男女共同参画会議女性に対する暴力に関する専門調査会

  1. 日時 平成19年9月18日(木)10:00~11:54
  2. 場 所 内閣府3階特別会議室
  3. 出席者  岩井会長、原会長代理、伊藤委員、大津委員、大槻委員、帯野委員、垣見委員、小西委員、袖井委員、戸谷委員、林委員、諸澤委員、山田委員、 内閣府、警察庁、法務省、厚生労働省
  4. 議題
    • (1) 開会
    • (2) 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針の改定について
    • (3) 女性に対する暴力対策関係予算について
    • (4) 男女共同参画基本計画(第2次)フォローアップ結果について
    • (5) その他
    • (6) 閉会

    (配布資料)

    資料1
    配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律の一部改正法の概要 [PDF形式:16KB]別ウインドウで開きます
    資料2
    配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護に関する法律(改正後)[PDF形式:47KB]別ウインドウで開きます
    資料3
    配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策に関する基本的な方針(概要)[PDF形式:97KB]別ウインドウで開きます
    資料4
    配偶者暴力防止法に基づく基本方針改定に関する意見募集について [PDF形式:19KB]別ウインドウで開きます
    資料5-1
    第42回男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会議事録(案)
    資料5-2
    第43回男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会議事録(案)
    資料5-3
    第44回男女共同参画会議 女性に対する暴力に関する専門調査会議事録(案)
  5. 議事内容
    岩井会長
    それでは、時間になりましたので、ただいまから、男女共同参画会議「女性に対する暴力に関する専門調査会」の第45回会合を開催いたします。
     議事に先立ちまして、前回の専門調査会後に、内閣府の幹部の人事異動があり、竹林審議官、塚崎推進課長、日原調整官が着任されましたので、ご挨拶をいただきます。よろしくお願いします。
    竹林審議官
    おはようございます。7月の人事異動で男女共同参画局担当の官房審議官を拝命しました竹林と申します。よろしくお願いいたします。
    塚崎推進課長
    施行状況の調査をまとめるに当たりましては、本当に貴重な意見をたくさんいただきましてどうもありがとうございました。引き続き女性に対する暴力につきまして担当することになりましたので、どうぞよろしくお願いいたします。
    日原調整官
    8月に参りました調整官の日原と申します。よろしくお願いいたします。
    岩井会長
    これから、どうぞよろしくお願いいたします。
     それでは、議事次第に従いまして、進めさせていただきます。
     議事次第2、「改正配偶者暴力防止法の成立について」でございます。
     当専門調査会では、昨年の6月から配偶者暴力防止法の施行状況及び関連する施策に関する課題について調査・審議を行ってまいりまして、本年3月にその結果を報告書にまとめ、与党のDV防止法見直し検討プロジェクトチーム等にも検討の基礎としていただくよう報告させていただいたところです。
     そして、先の通常国会において、議員立法で提出された改正法案が可決・成立し、7月11日に公布され、来年1月11日に施行されることになりましたので、その内容について内閣府から報告をしていただきます。
    塚崎推進課長
    それでは私の方から改正法の概要について御説明をさせていただきたいと思います。お手元の資料1をご覧ください。改正点は大きく分けまして4点ございます。
     1点目が、「1 市町村基本計画の策定」についてです。
     これは市町村に対して基本計画の策定について努力義務を課すというものでございます。現行法では基本計画の策定については、都道府県のみに義務付けられていますが、被害者にとって身近な行政である市町村において、被害者に対する自立支援施策の充実などが求められているという現状にかんがみて市町村における取組を一層進めていただくことのためにも基本計画の策定を努力義務としたという内容でございます。
     市町村基本計画の具体的な内容は、都道府県基本計画に準じまして、具体的には市町村における配偶者からの暴力の防止、被害者の保護のための施策を講ずる上での基本的な方針、実施体制、具体的な施策、現状等について盛り込むことになるかと思われます。
     第2点目ですが、「配偶者暴力相談支援センターに関する改正」が2点ございます。
     1つは、資料1の2のアですが、現行法では、市町村は設置する適切な施設において、支援センターとしての機能を果たすことができるとなっているのですが、こちらにつきましても、被害者に身近で利便性のある市町村において、被害者の保護に対する取組を一層促進するということで、支援センターの設置を努力義務にするということです。
     支援センターとしての具体的な施設としては、その市町村の状況によると思われますが、例えば市町村の福祉事務所、男女共同参画センターや担当課に置くことが考えられます。
     次に配偶者暴力相談支援センターに関する改正の2点目ですが、2のイのところですが、支援センターの業務として、緊急時における安全の確保を行うことができるということを法律上明記することになりました。これは現在でも支援センターでは、一時保護以外にも被害者を緊急時にかくまう場合が生じているので、これを支援センターの業務として明確化するという趣旨のものでございます。こうした緊急的にかくまうといったことについて、法律上の根拠がないのはおかしいのではないかという御指摘に応えた内容でございます。
     具体的な例としては、例えば婦人相談所以外の一時保護所がない支援センターに対して、緊急に保護を求めてきた被害者に対して、一時保護が行われるまでの間、避難場所を提供してかくまう。ほかには、例えば一時保護所に同行支援をするといったこともこの緊急時の安全の確保の中に含まれることになります。
     第3点目は「保護命令制度の拡充」についてでございます。
     この部分はまさにこの専門調査会において御議論いただきまして、課題として報告書に盛り込まれたものが改正法にも反映された部分でございます。
     まず1点目としまして、保護命令の対象となる被害者につきまして、新たに配偶者からの生命・身体に対する脅迫を受けた被害者を加えること、そしてその被害者について、将来、生命・身体に対する危害が生ずるおそれが大きいと認められるときにも保護命令を発することとすることになったところでございます。これまで過去に身体に対する暴力があって、将来、さらなる配偶者からの身体に対する暴力によって生命や身体に重大な危害を受けるおそれが大きいというときに保護命令が発令されていましたが、身体的な暴力を伴わない精神的な暴力である脅迫についても、被害者が感じる恐怖心が大きいという指摘があって拡充したものでございます。
     脅迫の具体的内容ですが、刑法上の罪である脅迫罪に該当する行為のうち、生命・身体に害を加える旨を告知して行われるものを指していまして、具体的には、例えば「殺してやるぞ」とか「殴ってやるぞ」と言って脅かすといった場合が該当するということになったところでございます。
     2つ目として、3の(2)ですが、被害者への接近禁止命令の実効性を確保するという目的で、被害者に対して(2)の①~⑧までいろいろな行為が書いてございますが、これらの行為を禁止する保護命令を発するということとしたものでございます。これは電話等、こうした行為があると、それによって被害者が非常に恐怖を感じてしまうというようなことがありまして、それで自ら加害者のほうに近寄っていってしまう、面会を余儀なくされるというような状況になることがあり得るので、そういう場面において物理的な接触が生じて殴られてしまう。被害者について生命・身体の危害が及ぶおそれがあるということで認められたという整理でございます。申立ての手続につきましては接近禁止命令や退去命令と別の申立てが必要という位置付けでございます。
     ①~⑧ですが、①は面会を求めること。
     ②が行動に監視に関する事項を告げることでございまして、これは例えば「あなたが何月何日にどこに入って行ったのかを見ていましたよ」、「次はどこに行きましたね」といったようなことを告げる行為が想定されています。
     ③が著しく粗野・乱暴な言動。
     ④無言電話、連続しての電話・ファックス・電子メール(緊急やむを得ない場合を除く。)は禁止されることになっております。
     (緊急やむを得ない場合)というものは⑤の中でも使われているのですが、いずれも被害者自身について極めて重要と考えられている事項を緊急に知らせる必要があるというものと整理されておりまして、具体的には、例えば被害者の子どもが急病であるとか、重大な事件や事故に巻き込まれた。自宅に災害が発生したといったような、まさに緊急時といえるような事態が当たるということになっています。
     ⑤は緊急やむを得ない場合を除いて、午後10時~午前6時までの間に電話をかけ、ファクシミリ装置を用いて送信し、電子メールを送信するといったことです。ここでの夜間におきましては、内容を問わず、どんな内容の電話等であっても禁止されるということになっています。
     ⑥は汚物・動物の死体等の著しく不快又は嫌悪の情を催される物の送付。
     ⑦が名誉を害する事項を告げること。
     ⑧が性的羞恥心を害する事項を告げること等又は性的羞恥心を害する文書・図画の送付等でございます。
     これらの規定は⑤を除きまして、現場でも蓄積があるストーカー規制法の規定の文言と似た文言が使われているところでございます。
