性会館を運営しているか、御説明させていただきます。指定されました管理業務を大きく分けますと、ご覧の7つになります。マル1講座、教室等の開催、マル4施設ボランティアの育成指導、研修実施、マル5図書コーナーの運営の緑色の文字のところにつきましては、既に2年間の業務受託で経験を積んでおりました。
 (7ページ)
 私たちが指定管理者として目指す女性会館は、「何か困ったことがあった時、女性たちにまっさきに思い出してもらえる存在になること」と、皆で目標を立てました。
 (8ページ)
 指定管理期間は5年です。この5年を3期に分けていますが、現在は第1ステージの「基盤づくり」に励んでいます。まずは女性会館という施設があることを多くの静岡市民に知っていただきたい。新規来館者を増やすことを心掛けて事業を展開しています。
 (9ページ)
 静岡市女性会館の組織図をご覧ください。女性会館運営アドバイザーを地域の団体代表や学識経験者4名にお願いしています。税理士や社会保険労務士とも顧問契約を結んで適切なアドバイスを受けています。
 (10ページ)
 こちらは、統括責任者の私を含め、事業運営、総務に当たっている7名です。6名がフルタイムで、子どもを膝に乗せているスタッフは週に3日ほど、9時半から16時までの短時間勤務です。
 (11ページ)
 こちらは、図書コーナーのスタッフ7名です。上段真ん中の責任者以外はローテーションを組んで短時間勤務です。左下の2名は、土日や夕方の時間帯をカバーしてくれている大学生です。大学生以外は、全員が司書の資格を持っています。
 (12ページ)
 静岡市の男女共同参画課には報告・連絡・相談を心掛けています。毎月1回定期的に打合せを行うほか、随時お互いに行き来をして情報交換しています。
 (13ページ)
 静岡市が作成した38項目の「指定管理者事務処理マニュアル」に従って女性会館の管理運営を行っています。しかし、実際に運営してみるとマニュアルに記載されていないことも起こりますので、随時相談しています。また、指示を待つだけでなくこちらから提案もさせていただいています。
 (14ページ)
 事業企画は、業務委託の2年間には計画の段階から細かく報告し、アドバイスを受け、行政のやり方を学びました。指定管理者になってからは、内容はもちろん、タイトルの付け方、一時保育の対象年齢、実施報告の書式等全て指定管理者の裁量で行っています。
 (15ページ)
 19年度は、静岡市男女共同参画推進条例や行動計画に則り6つのテーマで13講座、51回を計画し実施。現在、9回を残すのみとなっています。
 (16ページ)
 市民グループ、団体から企画を募集した協働講座は、3テーマ、4講座を外部の審査員とともに選定しました。既に大半を実施し、「傾聴入門『聴く』からはじまる人間関係」という講座を残すのみになりました。40名募集のところ、倍近い人数のお申込みをいただいて締め切ったところです。
 協働講座につきましては市民からの問合せもだんだん多くなりましたので、来年度の募集については情報誌で今年から前年度に通知しております。
 (17ページ)
 また、今年はパイロット事業として5つの新しい試みもしています。「講座企画虎ノ巻」、「幸せを呼ぶチラシクリニック」というネーミングで、市民グループや団体から講座の企画やチラシづくりの相談を受けています。お申込みが着実に増えて、市民活動の中間支援になっています。また、2か月に1度行っている「利用者トークサロン」とともに女性会館においでになる市民団体の方々と顔の見える関係づくりにも役立っています。
 また、女性会館の認知度を上げるために、テーマや対象を毎月変えて行うことにした「女性のためのエクササイズ講座」では、地元講師の発掘、男女共同参画の意識を持った講師育成を兼ねて「講師オーディション」を行いました。男性を含め19名の応募があり、4名を今年度の講座に採用しました。お手元の「ボールエクササイズ」というチラシの裏面に、採用となった講師とオーディションの様子を早速紹介しております。
 (18ページ)
 長期的な視野に立った人材育成としては、何と言っても平成7年に始まった「アイセル女性カレッジ」が挙げられます。私たちNPOの核メンバーも1期から6期までの修了生です。カレッジは現在7期まで修了しており、延べ131名が巣立っています。中には市会議員、審議会委員になっている人、子育て支援グループや障害児の施設を設立した人など、地域の中でさまざまに活動してネットワークをつくっています。こうした修了生のその後を7期生が調査し、お手元の報告書にまとめています。ちょっと厚いものですが、お読みいただければと思います。
 (19ページ)
 「アイセル女性カレッジ」は、現在8期が開講中です。各期のテーマはご覧のとおりですが、7期からは私たちが担当をし、企画運営しております。最新の8期のチラシはお手元に配布しました。前期12回のカリキュラムをご覧ください。一部は公開講座としています。12月には「個人単位で考える恋愛&家族論」を一般の方にも公開して行いました。これもチラシを付けておりますのでご覧ください。
 (20ページ)
 第7期アイセル女性カレッジの受講風景です。前期半年の12回の座学を終え、後期はグループ活動に移りました。お手元にお配りしております、先に御紹介した第7期の報告書に各グループの成果がまとまっております。この企画と報告に対しては、昨年秋に全国女性会館協議会の事業企画奨励賞をいただきました。
 (21ページ)
 これは、1年間の講座を終えて平成18年秋に第7期の修了式を行ったときの記念写真です。修了生は26人。1年間一時保育を担当した「保育支援グループすわん」の皆さん、1年間で姉弟のようになった子どもたち、そして妻の晴れ姿を見にきたパートナー、事務局を担当した私たちが全員集合して写したものです。第7期のグループ活動では、「個人的な思いを仲間とともに社会化すること」を学んでいただきました。
 修了後に助成金を取って、お手元にお配りした小さな冊子『お話聞きたい』を2万部作成し、市内各所に配布したグループなど、今も活動は続いています。
 また、子育てを母親一人で抱え込まなくてよいことや、出産が自己実現の妨げにならないとわかった若い受講生に出産ブームが起こりまして、カレッジ修了後1年半の現在までに5つの新しい命が誕生することになったことも御報告いたします。
 (22ページ)
 業務受託の2年間、指定管理者となっての9か月、地域の社会資源との連携、そんなことにも努めてきました。
 (23ページ)
 その一部を御紹介します。女性会館としてではなく、「NPO法人男女共同参画フォーラムしずおか」としての事業も行っています。平成18年には名古屋、岐阜、四日市のNPOの皆さんと、上野千鶴子さんをコメンテーターに迎えて静岡で200人規模の「仕事づくりフォーラム」を開催しました。
 平成19年には、名古屋の「NPO法人参画プラネット」がトヨタ財団から助成金を獲得しまして、前年のフォーラムでできたネットワークで名古屋、岐阜、四日市、静岡で同時に「女性と防災のフォーラム」を開催しました。
 また、静岡県労働者福祉協議会から助成金を受け、「NPOが元気になる棚おろし塾」を企画して2年続けて実施しています。
 そのほか、今日お配りしましたチラシの「女性ビジネスフォーラム」を3月実施の予定です。これは、「SOHOしずおか」や、静岡市の産業政策課とともに企画して、今年で3回目を迎えています。
 こうしてさまざまなところと連携協働してNPOとして力を付け、またそれを女性会館に反映させたいと思っております。
 (24ページ)
 女性会館の事業に戻ります。業務受託時に各講座への応募率、定着率を出すことを求められてきました。私たちはそれに加え、毎回参加者にアンケートを実施し、満足度、期待度、新規来館者数の把握に努めています。また、指定管理者としてスタートした4月には一般施設利用者にも事業の認知度を調査し、今後も定点観測していく予定です。また、団体全体としての自己評価はもちろん、女性会館で働くスタッフ自身にも目標と達成度を自己評価してもらうべく、年度末実施で自己評価表の準備を進めています。
 (25ページ)
 現在実施済みの講座の評価についてお話します。4月から定員割れの講座はお陰様で一つもありません。満足度、期待度も数値化しています。お手元にある先週末に行われたばかりの「働くふたりのハッピーバランス」には、15組のカップルを含め多くの申込があり、満足度も高かったと担当者から報告を受けています。
 また、予想以上だったと今期最も評価の高かった講座が、お手元のチラシの「はじめての護身術」です。
 (26ページ)
 図書コーナーの貸出冊数も順調に増加しています。毎月の「図書コーナーだより」の発行や、講座と連動した特設本コーナー、講座の前の関連本の紹介など、全体の事業と一体になって工夫を凝らしていることが結果となって現れております。
 (27ページ)
 指定管理者として心掛けていることは、ご覧の5つです。まだまだ新しい団体なので、スタッフの専門的能力向上のための研修には力を入れています。ヌエックやドーンセンター、横浜フォーラムなど、県外施設で行われる研修や講座への参加、また同じ市内にある県の男女共同参画センター「あざれあ」の講座にも順番に研修に行っております。
 指定研修の他、情報提供をして希望の研修にも出かけてもらう希望研修、県内外から講師を招いてのスタッフ全員研修も行っています。今年度の最後には情報発信、NPOのネットワークもしながら同時に研修も行いたいと欲張って、「男女共同参画を目指すNPOと指定管理者制度」をテーマにフォーラムを企画しています。出来たばかりのチラシを今日持って参りましたのでご覧ください。
 (28ページ)
 今後の展望ですが、人の集まる講座はもちろんですが、質の高い事業、実験的な新しい事業の展開で、女性会館を学習型、通過型から更に事業型、協働型、発信型の拠点にしたいと第2テージの展開を考えています。
 以上、駆け足でございましたが、御説明申し上げました。
袖井会長
