男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会

  • 日時: 平成22年3月17日(月) 10:00~12:00
  • 場所: 永田町合同庁舎 第一共用会議室
  1. 開会
  2. 中間整理(案)について(起草ワーキング・グループからの報告)
  3. 答申について
  4. 閉会
  • [議事内容]
    岩井会長
    それでは、時間も過ぎておりますので、ただいまから第52回「女性に対する暴力に関する専門調査会」を開催いたします。
      本日は起草ワーキング・グループで検討してまいりました中間整理案についての議論を中心に行ってまいります。
      それでは、私から起草ワーキングで議論された中間整理案について説明いたします。
      起草ワーキングでは、関係各省庁の参加も得て、メンバーの私と、林会長代理、後藤啓二委員、平川委員、原委員の5名で中間整理案について議論してまいりました。
      2月22日開催した前回の専門調査会以降、起草ワーキングにおきましては具体的取組としての各論レベルを中心として、関係省庁との議論を交えて検討を進めてきたところであります。
      他方、私も所属する基本問題・計画専門調査会では、各分野を通じた中間整理案の編集方針について一定の整理が行われているところであります。
      本日、お示ししている資料1の中間整理案は、これまでの起草ワーキングにおける検討状況に加えて、計画全体を通じた編集方針を踏まえて整理したものであります。以下、全体について簡潔に御報告いたします。
      1の「これまでの施策の効果と女性に対するあらゆる暴力の根絶が十分に進まなかった理由」としましては、前回の専門調査会において、なぜ進まなかったのかというポイントを中心に御議論をいただきました。
      この点につきましては、前回の御議論を踏まえて(1)各種啓発活動による効果が非常に限定的であったということ、(2)インターネットや携帯電話などの急速な普及によって、新たな形態の被害が次々と発生してきたということ、(3)被害者の救済支援における関係機関の取組や連携の在り方というものが、被害発生の実情や被害者のニーズに即したものとなっていないということ、(4)経済的・社会的自立が困難な女性がまだ多いということで、被害者が暴力を受忍せざるを得ない環境に置かれてしまうケースが多いという計4点を背景要因として改めて整理させていただいております。
      続けて、<2>の「今後の目標」としましては、こうした背景・要因を踏まえて女性に対する暴力根絶のための基盤整理、さまざまな形態による暴力に対応するための幅広い取組が必要である旨を記しております。
      1ページの末以降が、施策の基本的方向と具体的取組として、次期計画期間における取組について記述した部分でありまして、これまでに整理させていただいているとおり、計8の分野に分けて記述を行っています。
      1ページの下の方からですが、1の「女性に対する暴力の予防と根絶のための基盤づくり」としましては、女性に対する暴力を許容しない社会風土の醸成等に問題意識を置いて、2ページの上からですけれども、今後の具体的取組としましては、(1)官民が連携した広報・啓発を実施するということ、(2)若年層を対象とした予防・啓発等を拡充する、教育・学習の充実を図るということです。
      (3)には、職務関係者に対する研修を充実するということ、(4)電話相談や窓口相談について、民間団体等の外部リソースも活用した窓口開設時間の拡大とサービスの拡充を図るということ、(5)公の場における性的表現を含む広告等の規制、実行的な対策を検討するということ、(6)被害者支援における民間団体との連携等の仕組みを更に構築するということです。
      (7)関係機関の連携による切れ目のない被害者支援、効果的な被害者支援を実施するということです。(8)は、女性に対する暴力に関する実態というものを的確に把握できるような調査・研究を推進するということ、その計8項目について記述しております。
      次に、2の「配偶者等からの暴力の防止及び被害者の保護等の推進」としましては2ページの中ごろから記述しておりますが、都道府県と市町村の関係各機関の適切な役割分担と相互連携によるDV被害者の支援等に問題意識を置きます。
      今後の具体的取組として、(1)ワンストップサービスの構築をするということ、(2)相談業務に関する市町村レベルの取組体制の整備・促進を図るということ、(3)市町村を主体とした地域レベルでの被害者の生活の再建の支援を一層促進するということ、(4)保護命令制度を実効的に活用するという観点から、取り巻く状況等の実態を把握して分析するということ、(5)加害者に対する厳正な処罰と更生の対策を図るということです。
      それから、(6)加害者更生プログラムの在り方について、その効果的な実施方法を含めた調査・研究を更に推進するということ、(7)交際相手等から、いわゆるデートDVなど、交際相手等からの暴力への対応を図ります。
      (8)に、この前はストーカーについて1分野設けておりましたが、ストーカー行為の規制についてはここに取り込みまして、被害者の安全確保及び加害者への厳正な対処を徹底し、広報・啓発を推進するという項目を入れております。
      その計8項目について記述しております。
      3に、「性犯罪への対策の推進」ですけれども、3ページの中ほどから以降になっておりますが、性犯罪への対応の推進としては、性犯罪被害の潜在化を防止する、指導的立場にあるものからの被害防止に問題意識を置きまして、今後の具体的取組として、(1)性暴力被害専門のワンストップ支援センターの設置を促進するということ、(2)教育・医療、社会福祉施設やスポーツ分野における指導的立場の者に対する啓発を強化するということ、(3)被害者に対する包括的、中長期的な支援、性犯罪被害者に対する被害の回復のための支援を推進するということです。
      (4)には、警察等における専門的な体制の充実、捜査体制の拡充ということを挙げております。(5)には、強姦罪等の刑法の見直しや効果的な再犯防止対策を検討するということ、(6)二次被害の防止や一般社会における理解の増進を図るという計6項目について記述しております。
      次に、4ページの上からですが、4としまして「子どもに対する性暴力の根絶に向けた対策の推進」として新たに項目を設けておりますが、身近なものからの被害、インターネットなどを介した被害の防止などに問題意識を置きます。
      今後の具体的取組として、(1)子どもに対する性暴力根絶に向けた広報・啓発を更に実施するということ、(2)防犯、安全対策等の強化を図るということ、(3)に、学校、児童福祉施設などにおける被害兆候の把握と関係機関との連携等を図るということです。
      そして、(4)に、学校教職員の採用時等における性犯罪歴等の把握をきちんと行えるような方策をとるということ、(5)児童ポルノの排除に向けた総合的な対策の検討を推進する、(6)インターネットを介した児童買春の防止対策を更に推進する、(7)には、メディア・リテラシーを向上するということ、(8)性暴力被害を受けた子どもに対する継続的な専門的ケアを実施するという計8項目について記述をしております。
      それから、5に「売買春への対策の推進」、4ページ中ごろからですが、売買春の取締まり等、被害女性の保護、支援等に問題意識を置きまして、具体的取組として、(1)生活再建などの総合的な支援を充実するということ、(2)売春の相手方に対する対策や斡旋行為に対する取締りの強化を図る、(3)売春防止に向けた広報・啓発を実施するということ、その3項目について記述しております。
      次の6「人身取引対策の推進」としましては、昨年、策定されました新たな行動計画に基づく取組について更に推進するということ、それから、男性被害者の保護施策の検討等の取組も推進するということを挙げております。
      それから、5ページの上からの7ですけれども、「セクシュアル・ハラスメント防止対策の推進」という項目につきまして、雇用の場に加えて教育施設などにおける防止対策の必要性などに問題意識を置きまして、具体的取組として、(1)非正規労働者を含めた雇用の場における防止対策を更に推進するということ、(2)雇用の場における加害行為に対する対応につきまして、行為者及び被害者に対する措置を適正に行うよう企業等への指導等を徹底するということ、(3)には、教育・医療・社会福祉施設やスポーツ分野などにおけるセクシュアル・ハラスメントの実態把握と未然防止、そういう体制整備を更に促進するという3項目について記述をしております。