     次のページをご覧いただきたいと思いますが、(3)被害者の親族等への接近禁止命令ですが、こちらも(2)と同様、被害者への接近禁止命令の実効性を確保するということで設けられたものです。被害者の親族や、「等」の中に支援者と関係者が入りますが、関係者への接近禁止命令を発することとするというものでございます。
     これまでも被害者の同居の子に対する接近禁止命令は認められていたのですが、これ以外の同居でない子ども、あるいはほかの親族、そのほかの支援者なども含めまして、第三者であっても、一定の要件が認められるときは、その者への接近禁止が認められるという制度になっています。これは、例えば配偶者が被害者の親族や支援者の住居に押しかけて行って、「被害者に連絡をとれ」と大きな声で叫び続けるといったような事態があれば、被害者が配偶者の行為を制止するということで、配偶者と会わざるを得なくなるといった場面が生じる可能性がございます。そうした接触が生じると被害者の生命・身体が害される危険性が出てくるので、このような親族・支援者の接近禁止の命令を発することができるようにしたというものでございます。つまり、これはあくまで被害者の身を守るため保護命令が発令されるという位置付けで整理されています。
     この申立ての際は、親族等の同意を要するものということでございます。
     4番目の改正点として、裁判所から被害者が相談等をした配偶者暴力相談支援センターに対して保護命令の発令に関する通知を行うということになりました。
     これまでは裁判所は、被害者の住所や居所を管轄する警察にだけ連絡することになっていたわけですが、保護命令が出されたときに被害者に加害者が危害を加えようとするおそれも高まるというケースも多々指摘されておりまして、そのような危険に対処するためには、被害者に対して助言をしたり、あるいは警察などと連携をして被害の発生の防止に努める支援センターが迅速に保護命令が出されたかどうかを知る必要性が高いということで、支援センターの方にも通知をすることになったところでございます。
     最後にこの法律の「施行期日」ですが、この法律は公布の日から起算して6か月を経過した日から施行することになっております。この改正法が成立しましたのが、先ほど会長からお話がございましたように、公布が7月11日でございますので、施行は6か月後の来年の1月11日ということになります。このように6か月後を施行期日とした理由ですが、保護命令の拡充などの改正の内容を関係者に周知徹底するための期間、保護命令申立ての手続を定める最高裁規則の改正のための準備期間等を考えて6か月としたということでございます。制定時、前回の改正時におきましても6か月後ということになっておりました。
     改正後の法律を資料2としてお付けしております。
     改正法の概要でございますが、以上でございます。
    岩井会長
    それでは、ただいまの御説明に対しまして質問がありますでしょうか。
    原会長代理
    ありがとうございました。資料1の「3 保護命令制度の拡充」のところの(2)の③の「著しく粗野・乱暴な言動」ということの中に、被害者がとても大事にしている物品とか、被害者がとてもかわいがっているペット、こういうのを壊したりなんかするのもこの「言動」の中に入るのでしょうか。
    塚崎推進課長
    基本的には一般的に相当乱暴だったり、粗野と思われる言動ということになっていると思うのですけれども、総合的な状況で判断されるということでございますので、ケースにもよるかと思います。
    法務省(松下)
    補足になるかどうかわかりませんが、今、内閣府の御説明にあったとおりでございまして、大事にしているものを壊される、ペットをいじめるということについては、その態様によるのかなという気もいたします。著しく粗野・乱暴な言動というものに当たるかどうかというのは個別の判断ですので、なかなかここで一概に申し上げることは難しいですが、当たることもあると思います。
    岩井会長
    何かほかにはございますか。
    大津委員
    配偶者暴力相談支援センターに関する改正の中で、先ほど市町村の努力義務ですけれども、その中で同行支援のことが言われました。この同行支援に関しては、例えば民間のシェルターに来られる方たちに対しての同行支援というのは多岐にわたりますが、その場合に、民間のシェルターに対して同行支援の費用を、例えば交通費であるとか、様々な費用などを予算化されていただけるのかどうかということをちょっと思っております。よろしくお願いいたします。
    塚崎推進課長
    法律の議論の中で、予算のところまで話はしてないのですが、とりあえずこの法律の趣旨としては、今やっていることを明確化するということでございます。今後、緊急時における安全の確保等における民間団体との連携につきましては、基本方針の中でもいろいろ検討していきたいと考えています。
    大津委員
    わかりました。ぜひ議論していただきたいと思います。
    小西委員
    確認させていただきたいのですが、「保護命令制度の拡充」のところに関して、
     (1)では、刑法の脅迫に当たるようなものがあればできるということですね。
     (2)のところは、既に接近禁止命令が出るような場合において、被害者に関する下記のような行為も禁止すると読めばいいのでしょうか。というのは、例えば、今例として出てきたような、目の前に物を持ってきて、その人にとって大事なものを壊すというような行為が繰り返されているときには、それだけでは多分生命・身体に害をなすと告知した場合には当たらないわけですよね。そういうふうなことがあった場合だけでは接近禁止命令が出るというわけではなくて、これまでの身体的な生命の危険ということと、(1)の場合がある場合に出て、その場合にはこういうことが言えるというふうに考えなくてはいけないということですか。
    塚崎推進課長
    そうです。脅迫だけで出るということではなく、過去に脅迫を受けて、将来的に生命・身体に対する重大な危害を受けるおそれがあるというときに保護命令が出されて、接近禁止命令にある意味で実効性を担保するために、(2)の命令が出るということでございます。
    小西委員
    わかりました。そこは二段構えで考えればいいということですね。
    岩井会長
    さっきの質問に対する厚労省の方。
    厚生労働省
    大津委員のご質問に対して若干補足させていただこうと思っただけですけど、特に民間団体向けというわけではございませんが、 私ども20年度の概算要求の中で、婦人相談所がいわゆる一時保護委託をする際の予算を、これも同行支援に使わなければいけないということでもないのですか、そういったことも頭に置いて、額を引き上げさせていただくような、そういう措置も講じておりますので、そのあたりもご活用いただければと思った次第です。
    諸澤委員
    被害者への接近禁止命令と併せて、親族等への命令を発することができるということに関して2つほどお教えいただきたいのですが、1つは、親族等への接近禁止命令を発する場合には、本人の同意がある場合に限るということで、先ほど同居してない子どもなどという御説明ありましたけれども、未成年者の場合の同意というのは、これは成人している、してないにかかわらず本人の同意を確認するという考えなのでしょうか。
     もう一つは、申立ては被害者が書面で行うという場合に、被害者自身ができないケースが考えられると思うんですか、そういう場合は何か別の方法が予定されているのかどうか、この2点についてご説明をいただきたいと思います。
    法務省(森岡)
    恐れ入ります、法務省でございます。まず、第1点目の御質問についてでございますが、対象者の同意につきましては、一応15歳で区切りまして、15歳未満の方については法定代理人の同意と。御自分で同意ができる能力をお持ちの方については御本人の同意というような形になっております。したがって、正確に申し上げますと、15歳未満の者、又は場合によっては、成年被後見人という立場にあられる方については法定代理人の同意、それ以外の方については御本人の同意というような整理になってございます。
     2つ目の被害者の方が申立てができないときということでございますが、基本的に申立人は被害者の方という形になっているものですから、申立て自体は被害者がしていただくという整理になっているかと存じます。
    諸澤委員
    最初の法定代理人の件ですが、法定代理人が、つまり配偶者になっている可能性は全くないのでしょうか。
    法務省(森岡)
    可能性としては御指摘のとおりあるかとは存じます。ただ、基本的には被害者の子というところで整理がされているものでございますから、被害者の子であって、配偶者の子でもあるという場合につきましては、被害者の子という整理で、配偶者の同意が必要ということになる場面としてはかなりレアケースではなかろうかと考えているところでございます。
    帯野委員
    私、後から委員会に入りましたので、今頃こんな基本的なこと伺って恐縮なのですけど、この配偶者というのは内縁の者も含むということですか。
    原会長代理
    離婚した後も含まれます。
    帯野委員
    離婚した後も、そうですか、ありがとうございます。
    原会長代理
    この資料1の4番目の支援センターへの保護命令の発令に関する裁判所からの通知のところですけど、この法律ができる前からいろんな御要望があったと思うんですが、民間支援センターの方がお世話をしている場合に、まず当該支援センターに通知があって、それから当該支援センターから民間支援センターに連絡が行くようになるのでしょうか。どのようにして民間支援センターの方が保護命令が出たということを速やかに知ることができるのか、これが1つ質問です。
    塚崎推進課長
    法律上は配偶者暴力相談支援センターに通知が行くということで整理されているのですが、御議論いただきました報告書にありますとおり、民間シェルターとの連携はこうした場面に非常に重要なことでございますので、そうした中で受けた支援センターが民間シェルター、警察と連絡をとって協働して被害者の保護、安全の確保、あるいは加害者に対する対応をすることになるかと思います。
    原会長代理
    今回の改正では、前のときについていた附帯決議がないようなのですけど、これを見直すについてはどういうことになるでしょうか、今後のことでございますが。
