- 日時: 平成15年1月22日(水) 16:30~19:00
- 場所: 内閣府3階特別会議室
(開催要旨)
- 出席者
- 会長
- 岩男 壽美子 武蔵工業大学教授
- 会長代理
- 八代 尚宏 (社)日本経済研究センター理事長
- 委員
- 伊藤 公雄 大阪大学教授
- 同
- 北村 節子 読売新聞社調査研究本部主任研究員
- 同
- 住田 裕子 弁護士
- 同
- 高橋 和之 東京大学教授
- 同
- 竹信 三恵子 朝日新聞企画報道部記者
- 同
- 寺尾 美子 東京大学教授
- 同
- 樋口 恵子 東京家政大学教授
- 同
- 古橋 源六郎 (財)ソルトサイエンス研究財団理事長
- 同
- 山口 みつ子 (財)市川房枝記念会常務理事
(議事次第)
- 開会
- 女性のチャレンジ支援について(最終報告素案)
- 閉会
(配布資料)
- 岩男会長
-
ただいまから、男女共同参画会議基本問題専門調査会の第20回会合を開催いたします。大変お忙しい中を御参集いただきまして、ありがとうございます。
本日は、行政等分野における女性のチャレンジ支援として、苦情処理監視専門調査会の会長の古橋委員から、昨年7月に男女共同参画会議において意見が決定されました、「政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視についての調査検討結果について」の中から、特に女性国家公務員の採用・登用等の促進について御報告いただきたいと思います。その後で、最終報告のとりまとめに向けて御議論をお願いしたいと思います。
まず、古橋委員から、「政府が実施する男女共同参画社会の形成の促進に関する施策の実施状況の監視についての調査検討結果について」御報告をお願いいたします。 - 古橋委員
-
それでは、お手元の資料1に概要を抜粋したものがございますので、それに基づきまして説明をさせていただきます。
女性国家公務員の採用・登用等の促進につきましては、御案内のように、基本計画において重点目標として掲げられておりますし、また、そのページの (2)のところにもございますように、人事院が平成13年5月に指針を出しまして、男女共同参画本部で、平成13年6月にこの人事院の指針を踏まえて、総合的・計画的に取決めを推進する旨を決定したところでございます。
そこで、平成13年度の実施状況でございますけれども、資料をめくっていただきますと「参考」とございます。採用者に占める女性の割合でございます。その資料は平成15年のところも出ておりますけれども、Ⅲ種につきましては、平成15年のところがまだ採用が決まっていないので出ておりませんので、14年度について申し上げます。14年度の数字はそこに出ておりますけれども、若干、確定が変わってきております。採用者に占める女性の割合を高い順で見ますと、Ⅲ種試験が36.1%、Ⅱ種試験が25.7%、Ⅰ種試験が15.9%になっております。そこで、一番上のⅠ種試験につきまして、採用者比率が15.9%でございまして、合格者比率が15.2%ということで、採用者比率が合格者比率を0.7 ポイント上回っております。しかし、Ⅱ種、Ⅲ種につきましては、採用者比率が合格者比率を若干下回っているという状況でございます。これは、後ほど申し上げます合格者比率を考慮して採用者比率を決定するというときの参考資料になるものでございます。次に、行政職俸給表の1の、適用者に占める女性の割合はずっと増加傾向にあるのですが、次のページの役職段階別の女性割合の表を見ていただきますと、毎年増えていることは右上がりになっていることからおわかりになると思いますけれども、役職段階別の女性割合を見ますと、上位の役職ほど低い状況にあります。平成12年度において、係員では29.3あるものが、係長では14.9、課長補佐クラスでは 5.2、課長クラスでは 1.4。ここには出ておりませんが、指定職では 0.4%ということになっております。
ここには書いておりませんけれども、実際の調査結果のときには報告したのですが、人事院が平成13年5月に公表しました公務員の意識調査をした表がございます。男女の管理職職員 800人について意向調査したところ、女性の能力の活用に関して「十分に活用していない」と答えた人が、73%いました。それから、女性職員の9級以上と8級以下のものの一部を抽出したものですけれども、女性職員で見ましても63.9%。管理職の方で見ますと、男性も含めて、女性の能力が活用されていないと考えている人が多いということでございます。
次に、 (2)です。「各府省における女性国家公務員の採用・登用等の拡大に向けた取組」でございます。各府省は、平成13年5月の人事院の指針、6月の男女共同参画推進本部決定に基づきまして、2005年度までの目標を設定した女性職員の採用・登用拡大計画を平成15年度中に策定することになっておりました。計画には、まず第1に現状把握及び分析をし、採用拡大につきましては、先ほど申し上げました採用試験の合格者に占める女性の割合に留意して目標を設定し、その達成に向けた具体的な取決めを行うということ。それから、登用の拡大につきましては、まず前提条件として、女性職員の割合によく留意して、積極的に研修の割り当てをやっていかなければいけないということ。
あるいは、昇任昇格前の在職者に占める女性職員の割合にも留意して目標を設定して、その達成に向けた具体的な取決めを進めること。それから、勤務環境の整備ですが、男女共同参画について、職員全体についての意識の向上を図るための研修を行うとか、職業生活と家庭生活の両立のために必要な支援策を行う。例えば、子育て中の人たちに対する休暇あるいは休業の取扱いをうまくするとか。それから、異動する場合、養育者がいるとか、子どもがいるとか、老人の介護者がいるとかいう場合については、その事情を考慮することもこの計画の中に入れることになったものです。この勤務環境の整備は非常に重要なことだと思っております。
そのための推進体制をどのようにつくっていくか。今、副大臣を筆頭とした男女共同参画推進の各機関を各省の中に設けておりますけれども、そのようなことを盛り込むことが一応予定されておりました。そして、全府省31機関が策定した計画内容をヒアリングしましたが、採用拡大のための目標設定に関しては、抽象的で「増加に努める」としたものが9機関。「○%を上回るように努める」が6機関。「過去5年間又は3年間の平均割合を上回るように努める」が6機関。「合格者に占める女性の割合を上回る又は程度となるよう努める」が5機関ございました。それから、登用の拡大のための目標の設定に関しましては、これもまた抽象的な「増加に努める」が14機関で45.2%と非常に多い。「登用に努める」が8機関。「○%又は現在より○%増加させるように努める」が5機関ございました。
これに対して、調査会としての一応の評価ですけれども、最初の方は甘いと私は大分渋りましたが、折角出したのだからある程度褒めてやらなければいけないということで、「女性国家公務員の採用・登用等の拡大に関し、今般、全府省が一体となって現状把握及び分析を行い、課題を認識した上で目標を掲げ、初めて具体的な取組が開始されたことは評価」ということで、初めてやったことは評価しましょうということをまず入れたわけでございます。
しかし、各省における取組状況は様々であり、女性国家公務員の採用・登用が進んでいないところは一層の努力が求められる。今後、男女共同参画会議は計画の推進状況についてできる限り定量的な評価に努めていくことが必要と考えているので、そういう方向で今後も監視をしていきますよということでございます。
現状把握と分析の問題につきましては、先ほど申し上げたような分析が出てきたのですけれども、その場合に、男女の昇進年数などの目安となる男女の級別で、どの程度女性がいるのか。その平均年齢あるいは平均在職年数、そういうものを調べる。あるいは、早期退職状況とその要因も含めて、計画の点検・評価を行うことが必要であるという指摘もしてございます。
(2)の「女性国家公務員の採用・登用拡大の目標と具体的取組」でございますけれども、「それぞれの組織における女性国家公務員の採用・登用等の現状に照らして、国家公務員法に定める平等取扱の原則」とありました。この原則に反しますと、懲役あるいは罰金がかかり、今、平等取扱いについては厳しくなっておりまして、罰金刑が課せられることになっております。「及び成績主義の原則の枠組みを前提としつつ、目標とこれを達成するための具体的取組を明確にすることが必要である」と指摘しております。特に、目標年次における数値目標を掲げ、そこに向けて計画的な取組を進めていくゴール・アンド・タイムテーブル方式を採ることが非常に重要です。わかりやすく具体性のある内容を掲げていくことが、実効ある取組を進めていく上で重要であると思います。特に、目標を掲げるということが、各府省の人事管理者等が、実際に個々のそういうものがありませんと積み重ねていく努力をしないということでございますので、そういうことを必ず書かなければなりませんよということを強く指摘したところでございまして、来年、それを審査するときには、そのようになっているかどうかもさらに見ていきたいと思っております。それから、今後、各府省においては取組状況を毎年度適切に把握し、評価した上で、必要があると認めるときは、採用・登用拡大の目標及び具体的取組について見直しすることが必要です。それから、男女共同参画会議は、人事院と協力しつつ、各府省の取組状況について毎年把握することが必要ということでございます。
(3)の「女性国家公務員の採用・登用に当たっての課題」でありますけれども、女性国家公務員として優秀な人たちを大学卒業生の中から持ってくるためには、国家公務員の仕事とその魅力についてよく周知させることが必要ですので、募集活動を引き続き積極的に推進していくことが必要であるということ。それから、国家公務員の場合、毎日のオン・ザ・ジョブ・トレーニングが非常に重要で、上司がその部下にどういう仕事を与え、どのように指導していくかということが非常に重要でございまして、その上司が女性をあまり指導しないと、その女性の能力が向上できないこともございますので、部下を有する職員に対して、男女共同参画に対する意識啓発を幅広く行っていくことが必要であるという指摘でございます。