どうもありがとうございました。自由討議の時間は後ほど設けておりますが、この場で必要な事実確認や簡単な質問等がございましたら、どなたでも結構ですのでどうぞ。
 よろしいでしょうか。それでは、続きまして独立行政法人国立女性教育会館「ヌエック」の鈴木事務局長からお話をお伺いいたします。よろしくお願いします。
国立女性教育会館 鈴木事務局長
ただいま御紹介いただきました、独立行政法人国立女性教育会館の鈴木でございます。今日はよろしくお願いいたします。
  国立女性教育会館は、昭和52年に文部科学省の所管の社会教育施設として設置されまして、昨年30周年を迎えたところでございます。30周年を迎えまして、ちょうど300万人ほどの利用者を受け入れさせていただいたという状況でございます。これも会館の事業に御参加いただいた、あるいは事業に御指導、御助言をいただいた多くの皆様方の御支援の結果だと大変感謝いたしているところでございます。
 また昨年度は、独立行政法人の整理合理化ということがございましたが、昨年末の12月24日には整理合理化計画が定められ、会館が見直すべき措置というものが提起されました。引き続き単独の法人として事業を展開していくという状況でございます。
 (1ページ)
 パワーポイントとお手元の資料をご覧ください。会館の概要でございますけれども、私ども会館は、ミッションといたしまして女性教育の振興と男女共同参画を推進するということを目的につくられた施設でございます。ちょうど第2期の18年度からの5年間の中期目標に基づき、事業を展開しているところです。13年度に独立行政法人に移行いたしまして、現在、第2期のちょうど中途の段階となっています。
 ここには書いてございませんが、1点目として、基幹的な指導者の研修を重点化すること、2点目に喫緊の課題解決のための調査研究や学習プログラムの開発、3点目が国内外の連携協力による事業、女性アーカイブというようなもの、それからアジア太平洋地域のハブ、拠点としての役割を担うことが掲げられています。
 私どもはこれまで研修、交流、調査研究、情報の機能と政策が一体的に相まった事業を展開しているところです。もう一面では、国の基本計画、男女共同参画基本計画の中でも私ども会館について4か所ほど取り上げられています。
 (2ページ)
 ここに書いてありますように、特に地域との関わりの中で位置付けられております。私どもは国の唯一の女性教育のナショナルセンターということで、人材の育成・研修、先導的な学習プログラムの開発・提供、そして国内外の統計データその他必要な情報の提供、全国各地の拠点間の交流の促進ということが、基本計画の中で示されているものです。
 具体的にどのような事業を展開しているか、このパワーポイントに書いてある事業のほか、お手元に2007年度から2008年度の事業計画をお配りしておりますが、このなかにもありますので、後ほどご覧いただきたいと思います。また「ヌエック概要」という資料も後ほどご覧いただきたいと思っております。
 これらの男女共同参画基本計画に基づく事業の中には、研修、交流、調査研究などがありますが、今回は女性関連施設に関する調査研究について御紹介をさせていただきます。
 (3ページ)
 調査研究でございますが、女性関連施設につきましては、男女共同参画社会の形成と女性のエンパワーメントに大きな役割を担っていると理解しておりまして、このことを明らかにするための調査研究を実施しているところです。
 18年度には、先ほど静岡市女性会館からの御説明にもございましたように、指定管理者制度が2006年から導入されていますので、この点に着目をいたしまして、変化しつつある女性関連施設の現況を把握する目的で調査をいたしました。
 (4ページ)
 実はこの調査は民間の女性団体のグループも行っているものがございまして、この女性団体の調査研究とダブらないようにということ、それから私どもが2006年4月からやっております女性関連施設のデータベースの資料も参考にし、なおかつ各女性施設等がホームページを掲げていらっしゃいますので、こういった各施設のホームページからの情報を収集して、2006年4月までに指定管理者に移行した女性関連施設74施設を対象に調査をさせていただいたものでございます。
 このデータは調査時期が2007年の1月から2月ということですので、現在この状況はかなり変わってきているのではないかと思います。
 回収したのは69施設で、そのうち今回集計の対象といたしましたのが63施設という状況でございます。
 机上に配布しました資料に「調査項目」を掲げました。今日はその中の主なポイントに絞って御紹介させていただきます。
 (5ページ)
 指定管理者の資格を得た団体につきまして、調査項目に従ってまとめましたところ、指定管理者の資格を得た団体の特徴は、財団法人あるいは社団法人が約6割を占めております。NPO法人、これも任意のNPO法人と、男女共同参画のNPO法人という分け方をしていますが、この2つをまとめてみましたところ、財団法人とNPO法人のどちらも男女共同参画を目的にした団体が全体の約6割を占めている状況です。実際に指定管理者となった団体ですが、このほかに企業あるいは共同体が大体6.3%です。このことから、男女共同参画を目的とした団体やNPOが指定管理者として選ばれたということが言えるのではないかと思っております。
 このような指定管理者の法人格の団体の種類に関しまして、地方自治総合研究所が、男女共同参画の施設ということではなく、地方自治体が有するいろいろな施設を対象に2006年4月に調査をされています。このときにどのような団体が指定管理者となったのか結果が出ています。一番多かった法人格の団体が財団、社団法人ということで、ここは全く同様の結果になっております。
 何がこの調査と違っているのかということですけれども、この地方自治体の施設全般を対象にした調査ですと、第4位にいわゆる株式会社、企業が出てまいりまして、NPO法人が指定管理者になった割合はそれ以下です。
 顕著な特徴は、自治会や町内会、社会福祉法人といった団体が地方自治体の総合研究所の調査では出てきていますが、指定管理者の男女共同参画センターを見ますと、これは団体の性格にもよりますし、施設の性格にもよりますが、町内会や自治会などが管理者となっているケースは出てまいりません。
 (6ページ)
 次に、こういった指定管理者となった団体が、どれぐらいの年数の指定管理期間をもらったかということです。指定管理期間は3年以内が過半数を占めておりまして、その次に多いのが5年以内です。指定管理期間の内容ですけれども、先ほど申し上げました地方自治総合研究所が行った同様の施設の指定期間と結果は全く同じで、この場合も指定期間が3年、5年が多くなっておりました。施設調査とどこが違うのかということですけれども、ここの中には5年以内、6年以上というものが若干ございましたが、この調査の場合は、例えば10年を超える指定管理者が4%ほど、1年未満のものが4%ほどあるというような調査結果が示されています。
 (7ページ)
 続きまして、団体、法人が指定管理者になったときに重点的あるいは新規に立ち上げた事業に関する自由記述を整理したところ、自由記述の中で最も多く表れた項目が情報提供、情報事業の充実ということです。
 それ以外の項目では、次世代育成であるとか、連携交流の促進、女性のチャレンジ支援、講座・研修の充実等がありますが、これらを見ますと、従来のいろいろな事業のメニューを更に多様化して提示することを考えた結果ではないかと思います。
 また、情報提供ということでホームページの立ち上げ、リニューアルするといった内容が多かったわけですけれども、これは先ほどの静岡市女性会館の御発表とも関連するのかもしれませんが、指定管理者の選定基準の中に、利用率とか、施設の安定的な管理能力を見られるとか、効率的・効果的な施設の運営ということがあったことが原因かもしれないと考えられます。
 (8ページ)
 また、新たに管理者となった皆さんが事業への参加者を増やすための工夫として書かれていたものを事業内容、広報、実施体制という分類をしましたが、この中でも最も工夫をされた部分が広報です。
 実際にどういった内容の工夫をされているのかということを、自由記述の中から少し御紹介いたしますと、例えばマスコミに対してもう少し積極的に自分たちの情報を出すとか、あるいはコミュニティにおけるFM放送に呼び掛けるとか、DMをつくるとか、ニュースを定期的に刊行するといった内容があります。実施体制に関しましては、実行委員会をつくる、あるいは各種の団体と協働関係を結んで事業を実施するということが調査結果から出されております。これは、従前そのような体制で実施してきた例が多いためではないかと思いました。
 (9ページ)
 もう一つ、他機関との連携・協力をして実際にどのようなことを行っているのかということをお聞きいたしました。事業の運営・企画と施設の管理・運営の2つに分けてお答えをいただきました。やはり事業の運営・企画というものに5割以上の方が力を注いでいるという結果が出てきています。地域を取り巻く指定管理者の状況として、施設の管理・運営は財団法人であるとか社団法人、NPO法人の中には施設管理のノウハウを身に付けていない、技術を持っていないところがあることがここから伺えるのではないかと思います。
 (10ページ)
 具体的な連携先として期待されて一緒にやっているところとしては、地域の女性団体、学習のグループの割合が最も多いようです。最も割合が低いところが社会教育施設。例えば公民館、また町内会、自治会との連携が極めて少ないという状況です。
 (11ページ)
 連携に関してどのような工夫をしているか。これも自由記述からまとめております。実際に御回答いただいている方々の表現がかなり主観的な内容でしたので、整理をしにくかったのですけれども、連携上の工夫といいますと、市民、それからいわゆる女性団体との連携に力を入れていることが伺えました。
 それから、連携をする場合、役割分担を重視しているようですけれども、その中で取り分け予算、お金がなくては事業ができないということかと思いますが、お金の分担に関しても工夫が必要だということが出されています。
