- 日時: 平成20年7月14日(月) 15:00~17:00
- 場所: 永田町合同庁舎第1会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 袖井 孝子 お茶の水女子大学名誉教授、東京家政学院大学客員教授
- 会長代理
- 鹿嶋 敬 実践女子大学教授
- 委員
- 阿部 正浩 獨協大学教授
- 同
- 伊藤 公雄 京都大学大学院文学研究科教授
- 同
- 帯野 久美子 株式会社インターアクト・ジャパン代表取締役
- 同
- 加藤 さゆり 全国地域婦人団体連絡協議会事務局長
- 同
- 桜井 陽子 財団法人横浜市男女共同参画推進協会理事
- 同
- 住田 裕子 弁護士
- 同
- 辻村 みよ子 東北大学大学院教授
- 同
- 平野 治生 財団法人日本広報センター理事長
- 同
- 渡辺 幸子 多摩市長
(議事次第)
- 地域における男女共同参画推進の今後のあり方について(男女共同参画会議で出された論点等の検討)
(配布資料)
- 資料1
- 地域における男女共同参画推進の今後のあり方について
- 資料2
- 基本問題専門調査会 第36回議事録(案)
- 資料3
- 基本問題専門調査会 第37回議事録(案)
- 袖井会長
-
時間になりましたので、基本問題専門調査会の第40回会合を開催いたします。
議事に入る前に、男女共同参画局の人事異動につきまして御紹介いたします。
齋藤審議官、久保田総務課長、酒巻調査課長が就任されました。それぞれごあいさついただければと思います。 - 齋藤審議官
- このたび男女共同参画担当の審議官になりました齋藤でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。
- 久保田総務課長
- 同じく7月1日付けで総務課長を拝命いたしました久保田でございます。よろしくお願いいたします。
- 酒巻調査課長
- 7月4日付けで調査課長を担当することになりました酒巻と申します。どうぞよろしくお願いいたします。
- 袖井会長
-
それでは、本日の議題に入ります。本調査会では、昨年7月以来、地域における男女共同参画推進の今後のあり方について調査検討を重ねてまいりました。これまでの検討結果を中間報告として6月13日の男女共同参画会議で報告させていただきました。その際に、議員の方々からいただきました御意見について協議するとともに、最終的な報告書の取りまとめに向けて進めていきたいと思います。秋には最終的な報告書をまとめたいと考えております。
それでは、報告書の取りまとめに向けたスケジュールと、男女共同参画会議で出されました御意見を基に作成しました本日の論点等について、事務局から説明をお願いいたします。 - 安田企画官
-
それでは、御説明させていただきます。基本問題専門調査会のスケジュールという1枚紙が入っていると思います。今までにやってまいりましたことと、これからの予定を書いております。委員の皆様方の御意見を踏まえまして、6月13日の男女共同参画会議で中間整理を御審議いただきました。そこで出た御意見等を踏まえまして、今回の7月14日と次回の8月4日に御検討いただきまして、その意見の出方によって9月11日に予備日を設けております。大きな修正等がございませんでしたら、8月4日で調査会を閉めさせていただいて、最終的に委員の皆様方に確認をとらせていただいてはどうかというのがスケジュールでございます。
今回の資料としましては、基本問題専門調査会第40回の論点ということで、両面コピーで2枚紙のもの。「地域における男女共同参画推進の今後のあり方について」、これは事務局で中間整理に事例等を追加してございます。それから、その附属資料としてカラー刷りのものがお手元にあろうかと思います。
まず、論点を御紹介させていただきまして、今回御議論いただければと思います。
最初の論点は、「1 就労中の男女や退職後の世代が地域活動の新たな担い手として参画していくための課題とその解決方法でございます。参画会議で、今までは主婦層が主として男女共同参画を担っていただいていたわけですけれども、これからは就労中の男女あるいは退職後の世代と、人が入れ替わっていくだろうという問題意識を発言された議員がいらっしゃいました。それもありまして、今後の男女共同参画を担っていく層として就労中の男女、それから、退職後の世代に光を当てまして、まず1つ目として、地域活動を始めるインセンティブをどのように考えるか。
それから、勤労者が感じている地域活動の問題点、よく言われることですけれども、時間・情報が不足しているということでして、こういった問題をどのように克服するか。
それから、これも参画会議で御指摘がありましたけれども、退職後の世代は地域活動に対して非常に意欲はあるけれども、なかなかきっかけがつかみにくいということがございました。そういったことについてどのような方策が考えられるか。
4番目として、従来の中心的な担い手であった主婦層、それから、新たに参画するであろう働いている世代の男女や退職後の世代、その辺の連携・協働をどのように考えるか。
最後に、今回の中間整理もそうですけれども、男女共同参画センターをやや紙面をとって紹介しておりますので、地域の拠点であるべき男女共同参画センターがそういった課題にどのように役割を果たしていくのかという問題意識を書かせていただいております。
今の段階の中間報告でもかなり言及している部分はございますので、枠囲いの中で中間報告の関連する記述を入れております。地方公共団体の事業等に男性と若年層の参加が少ない。それから、多様な世代・性別の人々が協働していくためには、それぞれの立場を考え、尊重してきめ細かなコミュニケーションが必要でしょうということ。それから、参加しやすい環境ということで、活動時間の工夫や託児所の設置、男女共同参画に関心のない層にどのようにアプローチするかということで、インターネットや携帯電話等の事例を書いております。
「2 地方公共団体の厳しい現状の中での、効果的な人材育成・確保の具体的な方策」。前回の基本問題専門調査会で、やはり人材育成のところでいくつか御意見をいただきました。記述がやや人ごとのようだというコメントをいただいておりまして、それなりに変えたつもりですけれども、せっかく時間をとっていただいておりますので、人材育成、地方公共団体、男女共同参画センター、それから、地域活動の担い手であるNPOであるとか、その他の関係団体の人材育成という、やや広い切り口で御議論いただければと思います。
その1点目として、地方公共団体の人員、予算とも非常に厳しいということです。その中で有効な人材育成・確保のあり方をどのように考えるべきか。
それから、今年の男女共同参画白書で、地域における男女共同参画を今回の基本問題専門調査会と若干シンクロするテーマで入れています。その中の一つのキーワードとして、連携・協働型のリーダーシップということが、特に女性を中心とした地域活動の一つの特徴ではないかという分析をしています。そういったことをはじめ、今回この報告書で男女共同参画の第二ステージという提言をしております。その第二ステージにおける人材に必要なのは、どういった能力や要件、どのようなリーダーシップであるか、どのような活動のやり方か、そういったものを織り込みながら、どのような育成方法があるのかという点でございます。
3番目として、最初の論点と同じですけれども、その中で男女共同参画センターがどのようにかかわっていった方がいいのかという論点を掲げております。
人材の話も枠の中に入れております。今までに出されたもので尽きているのかもしれませんけれども、最初のところでは予算・人員というのが非常に厳しいと。特に指定管理者制度の中で、なかなか人材の確保が難しくなっているおそれがあるのではないかという記述。それから、養成の仕方として、単なる座学や知識の伝達にとどまるのではなく、やはり実践的な活動の中で養成していくべきであるという部分。それから、男女共同参画センターといってもいろいろな規模、いろいろな職員数のものがあります。その中で特に核となる男女共同参画センターが広域的な職員研修などを実施するという方策もあるのではないかという指摘を中間整理の中でしております。
4番目は最初と重なりますけれども、特に指定管理者制度の中で、経費削減のみを目指して指定管理者制度を導入することは、職員の処遇が低下し、結果として優秀な人材の確保に困難を来してしまうという問題点。それから、国立女性教育会館の役割、それから、第二ステージを担う人材として、理念・知識だけではなく、実践的な活動を通じて養成していくべきであるということを書いてございます。
3つ目の論点は、6月13日の男女共同参画会議の中で御指摘があったものです。特に、日本の中にも伝統的な意識が強いところ、弱いところいろいろある中で、現状を踏まえてどのように男女共同参画を進めていくのかという問題意識でございます。
1点目としまして、地域住民に男女共同参画の考え方が受け入れてもらいにくい場合、どのような視点が有効かということです。例示として、最近いくつかのセンターの方が言っておられる考えですけれども、男女共同参画の看板をどのように掲げるのかという問題。表に出すのか、裏に置くのかといった問題かと思います。
次に、意識の違う地域団体と連携・協働するための工夫。
それから、今回の基本問題専門調査会の中間整理では、男女共同参画のための地域活動だけではなく、様々な分野の地域活動をやっていく中で男女共同参画が実現するというコンセプトにしておりますので、男女共同参画を主目的としない活動もますます盛んにしなければいけない。ただ、盛んにするだけではなくて、そこで男女共同参画の重要性を理解してもらう必要があるのではないかという問題意識でございます。
最後に、他の2つの論点と同じですけれども、地域の拠点である男女共同参画センターがどのように絡んでいくのかということでございます。
