監視・影響調査専門調査会(第2回)議事録

  • 日時: 平成17年3月16日(水) 16:00~18:00
  • 場所: 内閣府3階特別会議室
  1. 出席委員:
    • 古橋会長
    • 大沢委員
    • 神田委員
    • 袖井委員
    • 林委員
    • 古川委員
    • 山口委員
    • 横田委員
  2. 議題
    • (1) 開会
    • (2) 影響調査事例研究ワーキングチーム事例集について
    • (3) 「政府が実施する男女共同参画の形成の促進に関する施策の実施状況の監視について
      (平成14年度-男女共同参画にかかわる情報の収集・整備・提供)」を受けての実施状況について
    • (4) 男女共同参画に関連する主な判例等について
    • (5) 閉会

(配布資料)

資料1
監視・影響調査専門調査会運営規則(案)
資料1-1
影響調査事例研究ワーキングチームのこれまでの経緯 [PDF形式:24KB] 別ウインドウで開きます
資料1-2
影響調査事例研究ワーキングチーム事例集(案) [PDF形式:458KB] 別ウインドウで開きます
資料2
「政府が実施する男女共同参画の形成の促進に関する施策の実施状況の監視について(平成14年度-男女共同参画にかかわる情報の収集・整備・提供)」を受けての実施状況について
資料2-1
概要 [PDF形式:28KB] 別ウインドウで開きます
資料2-2
調査票(総括) [PDF形式:67KB] 別ウインドウで開きます
資料2-3
調査票(別添)
  
  <1>[PDF形式:282KB] 別ウインドウで開きます <2>[PDF形式:221KB] 別ウインドウで開きます <3>[PDF形式:240KB] 別ウインドウで開きます <4> [PDF形式:225KB] 別ウインドウで開きます
  
  <5>[PDF形式:221KB] 別ウインドウで開きます <6>[PDF形式:240KB] 別ウインドウで開きます <7>[PDF形式:203KB] 別ウインドウで開きます <8> [PDF形式:311KB] 別ウインドウで開きます
資料3
男女共同参画に関する主な判例等
資料3-1~5
男女共同参画に関する主な裁判例 [PDF形式:16KB] 別ウインドウで開きます
資料3-6
女性労働に関する主な裁判例 [PDF形式:65KB] 別ウインドウで開きます
資料3-7
男女雇用均等政策研究会報告書 [PDF形式:218KB] 別ウインドウで開きます
資料4
監視影響調査専門調査会(第1回)議事録
古橋会長
それでは、時間が参りましたので、ただ今から男女共同参画会議の監視・影響調査専門調査会の第2回会合を開催いたしたいと思います。委員の皆様方におかれましては、年度末またいろいろお忙しい中を御出席賜りまして、誠にありがとうございました。
 まず、専門調査会の人事について御報告を致したいと思いますけれども、1月6日付けで、君和田委員、桜井委員、庄司委員、広岡委員が本調査会を退任されることになりました。また、新たに同日付けで、お茶の水女子大学名誉教授の袖井委員が本専門調査会に所属されることになりましたので、御報告申し上げたいと思います。
 袖井委員は、少し遅れて来られるということでございますので、来られましてから皆様方にごあいさつをお願いしたいと思っております。
 それでは、本日の審議を進めてさせていただきたいと思いますけれども、本日は、あらかじめ事務局から御連絡させていただきましたとおり、まず、影響調査の事例研究ワーキングチーム事例集について事務局から報告をお願いいたします。
大森調査分析専門官
では、御報告申し上げます。
 資料1の「影響調査事例研究ワーキングチーム事例集」というものをお開けください。資料1-1で事例研究ワーキングチームのこれまでの経緯が記されております。影響調査専門調査会に所属されていた委員の方には重複の御説明になってしまうのですけれども、過去の経緯から順に御説明したいと思います。
 影響調査事例研究ワーキングチームは、男女共同参画基本計画に、「影響調査について効果的な手法を確立し、的確な調査を実施する」と明記されており、この効果的な手法の確立を目的に立てられたチームでございます。
 影響調査専門調査会は、平成13年5月の設立以来、自己評価システムという形で各省に影響調査をしていただくための、マニュアルづくりをやろうとしておったんですけれども、なかなかそれを調査会で抱えるのは難しいというような事情がございまして、有識者の方にワーキングチームを組んでいただきました。影響調査専門調査会における検討を支援するために、平成14年7月にワーキングチームを設立したということでございます。
 メンバーなんですけれども、影響調査専門調査会会長だった大澤眞理先生、この監視・影響調査専門調査会の委員でいらっしゃる山谷先生、JICAの田中由美子先生、東大の城山先生という方がメンバーになっております。
 昨年7月に、影響調査専門調査会と苦情処理・監視専門調査会が統合しましたが、このワーキングチームについては、統合後の監視・影響調査専門調査会の検討を支援するためのワーキングチームとしてそのまま残って検討を続けてきたという経緯がございます。
 これまでの成果としては、まず第2回会合で、阪神・淡路大震災を事例とした有識者からのヒアリングを行いました。これは、阪神大震災が女性に与えた影響を研究されてきた方を呼びまして、例えば、スーパーなどで、女性のパート労働者が多く解雇されたとか、あるいは衣食住の生活を維持するために、幼児保育や介護を全部女性がやって性別役割分担が強化されたとか、あと、女性のPTSDといったストレスが増えたとか、そういった例の報告がされたということでございます。
 ヒアリングが第6回まで続いた後、第7回、第8回会合の中で、影響調査事例研究ワーキングチーム中間報告書をまとめていたわけでございます。これにつきましては、概要をお付けしました。この概要につきまして、簡単に御説明したいと思っております。
 まず、影響調査とは何かというところなんでございますけれども、一番上の四角囲いがございます。影響調査というものは、男女共同参画社会の形成に及ぼす施策の効果(アウトカム)、及び波及効果(副次的効果)、あるいは意図しない効果を調査し、男女共同参画の視点から施策の改善すべき点を明らかにするものであります。
 2番目に、左下の方に実施主体とあり、男女共同参画会議、関係府省、地方公共団体と書いてございます。これは、男女共同参画計画の中では、実施主体が関係府省であるという点が必ずしも明確でなかったのですけれども、この中間報告書では、関係府省が行うことが望ましいという言い方を使いまして、関係府省もやるべきだということを提言しております。
 3番目に、影響調査の調査項目ということが書いてございます。これは、その右側の事例を基にして、こういう調査方法があるのではないかということを抽出しております。
 具体的に申し上げますと、調査項目1としては、女性と男性のそれぞれの役割や状況、女性と男性が実際的に必要としている事柄等を調査把握する、調査項目2では、女性と男性に対する施策の効果及び波及効果あるいは意図しない効果を検討するということがございます。
 内容につきましては、その右側の事例を見れば大体何を意味するかわかるというようなつくりになっております。
 具体例を御説明申し上げますと、右側の調査手法1という点でございますけれども、これは「健康ちば21」という事例を参考にしたものでございます。その「健康ちば21」を策定するに当たりまして、年齢別の死因が男女によって違うでありますとかがデータを収集することでわかったというアプローチを採ります。
 したがいしまして、病院の窓口で同一の扱いをしておりますと、どうしてもニーズに対応できないというところから、実際の政策提言と致しまして、千葉県の方では、女性専用外来を県立病院に設置するというような具体的な施策のアウトプットが出てきます。影響調査が、実際の施策に結び付いた一例であると挙げられております。
 下の方に調査手法例2というものがございます。こちらの方に関しましては、これはよく御議論に出る配偶者控除の話ですけれども、女性の行動というときに、税制は、その制度自体意図していないにもかかわらず、配偶者控除があることによって、女性のパート労働者が103万円以下に、自分の収入を抑えてしまうという意図しない効果をもたらしてしまっているということが指摘されています。
 したがいまして、調査事例の二つ目の箱からそうなのですけれども、7割近くがパートで、年収103万円以下であると。そうである一方で、年収103万円を超えて働きたいという意向が強いというのがあって、やはりそれは制度が邪魔をしているからではないかということで、配偶者控除というものをなくさなければいけないという政策提言をしているということがあります。これにつきましては、実際、配偶者特別控除の上乗せ部分はなくなっている。配偶者控除は残ってくるのですけれども、そういうような形で政策に反映されているということがございます。
 大体、事例研究ワーキングチームについての中間報告については、以上でございます。
 今回御報告するのは、都道府県・政令指定都市の取組事例集です。中間報告書ができましてから、次に何をするのだという話になったのですけれども、都道府県・政令都市の事例を集めた方が良いという話がワーキングチームのメンバーから出ました。昨年の5月から、本年2月にかけまして、先進的な都道府県の方にお越しいただき、ヒアリングを行ってまいりまして、2月10日のワーキングチームで、取りまとめ案ができ、これを専門調査会に御報告して、委員の方々の御意見を伺いたいという経緯でございます。
 では、ちょっと長くなりましたけれども、資料1-2のワーキングチーム事例集というところに即しまして、今回の事例集の御説明をしたいと考えております。
 本文でございますけれども、これまでの経緯は重複するので省略いたしまして、今回の事例集の意義付けと事例集の構成というところから、順に御説明したいと思っております。
 今回の事例集なのですけれども、先ほど申し上げましたように、中間報告の続編という性格を持っておりまして、国や地方公共団体への影響調査の検討を深めて、なおかつ地方公共団体で影響調査を行うときの手掛かりになるようなものとして位置づけております。昨年の8月にアンケート調査を実施しておりそのアンケート結果の概要を、まとめ、特に、進んだ事例については、団体のヒアリングを行っているという形です。8月の調査では、各県男女共同参画計画のフォローアップを含め事例もたくさん取り上げていった方が、かえってそれが事例として蓄積されて影響調査という手法の確立に資するのではないかという意見がありましたので、余り影響調査というワードできつく縛らずに、広めに集めているというような考え方にしております。したがいまして、アンケート調査と事例という構成になっております。
 次のページに参りまして、アンケート調査の概要が書いてございます。これは、都道府県及び政令指定都市に対しまして、アンケートを実施しており、調査内容としては、まず計画のフォローアップをどうやっているのかというような観点から、以下に掲げる六つの質問をし、また、政策評価というものが現在、地方公共団体では進んでおるんですけれども、そこに男女共同参画の視点が入るともっと進むんですけれども、そういった視点は入れているのかということとか、あるいは3番目のことになるんですけれども、影響調査として何かやっているのかというような質問をしておるというところでございます。