 (12ページ)
 地域における女性関連施設にとっては「施設は人なり」かと思いますが、新たに指定管理者等をとられたところに対して、職員についてどのように考えているのか伺っています。指定管理者を得た後、直ちに新しい職員を採用する際にどのような点を重視したか。最も多いのがサービス対応・協調性、それから2番目に多いのが男女共同参画の知識・理解、その他は事務処理能力とか仕事に対する意欲、人柄といったような項目が出てきています。
 (13ページ)
 新規職員の採用、そして現在採用されている職員の能力の向上が施設にとって極めて重要だと考え、この設問を用意しました。実際に施設長の方が職員の職業能力の向上のために、あるいは職業能力を開発するために日々どのようなことに努力されているのかということですが、「外部研修への参加」の割合が一番多かったようです。それから、館内研修の実施、そして国立女性教育会館の行っている研修への参加が55%、5割強です。
 (14ページ)
 続きまして、この女性センターの職員の職業能力を向上するうえで今後更に必要だと思われることに関しまして、割合の多い順に並べたところ、やはり施設長が最も重視しておりますのが、研修の充実と合わせて職員の専門知識・技術の習得でした。学習・研修の機会が最も重視されていると言えるかと思います。
 また、組織内の課題としては、職員の意識改革ということですが、これは職員の意識が低いということではなさそうですが、自発的に研修に参加したり、学習をするという意味合いのお答えだったかと思います。ここでもかなり研修への要望が含まれているのではないかと考えています。
 (15ページ)
 続いて、施設長御自身が男女共同参画を推進する拠点の長として日々必要と考える能力はどのようなものか、ということについて調査いたしましたところ、最も重視しているのはやはり女性施設の組織を運営する指導力、管理能力、経営能力で、これに力を注いでいるということが伺えました。
 また同時に、実践力と私どもはまとめていますけれども、事業を企画したり、戦略を練ったり、状況を分析したりする、このような内容も、次に割合の多い能力として必要とされているものです。
 (16ページ)
 それでは、実際に施設長の皆さんが能力開発・向上のために日々実践していることは何かということですが、これが非常にキーワードを整理しづらかったところです。情報収集が約4割以上、続いて多いのがコミュニケーション・人間関係の構築でした。
 それでは、情報収集とは具体的にどのようなことを皆さんお考えになっているのか、どのような回答をされたのかということですけれども。男女共同参画を進めるに当たっては常に新しい情報に接すること、できるだけ多くの人間と関わりを持つこと、情報のアンテナを高く掲げておくということについて意識をお持ちになっていることがわかりました。
 (17ページ)
 この女性リーダーの育成への取組というところは、私ども国立女性教育会館が女性リーダーの育成のための研修事業を実施しておりますので、地域の女性関連施設ではどのような女性リーダーを育成しているのか、実際にどのようにお取り組みになっているのか、どのような方がリーダーとして考えられているのか、どのような方法をしているのか、どのような課題があるのかということを調べたところです。実は34施設しか回答していただいておりません。この34施設の中で、全体としては5割以上の施設が実際に女性リーダーの育成に何らかの事業を展開しているということです。市区町村ではやはりリーダー育成の割合が5割以下という状況がございますので、都道府県との差異がここで明らかになっているかと思っております。
 (18ページ)
 これらの施設が実際に女性リーダーとしてどのような層を捉えているのかということです。実は私どもが最初にこのように設問をつくった結果こういうことが導き出されてしまったということは言えるかもしれません。女性センターが行っている講座事業の修了生がリーダーの対象になっている。それからもう一つは登録団体、女性施設等に登録している団体グループのメンバーがリーダー層として考えられているということです。
 (19ページ)
 こういう層に対して具体的にどのようなことをやっているのか。皆さんが活動しやすいように情報を提供したり、場を提供したり、講座を提供するというようなものが割合多くありました。
 (20ページ)
 これらの施設が、女性リーダーの育成の課題として何を捉えているかというところでございます。地域の女性リーダーが極めて高齢化している。特定のメンバーに偏っている。若い世代が育っていないということが大きな課題として挙げられます。私どもは今回の調査から、女性関連施設や国立女性会館が、地域の男女共同参画を推進する人材育成を行うことに対する期待が非常に高く、重要視されていると思います。
 ただ、拠点である女性施設のリーダーだけに研修をして、全体的に地域の男女共同参画の支援ができるかということですけれども。やはりそれには施設を取り巻く多様な団体あるいは多様な学習グループ、多様な機関との連携が欠かせないということが今回の調査で少し明らかにされたのではないかと思っております。
 私ども国立女性教育会館は、調査・研究の成果を生かしながら研修のプログラムをつくる、あるいは情報を収集して研修に生かす、研修を通じて交流の場も提供しているところです。
 こうした研修は、これまでは総合的に、例えばある種の課題別に、ある種の分野別にということで行ってきたところですけれども、今回の調査から、常に新しい情報を収集提供し、新しい課題に対して具体的解決策をどう提示していくか、地域の課題に直結した内容を研修の中で打ち出していく必要があると考えております。
 以上でございます。
袖井会長
どうもありがとうございました。この調査について、あるいは国立女性教育会館に対しての簡単な御質問がありましたらお願いします。
 よろしいですか。
 それでは私から、この調査についてお伺いしたいのですが、対象者は施設長の方ですか。どなたが回答されたのでしょうか。
国立女性教育会館 鈴木事務局長
実際には施設長ないし施設長の代理の方、担当の副館長さんだったり、課長さんだったりということでございます。
袖井会長
ありがとうございました。では、どうぞ。
坂本委員
調査項目のところにはあったんですけれども、9番の財政と評価のところの年間予算など、運営面の具体的なことも聞かれているんですが、今日のお話の中にはなかったんですけれども、このあたりを今日は伺えますか。
国立女性教育会館 鈴木事務局長
実はこの調査は74施設が対象で、実際には集計が63施設ということでございまして、具体的に数値を挙げてこられた施設が少なかったものですから、今日は御紹介しておりません。
坂本委員
一番少ないところ、一番多いところ、回答を寄せてきたところでどんな幅があったのかだけでも、もしわかれば教えていただけますか。
国立女性教育会館 鈴木事務局長
最大は8億円超というところで、最小は40万円ですが、これが正しい回答かチェックが必要かと思います。
坂本委員
でも、あり得るかもしれませんね。
袖井会長
他にどなたかございますか。
神津委員
数字的な質問ですが。パワーポイントでいうと10ページ目の連携先の中で、「その他」にはどういうものが入っているのかということが1つと、その前のページの表で連携先がない施設は約2割ということですが、この2割の施設に何か共通項というものはありますでしょうか。予算的な規模とか、その他のことで。
国立女性教育会館 鈴木事務局長
まず連携先の問題でございますけれども、この「その他」は他の項目に入らないものということです。「その他」という選択肢にチェックされているということで、記述式になっておりません関係で、それ以上のことはわかりません。
神津委員
連携先のない施設に何か共通項はありましたか。
国立女性教育会館 鈴木事務局長
連携先のない施設というのは、市区町村といいますか、小さな規模のところはまだそこまで連携先を広く考えていないという傾向があったように思います。
袖井会長
よろしいですか。
 それでは、自由討議に入りたいと思います。地域における男女共同参画の推進体制について、御自由に何でも御発言いただきたいと思います。いかがでしょうか。
伊藤委員
静岡市の方に、今のヌエックの調査との関連も含めてお聞きしたいんですが。県の施設に「あざれあ」がありますね。先ほど最後にちょっとおっしゃいましたけれども、県の施設と市の施設の連携というときに、例えば恒常的に相談するとか合同企画をされるとか、棲み分けのようなことをされているのかどうかというのが1点です。
 それから、これはヌエックの調査の中で最後に鈴木事務局長がおっしゃったことと絡むんですけれども、いろいろなところと繋がっていくということでは、特に若い世代をどうするかという問題が出てきます。大学や産学交流センター、企業・団体が22枚目のパワーポイントのパネルに出ていますが、具体的に大学や産学交流センター、企業・団体は今、特に若い世代を含めて巻き込む方策のいうようなことをどんなふうにやっておられるのかということをお聞きしたいと思います。
静岡市 村松副主幹
県との交流につきましては、具体的に今、協働で事業をするといったことはないです。ただ、お互いに事業を紹介し合って宣伝に努めているというような協力関係は恒常的にあります。
 あとの方のご質問には、指定管理者さんの方から具体的にお答えさせていただきます。
静岡市女性会館 松下館長
「女性ビジネスフォーラム」のチラシをお配りしましたけれども、今年で3回目ということで、20代、30代の若い女性にかなり来ていただいています。産学交流センターや「SOHOしずおか」の企画には最初は男女共同参画の視点はあまりなかったんですけれども、私たちが加わらせていただいたことで、講師選定でもこういう方を呼んでほしいとか提案できました。最近は市外、県外からも若い方がネットでかなり申し込んで来てくださるようになりました。