中間報告の関連する記述を枠で囲った中に入れておりますが、最初のところでは固定的役割分担意識がいまだに強いということ。2番目は、そういった実情はいろいろなので、創意工夫した取組を粘り強く進める必要がある。それから、男女共同参画をわかりやすく地域の実情に応じて進めるためには、いろいろな工夫があるのではないかということです。ここでもインターネットや携帯電話、それから、男女共同参画以外のイベントに出向いての啓発など、いろいろなやり方があるだろうという指摘を中間報告の中で書かせていただいております。最後に、地域のニーズを的確に把握し、それを踏まえた情報提供ということです。
以上が論点でございます。
報告書の本文は、変更したところを赤字で書いてございます。主として2ページでいくつか図表等を追加してございます。例えば、男女共同参画に関する意識の状況ということで、地域別に意識の差が見られる点がありまして、図2を追加しております。これは白書の方でも使いましたけれども、各県で実施された調査でとれる限りのもの、本当は全部47都道府県とれればよかったんですが、その中で男女共同参画の意識に関して同じ問いを発しているものを並べてございます。
それから、図3~5で、地域のつながりを既存の調査を基に加えてございます。
図15~19、地域活動への参加の関係のデータを加えてございます。それが図表の追加でございます。
それ以外は、てにをはの修正やいくつか文章整理をしていますけれども、それ以外の部分は事例です。6ページの京都府の八島おかみさん会、愛媛県のからり農産物直売所と、21ページの兵庫県の男女共同参画推進員など、事例を数多く加えてございます。
以上でございます。 - 袖井会長
-
どうもありがとうございました。
論点をいくつか挙げていただきました。これは主に男女共同参画会議で議員から出てきた論点でございます。これを一つずつ論ずるというよりも、報告書に沿って検討して、これはかなりいろいろなページにまたがっておりますので、それぞれのページで該当する部分に加えていきたいと思います。
では、最初から見ていきたいと思います。目次は前と同じですね。I~IIまで、3ページまでですが、一番最初が前文といいますか、「地域における男女共同参画推進の今後のあり方の提起」でございます。IIが「地域における現状と課題」でございまして、そこにはいくつか新しく、皆様の御要望にお応えする形で新たな図表が加えられております。それから、2ページには、赤線で文章が加えてあります。
ここのI~IIまでで何か御意見や訂正はありますでしょうか。この部分はあまり大きな訂正はなかったと思いますが。てにをはなどいろいろなところで、もしお気付きになったことがありましたらご発言いただきたいと思います。 - 辻村委員
- それでは質問させていただきます。本日の追加論点の中で、男女共同参画会議の方から、従来は主婦層の担い手が中心だったけれども、新たに参画する担い手は異なるというように、職種というのでしょうか、初めて主婦か主婦でないかという切り口が出てきているのですけれども、この報告書では2ページの3の(1)で、世代と性別に偏りがあるということしか記されておりません。私はこれでいいのではないかと思うのですけれども、ここで見せていただく限り、世代と年齢ですべて処理されていて、専業主婦かどうかという分類の統計は今回示されていないと思うのですが、これについては参画会議の方の御意見はお聞きするだけで、別に反映しなくてもいいという処理でよろしいでしょうか。
- 袖井会長
- これは、たしか資生堂の岩田さんの御意見ですけれども、彼女はむしろ働く男性の参加というところで、主婦というウエートはあまりなかったんですね。「今までは主婦だったけれども」というような形で、特に主婦をクローズアップされたということではないんです。彼女の意見としては、むしろ勤労者や働く男性がもっと参加すべきではないかということでして、その手のデータはあまりないですね。
- 住田委員
- 専業主婦が担い手であるという認識自体も、私は少し違和感を持っています。特に地方に参りますと、地場産業であるとか地域に密着した農業・商業、その他の形で企業をやっていらっしゃる女性が推進力になって、非常に力強い動きをしていらっしゃいますので、あまり都会的な切り口で考えない方が私はいいと思います。
- 袖井会長
- 現役のころからやるべきだというような御意見だったんですけれども、それは入っていないですよね。
- 阿部委員
- 私が勘違いしているのかもしれませんが、地域活動の定義をもう少しはっきりしたらいいのではないかと思います。2ページの2の(2)で、地方公共団体においてはといろいろ書いてあります。福祉、教育、環境、防災・防犯、産業振興等と幅広く地域活動を言っているんですね。ところが、地域活動になると、物すごく狭いところの地域活動しか見ていないようで、だから引退した人しか参加できないとか、主婦しか参加できない。ところが、その上では産業振興も入っているんですよね。ですから、そこをもう少しクローズアップしないと、今のように誤解が生まれるのではないかと思います。
- 袖井会長
- ただ、産業振興というのはどちらかというと地域のうち自営業の方で、いわゆる参画会議で出たのはサラリーマン男性がもっと地域に加わる方がいいというような御意見だったと私は理解していたんです。だから、その辺のところはあまり今回入っていないような気がするんです。
- 伊藤委員
-
今の阿部さんの意見にも、会長の意見にも賛成ですが、勤労中の男性の参加を、どこかで視野に入れた文言が一言あってもいいんじゃないかというのが一つ。他方で、地域活動といっても、いわゆるボランティア活動みたいなイメージだけではなくて、福祉や教育や環境や防災・防犯、産業振興、もっと言えば観光も含めて、実は男性が中心になって担っている地域活動のようなものを男女共同参画の視点で見直す必要性もあるんじゃないかと思います。その2つをもう少し書き込んでいただくと地域活動のイメージが出てくると思うんですね。それは先ほど阿部委員がおっしゃったように、いわゆるボランティアで地域の町内会でやっているような活動と、もう少し地域に関わっているさまざまな活動とを両方視野に入れる形で書いているわけですけれども、それがもっとわかる形で書き込んでいただくとすっきりするんじゃないかと思います。
その中で、男性たちは、むしろこういう防犯・防災とか産業振興と関わっているわけですが、そうではなくて、本当に身近な地域活動に男性たちがもっと参加できるようなメッセージを書き込むということだろうと思います。 - 袖井会長
-
ありがとうございます。
確かに、産業振興などは自営業の男性なども非常にかかわっているので、ちょっとステレオタイプ的なパターンになってしまっている気もしますよね。その辺を考えます。 - 伊藤委員
- 公的な地域活動は、むしろ男性主導になってしまっていることの問い直しというのは、はっきり視野として持った方がいいのではないかと思います。
- 袖井会長
-
他に何かございますか。
例えば、サラリーマン男性がボランティアや地域活動をどれだけやっているかというデータはありましたか。あまり見たことがない。定年退職者はよくあるんだけれども。 - 塚崎推進課長
- 後ろの資料のですが、図18に「ボランティア年代別種類別行動者率」を載せてあります。そこで年代別に男性・女性について、参加しているボランティア活動の種類を書いております。その中に、サラリーマンとは限っていないんですけれども、40代、30代の男性の地域活動の状況が出ています。
- 伊藤委員
- 先ほど申し上げたことを繰り返しますと、例えば、まちづくりなどですと40代以上はむしろ男性が中心になっているのが見えてしまっているところがある。ただ、子どもを中心とした活動になると、やはり30代の女性が中心になっている。その辺のところを一回どこかできちんと書かれて、その上で、男性がもっと参加してもらいたいところと、女性がもっと参加すべき領域を書き込んでいくというのも考え方かもしれないなと思います。
- 鹿嶋委員
-
参画会議で岩田さんが言われたのは、特に専業主婦というイメージではなくて、地域活動の担い手と言うとごく一般的に主婦ということで言われるけれども、そこにこれから定年退職する団塊世代もいるわけだから、男性あるいは元気な高齢者も入っていくべきだという趣旨だと私は理解しているんです。ただ、意外にもう男性は入っているんですよね。逆に私がむしろ心配しているのは、論点1の下から2つ目の「・」で、従来の中心的な担い手であった主婦層と、新たに参画する担い手の連携・協働のあり方です。今、伊藤さんも似たようなことを言われていたけれども、要するに男性がまたそちらでもリーダーシップをとってしまうわけです。従来の担い手である主婦たちの中で、またトップの方に男性が立ったりして、地域の担い手も主婦がワーキンググループになりまして、ヘッドは男だという構図はもうできつつあるわけです。それから、「親父の会」というのは全国にたくさんできてきていますから、その人たちの活動も相当盛んなんですね。彼らが今後地域にかなり出てくることは確かなので、軟着陸をいかにしてもらうかというのは非常に大事な視点だと思うんです。
ただ、もう一つ、年齢的なことがあるのは仕方がないことで、そこで男の役割、女の役割と決めることは、ちょっと違うんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。そういうふうに決めてしまっていいのかどうか。 - 伊藤委員
- 私が言いたかったのは、つまり従来女性が中心になってきた子育てであるとか、ここで言うと安全・安心のような身近なところに男性がもっと参加してほしいという形の言い方をする必要があるということです。他方では、まちづくりであるとか産業振興あるいは防災という、女性が今までほとんど参加しなかったところには、むしろ男女共同参画の視点を持ち込みながら地域をつくっていくということをはっきりおっしゃった方がいいんじゃないかということです。もちろん今、鹿嶋委員がおっしゃるように、男性がリーダーシップをとるということだと結果的に男女共同参画にならないわけで、男女共同参画の視点に立った相互乗入れの中で地域をつくっていくということをはっきり書かれたらどうかという提案です。