現在、旧労働省等においては相当のロールモデルがありますけれども、今までそういうものがないところが中央官庁等には結構ございます。そこで、先例、模範例となる女性職員の存在が重要ですけれども、そういうものがないという場合においては、内部登用はもとより、外部からの有為な女性の登用も視野に入れることが必要です。
これは、当時、環境庁の大臣であった今の川口外務大臣が、こういう意見を活用の中に特に入れろということで追加したものです。私もそういうことで、現在人材がいないからといって登用しないのはあまり理屈になりませんよということを、男女共同参画会議である大臣からどうしたらいいかと問われたときにお答えしたことがございます。
いわゆる官民の人事交流制度であるとか、任期付きで公務員を採用する制度がございますから、そういうことによって外部から持ってくることも必要ではないかと思います。
次に、公務員制度改革の中で、能力評価と業績評価からなる構成で納得性の高い新たな評価制度について必要な措置を講じられることが重要というのは、八代委員もおられますけれども、公務員制度調査会においても非常に議論をしたところでございまして、公務員についての客観的な評価制度は、企画部門とかそういうものについては非常に難しいのですけれども、能力評価をどうしたらいいかをいろいろ研究いたしました。しかし、次に出します公務員制度改革の中においてまだうまくいっていないということをちょっと聞いております。しかし、いずれにせよ、客観的で平等な評価が行われれば、男女ともに、女性についても能力がある人が上に昇っていける可能性があると思いますので、これは非常に重要であると思っております。
5番目が、多様な登用ルートを認める複線型人事管理、スタッフ職の活用等についても検討を進めることが必要であるということで、これは公務員制度調査会においても提言として出したところです。今、長寿化社会において、通常は65歳まで勤務できることになったのですが、いろいろなことで、次官は63歳の定年になっていて、そこで辞めなければいけない。そのようにしておいて天下りを禁止としていたら、長寿化社会においてどうするのか。年金は65歳から。そうなってくると、公務員のモラルはおかしくなるし、国家としても非常に問題だと思っておりますので、ラインの人たちはやはり命令系統がしっかりしたピラミッドの人事管理をしなければいけない。しかし、それ以外のラインを助けるスタッフ職につきましては、それを助ける者として、ある程度の能力がなければ駄目ですが、能力のある人たちについては、円筒形の人事管理を行ってはどうかということを、八代委員などと一緒にみんなで議論したことがございます。それを提言したのですけれども、そういうことをすれば、それは女性のスタッフ職の場合においては非常に有用なのではないか。しかし、これにつきましては、この調査会の中で、女性議員の中から、いわゆる女性をそういう職だけに特化してしまう危険があるので、その運用については十分配慮してほしいという意見がありましたので、そういうことも書き加えてございます。
(4)「職場環境等の整備等」でございます。超過勤務の縮減については、政府が一体となり更なる取組を推進することが必要です。国家公務員は、労働基準法に基づく36協定が適用になりません。したがって、地方支分部局の場合にはあまりないですが、中央官庁の場合には、国会答弁、予算編成あるいは法制局審査等で、36協定から言えば全く違法的な超過勤務状態が行われているわけでありまして、こういうことを解消しない限り、女性の公務員への参画は、その両親であるとかいろいろな人の犠牲の下で成り立っているのが実態ではないかと思います。
したがって、そういうことを直すということで、私は、実際に国家公務員に超勤手当を基準どおりに出したときにはその費用がどのくらいになるかを計算して出せと要求しました。そしてそれを国会に提出し、費用節減のため国会質問を、イギリスがやっているように、1週間前に提出しなければ答弁する必要がないとか国会で議論してもらうべきだと、いろいろ言ったのですけれども、事務当局なり全体としての役所の現役の方々は、とてもとてもそんなことは言えませんということのようでございます。
2番目に、男女にかかわらず育児休業や介護休暇の請求が可能である職員を把握し、仕事と家庭の両立支援についてきめ細かな情報提供を行うことが必要ということは、人事当局に、子どもが生まれますよということを言ってきたときには、直ちに、介護休暇であるとか育児休業についての制度を詳しく説明して、男性も取れるのですとか細かい規定についてもう少し説明をすることが必要であるということでございます。それから、一般に言われておりますように、フレックスタイム制度やITを活用したテレワーク等の可能性を研究すべきであるということでございます。
(5)「推進体制」です。女性職員の採用・登用拡大につきましての計画及び推進状況を継続的に全職員に周知公表することが必要です。それから、各組織の採用・登用拡大を企画推進する場に女性の職員を参画させるよう努める。人事当局でいろいろな職場環境を考えるようなところには女性職員を入れないと、男性にはわからない面が非常に多いのではないかということです。それから、大臣を始め各機関の幹部が指導力を発揮することが必要です。これも本会議においてお願いしたところです。それから、公私のバランスのとれた生活であるとか、公正評価などは男性職員にとってもメリットがあることが十分に理解されるように配慮しながら進めていくことが必要であるということを書いてございます。
私がこのように公務員について厳しく言いますのは、私が40年前に英国大使館で、英国大蔵省の人とお会いしたとき、私の担当課長は女性でした。日本担当課長が女性であり、為替担当次長も女性。40年前です。私は非常なカルチャーショックを受けて、以後、こういう問題について興味を持ちましたが、イギリスは1998年において、課長職以上の女性が17.2%です。
しかし、ドイツはちょっと遅れていまして、それでも 9.2%。過去、ドイツでは、女性の地位向上のための計画は拘束力のないものでしたけれども、1994年6月24日、連邦行政及び連邦裁判所における女性の地位向上並びに家庭と職業の両立支援のための法律が制定されております。これはどういうことかといいますと、ドイツの場合には、民間よりも先行して公務員にやれとしています。民間に先行して、定年延長について公務員については私もいろいろなことを言ったのですが、民間の方々は反対しますが、こういう問題については民間に先行してやる必要がある。私は過去において、週休2日制を民間に先行して実施したことについて大変な批判を受けたのですが、私はそれで日本のおける労働時間の短縮が進んだのではないかと思っております。したがって、女性の採用・昇進とか職場環境の整備という問題につきましては、ドイツがやっていますように、官が先行することが必要です。
その場合に、ドイツは遅れを取り戻すために法律をもっていろいろなことを義務づけております。女性の地位向上の計画は、法律に基づいて地位向上計画の策定をする。女性問題担当者の専任を義務づける。あるいは、採用・昇進、継続教育における女性の優遇ということで、ドイツにおける基本法の規定がございますので、それに抵触しない範囲において、女性の地位向上計画に定める拘束力のある目標に従って行う。これはどういうことかというと、女性が非常に少ない職域がある。そういうところについては、採用・昇進、継続教育の対象となる女性比率を高めなければいけない。現在、女性の割合が低いところについては、そのラインを高めることを法律で義務づけるということをやっておりますし、育児・介護休業にマイナス評価をすることを法律で禁止しておりますし、男女の性別を指定した募集も禁止しております。それから、3年ごとの報告義務がありまして、国会に報告します。
それから、職業と家庭との両立の促進ですが、家族的責任を有する就業者への労働時間短縮を可能とする。公務員について管理職を含めてパートタイム職を提供する。それから、継続的教育への参加を保障する。パートタイム就業者のフルタイム就職への優先的な任用。民間の場合、やっとそれが今度出てきそうですけれども、そのようなことを先んじてやっております。それから、パートタイム労働であるとか、家族的理由による休職を不利益に取り扱うことを禁止しております。このような規定がドイツにおいては法律上やっていることを御紹介させていただきます。以上でございます。 - 岩男会長
-
ありがとうございました。古橋委員がカルチャーショックを40年前に受けられたことが、今日これだけ私たちの大きな力になっていることがよく分かりました。私たちにとっては、大変貴重な御経験というか、うれしい経験だと思います。
それでは、ただいまの御報告に関して御質問等がございましたら、御自由に御発言いただきたいと思います。
先ほど、1ページのアとイについて結果を御報告いただきましたが、例えば一番頑張っているところは、アについてはどこで、ビリがどこかはわかりますか。 - 上杉審議官
- お手元にお配りしてございます冊子の69ページにございます。
- 古橋委員
- 折り込みの69ページをご覧ください。この表をつくるのに各省の抵抗があって事務当局は苦労しましたが、それを公表することについても大変苦労しました。
- 八代会長代理
-
女性の公務員比率が低いということの現状の理由ですけれども、これは昔から2つの要因があると。1つは、先ほど御説明いただいたように、公務員の合格者とか申込者の比率がもともと低いから低いのだと。これはエントリーの段階ですね。もう1つは、民間企業でもそうですが、途中で退職する比率が多いから、せっかく入っても歩留りが少ない。この2つの要因にどれくらいのウエートがあるかということと対策とはかなり結びつくわけですが、そういう要因分析があるかどうかが第1の御質問です。もう1つは、女性比率の低さと比率大学の低さが実は裏腹の関係にあります。それはあまり知られていないことですけれども、今の国家公務員の採用試験はかなり不透明な要素がございます。これは公務員制度改革でも私が強く主張したのですが、人事院はがんとして聞き入れないポイントです。