 それから、企業との繋がりはまだまだですけれども、先ほど申し上げましたように助成金をいただいて、県の労働者福祉協議会からNPOを支援したいから何か企画をというオーダーをいただきました。私たちもNPOがきちんと継続して社会的責任を担って進んでいけるようにと思っていましたので、「NPOが元気になる棚おろし塾」を企画しました。今年度で2回目ですけれども、「NPOの診断シート」も作りまして、それをNPOの自主講座の中に組み込ませていただいたりしました。「NPOの診断シート」は、自分たちのNPOの活動資金として300円で1部ずつお分けしています。それを浜松市に100部ほどお買い上げいただいて使っていただいたこともありました。
 まだ指定管理になって1年目なので、一度にはできませんけれども、なるべくいろいろなところの情報はいただいて、こちらからもお願いし持ち掛けてということで活動を広げています。来週は、静岡大学の生涯学習を研究するゼミに依頼され、NPOという働き方で女性会館を担っていることや講座の作り方をお話させていただくことになっています。
袖井会長
他に、どうぞ。
辻村委員
現在、全国の施設で財政難が大変問題になっておりまして、財政難を理由に縮小することが仙台市などでも問題になっております。今日のお話であまりそのことが出てこなかったことが、むしろ奇異にといいますか、不思議に思われました。
 例えば静岡市では、指定管理者制度はそもそも経費の節減を目的とするというふうに書かれているのですけれども、この制度を導入して実際にどのように節減されたのかといったことについて教えていただければありがたいと思います。
 それから、ヌエックは先ほども坂本委員から質問が出ておりましたけれども、調査されてこれについて全体的にどういう総括をされたか。この財政難の問題についてはどのように調査結果をおまとめになったのかということと、ヌエック自身の財政状況にも関わるかもしれないのですけれども、どういう困難があるのかということですね。そこを教えていただきたいと思います。
桜井委員
関連して。「アイセルの風」の19ページに指定管理者になる前となってからの収支が出ていますが、もし差し支えなければこの辺りで御説明いただけるとありがたいと思います。その差額が市からの指定管理料ということになるんでしょうか。その辺も含めてお話いただければと思います。
袖井会長
では、最初に静岡市の方から財政の問題についてお願いします。
静岡市 村松副主幹
財政の縮減の効果ですけれども。事業費と施設管理等に関わる運営の経費に関しては、基本的に過去3年程度の平均を取りまして、それをそのまま指定管理料の中に入れているものですから、実際に縮減という部分ではほとんどないです。
 あとは、人件費の部分で正規職員を幾らで見るかというのと、うちの方で指定管理者さんにこの職員だったらこのくらいという月給が決まってくるものですから、そこで多少縮減にはなっているんですけれども、先ほども言いましたが、結局男女共同参画の拠点施設という位置付けで原課として考えてきたものですから、縮減という部分にあまり焦点を当てておりません。
 なおかつ使い捨てというと言葉が悪いんですけれども、安いお金で雇うということには極力ならないようにしたい。働く場として何とか確保したいということが導入を決めた当時の課長等の思いにもありまして、そこの部分は大分頑張ってきた経緯があります。近隣の他施設さんなどのお話を聞きますと、そこに比べれば働くための賃金としては確保できているのかなとは思っております。
 ですから、縮減という意味では正規職員と人件費の差が多少縮減経費としては出ているんですけれども、それ以上の縮減という部分では余りはっきり出ていないというところです。
袖井会長
19ページの方はいかがですか。
静岡市 村松副主幹
例えば歳出の表に18年度の予算額があるんですけれども、18年度の給与費23万円は、運営協議会の給与費だけなんです。ですから、職員の経費は一切ここに出てきていないんです。
 正規職員の給与を幾らでみるかにもよるんですけれども、例えば1人800万円とみますと6名いれば4,800万の人件費がかかるんですが、それがここには入っていません。19年度の当初予算の中には指定管理料も入っています。指定管理者にお願いをしている人件費も含んだ額がこの中に入っているので、一概に差額が縮減額だという言い方はできないです。
桜井委員
これだと縮減されていないんですね。
静岡市 村松副主幹
この表で言いますと、そうです。
桜井委員
これだと、指定管理者になった方が市の経費は大きくなっている。委託料というか、指定管理料がですね。
静岡市 村松副主幹
そうですね。ただ、この表に出ていない正規職員が定員管理上、減になっているものですから、その部分は例えば社会保障の経費などの支出が減っていくものですから、長い目で見ると定員管理上は減になっているところが大きな効果にはなっています。
桜井委員
具体的に人件費がどのくらい落ちたかを教えていただくのは無理ですか。
静岡市 村松副主幹
年間2千万円程度の人件費の縮減になっています。
伊藤委員
正規職員の人数をおっしゃっていただくと、もう少しイメージできるんじゃないかと思いますが。
静岡市 村松副主幹
7名いまして、そのうち1名が本課に動きましたので、委託も経ている中で6名は減になっています。
 女性会館の業務のうち一部相談業務を持っていまして、カウンセリングですとかいろいろな相談業務については直営で残そうということで、今、施設管理と事業系のソフト事業に関してはお任せをしているのですが、一部相談事業だけは残したものですから、それを担う職員が本課の方に引き上げていますので、7名のうち1名が本課に行って6名の減という形になっています。
神津委員
では、1名分というのはまだ入っていると考えていいんですか。
静岡市 村松副主幹
1名分はこの表ではなくて、これは女性会館の経費になるものですから、ここからは完全に抜けているという形になります。
桜井委員
そうすると、7名から6名になったというふうに考えていいわけですか。
静岡市 村松副主幹
正規職員は7名から1名に減ったということですので6名減になります。ですから、長い目で見ると人件費の部分では相当な効果が出ていることになると思います。
帯野委員
ただし、短期的に収益が改善されていないというか、予算減になっていない。それを目的化していないことが、他の指定管理者制度を導入した施設とのバランスで、市の中あるいは議会等で問題視されないのでしょうか。
静岡市 村松副主幹
あくまでも議会等、委員会等におきましても、うちの方が特殊な施設であるということで、男女共同参画の拠点施設あるいは女性問題の解決をする施設が、いわゆる女性の低賃金労働を助長するような賃金形態にはできないので、そこについては御理解をいただきたいということで各方面にはお願いをして、今の形を認めていただいたというところです。
静岡市女性会館 松下館長
指定管理者となった側としましては、3年前に業務委託をされるときに、人件費がどのくらいつくのかによっては手を挙げるのをやめようということを仲間皆で決めておりました。自分たちが思った程度の金額でしたので、応募しました。先ほど紹介したスタッフ14名は今年度のスタッフですけれども、最初は図書コーナーのスタッフが4名と講座を企画運営するスタッフが2名の6名で業務委託が始まりました。
 実は、私は市の財政がどうなっているかを知りたかったので、行財政改革推進審議会の公募委員に応募したり、市の業務委託や指定管理者制度の動向は少し前から見ておりましたので、7割程度の人件費は出るだろうということを予測していました。そこで、実際に女性会館の一部業務委託が公募をされたときに、人件費が幾らかはわかりませんでしたけれども、総額で幾らというのは提示されたので、その範囲だったら受けたいと皆で決めて応募しました。
 指定管理料を今年度は7,650万円いただいていまして、そのうち先ほどお話をしたように中央公民館への支払部分として施設管理負担金が3,230万あります。それはそのまま公民館と一体化して施設管理を担うということで、分担金として払っています。事業費は講座開設、図書コーナーの運営(図書購入費は本課)、リニューアルしたホームページや情報誌編集発行の情報発信等に620万円ほどかけています。
 人件費は法定福利費を除いて2,850万円ほどです。現在、スタッフ14人のうちフルタイムで働いているのは7人です。
 初めの業務受託時のスタッフ6人の前職は嘱託職員や学校司書だったりと、専業主婦はいませんでした。私もフルタイムでしたが正規にはなれない職場で働いておりましたので、自分たちが今の職場より高い収入を得られるのなら手を挙げようということもありました。そのへんは大丈夫かなということで応募したという経緯があります。
 ヌエックなどへ行っていろいろなNPOと人件費の情報交換をすると、よその皆さんは大変な中ですごく苦労していらっしゃることがわかったので、静岡市の場合はまだ恵まれていると思っています。市には、この人件費で私たちはすごく頑張っていることを、認めていただきたいと思っています。
 管理費は法定福利費、消費税、法人税を含めて950万円ほど使っています。NPO法人の会計では余剰金を分配したり次のために留保しておくことが難しいことが、現在の自分たちの悩みです。
坂本委員
NPO法人としての収入の何割くらいがこの指定管理の委託費になるわけですか。
静岡市女性会館 松下館長
収入のほとんど9割以上が指定管理料です。でも、少しずつ自分たちで力をつけ収入を得たいと思っています。昨年度は、分析は大学の先生にしていただきましたがアンケート調査の仕事を取ってきたり、今年度は講座をパッケージにして他でやらせてもらったりと、少しずつ収益は上げるように努力しています。
袖井会長
先ほど辻村委員から質問があったヌエックの方の総括的なことはいかがですか。
国立女性教育会館 鈴木事務局長