- 袖井会長
-
わかりました。確かに図18などを見ると、地域活動における性別分業がはっきり出てきてしまっていますので、その辺の相互乗入れをするということと、もう一つは鹿嶋委員がおっしゃったような、男性が入ってくることによって男性がリーダーシップを握らないということですね。その辺ははっきり分けて書いた方がいいかなと思います。それから、ここであまり書かれていなかったけれども、やはり現役のころからの、特に現役のサラリーマン男性の参加はなかなか難しいと思うんですね。長時間労働、長時間通勤で。でも、まさにそれこそがワーク・ライフ・バランスですから、その辺りのことも書き加えていく必要があるかなと思います。
その他に何かございますか。 - 辻村委員
- 若年層の参加が少ないという点に関連して、高校生や大学生という本当の若年層、地域の男女共同参画にとってはそういった人たちへの啓発も非常に重要なことだと思うのですが、これについては、ここでは度外視するという前提でよろしいですか。後で、主体のところで大学とか研究機関が出てくるのですけれども、高校生のイベントをするとか、そういうようなことは今まで一度も出てこなかったんですが、どうなんでしょうか。
- 袖井会長
- 後の方の連携というのは、むしろ仕掛ける方の連携であって、対象者としての教育機関にいる人たちは入っていないと思います。ですから、やはりそれも必要ですよね。
- 伊藤委員
- 今の点に関連してですけれども。例えば今、大学と地域社会については、生き残りをかけて大学が動き始めているわけです。ところが大学の方にまだ男女共同参画についての視点がないということもあって、地域づくりと大学との関連をつくりながら動き始めているときに、その問題がなおざりになっている。商店街の活性化などというテーマになりがちなわけです。今私が始めているのは、京都府、京都市、京都大学の男女共同参画の提言を学生に調べさせてまとめさせるという形で、京都府、京都市と連携しながらやっているんです。例えばそういう動きをもっと大学がやり始めると、若い世代にもちょっと入ってくる。あるいは高校生にどういう形でまちづくりと男女共同参画の話を組み入れて事業を組み立てるのかという話も、ちょっと考えてもいいのではないかと思います。
- 袖井会長
- 桑折町で子どもにカルタを作らせていましたよね。あれなども一つの例だと思います。大学の地域貢献を盛んに言っていますけれども、具体的にどうでしょう。
- 伊藤委員
- 男女共同参画はあまりやっていない。地域貢献はみんな一生懸命やっているんですけれども。
- 袖井会長
- 商店街の活性化は、一応、評価項目に入っているんですよね。
- 住田委員
- 今回の論点のうち、今後更に地域活動を広げるためにどうしたらいいかという論点は本当に難しい問題だと思っています。子育て中のお母さん方が、子育ての問題だけではなく、ボランティアや社会的な活動に参加するときに、子育てをみんなでしていてその間は御自分が子どもとは別の独自の活動をするというような機会をもう少し増やすことができないのかという視点があるといいのではないかと思います。といいますのは、サラリーマン世帯だと育児休業中のお母さんも子育てに専念していますけれども、自営業においても、やはり育児中は社会参加を一切諦めて子育てに専念しているという全く同じ構図が見えておりまして、今の核家族の中で子育てに対する不安感というのは多くの人が持っているんですね。託児施設がかなり増えてきましたけれども、ボランティア活動も20代の後半に大きな谷をつくっているわけですから、その方々が地域でいろいろな活動ができる場をもう少し広げるような設備や制度を広げていくという考え方はいかがでしょうか。子育てネットワークで何かありましたけれども、それだけではなくて、もう少し広くあった方がいいのではないかと思います。
- 袖井会長
-
そうですね。地域活動参加困難層ですね。子育て中の母親もそうですし、多分、勤労男性もそうだと思いますので、やはりそういう人たちに対するアプローチや支援を考える必要があると思います。
では、その他に最初のところはよろしいでしょうか。特に、新たな担い手ということではどうでしょうか。
それでは、次の「III 今後の地域における男女共同参画推進の基本的な方向性」というところ、非常にページ数が多くて、事例がたくさんありますが、16ページまでの事例の扱い方などについて、それから、文章なども気になるところがあるのですが、何か御意見ございますか。 - 伊藤委員
-
実は、6月末に鹿嶋委員の代わりに鳥取県に行ってきました。鳥取県の全市町村で組織されている男女共同参画推進条例をつくる会というグループの集まりで話したんですけれども、大変面白かった。男性もいたんですが、100人ぐらいの聴衆が県内から集まられました。副知事がコーディネーターをされて、何人かの男性の首長さんが登壇されて、それに女性の元市会議員の方が参加する形のシンポジウムをやられたんです。すごく平場の会話になっているというか、見ていてすごく面白かった。首長さんたちも、参加者は必ずしも自分の住んでいるところの有権者ではないわけですけれども、意見が出るとそれに対してかなり熱心に答えようとされる。条例をつくっていないところの首長さんも理由を説明したり、これからこうしていくんだというお話をされたり、あるいは既に条例をつくっておられる首長さんは、これからもっとという感じで対応されていた。やりとりがあって大変面白かったんです。
しかし、この文書にはいわゆる首長さんを中心とした行政の執行機関と住民とのキャッチボールのようなものが抜けている感じがするんです。多分これからの地方行政の新しい形を考えたときに、男女共同参画は、実は1990年代以降、かなり新しいスタイルをつくってきた部分があると思うんです。パブリックコメントも恐らく最初に動いたのは男女共同参画の領域だったと思いますし、あるいはオンブッドの仕組みをちょっと取り入れて苦情処理の問題を立ち上げたのも男女共同参画だったと思うんです。これからの地方行政の在り方を考えたときに、そのように男女共同参画が一つの切り口になっているといいますか、最初の入口になっているというポジティブなイメージを書き込めないか。難しいかもしれませんが、そういうものがあると、お金がなくてもみんなでキャッチボールしながらやっていく中でつくっていけるという前向きなイメージができるのではないかと思っています。鳥取では本当にすごく感激しながら帰ってきたんです。 - 袖井会長
- 男女共同参画の行政への影響というような面もありますよね。
- 伊藤委員
- 書き込むのはなかなか難しいとは思うんですけれども、そういう視点があってもいいんじゃないかと思います。それは、この15年か20年ぐらいこの領域の仕事に携わらせていただいて、感じるところなんです。地方行政の行き詰まりが来ている中で、ある種の平場での行政機関と住民とのキャッチボールの場所として、実は男女共同参画という政策領域があったということですよね。それをもうちょっと前向きに生かしていけるようなメッセージがあってもいいんじゃないかと思います。
- 住田委員
- 地方行政の中での首長の占める役割や位置、力も非常に大きいものがあると思います。特に男女共同参画においては、トップの意識によって末端までの状況が全く違ってきます。さっきの鳥取県は、前の片山知事のときに女性の方々の力が随分上がりまして、それで首長さんたちもそれを見習わないと選挙はやっていけないとか、今後やっていけないという意味で非常に教育的効果があったのだろうと思います。ですから、首長の意識をどう変えるかは、その地域の固定的役割分担意識についての強固なものをいかに崩すかに関わってくると思いますで、そこをどう上手に書くかですね。トップの意識が本当にいろいろな意味で、お役所と地域全体に対して大きな影響力を持つことは事実だろうと思います。
- 袖井会長
- 片山さんのところは女性の管理職比率を上げたり、すごいですよね。
- 伊藤委員
- あそこは数がすごく多い。女性管理職の割合がずば抜けて高いですからね。
- 辻村委員
- 例えば、地方の首長選挙などにおいて、男女共同参画の意識などを公開質問項目に入れて事前にチェックすることも重要です。選挙のときにはわからなかったことが、選挙後にいろいろわかってきまして、手遅れというところがあります。リコール運動をするといっても、やはり大変だということもあります。そういうことが出てきている自治体は結構あります。ですから、首長の意識が非常に重要な役割を担っているため、事前に公開質問状等でそういう意識を醸成するということもあり得えます。何か柔らかく書く方法があるといいのですが。
- 伊藤委員
- ただ、地方自治原則があります。地方自治原則を踏まえながら内閣府としての提案ができるかというのは、ちょっと一工夫がいると思います、事例のような形で書いていくのが一番なのかもしれませんが、そういう工夫があってもいいと思います。
- 辻村委員
- それが住民の意識なのですね。ですから、一つの評価基準になりうるのではないでしょうか。
- 鹿嶋委員
- 6ページから新事例がずっと入っていますよね。ちょっと質問したいんですけれども、この事例は男女共同参画の旗印のもとで行われているイベントの事例ですか。それとも、必ずしもそうでもないんですか。
- 安田企画官
- 恐らくほとんど違うと思います。
- 鹿嶋委員
- そうなってくると、要するに、これは男女共同参画の報告書ですから、男女共同参画の看板をどのように掲げるかという問題になってくるわけです、6ページの4の(1)の辺りで、必ずしも男女共同参画を意識した取組だけではないけれども、直接的・間接的にその必要性はこういうイベントを通じて訴えていくとか、そういう一言を入れておいた方が親切なのかもしれない。これらの事例が全て男女共同参画の御旗のもとで行われていると誤解して読まれる可能性がある。しかし、実際は違うということですから、そういうコメントが必要ではないかと思いますが、どうでしょうか。