    塚崎推進課長
    参議院の法務委員会でこの法案を提出された与党PTの南野座長が言われているのですが、検討規定は確かに置いてないけれども、必要があればフレキシブルに見直そうということで考えておられるという答弁をされています。
    原会長代理
    その記録が国会の記録の中にあるわけですか。
    塚崎推進課長
    議事録の中にございます。
    原会長代理
    もし可能でしたら、この委員の方々に、今日でなくてよろしいですから、御配布いただければよろしいかと思います。
    塚崎推進課長
    はい。
    大津委員
    私、その法務委員会を膨張しておりました。3年間の見直しを、今回入れなかったけれども、これはいつでも何かがあったときには、そのことを議論することができるということの1つのメリットであると、はっきりとおっしゃいましたので、私たちシェルターネット関係者は、そう受けとめました。
    山田委員
    配偶者の定義についてお聞きしたいのですけど、一応内縁の者も事実上の婚姻関係と同様の事情にある。これは前に質問したこともあるのですが、今は事実上の婚姻関係にあるのかないのかがあいまいな部分が含まれていると思うんです。同棲をしているというようなことが含まれていますし、さらにたまたま先日、学会で研究報告を聞いてきたのですが、いわゆる同性で事実上の婚姻関係にある方もいらっしゃるわけです。そこでも結構暴力の問題というのはあるわけですが、事実上の婚姻関係にあるというところはどこで判断なさるのでしょうか。裁判所なのか相談所なのか、そこの点についてお聞かせいただきたいと思います。
    塚崎推進課長
    基本的には事実婚というのは、結婚する意思が双方にあって夫婦同然の生活をしており、単なる同棲は含まないという解釈、内容なんですけれども、どのような事情があれば事実婚となるかにつきましては、あまり画一的な基準がないということで、言われたように裁判例から読み取るしかないということに実際上はなるかと思います。
    山田委員
    最終的な判断というのは裁判所が行うということになるわけでしょうか。
    塚崎推進課長
    はい。
    林委員
    今の山田委員の御質問に関連して、同性同士のカップルの人から保護命令の申立てがなされた、あるいはなされたけれども、裁判所が認めなかったというような例はあるのでしょうか。
    法務省(松下)
    ちょっとそういうケースについては承知しておりません。すみません。
    伊藤委員
    前回いただいた各地方自治体のセンターからの申し出の中に、同性間の問題についての御指摘があったと思います。御指摘があったということは、実際に同性間のカップルにおける暴力問題があった可能性はあるのではないかと思います。
    諸澤委員
    法務省の方にちょっとお聞きしたい。本日の議題に若干それるので恐縮なのですが、今回は見直し規定によって見直されたということであるのでちょっとお聞きしたいのですが、見直し条項というのは最近よくありますが、この拘束力というのはあるのでございましょうか。特に検討するという主務官庁にそういう義務が課せられているのか。あるいは、例えば議員立法のような形、いろんな形で見直しの提案が可能なのか。あるいは見直しを一応検討したけれども、改正の必要がない場合に、ただ、黙っていたのでは見直ししたことにならないのかもしれないのですが、検討したけれども、改正をしないということを議会等で何か説明を行わなければならないのか、そのあたりを教えていただければありがたいのですが、最近非常に見直し条項が多いものですから。
    法務省(松下)
    すみません、私、法務省の者でありながら、立法の関係はあまり詳しくないのですが、見直し規定が置かれている場合にはいろいろなパターンがあると思いますけれども、一定の期間が経過した場合においてとか、一定の期間内にという形で項目を限定したり、あるいは一般的に必要な見直しを行うというような書き方がされていると思います。見直し規定がある場合には、基本的にはその条文に書いてあるような形での見直しが行われることになるのだろうと思いますが、書いてあるのにもかかわらず何も見直しをしないということはないのだろうと思います。その見直しをした結果、変える必要がないということも当然あると思いますが、そのときに何らか手続が必要かどうかということになりますと、私の知っている限りは特段の手続が要るということはないのではないかと思いますが、もしかすると間違っているかもしれません。そこは間違っていれば御容赦いただければと思います。
    岩井会長
    それでは、次に進んでよろしいでしょうか。ありがとうございました。
     次は議事次第の3、「基本方針改定に盛り込むべき事項について」でございます。基本方針はこのたびの改正法の趣旨や本年3月に当専門調査会が取りまとめた「配偶者暴力防止法の施行状況等について」の報告書を踏まえて、関係省庁が策定することとしております。
     報告書の取りまとめの際にも、委員の皆様から御意見をいただいたところですが、それに加えて、さらに留意すべき点について御意見をいただきたいと思います。
     委員の皆様から御意見をいただく前に、国民からの意見募集の結果の概要について、内閣府から御説明をいただきます。
    塚崎推進課長
    それでは説明をさせていただきます。まず、現行の基本方針の概要を資料3でお付けしておりますのでご覧いただきたいと思います。基本方針自体は非常に厚いものなのですが、概要をまとめてございます。
     3部構成になっておりまして、まず第1が基本的な事項でございまして、基本的な考え方、我が国の現状、基本方針及び基本計画策定の目的を書いてございます。
     第2が、本体というか、中心となる部分でございます。こちらの方は具体的な対応、配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護のための施策の内容に関する事項を盛り込んでございます。
     まず1が通報の部分でございます。
     2が被害者の保護に関する事項でございまして、この中にいろいろ含まれているのですが、(1)が相談についての事項、(2)が医学的又は心理学的な指導等に関する事項、(3)が被害者の保護に関する事項、(4)が自立支援に関する事項、(5)が保護命令制度の利用等に関する事項、(6)民間団体との連携に関する事項、(7)が婦人相談所の役割に関する事項、(8)が福祉事務所の役割に関する事項でございます。
     3が関係機関の連携協力に関する事項。
     4が職務関係者による配慮・研修及び啓発に関する事項でございます。
     5が苦情の適切かつ迅速な処理に関する事項。
     6が教育啓発に関する事項。
     7が調査研究の推進等に関する事項。
     8が民間団体に対する援助等に関する事項となっております。
     以上が第2のところでございまして、第3が基本方針の見直し、基本計画の策定、見直しについて手続的なことも含めて書いてございます。
     別添として保護命令の手続について詳しく書いてあるというものでございます。
     基本方針の改定に当たりましては、現在の状況、あるいは現場の御意見を踏まえたものとするということで、今、地方公共団体や民間団体の方々などに対しましてヒアリングや調査等を行っているところでございます。加えて基本方針につきまして国民からの意見募集を実施したところでございまして、その結果の概要について御説明させていただきたいと思います。
     資料についてなのですが、この意見を募集した期間が先月の3日から今月の10日までの間でございまして、まだちょっとまとめきれてないということがございますので、とりあえずまとめたものを委員限りという形にさせていただいております。机の上で一枚紙で置いてあるかと思いますが、意見の募集の結果、2のところにございますが、63名の個人、26団体から、273件の意見が寄せられたところでございます。
     3の表のところに項目別の内訳を書いてございます。それから「●」のところですが、たくさん御意見をいただいた点を中心に意見の概要を整理しています。
     まず第1でございますが、表の1、「基本方針の全般について」のところですが、1つは対策の推進に向けた実効ある基本方針の見直しをしてほしいという御意見がございました。それから、基本計画の策定等を通じた地方公共団体における取組を推進してほしい。基本方針によって最低限の実施基準を提示してほしいという御意見がございました。
     2の「配偶者からの暴力についての通報について」は、マニュアルの作成や研修等を通じて医療関係者に対する情報提供・周知等を強化してほしい、一般市民に対する広報啓発の充実、通報等を受けた後の被害者にかかる安全確保といった意見をいただきました。
     3の「被害者からの相談について」ですが、24時間体制、ワンストップ化等、相談体制を充実してほしいという御意見をちょうだいしました。外国人、障害者等である被害者へのきめ細かな配慮、被害者の負担軽減に向けた関係機関の情報共有などの意見をちょうだいしました。
     第4の部分でございますが、「被害者に対する医学的又は心理学的な指導について」では、長期的なケアの必要性、各地域における支援体制の整備等、被害者に対する医学的・心理学的ケアの充実、子どもに対しましても、子どもに対する心理的ケア等、支援体制の充実。
     第5「被害者の一時方保護・保護について」、被害者の状況に応じた一時保護・保護の実施、あるいは一時保護・保護に関する体制の強化などについて御意見をいただいたところです。
     6の「被害者の自立の支援について」は、個々の被害者の状況に応じた自立支援の方針の策定、外国人、障害者等である被害者へのきめ細かな配慮、生活費の確保・就業促進・住宅の確保等、様々な関連施策がございますが、そうした関連施策を一層活用してほしいという御意見がございました。被害者情報の住所などの被害者の情報の秘匿に係る強化・徹底、関連する手続の一元化等による被害者の負担軽減、被害者のニーズに配慮した継続的な支援といった御意見をいただきました。
     7の「保護命令制度の利用について」は、保護命令が発令された際の被害者の安全の確保、保護命令制度に係る改正内容の周知徹底をしっかりしてほしいという御意見をちょうだいしました。