財政の面のお話でございますけれども。先ほど御説明しましたように、幅にかなり開きがあるお答えをいただいたものですから、私どももこの数値をこのまま御紹介していいものかということで、確認が必要なものと考えています。実はこの設問をするに当たって、例えば事業費であるとか人件費であるとか、その他の比率をお尋ねさせていただいたところですけれども、実はどの項目にもゼロ%と書いてきたところがありました。こういう回答状況ですので、指定管理者制度を導入した段階での調査としてはあまり有効ではなかったように思います。自由記述の整理をしてみたところ、予算が少ない、減少している、安定しないというような財源の問題を掲げてきた施設が半数、5割を超える数がありました。
 あと、実は施設の維持管理に経費がかかるということを答えてきたところもありました。それから中には、常に経費の削減ということをしなければいけないと答えてきたところもあります。これは財政基盤の問題と整理するのがいいのか、経費の問題として整理するのがいいのかというところですけれども。やはり財政基盤が安定していないところが課題として挙げられていると思っております。
 それから、私どもの会館のことですけれども。御承知のように運営費交付金と自己収入がございます。運営費交付金は毎年減らされて、大体1年ごとに1,000万円程度減額でして、単純に言って5年間でかなりの減額ということです。人件費も当然減額で、5年間で5%ということですので、これが一つの課題です。
 そして、自己収入、外部資金を導入するということです。自己収入を上げるために、利用者の増加のために、さまざまな努力をしております。ようやく着実に利用者の割合が伸びてきたところです。具体的には広報を強化したり、施設料を利用目的別に分けてみたりといったものです。13年度に比べますと自己収入が約2.3倍上がったところです。人件費の削減も、例えば13年度の法人設立時と比べますと、18年度までにはかなり減になっております。
 私ども今、総勢28名のスタッフです。18年度から22年度までの5年間を考えますと、5年目には相当自己収入を上げる必要があります。努力して2.3倍まで上げてきているというのが現況です。
伊藤委員
今のこととの関連です。財政が悪化しているというのは大学も一緒なんですけれども、先ほど「あざれあ」と静岡市女性会館の提携がどんなふうになっているのかと申し上げたのは、この問題も私は絡んでいると思っているからなんです。
 同じ地域に同種と思われる施設が2つあるいは複数あることに対して、これらを合理化してはどうかという声が必ず出てくるわけです。そのときに棲み分けの論理というのをきちんと立てていかなければいけない。その棲み分けのためにも連携が必要になってくると思うんです。ただ、都道府県と市は仲が悪かったりしてうまく連携できていないことも多いわけです。それぞれが大変重要な施設だと思いますので、連携していきながらそれを残しつつ充実させていくことが重要になってくると思います。施設の機能分担と連携という問題についても報告書のどこかに書き込んでおく必要があるんじゃないかと思っています。これは、質問ということではございません。
河野委員
どうも団体の皆さんありがとうございました。
 例えば静岡市女性会館さんのパワーポイントの最後の今後の展望ですとか、先ほど御質問に出ていたヌエックさんの今後というところで一言コメントいただきたいと思います。
 今日いろいろ事業の内容を拝見させていただいて、本当に見やすくわかりやすく、そしてニーズに合わせた多様性が見えてきていて、とてもいいなとは思うんです。本当にこれは120%思うんですが、逆に私自身も自分の事業展開でいつも悩むのですが、事業が多様になってくると必ずコストがかさみますし、そうでなくすれば質が下がるんですね。どう考えても事業をよくすることと経営課題とがうまく結びつくような、つかないような大きな課題というのはあると思うんです。
 それで今、財務の話などいろいろ出ていたんですけれども、今後どのように集中と選択をされるのか。また、逆にそうでない展開を考えておられるのかなどということを伺いたいと思います。
 同時に、今まで個人としてのロールモデルは多かったのですが、これからは施設としてのモデルとして皆さんが見ていくようになるに当たって、ちょっと気になってきたのが、今までは例えば呼んでくる方ですとか、いろいろな事業でもキャリアとかリーダーというのは今もすばらしい視点だと思うんですが、マネジメントがないんですね。
 何か物を立ち上げるときにはマネジメントの視点はすごく重要なので、もしこの事業展開の中に経営的な視点も含めたリーダーというか、リーダーの養成の中にきっと入っていらっしゃると思うんですけれども、そういう方々を呼んできてうまく見せながら教えていただく。そんなところを展開しながら、僣越なんですけれども、逆に言うと施設の方でも内部の職員の皆さんがそういう視点を持つことが重要なのではないかと思いまして。もしコメントがいただければ今後の展開で大変うれしく思います。
静岡市女性会館 松下館長
業務委託から3年やってきて、やはり自分たちの一番弱いところはマネジメントの視点だと思っています。女性会館の講座ではありませんが、先ほど御紹介した「NPOが元気になる棚おろし塾」ではマネジメントの視点を相当入れてやっております。今年は2年目ということで、事業規模1,000万円以上のNPOに限定して募集しました。応募は少なかったんですけれども、今、自分の団体も含め6団体を対象にマネジメント講座をやっています。秋に集中して丸1日の講座を2回やり、各団体の課題を洗い出しました。そして、受講後、どのように組織のマネジメントを心掛けたかを、この2月の半ばに個別診断してもらう予定です。3回とも同じ講師にお願いしています。そのようなNPOマネジメントのこともやっています。ただ、そういう講座の中でも女性の視点はとても大事だと思っております。今日、河野委員のお話を聞いたことを来年度の事業に生かしたいと思います。
袖井会長
どういうことを講師にお願いしていらっしゃるんですか。
静岡市女性会館 松下館長
講師は川北秀人さんという方で、社会事業家のマネジメント支援を主な活動にしていらっしゃるので、お招きしてお話を伺いました。
国立女性教育会館 鈴木事務局長
私ども国立女性教育会館では、「女性関連施設・団体リーダーのための男女共同参画推進研修」というものを実施しております。これは、施設の職員だけではなく地域の団体指導者も対象にしているもので、この方たちが常に男女共同参画の課題を共有化して、連携ネットワークを組んで推進していくことができるような研修の場を提供しております。これに関しましては、マネジメントというような内容が非常に重視されている今日ですので、全国女性会館協議会の御協力をいただいて、女性関連施設の部分について取り組んでいるところです。2年目の女性関連施設の調査研究については、各女性関連施設の自己点検評価等について調査を進めているところです。この研修や調査研究の中から御指摘のマネジメントに繋がるものが課題として出てきて、それを研修の中にインプットできればいいのではないかと思っております。
 このほか、私どもは女性のNPOを支援する研修も別に行っておりまして、行政、団体リーダーの方を対象に実施しているところです。
河野委員
ありがとうございます。私の伺い方が研修に特化してしまったかと思ったのですが、先ほど意識改革の話が出ていましたが、今の時代、全員がそういう感覚を持つということも意識改革の一つだと思うので、研修以外の日頃の仕事の中でのちょっとした工夫ですとか、またはそんなことはできるかどうかわかりませんけれども、インターンシップ的にどこかで学ばせて戻ってくるとか、いろいろ工夫をすることでもっと早く体験を伴って力が発揮できるということも、何か一つの試みで検討していただければと思います。以上です。
加藤委員
静岡市さんにお尋ねしたいのですけれども。ヌエックの御発表の中で連携先として社会教育施設は低くなっていたかと思います。そういう中で、静岡市は公民館との複合施設で、女性会館のホームページにもリンク先としてちゃんと公民館が位置付けられていますが、公民館と同じ屋根の下にいるということで、女性会館にとって何か利益といいますか、効果のようなものがありますでしょうか。
 もう一つは、パワーポイントの22ページに地域の社会資源との連携ということがございまして、次の23ページでは「仕事づくりフォーラム」や「女性と防災フォーラム」ということで、2月にも防災関係の事業の企画を御予定していらっしゃいますが、地域の社会資源との連携といった観点から、防災の企画を企業と協働で行うとか、あるいは男女共同参画以外の行政の他の部署と連携をするということを織り込んでいくことが可能だろうと思うんです。どなたか御専門の方を招いてお話を聞くということだけではなくて、そのようなことも今後お考えになっていらっしゃいますか。
 さらに、社会資源との連携ということで言えば、今、地域医療は非常に問題を抱えているわけですけれども、例えば静岡市内の医療施設との連携、あるいはDVにも絡んでくるだろうと思うのですが消費者センターとの連携ですね。多重債務などでお困りになっていらっしゃる方たちの中には、女性も子どもも暴力を受けて悩んでいらっしゃる方も入っているかもしれません。従来はしてこなかった社会資源との今後の連携についてお考えをおきかせいただけますか。以上です。
静岡市 村松副主幹
公民館との連携についてお話をさせていただきたいと思います。うちの方のアイセルが女性会館と公民館との複合施設になっております。非常に特殊な形態といいますか、同じ敷地で棟が違うというのではなくて、地上4階地下1階ですが、各フロアでもきっちり分けていないんです。2階の一部が女性会館であったり、3階の一部がどちらであったりと、櫛の歯が重なるようにくっ付いているものですから、利用者の側では、「私は女性会館を利用しに行きますよ」、「私は今度は公民館に行くよ」ではなく、「アイセルに行きます」というような形で認知されています。それで女性会館の認知度がなかなか高くならないということで、痛しかゆしの部分ではあると思うんですけれども。