- 袖井会長
- 私はちょっと事例が多過ぎるんじゃないかという気がします。ここまで読んできて、ここで中断してしまうんですよ。だから、これは半分か3分の1ぐらい削った方がいいんじゃないかと思います。ここで途切れて、これを読まないと次に行けないような感じになっていますので、もう少し整理した方がいいと思います。
- 住田委員
- もしくは資料に落としてしまうとか。特にNPOのようなところは、載っただけでも励みになると思います。
- 伊藤委員
- 文章の中にたくさん入れ込むより、文中には幾つか挟む形にしておいて、後ろにまとめて整理してもらった方がいいんじゃないでしょうか。
- 袖井会長
-
これをずっと読んでいくと、文章がここで切れてしまって疲れてしまう感じがしますので、整理した方がいいですね。
それから、必ずしも男女共同参画を旗印にしていなくて、たまたま女性が参加していたというような事例も入っていますが、そういうのはちょっとどうでしょうか。 - 鹿嶋委員
-
いや、厳選していくと事例がなくなっちゃうんですよ、多分。
こういう事例はあってもいいと思いますけれども、やはり冒頭にコメントしておいた方がいいと思います。男女共同参画は後出しでもいいと思うんですよね。後出しで理解を得ていくというやり方だってあるわけだから、6ページ辺りに投げておく必要があるんじゃないかなという感じで事例を読みました。 - 船木政策企画調査官
- NPOや地域づくりの視点で見ていったときに、男女共同参画を目的としているNPOは実はそんなに数はなくて、主たる目的を一つだけというのは実は20個とか30個ぐらいしかないんですね。逆に言うと、ほとんどのところで男女共同参画に「○」が入ってこないんです。でも、行動としてやられていることはパートナーシップの実現という形においてプロセスをちゃんと評価できるかどうかです。目的として置かれているか、プロセスを評価できるか。この間「スペースふう」が全国会議で評価されていましたけれども、そのプロセスは十分に男女共同参画として歩んできた。ただ、やっていることは環境のNPOということになるんです。そういう意味で、各事例がどういう位置付けで評価されているのかということをちょっと書いてあげないとわからないかなという印象があります。事例の選び方と評価の視点というのはあった方がいいかなという気がします。
- 鹿嶋委員
- 今出ているようなプロセスとして共同参画型だということは、書いた方がいいんじゃないですか。これらの事例は必ずしも男女共同参画をうたってはいないけれども、プロセスとしては共同参画になっていると指摘しておけば、十分に整合性はとれると思います。
- 船木政策企画調査官
- 地域づくりというのは、案外、男女共同参画でないと実はうまくいっていないケースが非常に多いです。私もこの領域に関わるようになって、その視点で初めて見るようにはなったんですけれども、実は既にいいパートナーシップがあるから地域で進んでいくというケースも多うございますので、プロセスを評価するというところも書ければ混乱がないのかなとは感じました。
- 伊藤委員
- 事例に関連してですけれども、実は土曜日に三重県の男女共同参画センターに講演を頼まれて行ったんです。それは男女共同参画の視点に立った「まちづくり達人塾」という一連の講演会とあわせて、ワークショップ型で、県内の各地の女性を中心としたグループで男女共同参画の視点でまちづくりをしていくという提言型の講座です。先ほどの鳥取県の事例もそうなんですけれども、今回ちょっといろいろ動いてみて、地域における男女共同参画推進は大変タイムリーな企画だったということに改めて気がつき始めています。いろいろなことがありましたけれども、男女共同参画の視点というのはそれなりに種まきは終わっていて、次の動きが準備されている。その中で次のステップというのは、地域を男女共同参画の視点でどうつくるかということだろうと思います。既にそういう動きが芽生え始めていると思うんですね。それはおっしゃるように、男女共同参画と銘打たない形のものも男女共同参画の視点で整理すると同時に、男女共同参画をはっきりと表に立てながら動き始めているものも、もうちょっと拾っていただいてもいいんじゃないかと思います。探してみると結構あると思うんですね。
- 袖井会長
- そういう形で分類できますか。やっぱり難しいですか。
- 伊藤委員
- 難しいですね。ただ、地域の人にとっては事例があった方がいいんですよね。事例を参考にして工夫することで次のステップがありますので。こういうやり方もある、ああいうやり方もあるということを提示してあげることは大切だと思います。ただ、読ませ方の問題ですよね。たくさんあったら嫌になるだろうし、整理して提示してあげることは必要じゃないかと思いますけれども。
- 袖井会長
- 例えば、ちょっとコメントのようなものをつけた方がわかりやすいでしょうかね。ずらっと全部並べないで、パターン別にするとか。まさに男女共同参画を目的にしていたものと、そうではなかったけれども結果としてそうなったものなど、書き分けた方がいいかもしれませんね。
- 伊藤委員
- それから、これは言わずもがなかもしれませんけれども、男女共同参画型のNPOは、DV関連、シェルター関連がすごく多いと思うんですよ。それをもうちょっと書き込んでいただいてもいいんじゃないかと。これは結構いろいろなところで動いている地域の活動だと思いますので、ちょっと触れていただきたいなと思います。
- 袖井会長
- 外国人女性に対するものはありましたよね。
- 平野委員
- さっき会長がおっしゃったことで確認させてください。事例のまとめ方ですが、こういうふうにずらずら書いてしまうと、本当に読みにくいと思うんです。こういう事例は全部後ろに書くことにして、本文中は各事例を例えば1行ぐらいずつで紹介するような形にしておいて、後ろの方に事例を全部まとめる方が、報告書が読みやすくなるんじゃないでしょうか。
- 袖井会長
-
そうですね。最初は2~3行だったので、それでは内容がわからないというので、事務局が詳しく書いてくださったんですけれども、今度は長くなり過ぎてしまったというジレンマでございます。確かにこんなにたくさんあるとわかりづらいので、もうちょっとまとめて最後に資料という形で載せさせていただきます。
それから、新しい事例を今から拾うことも不可能ではないですよね。9月までであれば。だから、今、伊藤先生がおっしゃったような、各地でやっていらっしゃることがあれば、入れるといいかなと思います。今はまちおこし的なものが多過ぎるような気もしますので。 - 鹿嶋委員
- ただ、事例を挙げていくとなると、際限なくありますから。
- 袖井会長
- ですから、ちょっと減らしてはどうかと思うんですが。
- 鹿嶋委員
- 私は、逆に出した方がいいと思うんですよ。平野委員とは逆に、抽象論を読まされるよりは、本文の中にこういう具体例が入っていた方が読んでいくと思うんですよね。ただ、これはあまりにも多いことは確かなんですけれども。
- 平野委員
- 読み手になりますと、こんなに事例がいっぱい書いてあるのを読みますかね。
- 袖井会長
- 私が考えたのは別に抽象論ではなくて、こういうものもありますよとちょっと書いて、詳しくは後で書くという感じなんですけれども。全く抽象論だとやはり読まないと思いますけれども、簡単に書いて後ろで詳しくという形にしてはどうでしょうね。
- 鹿嶋委員
- それはどちらでもいいんですけれども、事例の紹介は何らかのタイプ分けをしておかないと、際限なくありますので。
- 平野委員
- すごく参考にはなりますからね。
- 伊藤委員
- 本文中は、それぞれのところに1つずつぐらいにしておいて、後ろで整理して、こういうものもありますよという形で付録でつけられたらどうでしょうか。事務局は大変だと思いますけれども。
- 袖井会長
-
タイプ分けして整理した方がいいかもしれませんね。非常に事例の多いタイプとあまり挙がっていないタイプと、そういうアンバランスが出てくるかもしれませんので、事務局は頑張ってお願いします。
他に何かございますか。この辺、かなり量が多いですが。
では、後で何かあればまた戻ってくることにして、「IV 地域における男女共同参画の推進主体」はいかがですか。25ページまでですね。 - 鹿嶋委員
- 18~19ページの事例の出し方も、さきに倣って書くわけですかね。小出しにするのはどうなんですかね、逆に読みやすくないですか。そうでもないのかな。
- 袖井会長
- これはどうなんでしょうか。伊藤先生は御専門ですけれども、ここに挙がっている事例以外にも何かありそうですか。さっきの三重県は入っていないけれども。
- 伊藤委員
- 三重県は始めたばかりなので、問い合わせられたらすぐ出てくると思います。
- 鹿嶋委員
- 表記の方法で、ここの事例も全部も後ろにいってしまうということですよね。先ほどの7~8ページのケースに倣って、さっきは変えようと言っていましたので、こちらもそのようにしてしまうわけですか。
- 袖井会長
- ここは前ほど事例が多くないですが。
- 鹿嶋委員
- そうすると、整合性がとれないですよね。
- 伊藤委員
- 女性のチャレンジ支援で、地域における女性たちの起業であるとか地域づくりみたいなものは、内閣府でも女性を対象にしたものがありますよね。その辺も生かせるんじゃないかなと思いますけれども。私が前に見せていただいたDVDですと、滋賀県や京都府の舞鶴など幾つか事例があったと思います。せっかく地域と関連付けて動かれたわけですから、それらもちょっと拾われたらどうかと思いますが。もちろんあくまで具体例は、他にもっといろいろなものがあるかもしれないということを、どこかでエクスキューズしておいた方がいいかもしれないですね。「うちでもやっているのに、なぜ書いていないんだ」というような苦情が来るかもしれない。