     8の「関連機関の連携協力について」は、支援センターの中核化や関係機関の連携がとれてないところがあるので、連携を強化・活性化してほしい、施設利用等に係る広域的な連携の強化、民間団体との連携促進といった御意見をいただきました。
     9「職務関係者による配慮・研修について」は、幅広く職務関係者に対して研修機会を拡充してほしい。研修内容についても拡充してほしいという御意見がございました。それから、子どもにかかわる職務関係者、保育関係者、学校関係者等への情報提供等につきましても御意見をちょうだいしたところです。
     10「被害者からの苦情の処理について」は、苦情処理体制の整備について様々な御意見いただいたところです。
     11「配偶者からの暴力の防止に関する教育啓発について」は、教育の現場や地域等と連携した予防啓発の強化、加害者に対する指導、教育等につきまして御意見をいただいたところです。
     12「調査研究の推進について」は、特に調査等の実施を通じて被害者の実態把握をしてほしいという御意見がございました。
     13「民間団体に対する援助・連携について」は、財政的支援等についてしっかりしてほしいという御意見や連携を強化してほしいという御意見がございました。
     14「その他」の部分でございますが、恋人等からの暴力に関する対応についても、基本方針の中に盛り込んでほしいという御意見がございました。また、用語等の見直しですが、被害者に対する指導という言い方は不適切ではないかという御意見がございました。
     概要については以上でございます。先ほども申し上げましたけれども、この資料については、今回の専門調査会の議論の基礎としていただくためにとりあえずまとめたものでございます。まだちょっと十分まとめきれてない部分がございますので、暫定版として委員限りとして配布させていただきましたので、お取扱いには御留意をお願いしたいと思います。
     以上でございます。
    岩井会長
    どうもありがとうございました。それでは基本方針の改定に関する御意見等につきまして、御自由に御発言をお願いします。
    戸谷委員
    行政の立場で一番大きかったのは都道府県の基本計画ができたことだと前回の改正ではそれが大きなポイントだったと思います。計画策定の中で、47都道府県、最後が高知県だったでしょうか、でき上がって全部できたということでございますけれども、何が問題かというと、基本計画という基本というところ、それが実施計画ではなくて基本計画であるということで理念的なものがかなり優先しているということがあると思います。何ができるかというのを施策として具体的に書かれるということが実効性を担保できるのではないかと感じたところでございます。
     このたび市町村で計画策定とこれも基本ではございますが、この市町村計画をつくるということは非常に大きな前進だと、そのように思います。先ほど配偶者暴力相談支援センターを市町村でもできるよという話が進んできているわけですが、基本的に何が一番問題かといいますと、都道府県の計画はできました。ですけれども、都道府県の体制としては、それぞれの都道府県によって非常にレベルの差がある。これをいかに被害者のためにどこへ行っても同じサービスが受けられる、同じような対応をしてもらえるような体制づくりが必要であると、そのように思います。
     そこのところで市町村のレベルでの計画策定につきましては、かなり同じメニューを提示すれば、それが一律の環境整備といいますか、基盤整備になるのではないかと思いますので、そこのところの表記といいますか、表現を盛り込んでいけるような努力をしていただければと、そのように思います。ですから都道府県では基本的な計画をつくるけれども、それについてどうやって市町村と連携をするかということがきちんと都道府県のレベルでも担保できるように、恐らくどのくらい進んでいるかということをきちんと報告をさせるような形がやはり必要であろうと、そのように1点思います。
     もう一点は、いろいろな問題の中で関係機関の連携協力、その基盤が整って連携がきちんと整えば、あらかたこの内容でいろいろ問題になっているところはカバーできるのだと思うんです。後は予算の話になりますけれども、大津委員はその辺がきちんと担保できることをきっと希望されていると思いますけれども、まず一番問題になっているのは、連携がきちんとできるような体制を整えることだと思います。
     連携の部分ですが、今回法改正でかなり裁判所とか、どういうところがどういう役割というのがある程度出てきております。そういう意味ではもうちょっと関係機関という非常にラフな感じでの表現ではなく、どことどことどこがどういうふうに連携するのだということをもう少し詳しく書き込んでいただければと、そのように思います。
     以上です。
    諸澤委員
    この種の意見募集の場合ですが、全体としては非常に積極的な意見なのだと思うのですが、若干ネガティブな意見があることがあろうかと思うんです。そういうものがあるのかないのかを1つお聞きしたいのですが。といいますのは、私も県や市の委員をやることがあるのですが、全国レベルと県レベル、市レベルの温度差というのか、意識のギャップをよく経験することがありまして、DV問題ももしかしてあるだろうと。これを全国津々浦々に広げていくために何か必要なことがあるのではないかという気もしているものですから、そういう意味で消極的な人たちが一部いて、そういう人たちにどうやってわかってもらうかということは大変気になりまして御質問したわけです。
    塚崎推進課長
    先生が言われている消極的な意見というのは、どのようなことでしょうか。
    諸澤委員
    例えば、騒ぎすぎだとか、殴られる者にも問題があるのだよとか、その種の。
    塚崎推進課長
    そういう意見がございました。配偶者暴力対策自体について、冤罪である場合があるとか離婚をうまく進めるためにそういうことを利用しているケースもあるという御意見も少数ですけれども、あったところでございます。
    諸澤委員
    それはごく一部だというふうに理解してよろしいのでしょうか。
    塚崎推進課長
    今回の基本方針の改定の意見募集では、ごく一部でございました。もしかしたら基本方針の性格がかなり実務的なものであるからということも関係しているのかもしれません。
    小西委員
    連携の部分と医療、心理に関する問題いくつかあるので、1つは御質問ですが、今、連携のイメージが具体的でないと言われましたけれども、それは何か今回の中で議論される予定がありますか。というか、何かアイディアをお持ちなのか、あるいは全く今のところ白紙で連携という言葉だけがあるのか、とりあえず教えていただきたい。
    塚崎推進課長
    地方の方からも、現場の方が動きやすいようにと、基本方針をできるだけ具体的にしてほしいという御意見がたくさんございまして、連携についてもできるだけ具体的にしたいと思っています。いろいろ現場の状況も今伺って、それを踏まえて、まだでき上がっているわけではないのですが、検討しているところです。
    小西委員
    私、犯罪被害の方にもかかわっているものですから、それも含めて申し上げたいのですが、犯罪被害者の支援に関しても、都道府県レベルで支援の連携をつくりというようなことが実際に今動こうとしているわけです。例えば、これは自分でやりました調査ですが、全国の医療機関にどういう犯罪被害者を経験しているか。犯罪被害者というところで調査してみたのですけれども、実際に医者が診療で一番体験しているのは、DVと性暴力なんですね。日常の診療において一番ひっかかってくる人たちは多分これからもそういう女性に対する暴力の被害者で、特にDVが多いです。調査でもそうでしたし、自分でごく普通の外来をあけてみますと、女医さんがやっているからというだけで、まだどこにも行ってないDVの被害者の人が結構来るんですね。
     そういう点では、一番最初の発見の場所としての医療機関は結構大事だと私は思うのですが、そういう点では連携に関してかなり、連携といえるほどのことは何もないというのが現状だと思います。いろんなことに連携があって、例えば児童虐待に関しても自殺予防に関しても犯罪被害に関してもそれぞれ連携が大事だと言われていて、やっていることはほぼ一緒だし、関係機関も重なっている部分が多いと思うんですね。具体的に連携するなら相手の顔が見えなくてはだめなので、なかなかお役所の中では難しいのかもしれませんけれども、少なくともそういうものがどういうふうに構築されていて、どういうふうに構想されていて行われているかということはかなり調査していただく必要がある。現場の者としてはやることは一緒ということがたくさんあるわけです。子どもが虐待され、親がDVだったらば、子どもは通報しなくちゃいけないかもしれないし、親のDVを言われなければいけないのかもしれないのだけれども、そのときに、私は東京ですから、ウイメンズプラザ、東京都のセンターに相談しろと言いに行くのか、あるいは地域の市町村のセンターに言いに行くのかとか、その辺まではっきりさせてもらわないと、とても保険診療の採算のベースの中では無理だという感じは実際に持っているんですね。15分で診なくちゃいけない人たちが発見するわけですから、その辺をかなり具体的にしていかないと難しいと思います。
     例えば、今スタンダードなサービスをやるためには、例えば医療なんかだったら、私だったら、患者さんに「はい」とあげればいい説明のパンフレットと、それは配偶者暴力相談支援センターの説明ではなくて、そこで配ればいいパンフレットと、それから、ここに電話すればあまりひどい目に遭わないで何か対応してもらえるところの紹介文と、そういうのがないととてもできない。実際に来られて、初めてほかに相談したことがなくて、病院に初めて来られた人の中で、配偶者暴力相談支援センター、女性センターを御紹介しても行ってくれる人は半分以下というのが現状なのですね。
     そういうことからすると、今の連携の部分を実際に今動きそうになっているものとちゃんとうまく組みながら、もっと具体的にやっていただくというのは、ぜひこの計画の中では必要だと思っています。済みません、具体的な話になってしまって。
    原会長代理