 具体的な回答内容については、次の4ページ以降に書いてございますので、順に一問一問、御説明したいというふうに思っております。
 調査結果の概要で、「男女共同参画に関する計画のフォローアップの実施」、これは都道府県がやっている計画のフォローアップなんですけれども、97%の団体がフォローアップを実施していると回答しております。対象としては、計画に掲載している事業すべてという回答が結構多いのですけれども、事業というよりも、関連する指標、例えば、男は仕事、女は家庭という考えに賛成する人の割合とか、必ずしも事業と直接関係ないアウトカムに属する意識指標みたいなものでフォローアップするといったケースもあるというふうなことでございます。
 あと(2)の「『計画』の進捗率、実施効果等を把握するための評価項目」というのでございますけれども、これは進捗率を把握するために評価項目ということで、ほとんどの団体があるというふうに書いております。ただ、あると申しましても、そのレベルには差がありまして、先ほど申し上げましたようなアウトカムの指標を追ったりするものや、中にはもっと進んで、一個一個の事業に落としていって、事業単位で男女共同参画の視点が入っているかというのをチェックするものがあったりとか、様々な取組が見られるという点がございます。
 5ページなんですけれども、「フォローアップの主体」というのが書いてございますけれども、計画のフォローアップをやっているところなのですけれども、原課で自己評価をやっているところが36団体、あとは男女共同参画課がやっている団体が32団体、あとは外部評価にしているものが10団体というようなことで、少しばらつきが見られるということでございます。
 外部評価については、審議会とかあるいは懇談会といったものを使っている例があるということでございます。
 4番目の「『計画』のフォローアップと全庁的な政策評価の関係」ということでございますけれども、54団体、大半が実施しておるという回答なのですけれども、具体的な政策評価と計画のフォローアップの関連づけをしているところは非常に少ないというような結果が出ております。
 その計画のフォローアップの報告・公表については、審議会報告をしたり、公表したりしているところが大半です。
 6番が、その計画のフォローアップについての自由回答例でして、なかなか客観的な評価指標というものを設定して管理していくといったことは難しいというような声が多いということがあります。
 8ページですけれども、2番目の柱でございまして、「全庁的な政策評価における男女共同参画の視点の取り入れ」というものがございます。これは先ほど申し上げたことと重複しますけれども、福島県などでは、新長期計画の一部に入れているということがあります。
 三つ目の柱につきましては、「男女共同参画の視点に基づく影響調査等の実施」というのがございますけれども、これは、先ほど中間報告で説明したような狭義の影響調査というものをやっているかどうかということについて聞いてみたところ、5団体において、それに似ているものがあるのではないかということが返ってきたということでございます。
 具体的には、秋田、千葉、山口、高知、大阪とあるのですけれども、このうち、山口と高知と秋田につきましては、職員を派遣するないしはヒアリングをするなりしておりますので、後で個別に御説明したいというふうに考えております。
 16ページから個別の「取組事例の紹介」ということでございます。一応簡単な事例だけ御説明したいと思っております。
 まず、埼玉県の「男女共同参画配慮度評価」というものが16ページにございます。この特徴というのは、各課の事業に対して「チェックポイント5」を用いまして、一見、男女とは関係ないよという事業であっても、男女に関係あるということを気付かせるというようなことをしているということと、その中での重点的な分野については、審議会にかけて、外部評価を実施する。それを白書にかけて県民に公表するというような取組をしております。
 具体的には、17ページに五つの評価項目があるんですけれども、要は、事業の対象となる人々及び現状を男女別に把握しているのですかとか、事業の企画、立案、実施の際に、男性、女性に意見を聴いたのですかとか、利用・参加しやすい配慮をしたんですかといった五つの質問項目を立てております。
 結果を見る限り、事業の中で男性、女性に意見を聴いたというのをチェックする方が多いんだけれども、事業対象者を男女別に把握するというところが少ないというような結果が出ているということでございます。
 18ページでそれをもう一つの柱として、その中で重点分野につきまして、男女共同参画審議会においてヒアリングを行い、知事に意見を述べるというようなことをしている。15年度については、子育て支援を重点分野にしているということがありまして、本年度については、働く場における女性のチャレンジ支援を重点分野として外部評価をしているということがございます。
 次の事例でございますけれども、36ページの「千葉県における『男女共同参画影響評価』」というところがございます。こちらにつきましては、取組の特徴と致しまして、各事業の企画立案段階、進行中、実施後のある程度時間を得た事後についても、3段階で調査を実施するということが大きな点でございます。
 更に、その評価結果を次年度の企画立案実施に反映させるというような効果のところが新しい点としてあります。
 あとは40ページの秋田県の例なのですけれども、秋田県においては、「男女共同参画視点導入・推進度評価調査」というものがございます。これは、埼玉県の例とほぼ同じなんでございますけれども、各課、どんな課にも男女共同参画推進員という者を設置して、男女共同参画の視点を本当に進めているのですかということを、その推進員に対して埼玉県のチェックポイントのようなものを配って、年に1回評価するというようなことをしているというのが大きな点です。
 また、所属長の意識が大事というのもありますので、その推進員という課の係員の上の管理職も統括推進員という形で指定して、その人にも「チェックポイント5」に近いものを送り、上司、部下の点からどんどん男女共同参画をしていく、導入しようというような試みをしているのが、秋田県の特徴であるということでございます。
 43ページに先ほどの推進員制度というのがございまして、推進員というのは、各箇所に一人ずつ設置するというのがございまして、統括推進員というのは所長、管理長クラスというのがございまして、現在、研修などを通じて意識の向上に努めているということをやっておるというようなことでございます。
 次が45ページの大阪市の例でございますけれども、大阪市につきましては、影響調査ということでございますけれども、46ページに具体的な調査の概要というのがございますけれども、平成13年にボランティア活動についての男女共同参画影響調査というものを実施しました。
 これにつきましては、市がアンケート票を配りまして、この中でどのような効果があったのかというようなことをヒアリングして、なおかつそれを公表するというようなことをしている。同じようなことを、その中で男女別のデータの整理が必要であるとか、あるいはその効果についてもきめ細かい配慮が必要であるという46ページの下のイの概要といった結果を提言している。
 同様の調査を、広報システムに関しても平成10年に行っておる。あと、15年については、大阪生涯学習事業に関する影響調査というものを行う、これは47ページにあるんですけれども、そういった調査を行っておるというようなことが大阪市の事例でございます。
  50ページ、ここは山口県の例なんですけれども、影響調査の対象として、慣行についても踏み込んだ調査として非常に特筆すべきであるので、この例を取り上げさせていただきました。
 つまり、職場、家庭、地域などにおいて、その男女共同参画の推進を阻害する慣行があるのではないか、という調査検討をしている。グループインタビューという形を取って、こういう問題点があるのではないかという問題点を洗い出してもらう。例えば、農漁村であれば、農業委員に女性の数が少ないのではないかとか、あるいは、いくら女性が稼いだお金でも、預貯金は全部配偶者名義でという慣行があるのではないかとか、そういった問題点を出して、その慣行を改めるべきですかということを県民のアンケート調査にかけて、県民の意識を洗い出した上で、審議会にかけて議論をいただくというような手法を採っております。
 55ページに、高知県の事例が書いてございますけれども、男性、女性の職域拡大が、どういう影響を及ぼすのかというようなことを書いてございます。これはポジティブアクションの観点から、今後予想される影響というものを調べる上で有益だと考え、取り上げたのでございます。例えば、タクシー運転手に女性が進出した場合は、女性客から予約が増えるなど、接客態度を男性が見習わなければいけない点があるということが明らかになったとか、あるいは女性が従来就いていた保育士に男性がつくと、母子家庭の子どもにとっては、父親的な役割を果たす面で非常に良かったという声があったりしております。
  このような事例を基に、「おわりに」という形で、整理をしております。各都道府県の取組の中では、調査対象の中でも網羅的に事業を評価するのか、あるいは何か特定の事業を集中的に評価するのかなど、戦略が様々にあることでまず分けられるのではないかということがあります。更に、事業にとらわれずに、慣行にまで広げて調査するというような試みをしている自治体もあるということでございます。
 「手法による整理」として、内部評価、外部評価があります。一番簡単なのは、事業において予算がどれぐらい消化されているのかということを把握するだけのところもあれば、先ほど「チェックポイント5」と申し上げましたけれども、各自、関係課に何らかの評価基準を設けて、こういったことを本当に考えているのかといったことを気付かせるような試みをしている自治体もあるということ。ないしは、その評価を個別事業から、上位の施策、それから総合評価という形に積み上げていく自治体もあれば、事業で測るのではなくて、例えば、男女共同参画に関係がある、例えば、審議会の女性比率とかあるいは住民の意識といったアウトカム指標に数値目標を立てている。各自治体によって、やっている評価手法というのは様々にある。なおかつ、そういった評価を外部評価に託すといった事例もあるというと整理しております。
 その整理を基にして、ワーキングチームとしてまとめたまとめが65ページ以降に書いております。
 影響調査は計画のフォローアップとやや概念を異にする、影響調査というのは、事業の対象も広うございますし、なおかつ、施策の直接的な効果だけではなくて、間接効果も見なければいけないという点で、単に計画のフォローアップをするよりも広い概念を含むようなものであるというようなことがあるんですけれども、やはり、今回の事例収集の結果を見て、計画のフォローアップの中で、自治体なりに個別事業の波及効果を見たりとか、あるいは必ずしも計画に乗っていない施策を見たりとか、そういった政策評価に乗せたりとか、いろいろ本当に工夫をしている事例があったということが我々調べてよく勉強させていただいた点であるというふうに書いてございます。