それはなぜかというと、まず公務員試験の採用試験自体が民間と比べて遅いために、規則どおりにやっていたら間に合わないのです。つまり、優秀な人材を全部民間に取られてしまうので、実は各省は、合格・不合格がわかる前に内定を出してしまう。このときの基準が、はっきり言えば、受かりそうな人を採用するという一種のスクリーニングをやっているわけです。そういう意味で、私大は非常に不利になっているし、ある意味で女性もそういう面があるのではないか。
それからもう1つは、そういう事実自体が実は公にされていないので、そういうOBのネットワークがある国公立は有利であって、初めて公務員試験に受かるような私立の人はそういうことすら知らなくて、合格通知をもらってから各省に行くと、今ごろ何しに来たと言われるわけです。
私は、繰り返し人事院に対して、そういうことを明らかにすべきだということを言ったのですが、人事院は、各省が勝手にやっていることで人事院は関知しないと。そういう意味では非常に不透明な仕組みになっている。これを防ぐ1つの方法は、試験を前倒しすることもありますし、もう1つのやり方としては、公務員試験の合格者を大幅に増やすことです。公務員試験は、もともと資格試験のはずなので、一定の能力があればいくら合格させてもいいわけで、その中から各省が採用すればいいわけです。そうすれば、ある意味では、合格するかどうかにこだわらず、いい人材を採用できる。場合によっては女性も採用しやすくなるという面がありますが、これも人事院はかたく抵抗していて、最終的にどうなったかは覚えていないのですが。 - 古橋委員
- 合格者数は少し増やしました。それから、採用試験の時期も若干早めました。若干、民間と競争できるようになりました。
- 八代会長代理
- ただ、完全にはまだだと思いますけれども、とにかくそういう過去の公務員試験の採用自体にもかなり問題があるのではないかということです。あと、歩留りの問題については、労働基準法が適用されないことから、今古橋委員がおっしゃったように、非常に過酷な労働条件で、これは特に女性にとっては非常に困難になっている。そういう意味では、これをきちんと合理化していくことが、男女を問わず歩留り率を高める大きな要因になるのではないかと思います。
- 古橋委員
- 第1問の途中退職の問題は、各省からは先ほど示したようなものしか出てきませんので、2ページの (1)の「現状把握と分析」で、早期退職状況とその要因を含めて計画の点検・評価を行うということで対応しています。今後は、女性が少ない割合の要因をもう少し分析することをやってもらおうと思っております。2番目におっしゃったようなことをずっと公務員制度で言い続けましたので、人事院もできる限り試験の合格日時を繰り上げて、民間と同じようなレベルまで行こうということで、今度も大分早めたと思っております。それから、合格者数につきましては、去年よりも今年は増えていると私は聞いております。
- 住田委員
-
公務員のことに関して言えば、私の卒業のころ、まず女性には門戸が開かれていなかった。だから、上位の職の方に女性がいらっしゃらないのは当然のことだろうと思いますが、その後、大きな変化があって流れが変わったことは個人的に喜んでおり、この流れがさらに続くことを希望しております。そのためにどのような問題があるかといいますと、ここで分析されているとおりですが、それに対する要望的なものを申し上げたいと思います。
まず、優秀な女性がなぜ公務員を志さないか、どうして司法試験や他の研究職に流れるかというと、これはもう過酷な労働条件、これに尽きます。これに対して少しでも対応するとすれば、まず、職場に近い保育所の設置。文科省がこのたびつくりましたけれども、ものすごく人気が高くて、文部科学省の方だけでほぼいっぱいになってしまっていて、ほかの省庁の方も希望しておられるけれども、ほとんど空きがないということで、霞が関保育所の潜在的な待機児童の数はすごいものだと思います。これはそんなに難しい話ではないと思いますので、各省庁ないしは合同でも結構ですから、ぜひ設置していただきたい。それにあわせて、お子さんが小さい職員、男女、特に女性を重視してもこの際は構わないと思いますが、そういう方には、霞が関近辺の宿舎を優先的に割り当てていただきたい。そういうことで職住接近をして、子育てがしやすい環境をぜひ整えていただきたい。
そして、育児休業につきましても、べったり取るのではなくて、部分的にきめ細かく取れる体制を公務員の場合は特にしていただきたい。そうすると、ちょっと問題があるときはすぐに戻って、何らかの対応ができる。まず官から始まれば、いろいろなところに波及し、インパクトが大きいのではないかと思います。過酷な労働条件の点では、私は国会に変わっていただくしかないと思います。 - 古橋委員
- ありがとうございました。特に、今の公務員宿舎の割り当ては大切な御指摘だと思います。今、公務員の宿舎についてはいろいろな批判があるものですから、近所に建てていると、立派なものを建ててけしからんといわれます。今はだんだんそういう事情ではなくなってきましたから、近くに建てるのは問題です。見ていただきますと、夜中の1時、2時ごろにタクシーが行くのは全部中央官庁です。それが遠くまで行って、タクシー代を払って、その金も私は大変な金額になるので、近くに建てた方がいいと。公務員全体についてそう思いますけれども、特に、介護や育児を必要とする方について、公務員宿舎について配慮することは一つの新しい提言だと思いますので、ありがたくいただいておきたいと思います。
- 八代会長代理
- 確かに、国会議員の対応にも問題がありますけれども、それだけではなくて、官庁側の対応にも問題があるのです。つまり、国会答弁を各責任者が誰かというときに、今は限りなく細かく書いていますから全員が残らなければいけない。私が以前OECDに勤めていたとき、他の国の公務員の人に国会待機をどうしているか聞いたら、やはり徹夜すると。ただし、それは一握りの人だけで、日本で言えば官房が対応しているのです。つまり、これは権限の問題ではあまりにも細かく権限が分かれているために全員が待機しなければいけないという問題があるわけで、それは国会議員だけではなくて官庁側の対応も改善する余地がかなりあるのではないか。それは古橋さんがおっしゃったように、全部残業手当をつけるとなるとパンクするから、当然それに対応して、最小限の人だけが残るようにするわけで、コスト意識がゼロというのは、まさに行政側の対応の問題ではないかという気がします。
- 樋口委員
-
こういうテーマをよく調べていただきまして、ありがとうございました。やはり北欧は、スウェーデンのような国でもやはり民間よりも公務員に女性が進出しているので、日本の官主導型社会をいいとは言いませんけれども、やはり官の中のしかるべきポジションに女性が数多く出てきて、そして民間企業が行政折衝をすると、そこに女性の官僚がいっぱいいますと、40年前の古橋委員のようなカルチャーショックを民間企業が感じるということが、今はまだ日本では必要だと思いますし、公務員の女性登用はどんどん進めていただきたいと思います。
先ほど住田委員もおっしゃいましたけれども、やはりそれには、職場の状態だけではなくて、生活全体を支えることが必要です。宿舎は、日本のように官舎が発達した社会というのはおっしゃるとおりだと思います。2年ほど前ですが、オーストラリアに行ったら、貿易外交省というものが建物を建て替えて、そのビルディングの中に、新しく建て替えするときは、これだけの比率の女性公務員がいればこのくらい子どもを産むだろうと推計して保育所が組み込まれている。もちろん男性も使えるのですけれども、ちゃんとビルの中に食堂があって、休憩所があって、トイレがあるのと同じように、オフィス・ビルの中に保育所が組み込まれているのが普通ですと言われました。それが銀行とか一般の企業にも広がっている。
これから庁舎を建て直すときには、1つの模範として、ビルの設計自体の中に子育てをビルトインしていく発想をぜひ提言してほしいと思っております。
それから、これから申し上げる問題は、公務員だけではないことです。だけど、私は随分昔からこのことを考えてきましたが、いい答えが1つも浮かばないです。それは、出産・育児休暇中の代替要員の問題です。結局、仕事を持って子どもを育てながら働く女性が、これまでは少なかったから大問題にならなかったと思います。しかしこれからは、代替要員ということを考えざるを得ないのではないでしょうか。岩男会長が御一緒でしたけど、仕事と子育て両立支援策の専門調査会で、企業経営者の方からヒアリングしましたよね。模範的に育児休業法を適用していらっしゃるリコーの浜田会長さんは、現実にどうやっていらっしゃるのですかと質問したら、「今まで12人でやっていたものが、1人欠けても、「わが職場の○○子ちゃんが子どもを産んで出てくるまでみんなで頑張ろう」と言うと頑張れちゃって、「そのことによって職場においては無駄が発見できます」というお話でした。労働組合が聞いたら怒りそうなお話ですが、それが事実だと思います。
代替要員がきちんと確保されているのは、91年成立の育児休業法以前の教員、看護婦、保育者で、そのうち特に教員については産休代替要員がきちんと確保されていて、それは今も有効に続いていると思いますけれども、ほかの職種は私の知る限りありません。女性の出産該当年齢の人が多くて、そのうちのかなりの人が仕事と子育ての両立を望むとすると、実はこれはかなり大変なことのはずで、まず諸外国はどうやっているかを調べていただきたいと思います。
オーストラリアみたいに、ビルの中に保育所を組み込んでいれば、代替要員はあまり必要ないかもしれません。しかし、1年、2年と育児休業をとるようなとき、一体どうしているのか、費用の問題を含めて諸外国に関して知りたいです。これは以前にもお話ししているかもしれませんが、ある国立大の医学部の教授が、『新・女子学生亡国論』ということをある地方紙のコラムに書いていらして、それなりに説得力がありました。今、医師の国家試験合格者に占める女性割合が既に3割に達しています。ということは、これから出産該当年齢の女医が最低3割はいる。やがてそれが4割になっていくかもしれない。医局というのは、1つの病院の1つの診療科というのは、50人もいるところは滅多にないのです。特にマイナーな診療科に、10人ぐらいの医局に4人の女医がいて、そこで交代で妊娠されたら医局はパンクすると言うのです。代替がないままでいくと、女子学生亡国論と、少なくとも医療の世界では言わざるを得ないと。これは、半分は冗談めかして書いていらっしゃいましたけれども、実は大変な問題です。代替といっても同じような習熟度の人がおいそれと見つかる職種ではありませんし。育休や産休の手当プラスその代替要員の手当をどのように国が持つのか、社会が持つのか。そのようなことも、両立支援、チャレンジ支援を続けていくと、本当は厚生労働省の労働部局できちんと論議することかもしれませんけれども、ちょっと視野に入れていただきたいなと思って申し上げました。 - 岩男会長