- 板東局長
- 事務局の方から足りなかったなと思う部分を言わせていただくのもちょっとなんですが。我が局でもこれから力を入れようと思っておりますこととして、全国で男女共同参画を推進していこうといういろいろな団体の方々に集まっていただいて、男女共同参画推進連携会議、えがりてネットワークというものがあります。その企画委員会でいろいろ議論されておりますのは、全国的な団体の連携・協働のための仕組みは、一応そういう形でつくっているんですが、地域版でそういうものをつくっている県もあれば、いない県もある。全国版だけではなく、地域版にももう少し形成支援をしていったらどうなのか。あるいは、地域版でできているところがあれば、もう少し全国版との連携をしていくといったような、大きなネットワークづくり、協働のための仕組みづくりは必要なんじゃないかという話がありました。たまたまワーク・ライフ・バランスや子育て支援のようなもので地域版で取り組もうということで、例えばシンポジウムをしましょうというところがあれば、男女局の方でも連携しながら支援をするような事業というものもやっていったらどうかと。今年そういうものを幾つか取り組もうとしているんですが、そういったものが記述の中で十分ではないかなと思いますので、そこも国の役割や仕組みづくりの話を追加させていただければと思います。
- 袖井会長
- それは、どんなところでやっていらっしゃいますか。
- 板東局長
- 何県かは覚えていないんですが、例えば、幾つかの県で、今年ワーク・ライフ・バランス関係で地域版の会議などをやりましょうというところに、シンポジウムなどの開催経費を出しましょうという事業を今年度やることになっております。
- 袖井会長
- 是非そういうものも加えたいですよね。
- 板東局長
- 他に例えば、女性団体の集まりはあるんですけれども、女性団体だけに限らずいろいろな団体の集まりをということで、例を挙げますと、長野県は42団体が集まって推進会議をつくって30年ぐらいやってきているんです。例えばそういうものもあるということでございます。
- 袖井会長
-
女性同士のものは神奈川女性会議などがありますけれども、必ずしもあれは男女共同参画という感じではなくて、ちょっと違うかなという感じがしますが。
今、鹿嶋委員から御指示のあった書き方はどうでしょう。この辺ちょっと統一しておいた方がいいと思うんですが、IVの部分は事例があまりないので、これはこのまま載せてしまうかということになるし、その辺はどうでしょうか。あるいはこの部分も短くして、詳しくは後ろにという方法も考えられると思いますが。 - 鹿嶋委員
- 27~28ページにいくと、ちょこちょこ出てきたりしているわけですよ。だから、これを全部さっき議論したようなことでまとめるとなると、逆に読みにくくないですかね。むしろ、私は6~9ページ辺りを整理して、これはただずらずら並べているだけという印象が強いわけだから、パターン分けするなどして調整した方が、あるいは1つか2つ減らすとか、そうした方がやりやすいんじゃないですか。全部やるとなると大変でしょう。1つだけポンと出たりしているのはたくさんありますよ。
- 袖井会長
- では、事務局の方にお願いしますか。まず、パターン分けして、パターンの前にちょっと解説をつけて、2つ、3つずつ。ちょっと多過ぎるところは、もう少し整理した方がいいかもしれませんね。
- 板東局長
- 追加しているのは、かなりいろいろな分野がありますよということで、特定のところだけではなく、いろいろな分野をとにかく拾いましょうというような形で追加していますので、その中で何が重要なのかが、ちょっとわかりにくいところがございますので、先ほどのお話のように、コメントをつけたり、数を減らしたりして整理をさせていただけたらと思います。後ろに持っていった方が読みやすいのかとか、整理工夫している中で、我々の方でも試行錯誤させていただければと思います。
- 袖井会長
-
確かに、いろいろなものを全部出さなければいけないとなると大変なことになります。そうすると、後の部分も結局そうなってしまうんですね。きっと地域によっては、「うちもやっているのに、なぜ載せてもらえないのか」ということにもなりかねないので、あまり全方位外交みたいに行く必要はないんじゃないかと私は思います。「それは他にもあるでしょうけれども」というように理解してもらわないと、全部書くのは無理だと思います。
他に何かありますか。前に戻ってくださっても結構ですが。 - 伊藤委員
- 細かいことですけれども、14ページに赤で新しく入れていただいているんですが、後の方の事例で人身取引の話があるので、セクシュアル・ハラスメントの後に人身取引も入れておいた方がいいんじゃないかなと思います。
- 袖井会長
- 前のところで疑問があったんですが、9ページのレンタル食器の事例ですが、これはエコロジーの話だと思うんですけれども、なぜここにあるんですか。女性議員が出たからという意味ですか。なぜこれが出ているのかよくわからないんですが。
- 安田企画官
- これは、そもそも始めた方が女性で、どちらかというと団体全体としても女性が多い、女性団体に男性もちらほらと最近は入っているようなんですけれども。
- 袖井会長
- でも、男女共同参画ではないですよね。エコロジーの問題なので。
- 船木政策企画調査官
- 環境の分野ではすごく有名なNPOです。温暖化防止であったり、リユースカップ等々のレンタルの仕組みをいろいろなところで試行錯誤したんですが、ちゃんと形にできたところとしてはここなんですね。そもそもはお母さんが「こんなことじゃいけない、私たちがやるわ」と言い出してやり始めたということです。走り出したのが女性の方々で、主婦でという形で進んでいった経緯があって、これも男女共同参画としてやったというよりは、ほとんどのメンバーが女性だったんですが。そこを山梨大学の先生がバックアップしたり、金銭的なサポートとして企業の紹介をしたり、そういったネットワークの提供もされていく中で、女性議員が出るまでに団体としても育っていった、自立してきたという流れの団体です。御指摘のように、男女共同参画を主たる目的としてやっていた団体ではありませんが。
- 袖井会長
- たくさんあると思うんですよね、女性が始めて成功したという事例は。もし、ここで取り上げるとしたら、男女共同参画の視点でなぜ重要なのかということをもうちょっと、例えば、これは女性が始めたということはどこにも書いていないですから、単なるエコロジー団体であるというような紹介の仕方よりも、やはり女性がやったのだとか、それが女性の地位向上に役立ったのだというような視点でまとめた方がいいと私は思います。
- 伊藤委員
- それから、難題を次々言うようですけれども、第二次基本計画で新しい課題として挙げられた防災、環境はかなり入っているんですけれども、観光もどこかに事例として欲しいなと思ったり、防災についてももうちょっと何かあるんじゃないかなと思ったりします。
- 袖井会長
- 防災はLPガスの事例が入っていますね。
- 伊藤委員
- 震災とかいろいろな形での災害前後で、女性の問題はなかなかないのかもしれないですね。防災はどこもすごく対応が遅れていますから。そういう事例があるとすごくいいなと思います。それは、ないものねだりかもしれませんけれども。観光は探せばあるんじゃないかと思うんですが。
- 袖井会長
- 防災は消防団の事例がありましたよね。
- 鹿嶋委員
- 防災はありますよ。私は大学に行けば資料はあります。
- 袖井会長
- 防災はありますよね。消防団が女性ばかりになったところのもありますし。やはりバランスがとれないとおかしいので、もう一回見直して、例えば、環境やまちおこし、村おこし、観光、防災それらをバランスよく取り上げるようにしましょう。
- 鹿嶋委員
- ただ、観光などでもあるんですが、かつて私もそういうところに話をしに行ってわかるんですけれども、基本的に共同参画というとみんな集まらないという話ばかりだったんです。要するに、共同参画の看板を降ろした方が観光もやりやすいという話で、「それは違うでしょう」とそのとき言ったことを記憶していますが、なかなか難しいんですよね。
- 伊藤委員
- 私はいろいろなところを仕事で回りますけれども、女性が観光の計画や開発に参与し始めていると感じています。女性が来ないと観光は成立しませんから、観光の振興のために女性にもっともっと参加してもらわなければいけないというのは明らかだと思うんです。温泉などでも、昔のように男性対象の温泉町では人が来なくなっているわけです。その辺のところもわかる形で提示していただくといいと思います。観光協会などは役員がみんな男性なんですよね。そこに女性が入るようなことも含めて、文章がつくれないかなと思うんですけれども。
- 袖井会長
- 今日は、帯野さんがいらっしゃいませんけれども、前にお話を伺ったときに、京都の観光客はほとんど女だと言われてましたね。
- 伊藤委員
- 京都の今の観光客の性別は1:2ぐらいで女性が多いんです。1970年代頃だと男女ほぼ同数なんですけれども、今は男性の倍の女性が来ています。これは帯野さんがおっしゃっていましたけれども、女性が中心になって、町家の改造のような形で、ある種の自発的な観光開発をやられたのがすごくプラスになっているのは事実だと思いますね。
- 加藤委員
-
中間取りまとめの過程でも一度申し上げたかと思いますけれども、今日もお話が出ていましたが、やはり事例を御紹介するときには、もう少し解釈をプラスした方がわかりやすいなということと、地域における男女共同参画を進めていくときに、今日の論点整理にもまとめられているように、非常に難しい部分がたくさんあるわけです。そういう地域において進めていくときのポイントとして、やはり多様な主体の連携・協働があるのだろうと思うのですが、今日御用意いただいた事例は、みんないい活動をしていらっしゃると思うんですけれども、その辺りの書き方が十分ではないので、「いいケースがあるね、素晴らしいね」あるいは、その逆の受けとめ方で終わってしまう可能性があると思います。多分、この裏側には私たちには読み取れないような御苦労や、あるいは想像もできないような方々との連携・協働がきっとあるはずです。そこは数にあまり拘らずに、丁寧にもう少し書いていただけるとありがたいと思います。