 65ページ、一番下からなのですけれども、このような地方公共団体の取組は多様であることに一番意義がある、というふうに考えておるということでございます。
 66ページのまとめとしては、地方公共団体が限られた予算、人員の中で、協力を仰ぎながら取組をしているということ、やはり各地域の課題や現状に照して、可能性の高い手法や対象から取組を始めるということが一番重要であろうと、こういう取組事例を参考にして、まず各自治体さんで始めていただくこと、ないしは始めていただくときに、影響調査ということにも留意していただければ、なお良いというような評価をしているということでございます。
 今後のことでございますけれども、基本計画に規定している「効果的な手法の確立と的確な調査の実施」が挙げられているわけでございます。これを踏まえて、これまで検討された調査手法を基に、更に新たな分野で事例を収集し、調査手法の開発を進めていくということを引き続きやっていきたいということを、ワーキングチームの今後のミッションとしていただいているということでございます。
 長くなりまして申し訳ございませんが、以上です。
古橋会長
どうも大森専門官ありがとうございました。時間もぴったりと手際よく御説明いただいて、ありがとうございました。
 それでは、最初に申し上げましたように、今回、新たにこの専門調査会にお入りになりました袖井委員が来られましたので、袖井委員からごあいさつをお願いいたします。
袖井委員
袖井でございます。ちょっと遅れて申し訳ありません。よろしくお願いいたします。
古橋会長
ありがとうございました。
 それでは、今の大森専門官の説明につきまして、御質問、御意見がございましたら、5時をめどに質疑を行いたいと思いますので、お願いいたします。
 それでは、皆さんが質問を考えていられる間に、私が2、3ちょっと質問したいと思いますけれども。
 いろいろな各地方公共団体に、この影響調査のヒアリングをしたときに、これから次の問題である統計上の不備からいろいろ問題があるという、問題の提供はなかったのかということ。
 それから、これは全部事後調査ですよね。
大森調査分析専門官
そうです。事後調査が多いです。
古橋会長
事後調査をやって、それを事前の影響調査をやるときにあてはめようと考えておられるのか、影響調査というのは事前調査というものが非常に大切でもあるんですね、政策をやるときの。これとの関係についてどう考えているのか。
 それから、地方公共団体からいろいろ聴いたときに、この評価をやるときに、国に対して何かこの影響調査について希望があったのか、なかったのか。
 それから、最後に、これから更にヒアリングをやるけれども、いつまでにまとめる予定なのか。もう一つ、いろいろヒアリングをし、いろいろな事例が出てきましたけれども、その中で、影響調査をやって良かったというのはさっきちょこちょことお話がありましたね。その良かった点だけ抽出していただけないだろうか。地方公共団体が良かったと感じたこと。それがまとめられたらそれをまとめることによって影響調査を今後推進していくときのいろいろ参考になると思います。それらの点について、一応皆さん方が御質問される前に1回質問しておきます。
大森調査分析専門官
それでは、2番目の方から、事後調査、事前調査の関係なんですけれども、御指摘のとおり、大概が事後調査でございます。千葉県は事前調査をやっているということだけで、もう進んでいる先進例に挙げられて、国についても配偶者控除の話とかを事後的に追うだけのものなのです。まず男女共同参画に関係あると認識させるということから始めなければいけない。それから、そういう点が明らかになれば、フィードバックして、政策の企画立案にいかしていくのだというような循環を一応予定しているわけなのですけれども、まだ、その循環に至るまでのストリームができていないというのが正直なところでございます。
古橋会長
それでは、最終的には、事前調査も含めて考えておられるということですね。
大森調査分析専門官
事前調査も含めた調査手法というのは確立したいと思っています。
古橋会長
それはいつまでですか。
大森調査分析専門官
まず現行計画に「調査手法を確立し、的確な影響調査を行う」ということは書かれてあるわけでございますけれども、そのため簡単なマニュアル的なものは、実は、一度、平成14年に作成したのですけれども、どうもそれもいきなり渡して行うと言っても、多分、難しいのではないかというような危惧があって、そして、事例を集めてそれをどんどん、例えば、これなどもそうなのですけれども、ワーキングチームの中で出た議論というのは、こういったまず都道府県の事例をどんどん地方に渡していって、何していいか分からない自治体に、まず、こういうのがありますから簡単ですよ、やりましょうよということを言ってやっていただく。それから進んで、こういう統一的な手法がありますよということを、我々の方でも議論するということは必要だというふうに思って、二段構えでやらなきゃいけないというふうに思っていまして、その中で、中途で終わっているマニュアル的なものを見直していく作業と、あとは更に新たな分野で、こういった面もありますよ、といった分かりやすい事例を紹介していく作業というのは多分並行してやらなきゃいけないというふうに思っております。それはおそらく来年度の課題になってくるというふうに思っております。
古橋会長
来年度ですね。
大森調査分析専門官
来年度です。
古橋会長
そうですね。もう今からだと来年度。
塩満参事官
8ページに、御紹介させていただいたんですけれども、今回、好事例を集めるという趣旨もありまして、ワーキングチームの事例集で8ページにございますが、どういうような影響調査を各自治体が行っているかということも含めまして、調査させていただいたんですが、やはりまだ地方自治体においても、影響調査の手法という部分では、様々な部分あるいは実施していない部分もあるかと思っております。そういう意味では、今回は事例集を取りまとめるという段階ではあるのですけれども、もうしばらく時間がかかるのではないかと考えております。影響調査の趣旨という意味に関しましては、基本計画に書いてあります。効果的な手法の確立、的確な調査の実施、それから、地方公共団体においても取り組めるような情報提供を行う、ということにつきましては、もうしばらく継続が必要なのではと考えているところでございます。
古橋会長
統計の関係はどうでしたか。
大森調査分析専門官
千葉県でヒアリングをするときに、千葉県の方から、やはり統計についての要望はありました。男女に分けられていない中で、ニーズの取り方は難しいというので、もう少し男女別に分けられた方がいいのではないかというような。
古橋会長
統計の具体的な名前は。
大森調査分析専門官
名前まではなかったと思います。
 県の統計で、要は、その主管が男女の統計を取ろうとしないらしいんです。それで、各課へ投げても、そんな統計ありませんといって返ってくるらしいんです。
塩満参事官
今回、アンケート調査をした結果、そういう部分もかなり気付いていただいたと思いますので、そういう意味では、今後、男女別統計の重要性というのは御理解いただけるのではないかと思います。
大森調査分析専門官
国への希望があったのかなかったのかということですけれども、私が聞いたところでは、影響調査ということについては、特に、こうというのは具体的には聞いていないんですけれども、やはり全体としてこういう事例とか、今回の事例研究で対象を広く取るときも、計画のフォローアップとか、そういったことについて、どういうことを知りたいという、かなり他県での事例を知りたいという要望が結構強くて。
古橋会長
早く教えてくださいということですね、この調査結果を。
大森調査分析専門官
これについてかなり照会が来ております。
古橋会長
それから、もう一つは、地方公共団体のことを聴いているけれども、国の政策、施策についての事前評価を、地方公共団体から皆さん方の方は、推測しようと思っておられるんですか。国と施策についての事前影響調査ということを我々は考えているわけだけれども、それは例えば、ODAについては、この前にODAについての政策評価をやったときに、ある程度のジェンダー・メーンストリーミングの関係がいろいろあって、例えば、それがなかったことによる失敗した事例とか、そういうのを随分集めたのですけれども、国の施策についてはどういうふうに考えておられるのですか。これは地方公共団体のことをやっていって、国の施策に類推しようと、こう考えているのですか。
矢島分析官
国については、先ほど最初に影響調査の中間報告の話をさせていただいたと思いますが、その時点で、手法について検討しております。そして、幾つかの事例調査を行って、手法を整理したのですけれども、その時点では必ずしもそれだけに限らないのであろうと、そして、今後も事例を探しながら、それに併せて、もう少し手法の開発をする必要があるのではないかということになっておりまして、その課題を持ちながらも、都道府県政令都市の実態について把握するということで、いったん国の方ではなくて、都道府県等の方を見ているわけですけれども、このフォローアップ事例の中から、国の方でも中間報告の調査手法に翻って、見直せる部分もあると思いますけれども。
古橋会長
それは国の手法も見直すのですね。
大森調査分析専門官
結局、中間報告の段階では、税制とそれから防災について行ったんですけれども、次に、どういう事例を挙げるかというのは、まだワーキングチームの中で、そこに向けての議論がまだしておりませんけれども、そこの部分を今後検討しなければいけないというふうに思っております。
古橋会長
ありがとうございました。それでは、皆様方の方からどうぞ。
山口委員
これは都道府県とか政令都市の範囲ですけれども、今は、市区レベルでも始まっているのですね。私もある区にかかわったのですけれども、行政側は、一般的な政策評価という感じです。そして影響調査ということは分からない。男女共同参画基本計画の見直しに男女共同参画の視点が必要なのでその評価視点をつくろうと審議会でやりました。少なくとも男女共同参画視点として、ポジティブアクションの取り入れがあるか、そういったことを3項目ぐらい挙げてこれまでの施策の評価をしたのです。その場合に、幾つか問題がある。
 例えば、高齢者施策は、男女共同参画の視点で評価のしようがなかった。
 それから、評価の採点方法ですけれども、A、B、C、Dというランクは各課にとって余り面白くない結果になるので、せいぜい、概ね進んでいるとか進んでいないとか、そういう評価基準にしたんですね。
 各市区がちょうど行動計画の見直し時期なので、できるだけ具体的に評価視点があった方がいいと思います。ここでは、各地方公共団体における取組は多様であることは意義があると言っていますが、全く多様で、これではどの手法をとっていいか分からない。効果的だと思ったのは、例えば、国の方は、各省庁に、男女共同参画の担当を置いて、そして、ポジティブアクションの目標をつくっていると、そうなると、やがてそこは男女共同参画の視点の一つがはっきりするわけです。市区町村段階ではその専門の担当委員がいるということ、審議会や職員にそのことが理解されないと、いつまでもこの男女共同参画施策は進まない。早急に具体的な評価視点として必要だという方向性が出ればいいと思います。
古橋会長
ありがとうございます。