- 出産・育児をどうしているかということについて、女医さんの調査を慶応病院でやったものがあります。その調査結果はもらえると思います。
- 古橋委員
- 私が実際に病院経営したときに、代替要員というのは、女性のみならず男性にとっても必要ですね。それで私は、何度も言っている、有期雇用契約というものを早くやってほしいと。その場合に、看護婦さんが今、出産でどんどんやめていってしまう。そうしたときに、一度雇うとずっと雇わなければいけなくなる。したがって、過去の経験者で、家庭を持っている人たちの中から、有期で、3年とか。今度、八代先生の御努力で5年になるようですけれども、そういう人を雇えるようにして代替要員を雇っていく。そのようにしないとそういう問題は解決しませんよと言っているわけです。しかし、それが労働組合の反対にあったか、今まではうまくいかなかったわけです。
- 八代会長代理
- 有期だけではなくて、派遣ということも重要で、これがものすごい抵抗にあっております。
- 竹信委員
- そのときは均等待遇が絶対に必要だということは、ぜひ理解いただきたいと思います。
- 古橋委員
- それはそうです。
- 岩男会長
- ありがとうございました。それでは、続きまして事務局より、地域における男女共同参画に関する特色ある取組について御説明をお願いいたします。また併せて、前回の、委員よりいただいております宿題についても御説明いただきたいと思います。
- 竹信委員
- それから、こういう話を持っていくと、いつも、公務員だけの保育園をつくってそこだけどんどんよくなっていくと、民間の人は取り残され、公務員は民間の実態がわからなくなるのではないか、という不安が必ず出てきますので、先ほどおっしゃったように、インパクトは民間にも及ぶのだという論理づけをやっていくことが一応必要だろうなと思います。
- 岩男会長
-
そうですね。チャレンジ支援の最終報告に、どのように今のお話なども組み込んでいくかということですけれども、時間もございますので、最終報告に向けた検討に移りたいと思います。
中間まとめ以降、研究、各種団体、地域、行政等についてヒアリングを行ってまいりましたが、最終報告というのは、前からお話をしておりますように、中間まとめと全分野をあわせて1つの報告書にすることになっております。本日は、最終報告のイメージとして、上杉審議官から議論のための参考資料の御説明をいただいて、意見交換をしたいと思います。それではよろしくお願いいたします。 - 上杉審議官
-
「女性のチャレンジについて」の最終報告素案の全体の構成としては、中間まとめと比べて少し変えたいと思っております。すなわち中間まとめのときよりも、他の研究とか団体とかを議論しましたし、全体を共通するような課題のつくりをした方がわかりやすいということもあると思われます。まず全体構成について御意見をいただければと考えております。「なぜ今、女性のチャレンジ支援が必要なのか」という総論的なところは中間まとめのものを基本的に引き継いでおります。「基本的な考え方」も同様です。「どのような支援を行っていくのか」ということで、中間まとめの際は、ここで各分野の話に入っていました。それから、「上」へのチャレンジ、「横」へのチャレンジ、「再」チャレンジということで、その都度、現状、阻害要因、支援策と割ときめ細かく書いていたのですが、一方ではそれでは重複感がございましたので、後半にした議論も含めて「全体共通事項」ということで、現状と阻害要因をまず整理します。そして「支援策の方向」として共通に言えるものを言うことにしてはどうでしょうか。個別分野ごとに特有の課題あるいは特に強調すべき支援策について、「個別分野における支援策の方向」というくくりで、ここで列記していきます。雇用、起業、NPO、農林水産業、研究、各種団体、地域、行政等の分野というくくりにしてはどうかと思っております。
そして、全体的に文章はなるべくコンパクトにしまして、そこに書き込みきれないような現状分析、事例紹介にわたるようなものは、参考資料として参考資料編をよく整理してつけていきたいと思っております。
それから、中間まとめの際にも御議論がありましたが、一般社会への呼びかけ的な部分をどうするかというところも残っております。その辺もまた御議論いただければありがたいと思います。
次に、資料は中間まとめ以後の検討その他をもとにして事務局でまとめたものでございます。今日、先生方の御意見を頂戴していろいろ変えていきたいと思っているものであります。
まず、「なぜ今、女性のチャレンジ支援が必要なのか」と。この辺は、表現を少し変えて、構造改革の点を真ん中辺で強調しております。ただ、基本的な趣旨は中間まとめと変わっておりません。それから、「世界の中でも低い日本女性の活躍状況」も変わっておりません。「組織活性化の鍵は女性のチャレンジ」と、中間まとめではかなり詳しく書いておりましたが、簡潔にしました。「基本的な考え方」の「男女共同参画社会の実現」、「どのようなチャレンジか」は、ほぼ中間まとめのとおりでございます。「生涯を通じた女性のチャレンジ支援」は、女性の再チャレンジその他いろいろな議論の中で、生涯を通じたキャリア形成なりチャレンジの環境整備が大事だろうということで、少し補強してございます。それから、「ライフスタイルの選択に中立的な税制・社会保障制度・雇用システムの構築」については、12月に男女共同参画会議の影響調査専門調査会から報告が出まして、昨日の親会議である男女共同参画会議でも報告いたしましたけれども、そこで、ライフスタイルの選択には中立性の確保という観点からの議論が深められておりますので、その趣旨を取り込んで修正しております。それから、「少子化との関連」は、少し簡潔にしております。
次に、「どのような支援を行っていくのか」ということです。冒頭の前書き的な「本専門調査会においては」というのは、構成をわかりやすくするために追加しました。その下に「全体共通事項」ということで、 「現状と阻害要因」があります。これのくくり方を、先ほど申し上げましたように、「上」へのチャレンジ、「横」へのチャレンジ、「再」チャレンジと、あまり細かくするのではなくて、御覧のようなくくりでやっております。「政策・方針決定過程に参画し、活躍することを目指す『上』へのチャレンジの現状」、「新たな活躍の場を広げる『横』へのチャレンジの現状」、「再チャレンジの現状」と。
それから、「チャレンジ支援策の手法」ということで、これは新しく整理し直しておりますけれども、積極的改善措置の好事例も見られて、基本法で積極的改善措置が位置付けられていると。外国にも様々な事例があると。しかし、雇用の分野以外でのポジティブ・アクションの範囲、限界といったあたりは、まだ十分詰められていないという状況ではなかろうかということで、今回、いろいろな分野の議論をいたしまして、ポジティブ・アクション的な取組について議論がありましたけれども、その根っこの論点の整理が必要ではないかという問題意識で、これはまた後ほど出てまいります。
「男女の意識の差」、「女性のキャリア形成と人生設計」についても、前は「上」へのチャレンジの部分にありましたけれども、共通の部分に位置付けを変えております。それから、「女性支援の関係機関における事業等の連携」は、支援を連携しながらやっていこうということですが、この辺は中間まとめでは「横」へのチャレンジに位置付けておりましたが、これも共通の課題だろうということにしております。
「支援策の方向」でございます。「ポジティブ・アクションの範囲の検討」ということで、先ほども申し上げましたように、外国の例、我が国の場合は国の審議会委員の例、国大協等の例、あるいは雇用の分野では既にいろいろな議論が行われている等々の状況を見まして、今後、女性の参画を拡大していくため、雇用の分野以外の分野も含めたポジティブ・アクションを総合的に進めるため、調査・研究を行っていくことにしてはどうかということでございます。
「女性のチャレンジ支援のためのネットワーク形成の重要性」ということで、チャレンジ支援実行委員会というものをつくって、支援のための情報提供をしたりするネットワークをつくってはどうかということでございます。
続いて「女子学生・女子生徒へのチャレンジ支援」ですが、これは以前、「横」へのチャレンジの位置付けでしたけれども、すべての局面で、やはり学生への働きかけが大事であるということで、内容は従来のものと同じです。
それから「支援策を進めるための調査研究、情報の収集・整備・提供の一層の充実」ということで、どの分野の議論をしても、実態がどうなのかということをよく把握して取り組んでいく必要、あるいは社会的にも訴えていく必要があるという共通の話題でございますが、これは新しい部分であります。
「支援の着実な実施及びそのための評価」ということで、今日、実施し評価することは非常に大事なことでございます。計画的な取組のための評価、そしてその評価結果や施策への反映が大事になります。
「ICTリテラシーの向上」ということで、今、どの分野でもICTが重要だといわれていますけれども、今、女性について格差があってはならないし、チャレンジは有力なツールであるという1項目を書いてはどうかということでございます。
「雇用の分野におけるチャレンジ支援策」につきましては、既に中間まとめで相当詰めた議論をしていただいておりますので、ほぼ中間まとめのとおりであります。「ポジティブ・アクションの積極的推進」、「新たな支援策」、入札の問題なども、中間まとめ段階では相当詰めた議論をしましたので、そのままここに残しておいてあります。