      最後に、8に「メディアにおける性・暴力表現への対応」というのを新たな分野として挙げておりますが、メディアにおける性・暴力表現が女性に対する重大な人権侵害であり、男女共同参画社会の形成を大きく阻害するものであるという点に問題認識を置きまして、具体的取組として、(1)には広報計画の実施とメディア・リテラシーの向上を図るということです。
      それから、(2)性・暴力表現が人々の心理に与える影響について、調査方法の検討を行うということ、(3)に、ネット上の児童ポルノ対策を更に推進するということ、(4)は、メディア産業における自主規制の促進と、パソコンゲームなどバーチャルな分野における規制を検討するということ、その計4項目について記述しております。
      中間整理案についての説明は以上ですが、引き続き本案について議論してまいりたいと存じます。
      なお、これまで開催してきました起草ワーキング・グループでの議論を通じて、関係省庁との意見の調整も、相当程度、図られてきたところでありますが、見解が一致しない部分も残されております。
      それでは、御意見・御質問のある方は挙手を願います。どうぞ。
    後藤(啓)委員
    私の意見については、資料2でお配りしていただいているんで、それを見ていただければと思います。
      まずは事務局に申し上げたいんですけれども、私は起草委員の一人としていろいろ意見を申し上げてきて、その場で異論がなく入っていたことが消えていることが多いんですね。
      この資料2で配っていただいているところもそうなんですけれども、例えば「GPS装着等による」というのも、起草委員会で全く異論がなかったのが何故か消えています。
      その次、「児童ポルノ法の見直し(単純所持罪の新設、写真・映像と同程度の写実的な漫画・コンピューターグラフィックスによるものの規制等について)」も、この前まで入っていたと思うんですけれども、それがまた勝手に消えているわけなんですね。
      では、なぜ起草委員会をやる必要があったのか、なぜ勝手に消すのかということなんです。
      これはまた後で結構なんですが、まず、今日お示しされた中間整理案は、少なくとも私の理解では起草委員会でまとまっていたことが、今、言ったようなところは抜けているということです。
      たしか、法務省がこの辺で反対の意見を言っておられたと思うんですけれども、少なくとも男女共同参画会議の女性に対する暴力に関する専門調査会の意見というのは、別に省庁の意見にしたがわなければならない場ではないわけです。
      何かもっともな理由で省庁が反対するならともかく、法務省が理由もなく反対する意見を言ったからといって、それに応ずるような形で勝手に削除するようなことは、到底、応じられないということなんです。
      まず、この「GPS装着等による」がなぜ消されるのか、私は法務省の見解が全くわかりません。これは昨年、法務省自身が調査研究をやっているわけなんですね。たしか、今年度中に調査研究の報告を出すということになっているわけなんですよ。それがなぜ消せというような意見を法務省が言ってくるのかということです。
      児童ポルノ法の見直しについても、この単純所持罪の新設は国会でも検討されているわけですね。漫画についても、今、東京都条例案で検討されていて、結論はともかく検討することも消せというのは、法務省は一体どういうことかと思います。
      しかも、なぜそれに事務局は応ずるのか、私は全くわかりません。こんな運用をされたら、民間人として、委員として意見を言う意味がないですね。
      勿論、私と違う意見の人はいると思いますが、検討する必要があるのではないかと言っているんです。それすら削るというのは、一体どういうことなのかということです。それが1点です。
      2点目は、真ん中の児童虐待についてなんですが、これは事務局の方からもちょっと御指摘をいただいたんですけれども、性暴力・性的虐待の範囲を超えていると、要するに、この場は女性・子どもに対する性的虐待を含む性暴力を論ずる場なんで、性的虐待を超えた一般の児童虐待のことを論ずるには超えているのではないかということです。
      それはごもっともなんですけれども、ただ、当然この中に性的虐待が入っているということと、最近の非常にすさまじいような児童虐待が続いているという実態からすると、こういうことぐらいは書いてもいいのではないかというのが私の意見なんです。
      この場は、少なくとも子どもを含む女性に対する暴力をどうするか、少しでも少なくしようということを考える場でありまして、ほかの要素を持ち込む場でないのではないのかと思います。当然、とんでもないことを言っているつもりはないわけです。
      少なくとも検討する対象から理由もなく消せという役所の意見に応ずるなんていうのは、この会の存在意義に関わることだと思いますので、そこのところは皆さんの御意見を承りたいと思います。以上です。
    岩井会長
    どうもありがとうございます。御意見ありますか。
    諸澤委員
    基本的に似たような意見なんですが、これを見ていまして、例えば強姦罪を非親告罪化すると、法務省はこれに反対のようですが、私たちとしてはこういう意見が多かったと思います。
      あるいは、今、おっしゃったような、例えば4ページのちょうど真ん中ぐらい、4の(4)辺りに、「性犯罪歴のある者を任用権者が把握するための方策の検討」といったように、非常に突っ込んだ意見があって、私は非常にいいと思っております。
      他方で、2つほど気になりましたのは、強姦罪の成立要件、いわゆる構成要件の見直しという意見が結構あったと思いますが、こういうようなことが消えていくということ、あるいは5ページの中ごろですが、セクハラに関して「企業への指導を徹底する」という表現にとどめています。
      これは、企業に何らかの責任、義務を明記していく必要があるのではないか、そういうのを回避すべき義務が雇用主側にあるというぐらいの表現が必要ではないかと思うんですが、この辺りがトーンダウンする、あるいは消えていくという辺りはどういうことなんでしょう。
      具体的に強姦罪の構成要件見直しのようなのが、完全に抜けてしまうというのは、何らかの配慮なり理由があるのでしょうか。
    岩井会長
    どうぞ。
    藤澤推進課長
    事務局から御説明させていただきます。
      起草ワーキングでも各省の話も伺いながら委員の方々に御議論をいただいたところで、先ほど岩井会長からも御紹介がありましたように、依然、見解が一致しない部分もございます。
      委員の御意見と一致しない部分についても、委員の御意見をそのままこちらの資料1に載せている部分もあるんですが、落ちているという御指摘も幾つかいただいたところです。
      中間整理案全体は暴力だけではなくて、ほかにあと13分野がございまして、暴力も含めて14分野全体のとりまとめに向けて、後で説明をさせていただく資料も用意しております。
      3月末に、全体をとりまとめられるよう暴力の専門調査会と基本問題・計画専門調査会でそれぞれ御議論をいただいているんですが、その全体をとりまとめていく中で、各分野間に、中身というよりも、例えば構成などでばらつきがあるのはどうかということで、起草ワーキングでもちょっと御説明させていただいたんですが、ほかの分野と暴力も合わせる形で整理をさせていただけないかということを申し上げて、起草ワーキングでもまとめてきていただいております。
      そのまとめるという意味で、確かに今までかなり細かい部分も含めて御議論いただいたんですが、分量的な観点などから落ちてしまったところがあったということでございます。
      必ずしも、各省と意見が合わないので落としたということではないので、そこは誤解のないようにお願いいたします。
    後藤(啓)委員
    全く理解できない話です。数文字、消して一体どういう意味があるんですか。ほかのところとの並びで数文字消すとか、1行消すとか、全く意味がないではないですか。
      要するに、私は自分がやっている施策について法務省が反対したことは全く理由がわからないんですけれども、当然、事務局は消してくれと言ったから消したのではないということですね。
    藤澤推進課長
    意見が合ってないところも入っています。
    後藤(啓)委員
    私が言っているのは、GPS装着とか児童ポルノのところですよ。ここは法務省が、消してくれ、消してくればかり言っているわけですね。まずは、それをのむつもりはないということでいいですね。では、復活してくださいよ。
      繰り返しますけれども、各省庁の検討の場で法務省が反対しているんならそれに応じざるを得ないのかもしれないんですけれども、ここは別に法務省の意見を承って、法務省さん反対なんですかという場ではないわけでしょう。