 秋田県の推進委員とか、統括推進委員とか、ああいうのは参考になるかもしれないから、そこで秋田県はいかに良かったかというようなことを言えればいいんじゃないですか。
矢島分析官
山口委員の言われたことにも関連しますが、ここまで事例を集められた結果、まとめとして最後に出てきたのが、地方公共団体における取組が多様であることが意義があるという締めくくりとなっているんですけれども、私もそのことは重要なことだと思いながらも、多様であることで広めることは極めて難しいというふうに思うので、一回失敗したと言われたマニュアルというようなものをもう少し復活させていただいて、やらないかもしれないから出さないというよりも、やるかやらないか分からないのに引っ込めないで出してみる方がいい、その中で使えるものは使われていけばいいという気持ちもあります。
 と同時に、そういう影響調査をしていくときの一番気になることというか大事にしてほしいし、もっとアピールをしてほしいのですが、先ほど言われた中にあったことで、男女別統計というものがいかに重要かということを言われたと思うんですね。やはりそこのところは非常に分かりやすいものですから、もっと偏りと格差をなくしていくときの極めて大きな目安になるものとして、男女別データを取らなければならないぐらいのところまで持っていけないか、というのは、人ごとではなく、私の組織も社会の縮図のような男社会なのですね。そのときに、男女平等を進めていこうとしても、男女別に見るということ自身に対する抵抗があるのですね。奇妙に男女平等なのに何で男女別なのだという、間違った意識もかなりありますので、偏りがあるかないかは別々に調べてみなければ比較もできないでしょうということで、やっとわかってもらえるということがありますので、是非、この男女別統計を取ることの重要性というものについて、様々なマニュアルが確立しなくても、何らかの手法でこれをアピールできないかということを私は強くお願いをしたいと思います。
古橋会長
まず評価手法を、内容の前に最低限、評価をするに当たっての基盤条件は何だと、統計がなければいけませんよと、あるいは推進委員とかそういう組織面もなければいけませんよとか、そういうこともまず大前提に書いておくということと、それから、評価手法でも、最低限必要なこと、更にグレードアップしていくと、クラスがいろいろあって、そういうような考え方をして評価手法をまとめてもらうといいのではないですか。
山口委員
最適だと思います。
古橋会長
ほかにございませんか。
横田委員
私の場合には、国際比較との関係で発言させていただきます。こういう形での各自治体の努力というのは大変結構なことだと思うのですけれども、ここで、アウトプット、アウトカムの概念が使われていますが、最終的なアウトカムのところは、国際比較に使えるアウトカムでないと目に見えてこないと思います。国際比較の数字が果たしていいかどうかというのはまた別途問題になりますが、こういうことをやってみて、日本としては国際比較の数字でこれはおかしいと、UNDPのエンパワーメント指数、その場合には、日本からUNDPに言えばいいわけなんですけれども、できるだけそういう意味で国際比較ができるような数字、男女別の各自治体の村議会議員でもいいですし、区議会議員でもいいですし、それぞれの段階での数字、それから、組織の中での地位別の男女比、こういったようなことを出していく必要があると思います。そして、それが非常に不均衡である場合は、実はほとんどのところでそうなんですが、それをどうやって改善していくかというところが正にアウトカムの一番大事なところになってくると思うので、何かその辺をひとつはっきりさせてほしいというのが私の感じです。もう一点よろしいですか。
古橋会長
はい、どうぞ。
横田委員
たまたまなんですけれども、資料編の後ろの方、58ページのアンケートなのですけれども、各自治体非常に努力して、自分たちなりに取り組んでいることはよくわかるんですけれども、例えば、アンケートの質問の、これは多分大阪市のアンケートのことなんですけれども、ここに例えば、「OL」、「キャリアウーマン」という表現があるかないかとか、それから、「フレッシュマン」というようなことを使っていないかとか、「女だてらに」、「女々しい」、こういう表現が不適切なのはわかるんですけれども、この質問事項の中には、言葉遣いの点でまだ合意ができていないところがあるような気がするんですね。
 それで、やはりこの辺については、どこかである程度議論をして、こういう言葉遣いにしましょうということをしないといけないと思います。地方に講演に行ったときに、質問を受ける一つのポイントは、要するに、男の子も女の子も全く同じに教育しなければいけないのかという点ですが、それは非常に抵抗がありますということなのです、当たり前のことですけれども。私は、それぞれの子どもが個性を伸ばすことはちっとも悪いことではない。だから、例えば、自分の娘や孫が女の子でたまたま人形が好きなのを車も好きにしましょう、というのは、それは本当はおかしい話なのですね。
 ところが、そういう流れで誤解されて、こういうアンケートに反映されていると、ちょっとうまく行かない部分があるという気がしているのです。これはもう少しきちっと議論しなければいけない部分があって、せっかく努力しているところに水を掛ける必要はないんです。ただ、少しずつこういうところを整理していかないと、混乱が生ずるかなという気がしたということをもう一点申し上げさせていただきます。
古橋会長
ありがとうございました。
 今の国際的基準のところですが、統計のところでも言いますけれども、日本の標準分類と、国際的な標準分類との違いがあって、大分類のところでは、大体同じなのだけれども、中分類、小分類に行くと、全く異なってくるために比較ができないという問題があるんですね。したがって、各県でも統計をつくるときに、同じ、日本全体で、まず世界の中分類、小分類に合ったような仕方がいいけれども、日本国内においてはまた違っちゃうといけないから、そこらのところを統一する必要があるというようなことをちゃんと提言で書いてもらいたい。要するに、アウトカムを分析しようにも統計が分からなければ、統計で分析できなければだめですから。
 ほかにございませんか。
神田委員
今のアンケートの件ですけれども、私は、これは大変重要だと思っています。つまり、ジェンダーという言葉が出てきましたけれども、社会的につくられた、社会的につくられたということは、逆に言えば、これから変わっていけるわけです。だけれども、どう変えるかとか、どこまで変えるかということについては、十分な検討が必要なのです。一定の合意ができているところはよろしいのですけれども、合意ができていないところをそのまま使うということは混乱の元になると思いますので、そこら辺はよく慎重にしないといけないと思っています。
古橋会長
ありがとうございました。ほかに御意見ございませんか。
 それでは、この問題についての取扱いについて、このワーキングチームが今後検討されるので、うちの方は、監視・影響調査専門調査会は見守るということですか、それとも、私どもの方としてはもう少し検討して、このワーキングチームに言おうというふうな意見、どちらでございましょうか。御意見伺いたいと思います。
 当面見守るということですか、あるいはもう1回途中で経過報告をしてもらうということでいいですか。
横田委員
この点については、今、出た意見の中でも、ちょっと考慮していただきたいという部分がありますので、それだけを、ここで出た意見として向こうに伝えた上で、何かこちらが向こうの活動を制約するという意味ではなくて、こういう意見が出たので、検討してくださいという形で出された方がいいかなという気がします。特に、先ほど言われた統計のこととか、向こうの方が知った上で作業を進められた方がいいかなという気もします。
 それぞれがばらばらに努力しているだけで、そのままで、そのうちのグッド・プラクティスを、ただ、互いに勉強しながらやっていきましょうというだけですと、つまり多様性だけで行きますと、いつまでたってもだめですよね。ですから、何らかの意味で、集約するような方向を目指した方がいいかなという気もするものですから、そういう意見があったということだけでもお伝えいただいた方が良いと思います。
古橋会長
では、今日の意見を事務局でまとめてもらって、その中で向こうに入れるべきところは、私のところと相談してもらって、それを向こうに伝えてもらう、ということでよろしゅうございますか。
横田委員
はい。
古橋会長
それでは、そういうことに致したいと思います。
 事務局、それでいいですか。
矢島分析官
それは、今回の事例集そのものの修正に関するものでしょうか。
古橋会長
事例集はいいのですよ。これからの検討するときの方向です。事例集そのものを直そうといったってそれは無理でしょう。
横田委員
これは事実ですから大丈夫です。
古橋会長
ありがとうございました。
 それでは、次に、ジェンダー統計の関係につきまして、私ども前に専門調査会で報告を出したわけでありますけれども、その後、各省から、それに基づいてどういうふうに対応したかという資料を出してもらいました。それをまとめてもらいましたので、松原調査官から説明してもらいます。
松原調査官
資料は、2「『政府が実施する男女共同参画の形成の促進に関する施策の実施状況の監視について(平成14年度-男女共同参画にかかわる情報の収集・整備・提供)』を受けての実施状況について」でございます。
 この資料は、三つの部分に分かれておりまして、2-1が概要、2-2が調査票の総括、2-3が2-2のうち統計調査等ごとに進捗が異なると思われる項目について統計調査等ごとに回答いただいたものです。
 本日は時間の関係上、2-1に沿って御説明申し上げます。
 表紙をおめくりいただいて、1の「調査の趣旨」については、今申し上げたとおりでございます。
 2「調査方法及び調査内容」についてでございますけれども、決定に添付された苦情処理・監視専門調査会報告書、皆様の前にございますこちらの参考資料1「統計調査等の種類別の実施状況」に掲げられている統計調査等を対象に、決定で取り上げられている性別データの把握状況、個別分野における取組状況等について調査を行いました。
 3「調査実施時期」は、平成16年の11月から17年の1月まででございます。
 4の「調査結果の主な概要」についてでございます。
 まず性別データの把握及び表示状況については、指定統計、承認統計及び届出統計のうち商業統計調査等10の統計において改善が図られています。また、これらに該当しない統計調査等のうち、「地方公共団体における男女共同参画社会の形成又は女性に関する施策の推進状況」を始めとするやはり10の統計調査等において改善が図られています。
 2ページに参りまして、<2>「政策・方針決定過程への参画に関する取組」については、「女性の政策・方針決定参画状況調べ」において、総数及び男女の数又は割合を対比するように改善を図るべきであるとされているところですが、これについては、趣旨を踏まえた改善が図られているところでございます。