 そういった意味では、新しく公民館の方が見えたりすると、全体の公民館研修の中で男女共同参画の視点などをお話させていただいたり、女性会館がこんな施設なんですよというお話をさせていただく中で、女性会館は1館しかないんですが、公民館は全部合わせますと三十数館、地区にあるものですから、そこでそういう男女共同参画の視点を持った講座を年間1つでも2つでもやっていただくところがあれば、経費を余計にかけずに男女共同参画の効果が広まるということもあるかと思います。実際には多少視点がずれている部分はあると思うんですが。ただ、女性のペーパードライバーの方が多いものですから、社会進出をしていく中で地域の運転教習所と協働して「ペーパードライバーさんいらっしゃい」という講座をしたり、割と多いのがお父さんの料理の講座ですとか、そういったものを各地区館でやっていただいたり。積極的な目に見える連携ではないんですけれども、公民館側でもそのあたりのところに意識を置いてくださっていて、そういったものを積極的にやっていただいている現状はあるかと思っております。
 あとは、こちらの指定管理者さんの方が具体的に各地区館と協働で事業をやっていただくといった事例もあるものですから、そういった意味ではわりといろいろなところで公民館の中では意識をしてやっていただいていると感謝をしている現状です。
静岡市女性会館 松下館長
同じ建物の中に2つの施設があるものですから、私たちの講座のネーミングやチラシの工夫は、私たちが入ってきてから公民館もいい意味で真似してくださるようになりました。私たちは、お客様が定員以上になるとすぐに「満員御礼」のシールを貼るようにしています。今のところ定員割れが1つもないので、毎回シールが貼られているのを見ていて、公民館の方からお尋ねがあって、私たちがお勧めする「エセナおおた」の牟田静香さんを御紹介して、市全体の公民館職員研修に牟田さんが講師として招かれたこともありました。
 北部公民館には「再就職講座をやりたいんだけれども」という御相談をいただいたので、私たちが企画をして自前の講師なども中に折り込みながら、外部講師も入れての講座を2年連続やらせていただいています。
 それから、地域資源との連携ですが。昨年度行った団塊世代の男性向けの講座では、料理のようなものは定番なんですけれども、元百貨店にいらした方におしゃれの講座をしていただきました。また、大きなスーパーさんに協力をお願いして、平日の昼間のお客様の少ない時間帯に30名ほどの男性をスーパーにお連れして、売り場ごとにお肉の見分け方とか、お野菜の見方とか、まず買い物から一人で始めていただくということをやらせていただいたことがあります。
 防災関係の事業の企画では、私たちは相談業務をやらせていただいておりませんので、実は医療とか、相談業務と繋がっていくことは大事だと思っているんですが、正直まだできておりません。今年度やった「弱者のための避難所シミュレーション」の講座では、地域の町内会や市の職員にも受講者としてご参加いただきました。
 消費生活センターとの連携は、スタッフの中に消費生活相談の現場で働いた者がいて、被害者が出る前に女性会館の講座の中で被害者をつくらない講座をやりたいという企画を持っております。来年度は実現したいと思っております。また、市内には「SOHOしずおか」など起業を支援する施設や中小企業を応援する施設、産学交流センターなどといった施設も新しくどんどんできていますので、全部自分たちで抱え込まないで、相談にいらした方にそちらの施設も御紹介しています。御紹介をしたときにはこちらからお電話をして担当者の方に、「女性会館に相談に見えた方が今度そちらに行かれるかと思いますがよろしくお願いします」というようなご挨拶をしたりしていますので、それが「女性ビジネスフォーラム」を一緒にやることにも繋がっていると思います。
阿部委員
ヌエックの調査について御質問したいのですが。指定管理者となっている団体の種類によって調査項目にどのような傾向が出ているのかということを、御存じであれば教えていただきたいと思います。特に男女共同参画を目的とした団体と、そうではない団体とで、どのように回答傾向が違うのかということに非常に興味がありますので、もし既にそういう分析がされていればお知らせいただければと思います。
国立女性教育会館 鈴木事務局長
大変申し訳ございません。そういう分析はまだいたしておりませんので、今いただいたものは宿題に持って帰らせていただきたいと思います。
袖井会長
本当は調査票を付けてくださるとよかったんですけれども、どういう文章でどういうふうに聞いたのかですね。
 では、山田さんどうぞ。
山田委員
2点あります。1点は静岡市さんにです。最近は、男女共同参画会館とかセンターとか名前を変えるところが多い中で、女性会館と銘打っておられるので、男性参加者の方と男性へのアプローチはどうなっているかということをお聞きしたいと思います。アプローチの方は結構なさっているような回答をいただいていますので、男性参加者の様子なりをお聞かせいただければというのが第1点です。
 第2点は、先ほど伊藤委員の言われた県との連携や地域における特性というところと関わるのですが。静岡市は合併なさいましたね。多分、合併前の幾つかの市にはやはり同様の施設なり施策なりがあったと思うんですが、それは結局どういうふうになったのかということをお聞きしたいのです。地域格差ができたのか、できなかったのかとか、そういうことを含めてお聞きしたいと思います。
静岡市 村松副主幹
質問の順序が逆になって申し訳ないのですが、まず合併に関して御説明をさせていただきます。
 私ども静岡市は、旧清水市と旧静岡市が合併をいたしました。旧静岡市には現在ある女性会館がありましたが、旧清水市には同様の施設がなかったものですから、現状でいいますと旧の静岡市、今の葵区には女性会館がございますが、それ以外のところには施設がないということですので、施設的な格差という意味では生じていることは正直あります。
 ただ、施設はないんですけれども、清水区と駿河区という区があるんですが、例えば年に何本かは意識的にそういったところに出て行って出前の講座をやるような形で施策は打っております。指定管理者さんも女性会館の名前を売るとか、あるいは男女共同参画の宣伝も含めて、積極的に外に出ていく方向でやっていただいています。ですから、施設はないんですけれども、出前講座のようなものを積極的にやっていただくといった形で動いていただいております。
静岡市女性会館 松下館長
男性へのアプローチということですと、先ほどお話をしました中高年男性向けのものはもちろん人気があるんですけれども、今年度大ヒットしたのは、「赤ちゃんへのプレゼント講座・ママの笑顔、パパと過ごす時間」です。1歳未満の第1子をお持ちのカップルに3人で一緒に来ていただいて、ママの方はフィットネスルームで骨盤の矯正体操などをしていただき、子ども室ではパパと赤ちゃんに遊び方とか絵本の読み方などの講座をやらせていただきました。
 講師とは何度も打合せをして、「公民館とは違う女性会館らしいお話をしてください」とお願いしました。当日は講師がお父さんたちに、「育児を手伝うというのではなくて、まずは忙しくて夜遅く帰ってきてもお母さんの話をちゃんと聞いてあげてほしい」とか、子どものいいところ探しなどいろいろなアドバイスをしてくださったので、とても楽しい時間を過ごせました。お父様方からも、「よそのお子さんと一緒にいたことがとても楽しかった」とか、「いざというときには同じ館内の別の場所にママもいるので、安心して子どもをだっこしていられた」という感想がありました。
 それから、先日は安藤哲也さんという、最近「パパ力検定」で話題の方が講師に来てくださいました。講座のタイトルを「2人のハッピーバランス」としましたところ、お2人での申込みが大変多かったというのも特徴的なところで、男性へのアプローチも積極的にしております。
 それから出前講座につきましては、「赤ちゃんへのプレゼント講座」は旧静岡市内で6倍以上のお申込みをいただいたので、すぐにアンコールということで、合併しました清水地区に出かけていって同じような内容で講座をさせていただきました。
 今年度、毎月実施している「女性のためのエクササイズ」の講座も蒲原という合併した地域に出かけて行って、女性会館があることをアピールしています。「女性のためのエクササイズ」の講座では、必ず予定している他の講座の案内をしております。健康講座は人気があり、男女共同参画ということではなく体を動かしたいということでいらっしゃるんですけれども、ご挨拶や講座の中で男女共同参画の大切さを、男女共同参画という言葉を使わないまでも一生懸命伝えるように努力しております。
渡辺委員
静岡市女性会館の事業のそれぞれが本当に輝いているわけですけれども、とりわけ報告書の「アイセルの風2007」の39ページを拝見しております。松下館長さんが1期生であったという「アイセル女性カレッジ」。この企画の戦略が実を結んで、今日NPOへ指定管理者制度の委託ができているのだと思っておりますけれども。カレッジの対象が、今回のチラシを拝見しますと45歳となっていますが、1期のときから45歳を一つの基準にしていたのでしょうか。先ほど来、若い人たちへの代替わりができにくい、どう人材を育成するかということが出ているかと思いますので、そもそもの「アイセル女性カレッジ」の人材育成講座の戦略について伺いたいと思います。
 それから、各論になりますけれども、対象を45歳にしているのはずっとそうなんでしょうか。前期と後期があって、前期が座学で後期がグループ活動という大きい括りのようですけれども、これは1期からそんな形だったのかということも含めてお教えいただけたらと思います。
静岡市女性会館 松下館長
私が受講しました1期から、前期後期2年度に跨っていました。秋の10月に開講して9月に修了するということで、予算を多く取るということを、担当者が考慮されたようです。