    済みません、山田さんの前に今の関連で発言していいでしょうか。2004年以来、フィリピンで調査させていただいているのですけど、セブ島のセブ市のジェネラルホスピタル及びマニラのフィリピン大学のジェネラルホスピタルの例で言いますと、それこそ15分診療とか10分診療でものすごく忙しいのですね。お安く診察してもらえるから、特に混むのです。しかも技術がいい。そこで、どの診療科の先生でも、病院の中にある被害者相談センターに患者さんを送るようになっています。患者さんは、そのプライバシーを守られながら相談を受けています。被害者一人ひとりのファイルができていて、同じ患者さんが、また外来に行った場合には、その記録も相談センターのファイルに記入される。それは子どもの場合もあるし、大人の場合もあるといったようなシステムをつくっている。医師もそれから相談センターの職員も、ものすごく忙しいのです。非人間的に忙しくて睡眠時間を削っていらっしゃるそうですけれども、こういうことが日本でも、厚生労働省の病院の規則の中でもできるようになれば良いなと思います。フィリピンでは、病院の中にある被害者支援センター職員が警察とか、時には裁判所まで医療側の証拠を持って同伴するそうです。それはとてもひどい場合はお医者様が行くそうですが、相談センターの人が行って済む場合もあるというふうに、医療関係者の中でも分業体制をつくる方向を工夫しているので、うらやましいなと思って帰国したのです。
    小西委員
    すごくうらやましいのですけど、ここ2~3年で日本でそれができるかというと、とても無理だと思うんですね。私は本当に自分で仕事の中で困るんですよ。やってあげたいけど、できないことがすごいたくさんあって、そういう意味ではなかなか貧乏くさくてできる範囲なのですけど、多分できる範囲のことが何かあるだろうと思っているので、ぜひそういうことを少しは楽に、特に女医さんのところに本当に集中するんです。それは調査をしても出てくるので、そういうキーのところにかなり、医療は今まで遅れていて、ほとんど私も何も言えなかった状態だったのですけれども、ここまで少しきましたので、そういうところを重点的に、せめて連携していくみたいなことができるのではないかなと思います
    諸澤委員
    関連しまして、厚生労働省、もしお答えいただければと思うんですか、御存じの方も多いと思うのですけど、アメリカではレイプとDV、チャイルド・アビューズ、いわゆる児童虐待、その周辺もありますから、主にこれらについて、病院が非常に積極的に取り組んでいて、今、原委員がおっしゃったように、病院にそういう特別な部門があるという大変うらやましい実態があるわけですが、日本で医学界に働きかけて、病院全体がそういう取組ができるようにということは大変難しい夢のような話なのでしょうか。つまり医者の意識を高めていくのは非常に大事だと思うのですが、いかがでございましょうか。
    厚生労働省
    申し訳ございません、私、厚生労働省なのですけれども、医療機関の担当ではないので、なかなか明確なことは申し上げられるわけではないのですが、おっしゃるような意識を高めていく努力は間違いなく必要なのだとは思いますし、そちらへ向けて努力をしていくべきなのだろうとは思います。
     今の児童虐待にしてもそうなのですが、DVにしても、今の各地域における社会的な資源の配置の状況ですとか、あるいは人材の配置された状況ですとか、そういうことを考えますと、現実問題として一足飛びに医療機関を中心にするような体制が、即考えられるわけではありませんので、少しずつでも意識改革を進めながら、今実際に地域で活用できるものといいますか、必要な資源を組み合わせてしっかりとした体制をつくっていくような、現実的な路線を考えつつ、一方で意識改革を進めていくような、そういういわば地道な取組がやはり必要なのではないかというふうには思います。
    諸澤委員
    日本でも警察が一部取り組んでいますけれども、こういう被害者たちは、いわゆる一般外来ではないということが非常に大事だと思うんですね。それなりの対応をしてもらえると。ですから特別な部屋をつくったり、チームをつくったりする以前に、意識として、そういう人たちが来たときに単なる一般外来で診察を受けるというここに大きな問題があるわけですけれども、そこら辺はどうなのでしょうか。
    厚生労働省
    そこは申し訳ございません。私も冒頭申し上げましたように医療機関の担当ではないものですから、そこを実際分けることは、恐らく医療機関の通常診療科目というような分け方とはまた別なのですよね。ですからまさに医療機関の方で、そういう何か専門窓口のようなものを設けることができるのかどうか。あるいはまたそれが適切なのかどうかというところも、そこは個人的な感じではございますけれども、そこはよく検討しなければいけないのではないかと思います。
    袖井委員
    今の問題の関連ですが、MSWをもうちょっと活用できないかと思うんですね。アメリカは社会事業部というのが一番最初で、そこで全部セレクトするんですね。だからお医者さんにいろんなことをやってもらうというのは、今の日本の現状ではかなり無理だと思うので、日本でも大きな病院ではかなりMSWを活用しておりまして、例えば高齢者などについては結構やっているんですね。例えば退院するときに、自治体のそれぞれの所属する区役所のどこへ行きなさいとか、こういうのがありますよとか情報提供している。ただ、DVとかアビューズについてはほとんどやってないと思うので、とりわけそういうのをつくれというのは無理ですけれども、結構大きな病院では、アメリカはソーシャルワーカーがいらっしゃるので、そこら辺の人たちにもうちょっとこういうDVやなんかについての情報提供してしっかり働いてもらうということがとりあえずできるのではないかと思います。
    大津委員
    本当にアメリカのソーシャルワーカーの方を一緒に巻き込んでいくというのは大切だと思います。これはDVではなくて人身売買のことなのですけれども、人身売買行動計画の中に、無料定額診療事業を使うことができるというのがありますね。ヘルプに来られた人身売買の被害者の方が、ヘルプに近いところの病院を利用したのです。そのときに、まず私たちがやったことは、ぜひソーシャルワーカーだけではなくて病院内の方々に、この人身売買の問題を知っていただきたいということで、その病院は院長をはじめソーシャルワーカー、それにかかわる医者、婦人科のお医者さんとか様々内科のお医者さん、弁護士、いろんな方々が来られて、その中でお話をしたことがあるんです。
     それから、またその後、ソーシャルワーカーの方がとてもこの問題は、医療にとっても大切な問題であるから、都内のソーシャルワーカーの方々にぜひこの問題を話してほしいと言われたのです。それで、また都内のソーシャルワーカーの方たち60名ほどいらっしゃったと思いますけれども、人身売買の問題を話したことがあります。例えば、人身売買の被害者が今、一番インドネシアの方が多いのですけれども、ソーシャルワーカーの方は、本を1冊持ってらっしゃって、それはその中に「簡単にできる会話」というのがあって、それで被害者の方々に簡単な挨拶を原語でされる。そういう形で被害者の方と病院内のソーシャルワーカーの方とがうまく連携し、そして信頼関係を置いていくということがありましたので、何かDVでもMSWの方に気軽に相談することが出来ればと思っておりますが、いかがでしょうか。
    戸谷委員
    医療の関係が続いているので、事務局の方にお尋ねしたいのですが、都道府県の計画の中にほとんどの医療関係者との連携ということでマニュアルづくりだとか、そういうものをきちんと位置付けているのではないかと、私の知る限りでは都道府県でほとんどそれを位置付けていると思うのですけど、いかがでしょうか。
    塚崎推進課長
    確かに基本計画の中に書いておられるところがほとんどでございまして、実際に都道府県で医療関係のマニュアルを既につくっているというところもございます。
    戸谷委員
    ちょっと今のことで返していただいたので、済みません。個別事例で申し訳ございません。私の千葉県では、マニュアルといいますか、そういうものというか、下敷き1枚みたいなものをつくりまして、そこにどう対応するか、チェックポイントとか、こういうときにはこういう回答をするといったものを下敷き1枚にしますと、お医者さんの診察のときにやりとりができるということでは、本なんかあけていたらそういう対応できないというのでというようなものをつくりました。それは佐賀県さんとかいろんなところがやっています。それが全国、私どももお医者さんすべて、看護師さんすべて、メディカルソーシャルワーカーすべて、その人たちに全員配れるような状態の予算がありません。
     ということで、ホームページからダウンロードして印刷してお使いになるということができれば、そういうことで利用していただければと思いますが、なくならないように手元に置けるようなものが、皆さんそれぞれ医療関係者お一人おひとりの手元にあるというような環境はつくっていただければと、これは要望でございます。
    伊藤委員
    医療機関との連携はすごく大切だと思います。カウンセリングの問題も含めてでしょうけれども。ただ、これは前に議論になりましたけれども、改正前の段階でも6条2項、3項、4項は、一その他の医療関係者の通報について努めるようにという規定があるわけです。これをもっと周知していただくということを意識的にやっていただくことが必要なのではないかと思うんですね。法律に担保されているわけですから、これを踏まえて徹底的に周知していただく。その上で医療機関なりに独自の対応をとってもらうようなことを働きかけるようなことがすごく大切です。そのことについて、これからの各都道府県の、基本計画に基づいた実施の中で働きかけていくことがもっともっとあっていいのではないかと思いますけれども。
    岩井会長
    済みません、広報に関係しまして、大槻委員、広報についての御意見がおありというふうに伺っていますので。
    大槻委員
    私も2年ぐらいになるのですけれども、ただ、いろいろお聞きしていて、わからないところがあって、もちろん被害者を守らなければいけないというのはよくわかるのですけれども、加害者に対してどう広報・啓発するのだと、あるいは加害者予備軍ですね。そういう話はほとんどされたことがないというような気がしているものですから、もう少し周知させるためにいろんな戦略的な広報のやり方をお考えになっていただきたいなと感じています。