 <3>「男女共同参画の視点に立った社会制度・慣行の見直し、意識の改革に関する取組」については、総務省からは、データを男女別に把握することは、地方公共団体にとって過度の負担になることが考えられるという回答がありました。また、財務省からは、男女別の精度及び調査結果の表示方法についての調査を実施しているという回答がありました。さらに、家計調査及び全国消費実態調査については、事業・内職収入の性別データ及び父子世帯の調査世帯が少数であり、精度の観点から結果表章を行うことは困難であるという回答がありました。国民生活基礎調査等については、一定の改善が図られているという回答がありました。
 <4>「雇用等の分野における男女の均等な機会と待遇の確保に関する取組」についてでございます。
 まず「人的資源投資に関するデータについて」は、文部科学省から、社会教育調査等において一定の改善が図られたという回答がありました。
 また、「事業所・企業における男女雇用機会均等と両立支援との関係について」は、厚生労働省から、女性雇用管理基本調査の調査項目について柔軟に対応しているという回答がありました。
 さらに、「商工業、農林水産業等の自営業について」は、農林水産省から、地域就業等構造調査を平成15年に実施するとともに、平成14年漁業就業動向調査において女性の漁業労働について把握を行ったという回答がありました。
 加えて、「起業について」は、経済産業省から、「創業環境に関する実態調査」を現時点では定期的・継続的に行う予定はないが、二次分析に取り組んでいるという回答がありました。
 <5>「女性に対するあらゆる暴力の根絶に関する取組」については、配偶者等からの暴力に関する実態調査を平成17年度に実施するなどの回答がありました。
 <6>「利用者のニーズに応じた統計情報の提供に関する取組」についてでございます。
 まず、「個別的な集計ニーズに応じた集計表の提供について」は、関係府省から成る統計データ利用促進検討会議を設け、同会議において検討を行っているところであるなどの回答がありました。
 また、「研究者等による個票データの使用について」は、「指定統計調査調査票の統計目的外使用の承認申請に関する事務処理要領」を改定し、運用の明確化等を図ったなどの回答がありました。
 さらに、「個票データや匿名標本データの利用を促進する仕組みについて」は、個別的な集計ニーズに応じた集計表の提供のところでもございましたように、総務省から、検討を行っているところであるという回答がありました。
 加えて、「統計利用者等とのコミュニケーションについて」は、やはり総務省から、引き続き統計審議会の意見を聴くこととしたいという回答がありました。
 <7>「国際社会との関係に関する取組」でございます。
 まず、「国際比較性の向上について」は、先ほどの御議論にもございましたが、総務省から、標準統計分類の改定に当たって国際標準分類との対応に配慮しつつ作業を行うとともに、日本標準産業分類と国際標準産業分類について対応表を作成し、あわせて、職業分類について検討しているという回答がありました。
 また、「国際的な情報発信機能の充実について」は、外務省から、お茶の水女子大学ジェンダー研究センターにおいてジェンダー統計の講義を実施するとともに、技術協力連絡会議において男女共同参画の視点の重要性を説明したなどの回答がありました。
 最後に「推進体制に関する取組」については、統計研修所における研修課程においてジェンダー統計の科目を設けているなどの回答がありました。
 以上でございます。
古橋会長
ありがとうございました。
 このジェンダー統計については、本日御出席の神田委員、山口委員、横田委員に御参加を頂いて、皆大変苦労としてこれをまとめたのでございますけれども、私の感じでは、少し、答申してよくなった点もある、しかし、随分無視したものがあるなというのもあるのです。
 したがって、この中で、こういうのをやったときには、今回は取りあえずまとめたものを私出してもらいましたけれども、改善されなかったものだけをまずピックアップして、なぜ改善できなかったかという理由を聴かなくてはいかぬと私は第一に思います。全体としてこれを見たときの考え方です。
 例えば、今、松原調査官が説明したように、3ページの、起業について、定期的・継続的に行う必要があるというふうに答申しているのに、予定はないがと言っているが、逆にそんなことでいいんだろうかと。これは男女共同参画会議に報告をして、それをやるべきだという意見になっているわけです。予定はないということであるのだったら、それは何でやらないのというふうに私は聴きたいし、そのほかに、例えば、指定統計の中において、この中に出ていないけれども、船員労働統計とか、港湾統計、これについては指定統計ですね。それについて男女別にもなっていない。だから、こういうやっていないものについてどう考えるかと、こういうのがまだほかにいっぱいあるんです。できていないものが、今日はいやにいいものだけ出してきたけれども、後の総括表をもう1回めくって、この大変苦労してつくった、お手元にあります答申の別紙の方の資料で全部○×が付いているんですよ。この方の40ページ全部集めまして、これは将来のことになると思って、大変苦労してつくった表なんですけれども45ページ以降、○×が全部付いているのです。この中に、例えば、総務省の個人企業経済調査というのは×になっているのにも今回何もない。
  それから、例えば、家計調査でも、さっき言ったように、標本抽数が少ないから、これをやっても意味がないようと言うけれども、政策をやるために家計調査が必要なんだから、やれと言っているときに、それでは標本抽数が少ないからできませんというのは余りにもそっけないじゃないのかと思います。政策に合うように、統計を直すというのが総務省の過去における統計基準部の考え方ではなかったのかとか、全国消費実態調査もそうです。それから、財務省の民間給与実態統計の中で源泉徴収、これがまだできていないのは理由は何なのかとか、ぱらぱらとめくってチェックしてみると、随分まだできていないものがいっぱいある。
 統計調査というのは先ほどもお話がありましたように、男女共同参画を推進するのに基礎的な調査ですから、これはじっくりとつくっていかなければいけないので、私は引き続き調査会においてできなかったものについてヒアリングをして、これをやっていかないと、ほかのことをいかに施策がとかいろいろなことを言ったって、これができなければこの施策は砂上の楼閣なんですよ、後でフォローができない。
 例えば、その次に、この中で、私どもがやっている30%、あらゆる分野における指導的地位にある者が30%になることを期待して奨励すると言っているけれども、30%というのは何だと、どの統計で見るのですかということもないし、かつ、その実態がどうなっているかというものがないままにやるということは、非常に危険であるというふうに思うのですね。だから、そういうところについてはもっと統計について敏感に進めていかなければ、私はいけないのではないかと思います。
 質問することがいっぱいあるんですけれども、前の専門調査会の取りまとめの責任者として、取りあえず言っておきます。皆様方の方からまず意見を伺いたいと思います。どうぞ。
山口委員
おっしゃるとおり、むしろこれで進んでいないところに質問するということは大賛成です。
古橋会長
あれだけ時間をかけて、専門家の意見も聴いてつくったものについて、1回だけでただ書面で調査して、まとめたというだけでは私は済まないと思う。これは大変なお金というよりも労力をかけてまとめた報告ですから。そしてこれは極めて地味なのです。地味だから余り目立たないけれども、やはりこれがなければ将来の施策ができない、基盤ですから。ここのところはじっくりやっていく必要がある。したがって、私は、監視・影響調査専門調査会としては、これについてヒアリングすべきだと、私は個人的には思います。後で、この点については皆様方から御意見を伺いたいと思います。
 御意見をどうぞ。
袖井委員
私、これ初めてなので、ちょっと見当違いかもしれませんけれども、この答が非常に役人的といいますか、検討を行っているとか、検討しているとかという書き方なので、いつごろまでかということを確認していただきたいんですけれども。何年後とか、それでないと、検討していますと言ってそのまま過ごしちゃうということがあるのではないかと心配なんですが。
古橋会長
この点については、前のときに強く、旧行管にあった統計基準部が、総理府の統計局の中に吸収されちゃって、統計局というのは国勢調査からいろいろなことをやっている実施機関なのです。統計全体を調整する権限を持っているところが統計局に入ってしまったのです。したがって、旧統計基準部がやっておった総合調整的なものはなくなっちゃって、何か余り総合調整ができなくなっちゃったのではないかと言ったら、関係各省が集って検討しておりますという話が出てきたのです。したがって、この点についてはその後の検討を行っているところの内容についてヒアリングをする必要がある、こういうふうに思います。
横田委員
私も今、会長がおっしゃられたこと、それから、あとほかの委員がおっしゃられたこと、全くそのとおりだと思うのです。私もこれに参加して、こういう方向で各行政担当者が努力するようにということは、言うだけではなくてやはりどこまでやっているかを見ることも大事だと思うのですね。それはそれで一つあるのですが、これから先、ちょっと考えていかなければいけない問題があるということを発言させていただきたい。
 それは、将来の問題でもあるのですが、現実の問題でもあるんです。今、量的には余り多くないために、ほぼ無視されていることなのですが、こういう統計を出すためには基本的な調書が必要ですね。その書類に、男性、女性と書くことに対して、少数ですけれども、セクシュアルマイノリティーの人がいまして、それが非常に自分としては答えにくいという人がいるわけなんですね。そういう人たちがいることと、それから、その人たちに、では、あなたたち以外の人でもって男女を聞いて困りますかというと、それは別に反対はしませんということなので問題はないのですが、ただ、少数の方で、そういうふうに聞かれて、あなたはどちらですかと言われて、答が気持ちの上で出せない、書けと言われれば、戸籍上のことは書くかもしれませんが、常にそれに抵抗を感じる、自分たちはそれをやる度に、普通の人と違うのだと思わされてしまう、それはおかしいのではないかと、いわゆるセクシュアルマイノリティーの人が一番そういうことに敏感なんですが、これをどう配慮していくかということは、ちょっと統計をとるときに考えていかなければいけないと思います。私にも答はないのですが、やはり配慮するということは大事だなとちょっと思ってはいるのです。決してこの方向の努力をそれによってやめさせる必要は全くなくて、そういう人たちも実は、こういうことについて全く反対はしていないのですが、しかし、ごく一部かもしれませんが、そういうことに非常に心理的に抵抗を感じる人たちがいるということへの配慮もした方がいいかなということをちょっと申し上げます。
古橋会長
それはこの統計の検討の際に出てきた問題です。当時非常に問題になっていたので、それが嫌な方は何もそこをチェックする必要はないのではないのと、いう感じで考えたらいいんじゃないと思ったんですけれども。
横田委員
場合によっては、そういう第三のチョイスのところをつくっておく形にして、何かその辺でうまく統計上処理できればいいと思いますので、今後の課題だと思うのですが。
古橋会長
そのときからそれは課題になっていたのですね。性同一性症障害者特例法とも絡んで、この統計についての在り方が、その当時非常に問題になっていました。だから、この取扱いをどうするかという問題も、確かに今おっしゃったようにあると思います。ほかにどうぞ。神田委員。