「多様な働き方への支援」ということで、中間まとめ以後の動きとして、厚生労働省の方で労働政策審議会などの建議なども出まして、有期労働の契約期間の上限を拡大する等々の建議も出ております。また、今でも議論が続いているようでございます。したがって、ここをどのように書けるかはまだ流動的な面があるのですけれども、とりあえず、現在、労働者が主体的に多様な働き方を選択できるよう可能性を拡大するとともに、働き方に応じて適正な労働条件の確保が図られるよう、有期労働契約や裁量労働制の見直しが行われているところであるが、引き続き、柔軟かつ多様な働き方を選択で、様々な見直しが必要であるという程度を記述してございますけれども、また御意見をいただきたいと思います。
再チャレンジ、パートタイムについてで、従来、パートは再チャレンジのところに入っていましたが、ここに位置付けて多様な働き方の一部としております。中身は中間まとめと同じでございます。「再チャレンジ支援」として「再チャレンジのよいモデルを示す」、それから「再教育・再訓練の充実」、「年齢にかかわりなく働ける社会の実現」については中間まとめのとおりであります。「起業におけるチャレンジ支援策」のところも中間まとめとほぼ同様であります。
それから、「NPO法人におけるチャレンジ支援策」については、中間まとめでは税制の改正など活動促進の工夫をすべきと言っておりましたけれども、年末の税制改正で見直しが行われることになりました。認定NPO法人になる要件が少し緩和されたり、税の控除が拡大されたりして、公益法人に近い扱いになってきたという改善が図られております。そういう状況を受けまして、税制の認定要件の見直しが図られることになった。そして、その支援策を一層推進する。具体的には、情報収集、情報提供等を行うということであります。「農林水産分野におけるチャレンジ支援策」は、中間まとめとほぼ同じであります。
「研究分野におけるチャレンジ支援策」は、後半の課題でありました。この研究の部分以降が新しい内容であります。研究につきましては、既に学術会議や国大協等でいろいろな提言がありまして、どういうことをやるかは大体見えてきているわけですけれども、まず関係の国の機関、総合科学技術会議とか科学技術・学術審議会等、国としての支援策をさらに関係省庁で提言していくようにしようということがございます。既に文部科学省でも、科学技術・学術審議会あるいは女性の活躍を支援するための方策を考える検討委員会が動いております。そういうところで、より具体的な策を検討していただきたいということです。
ここで研究といいますと、大学も国公私立があるわけですから、さらに民間の研究機関も含めて考えられます。そういう各種研究機関において、研究組織は自主性が大事でありますので、自主的に取り組んでいただくような仕掛けをつくっていく。その機関ごとに目標、計画を自主的に決めていただき、それをできるだけ公表していただくように奨励していくということを書いてあります。その際に、各機関別に意思決定機関での女性比率の拡大、担当機関を設ける、あるいは人事選考や評価システムを確立していくこと、それからロールモデルの提供、特に低いところは要因分析をしていく、あるいは研究を取り巻く保育サービス等の環境面の整備をしていくというようなことを積極的に進めていただきたい。
そして、国において、これらの取組の支援として好事例紹介、必要な統計調査に協力するということを言っております。
「各種団体におけるチャレンジ支援策」ということで、「各種団体」と言うと漠然としてしまっているのですが、ここでは、労働、経営、協同、職業団体等を例示してございます。そういった団体においても、やはり自主的な役員登用や内部でのポジティブ・アクションへの取組を進めていただく。そのために、内閣府の機能を生かしたりして、意見交換等の場を積極的に設けていく。あるいは、ロールモデルが必要であれば、そういった団体から学校に派遣してもらっていく。女子学生向けのシンポジウムなどを開催していくようなことが考えられるのではないかということで、国としては、そういった情報提供等を行っていこうということです。
「地域におけるチャレンジ支援策」ということで、地域づくりが大事な活動になっております。地域づくりと言ってもいろいろなきっかけがあります。福祉、子育て、防災、環境等がございます。そういった活動の中から、起業する人、NPO法人をつくる人等々、いろいろなチャレンジの取組が生まれてきます。また、政治の話にしても、前回、大変御議論がありましたけれども、そういった地域の活動の中から、政治への参加への動きも出てくるのではないかということで、地域づくりのための活動に資するような調査研究、好事例提供等を行って情報提供を行っていく。それから地域のリーダー養成等の事業の一層の充実を図るといったようなことを行っていきます。
「行政等分野におけるチャレンジ支援策」ということで、先ほど、行政分野について古橋委員から御説明をいただきまして、昨年の苦情処理・監視専門調査会におきまして決定し、全府省が目標を掲げて取組を開始した。さらに具体的な目標設定等が必要であるということで、そこで決定された取組を進めるということ。それから、地方公務員についても国家公務員と同様の取組が必要であります。国の府省でもこういったことをやっているということを紹介いたしまして、地方にも働きかけていくということ。それから、国の機関に近い仕事をしている独立行政法人、特殊法人、認可法人等につきましても、情報を提供し、自主的にそういった目標設定などをするような協力要請をしていくといったことであります。以上、本日段階の素案としてはこのようにまとめてございます。 - 岩男会長
- ありがとうございました。それでは、「女性のチャレンジ支援策について(最終報告素案)」について、構成も含めて御自由に御発言をいただきたいと思います。
- 住田委員
-
再チャレンジの意味内容ですけれども、まず、今、この時期だから必要なのは再チャレンジです。日本は長らくM字型のカーブを描いてきたわけですが、実際の潜在的な就業希望率は深いMではなくてほぼ台形でした。就業継続を希望する潜在的ニーズがたくさんあるにもかかわらず、それがかなえられない社会でした。しかし、これからは、希望すればかなえられる、そういう社会であるべきです。これまで高度経済成長で非常に多くの方が結婚・出産のため職場から撤退してきたわけですけれども、その数多くの女性をまた社会に迎え入れるための再チャレンジの必要性が、今この時期に非常に大きいのだということが1つあるかと思います。
もう1つの再チャレンジというのは、これは男女を含めてですが、高齢化社会になってきた場合は、1つの職業だけではなくて、二毛作、三毛作という生き方が選べるようになってくるだろう。そうしましたときの再チャレンジは年齢に応じて準備されるべきであるということです。高齢化社会の中の必然的な再チャレンジです。
さらにもう1つの再チャレンジ。日本は今まで終身雇用で、1つの会社でずっと生き抜くことが良い生き方だとされてきましたけれども、恐らく、人材流動とかいろいろな形で実力主義になってきた場合には、失敗をしながらまたは新たな可能性を求めて別のところに進むということが十分にあり得ると思います。そうすると、そういう失敗をした後にも再チャレンジする可能性を秘めた社会であるべきであろうということです。今までの経済条件や社会構造の変化に伴っての再チャレンジであろうと思います。
長く言いましたけれども、「再チャレンジ」というのは、多様な意味合いを含めているということです。特に最初の専業主婦が社会に進出するための再チャレンジについては、今大変必要だと思いますが、そればかりではないのです。
それから、もう1点、チャレンジ支援策というのは、すべてプッシュするような形での策が随分書かれているのですけれども、現実に仕事を続けられない阻害要因、問題要因はたくさんあるかと思います。それに対しての一種の制裁的な措置、また、これをちゃんと受け止めるだけの苦情処理や告発、そういう機関の整備及びその機能強化がどこかで1つ入らないのかなと思います。女性が仕事を続けるときに一番問題なのは、セクハラとか、女性だからそろそろ辞めたらとか、だんなさんが残ればいいじゃないかという形での肩たたきが今非常に目立っております。それが、長期に仕事をしていく上での阻害要因であると、私自身は個人的には考えております。
そういう問題があったときにどう対応する受け皿があるかということも1つ書いておかないと、前向きばかりじゃない、そんなにたくさんの分量は要らないかと思いますけれども、これは逆からのチャレンジ支援策ではないかなという気がしております。以上です。 - 伊藤委員
-
僕も今の住田委員の意見を支持したいと思います。前回の中間まとめと比べると再チャレンジのところが弱くなっている。パブリック・コメントでも、これでも弱いと言われているわけです。やはり分散されているということもありますが、今の住田さんの指摘にもあったように、再チャレンジの問題が21世紀の日本の雇用とか、社会全体の問題とかなり密接に絡む課題ですので、その辺のところがもうちょっとはっきり出せるような形のまとめ方をしていただいた方がいいのではないかと思いました。
もう1つは、これも先ほど住田委員がおっしゃったことと重なりますけれども、男性に対する意識、男性が持っている女性の労働者観とか女性観みたいなものも含めて、男性社会が今まで持ってきた女性労働に対する見方を変えるようなメッセージを、もうちょっと強調されてもいいのではないかなと思います。その辺がうまく解決できないといけない。このことが女性のチャレンジについてかなり大きな阻害要因になっていることは、誰が考えても明らかだと思うのです。そこのところをもうちょっとクリアに言ってもいいのではないかと思います。先ほどの議論にありましたように、雇用の問題も含めて、男性自身の21世紀の生き方みたいなものを問い直すことも必要です。男女共同参画社会と男性の仕事と生活の在り方みたいなものを絡めながら、問題提起することも必要なのではないかと思います。 - 岩男会長
- 「企業内における男女の意識の差」となっていますけど、それだけではなくて、企業文化そのものの問題がかなり大きいのではないかと思いますが。
- 住田委員
- そうしますと、育児や介護等と仕事との両立ができるような環境整備が十分ではないこと、それから両立することに対する家族でしょうか、社会の理解不足とちゃんと明言していただきたいと思います。
- 岩男会長