      絶対にそうしてください。
    諸澤委員
    ちょっとよろしいですか。後藤委員が指摘された具体的な例、あるいは私が質問した意見は、そういう強い意見があったと思うんですね。ただ、それが合意かどうかの確認作業はしてないんですね。少なくとも私の記憶だと反対の意見はなかったと思います。
      反対がなかったので、ほぼ皆さん合意なのかなという取り方なんですが、やはり皆さんが合意できるものについて、ちゃんと書いていただくということで最後の仕上げをやっていただいたらどうかと思うんですけれども。
    岩井会長
    そうですね。この中間整理案については各省庁からいろいろな意見があるようですが、各省庁の意見を聞いてここを修正したというわけではないんですね。
      GPS装着の問題は、法務総合研究所でも、今、外国の制度について調査をしているという段階で、その導入についての検討を図るための調査だとは思うんですけれども、まだ、そこまでは踏み出してないというところがあるんですね。
    後藤(啓)委員
    検討に入れているだけなんです。
    岩井会長
    どうぞ。
    後藤(弘)委員
    後藤啓二委員のお話もわかるんですけれども、例えばどこまで細かく書くかということには議論があると思います。今のお話の中で、私はどちらかというとGPS等と書いてしまうと、逆にGPS装着だけしか検討しないような可能性が出てくることを恐れます。
      個人的には、所在確認をすることが効果的な再犯防止対策になるのかということについても、若干、疑問に思っています。
      どこまで具体的に書くのかということについての、先ほどの説明を私がし直す必要はないと思うんですけれども、これまでの第2次、第3次基本計画の検討を通じて感じたことというのは、どこまで細かく書くかによって、より有効な施策ないしは幅広い施策の検討が行われないことについてはなるべく避けたいというような事務局のお考えがあるのかなと思います。
      事実、検討したという事実は存在はするんですが、ここでどこまで盛り込むかということになると、例えばGPS装着等というのを書いて検討しなさいと言ったら、やはりそれを強く推奨するみたいな取り方をされる可能性というのは否定できないと思います。
      ポルノについてもどこまで具体的に書くか。例えば単純所持罪の新設等ぐらいは私も書いていいと思うんですけれども、どこまで細かくして立法作業とかを縛っていくのかということについては、縛ることのメリットと縛ることによって生じるデメリットもあるということを確認しておいた方がいいと思います。
    後藤(啓)委員
    私だけしゃべるのもどうかと思うんですけれども、最初に林先生から御説明があったと思うんですけれども、児童ポルノの単純所持罪にしても、バーチャルな分野の規定にしてもCEDAWを指摘されていることなんですね。
      ですから、それに触れることは最低限と言っては何なんですけれども、違和感がないといいますか、必要なのではないかという思いがあります。
      それと、これは後藤弘子先生たちと反対の意見なんですけれども、私も長い間、役人をやっていましたから思うんですが、はっきり書かないと役所はやらないとういことなんです。
      こう書いてあるんで、ここだけ使ってやりましたみたいなことで、かえって逃げられますので、はっきり書いて少なくともこれはやってくださいよというメッセージの出し方をしないと役所は逃げるんです。自分が長年やっていて言うのも何なんですけれども。
      ですから、私は役所にやらせる意味でも書かせた方がいいということを痛感しております。
    林会長代理
    私も起草委員会のメンバーでしたけれども、いろいろな御意見があって、後藤啓二委員が出された意見について反対がなかったことは確かです。
      他方、諸澤委員がおっしゃるとおり、では、それを全部入れるということで一つずつパラグラフごとに採択していったかというと、起草委員会はそういう作業をしてないわけです。
      ある程度、事務局に更に調査をお願いしたりとか一任をした形のものが、起草委員会の岩井会長に来て、それから、岩井先生が御出張中は私の目を通して出ていますので、私どもの責任でもあるというところがあって、勝手に事務局が削ったということではありません。今日のテーブルにはこのドラフトを出しましょうということで合意をして出されたものだと、私は理解をしております。
      これでいいかどうかということについては、今からここで、皆さんで議論をしていくという順番になると思います。各省庁からの御意見もあるし、なおかつ、起草委員会以外の委員の方で更にコメントがおありの方もいらっしゃると思います。あるいは起草委員会で出ていたけれども外れたものはどうなのかという御意見についても、ここで更に直していくというのが今日の会議の主な議題だろうと思っておりますので、一つずつ異論がある点について進めていかれればいいのではないかと思います。
    後藤(弘)委員
    今後の手続についてなんですけれども、起草委員も含めてここで出た議論というのは、例えばもう一回起草委員会に持っていって直すのか、それとも、今日出た意見を事務局の方がある程度ここに反映されて、それを中間とりまとめとしてされるのかについて確認をしておきたいんですけれども。
    岩井会長
    やはりこの中間整理案については、ある程度の省庁からの意見、そして反対意見については理由なども述べられておりますので、そこのところをきちんと克服できるような指針を示せるかというかというところを検討して、更に中間整理案を整理するということだと思います。
      でも、もう一回これを開くということはできませんので、もしここの分を直すということになれば確認と連絡をとって整理するということになると思います。
    林会長代理
    ですので、起草委員会はもう予定されてないということよろしいですね。
      それから、今日、資料3でスケジュール案が出ているようですけれども、3月25日の基本問題・計画専門調査会で岩井会長から中間整理案について、ある程度の報告をいただくということですので、今日からそれまでの間に起草委員会は予定されてないですね。
    長瀬調整官
    少なくとも全員がお集まりになることは予定されておりません。
    後藤(弘)委員
    では、基本的に今日話したこれが何らかのかたちでまとめられて、それがこちらの案として提出されるという流れになるという理解でよろしいですね。
      私は起草委員ではないので、少し意見を言わせていただきたいと思います。
      とても読みやすく、いろいろ御苦労になったと思うんですけれども、議論されたことの細かさは別として、大体、盛り込まれているのかなというふうに思います。
      先ほど、細かいことまで入れるなという発言をしたにもかかわらず、細かいことを言ってしまうのをお許しいただきたいんですが、まず1点目、2ページなんですけれども、施策の基本的な方向と具体的な取組のところで(4)というのがあります。
      これは電話相談や窓口相談についてということで、「窓口開設時間の拡大等のサービスの向上」と書いてあります。これは電話相談について全然書いてないので、電話相談を拡充する気がないのかと読めるのを少し恐れています。
      私はずっとホットラインのことを申し上げてきたんですけれども、例えばどこまできちんと対応しているかは別として、現在法務局に全国共通番号のホットラインがありますので、窓口開設だけではなくて、24時間ホットラインの拡充と、既にあるものを拡充するということの書き方だったらそんなに問題もないかと思うので、そういう文言を入れていただきたいというのがまず1点です。
      2つ目なんですけれども、配偶者からの暴力についての(2)です。ここで市町村レベルとの連携の話が出ています。
      実は、千葉県ですべての市町村についてアンケート調査を行って、例えばDV相談についてどこの窓口が担当しているのかということを、現在、調査しております。多分それが来年度早々にまとまって、それごとに施策を進めるということになっています。
      先ほど後藤啓二委員がおっしゃったように、やはり連携と書いても、連携しました、会議を開きましたみたいな実効性がないものになってしまう可能性があるので、この辺については、例えば研修だけではなくて市町村レベルの窓口の把握とか、そういうことについて若干具体性を持たせて書いていただければと思います。
      千葉県がやっているような調査をすべての都道府県についてやっていただいて、どこの窓口に行けばいいのか、もしくはどこの窓口と連携すればいいのかという連携先をきめ細やかな形で明らかにする作業をしてもらうというような書き方をしていただきたいと思います。