それと、男女局の中のマンパワーも限界がおありになるのだろうとは思いますが、1つでも、2つでも現場に足を運んで直接お話を聞いてみるとか、うまくいっているところ、いっていないところがあるのだろうと思いますので、もう少しその辺りをフォローアップしていただけると、よりよいものになっていくと思います。 - 袖井会長
-
ありがとうございます。他に何かございますか。
それでは、最後のパートにいきたいと思います。Vと「おわりに」ですが、特にこの辺のところに人材の問題がかなり出てきます。論点にも出ておりますが、効果的な人材育成・確保の具体的な方策、これは私も読んでいて考えたんですけれども、男女共同参画センターにどういう人材が望ましいかということがいまひとつよくわからない。文章中に時々出てきて、連携・協働ができるような人がいいなど非常に抽象的な表現はあるんですけれども、具体的に男女共同参画センターやそういうことをする人に何が望ましい要件なのかということが、ちょっとわからなくなってしまったんです。人材は非常に重要なパートだと思いますので、何か御意見ありますか。いろいろなところに出てはいるんですけれども、ちょっとよくわからないというのが正直なところですので、何か御意見がありましたら、サジェスチョンでも結構ですが、お願いしたいと思います。 - 鹿嶋委員
- 28ページの人材発掘のところの「1 男女共同参画センターの人材に求められる能力とその育成」なんですが、「しかし、現実は」以降に現状を書いていますよね。前の方に必要な資質が書いてあるわけですが、むしろ「現実は」以降の現状を前に出して、そういう現状だからこそ今何が必要なんだと言う必要があるかもしれない。ここは、どういうものが必要だと言いつつ、「しかし、現実は」と書いてしまって、そこから先の前向きな提言になっていないようなニュアンスがあると思うんです。だから、そこは現状は厳しいということを言って、そういう状況だからこそ、こういう人材こそ今求められるんだという書き方がいいと思うんです。ただ、実際にどのようにするのかというと難しいですよね。要するに、みんな安く使われるような状況になってしまう中で、何のストックもないような中で、ではどうするのかというのは非常に難しいと思うんですけれども、ただ、書き方としてはそういう書き方の方がいいんじゃないかなという感じで拝見しています。
- 袖井会長
- 現状ももうちょっと詳しく書いた方がいいんじゃないでしょうかね。少ない人材で運営していかざるを得ない状況を。
- 鹿嶋委員
- 予算削減や非正規雇用の職員の増加と、いろいろな問題があるわけですよね。そういう中で何ができるのかというと、非常に限定されてきますよね。
- 袖井会長
- 渡辺委員、地方自治体の長としてどうでしょうか。女性リーダーといいますか、男女共同参画のリーダーとしてどういう人材が望ましいか、何か御意見がありましたらどうぞ。
- 渡辺委員
-
行政と市民が対等な関係の中でそれぞれの課題解決をしていくんだということで、女性センターの職員は今、頑張っています。センター長は女性職員です。この女性課長はそこに行く前は企画課で市民協働を担当していた職員です。その職員がずっと女性センターにいられるかといいますと、政策決定過程に関われる職員として、いずれそこから異動すると思うんです。図書館などもそうですけれども、自治体の中で、専門性を重視して長期間職員をそこに配置するのがいいのか、あるいはその職員が非常に能力があるからこそ、ゼネラリストとしてどう成長していって、政策決定過程にどう女性職員を多く配置するかという狭間でのジレンマです。勿論スーパーバイザーとして相談業務などに携わっていただく方は専門性が高いので、私どもは14万5千人の小さい市ですから嘱託でお願いしているわけですが、ここでは体制を充実しております。
人づくりについては、それぐらいしか言えなくて申し訳ございません。
いただいた機会にもう一つ。先ほど首長のリーダーシップの話がありましたが、それをどこの部分に入れたらいいだろうと、ずっと目次を拝見したり、それから、後ろの文案を拝見しているんです。先ほど、今後の地域における男女共同参画推進の基本的方向性の中で話題が出ましたが、ここがいいのか、地域における推進主体のところがいいのか、どちらがいいのだろうと思いながら、まだ答えが自分の中では出ておりません。
もう一つは、今申し上げた自治体職員の人づくりと同じなんですが、10ページの連携・協働の下から4行目「連携・協働しながら進めることで、互いに信頼関係を築き」というくだりがあるんですけれども、信頼関係というのは市民相互もそうなのですが、実は行政と市民との関係も、信頼関係あるいは信頼のネットワークを広げていくときには大事なキーワードだと思っております。そこを第4節のどこに入れたらいいのかちょっと思いあぐねております。代案がなくて済みません。問題提起だけさせていただきます。
以上です。 - 袖井会長
- 行政と市民ということについては、先ほど伊藤委員からも御発言があったと思いますが、そちらの側から行政へのインパクトという点で何かおっしゃりたいこととかありますか。
- 渡辺委員
- 行政へのということでは、先ほど島根県の話もありましたが、行政へ求めると同時に、これからの地方自治は水平の分権ということがありますので、やはり行政と対等に一緒に選択して、自己責任も負うんだという自立した市民との関係が求められていると思います。自治体職員側も自立した職員としてしっかりと自ら考え、そして市民とともに行動するという視点が大事ではないかと、先ほど伊藤先生のお話を聞きながら、思いました。
- 袖井会長
- その辺も、どこかに入れたいと思います。
- 辻村委員
- 16ページの地域における推進主体の地方公共団体の役割のところに首長のことを書いて、市民視点のところは効率的な事業運営の後辺りにでも、あるいは16ページの一番下の連携・協働に水平的な関係を書く。その辺りでしょうか。
- 渡辺委員
- 私も、16ページのところに対等性の話、信頼の話を入れさせていただけたらと思っていました。16ページの(1)地方公共団体内の連携・協働、これは今までも言われてきたのですけれども、今申し上げたような視点もこれからは必要ではないかということです。
- 袖井会長
- 大変いい御発言をありがとうございました。他に何かございますか。
- 船木政策企画調査官
-
1点よろしいですか。人材の件ですけれども。地域づくりなどをやっていることにプラスして、男女共同参画の視点が必要になってくる。より高次元な人材が必要なのではないかと思います。地域づくりにおいても、やはり企業とNPOと行政と普通の方々のコラボレーションとパートナーシップが非常に重要だと、先ほど渡辺委員がおっしゃっていたこととほぼ同様のことがコーディネーターの資質、プロデューサーの資質として言われています。ただ、そこに欠けるのが男女共同参画という新しい時代をつくるためのコンセプトなのだろうと思います。そこが欠けていると配慮が足りなかったり、後々問題になったりする。逆に言いますと、そこに女性の方がしっかりいらっしゃることによって、結果論的にはうまく企画ができていくということにもなるのだろうと思うんです。人材の話をしますと、男女共同参画の視点を持っている方が、よりプロデューサー的になっていくということと、現状のプロデューサーなどに男女共同参画の視点をきちんと身につけていただく。その両方だろうと思うんです。どちらを起点にするにせよ、多分そういうことが必要になっていくのではないかと思います。
人材育成の観点で書いてある文章を読むと、別に男女共同参画でなくても、アンテナを張っている云々というところに当てはまってきて、それだけだと別にこの領域だけである必要はない。基本要件になってくると思いますので、そういった部分にプラスアルファといいますか、足し算型で記述が必要なのかもしれないということは、印象としてあります。 - 阿部委員
- 今のことに関連してなんですが。VIのところでものすごくピンポイントで人材育成の話をしているんですけれども、実はそもそも日本社会で女性の活用とかワーク・ライフ・バランスが最も進んでいないのが公務部門であって、その話を全然書かないでピンポイントでこんな話をしてもどうしようもないんじゃないかと思います。そもそも国、地方自治体の人事が男女共同参画的になっているのかどうかということを含めて書かないといけないんじゃないかと思います。
- 板東局長
- 今、御指摘の点は我々もまさにそう思っておりまして、この4月に男女共同参画推進本部、総理がトップになっておりますけれども、そこで女性の参画加速プログラムというものをつくらせていただいたんです。その中で、進んでいない分野をやらなければということで、公務員を掲げさせていただいております。地方公務員は目標数値を掲げるのはなかなか難しいですので、国家公務員でまず目標数値を掲げながら具体的な取り組みをやって、地方でも併せてお願いしますということで書かせていただいているんです。確かに、公務部門が意識なり取組なりが非常に弱いということは御指摘のとおりだと思います。ここにも、その辺りの話も必要に応じてちょっと触れさせていただくということはできるかと思います。
- 住田委員