- 説明がすべて簡潔になっているものですから……。
- 八代会長代理
- 「ライフスタイルの選択に中立的な税制・社会保障制度・雇用の構築」のところで、これはもう既に報告がありますからこれを要約しているということですが、これは、わかっている人にはわかるけど、一般の人には何を言っているのかほとんどわからない。例えば「男女の固定的役割分担」と書いてありますけれども、それは具体的にどういうことなのか。「ライフスタイルに中立」というのはどういうことなのかということを、やはり例示を入れていただかないとわからない。具体的に言うと、例えば税の配偶者控除とか年金の第3号被保険者、あるいは世帯主を保護するような男女の固定的役割分担というような例示を入れないと、何を批判して何を中立にするのかということが、読んでもわからないのではないかと思います。
- 古橋委員
- 先ほど住田さんが言われたように、私は、全体としてのチャレンジ支援を考えたときに、一番基礎的なことは、今まで我々が言ってきた社会的基盤の整備です。意識ということはある程度書いてありますけれども、そのシステムとして、保育所とかの整備、家庭内における男性の協力、企業においても男性の協力が要る。「社会的基盤整備」のところには、男性の役割的なことをもうちょっとちゃんと書いておく必要があるのではないかと思います。それから、もう1つ感じたことは、「新たな支援策」ということで契約のことだけ書いてありますけれども、補助金のことはなぜ抜いてしまったのですか。
- 村上推進課長
- ここにつきましては、中間まとめから変わっていないのですが。
- 古橋委員
- 私は何度も言っているように、目的を達成するために、過度な負担でない限り補助条件をつけることは可能です。現に農林水産省は補助金の交付に際し、男女共同参画を条件に掲げているわけですから、補助金のことも言及していいのではないか。抜けてしまったのは残念だと思います。
- 岩男会長
- 好事例をいろいろ出すことはいいと思いますが、そうしますと、具体的なことだけで終わってしまうというか、もう少し根本的な構造の部分が変わらないといけない。これは最後のまとめのところできちんと言っておかないと。単に、例えば横へ広げられればいいとか、そういった表面的なことでとどまってしまってはいけないように思います。
- 樋口委員
-
基本的には、男女共同参画の視点で、子どものときから男女ともども人生に チャレンジしていくということが、本当はこちらの会議と連動して、構造改革全体の計画にも入れていただきたいものです。意識形成に関するチャレンジ支援、これは長寿社会対応としても本当に大事なことです。昔は大人になれきれず死んだ人が多数派で、昭和15年1年間の市の状況を見ると、65歳以上での死者は4分の1に過ぎません。今は、65歳以上で死んだ人が80%ですよ。昔は年を取るまではなかなか生きられなかった社会で、今は、一旦生まれたら年を取るまでなかなか死なない社会です。こんな結構な社会はないわけで、自分自身として育ち、男女を問わず挑戦し、失敗もし、成功もし、またやり直す。
これは、男女を問わない長寿社会の、ある意味で生き方モードの変化です。あえて言えば新しいモラルと言ってもいいくらいで、それに対応したシステムをつくる必要がある。キャリア形成としては中断しがちだった女性が、再訓練を受け、再チャレンジし、いろいろな形で多様化した生き方ができるとしたら、それは男性にとってもとてもよい影響を与えます。男性にとっての生き方、まさに社会全体のシステムを変えるきっかけがどこにあるかというと、出発点の教育は本当に大事だと思います。どこかに意識形成について書いてあるのでしょうか。
やはり男性との共通点とか長寿社会への対応ということを、男性にもいい結果になって戻ってきますよということを言えるのが再チャレンジの部分ではないかと思っていますので、もう少しその色彩を強くできないかなと思いながら伺っておりました。 - 竹信委員
- 印象ですが、全般として「チャレンジしなさいよ」という意識の説教みたいなものが結構受け取れるのです。「構造改革に女性のチャレンジは不可欠」とありますが、女性の意識からすると、チャレンジできない仕組みがあるからではないかという意見が必ず出てくると思います。そうすると、「女性がチャレンジできる仕組みは不可欠」とすべきところをどうするかですが、冒頭で、仕組みを女性がチャレンジできるように変えるのだよということをはっきり打ち出した方がいいと思います。一般の人が、上から命令されて押しつけられたことをなぜやらなければならないのか、という気分にならないようにするためのものが必要だと思います。
- 樋口委員
- 仕組みが変わればチャレンジできるのです。
- 竹信委員
- そういう方向に全体のトーンを少しずつ微調整した方がよいのではないかと思います。
- 樋口委員
- 「ねばならぬ」ではなくて、「だから必要です」とかね。
- 竹信委員
- そう。言われてできるなら苦労はしないよと。
- 樋口委員
- チャレンジは、人間にとって、自己の能力の開発であり、その実現でしょう。だから、チャレンジは楽しくて、面白くて、快くて、明るくて、前向きで、人生を活性化させる同時に社会を活性化するものであって、チャレンジは基本的に面白くて楽しいのですよね。だけど、それができない仕組みがあるから、チャレンジできる仕組みをつくろうと。そういう前向きのところをもう少しね。
- 岩男会長
- そうですよね。
- 山口委員
-
構造改革のことはもっと書かなければいけないなと私も思いますが、少子化・高齢化という問題は、結局、少子化ということで労働力不足になることは確かだし、外国人の労働者を入れるとかいうことですが、今は経済が悪いから、あまりいろいろなことを露骨に書かないでいますが、もうちょっと長期的な見通しから言えば、この少子化が解決するには相当時間がかかるし、この少子化の影響がこれから相当出てくるわけですから、女性が働かなければならないということがあると思います。その分はもっと現実として書くべきではないかと思います。多様な生き方で、専業主婦を選んでも、働いても、どっちでもいいよということではなくて、経済的な自立というか、そういうことを確保しながら家庭生活と仕事が両立できるのだというあたりを書くべきではないかと思います。
もう1つは、これは国内的に目が向いています。やはりもっと女性の国際社会への進出ということも、時代ですから、どこかで強調していくべきだと思います。そういうときに後押しするようなシステム。例えば、学会の先生がいらっしゃるから伺いたいのですが、学会などで国際会議があるときに、果たしてチャンスが平等に女性に回っているのかどうか疑問に思うときがあります。 - 伊藤委員
- 学会にもよるのでわからないのですが、全体数が少ないので女性まで回ることは少ないということはあるかもしれません。けれども、むしろ、積極的に外に出られる女性の先生は多いと思います。
- 岩男会長
- 非常に多いですね。むしろ、外に出ることでキャリアに生かしているという感じです。
- 山口委員
- そうですか。政治学会のことを聞いておりますけど。
- 岩男会長
- 政治学会はちょっとわからないです。
- 伊藤委員
- 外国で学位を取ってくる先生たちというのは、わりと女性の方が多いという印象があります。僕は社会学専門ですけど、社会学ではすごく目立っていて、男性以上に女性の方が外にがんばっているみたいです。
- 山口委員
- そうですか。私は、広く国際社会での活躍というか、そういう意味では、女性にとってはいろいろハンディがあるのではないかと思うので、これはどこかに書き込みたいなと思います。
- 岩男会長
- そうですね。あるいは、日本にあるのは人的資源だけですから、その人材を十分に活用しなければいけないと。それをどこかできちんと書く。
- 伊藤委員
- それに関連してですけど、国際公務員への女性のチャレンジは、実は日本は高い。女性の国連職員割合は、国家公務員の割合と比べるとはるかに高くて、国際的な活躍は、むしろ日本では女性の方が目立っている社会です。その辺のところもはっきり書くことが必要ではないでしょうか。
- 北村委員
- 国際公務員の世界では、女性の活躍はネガティブな部分もあると思います。国内ではできないからそっちへ行ってしまうみたいな。
- 岩男会長
- 私、前に、国際公務員に日本人をもっと増やすための委員会があって、それに入っていました。しかし、日本の場合、政府が上のランクに日本人を押し込む努力をしていない。ですから、女性の数は多いけれども、クラス何々以下にすごく多い。そういうことで、政府はできることはもっとやっていただかないと。
- 山口委員
- 外務省も随分、特に国連などで募集しているということを知らせてきますけど、まだPRが少ないですね。
- 岩男会長
- ほかの国は、あそこのポストが空きそうだと目星をつけておいて、そこにちゃんと人を準備するのです。しかし、日本はそういうことをしていない。
- 山口委員
- これから日本にとっては大事なことだと思います。
- 岩男会長
- 非常に大事だと思います。
- 古橋委員
-
また2、3気がついたことで、思いつきで恐縮ですけれども、1つは、農業分野におけるチャレンジ支援策の中で、農林水産業について私どもが振興策を考えるときに、6次産業化ということを言っています。1次産業があって、その中に農業、林業等があって、そこを活性化させることも必要ですが、2次産業、3次産業が活性化することによって地域がバランスよく発展する。3次産業であれば例えばグリーンツーリズムとかで女性の活躍が非常に多いです。あるいは、2次産業も、食品加工業で実際に創意工夫しているのは女性ですから、そういうところにおいて、いわゆる1次産業、2次産業、3次産業がバランスをとった、いわゆる6次産業化が今これから進んでいるのだから、そういう方向を進めて、その中において女性が、今まで活躍しているのはさらにそれを広めることが必要である。それはまさに起業化ということとの絡みにおいて必要になってくるのではないか。いろいろなところで言われておりますから、農林水産省とも相談して、そういうことを書いていただくのがいいのではないかと思います。
