ジェンダーの主流化:アジア太平洋地域の良い事例農業

調査によると、男性と女性は資源に対して異なるアクセスを持ち、労働生産物と収入から異なる利益を得る傾向がある。農産物の市場志向が増して、伝統的に男性の領域である商業的な大規模農場経営と輸出による現金収入が、伝統的に女性の領域である自給自足的生産よりも好まれ、女性の生計にマイナスの影響を及ぼしている。APECの水産業の女性プロジェクトによると東南アジアの水産業活動が集約的で商業的な性質を帯びるにつれて、女性が活動を続けるための研修、市場情報、付加的天然資源へのアクセスが減ってきていることが分かった。その結果、女性は小規模の水産業活動への参加と経営を通じて以前のような利益を維持できていない。

このセクションで取り上げるテーマと戦略は、中小企業とITのセクションと共通するものが多い。例えば、第一段階としてのジェンダー分析、性別データの収集と評価、女性の参加のた めの目標設定に加え、教育や研修、資金、市場及び情報へのアクセスを妨げる障壁に取り組む一連のアプローチを示す。

水産業における女性プロジェクトは、当該セクターにおける女性の貢献を評価することを希望する他の組織でも利用可能な「水産業における女性の能力フレームワーク」を作成した。この情報は女性の参画に関する問題が後のRFP(提案依頼書)に確実に含まれるようにするために重要である。

性別データの収集と分析は、ジェンダー課題を目に見えるものにするための手段である。「良い事例」の一つの有効な指標は男性と女性別の割合だが、この指標は性別データの定期的な修正と評価が必要である。アメリカの農業省は国勢調査で集められた性別データを通じて女性の農場経営者が増えている傾向にあることに気づいたが、農場プログラムの利 用に関する同様のデータでは女性がこれらのプログラムへのアクセスに不均衡なほど参加していないことが明らかになった。

女性の参加についての問題の取り組みは、日本の農業における男女平等とオーストラリアの地方女性指導者奨学金プログラムの事例が示すように、女性の自信、指導能力、ネットワーク作りを支援する場合が多い。タイ信用組合のジェンダーの主流化の取り組みもまた、女性のキャパシティ・ビルディングを含んでいる。

ジェンダー課題を認知し、取り組むための組織能力の開発は、女性の参画のための政策目標の推進を可能にする状況を作り、持続していく上で重要なことである。全ての人のための ジェンダー研修はプロジェクト実施の初期段階に重要である。中国の地域開発大学では全ての新しい職員に基本的なジェンダー研修を行っている。日本のジェンダーの主流化の先駆的な試みは農業委員会のための男女平等に関する研究部会があり、農業協同組合の同様な活動を強化している。

女性の参画のために目標を設定し、定期的に目的達成への進捗状況を監視することは、成功のための重要な要素である。日本の地方委員会と農業協同組合は女性の参画のための目標を設定している。アメリカでは、貸付金が州内の女性農民の割合に確実に相当するように、女性農民の使用のみを対象としている貸付金がある。

内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019