 私が受講しました1期のときは、市内の女性リーダーを育てるということで、市役所の各課の職員の方のお話を聞いたりしました。そして、後半はテーマを自分で決めてレポートを作成しました。5期までは常葉学園大学の居城舜子先生にコーディネーターとしてついていただきました。先生からは「きちんとレポートを書き切ることで修了しなさい」と厳しい指導がありました。それが自分にとってとても勉強になりまして、1期のときに私は「審議会は機能しているか」というテーマでレポートを書きました。情報公開制度を使って審議会の名簿を全部出していただきました。そうしましたら、その当時はまだ審議会の名簿が消されて真っ黒であったり、書式もまちまちでした。「審議会の情報公開を進める」「名簿の書式を統一する」「兼任の制限」「任期の制限」「議員さんが委員になっているのはおかしい」とか、いろいろな提案をさせていただきました。今、十何年経ってみるといろいろ審議会も変わってきております。そういうことで、自分の調べたことをきちんとレポートに残すことはとても大事なことだと実感しました。
 期を重ね、だんだん受講者が減っていったので、その当時の担当者から、「5期から何か新しいことをやりたいけれども」と修了生に相談がありました。そのときに私は、「5期からは総花的なものではなく、テーマを決めて1年間勉強するということもよろしいのではないでしょうか」ということを申し上げました。5期は「女性労働」、6期は「メディアリテラシー」ということでテーマを決めて募集をしました。テーマを提案したものですから企画運営委員として関わらせていただきました。そのときに感じた「仕事としてこういうことができるのは楽しいかもしれない」というのが今日に至っているかと思います。
 5期の「女性労働」のときはテーマが固く受講者が少なくて、結局修了したのは十数名だったんですが、ゼミのような雰囲気でしたので、NPOをつくるときに一緒にやろうという仲間の核になりました。それから6期の「メディアリテラシー」のときは、テーマに惹かれて男性2名の応募があり、修了されました。
 7期になって、私たちはいざ担う側になって何をテーマにしようかといったときに、先ほど申し上げましたように「SOHOしずおか」が女性の起業を応援していたり、いろいろな施設ができているので、では本来女性会館では何をやったらいいんだろうということを考えました。ヌエックでお話を聞いていた女性のチャレンジの、上や横へのチャレンジではなくて「再チャレンジ」を応援しようということで、組み立てました。年齢制限を設けずに募集しましたところ、30名の募集に58名の応募がありました。30歳を山にしたグループと50歳を山にしたグループの2つの山に分かれました。後半、グループ活動をやっていくときに、いろいろな世代の話を聞くという良さはあるんですけれども、それぞれのグループの相談に乗っていくのがなかなか大変な面がありました。
 8期では7期に40代の方がなぜ少なかったんだろうということもありましたので、女性のチャレンジ支援の中級編ということで「キャリアデザイン」をテーマにしました。主婦であったりパートであっても、それも自分のキャリアであるということ。キャリアアップではなくてキャリアプラスというふうに皆さんに考えていただこうということで企画をしました。それで、今回は初めて45歳以下という年齢制限を設けてやってみようと思いました。本当に40歳のところに集中して38、39歳から42、43歳の応募がありまして、今期は25名募集し、応募の30名全員を受け入れてスタートしています。毎回、期によって雰囲気は変わりますけれども、後半のレポート等、成果物を必ずつくるという1期からのところは、これからも譲らないでやっていこうと思います。
 ただ、7期のときなども、「仕事未満趣味以上で、こんなことはとても大変でやっていられない」という泣き言を言ってこられる受講生もいました。そのときに行政の方だったらどうおっしゃっるかはわかりませんけれども、私たちスタッフはほとんどが修了生なので、私たちもやり抜いてきたということで厳しいアドバイスをしました。「女性会館のフォーラムしずおかにはホスピタリティが足りない」とメールで苦情をいただいたこともあったんですけれども、修了式には皆、達成感を持って涙でお別れすることができました。
鹿嶋委員
今回のレポートの中で女性リーダーの育成が大きなテーマになると思うんですけれども、さっきの鈴木さんの調査で、やはりリーダー育成の場としての講座の受講ということがかなりあると思うんです。松下館長もアイセルカレッジの修了生ということで、まず1つは静岡市にお聞きしたいんですけれども、いわゆる講座修了生を女性リーダーとして育成するためのチャンネルのようなものですね。例えば審議会で積極的に活用するとかいうことがきちんとできているのかどうかをまずお聞きしたい。あるいは、松下さんのように自分で手を挙げて、講座は修了しても自己努力で積極性がなければ活躍の場が広がらないものなのかどうか。
 それから鈴木さんにお聞きしたいんですけれども。リーダーの育成として自治体でこういう講座修了生をいろいろな場面で活用していくということが、全国の女性センターの中で、今かなりできているのかどうか。そういうことをどの自治体が積極的に行っているのかといったようなことまでわかれば教えていただけますか。
静岡市 村松副主幹
人材活用の方法のところをお話させていただきたいと思います。まずカレッジに1年間参加されますと、その中から似たようなテーマで勉強を続けたいという方が必ず出てくるものですから、ここ何期か続けて自主学習グループが幾つかずつ巣立っています。その団体の方々に対して1年間は育成団体という制度を適用いたしまして、行政が積極的に無料でお部屋を取って、活用される場合には使ってくださいという制度があります。その1年が終わると今度は認定団体としてフォローをしていく制度があるものですから、制度上でもそういったフォローをしています。
 それから女性の人材リストがあります。カレッジ等を修了した方にその人材リストに掲載していいかどうか確認を取りまして、OKをいただければそれに搭載しています。今、審議会の女性委員の登用を進めているという現状があるものですから、市の方で持っている方針の中で「審議会等の委員を任命する場合は30%を超えるように努力しなさい。超えられない場合は男女共同参画課に相談しなさい」という文言が入っているものですから、30%を超えそうもない課から、「困ってるんだけれども、女性で誰かいい人はいないですか」という御相談を受けることがあります。そういった場合には、女性の人材リストの中から「この方とこの方はどうでしょうか」というような御紹介をしたり、そういった形の活動をしております。
 ただ、その女性の人材リストもここのところ活用の頻度といいますか、うちの方が内容を追っていっていないところがあるものですから、そこが今ネックになっております。ここ1、2年でそのへんのてこ入れをいたしまして、リストの現在形のものをもう一回洗い直して整理をしようということで、今検討をしている最中です。来年度以降そのところも力を入れながらやっていこう。まだこれは内部的な検討段階ですけれども、場合によるとメーリングリストなどもつくって、いわゆる公募の情報を委員さんたちに流して、「手を挙げられるものがあれば積極的に挙げてください」という形で情報提供できればいいというようなことも、今検討している最中でございます。
静岡市女性会館 松下館長
7期の受講生に限ってお話をさせていただきますと、今年度の協働講座に修了生がグループをつくって2団体応募してきました。1つは「女性ドクターに聞く35歳からの心と体の健康講座」です。「女性外来と性差医療」、「大人のストレス心の曲がり角」、「更年期なんて怖くない」というタイトルで3回の講座をやりました。同じような企画が静岡YWCAさんからも出ましたので、その2つの団体を繋いで「一緒に講座をやりましょう」ということで、若い修了生の団体が静岡YWCAさんのような歴史ある団体の力も借りまして、好評のうちに講座を終えました。
 それからもう一つは、7期生の中の50代の人たちが「コスモス」というグループをつくってアロマとコミュニケーションを結び付けて応募してきました。これも「香りでコミュニケーション」という講座になりました。こうした協働講座には各企画に10万円のお金を予算化しております。
 それから、『お話聞きたい』という小さな冊子をお配りしましたけれども、それも7期の修了生から生まれました。7期修了の成果物として、市内各所の「読み聞かせ」の活動を調査し、折りたたみマップをつくりました。このときには葵区と駿河区しか調査できず、A3の普通紙に簡易印刷したものなので、使っているとぼろぼろになってしまいます。「もっときれいな保存版を作りたい」「清水区も入れたものを何とかつくりたい」という修了生からの相談がありました。男女共同参画課や子育て支援課にもいろいろ一緒に回りまして助成金の情報などをいただきました。その結果、WAM(独立行政法人福祉医療機構)の助成事業に応募して120万円獲得することができました。応募のときには、推薦文を私も一生懸命書いてその団体を応援しました。助成金をいただいて2万部印刷して、現在、市内各所で配られるという結果になりました。そのグループはたった4人ですけれども、ホームページも立ち上げてとても元気に活動をしています。彼女たちがイベントをやるというときは、修了をした人たちが協力をして応援しています。
国立女性教育会館 鈴木事務局長
鹿嶋委員から厳しい御質問をいただいたのですが、そういった人材活用の状況については直接調査してまとめておりません。御承知のように国立女性教育会館では情報提供事業を行っており、この中で男女共同参画に関する人材のデータベースというものをつくっております。ただ、この人材のデータベースというものを作成する場合には、やはり個人情報を重視しなければなりませんので、現在のところ、私どもの事業等に関わった講師等の方の情報を、掲載してもいいという方のものについて提供しているところです。
 また、研修の成果を何らかの形で地域に還元している、例えばリーダー育成のための講座をしたり、あるいは講師をしたりということを実際にフォローアップ調査の中から知ることができます。しかし、今、鹿嶋委員に御質問いただいたような全国的な活用傾向についてはまだ私どもは十分に調査をしておりません。今日いただいた御質問をきちんと持ち帰り、検討しまして、今後の事業に生かしてまいりたいと思います。