同じように、地域におけるチャレンジ支援策は、システムとしてやろうと思えばできるということを書かないと。地方分権はどんどん進んで生活に身近なものは地方が担うようになっていますし、情報化社会も進んで地方公共団体は情報提供も随分やるようになりました。また、情報公開を要求すれば開示が義務づけられる情報公開条例がどんどん制定されていて、地域に関する行政のいろいろな問題に、住民が関与しようと思えばできるようになってきました。そういう機会を捉えて積極的に参加していく。地域においては今、そういう機会が増えていることを言ってあげる必要があるのではないかという気がします。
それから、行政へのチャレンジ支援では、先ほどいろいろな御意見を伺ったので、それらを踏まえて、過去のことを追加すると同時に、もう少し具体的な、例えば国としては、今後とも会議で決定された意見に対する一層の取組は進めるということではなくて、もし言うならば、「民間に先駆けて」とか「民間に先行して」とかいうことを入れるとか、もう少し価値判断を入れてくれないと、何のためにこれをやっているのかということになる。あるいはまた、「諸外国における立法例も踏まえつつ」ということも入れておくことによって、そういう外国の例をここで少しみんなに意識してもらって、いかに日本が遅れているかを意識してもらうということではないかという気がします。 - 伊藤委員
- 僕も今の古橋委員の意見に大賛成です。前から申し上げているように、やはりほかの国での女性のチャレンジ支援について、ある程度のオーバービューはされた方がいいのではないか。もう1つは、これを言い始めると、もう1回そういうヒアリングが必要になるのかなと思いますが、今申し上げた国際公務員の話と連動するのですけれども、北村委員がさっきおっしゃったように、日本で女性のチャレンジが難しい状況の中で、女性が海外に出ているという状況があります。実際、海外で活躍されている女性は実はかなりおられる。そういう意味で、女性の国際的なチャレンジということを1つ立てることも必要なのではないか。
- 岩男会長
- そうですね。
- 伊藤委員
- 海外での日本人女性の活躍は、日本の女性は能力があるのに、日本ではそれを活用していないということを、ある面では逆説的に説明するわけで、そういうことをはっきり示すことも必要なのではないかということが1つ。それから、僕は最近気になっていて、僕自身が調べればいいのかもしれませんが、いわゆるペーパーテストにおける男女の能力差について関心があります。身も蓋もない話なので問題かもしれませんけれども、直感的に言うと女性の方が上ではないかと思っています。
- 岩男会長
- 大分前からですよね。直感じゃなくて。
- 伊藤委員
-
それをやはり数字で示していただきたい。例えば、センター入試は、絶対数は男性が多いわけで簡単には比較できないかもしれませんけれども、男女の成績の平均みたいなもの、偏差値の推移みたいなものを示すことも実は重要なことなのかなと思います。これはなかなか出ないかもしれません。いわゆるジェンダー統計に基づいた男女の、いわゆるペーパー試験における知的能力の格差についてまとめると、これはかなり衝撃を与える可能性があるのではないかと思います。
実はイギリスなどでも既に統計が出されていまして、男性の成績が落ちていて、全体で見ると明らかに女子学生の成績が上回っていることは、研究で確かめられていることです。恐らく日本でも同じような状態があると思います。
もちろん、ペーパーテストのレベルかもしれませんけれども、女性の能力をある面で低く見積もってきた男性社会が、女性の能力をもう一度見直すためのショック療法みたいなものをそういう形で出すのも必要なのではないかと思います。これは、もちろん我々の答申とは別のレベルでやるべきことかもしれませんけれども、そういうものもちょっと調べていただけたらなと思います。 - 岩男会長
- 何からの形でせっかくの人材をこんなに生かしていないのですよということですね。それから、さっき古橋委員が言われたことで、入るかどうかはあれですが、農村の女性から言われたのですが、私たちはすぐに、農業をやっている女性は、例えば農業従事者の6割とか、そういう形で、あたかもフルタイムで農業をやっている人だけを念頭に置きますが、そうではなくて、自分たちは兼業だと言うのです。ですから、それを条件としてちゃんと置いて考えてほしいということを言われたことがあります。
- 住田委員
-
少子化との関連で、「女性の就業継続や再チャレンジを支援することが、少子化対策としても意義がある」と言うと、今後も、子どもを産むために仕事を辞めなさいというニュアンスがもし読み取れるとしたら、そうではない。もちろん、多様な選択肢として、それを望む方がそうできることは結構ですし、お子さんの病気の状況でどうしても就業を中断せざるを得ない場合もあると思いますが、一般的には、通常の状態であれば、継続就労できる状況、環境を整備する方向で行くべきであろうと考えています。
それにあわせてですが、先ほどの山口委員のお話で、これからは少子化のために労働力が不足する、その結果、女性が働かざるを得ない状況になってしまった現実がある。したがって、女性の活躍が期待されているということは書いてもいいのではないかという気がします。 - 山口委員
- そういうことなのですよね。
- 伊藤委員
- おっしゃるとおり、そういうことははっきりとここは書くべきですよね。少子化との関連で一番重要なのは、明らかに、少子化の中で生産労働年齢人口が減っている中でも、女性の労働に基幹労働として頼らざるを得ない日本社会があるわけで、それは前提とした形でチャレンジが必要だというロジックがまずあるべきだと思います。
- 山口委員
- 私は、少子化の結果、M字型の女性の働き方が変わるだろうということを言っているのです。同時にもう1つ、やはり女性も経済力を持って働くという考え方もありますけれども、少子化の結果が影響するだろうということを言っているのです。
- 住田委員
- 小さなことですが、「リテラシー」という言葉がいろいろなところで使われるのですけれども、最初は説明をつけてほしいと思います。
- 古橋委員
- 3つあるということをよく言われていますよね。それを使って情報を発信することまで。それはよく書いておいた方がいいと思います。実際に入ってくる情報をよく見る。判断する能力。それから、機会を利用し、かつ情報を発信するリテラシーの分析があると思いますよ。
- 岩男会長
- それが全部入っている通常の定義がありますから、それを入れたらいいと思います。
- 山口委員
- これを見通す期間が、50年先なのか 100年先なのかいろいろありますけれど、これはまず5年と10年ですか。基本計画はそうですよね。 5年と10年ですよね。
- 上杉審議官
- そうです。
- 山口委員
- 当然、ここはそういうことももちろん考えなければいけませんよね。ここは全く期限なしですか。例えば少子化であれば、今年生まれた子が20数年後に働き手になったときにどうかというところまで思いをいたしているつもりですけれども、それは構わないわけですか。
- 上杉審議官
- 長期的な見通しは当然「主な論点」に必要ですから、長い見通しでいいのでしょうけれども、具体的な政策としていこうというものは、今言った一連の検討がベースにあることは基本計画ですので、2005年までに実現すべしと。ただ、もう既に2003年まで来ていますので、そこで切る必要はないわけで、この先数年間を具体的な射程距離に置きながら長期を見据えつつということだと思います。
- 山口委員
- わかりました。
- 樋口委員
-
今の長期見通しですけれども、会長もメンバーでいらっしゃいますが、社会保障審議会などで介護保険や年金の問題にしても、今大変な影響を与えている数字が去年1月に発表された2050年までの人口推計です。政治予測よりも、経済予測よりも、人口予測は当たります。2050年なんてそう遠い先じゃないのですよね。今の学生がちょうど今の我々ぐらいになるというときに、中位推計で全人口の35.7%という数字が出ていて、男女の平均寿命差がまた拡大するようですから、私は、2050年はおばあさんの大量発生期といっています。そのおばあさんがリッチかプアか、健康か不健康か、自立志向か依存型か、そういうことが日本の21世紀中葉を完全に左右する。今、ボディブローよりももっと迅速にこの数値が影響を与えて、結局、年金改革にもいろいろ取り組まれています。
だから、2050年までの見通しを踏まえていくと、女性の活躍なくして日本の未来なしです。そういう人口の構造的変化の部分をどこかで書き込みながら、そして、急にみんながおばあさんになるということではなくて、やはり今をどういう状態で働くか、今どういう状態で生きるか、今どういう男女の関係を築きで子どもを持つかということの積み重ねの上に彼女らの60代、70代があるから、私は、「老婆は一日にしてならず」とはこのことかと言っています。そういう長期的見通しの中でも、女性の活躍とか女性のチャレンジは社会の必然であって、これなしでは日本の未来はないのだ「構造改革なくして経済成長なし」とく総理はよくおっしゃるけど、「女性の活躍なくして日本の未来なし」です。やはりその必然性を踏まえていただきたいと思っています。 - 岩男会長
- 今の樋口さんのお話ですけど、推計は常に常に甘すぎるのですね。もう1つは、前にも申し上げて議論しました年齢制限を外すということは、今回もぜひ強調したいと思います。
- 北村委員
-
今、樋口さんがおっしゃったこととほとんど同じですが、一番最初に、なぜ女性のチャレンジ支援が必要なのかといったときに、私はもっと危機感をあおる書き方の方がいいと思います。この種のものというのは、共同参画基本法もそうだと思いますが、女性の基本的な権利という理念的なものと、このままではやばいよという警鐘的な部分があって、女性の権利にセンシティブな人なら別ですけど、そうでない人に一番説得力があるのは、やはりこのままでは危ないことになるよという言い方だと思います。
そのときに、樋口さんがおっしゃったように、このままでは自立していないおばあさんが増えてしまうので、それを今からどうにかしましょうね、そうでないと大変よという言い方がすごく説得力があると思うことが1つ。
あと、非常に難しいことだと思いますが、あまり長期的に先を見てもしようがないという御指摘もありましたけれども、私たちは男性と女性のあり方において、こういう社会を目指しているのだみたいなイメージ的なものを提示することはできないでしょうか。それが非常にわかりやすいような気がします。