- この点に関して、民間企業であれば、今、管理職はよそから女性を採ってくることが非常に多くなっています。公務部門でも、管理職の女性の数が少ないときにそれは十分あり得ると思うんです。その人材発掘のときに、女性センター等で非常に優秀な方々、非正規職員だった方々を、優秀な方はきちんと評価した上で、最終的に中途採用の形で管理職と準管理職に持っていくという一種のポジティブアクション的な人事システムを公務部門で、特別に地方公務員の方でつくっていただくといいと思います。そのためにも、管理職をどのように採用するかを考えるトップの、特に首長の考え方は非常に大きな影響を与えますので、そういうよい事例を見つけたときには、ロールモデルになるように、国の方でも事例集といったものに挙げていただいて、励みになるような方々をどんどん育成していく形にしていただければと思いました。
- 袖井会長
- 男女共同参画においてどういうタイプのリーダーが望ましいか、どうやってそれを発掘するか。あるいはせっかく発掘したけれども、それが指定管理者制度で消えていってしまうとすれば、それをうまく生かしていく方法はないか。人材というのはすごく重要な課題だと思うんですね。ここのところがいまひとつ書き切れていないという気もしますので、桜井さんはいろいろ御経験も豊富ですので、是非何かいい御意見をお聞かせいただきたいんですが。
- 桜井委員
-
本文を見ますと、例えば28ページの2の上のところ、指定管理者制度を導入している男女共同参画センターでは、仕組みを構築しておく必要があると書いてあります。書いていただいてよかったなと思うんですが、「ああ、そうですか」で終わってしまうんですよね。今、公の仕事に就いて貧困になっていく女性たちがすごく増えています。例えば、女性センターですとか、あるいは女性相談員ですとか、介護施設のスタッフで、非常勤で月に10数日働いたり、あるいはパートのかたちで1日8時間週5日働いても時給がとても安いといったような働き方です。そうすると、「公貧」と言っているんですが、公が貧困をつくっている仕組みが、もうできつつある。男女共同参画、女性問題のようなところでは特にそうです。
指定管理者制度が入るとなおさらです。指定管理者を公募して、これまで管理運営を担っていた外郭団体ではなく、新たに応募したNPOが指定管理者を獲得した男女共同参画センターがあります。「なぜ取れたのか」と聞くと、「人件費を安く設定したから」という答えが返ってきました。具体的には「副館長が200万円いっていない」と。そういう状態で指定管理者を担っている女性たちが少なくない。その人たちは大変一生懸命にやっていますので、行政からは評価が高いんです。でも、疲弊してしまっていて、1代目はまだいいと思うんですが、これは続きません。2代目、3代目は、いくらミッションに共感しても、生活ができないのでは担い手が育ちません。そろそろそういうほころびが出ているところもあります。
ですから、これは女性センターだけ、女性相談員だけということではなく、公の施設で専門的な仕事を担わせて働く女性を雇う場合に、なぜ、非常勤、時給800円の世界になってしまうんだろうと。ここをどうにかしていかないと、人材も育ちようがないと思います。
先ごろ聞いた話ですが、ある地方の女性センターが、これまでは直営でやっていたけれども、来年度から指定管理者になると。直営でやっていたときには館長が自治体の課長級で、あと自治体の職員が2、3人来ていた。その人件費や事業費、施設管理費が数千万円かかっていたのですが、指定管理者募集にあたって、自治体が指定管理料として提示してきた金額は3,000万円を切った額だったと言うんです。そういう形で指定管理者制度が女性センターに入ってきているという現実があります。そこは調査一つないという現状なので、やはり、こういう男女共同参画を担う女性たちがどのように働いているのかを、明らかにしていく必要はあるだろうと思います。
それから、指定管理者制度のをもって公が貧困をつくってはいけないということです。自治体に対しても、どのように雇えばいいのかということを示していかなければいけないだろうと思います。男女共同参画推進のリーダー育成とか能力開発と言いますけれども、こういう状況のなかで、個人が自ら力をつけていくのは本当に限りがある。それよりも、組織としてどれだけ人を育てる力があるのか、というキャパシティ・ビルディングといいますか、そちらの方向からの育成を考えていかないと、個人の責任に帰した能力開発や育成には無理があるんじゃないかと思っています。
あまり解決というわけではないんですけれども。調査で実態を把握したいというところはあります。 - 袖井会長
-
さっき住田さんがおっしゃった、そういう人たちを行政の管理職にリクルートするというのはいいですね。
やはり今、長に当たる人は、そろそろ世代交代になっているわけですか。 - 桜井委員
- 特に、NPOや指定管理者で応募していくところは、40代の人たちが館長になっています。いい人材が意欲を持って取り組んでいて、そこの地域の男女共同参画を本当に進めているということがよくわかります。
- 袖井会長
- そういう実態は、NWECなどは把握していないんでしょうか。
- 桜井委員
- NWECでは、男女共同参画センターについての調査を3年計画でやることになっているんですが、そういう実態調査は計画に入っていません。今年度がその調査の最終年ですけれども。
- 袖井会長
- その調査については、この調査会でも一度報告を聞ききましたけれども、NWECでは待遇などについて全然聞いていないので、確かに経費がない、予算が減らされると書いてあるけれども、実態が全然わからない。全体の予算がどうかという話だけですよね。
- 板東局長
- 全国女性会館協議会の方では、何か会員について調査をされているんですか。
- 桜井委員
- はい。この間は時間がなかったのでお話しできなかったんですが、協議会の会員は90弱ですけれども、そこの非常勤が何人で、常勤が何人というのは出ています。男女別も出ています。施設の収入、支出も聞いています。でも、賃金がいくらかというところまでは聞いていません。
- 平野委員
- 処遇の改善が大事だということはどうしても書けないですか。前にも同じことを申し上げたんですけれども。
- 袖井会長
- 書けると思いますよ。
- 平野委員
- つまり、人材の特性ですけれども、いい人を集めるためには今のようなシステムでは駄目だよと。桜井委員が今おっしゃったようなこともみんなわかっているわけですから、そこを一言書けないかと、前も申し上げたんですけれども。難しいかもしれないけれども、私は書いていいんじゃないかと思っているんですが。
- 板東局長
- この中で書くことはできると思います。具体にこちらの方から個々に指導することは難しいと思いますけれども。先ほど桜井委員からお話があったように、例えば、正規・非正規についてワーク・ライフ・バランスの中でも問題にしているわけですけれども、しかし、おひざ元が、自分のところの公的な施設では非常勤をメインにしてやっているではないかという御指摘だったわけです。その辺りは企業だけの問題に限らず、官公庁においてもそういった意識をもう少し持っていただくことは、問題提起していくことは考えられるかと思います。今おっしゃったように、やはり人がきちんと育っていく、きちんと担っていくための基盤として、処遇問題は非常に重要だということを改めてきちんと書くことはできるだろうと思います。ただ、なかなか国としてのツールが乏しいということがあります。
- 桜井委員
- 実態を出していくことは、国でできますよね。
- 伊藤委員
- 大賛成です。ただ、地方行政にとっての男女共同参画の位置付けのようなものがわかる形で提案していかないといけない。わからないから切られているわけで、現状で「処遇を改善せよ」と書くのはいいんですけれども、書いたときに「それならいらないよ」という回答が出てくる可能性があると思うんです。だから、男女共同参画の位置付けをきちんと言いながら、必要性をちゃんと提示しながら書いていかないと、厳しいんじゃないかという思いも他方であるんです。
- 阿部委員
-
今の伊藤委員の意見に賛成で、指定管理者制度になっているのは確かに男女共同参画センターのようなところでしょうけれども、地方公共団体は委託も別途やっていて、例えば、保育所も委託していたり、あるいは清掃事業は委託しているところは多いです。では、それとどう違うんだというところもはっきり書かないと、なぜ男女共同参画だけなんだという話になったりすると思うんですね。
あるいは場合によっては、それだけのコストでできるんだったら、そもそも地方自治体の職員の給与体系そのものがおかしいんじゃないかという話になってしまう。だから、そこはうまく書かないと、男女共同参画局がチャレンジするならいいと思いますけれども。 - 桜井委員
-
例えば、アメリカなどですと、あるセーフティネットが必要かどうか、それが機能しているかどうかを、経済効果で測るということをやっています。たとえば、ある都市でシェルターがうまく機能しているから、ホームレス対策費をこれだけ落とすことができたとか。理念型のものは成果が数値として捉えにくいですが、そろそろそういうような数値を出すということがあってもいいのではないかと思います。
例えば、全国女性会館協議会では全国各地の女性センターで母子家庭のお母さんのためのパソコン講座などをやっていますが、その講座を出て就職していけば、生活保護の受給率が減っていくとか、そういう相関関係が、そんなにきれいにはいかないかもしれませんが、何らかの形で出てくればいいわけです。そういう工夫もそろそろ、経済学者の仕事だろうと思いますが、どこかでやっていただきたいと思います。 - 伊藤委員
-
私も大賛成です。今、大阪府は現知事のもとでドーンセンターをどうするかという話になってますが、やはり同じような論理なんですよね。地方自治にとってどれだけ役に立っているのかということをめぐっての論争になるわけです。それに対するきちんとした評価や位置付けを組み直すことがすごく大切になってくる、というのが一つ。