神田委員
実は、ちょっとこれに関係した経験を致しました。私は、東京労働局の審議会の委員なんですね。この間行きまして、平成16年度について報告がございました。職業安定行政というところで、新規求人数とか、求職とかございますでしょう。それから再就職支援プログラムなんというのをやっているんです。男女別に出てこなかったので、ここに出さなくても男女別のものがあったら教えてくださいと言ったのですよ。そうしたら、全くやっていないと。それで、なぜやっていないのかというと、男女雇用機会均等法以前はやっていましたと、男女を取っていたけれども、それ以降はやっていませんと、もうやるべきではないと思っている。
古橋会長
どうしていけないのでしょうか。
大沢委員
差別に通じるというあれですね。統計が変わってしまった。
神田委員
それで、ないということで。
古橋会長
差別をしないようにするための統計なのに。
神田委員
そうなのですけれども、お答はそうなのですよ。それで、やっていませんと。上というのはどこが上なのかよく分かりませんが、上の方に聞いてから言いますと、神田委員からそういう提案があったということを上に通しますという御返答なので、是非お願いしますと言ってまいりましたけれども。そういうことがあるのですね。びっくりしました。
横田委員
これは私も経験しました。国際連合大学のある講座を主宰しまして、申込書をつくるときに、そこに男性、女性というのを付けたら、何でそんなことを付けるのかという質問が出て、では、必要ないだろうというのでやめたんです。ですから、今おっしゃったとおりの経緯で、問題が出てくるならやめましょうと言ってやめることは簡単なんですね。ところが、これを今度は、ポジティブアクションなり何らかの形で、政策的に使うために、どのぐらいの比率でいるのかを調べたいと思うときには、その材料がないというマイナスの問題があるんですね。ですから、どういう目的のためにこの情報を得ることに協力してくださいということを何か示さないとやはり難しいかもしれない。そして、それ以外の目的では使いませんというような何か目的をはっきりさせた形でデータを取らないと、今のような問題が起こってくると思います。
神田委員
職業紹介なんて、と思いましたけれども。
横田委員
というのは、職業紹介は御存じのとおり、男女別に雇用の広告を出すことを今、禁止していますから、それなら何でそんなこと必要ですかということなんでしょうね。
山口委員
では、年齢もかかってくるのでしょうか。
古橋会長
だから、その目的をちゃんと言っておかないとだめなんです。そして、その用途以外には使いませんよということもちゃんと書いておかないとだめですね。
 神田委員、それからもう一つ伺いますけれども、アーカイブの関係で、おたくの会館が、私はちょっと読んだのだけれども、これをやるというお話になりましたけれども、この統計のアーカイブの問題については、佐藤委員から、今日は来られていないので残念なのですけれども随分強い要請があったのです。それで、どの程度これが行われる予定でしょうか。
神田委員
今ちょっと計画を立てている段階なのです。主として女性の歴史にかかわるようなものをまずは集めようと、今、いろいろなところで散逸していますものですから、それをまずやろうかというようなところで、まだ取り掛かる前段階ぐらいです。
古橋会長
将来の施策とか、現状の施策とか、ここに書いてあるようないろいろな施策についてまではいかないですか。
神田委員
そこまでは今のところは。
古橋会長
あるいは研究機関に対してそれを出していく、ある程度のものを、現データをもらって、研究用ということでもらって。
神田委員
それはやるつもりです、研究資料については。ちょっとこれからまた計画を立てるので、やはりどこかでそういうアーカイブがないと。
古橋会長
ないとだめなのですよ。
神田委員
そう思いますね。
古橋会長
私は、それを聞いて、それは非常にいいなと。国立女性教育会館の新しい、前もやっておられるのかもしれないけれども、存在意義として、このデータのアーカイブというのは大変いいことだなと思いますので、是非その内容を充実していただきたいと。そうすると、ここに国の方では検討してと書いてありますけれども、それとの絡みにおいてどういうふうにしていくか、と思うのですね。
 どうぞほかに。
大沢委員
私も、3ページから4ページ目までに書いてあります個票データの公表ですとか、政府統計をやはり公開すべき時期に来ていて、いろいろな研究者がそのデータをいろいろな視点から分析することによってやはり多様な状況というのがよく出てくると思いますので、ここでは、何かちょっと私分からなかったのは、3ページは最後ですが、秘密の保護を前提に、オーダーメード集計が可能になるような仕組みを検討するというのはどういうことなんでしょうか。
松原調査官
プライバシーの保護等にも配慮することが必要であるということであると承知しています。
大沢委員
それと次の目的外個票を使うときには、いつも断られるんですが、そのときには、指定統計を集めるときに目的としてこれこれしかじかの目的で集めているので、それ以外の目的でこの統計を使うことができないというような理由で使用することができないんですが、今でもそういう状況なのでしょうか。
古橋会長
研究用のときは除外しているのでしょう、指定統計でも。
松原調査官
ちょっと今、手元に資料がございません。
古橋会長
留保条件を除外する場合の明確化というものがありましたね。
松原調査官
それも含まれていると思います。
古橋会長
4ページの、「研究者等による個票データの使用について」というのがあるでしょう。そこのところで、総務省の回答が、指定統計調査の目的外使用については、「平成16年6月29日に『指定統計調査調査票の統計目的外使用の承認申請に関する事務処理要領』を改訂し」、要するに、ある程度我が方がいったん不明確だから改訂しようと言ったら、現行の運用の明確化等を図ったところ、と書いてあるんだけれども、どういうふうに明確化を図ったのか、全くこれが分からないのですよ、このままでは。だから、これはヒアリングしなければだめなのですよ。
大沢委員
是非、これは非常に重要だと思いますので、その条件について教えていただきたいと思います。
古橋会長
これは佐藤委員が前から厳しく言っておられるところなので。
 ほかに何かございませんか。まだ私の方でずうっと個別にいっぱいあるんだけれども、時間はまだあります。
 さっき言ったように、まず1ページから行けば、指定統計、承認統計等、全部書いてあるのだから、×と書いたところで、まだ直っていないところは引っぱり出してください。指定統計でもあるのですよね。できてないものが。
 それから、できないものについてまず引っ張り出してきて、その理由を私の方で聴かなくてはいけないからそれを聴くと。
 それから、政策・方針決定過程への参画に関する取組のところでは、30%というものが何を、どういう統計からこれを見るのか、そして、そのフォローアップをするためには、どれでいくのかということについて、これは内閣府男女共同参画局の仕事だけれども、今後の課題になっていますが、この統計調査のこれでもちゃんと指摘しているのですよ。
 それから、3のところの住民税のところで統計を書く人の方の負担はいろいろ考えるけれども、地方公共団体について負担があるからというのはちょっとおかしいのではないかなと思います。作成者の負担が市町村だけですか、これは。そんなことを言うのは私はおかしいと思いますね。
 それから、家計調査、全国消費実態調査についても、だめな部分がまだあるけれども、最初に申し上げましたように、集計精度の観点からできないと、簡単に技術的なことを言っているけれども、それだったらちゃんともう少したくさん取ればいいじゃないのと、いうふうに思います。
 それから、社会生活基本調査の関係で、前に提案したときには、無償労働の問題について推計を行う上で、家計的な問題については難しいことが大分わかってきましたけれども、就労の関係についてどの程度その後進展しているのかどうか。
 それから、雇用の分野における男女共同の均等な機会と待遇の確保に関する取組のところでは、佐藤委員がすごく言われたのを今も覚えておりますけれども、30人未満のものについての問題とか、事業所の統計であるとか、あるいはまた、新たな賃金制度がいろいろこうなってきている、それに応じた統計であるとか、あるいは不払い残業、これはみんな書いてありますよ。そういう問題について何も回答がこれに書いていないのはどういうわけかということを思いますね。
 それから、次の2ページの一番下のところの事業所統計における男女雇用機会均等と、両立支援の関係について、これはそのときに佐藤委員が何度もくどく厚生労働省の課長さんを呼んで説明をしているんですけれども、まだ、その当時の回答がそのまま来ていると思うんですね。そのときに具体的な提言がこれに書いてあるんですよ、そのときのやり方について、それがその当時のままの回答が来たけれども、それについてどの程度検討したのか、それが私には分からない。これを読んでいただくとわかるように、あのときに非常に詳しく提言をしているはずです。
 例えば、女性雇用管理基本調査で三つのテーマを「ローテーションで実施しており、調査項目については、年毎のテーマに沿った内容に関するものを中心に把握すべきデータの必要性を考慮しながら、柔軟に対応しているところである」と言っているけれども、それが、そこの内容、方法を検討すれば、この両者の調整ができるのではないのということを提言しているわけですね。それにもかかわらず、それについて何も触れていない。
 もう一つは、育児休業取得率についても、今は事業所単位で取っているけれども、それを企業単位で取れば、ほかとのデータとの調整との関係でいろいろなことができるのだけれども、企業単位で取れるような方法をこの調査のときにやったらできるのではないのかという提言をしているけれども、均等関係については調査しているという、平成15年度においても調査しているというが何が行っているか分からない。
 商工業、農林水産業の自営業について、商工業というのは我々はいつも地方に行ったときに、商工業について聞かれるのです。いつも商工の関係の女性団体にいろいろありますから、そこから常にこれについての統計がないと言って我々は突き上げられるんだけれども、経産省はまたこれについて回答がない。
 起業について、これはさっき言ったように、行う予定はないが、で1行に済ませているということ。
 研究者による個票データの使用について、というのは先ほど明確化の内容が分からない。
 データアーカイブの必要性、ニーズ、課題等について検討を行っているところ、と言うけれども、その検討の内容が前向きなのかやらないという方向なのか分からない。
 統計利用者等とのコミュニケーションについて、我々が問題にしたのは、統計審議会でやるからいいよと言っているけれども、統計審議会の委員の構成が、利用者が入っていないところに問題があるとしているのだから、統計審議会の委員の構成という問題、その後変わったのか変わってないのか、入ったのかどうか。そういうような問題が分からない。そのほかいろいろと、他の問題で、例えば、男女共同参画局とほかの各省の統計機関との連携調整を図れと書いてあるけれども、それについて努力が行われたのかどうかとか、もう1回、この報告を1回じっくりと読んでいただいて、これでできていないものについて、どういうふうにするかという対応策を事務的に考えていただきたいということであります。