それから、今、離婚女性を輸出している日本みたいな感じがありましたけれども、私たちはよく、欧米社会では女性が活躍しているという言い方をしますが、それを聞いていて怖いなと思うのは、一体我々はアメリカ型を指向しているのかヨーロッパ型を指向しているのか見えないところがありまして、私もそんなに経験やら知識がある方ではありませんが、今の日本はあまりに競争がいびつな形だから、アメリカ的なフェアな競争が必要だということはわかるのですが、あそこまで行っていいのか、日本社会の差異とかそういったものも考えて、既にある程度の高齢化を経験しているヨーロッパ的な社会に学ぶところはないのかという気持ちもありまして、「欧米」と言ったときにイメージするものについて意思統一をしておいた方がいいのかなという気もいたします。 - 伊藤委員
- 僕はそれに大賛成で、先ほどおっしゃったように、アメリカ型は無理だと思うのです。少子高齢社会ですから。もちろん、ヨーロッパのモデルをそのまま輸入することはできないわけですけれども、日本より早い段階で少子高齢化を体験したヨーロッパの体験みたいなものを研究することはすごく大事だと思います。また、前から申し上げていたのは、例えば韓国、台湾を含めて、東アジア地域の、わりと隣接した地域における女性のチャレンジについての調査みたいなものもやはり目配りしていただきたいなと思います。
- 古橋委員
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資料として申し上げておきますが、1998年、ヨーロッパとも比べて、女性国家公務員の上級職、大体課長以上と考えていただきますと、日本はそのときは 1.1。韓国が 2.0。アメリカが23.1。イギリスが17.2。フランスが19.3。ドイツが 9.5。これは何をもって上級職というか、課長職以上となっていますが、人事院が資料を持っていますから、そういうものを資料として出していただいて、ある程度言う。ドイツはヨーロッパの他国に遅れているから、法律をつくった。そういうこともあると思います。
もう1つは、皆さん方の御意見を伺いたいのは、「女性のキャリア形成と人生設計」では、子どもを1人しか生まないことになっているのですね。1.33だから1人と書いてあるのか。「例えば、現代女性のライフスタイルを考えると、高学歴化が進み、20歳から24歳で就職する。27歳(平均初婚年齢)で結婚した後、30歳までに1人を出産。30~34歳の子育て期を経て」と書いてありますが、この間はまだ出産期なのですよ。 - 高橋委員
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2点お願いしたいと思っています。1つは、全体の構成がまだつかみきれていないところがあるのですが、「現状と阻害要因」の中でお書きになっていて、現状を述べているのか阻害要因を述べているのか。特に阻害要因との関連で、ポジティブ・アクションを阻害要因と言っては困るだろうと思いますしね。憲法問題が出てくるけど、憲法を阻害要因と言うのも困るだろうから、これは一体何を議論しているのか、ここで議論すべきことなのかどうなのか、ちょっと検討していただきたいという気がしております。
もう1つは、研究分野の問題ですが、これをやっているときは私は出られなかったので、あるいはこういう議論が出たのかもしれませんが、「女性研究者が」云々とあって、「例えば、保育差の充実、出産・育児休業中の研究者に対しての代替要員の確保等研究補助体制の整備」の辺がピンとこないのです。大学では、確かに非常勤はお金がかかってだめだという大学があるのかもしれませんけれども、普通はそういうことは言わないだろうと思います。遊んでいるわけではないのですが、時間が一番フレキシブルに使える職業で、こういった点が阻害要因になっているということがピンとこないものですから、考え直していただければという感じがしております。 - 古橋委員
- 私も細かいことはいっぱいありますが、また別途。
- 伊藤委員
- ただ、これは大学だけではなくて、民間の研究機関も含めた部分ですよね。民間の研究所等だと、女性研究者のポジションに代替要員が必要だというケースもあり得るのではないかなと思います。
- 高橋委員
- かもしれませんね。
- 伊藤委員
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ただ、大学でも、教育の面では、授業に関しては非常勤の先生を活用しうる。
これも代替要員だと思いますが、ニュアンスは違うような気もします。いずれにしても、そういう人員がフォローアップのためには必要なのかなと思います。 - 高橋委員
- 理科系で実験をやっているような場合とかもありますから、若干、そういうもが出てくることもあり得るのかなと。
- 岩男会長
- ちょっとそぐわない感じがしますね。
- 伊藤委員
- そうですね。
- 八代会長代理
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先ほどの議論でやや心配な点が、少子化との関連で、確かに少子化によって労働力が不足するから、働く意欲と能力がある人はみんな、男女の年齢を問わず働かなければいけないということと、同時に、ライフスタイルの選択に中立的なということは言わなければいけないので、無理やり働かせるということはやはり……。そこは前から少し議論になっていた点ですが、啓蒙して働かせるというのもちょっと言い過ぎであって、やはりそこは、働きたいけど働くことを阻害するような要因を除外するということでとどめるべきではないか。これは確認です。
それから、先ほど住田さんが言われた点で、多様な働き方の選択肢を拡大ということを政府が言うべきではないということも、その本来の意図は、フルタイムか専業主婦かというオール・オア・ナッシングではなくて、その間を埋めるような形でパートという形での就業選択の道を広げること自体は望ましいのではないか。もちろん、その全体にフルタイムとして働くような環境整備もということは暗に入っていると思いますが、それが確認した方がいいというのであれば、もちろんそれも加えるべきだと思いますが、働き方の多様な選択肢を拡大すること自体を政府が言うこと自体は、私は決して間違ってはいないと思います。 - 古橋委員
- チャレンジ支援で、もとのポストにきちんと戻れる。再チャレンジで辞めなくて継続することが大切だということを、例えば福岡の県条例にはきちんと入っているわけです。県条例で、そういうことを事業者はやらなければいけないということが。また、あの条約の中では、必ずもとのポストに戻さなければいけないと書いてあるのに、まだ日本は批准していない。そこのところをもうちょっと継続していくことを再チャレンジの前に書く必要があります。
- 村上推進課長
- 「生涯を通じた女性のチャレンジ支援」ということで、最初に基本的な考え方として挙げさせていただいているのですが、今おっしゃっていただいたようなことを対策として書くと。
- 住田委員
- だいぶ長くなってしまうのなら書かなくても支障がないかなと思うのですが、「男女の意識の差」で、性別役割分担意識とか、男女のどちらが優遇されているかとか、平等観については、世論調査でどんどん変わってきているわけですけれども、もし1つ書いていただくとしたら、国際比較として我が国は極めて性別役割分担意識が強いということです。しかも、今、年代によってものすごく大きな変化が生じてきているということ。性別と年代によっても非常に違ってきている。男女共同参画をあまり好まない方々というのは、日本古来の伝統を重視される。そして性別役割分担意識は非常に良いものとしておられる。今、そこに対しての見事な衝突があるのですが、そう思われている方が今や少数派で、将来においては完全に少数になってしまうことは、意識調査から明らかになってきているわけです。
- 岩男会長
- 年代の差の方が大きいですからね。
- 樋口委員
- 少なくとも、性別よりも年代差の方が大きいという調査は、たしか、夫婦選択的別姓、役割分担意識、働き方で中断再就職か就労継続か、私が知る限りではこの3つがあります。そのあたりを客観的に明確に書いていただきたい。
- 岩男会長
- それは前の方で書いてもいいのではないでしょうか。この「男女の意識の差」ではなくて。
- 樋口委員
- そうですね。
- 竹信委員
- 全然違いますよね。
- 樋口委員
- 性別差よりも大きいのでびっくりしますものね。
- 岩男会長
- そうですね。明らかに日本の意識は変わっているのですよ。
- 岩男会長
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まだいろいろ細かい点があって、これをどう直していくかということで御意見があると思いますので、事務局へファックスなり何なりでお寄せいただくこともぜひお願いしたいと思います。
これは3月末までにまとめて男女共同参画会議で報告することにもなっております。次回は、本日の御議論、またお寄せいただく御意見を踏まえて、それを整理してさらに御議論をお願いすることにしたいと思います。それはよろしゅうございますか。
それから、資料2が、17回の専門調査会の議事録を事務局でおまとめになったものでございます。これは、これまでのように、このとおり決定して内閣府のホームページで公開したいと思いますけれども、よろしゅうございますか。
(異議なし)
- 岩男会長
- それでは、そのようにさせていただきます。事務局から何か連絡事項があればお願いします。
- 事務局
- 先ほどのコメントの件は、今月中に事務局にお寄せいただければと思っております。次回が2月24日、月曜日の1時半から4時まで、この部屋です。次々回が3月14日の金曜日の4時半から7時まで。一応この2回を予定しています。もしまとまらないようであれば、3月24日の月曜日1時半から4時までを予備日としております。以上でございます。
- 岩男会長
- それでは、本日はこれで終わらせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。
(以上)