     それでいくつかの質問事項を用意したのですが、例えば、ちょっと考えてみたのですけれども、よくわからないのは、ここはいろんな省の方がおいでになっているのですけれども、DVに関して、誰が広報担当者で責任者なのか。これがわからない。スタッフの陣容がどうなっているのか。それから、統括的な予算はどうなっているのだろうか、これらが基本的にまずわからない。
     2つ目の大きな話としては、広報の考え方、方針、これがよくわからない。今、基本計画などを見ても、皆様方の寄せられた意見の中でも広報啓発は重要だと書いてあるのですが、具体的な方針というものが示されていないのではないかという気がするんですね。例えば何をターゲットにしてどういうことをやっているのかとか、それから、これまでやってきた広報活動でどういう結果を得られたのか。そういう追跡調査をされたのかというようなことがあるわけです。
     それから、メディア対策も、私は元新聞記者でして、社会部系でいわゆる軟派と言われているほうをやっているのですが、この調査会の取材をするのは多分硬派と呼ばれる政治部とか、そういうところが多いのではないかと思うのですね。しかし実際新聞読んでいる人たちはどういうところを読んでいるかというと、こういう政局になるとおもしろいから新聞読みますけれども、ふだんは政治面、経済面なんて読む人はほとんどいない。基本的には社会面とか生活情報面ですね。そういうところに対して誰が広報担当者だかわかりませんけど、どういう働きかけをしてきたのかと。あるいはそういうところに、この問題に関してどういう記事が載ったのかな。
     8月26日付に毎日新聞にちょっと出ましたけれども、そういうのは非常におもしろい。いずれにしましても、そういうような広報活動を、掛け声は結構あるのですけれども、具体的なものがわからない。前にも何回か質問したのですけれども、お答えいただいていません。そういうこともありますので、実は、会長に先ほど文書を渡しまして、これをどういうふうにするか、取扱いをお考えになってくださいということでお願いしたら、今たまたまこういう発言する機会がありましたので申し上げました。もし可能ならば、もう少し広報についても細かいデータをお教えいただければと、そう思っております。その上で、じゃ何が足りないのかということを言っていけるのではないのかなと思います。
     それで、今お話を聞いていた中で一番わからなかったのが、例えば基本計画の中にもそうなのですけれども、そういう加害者、加害者予備軍に対してどういうことができるのか、自治体ができるのか、市町村ができるのか。個人情報の問題とかあっていろいろ難しいのでしょうけれども、その辺も何か考えられないのかなというような気がしたので申し上げました。
    岩井会長
    いろいろ広報が大事だというすべての機関についての御意見を皆さんお持ちだと思うのですけれども、その前に何か御意見ございますか。ちょっと連携の部分について、私も意見があるのですけれども、児童虐待の部分に関しては、都道府県で結構小児療育センターとかそういうシステムができていますよね。かなり医療関係者が虐待防止のための活動を都道府県の中でやるといった体制がだんだん整えられてきているのではないかと思うのですけれども、ですからDVの問題もいろいろな家庭内の暴力の問題として統合して都道府県の中で対応できるようなシステムがつくられていければいいのではないか。そうするとある程度連携が図れるのではないかと思っているのですけれども、どうもやはり対策が分かれているので、そこの法律同士の連携といったものをもう少し考えていただければというふうに思っておりますが。
    戸谷委員
    結局法律はそれぞれの法律なのですけれども、現場でどうやって連携するかということだと思うんですね。DVの問題は児童虐待とすごくかかわっていますので、一緒に動いています。それから、家族という単位で考えられれば、高齢者に対する暴力も一緒なんですね。そういう点では、私どもの方のシステムといいますか、体制づくりは家庭等における暴力ネットワーク会議ということで統一して、裁判所:地裁も家裁も入っていただいて、あとプラス東京入国管理局まで入っていただいて、今や人身取引まで入れてやっているので、家庭等を入れるのかなという状態にはなっていますが、いわゆる暴力対策をどういうふうに現場でするかといいますと、集まる人は一緒なんですね。それをいかに、同じような会議を何回もやる必要はないだろうというのが都道府県レベルの考え方でございますので、恐らくそういう形で全国だんだん動いていくのではないかと。そういう暴力対策をしていくのではないかというふうには思っております。
    板東局長
    今、御指摘いただきましたように、いろんな法律でこの暴力の関係、家庭内のいろんな形の暴力ということでも、相当いろんなものがあるわけでございまして、特に市町村のレベルになってきますと、今回も改正で市町村の役割が強化をされてまいりましたけれども、市町村の役割ですと職員少ないマンパワーでいろんなものに具体的に対応しなければいけない状況が出てくるということで、今、御指摘いただいたような連携とか、統合の問題は一層現場の現実的な運用の仕方としては非常に重要になってくるかと思いますので、法律自体の統合は難しいと思いますけれども、現場の対応の仕方は、御指摘のように、大体同じような人たちが同じような機関が関連してくるということになると思いますので、それをもっと有機的、統合的な形で進めていくように、特に今回市町村の問題がございますので、我々も問題意識として強く持っておりますので、これから基本方針などの策定の中でそういった取組が進んでいくような形で関係省庁含めまして議論させていただく必要があろうかと思っております。
     それから、先ほどの広報の話はまた後でよろしいでしょうか。
    岩井会長
    広報は後の方がいいじゃないですか。
    板東局長
    また広報の話は後で取り上げさせていただきます。
    岩井会長
    関連して。
    小西委員
    広報、加害者更生のことを何か言わなくてもいいのだろうかと思ったので。
    山田委員
    多分配偶者暴力からいろんなところに広がっていくというお話だと思います。広がりをどうするかということも1つの焦点だと思うのですけれども、また、もう一個別の方向での広がりで、先ほども言いましたけれども、配偶者か恋人かというようなところがあいまいになっているというところがあります。そこでストーカー行為規制法との関連についてお聞きしたいのですけれども、同じ性暴力に関する被害者というところでは非常に似たところがあると思います。私、最初にここに委員として来たときに、配偶者はこちらの防止法でやって、配偶者じゃない人はストーカー行為規制法でやるのだというふうな区分がなされているというようなお話をお聞きしたのですけれども、結局は離婚した人とか、実質上内縁関係にある人が別れた人につきまとうというのと、恋人としてつき合っていたのだけれども、別れてつきまとわれるというのと、何も関係ないのに一方的につきまとわれるということに関しては、性暴力被害者という意味では、かつ実質的な暴力のおそれという点では多分ほとんど同じような被害状況にあると思うのですが、となると、配偶者防止法における被害者だけをとりわけて保護、サポートするということだけでは不十分だと思うのですが、そこで、いわゆるストーカーの被害者に関しても同じようなサポートが受けられるということは準用されるのでしょうか。それとも全く別、配偶者防止法の被害者というのとストーカー行為規制法の被害者へのサポートは別立てで行っていこうという方針なのでしょうか。そこの方針を1つお聞きしたい。
     具体的に言えば、例えば恋人でもいいですし、別れたはずの同棲相手からつきまとわれて困って、たまたま子どもがいて、それに関しても危害が及びそうだということに関しては、配偶者防止支援センターの方で受け付けてくれるのでしょうか。それとも、例えば警察に行けとか言ってたらい回しにされる可能性もなきにしもあらずと思うんですが、方針としてどうなのかというのと、要は具体的に行動指針、基本的な方針としていく場合、配偶者防止センターでもいわゆるストーカー行為規制法のようなものも受け付けろというふうな形でやっていく、もしくはそれでも行けるのかということに関してお聞きしたいと思っております。
    伊藤委員
    同性カップルの問題なのですが、先ほど私申し上げたのは、ことしの1月にいただいた配偶者暴力防止法に関連する意見募集の中に、同性間のカップルの問題が書かれていたので、そういう問題が実際出てきているのではないかと思われます。今後恐らく同性間のカップルのドメスティックバイオレンス問題は、デートDVと同じような形で出てくる可能性があると思います。今回の意見募集の中に、そういう同性間カップルの問題があったのかどうかということと、それは多分運用になるのかもしれませんが、現場でそういう同性間カップルに対する対応みたいなものを考えるときに、何らかの方針かおありなのかどうかということ。これは多分、今の山田委員のお話とかぶってくることだと思いますけれども。
    塚崎推進課長
    非常に重要な問題なのですけれども、まず山田委員からお話がありました恋人と配偶者の関係なのですが、方針としては家庭内の暴力ということで、配偶者と恋人と法律的には分けてやっているということなのですが、ただ、具体的な現場では恋人等の暴力につきましても、センターの方で対応していることもあると聞いています。また、私どもの方でも、恋人の間の暴力につきましては、特に若い人たちの予防啓発というのは非常に大事だということでいろんな取組をしているところでございまして、今回11月にシンポジウムをするのですが、そこでも主要なテーマとして取り上げる予定でございます。
    山田委員
    私、若い人のデートレイプを問題にしているわけではなくて、実際にほとんど配偶者からのDVと似たような形だけれども、配偶者ではないという形で、例えばつきまとわれているとか、今回も警察官の不幸な事件がありましたけれども、そういう形でつきまとわれているときに、いわゆるこのような、つまりどこで相談を受け付けてくれるか。そういうときも配偶者防止センターの方で受け付けるというような方針なのか、それともそれは全く家庭内の問題ではないので、警察等でストーカー行為規制法で対応するというのか、その部分が、決まっているのだったら教えていただきたいし、もしそこら辺がまだあいまいであるならば、ぜひ準用という形で、恋人もしくは恋人ではない単なる恋愛感情でつきまとってくる人に対することに関しても相談を受け付けていただけるように方針を策定していただきたいという要望でございます。