      3つ目ですけれども、4ページで、先ほど後藤啓二委員から出ていたところなんですけれども、子どもに対する性暴力の(2)です。
      私は、性暴力というのが深刻化するのは、外から来る被害よりも内における被害、家庭や学校における被害だと思っています。ここでの指摘を否定するもではないんですけれども、こういう書き方になってしまうと、つまり子どもへの性暴力被害は外からやってくる、それを防げばいいんだという書き方になっていて、それがとても気になります。
      家庭や学校において、より潜在化しがちなものについて、もう少し何とかするということも合わせて行わないと、これだけ読んでみると子どもの性被害というのは外からやってくるんだというようなことで、外の被害が深刻ではないと言っているわけではないんですが、そういう家庭における性被害というのがどんどん深刻化していく気がします。
      もう一点なんですが、人身取引で大事なのは被害者をどう適切に認定するかです。とりあえず被害者と認定された後は、かなりの施策が充実してきつつあるように思いますので、「被害者の発生状況の把握」とか以外に、もう少し適切な被害者認定の促進とか、そういうような文言を入れていただきたいと思います。
      私の指向性として、先ほどのGPSについて肯定的な気持ちが余りないので、それは削って私が入れて欲しいところを入れてくれというような意見になってしまい、さらに逆に細かくなった部分も多く、大変申し訳ないと思いますけれども、とりあえずコメントです。以上です。
    岩井会長
    今度の基本計画におきましては、ある程度、実効的な方針を決めるということになっておりますので、できるだけ具体的に言えるところは言った方がいいとは思っているんですけれども、ただ、GPSの問題とか児童虐待の問題も、性的虐待などについて、やはり子どもに対する、性暴力に対する性暴力被害ですから、少し家庭の中の問題に対してもきちんと対応しようということは入れてもいいと思うんです。
      やはりここの会議は、女性に対する暴力に対する対策というものの提言ということが主要な任務というふうになっていますので、虐待対策というふうなものに踏み込み過ぎると言うと、ちょっと離れてしまうのではないかと思っています。
    後藤(啓)委員
    後藤弘子委員の前半の意見に私は賛成でして、やはり家庭内の性暴力というのも非常に多い、それが児童ポルノにつながっているわけですので、是非、ここは頭出しをしていただきたいと思います。
      おっしゃるとおり、本当にこれは外でしか暴力に遭わないような印象を受けますので、これは是非入れていただければと思います。
    後藤(弘)委員
    後藤啓二委員が出されているような4の丸になっているものを少し修正して、少し制限をつくり、限定をするような形でもかまいません。とにかく子どもの性被害が家庭の中で潜在化しやすいんだということはどこかに項目を起こして書くべきと思います。
      そうすれば、私の趣旨も両方ともうまくいくような気もいたしますし、そうすることでより適切な施策が実施できるような気がいたしますので、その点について御検討をいただければと思います。
    大津委員
    お二人の後藤委員が言われたことに全く賛成でして、子どもに対する性虐待というのは、子どものときに受けたものがそのまま大人になっても苦しんでいらっしゃるということですから、子どものときだけにとどまらないで、やはり大人になってからも本当に重要な影響を及ぼしているということですね。きちっとその家庭内における暴力というものが、まさに外からの暴力よりも深刻であるし言いにくいです。
      そういったところで、やはりきちっと書き込んでいただきたいと思います。
      もう一点、私も多言語ホットラインと、そのホットラインのことで言い続けているんですが、人身取引の計画が策定された中で、多言語ホットラインの運用という検討課題としてが書かれています。
      是非、これを実効のあるものにしていただきたいということと、今まで民間のホットラインをやってきた中で、それぞれのシェルターが電話相談をしています。やはり法務局がやってらっしゃる電話相談と、民間がやっている電話相談、これがどういうふうに、いかに連携していくのかということが、私にとってはすごく関心が高いです。
      それぞれの別々のところでやっているのではなくて、全体で一度調査していただいて、どれだけのところがどういう電話相談をしているのかということを踏まえた上で、これからまさに、更に一歩進んだ電話相談、多言語も含めてですけれども、実効性のあるものにしていただきたいというふうに思っています。
    岩井会長
    どうぞ。
    帯野委員
    すみません、先に失礼しなければいけないので一言だけ話します。
      まず、どれぐらい細かくかということに関しては、文章量に対して制限がありますので、それは御検討いただくとしても、より具体的に書くというのでよろしいのではないかと思います。
      昨日、基本問題・計画専門調査会で、1、2、3、4、10、11、13の各分野ぐらいまで検討したと思うのですが教育の部分が割に具体性がなくて、ワーキング・グループがなかったから余り具体性がないねという意見もありましたので、具体的に書くべきだと思います。
      それから、児童虐待のことに関しても、最終的には基本問題・計画専門調査会の中で、やはりこれは少し合わないねという意見があれば消せることもあるわけですから、ここでそれが必要であるということであれば、一応書き込んで挙げられればよいのではないかと思います。
    岩井会長
    どうぞ。
    平川委員
    私もお二人の後藤委員がおっしゃったお話に加えて幾つか申し上げたいと思います。落ちているというのは、私が感じているのは二つあります。一つは、配偶者暴力のことで、殺害される事件がここのところ起きていて、交際相手からの暴力も含めて、そういうハイリスクの事例を検証するということが出ていたかと思うんですが、それが配偶者等からの暴力の防止、この辺りのところでちょっと抜け落ちているのではないかと思うんです。
      2の(8)のところに、何らかのハイリスク事例の検証というのを入れていただきたいと思います。
      2つ目に、3の性犯罪への対策の推進のところなんですが、強姦の要件見直しというのが落ちていると思います。それから、私が以前に申し上げた性犯罪被害者による、検察、警察、あるいは裁判所に対する苦情処理を受け付ける機関の設置を検討するというのが落ちているように思います。
      それから、私は起草委員として作業をしていたのですが全体として見直してみますと、配偶者間の強姦被害という文言が出てきていないと感じますので、これはつけ加えていただきたいと思います。3のはじめのところの「子どもに対する性暴力、指導的立場にある者による性犯罪等の」という前に、「夫婦間による性暴力」というのを入れてみたらどうかと思います。
      それから、3の(3)なんですが、「性犯罪被害者の心身回復」という、あるいは「生活面に対する包括的」、ここの前に「人権の回復」という言葉が入った方がいいと思います。
      性犯罪者の被害者の方は、勿論、心身の回復が大変で非常に長い時間を要するんですが、それよりも何よりも人権の回復がどうしても先にあるのではないかと思っています。
      以上です。
    岩井会長
    どうぞ。
    前田委員
    よろしいですか。私はこういう起草委員会で書いていただいたものはなるべく尊重すべきだと思っております。
      ただ、一つだけお伺いしていて気になったのは、内閣府としてほかの省庁に対して気配りは大事なのですが遠慮は要らないという感じはするのです。
      省庁からの意見でも、省によってぶつかります。こちらの省の言うとおりに直すと、今度は、なぜ直したのだとほかの省から必ず文句が出る。その意味でも、基本的には内閣府の起草委員会でどの程度細かく書くかというのは、先ほどの議論で、私が特に手を加えることはないです。事務局に最後はお任せするしかないと思うのですが、例えばSNSについての自主規制の後に、新たな規制の在り方を検討するかどうかというのを、片一方は削れと言うし、片一方は入れろと言う、これは、ただ、今は客観的に見たら入れておかないとまずい。自主規制ではうまくいかないから、どんどん少女の被害が出てしまっているわけです。それを放置しておいて、まだもうちょっとSNSの業界が一生懸命やっているのだから待ちましょうという経産省だけの側の議論に乗ってしまったら、この会の見識が問われると思うのです。