もう一つは、大阪は財団に対する補助を切り捨てるという形なんですけれども、それは自立化というスローガンになっているわけです。言葉はすごくいい。私は自立化というのは間違った道ではないと思うんです。将来的にいろいろな形で、税制の面も含めてですけれども、女性センターが指定管理者などの場合には、どうやって自立化していくかを考える必要がある。もちろん、行政からの補助を受けながらですけれども。自立化のためのステップをどう考えていくかということも視野に入れながら考える。直轄の場合はまた別なんでしょうけれども、指定管理者の場合には、経済的なある程度の独立性を確保できるような仕組みをモデル的に考えながらやっていくことも必要になってくるのではないかと思っています。一方、先ほど申し上げたように、政策評価としての男女共同参画は、21世紀の日本の社会にとってどのように意味があるのかということについてのデータ的なものを提示しないと、やっていけないんじゃないかという思いもあります。 - 住田委員
-
男女共同参画社会基本法をつくるときに議論したのですが、男女共同参画の理念を2つ挙げて、1つは当然人権の問題ですけれども、もう一つは、女性の活用は今の日本経済にとって必要であると、両方とも大事なことだろうということです。特に、2つ目の女性の能力活用は、人口減少社会の今の日本にとって必須であるということで、2つの言い方ができるんです。今、桜井さんがおっしゃったように、社会福祉から雇用にという言い方で、これは今、経済界でも言われている話です。セーフティネットにかからないようにするために自立できるということ、これは経済界からも必要だとはっきり言われていることで、実は今、雇用能力開発機構で同じ議論が出ているんです。底上げを図るということです。
それから、もう一つは、女性が今まで女性職的な、補助的な仕事に甘んじていたのが、管理職、意思決定過程に入ることによって、多様性の中で更に新しい発展を目指せるんだということ、女性の能力開発・活用、更にエンパワーメントさせるということに関しての2つ目の方向性です。これはどちらも経済につながる話でして、単なる文化というような話ではなく、今の日本の社会の中での必須な重要政策であるということで、何回も何回も言わないことには理解していただけないんじゃないかという感じがしました。 - 伊藤委員
- この間のOECDのレポートがありますよね。あれなどもどこかで引きながら、ということも必要なのかもしれないと思います。日本の場合、女性のきちんとした社会参加が不十分な状況に置かれている。もったいないというのがOECDのレポートの立場ですけれども、本当にもったいないわけです。少子高齢社会の中でどうするか、日本社会の将来像の中での男女共同参画の位置付けを提示しながら、政策評価の効果部分も明らかにしながら提案していくことが求められているのだろうと思います。
- 袖井会長
- 他にございますか。
- 加藤委員
-
私は最近、消費者センターや女性関連施設は、グローバルな動きが社会や経済に大きな影響を及ぼしていくときに、私たちにとってのセーフティネットだという言い方を機会あるごとに努めてするようにしております。
福田総理が9月26日の組閣後、消費者・生活者の視点に立って行政の在り方を見直すのだと表明されました。10月1日の施政方針演説のときには、更に男女共同参画を重視するという言葉が入りました。そこで私などは大変喜んだのですけれども、御案内のとおり消費者行政につきましては、来年消費庁を設置することを総理も表明なさいましたし、かなりの大車輪で動きが進められています。一方で、独立行政法人国民生活センターにおいては、各都道府県、市区町村の消費者センターの相談業務を担っている方は、9割が女性です。その女性たちがどういう雇用条件のもとで働いているのかということを、国民生活センターは今年初めて調査されました。国民生活センターと各消費者センターは法的な裏付けを持った関係ですけれども、女性センターと国立女性教育会館はそういう関係ではないのだろうと思います。ですから、男女局が突然言われてもお困りになる部分はあるかもしれませんが、現政権で総理が重視すると言われている政策の一つであるわけですので、女性関連施設でさまざまな業務に従事している女性たちが、どのような状況のもとで働いているのかということを、データを一つ持っていただけると政策の企画・立案に活かしていけると思います。
併せて、伊藤先生がおっしゃるように、これから納税者の信頼と理解を得て、センター頑張れというメッセージを各地から寄せていただくために、改めて政策評価のようなことも併行して進めていくという取組を、是非、進めていただけるといいなと考えております。 - 鹿嶋委員
-
さっき28ページをどう書くかという議論をしていたんですが、パブリック・サービスが疲弊する中で、そこで働く人たちも先細っている現状をもう少しリアルに書いておいた方がいいかもしれないですね。
では、どうするかといいますと、今、加藤委員や伊藤委員が言われたような視点で書けばいいわけです。そこで人材育成や個別にピンポイント的に当てていっても、なかなか難しいかもしれないですね。説得力を失うかもれしない。だから、もうちょっと大所高所、ひょっとしたらあまり役に立たないような議論になってしまうのかもしれないけれども、大所高所で落とすしかないのかもしれないですね。そういうふうに感じました。 - 袖井会長
-
どうもありがとうございました。
そうしますと、28ページ辺りで、見出しも少し変えた方がいいかもしれませんが、最初に現状と問題点を指摘して、その現状把握をする。データがないということを言って、その後で今後こうしていきますと、逆転させた書き方にしたいと思います。いかがでしょうか。
確かに、悪い、悪いと言いながら実態がわからないのでは、想像で語っている部分が結構あるんですよね。やはり実態把握をしなければいけないということと、確かに指定管理者制度というものが使い捨てになりやすいという問題点も指摘しておく方がいいかなと思います。
桜井さんのおっしゃったことは大変刺激的ですけれども、公貧とまでは書けないかもしれないですが、実際にかなりひどい状況にあるということは書いておいた方がいいかなと思います。 - 板東局長
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ちょっと時間的に間に合うかどうかはわかりませんが、アンケート調査といいますか、都道府県を通じて調べられるだけ調べていただくようなことをしたいと思います。我々も市町村のセンターなどに対しては、今まで直接ネットワークがなかったこともありまして、全体を必ずしも十分に把握できているという状況ではないところがございます。基本的な、網羅的なものになるかどうかはわかりませんが、幾つか実態を調べてみて、その中で反映できるものがあれば反映していくということにしたい。
それから、貧困にかかわる問題は、これから監視・影響調査専門調査会の方で、観点は少し違うんですけれども、いろいろな観点から女性と貧困に関連した話を浮かび上がらせていこうということがあります。いろいろな分野がある中でセンターの問題は限られた話ではあるのですが、今、御指摘いただいたようなことも視点として頭に置きながら考えていきたいと思っております。 - 袖井会長
- 帯野委員、何かありますか。
- 帯野委員
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桜井委員、加藤委員のおっしゃるとおりだと思います。そのとおりだと思うんですが、地方、大阪の現状から見ると非常に厳しい、それどころではない。ある自民党の議員が「死ぬ人は助けるとしても、死にかけている人はもういいのか」と言うくらい、今回の大幅カットで地方は疲弊しています。
男女共同参画については、3日開会の本議会が10日に終わりまして、自民党以外、公明党を中心に民主党、共産党、すべての議員から質問に上がっておりました。共同参画がこれほど多く語られた議会はなかったのではないかという意味で、今メッセージを出すにはいい機会かもしれないと思います。
アジェンダができれば、そこの部分だけピックアップしてお届けしようと思っていたんですが、今のところできていません。ただ、公明党の大きな流れとして、今までのノウハウを生かす方向で新しいあり方を考えればいいのではないかということと、男女共同参画の事業も、男女ですので、女性に特化し過ぎずに男性も入れてもう少し新しい仕事の方向性をつくればいいのではないかというような意見も出ているようです。
ただ、23日の最終日にどれくらいの修正案が出るのか。ただ、非常に厳しい。この結果は全国に非常に影響すると思いますので、その危機感は持っていなくてはいけないのではないかと思います。大阪から非常に切迫した思いで参りました。 - 袖井会長
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どうもありがとうございました。そろそろ予定の時間になりましたが、よろしいでしょうか。
それでは、本日の協議は終わりにしたいと思います。
次に、資料2をご覧ください。2月18日の第36回と、2月29日の第37回基本問題専門調査会の議事録案を事務局でまとめていただきました。このとおりに決定し、内閣府のホームページ等で公表することとさせていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 - 袖井会長
- それでは、速やかに公開することとさせていただきます。最後に、事務局から何かございますか。
- 塚崎推進課長
- 次回でございますけれども、8月4日の15時から、今回と同じ永田町合同庁舎のこの会議室で開催させていただくことになっております。次の開催日までの期間が短いため、開催通知と御出席の回答用紙を机上に置かせていただいております。本日記入して御提出いただくか、7月25日金曜日までにFAXなどで御回答をいただければと思います。よろしくお願いいたします。
- 袖井会長
- それでは、これで基本問題専門調査会の第40回会合を終わります。どうもありがとうございました。
(以上)