    塚崎推進課長
    支援センターでは、少なくとも相談を受け付けるというようなことはしていると思うんですが、基本的にいろんな仕組みが配偶者間の暴力ということを前提にしていますので、警察の方にというようなアドバイスも多いかと思います。配偶者間の暴力の枠組みをそのまま使えないところもあるので、そういう場合は警察にというふうにしているケースも多いのではないかと思います。
    諸澤委員
    先ほど小西委員からお話がありましたように、犯罪被害者等基本計画が平成17年12月に閣議決定されていることがございますね。その中にストーカー事案、これは警察庁の所管ではありますけれども、関係機関との連携を強化し、ストーカー事案への適切な対応に努めるというふうになっておりますので、警察庁から内閣府、あるいは厚生労働省あたりにそういう働きかけがあるのかどうか、ちょっと関心がございます。
     もう一つ、先ほど話題になった件に戻るようですけれども、児童虐待、配偶者等からの暴力の早期発見のための医療施設における取組の促進ということで、厚生労働省において、医療施設における児童虐待や配偶者等からの暴力の早期発見のための取組を促進するための施策を検討し、1年以内を目途に結論を出し、当該施策を実施するということが厚生労働省関係で明記されていますので、もう1年以上たっておりますので、厚生労働省の担当者の方。これは具体的に何か検討して結論が出ているかどうか。きょうでなくても結構なのですが、いずれ正確にご説明いただければありがたく思いますが、以上2点。
     とりあえずストーカーの方についてはいかがでございましょうか。
    警察庁
    警察庁でございます。ストーカーにつきましては、現場レベルということでまずお話しさせていただきますと、事案に応じて、婦人相談所ですとか、市町村の関係機関、それからNPO法人等との連携には努めております。それで国レベルということになりますと、直接というわけではないのですけれども、男女共同参画という別途包括的な枠組みがございますので、そちらを通じるような形で様々な連携に努めているというところでございます。
    塚崎推進課長
    伊藤先生から御質問があったマイノリティーの件なのですけれども、性的マイノリティーの方々の立場に立った御意見があったかどうかということなのですが、少数ですけれどもございました。
    大津委員
    先ほどのストーカーなどによる被害者の方たちが、どういった形なのかということで、現場ではDVの被害者であろうと、これは民間のシェルターですが、DVの被害者であろうと、ストーカーの被害者であろうと、その女性たちが行くことができないということであるので受け入れております。ですので、より民間の方にたくさんそういう方たちは来られるのではないかと思っております。
    岩井会長
    よろしいですか、山田委員。では広報の方に入りたいと思います。小西委員、御意見ありますか。
    小西委員
    私が思ったのは何度か加害者更生のことを言われたので、現状としてどういうふうにお考えになっていて、この先、どういうふうにお考えになっているかというのがあれば、まずはお話しをいただいたほうがいいのではないかとちょっと言いたかったのですが。
    塚崎推進課長
    加害者更生につきましては、今の段階としましては、進めていこうということではあるのですけれども、ただ、諸外国にもなかなか実証的にいい結果が出ているという例がなかなかないということで、今後も諸外国の調査をしっかりして実施に向けて取り組んでいきたいということで考えているところでございます。
     あと広報についていろいろ御質問をいただいたのですが、広報につきましては、各省庁いろんな観点から広報をしております。DVに限らず、例えば私どもの方では、女性に対する暴力をなくす運動を2週間、11月にしておりまして、その中でシンポジウムを開催しています。それぞれの省庁でいろんな形で取り組んでいるということでございます。基本的な方針、きちんとしているかという御質問もあったのですけれども、被害者に対してはできる限り、被害者の立場に立った広報を進めていきたいということで、例えば来年度はまだいろいろ検討している段階ではあるのですが、この専門調査会でも御指摘ありましたように、全国統一の電話番号を使って支援センターの方に相談できるようなことができないかといったことも検討しているところでございます。
     また、改正法が成立し法律が変わりますので、その点についてもしっかり周知をしていくということで、地方自治体も含めましていろいろな形で広報もしていきたいと考えているところでございます。
    板東局長
    ちょっと補足をさせていただきたいと思うのですけれども、予防啓発関係につきましてもいろんな取組を始めつつあるところでございまして、例えば今ですと都道府県にモデル事業でいくつかのところにお願いをして予防啓発プログラムの開発ということをやっておりますけれども、この成果を今度は普及をしていこうということで来年度予算などにもその普及のための予算を要求させていただいているところでございます。それが今おっしゃった広報の中の1つの部分になるのかなというふうに思っておりますけれども。
    岩井会長
    よろしいですか。
    大槻委員
    仕方ないです。全然答えになってない。私、広報関係のコンサルティングもしていますので、いろんな会社、自治体でもお教えしているんですけれども、共通していることは広報は大事だとみんな言うんです。重要だと。だけど、実際に本当に重要だと思って何かいろんな対策を立てているのかというとほとんどの人がやっておりません。お金がもったいないというので。今お話聞いていましても、広報は重要だという掛け声は随分聞いたのですけれども、もう少しいろいろお考えになっていただきたいなと思います。
     ただ、ここの場であえて申し上げたのは、少しあの大槻がおかしなことを言っていたよということをどこかに残していただければ、まずそれが第一歩なのかなと思っております。
    伊藤委員
    大槻委員の意見、本当に大切だと思います。先ほど申し上げた周知ということですけれども、例えば具体的には医療関係の業界雑誌であるとか、あるいは私が前から申し上げていますように教育関係雑誌ですね、それらに例えば内閣府として広報を打つようなことというのはあり得るのではないかと思ったりもします。ポイントを絞ってやっていかないと届かない。先ほどから議論になっている医療関係か教育関係はこの法律の中身や、あるいは現実に行政機関がどう動いているのかということについて、きちんと知っていただきたいと思います。その辺のところに集中的に広報をかけることが大切なのではないかと思います。
    小西委員
    今のお話には賛成です。何で医療かというと、やっぱりまだ日本人は相談ということに関してはあまり信用してなくて、多くの人が配偶者暴力相談支援センターもありますよ、あるいは児童相談所もありますよ。うちの大学でも心理相談持っていますよみたいなことを言っても、最初に会いたいのは医者に会いたいという、それは被害そのものの中身の全容が見えてないからでもあるのですけど、結構そういう方が実際には多いですね。そうだとしたら、若い人の教育という、そこのところと、もう一つ、一番最初に、一番よく知らない人が接触する可能性があるところはこれから攻めていくポイントだというのは本当にそうなのだと思うんですが、医者の教育はすごい難しいです。自分で申し上げるのは、申し訳ないんですが、読まないです。忙しくてほとんど読まない。紙一枚というのはすごいいいんですよ。
     ところが千葉がしっかりやっていらっしゃるのは私はよく知っていますというか、千葉の病院ではDVについてお呼びいただくことが結構あるんですね。でもそうすると、すごい熱心な千葉でも「まず保護命令って何なの?」みたいなところからやっぱりお話しするという形になるので、多分後は推して知るべしという状況なのだと思うんですね。そういう人たちにどうやって届けるかというのは本当に戦略的に考えないと入っていかないし、限られたお金の中で何かやっていかないといけないですね。そういうことを具体的に、それはここで考えることではないかもしれないけれども、もうちょっと考えられるといいと思うので、伊藤委員のお話に基本的にとても賛成です。
    諸澤委員
    意見でよろしいでしょうか。ずっと前にも発言したことがあるんですが、被害というか、むしろ暴力関係についての啓蒙、あるいは教育は、学校教育は非常に大事だと思っておりまして、きょうは文部科学省は来ておられないのでしょうか。この会にぜひ文科省は出てほしいとかねがね思っているのですが、文科省がいないのはいつも残念に思っております。
     それはさておいて、中等教育、いわゆる中学、高校レベルでの教室の中で暴力について教材にする。これは欧米でたくさん例ございますし、うまくいっている報告もいくつか聞いておりますが、日本も学校教育の中でぜひ暴力を教材にして積極的に扱っていただく。それがいずれ予備軍をなくすとか、将来的にDVを減らすという非常に大きな効果はあると思っておりますのでお願いしたいと思います。
    伊藤委員
    私は大阪府の審議会の委員もやっております。前のプランをつくるときから学校教育の中に非暴力のプログラムとコミュニケーションプログラムを持ち込むようにお願いしてきました。大阪府下ではいくつかの実践例があるはずです。既に動いている学校もあるはずです。
    諸澤委員
    それはどういう教科、何らかの教科書にあるのでしょうか。それとも何か特別なテーマとして。
    伊藤委員
    教科書という形ではないと思いますけれども、例えばNPOにつくっていただいた資料などをもとにしながら実施するという形だろうと思っております。一部そういう形で動いているところは出始めています。こうしたプログラムについて、情報を収集し、整理して全国的に広げていくことも大切なのではないかと思います。
    原会長代理
    大阪府の「総合」の時間、それが今度なくなるんですか。
    伊藤委員
    総合科目については、全国的に削減のはずです。
    原会長代理