      それと同じように、ブロッキングもどこまでやるかといって、ここに総務省が、ブロッキングするのは憲法違反なのだと言って、それほど重大な問題なのだから慎重でなければいけないと言うけれども、それは彼らが利害を守るための論理でして、片一方ではどんどんやらなければいけない、刑法上これは正当化できるんだという議論も当然あるわけで、ブロッキングの推進で世界的な流れから言っても推進というのを落とす必要はない。ですから、その意味では、基本的にはこのワーキング・グループ案で私は異存ないですが、これをむしろ余り省庁から言われたので変えるということはされない方がいいのではないか。
      ただ、一番気になったのは、起草委員が書かれたものが、恐らく、ちょっとコミュニケーションの面もあると思いますが、起草委員と意見が余りにも違う形で直ってしまっているとすると、それはなるべく修正というか、調整された方がいい。ただ、長さなどが大きいと思いますけれども、文章の体裁などは事務局の御判断で、結論としては、ここで書かれた内容で私はもう賛成でございます。
    岩井会長
    どうぞ。
    諸澤委員
    基本的には、具体的に明示するというのは大賛成ですし、何々などの何々する方法について検討するという表現をすれば具体的であり、なお方向がはっきりしていると思うのですが、その点ではなくて、先ほど冒頭で触れたのですが、4ページの子どもに対する施策のうちの(4)は非常にいいとは思っているのですが、これに対して省庁からの反論もないし。
    岩井会長
    文科省から少し意見があったそうです。
    諸澤委員
    学校など、子どもに接する職場での職員採用について、前歴を把握する方法。この辺りは非常に反論があると思ったのです。これが入っているというのは、やはり反論はあるけれども大事だという判断でしょうか。
    岩井会長
    かなり難しいという御意見だったと思いますが。
    諸澤委員
    そうですね。
    岩井会長
    でも検討ということですから。
    諸澤委員
    欧米でもやっている国と非常に慎重に対応している国とあって、これを日本に取り入れるというのはなかなか難しいとかねがね思っていたものですから。個人的には賛成なのですが、これは突然こういう表現が表れて何か。
    林会長代理
    ここは省庁から強い反論が出た部分だったのですけれども、犯歴を理由に採用を拒否するということまで行かなくても、例えば、採用時に私は過去に性犯罪でかれこれの罪で訴追されたことはありませんという誓約書を出させるということも一つの方策ではないかという議論がありました。
    諸澤委員
    把握する方法としてそういうものがあるのですか。
    林会長代理
    ここはかなり広く捉えて入ったと私は理解しております。
    岩井会長
    どうぞ。
    奥山委員
    7のハラスメントの防止対策の推進のところですけれども、ここは、多分、関係省庁としては厚労省が中心になるとは思いますが、意見が何も出てこないので、私の方から幾つか意見を申し述べたいと思います。御検討いただければと思います。
      1つは、表現ないし字句の問題ですけれども、1行目の法律名ですが男女雇用均等法と書いてありますが、普通はこういう表現ではなくて一番簡単なのは均等法と言いますが、もしこのように雇用均等法と書くのであれば、機会というのが入った方がいいのではないかと思います。男女雇用機会均等法というのがこういう場面でのオーソドックスな言い方であると思います。
    林会長代理
    入っています。
    奥山委員
    事前にいただいたものは入っていませんでしたが。
    林会長代理
    今日配付されたものであれば入っています。
    奥山委員
    そうですか。それでは、今日の資料を見ながらやります。
      次に具体的なものとして、また表現ですけれども労災と書いてあるのですが、これはこういう種類の報告書や政策提言については正確に労働災害と書いた方がいいのではないかと考えます。
      それから、内容の点。今の1のところに関連すると思うのですが、私は、別途、都道府県労働局の、紛争調整委員会でハラスメントなど調停にも関わっているのですが、そうした際に感じたことなのですけれども、まだまだ事業所といいますか、企業の中ではハラスメントが場合によれば労災保険上の労働災害の対象になるということよりも前に、やはり基本的にハラスメントがそもそも、個人の尊厳とか名誉とか人格的権利を侵害するものだという認識がまだまだ希薄ではないかと思うのです。こんなことぐらいでなぜこんなところに出てきて釈明したり、何か言わなければならないのだという感覚が事業主さんにもあるようですし、また、直接対象になった加害者というか行為者にもそういう意識がまだまだ強いのではないか。だから、労働災害というのは勿論大事なことで、これを否定するつもりは、まったくないのですが、やはりここでもそれとともにというか、それ以前に、そもそも職場でのハラスメントが人権侵害になり得る問題であるとか、雇用上の非常に重大な差別を起こすものだという視点が、まず基本的に入っていた方がいいと思っています。その意味で、文言を工夫する必要があると思いますが、やはりこの点は、落とすべきではないと考えております。
      それから、もう一点、これは先ほど諸澤委員が言及されたところに関連するのですが、先ほどの委員のお話ですと、事業主に対してより具体的な義務づけをしていったらどうか、そういうことについてコメントを付けたらどうだということをおっしゃられたと思うのですが、私も基本的にはそれに賛成です。ただ、均等法との関係で少し問題になると思いますのは、均等法というのは強行法規なのです。そのなかで、一般的には措置義務と呼ばれているのですが、具体的には事業主に対して9つぐらい、啓発周知などのための政策方針を表明しなさいとか、相談の部局とか担当者を用意しなさい、などの措置を明示しているのです。これは要するに、均等法の下で事業主が行わなければいけない措置義務なのです。ただ、それに対して違反があったときにどういう対応を取るかというと行政指導です。その意味では、均等法というのは行政指導法なのです。裁判所の裁判規範、勿論、強行法規などに引っかけるとやれますけれども、直接的には行政指導の根拠法でもあるのです。
      ですから、防止のために事業主に何らかの具体的手立てを義務付けしようとするときに書き方の問題なのですが、ハラスメントが人権侵害とか雇用上の差別に当たり得る人事管理上も法律上も重大な問題であるということを啓発するために、少なくともそういう措置義務を尽くしておかないと行政指導がきますということを研修などを通してもう少し積極的に明確にした方がいいのではないかと思うのです。
    岩井会長
    どうぞ。
    後藤(弘)委員
    先ほど平川委員がおっしゃったことに関連するのですけれども、ハイリスク事例の検討というのは、この前の会議にも出たと思うのですが、それは別に配偶者間暴力に限ることではないわけで、できたらもっと前に移す。例えば、最初の2ページの十分に進まなかった理由には、いろいろな事件が起きてもその原因とかそういうものが検討されなかったということもあるかと思うのです。
      それはある意味では、社会や国家の危機感とか、私たち国民の危機感がないということを示しているので、できたらハイリスクという形で起こった事例を適切に検討してこなかったということが最初に出てきて、それに2の具体的な取組の(8)のところ、「実態が的確に測れるデータの在り方の検討」のところで、若干具体的な事例の把握、問題の起きた事例の総合的な観点からの検討みたいなものを、入れるというのも一つかと思います。
      あと、平川委員がおっしゃったことなのですけれども、人権回復。性犯罪の被害者だけではなくて、この前あるところで聞いた話だと、配偶者からの暴力の被害者も人権の回復というのがある意味重要で、例えば配偶者の暴力を受けた人が地域に戻ってきて孤立するのは、配偶者暴力を受けている、離婚している、母子家庭であるという3点セットの存在が大きい。レッテルを張られてしまうと回復が困難になるし、孤立する。人権侵害とは2のところに書いてあるのですけれども、「重大な人権侵害であるとともに」だけではなくて、人権侵害がされてしまうとその回復も困難で、暴力の根絶のためには、被害に遭った人の人権の回復も必要だということが書き込めるといいかと思いました。
    岩井会長
    では、全体に係る部分、基盤づくりのところに入れた方がいいということでしょうか。
    後藤(弘)委員
    そうですね。ハイリスクの具体的な事例の問題点の検討を国家的なプロジェクトで行うというイメージで考えているのですけれども。それ一つの暴力だけではなくて、例えばセクシュアル・ハラスメントにしてもそうでしょうし、ストーカーにしてもそうでしょうし、そういうような検討を全部について行う必要があるのにそれをしてこなかったことが問題だという書き方がされると一番いいと思います。どういう形で入れるかはお任せをします。
    岩井会長