 ほかに御意見ございませんでしょうか。
横田委員
各省庁、自治体等の協力を得なければこれは進まないわけなのですけれども、最近よく言われているジェンダー主流化ということは、言葉だけが一人歩きしていて、全然実態が伴っていないんです。正にジェンダーの主流化というのはこういうことを言っているわけなのです。すべての省庁の上に立って男女共同参画局がやるわけではないのですが、事ジェンダー問題については、これは全省庁の関係することですよと、それについて男女共同参画局からあるいは審議会から協力を求められたら、それに対してだけは、少なくともそちらにきちっと応答するということがないといけないですね。
 私は、ジェンダー主流化ということはそういう意味で、言葉だけがあって、実態が全然伴っていないということを感じますので、何らかの形で各省庁に自覚してもらった方がいいかなと思います。
古橋会長
ありがとうございました。
 ほかに何か御意見ございませんか。
 それでは、この問題は、今後どういうふうにしていくかについて皆さんの御意見をまず伺いたいと思いますが、御意見ございませんか。この監視・影響調査専門調査会の非常に重要な、この統計から出発しなければいけないと、そういうことでこれをやったものですから、せっかくやったもののフォローをやっていくのが、最重点事項だと私は個人的に思っています。
 したがって、もう1回、今の問題について各省、実施していないところについて、その理由を聴くという会を1回持ったらどうかなと思います。
松原調査官
調整してみたいと思います。
古橋会長
それはいつごろできますか。私の方も基本計画に関する専門調査会があって非常に忙しいのですよ。だから、それをいつごろやるか。
松原調査官
6月に、女子撤廃委員会からの最終コメントに関する状況について調査審議いただくことを考えているので、それよりも前に、例えば5月くらいということが考えられます。
古橋会長
そういうことで検討するということでよろしゅうございますか、皆様。
 それでは、どうもありがとうございました。
 それでは、最後になりましたけれども、男女共同参画に関連する主な判例等について、これは橘木委員から提言があって、今日は御欠席になってしまったので、大変残念なのですけれども、説明をお願いします。
松原調査官
資料は、3「男女共同参画に関する主な判例等」についてでございます。委員の方々には参考資料3-1から3-7までも配布いたしております。
 これらの資料は、前回の会合における御議論を踏まえ、法務省及び最高裁判所に対して関連する資料の有無を照会したところ、双方から、そのような資料は作成していないという回答があったことから、私どもで検索を行って作成したのですが、例えばコンピュータで検索しても判例等において「男女共同参画」等の語が使用されているとは限りませんので、すべての主な判例等が挙げられているかどうかについては確かではありません。弁護士会さんにお聞きしても、事情は同じようです。
 さて、本日は、前回の会合において佐藤委員からも御指摘がございましたとおり、既に労働の関係については厚生労働省の審議会及び研究会においてほぼまとまったものがございますし、時間の関係からも、主に1枚紙に沿って御説明します。
 まず、3-1「女児の逸失利益に関する主な裁判例」についてでございます。死亡した幼児の逸失損益に係る収入金額については、賃金センサスに依拠する方法が定着してございます。女児の場合、女子労働者の平均賃金に基づいて算定する限り、男女の場合とで格差が生ずるが、最高裁判所は、従来、このような方法も不合理とはいえないとする立場を採っています。これについては、参考資料3-1-1に掲げてございます。しかしながら、東京高等裁判所においては、本来有する労働能力には性別に由来する差は存在せず、しかも、就労可能年齢にいまだ達しない年少者の場合、多様な就労可能性を有し、将来の就労可能性に男女差はもはや存在しないに等しい状況にあるなどとする例がございます。これについては、参考資料3-1-2に掲げてございます。
 次に3-2「主婦の逸失損益に関する主な裁判例」についてでございます。主婦の逸失利益を認められるか否かということについては、かつては、見解が対立しておりましたが、現在は、逸失利益が認められるという見解が定着してございます。詳しくは、参考資料3-2にございます。3-2-1は論文で、3-2-1は最高裁判所の判例です。
 次に3-3「再婚禁止期間に関する主な裁判例」でございます。最高裁判所は、民法第733条、これは再婚禁止期間に関する条文ですが、この立法目的に一応の合理性が認められることを指摘した上で、国会がこれを改めないことが国家賠償法第1条第1項、これは、公務員がその職務を行うについて故意又は過失によって違法に他人に損害を加えたときは国等がこれを賠償する責に任ずることを規定していますが、この適用上違法の評価を受ける例外的な場合、これは、国会議員の立法に関するものですのでこう申しておりますが、これに当たらないことを示しております。詳しくは、参考資料3-3にございます。
  次に3-4「入会権に関する主な裁判例」についてでございます。那覇地方裁判所は、会員資格を原則として入会権者の男子孫に限定し、男女間で異なる取扱いをしていることは公序良俗に反し無効としました。詳しくは、参考資料3-4-1にございます。一方、福岡高等裁判所は、入会権は過去の長年月にわたって形成された各地方の慣習に根ざした権利であるから、そのような慣習が存続していると認められる以上は、その慣習を最大限に尊重すべきであって、入会権者たる資格を承継することができるのが原則として男子孫に限られている慣習に合理性がないということのみから直ちに当該慣習が公序良俗に違反して無効であるということはできないとしております。詳しくは、参考資料3-4-2にございます。なお、これについては、現在、上告中でございます
 次に3-5「夫婦間の姓名の使用に関する主な裁判例」についてでございます。
 まず婚姻届自体についてでございますが、婚姻後の氏として夫婦それぞれの姓を選択する旨記載した婚姻届について受理しないこととした市長の処分について、岐阜家庭裁判所は、民法750条、これは、夫婦の氏に関する規定でございますが、これは現在でもなお合理性を有するものであって、憲法に違反しないと申立てを却下した例でございます。詳しくは、参考資料3-5-1にございます。
 また、旧姓の使用については、国立大学教授が国に対し、旧姓を使用するよう義務付けを請求したところ、東京地方裁判所は、個人の同一性を識別する機能としては、戸籍名より優れたものは存在しないとして不適法としております。詳しくは、参考資料3-5-2にございます。なお、これについては、和解が成立しております。
 資料3-6は、「女性労働に関する主な裁判例」で、厚生労働省労働政策審議会雇用均等分科会において配布されたものです。参考資料3-6として、野村證券事件の和解及び内山工業事件の広島高等裁判所岡山支部による判決の資料を添付しております。
 資料3-7は、苦情処理・監視専門調査会においても配布いたしましたが、厚生労働省において開催されていた「男女雇用均等政策研究会報告書」の抜すいです。
 以上でございます。
古橋会長
どうもありがとうございました。大変膨大な資料で委員だけ研究なさるための資料をつくってきてもらったんですけれども、特に御意見ございますれば、どうぞお願いいたします。
山口委員
裁判所に余りジェンダーの視点がないですね。
古橋会長
入会権に関するものは、非常に最近の事例なのに、こういう判例が出ているんですね。3-6の方の住友電気と住友化学の判例について、女性団体が大変喜んでおりましたね。
横田委員
今、裁判所が少し後れているとおっしゃいましたが、そのとおりなんです。ただ、これは法務省なりそれから男女共同参画局なりが、裁判所には口出しできない状況があります。というのは、三権分立でお互いに独立と考えているからです。
山口委員
国会もそうです。
横田委員
国会もそうですけれども、そういう難しい問題があって、これを突破するのに二つの方法がありまして、一つは、やはり裁判官研修の中に人権の視点を入れると同時に、そこでこの点を強調するということです。私は最近、司法研修所で、裁判官研修のところで国際人権の講義を担当することになっていまして、そのときには常にこういう例を挙げて、そこに来られた裁判官の人は非常に熱心に聞いて、割合進んだ意識を持っておられるという印象を持ちました。ただ、裁判官はたくさんいますから、全部というわけにはいかない。もう一つは、特に女子差別撤廃条約の委員会がありますね。あそこがいろいろな意見を日本についても報告書を出しております。例えば、この再婚禁止期間については、コメントが出ています。これは拘束力がありませんけれども、やはり影響力があるものですから、こういうのが出てきたら、裁判官もそういうふうにしてほしい気がしますけれども、国会がやはり受け止めて、法律を変えるという政治的なアクションを採られることが必要だと思うのです。そんなことを感じますけれども、おっしゃるとおり、これは黙っていますと非常に時間がかかりますので、少しずつ進んでいますがすごく時間がかかるので、やはり日本のような国は、もっともっといいと思ったことは早くやるように、していかないといけないなという気がいたします。
古橋会長
ありがとうございました。
 私が感じますのは、最近の判例を見ていますと、裁判官は、世論の動向を考慮するらしいのですよ。世論の動向を考慮する裁判官は結構出てきたらしいので、それだったら世論をちゃんともう少し喚起したらいいのではないかと、こう私は思うんですけれども。
横田委員
ハンセン病などは非常にいい例なのですよ。あれは裁判判決が出て短い期間でいい対応ができました。それまではものすごく動きが鈍かったのです。裁判所も時にはいいことをすることもあるのです。
古橋会長
そういう問題について判例批判が、どんどん出るべきだと、例えば、男女共同参画を研究している学者の先生たちが、こういう判例が出たときに、どんどん出すべきなのですよ。それが学者の仕事だと私は思う。そういうふうに私は思っています。したがって、判例批判というのはどこでもいっぱいやるわけですから、法律学者は。それをやっていただきたいと、こういうふうに思うんですね。
 ほかに何か御意見ございませんでしょうか。この取扱いは、今日は橘木委員が来られないのであれなのですけれども、どういうふうに致しましょうか。皆さんの方で御意見があれば、これはこのままにしておきますか。それとも何かこれについてどういうふうにしたいという御意見があればお願いします。
山口委員
橘木先生のコメントが知りたいですね。
古橋会長
それでは、これを橘木委員の方に送って、これについてのコメントを求めて、それから、将来これについてどういう取扱いにするかも含めてコメントをもらってください。ほかに。どうぞ。
矢島分析官
先ほど、女子差別撤廃委員会への報告に関することが少し御発言の中でありましたね。それは先ほど触れられた問題についてだけなのか。
古橋会長
6月にやるのですよ。女子差別撤廃委員会に対する回答について、別に。それは、間接差別の定義とか暴力問題についての刑法のあれをやるとか。