    先ほどから御意見が出ているように、きょうのこの話題は文部科学省の方にぜひお伝えいただいて、それと同時に次の回のときに文部科学省の方から、どういったことを対策として考えているかというのを御説明いただけるような段取りをしていただけるとありがたいと思います。
    袖井委員
    今、文部科学省のことで関連してちょっと申し上げたいのは、台湾がそういう文部科学省関係で、いわゆる家庭教育という形、いわゆる家庭科教育の中かなんかにそういうのを入れているとか、それから結婚準備教育というのを、台湾もDVとか離婚が物すごく増えているので、それを阻止したいということで結婚準備教育というようなことにかなり力を入れていて、その中にDVを入れているということです。
     それで2年ぐらい前に台湾に行ったときに、そこのセンターを訪ねましたが、新婚の夫婦に渡すパンフレットがありまして、とてもきれいにイラストで書いてあって、その中で、今あなたたちはラブラブでしょうけど、いずれこうなるでしょう。相手をやさしくしましょうと。暴力に行かないようにという、一種の結婚準備教育なんですね。それがどれぐらい広がっているかわかりませんけれども、きれいなパンフレットをつくってそういうことをやっていると。
     センターそのものは警察の管轄ですけれども、家庭教育自体は文科省ということで、私がお茶大で教えた学生がテキストの執筆とかなんかやったとか言っていましたので、ぜひ文科省にはこの会議に出るようにしていただきたいなと思っています。
    塚崎推進課長
    どうもありがとうございます。予防啓発につきましては、本当に教育のところが非常に大事だということで、今いろいろ委嘱をしていますモデル事業の中でも学校と連携をしていろいろプログラムを開発しているという地方自治体もあるところでございます。また、来年度なのですが、予防啓発のDVDをつくって教育現場も含めて配布していくということも考えていますので、連携は十分とっていきたいと思っています。
    諸澤委員
    内閣府に99年から2000年にかけてですから、大分前なのですけれども、犯罪被害者対策関係省庁連絡会議が、組織されたとき、私も呼ばれたのですが、そのとき文科省は体育局から来たので唖然としました。この問題がなぜ体育局なのか。つまり体育の授業でケアするか、保健とか、そういうところで多分関連するというか、推測できるのですけど、もう少し大きな視点というのはないのだろうか。
    板東局長
    実は犯罪被害者、私も前文部科学省におりましたときに官房審議官やりましたので、途中からフォローさせていただきました。体育局は学校健康教育課というのがございまして、これは子どもたちの安全の問題とか、そういったのをトータルで取扱うことになっておりまして、必ずしも犯罪被害者の問題はそこが窓口というわけではないのですが、テーマに応じて対応させていただく。特に子どもたちの安全にかかわるもの全般というのは、文部科学省の中では健康教育課というところを窓口にさせていただいております。
     ただ、犯罪被害者の問題は、あと児童生徒課という小・中局の関係とか、いろんなところに関係いたしますので、それで結局官房の方で全体を見ようということで、当時私が参加させていただいたということがございました。
     申し訳ございません。私もちょっと早めに退席しなければいけないので、先ほどの広報の話で、まだまだ不十分であるのは事実だと思いますが、1つは法律の施行自体につきましては、先ほどからお話しございますように、いろんな医療の関係などもまだまだ不十分だと思いますし、関係のところにしっかりと、例えば法改正の内容とか、これからの基本方針とか、そういったところをきちんと周知を徹底していかなければいけないと。その広報も努めていきたいと思っておりますけれども、先ほどの御指摘のように、一般の方たちに対する広報はなかなか難しい点もございますが、これをなるべく効果的に考えていかなければいけないと思うわけでございます。1つは、先ほど新聞でなかなか取り上げてもらいにくいというお話がございましたけれども、例えば調査結果を発表するとか、そういうときには割合新聞も関心持って取り上げてくれたり、関係の法律などについても少し触れていただける機会が今までの経験からいいますと多かったなという感じがいたします。我々も時々定期的にいろんな調査を行わせていただいておりますので、そういったことも有効に活用しながら、世の中に対してDVはじめいろんな女性に対する暴力の問題の実態とか、それから、何が必要であるかということを訴えていきたいなと思っております。
     また、広報のやり方につきましては、いろいろアドバイスをいただければありがたいというふうに思っております。ちょっと早めに失礼しなければいけないので、失礼いたします。
    岩井会長
    被害者保護の問題もかなり緊急な問題があると思うんですけれども、林委員いかがですか。保護命令が発令後の被害者の保護を徹底するといった部分でかなり事件などが今起こっていますよね。弁護士事務所が襲われたりというふうなことも聞いておりますが、そういうところで御意見ございませんでしょうか。
    林委員
    突然ですので、発言をまだ整理しておりませんので、その点について、もちろん必要なことであると思いますが、先ほど来、出ています基本的な方針というのは、現行の基本方針であるのですけれども、誰がどことどう連携していくのかということについての、もう少し具体化は必要になってくると思います。法律職につきましても、先日、私は被害者都民センターという社団法人が新宿区西戸山にありまして、ロースクールの学生を連れてそこの事務局長の大久保恵美子さんのお話を聞きに行ったのですけれども、そこの被害者都民センターの人たちが、例えば裁判所に行って、裁判官の研修の講師をされているというようなことでしたので、DVですとか性犯罪の被害者を含めて、そういった形で裁判所も変わりつつあるということを大変心強く思いました。
     後は弁護士会の研修の中でも犯罪被害者の問題、DVの問題、テーマとして大変多くなってまいりました。御存じのとおり、法テラスが始まりまして、その中でも犯罪被害者に精通した弁護士を法テラスが紹介をすることになりましたので、その中で弁護士の中でもそういう問題について積極的に研修を受けて犯罪被害の問題を取り扱いたいという人たちが少しずつではあるけれども、増えてきているところはございます。ただ、まだまだ個別の事件について、警察との連携が不十分であったり、保護命令が発令後の被害者についてのフォローが不十分であるため残念な事件が起こってしまっているということが現状ではないかと思います。
    原会長代理
    (委員限り)の資料の言葉に関する質問です。「子どもに対する支援体制の充実」という言葉でまとめていらっしゃる項目があるのですが、ここで子どもというときは何歳以下を考えていらっしゃるのでしょうか、ないしは何歳未満。往々にして高校生とか、18歳~20歳までの人がすっぽ抜けるというようなことがありまして、15歳以下はかなりカバーされるし、18歳以下というときもあるのですけれども、うっかりすっぽ抜けちゃうところがあるので。今でなくてもいいんですけど、今後この言葉を使うときにはっきりしておかないと、うっかり抜けちゃう年齢層が出てこないようにお願いします。
    塚崎推進課長
    御指摘ありがとうございました。特に何歳ということで区切っておらず、被害者の子どもということで書いてありますので、問題意識を持っていこうと思います。
    岩井会長
    ほかに何か。
    厚生労働省
    若干補足をしますと、これはいろんな支援策によるのだとは思いますが、原則論でいえば、児童福祉法は子どもというのは18歳未満というふう規定しておりますし、児童福祉法上、いわゆる措置、児童養護施設に措置をするとか、あるいは里親に委託するとかということになりますと、20歳まで延長することができるというような、そういう形になっております。そういった法制度上の例外もありますし、また実際現場の相談対応などですと、そこは完全にフレキシブルにやっているのだと思いますけれども、児童福祉法上の原則は18歳ということになっています。
    袖井委員
    この資料のところで質問したいことがあるのですが、一番後のところで「用語等の見直し等」というのはどういうことなのでしょう。どういう用語がひっかかっているのか、知りたいと思います。
    塚崎推進課長
    いただきました御意見は、被害者に対して指導という言葉を使っているが、それは不適切だという内容でございます。
    岩井会長
    ほかに何か御意見、どうぞ。
    戸谷委員
    今の件ですけど、基本的には、売春防止法上の婦人相談所が仕事しているというところのDV被害者への対応の表現が、法律上きっとそういう言葉にしばられているのだと思いますので、私どもも「指導」なんていう言葉は現場では使ってはおりませんし、役職も「生活指導員」というんですよ。何を指導するのかみたいな状態なので、そうではなくて一緒に寄り添って考えていきましょうという姿勢はどこもやっているはずでございますが、法律上そういう文言が出てくると、それを受けとめる側としては非常につらいですよね。
    岩井会長
    ほかに何か御意見ございますでしょうか。
     それでは、どうも活発な御議論ありがとうございました。本日は御意見が出せなかった委員の方は、9月25日(火曜日)までに事務局あてにお出しくださいますようお願いいたします。
     関係省庁の皆様方には、本日各委員から出された御意見も踏まえ、ぜひ意義のある基本方針の改定をしていただくようお願いいたします。
     本日の議事はこれで終わりにさせていただきます。
     最後に、資料5-1、5-2、5-3をご覧ください。事務局に第42回から44回の調査会の議事録をまとめてもらっています。これにつきましては、このとおり決定し、内閣府のホームページ等で公開することとしてよろしいでしょうか。  

    (「異議なし」と声あり)

    岩井会長
    それでは、第42回、第43回、第44回の調査会の議事録につきましては、速やかに公開することにいたします。
     なお、次回の専門調査会につきましては、具体的な日程は、改めて御連絡させていただきます。
     それでは、これで女性に対する暴力に関する専門調査会の第45回会合を終わりにいたします。
     皆様、本日はどうもありがとうございました。