    ワーキングでは、原委員からハイリスク事例の検討を共同に行うことがそれぞれの部署の連携のためにも非常に必要だという御意見が出ておりましたので、どこかここの連携強化のところに少し具体的に書き込めれば。
    林会長代理
    私は、事例検証ということについては2ページの1の(3)ケーススタディの手法の活用とか、(8)のデータの在り方の検討という中に、もう既に含まれているのではないかと思っていました。入れることに反対ではないですが、例えばハイリスク事例というのは、これはやはり私たち特有の用語で、それを一般の人が聞いたときに何なのかということはわかりづらいと思うのです。
      何がハイリスクかということについて、何か確立した見解があるのかということについても私自身はわかりませんので、そういう言葉を使うのかどうかということについては、検討が必要です。
      それから、私は起草委員でしたので、今日はむしろ皆さんの意見の聞き役に回ろうと思っていたのですが、皆さんからいろいろ心強い御意見をいただいて嬉しく思っております。私は、性暴力犯罪、特に強姦罪についての見直しということは是非強く打ち出していただきたいと思っているのです。ちょっと法務省に対する偏見かもしれませんが、刑法改正と言うと、何かこの不磨の大典を批判しているみたいに思われて、とにかく刑法という言葉を使ってほしくない。強姦罪という言葉は外してほしいという意識を強く感じるのですけれども、やはり刑法が変わらないということが、日本の女性を抑圧しているということの原点に立ち返っていただきたいと思うのです。
      その意味からも、強姦罪に関しては、非親告罪化だけではなくて、構成要件の見直しそのものということを議論してきたと思いますので、それを検討することすらやって欲しくないとか、ここから削って欲しいということだと、後藤啓二委員もおっしゃったように何のために民間の委員がここにいるのかということなのです。
      それだったら、どうぞ、法務省と内閣府で御議論してくださいという話になってしまうので、ここで出た意見というのは尊重していただきたいと思います。その意味で強姦罪という言葉は、性暴力犯罪の中での極めて重大な、象徴的なものとして構成要件の見直しそのものも含めて言葉を残していただきたいと思います。
      それから、平川委員から出されていたことで、夫婦間強姦の問題が抜けているという点と、警察、検察の苦情処理機関について、不起訴事案等について扱いをどうするかということは、確かに起草委員会で出たお話ではあるので、それをどうするかということについて、皆さんの御意見を伺えればと私は思います。たしか警察庁からは既にそういう苦情処理機関がありますという御回答をいただいていて、恐らく検察庁については検察審査会がありますというお話なのだと思いますけれども、そういったものを含めてここでどういう文章を入れるかという御意見を伺いたいと思います。
    岩井会長
    どうぞ。
    前田委員
    関連して、私もずっとこの会議を長くやらせていただいていて、もっと自信を持たれた方がいいと思うのです。法務省は本当に刑法をいじらせないという感じだったのが、だけれども、ここの動きで強姦罪が変わったわけですから。やはり、そこのところは林委員のおっしゃるとおりで、今回、すぐに日の目という意味では、むしろ私はブロッキングの問題とか、そちらの具体的な問題についても書いていただく方が、今、まさにつばぜり合いをしているところで、ここはやはり女性の暴力をいかになくすかという視点から、全体を調整して案を丸める仕事ではなくて、勿論理不尽なことを言ってはいけないし、無理なことを主張してはいけないのですが、女性の暴力をいかになくすかというために何ができるかという観点での報告書を出していかないと世の中は動いていかない。
      それで、強姦罪をいろいろ調整して、どこまでかという議論もやって、ですから、この会から言えば、法定刑が軽いという議論が残ったわけですけれども、あれだけ動かすというのは、強めの球を投げておかないと絶対動かないのです。その意味で、いや、ほかの省庁との関係も大事ですから心配りはしていただくのですが、強姦罪の議論も入れておく方が、むしろ私も適切だと思うし、先ほども、それはもう繰り返しですから言いませんけれども、自主規制だけに任せてもいいのかという問題とブロッキングは憲法上の問題があるから控えめにというような役所の意見をそのまま尊重して修正する必要はない。ダブって申し訳ないのですが。
    岩井会長
    何か。他に。どうぞ。
    後藤(弘)委員
    私は、さっきいろいろな可能性について申し上げましたが、確かに私もこの間ずっと変わらないことに苛立ってはきているので、例えば少なくとも後藤啓二委員が出されたところの具体性を持った程度のものをやはりつくっておくということが必要だとも思います。例えばGPS装着だと思うのです。あれを入れることは私は反対するものではありません。だから、その程度の具体性を持って書くことがやはりここの任務かと改めて確認をしたところです。
      それから、先ほどの夫婦間強姦の話なのですけれども、どう書くかというのはなかなか難しい。配偶者の暴力の中でも夫婦間強姦がありますし。そうすると、例えば性犯罪のところに、これも性犯罪が外からやってくるというわけではないような感じの書き方を、具体的にすぐには思いつかないのですけれども、性犯罪者の申立てが潜在化してしまうというところに、例えば夫婦間強姦とか、親しい者、デートレイプもそうですね。そういうことで言いにくい状況があるようなことをどこかに書く必要があるということ。
      あと、苦情処理機関について、多分、平川委員がおっしゃっている苦情処理というのはそこをもう少し被害者支援的な苦情処理なのかと私はここで理解をして。ですから、例えば2次被害の問題等がいろいろ出てきていて、例えば実際的に検察が起訴するかしないかということについての苦情もあるけれども、そうではなくて、そこでのさまざまな不適切な取り扱いについて何かそういう苦情が言える機関が欲しいという趣旨でもおっしゃっているのかとも理解しました。それはかなり重要なことで、さまざまな施策が進んでくると、その施策が進むことによって更に問題が発生してくるということはよくあることなので。そこら辺については、すべて施策を行うときにどこかに書いてあったかもしれませんけれども、今後の目標というところになるかどうかわかりませんけれども、そういう書き方をして、何かそういう形の苦情処理機関をつくることについて書き込むことは私は賛成なのですが、具体的にどういう機関があり得るのかということについては、ちょっと私も各機関で適切な苦情があったときには、例えば警察庁があるというお話ですから、警察庁のようなモデルを示して、こういう形で苦情処理を各関係機関は行うみたいな書き方を最初の3のところで実施するということになるのかと思います。
    岩井会長
    全体のものに対するフォローアップをきちんとやるということは、基本問題・計画専門調査会の課題の一つに入っているのですね。性犯罪への対策の推進のところに、親しい者の間にも起こりやすいものだから、もう少し顕在化できるような対応といいますか。そこを少し入れた方がいいのかもしれないですね。
      ここに指導的立場にある者による性犯罪等の発生を防止するためとありますが、指導的立場というのが家庭内とか、そういうものまで含むようには取れないので、もう少しそこのところを入れればいいかと。
    後藤(弘)委員
    ラディカルに行くのであれば、売買春のところでも、やはり売春法を見直すことを入れる。少なくとも検討という意味で言うのであれば、クライアントの処罰も含めた売春防止法の検討を行うようなことも書いてほしいとは思います。
    岩井会長
    「売春の相手方に対する対策」という文言が入っています。
    後藤(弘)委員
    それがそういう趣旨ということですね。わかりました。
      でも、設計過程では売春防止法の見直しを含めたみたいなことだけは書いておいていただいた方が、強姦罪もそこまで書くのだったら売防法の見直しも書いてもおかしくないかと思います。
    岩井会長
    ほかに何か特に御意見は。
    諸澤委員
    ささいなことですけれども、6ページのこれはどういう意味がありますか。
    岩井会長
    何ですか。これは。
    長瀬調整官
    これはタイトルも何もないので、ちょっと唐突にお感じになられるところがある。そこは失礼いたしました。これも各分野を通じた構成の一環として、例えば取組の現状などを示すデータや、取組の効果がわかるようなデータなどを、そう余り盛りだくさんということではございませんがポイントを絞って書くことで、各分野ごとの現状をわかりやすくしようということで、例えば暴力であればこういった意識、認識にかかわるような部分が、今御覧になっているようなところをお示しするのが一番わかりやすい、状況認識いただける部分なのかというところでございます。