桜井委員
ヌエックと静岡に1つずつ質問させてください。
 まずヌエックですが、ここ2、3年、ヌエックでは女性リーダー研修を、男女共同参画センターの管理職研修と女性リーダー研修とを同じ日に行っています。内容的には、共通の抗議もありますし、途中で2コースに分かれてと、工夫はなさっているようですが、研修の目的も内容もこの2つの対象者では大きく異なると思います。内容を一部変えていますが、それにしても一緒に行うという理由はどのようなものでしょうか。また、今後もその方向でしょうか。
 それから、さらに女性リーダーと一口に言っても、旧来からある婦人団体の女性リーダーと、最近たくさん出ているひろば事業などを行っているNPOなどの女性リーダーと、国際的に活躍するNGOなどの女性リーダーとは、抱えている課題も背景も求められるものも全然違うのではないかと思うんです。それを一括りの女性リーダー研修でいいのかという疑問があります。個別に行えば、大変な手間がかかるのはよくわかるのですけれども、いずれにしてもこれまでの形で実施するのであれば、そこにどういう工夫をこれからなさろうとしているのかをお聞きしたいと思います。
 もうひとつ、これはヌエックだけの問題ではないと思いますが、女性リーダーを発掘したり、養成していくというときに、キャパシティ・ビルディングという視点が欠けていると思うのですが、いかがでしょうか。リーダーの力をつけていくという場合、どうしても個人にフォーカスして、ミッションを理解させ、スキルを高め、経験を積ませてという研修が多いように思えます。しかし、女性関連施設であってもNPOであっても、大切なのはキャパシティ・ビルディングという視点ではないかと。マネジメントの視点から、組織基盤の強化、充実を図るということがなければ、人は育ちませんし、リーダーは出てこないのではないかという考え方がありますが、いかがでしょうか。
 それから、アイセルと静岡市にも伺いたいのですが、最初に「単に経営の効率化だけでなく」とおっしゃって、それは私たちにとっては大変勇気づけられるというか、そういうふうに指定管理者のことを考えてくださる自治体もあるのかと思いました。それを是非他の自治体にも勧めてほしいと思います。
 静岡市に質問ですが、先ほどのお話でも1,000万円の予算規模を持つNPOに研修というか、講座を実施して、その団体が力をつけることを支援しているということですが、例えば男女共同参画の推進をミッションとするような別のNPOが力をつけていくと、次の指定管理者募集の際にその団体が松下さんたちのように手を挙げるかもしれない。ということは、コンペティターをつくる事業といえないこともないわけです。あと4年の間にそこが成長してコンペティターとして指定管理者を獲得するかもしれない。しかし、考えようによっては、松下さんたちの事業が大いに成果をあげたともいえるわけで、指定管理者制度の矛盾ともいえます。静岡市としては、次期の指定管理者はやはり公募で決めていくのでしょうか。指定管理期間の成果を考慮して選考ということも考えられますが。
静岡市 村松副主幹
まず静岡市の次回の選定方法ですけれども。今回も当初から1団体に限定をしたいということでやったわけではなく、49団体から5団体に絞って、5団体にいろいろなヒアリングをした中で、1つしか手が挙がらなかったものですから1つに限定をしたという前提があります。ですから、決してうちの課としてこちらの団体でなければということではなかったのです。どこか手が挙がれば、是非公開の場でプレゼンをやっていただいて、優劣を決めたうえでいいところにお願いをしたいというスタンスです。今後に関しても、これが決して既得権ではないものですから、いいところが育ってきて競っていただければというのがうちの考えです。
桜井委員
事業の継続性というようなことはどうお考えですか。
静岡市 村松副主幹
そういった意味も含めて、事業年数は当初3年というのを5年をとにかく死守したいということで、財政当局等、あるいは議会とのお話の中で5年でやらせていただきました。人材育成、団体育成にはやはり3年では短いだろう、最低5年というスパンは欲しいということで5年を確保したのは大前提であるんですけれども、既得権ではないものですから、よりいい団体が出てくればそちらにお願いをする可能性はあるんだというスタンスは持っております。
国立女性教育会館 鈴木事務局長
桜井委員からの御質問でございますけれども。私ども会館では、先ほど御説明しましたように、女性の関連施設の職員の方を対象にした研修と、いわゆる地域の女性リーダー、団体、グループ、このグループの中にはいわゆるNPOの方も入っておりますが、こういった方々を対象にした研修を、施設コース、もう一つは団体のコースというふうにコース別に分けて実施しております。ただ、共通の項目がございまして、例えば先ほど御説明した中で、施設の管理職の方は常に新しい情報、それから地域のネットワークづくりを非常に重視しているということもございましたので、団体や地域の方との交流、ネットワークづくりを施設の関係者の方も当然求めていると私どもでは考えておりまして、ともに交流をする、目的は同じでも、あるいは方法が違うかもしれませんが、相互に交流する場や講義は共通の時間として設定しております。このことにつきましては、やはり地域は施設が拠点ですけれども、利用者あっての施設ですので、施設を取り巻く団体、グループの方が当然いてこその施設ということで、合同の研修は今後も引き続き実施していくつもりでおります。
 なお、このことに関しましては実際の参加者のアンケート調査、それからフォローアップ調査からも、「普段地域、地元にいるけれども、一緒に出会って話し合うことが少なかった」とか、「こういう場で交流をして他県の情報、全国的な情報が聞けてよかった」、「他の地域の女性関連施設ではこういうことをしているという新しい情報を入手できた」という団体の方からの声がございました。やはり、共に地域で男女共同参画に関わる方々が交流したり、連携をしていくための共通理解を深める場を提供することは非常に重要だと思っております。このことは是非今後も進めてまいりたいと思います。
 もう一つ、16年度に国立女性教育会館は事業の改廃に関する勧告の方向性というものを提示されました。その一つに、女性関連施設のリーダーの方だけではなくて、いわゆる女性団体、地域の基幹的指導者の方を対象にした研修もする必要があるということがいわれています。
 やはり効率的、効果的に事業を実施する必要があるので、目的を同じくするところを、ある部分は時間を一緒にして、あるところはそれぞれのニーズに合わせた事業展開をするという手法で18年度から実施しているところです。このことにつきましては、全国女性会館協議会の協力・連携をいただき、お知恵をいただきながら実施しているところです。女性団体、グループのリーダー、そして女性関連施設は、私どもからしますと全て地域の基幹的指導者層というような理解です。この基幹的指導者は、16年度の勧告の方向性でこのように表現されておりますので、これを具体化して、今実施しているところです。
袖井会長
どうもありがとうございました。そろそろ時間も過ぎておりますが、この際是非とも発言なさりたい方はいらっしゃいますか。
 では、室伏先生どうぞ。
室伏委員
大変面白い、興味深い試みをしていらっしゃると思って感心しながら伺っておりました。
 ヌエックの調査で、最後の女性リーダー育成の課題というところで、リーダーの育成が同じような人に偏ったり、高齢化の傾向があったり、若手がなかなか育たないという問題、それから育成してもフォローアップが難しいという問題が挙げられております。静岡市の場合にはこれから始まったということで、こういった問題が今後の課題として出てくる可能性もあるだろうと思っておりますけれども、私は、皆様がなさっていらっしゃるこういった非常に面白い試みが、短期的に終わってしまうのは非常に惜しいと思うんです。
 ですから、例えばそこで育った人たちがもっと専門的な学びの場を求めるときには、是非その地域にあるいろいろな社会資源、大学ですとか、私は科学技術分野なものですから科学館とかいうものがすぐ頭に浮かぶんですけれども、そういったところと連携をして、専門的な学びの部分はそういったところから助力を得て続けていくというようなことも必要ではないかと思っております。是非今後とも頑張っていただきたいと思います。以上です。
袖井会長
どうもありがとうございました。少し時間が過ぎてしまいましたが、本当に今日は長時間ありがとうございました。確かに上川大臣が感銘を受けたとおっしゃったように、静岡市女性会館は本当にすばらしいいろいろな事業を展開していらっしゃって、今後が本当に楽しみでございます。それから、ヌエックも厳しい財政状況の中で本当に頑張っていらっしゃって、先ほど年間1,000万円ずつ消えていくと、これは将来的になくなってしまうのではないかとすごく心配なのですが、今日は本当にいろいろな大きな問題が提起されました。財政の問題、リーダー養成の問題、連携の問題と、難しい問題が浮き彫りにされて本当によかったと思います。どうもありがとうございました。
 以上で自由討議は終わりにさせていただきます。
 次に資料4でございますが、11月29日の第33回基本問題専門調査会の議事録案を事務局でまとめていただきました。このとおりに決定し、内閣府のホームページ等で公開することとさせていただいてよろしいでしょうか。
 それでは、速やかに公開することにいたします。
 最後に、事務局から何か報告事項はありますか。
推進課長
次回ですけれども、2月18日月曜日、15時からこの建物の3階の特別会議室で開催する予定でございます。詳細につきましては追って御連絡をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。以上です。
袖井会長
どうもありがとうございました。
 それでは、基本問題専門調査会の第35回会合を終わりにさせていただきます。本日はどうもありがとうございました。

(以上)