矢島分析官
それまでに調査をやると言われることについては、それはそれでいいと思うのですけれども、やはり勧告をされたことに対して、最終コメントに対して、もう1回調査をするということだけではなくて、勧告に対してどう対応するかというのは、調査結果とはまた別の対応もあると思うのですね。
古橋会長
いや、勧告に対する対応方針というのは1回つくったのですよ、苦情処理・監視専門調査会で、「国際規範・基準の国内への取り入れ・浸透」というところでやったのです。したがって、それについて勧告を出しているから、それに対して各省がどういうふうに対応しているかというもののヒアリングを1回しましょうと、そして更に、それで足りなかったら、もう1回そこで勧告をして、いい回答を出してもらうようにしましょうというのが6月を予定しているわけです。
矢島分析官
分かりました。
山口委員
確か女性会議で統計を出すべきという項目が出ていると思うのですが、横田先生、国連などでも相当統計がありますね。そうすると、その国連にある統計と、先ほどの我が国の統計を比較して、こんなものが我が国にないと言えるデータというのはあるのでしょうか。
横田委員
あると思います。私、今、とっさには分かりませんけれども、一つは、要するに、UNDPの人間開発指標が日本について出ていますが、あれがどういうふうに積み上げられて出てきたのか、そのプロセスをUNDPの統計局の人と会って、日本の場合どういうデータがそちらで使えないのか、使われているのか、そういうところをきちっとすり寄せをする必要があるというのが私の考えなのですね。
山口委員
本当にそう思います。
古橋会長
前に、その統計調査をやって、やっていないじゃないかと言ったらこの間局長に、UNDPの統計については公表している言われましたよ。
名取局長
白書の方です。
古橋会長
白書で出しましたよ。しかし、あれだけでは分からないので、何とか指数と書いてあるから、その指数は何だと、単純平均し、やりますと言うけれども、もう少し具体的に内容を詰める必要があるという報告を出したところなのです。
山口委員
参画会議でも、大臣方や、総理も始め皆さん気にしていましたね。ですから、私は、やはりなぜそうなのかということは統計からも立証する必要があると思うのです。
古橋会長
あの中における専門職、技術職に占める女性の割合、国会議員の割合、そういうのがどういうウェートで入っているかという、そこいらのところをもう少し詳しくUNDPから聞いてほしい。向こうが出している解説書があったら分析してほしいのです。それをここで書いているのでしょう。皆さんちょっと見てください。
 国際的情報の検討結果についての国際的基準のところの31ページ、国際比較性の向上というところで、真ん中辺に「また、国連開発計画が作成するHDI、GDI及びGEMの国際比較についての情報を提供する際には、算定根拠を明らかにして利用者に分かりやすく解説することが必要である」と、これは横田委員からもそのとき御指摘があって、こういうふうに採り、私も前からそのことを言い続けているものですから、こういうことを書いたんですけれども、その後、もう少しあの白書だけではちょっと経過が分からないから、あの結論が出るに至った経緯をもう少し出してほしいと、こういうことなのです。
山口委員
その心は、とにかくあのランクをもっと日本が上がるような施策を講じなければならないわけですからね。
古橋会長
それが一番国会議員に説得力があるから。あとはその所得の問題とか、いろいろな問題が、全体としてその部分がどういうウェートがあって、各々専門的技術職とはどれだと、統計の中にどれを入れているのですかと、国連はどれを入れ、UNDPはどれを言い、日本の場合は専門職、技術職というのはどれだと、まず、ちゃんと統計を固定しなくてはだめ、それから、それに対して、そういうのだったら、その分を増やしましょう、ということになっているんだったら、そこらのところがどうも。
塩満参事官
算定方法自体は、白書の169ページ、各指標の平均値を3で割っています。
古橋会長
そこに、もう一つ指数があるでしょう。
塩満参事官
EDEP指数という、理想値を50%として指数化したものがありまして、確かにこの部分が、中身的には国会議員の女性比率と男性比率で人口比率を割って、指数を出すもので、算定方法自体は明らかになっています。
古橋会長
それでは、もう一つ言うけれども、そこで私が非常におかしいと思うのは、それでは、その時系列について、その結果、どういうふうに変わってきたというのをずうっと出して、その努力が認められたからその分上がりましたというようなことを言わないと納得できません。
塩満参事官
数値自体は確かに出ているので、その時系列を追う必要があります。
古橋会長
やはり算定方法が分かりにくいですね。
塩満参事官
確かに分かりにくいですね。何分の1とか、そういう形で。
古橋会長
この数値は一般の庶民に言わなくちゃ、日本は恥なのですよ、ということを庶民に理解してもらわなくちゃいけないから、庶民に分かりやすい説明をしなくてはいけない。具体的に、事例で、国会議員がこうなっているから、外国ではこうだからこうなるし、アメリカの場合こうなるからこうだけれども、日本の場合はこれだからこうなるんですよと、いうふうに目で見てわかるような形にしないと庶民が納得しないでしょう。
塩満参事官
そうです。基本的には、国会議員と管理職と所得の男女比で計算していってなんですけれども、分かりにくいです。
古橋会長
その管理職だってその定義が、日本の場合における管理職とそこで言っている管理職は違うのですよ。日本の場合の管理職というのはこの間見たら、役所の場合の管理職というのは事務次官だけ。
名取局長
そんなことはないです。
古橋会長
この間の統計のもの。
名取局長
事務次官は今ゼロですよ。
古橋会長
基準に入るものの、管理職とは何だと言ったら、役所の場合は事務次官でしょう。人事院の統計ではなくて、日本の統計における管理的職業従事者というのをちょっと読んでいってください。
塩満参事官
総務省のものが手元にありませんので、後ほど御報告いたします。
古橋会長
私はこの間驚いたのだけれども。だから、管理的従事者というものは、ここで、GEMのときには向こうは何で、それに対応する日本ではこの統計ですよということを確定して、そしてその分を増やしていくという努力がないといけないんですよね。
袖井委員
日本の場合でも、調査によって違うのですよね。管理職の賃金構造の基本と総務省のとが違うので、どれを使ったかによって違ってくるのです。
古橋会長
だから、まず、どれを使うかということを確定しなければいけないんですよ、30%のことをやる以上。しかし、その努力をここで一回やりましょうか。私は本当に大切なことだと思う。これは内閣府からしかやっていけない話だから、各省からも聴くのだから、内閣府からこの問題について、次のときに聴くということにしましょう。非常に大切なことなのです。
 この間、古川委員に、計画の調査会のときに、こんな30%と安易なものを決めていいのですかと言われたので、私もこれをつくるときにも大変悩んだ話なんです。ただ、閣議決定ではないのです。あれは、やはり期待し、各般の進めるということが書いてあって、閣議決定は期待して、15年度はこういう施策を講ずるというのは閣議決定であって、30%自体を閣議決定をするはずがないと思います、30%をやるということを、それは今決定していません。しかし、期待していて、各般の推進をやるというので30%というのを期待しているというのだったら、30%の根拠がなければちゃんと行きませんよと。
古川委員
と思いました。会長のお話は、一々ごもっともなのですね。
古橋会長
ほかにございませんか。
大沢委員
初めてなのですが、例えば、横田委員のおっしゃったような、裁判でジェンダーの視点が余りないというのは非常に重要なことだと思って、橘木委員のコメントを待つというのももちろん重要ですが、こういったいい意見をやはり何か反映させていくというか、このところで、出された意見をもう少し実行されるような形でやることもできますね。
古橋会長
これは法務省の方にこの意見を伝えることによって間接的に民事局を通じて裁判官に行く以外にはないと私は思いますけれども。
横田委員
基本的には、裁判官がまだまだ男性が圧倒的に多いんです。だから、いかにわかっているとしても、男性の視点を越える判決がなかなか出てこないという実態はあります。しかし、これは人事も、それから裁判官の判決に対するいろいろな批評も、先ほど会長が言われたように、学者が言うのはいいのですが、政府の機関として、法務省とか内閣府が裁判所に言うことは、これは憲法の建前からできないということになっているのです。そこが難しいのですね。
大沢委員
分かりました。
古橋会長
だから、大沢委員とか、皆さん、学者の方でやってくださいよ。ある会った裁判官で、女性の裁判官が結婚したら、判例の内容ががたんと落ちたとか、そんなことを言う人は結構いるのですよ、裁判官の中に。
大沢委員
そこにも問題がありますね。
古橋会長
だから、そういう問題があるのですよ、それは正に。
袖井委員
男の方はいいのですか。男性の裁判官が結婚したらぐっと落ちたとか。
古橋会長
それは、女性の方の質が落ちるというのは、お医者さんがよく言うように、お医者さんでも結構いるのですね。男性の医者と女性の医者とではある程度のところに来ると全然違うというようなことを真面目に言う人がいますよ。そういう人がまだいっぱいいるのですよ。
横田委員
一般論としては、裁判官研修に行きますと、若い任官されたばかりの裁判官の中には、かなり女性がいるのです。今、3分の1まではいかないかもしれませんが、それに近いぐらいいるのです。これはいい傾向ですね。ところが、上に行きますともちろん少なくなります。ですから、判決は一審は若い裁判官がやりますから、割合にそういう意味で進んだものになるのです。そして、高等裁判所に行くと、割合に落ちて、最高裁判所に行くと、昔ながらの判断になっているようです。
山口委員
女性が落ちるのではなくて男性が落ちるんですよ。
横田委員
今、最高裁判所は女性は横尾さん1人ですね。だから、それは非常に彼女苦労していると思います。難しいのですね。
古橋会長
ところで最高裁判所は黙っているのですか。最高裁判所の判決はずうっと縛るわけでしょう。
松原調査官
高等裁判所の方が新しい例なのですけれども、高等裁判所は、法制度、社会環境、社会の意識等女子の就労環境をめぐる近時の動向などを勘案したとしています。
古橋会長
それは結審したのですか。
松原調査官
確定しております。
古橋会長
そういうときに、最高裁判所の従来の判決と違うときに、普通は。最高裁判所の判決というものは、縛るわけでしょう。
松原調査官
高等裁判所は、事情が変わったとしているのかもしれません。
古橋会長
それでよければそれが今度は生きるのですか。
名取局長
事情変更の原則というのは結構生きるので、割と事情変更の原則で、どんどん変えてくるところがあるのです。
古橋会長
ありがとうございました。それでは、大変時間も超過いたしましたけれども、御熱心な御討議を頂きましてありがとうございました。今日の議論を踏まえまして、まとめるべきところはまとめるし、意見を聴くところは意見を聴いて、関係各省に伝達すべきところは伝達し、次のときの会議に間に合せるように努力していただきたいと思います。今日はありがとうございました。

(以上)