      特に、今御覧になっている部分は、現行の第2次計画におきまして目標として掲げられている部分に関係するところでございます。長くなってしまいますが、暴力の関係では、現在の第2次計画におきまして例えば、平手で打つ、殴るふりをして脅す等々を暴力であると認識する人を100%とすることを目指すという目標がありますので、では、それがいろいろな取組を通じてどうなっているかということで、ここで現状として示しているということでございます。現状の計画の達成状況という意味でございます。
    諸澤委員
    これは、第3次基本計画に盛り込むべき草案だと思うのです。こういう資料、アペンディクスみたいなものも入るのでしょうか。最後の方に入ってくる。そうすると、この2の配偶者間暴力に関連した資料ということで入ってきますという意味ですか。
    藤澤推進課長
    2次計画をつくったときの答申が机上にあると思うので、見ていただければと思うのですけれども、2次のときに答申は、各分野についてまず最初に施策について現行計画の達成状況、評価ということでかなり分野ごとに盛りだくさんのデータ等いろいろなものを入れ込んでつくっております。
      これは別に計画の方にはそのまま反映しているものではなくて、計画をつくる上での前提、背景として答申には載っています。今回、答申に向けていろいろ御議論いただく中で、各分野で現行の施策の達成状況というのを冒頭に書いていただいているのですけれども、今回は各分野で少し簡略化して、少なくとも2次計画で数値目標を定めたものについては、後ろにデータ等を付けた方がいいということで、暴力の分野は2次計画ではたまたま数値目標を掲げているのが一つしかなかったのでこのデータを今、お示しししています。
      ただ、これ以外にもやはり少しは追加すべきだという御意見があれば、それは付け加えるということは全然構わないと思います。ただ、全体的にデータがいろいろと2次のときのように文章の中に入り込むと、見づらいというイメージがあるので、後ろに資料集的に各分野でまとめていく形でほかの分野も今、整理しているところであります。
    諸澤委員
    答申の中に資料がいろいろ入ってくるというのはよくわかるのですが、基本計画や行動計画というのは、むしろ何か数値があるとしても、それは文章化されるのであって図表は基本的には入らないのではないでしょうか。
    藤澤推進課長
    これは答申のためのものです。
    諸澤委員
    そうすると、1ページから5ページまでは基本計画の部分であり、6ページは答申の部分という意味ですか。
    藤澤推進課長
    これは答申の原案を今、皆さんに御議論いただいているものです。
    諸澤委員
    これは答申の原稿なのですか。
    藤澤推進課長
    その6月ごろにいただく答申を踏まえて、また、年末に計画をつくりたいと思っております。
    諸澤委員
    そうですか。逆に答申であれば、これだけでなくてほかにもあり得るのではないかと思うのですけれども。
    藤澤推進課長
    それは、あり得ると思います。
    岩井会長
    少し関係府省からの意見も出ておりますので、そういうところからはどうしてもここのところがという御意見がまだほかにありますでしょうか。
      数値目標を今度の計画ではかなり示すという方針はあるので、暴力の方でも何か数値目標を入れられるものがあれば入れていいと思うのですけれども。
    平川委員
    ありがとうございます。数値目標なのですが、性犯罪に対する総合的なワンストップ機能も含む相談支援センターというものを、例えば5年以内には県に一つ設置するというような数値目標を入れるというのがあり得ると思うのです。
    岩井会長
    3ページですけれども、性暴力被害者専門のワンストップ支援センターの設定を促進し、性犯罪を潜在化させない環境整備を促進。すべてまた促進というだけの文字になっているので、もう少しここのところに数値目標を入れますか。
      ほかに何か御意見ございますでしょうか。
    後藤(啓)委員
    これも私だけではなくて、いろいろな委員の方が御意見を言われたので、それを踏まえて今から検討するということでよろしいわけですね。ただ、その具体的なやり方はもう集まらないということになりますか。
    岩井会長
    もう集まれないと思います。
    藤澤推進課長
    なかなかお時間がどうなのでしょう。
    岩井会長
    ワーキングは1回ぐらいできますか。皆さんの御都合が合えば、この起草ワーキングは1回ぐらいできるのではないかと思いますが。メールによる交換でちょっと無理な部分があれば意見調整のために集まる機会をつくりたいと思います。
    後藤(弘)委員
    ワーキングをもう一回お手数ですけれどもやっていただいて、最終的な確認をしていただかないとと思います。今日出た意見が確かにどれだけ盛り込めるのかという若干不安な部分もありますので。私はそれぞれ言った意見がすべて一言一句きちんと入るということは、少なくともそこまでは要求しません。けれども、やはりここでの合意について、正しく理解していただければ、先ほど前田委員からもお話があったように、やはりかなりきつめの答申を出すということになると思います。それが最終的な状況の中で変わっていくにせよ、やはりきつめの答申を出していた方がインパクトはあるし、できないということについてなぜできないのかということを省庁に考えていただくいい機会だと思います。
      ただ、法務省の性犯罪の4について検察官の大幅な増員がなされないまま体制の充実を行うことは困難というのは、言い訳だけでもないと思います。例えばこういう施策をするのにはかなりの予算化というのは前提として必要なので、そこら辺をやれやれと言っても予算が付かないとできないようなところもある。だから書くなではなくて、どんどん先進的なことを書いていくことによって予算も付いていくという流れをつくっていかないといけないという意味でいろいろ書いておく。それを担保するためにお手数ですけれども、もう一回集まっていただいて、今日出た意見が適切に反映しているかを確認していただいて、それを最終的に基本問題の方に挙げていただいていただきたいと強く希望します。
    諸澤委員
    資料の3にスケジュールがあるようなのですが、これの御説明を聞いた方がいいと思うのですけれども。
    藤澤推進課長
    これは右肩に書いてありますように、3月10日の基本問題・計画専門調査会に出した資料でございまして、昨日も専門調査会がございました。それが16日。最初に書いてあるものです。
      3月は25日と31日に基本問題・計画専門調査会を予定しておりまして、昨日16日の基本問題・計画専門調査会では、14の分野のうち6つだったでしょうか、議論いただいております。25日は残りの分野で、こちらも暴力の専門調査会からの御報告も含めて残っている分野を御議論いただきたいと思っております。3月の最後でございますが、31日に全体を総括した中間整理案を取りまとめていただくという予定でできればと思っています。
      その上で、4月に参画会議で基本問題・計画専門調査会から中間整理について御報告いただき、その後パブコメ、公聴会を予定しています。そのパブコメや公聴会を踏まえて、最後6月に最終的な答申というスケジュールを考えております。
      それから、最初ちょっと御説明したことと関連するのですけれども、基本的には皆様方委員の方々の御意見を踏まえて答申をつくっていくものだと思っています。ただ、最終的には1番最後に書いてあります6月参画会議の答申になるわけで、参画会議のメンバーというのは有識者委員もいらっしゃれば、各省の大臣もメンバーになっておりますので、その各省大臣も構成委員となっている参画会議で答申ということでまとめていただくことになるので、各省いろいろな意見があって、それについて皆様方にもいろいろ御意見もあると思いますが、各省の意見に本当に十分合理的な理由、また皆様と何か調整する必要がもしあればまた皆様に御相談して、最後まとめていくという形になるのだと思っております。
    林会長代理
    事務局からの御説明ありがとうございました。集約すると、最終的な参画会議への答申の段階で、各省庁の意見が反映されて削られてしまうかもしれない。だけれども、何もこの専門調査会で出す意見に最初から外す必要はないだろうということが、多分今日の皆さんのほぼ合意事項ではないかと思います。
      御異論があればお願いします。
    諸澤委員
    もう一度、参画会議で削られたということをもっと言わなければいけないと思うので、ここではしっかり書いた方がいいと思います。それと、つまり資料1を仕上げる日程というのは、この中でいうとどういうことになるのですか。
    藤澤推進課長
    これを仕上げたものを25日の基本問題・計画専門調査会で報告いただく予定です。
    諸澤委員
    25日に間に合わせるということですか。そうすると、ワーキング云々という話がありましたけれども、時間的にかなり厳しいですね。
    後藤(啓)委員
    各省からの意見は、その実態を明らかにされるべきだと思うのです。本当に反対ならば、男女共同参画会議のときに大臣からこう言っているということを言わせればいいのです。各省は、反対を大臣に言わせるぐらいの覚悟で言ってほしいという話なのですね。関係省庁間の縄張り争いのレベルの意見を、民間の有識者を集めた会議で平気で言ってくるのであれば、もうこれは役人はナメているとしか思えないのですけれども。ということを一言申し上げたい。
    林会長代理
    残りの時間が少なくなってきましたので、ワーキングをやるに当たって何を検討すべきかという論点だけ整理させていただきたいのです。事務局がノートを取ってくださっていると思いますが、一つは1ページの2のところの、女性に対するあらゆる暴力の根絶が十分に進まなかった理由として4点掲げられていますが、過去に起こった事件がなぜ予防できなかったのかといった事例研究、原因についての研究や解明が不十分だったのではないかという御意見が相当出たと思います。だから、それを入れるかどうかということが一つあると思います。
      それから、2ページ目の1の具体的な取り組みが8点挙がっていますが、「重大な人権侵害であり」という言葉が入っているだけではなく、被害者の人権を回復していくということが国の義務であるといった視点をもう少し強く打ち出すべきだという御意見が出たと思います。
      (3)のケーススタディの手法の活用。それから(8)のデータの在り方の検討というところに、もっといわゆるリスクが高い事例、これが何であるかという問題はありますが、そういったものについての検証を入れるべきではないかという御意見が出ました。
      それから3ページ目の性犯罪への対策の推進について4行目のところで、指導的立場にある者による性犯罪等となっていますが、ここに例えば夫婦間であるとか、家族の中での性暴力といったことについて明示的に記載すべきではないかという御意見があったと思います。
      (1)の性暴力被害者専門のワンストップ支援センター設置については、数値目標として例えば5年以内に各県1か所といったような指標を入れるべきではないかという御意見が出ました。それから(5)の強姦罪の非親告罪化と、性犯罪に関する刑法の見直しについては、構成要件の見直しであるとか、法定刑の上限を上げるといった従前出ていた議論を復活させて、強姦罪改正についてはもう少し詳しく書き込むということと、後半については後藤啓二委員からGPS装置等についての追加について文言が出ているということです。
      それから3全体のところで、警察と検察に対する、そこで2次被害を受けた被害者の苦情処理機関について記載がなされるべきではないかという御意見が出たと思います。それから、4ページの4のところでは後藤啓二委員から(2)と(5)について御意見が出されているのと、後藤啓二委員から出されている(4)の黒マルになっていて番号が付いていないパラグラフですけれども、この2行目の虐待がなされている疑いのある家庭に対する公的機関の立入ないし介入の在り方について児童虐待防止法の見直しを検討するという御意見がありました。これについてもし御異論等があれば伺いたいのですが、それが出ていたと思います。
      それから、家庭における被害ということがこの4に入るということです。それから4ページ(5)の売買春への対策の推進については売春の相手方に対する対策等を含む売春防止法全体で見直しという、法律の見直しという言葉を入れるべきではないかという御意見があったと思います。
      それから(6)の人身取引については後藤弘子委員から被害者認定を適切に促進するといった、そもそもだれが被害者であるかという認定についての適切性について発言がありましたので、入れるとすれば今の5ページの第1パラグラフの下から2行目の、支援団体等々の連携による適切な被害者認定の促進、支援の充実となるのかと思います。
      それから7について、奥山委員から幾つか御意見がありましたので、セクシュアル・ハラスメントについてはそれを踏まえて補充していく。8について、パラグラフ(3)について後藤啓二委員から御意見が文章で出されています。
      私の方で考えたのはその程度なのですけれども、ほかに何かワーキングでやって欲しいということはありますでしょうか。
    後藤(弘)委員
    最初に申し上げた2の4のホットラインの促進というか拡充の話ですね。あと2の2のところで、どう書くのかはわからないのですけれども、対応の研修だけではなくて、どこが窓口かを明確化することが必要だと思います。つまり市長村の一番の問題は窓口のどこかが、市町村も、ほかの民間団体も県もなかなか把握し切れていないというところが、連携に対する一つのネックになっているという認識があるので。窓口を設置しろというのは難しいのですが、たらい回しにならないような市町村の窓口の設置みたいなことがどこかに書き込めればというのが私の先ほど申し上げたことです。
    岩井会長
    1に、連携強化によりワンストップサービス事業を推進すると。
    後藤(弘)委員
    配偶者等のですか。
    岩井会長
    配偶者等のです。市町村内の関係部署を始めとする関係機関の連携強化によりワンストップサービスを行うこと。
    後藤(弘)委員
    そこで読み込むということですね。
    岩井会長
    では、ここでワーキング・グループの先生方に残っていただいて、少し開けるように時間を調整することにいたしましょう。
      専門調査会における議論はここで終了にしたいと思います。
    岡島局長
    大変積極的に暴力に立ち向かう、根絶するということで御議論していただいて大変ありがたいと思います。ただ、ここは暴力の専門調査会で御議論いただいているのですが、基本問題・計画専門調査会の方の御議論もありまして、そちらとの整合性ということがありまして、例えばちょっと私は今日は遅れましたので、最初にあらかじめ御説明させていただいたのかもしれませんが、全体の構成の中で例えば今後の目標というのは10年、15年を含めた中長期で見るのですけれども、施策の基本的方向はこれから5年間でやれる方向を書くということになっていて、どこまで書くかというのは5年間を見通して、5年間で検討すべきものということになりますので、そこの辺りがどうなのかということとか、あと全体の長さとかバランスがありますから、以前、論点整理でたくさんいただいて、そのうちの全部を盛り込んでいないのですけれども、そういう意味でできるだけ起草ワーキング・グループなどでは優先付けをしていただいて盛り込んでいただけると大変ありがたいと思います。
      それから、数値目標でございますが、これは今の段階でいいとか、悪いとか全然言うつもりはないのですが、基本的にはこれは国の計画になりますので、国がやることを基本としての目標になると思います。最近は地方自治体の分権ということが進んでいますので、地方自治体に、あれをやるように、これをやるようにというのは非常に難しいところがありまして。でも、お金を出しているとかそういうことですと、勿論、国として予算をどれだけ確保するかということで県でどれだけのものを整備するかということとリンクしますので、目標として定められるのですけれども、実際そういう形での支援というか後押しがない場合に、本当に国の基本計画の目標としてどこまで設定できるのかというのは、ちょっと私どもとしても悩ましいと思っているところでもございます。
      そういう意味で、またこれからいろいろ検討していきますし、御相談させていただいたり、御意見をいただく中でまた少しずつできることとできないことも出てくるかと思います。大変積極的な御意見を御議論していただいて大変ありがたいのですが、それにちょっと後ろ向きなことを申して恐縮でございますが、そういう事情もございますということを念頭に置いていただけると大変ありがたいと思います。
      ありがとうございます。
    岩井会長
    それでは、いろいろ御意見を活発にいただきましてありがとうございました。今後の取扱いにつきましては起草ワーキング・グループをもう一回開いて、また取りまとめたいと思っておりますけれども、3月25日の基本問題・計画専門調査会に取りまとめた中間整理案について御報告させていただく予定としておりますので、併せて御承知おきいただきたいと思います。
      今日は専門調査会をこれで終了したいと思います。ありがとうございました。