ジェンダーの主流化:アジア太平洋地域の良い事例

〔事例3〕

プロジェクト名:
女性農業従事者のための適切な農機具[ベトナム]
期間:
1989年1月-1990年12月
関係機関:
ベトナム家庭学女性学センター(CFWS)、開発と連帯のための国際協力(CIDSE)
予算:
研究予算として10,086米ドル

プロジェクトの概要

ベトナムの人口の78%以上が地方に住んでいる。貧困は圧倒的に地方の現象であり、ベトナムの貧困層の90%が地方に住んでおり、そのうちの80%が農民である。ベトナムの農民の54%は女性である。家庭学女性学センター及びCIDSEは、女性農民が生産性を増大し、農業活動に費やす時間と労働力を減少するのに役立つような適切で小規模かつ低価格 の技術を開発した。

プロジェクトの目的

  • 地方の女性農民のために適切で小規模の機械を特定する。
  • 地方の女性農民の農場生産率を上げ労働集約率を下げる。
  • 女性が教育、研修、子供の世話、文化的精神的活動に参加するための時間を作る。

プロジェクトの活動

  • 適切な価格で、ベトナム国内で生産できる小規模で半機械化された機具の利用可能性と有効性を調べるために調査を実施した。
  • 社会的関係の観点から、女性農民に対してこの機具の導入のインパクトについての調査とインタビューを行った。この調査とインタビューは、生産についての提言と最高の半機械化器具を設計するために行われた。
  • CIDSEは農機具の資金を提供した。調査結果と提言に基づき、CFWSはベトナムの地元の供給業者から機具を購入した。
  • さまざまな種類の機械が3ヶ所の地方コミュニティで試された。
  • 報告と提言が家庭学女性学センターのジャーナル「女性学」で発表された(ベトナム語で)。

プロジェクトの成果

  • 女性農民とのインタビューでは、小規模の半機械化機具の使用による生産性の増加が示された。
  • 女性農民は仕事量が減り、作業はあまり辛くなくなったことを報告した。
  • 女性農民は子供の世話をしたり、文化的精神的活動に参加したりする時間が増えたことを報告した。

教訓

  • インタビューと質的な評価から、女性農民にもっとも有用な機具は半機械化された水ポンプ、機織機のモーター、ペダル式の機具、移植用機具、除草機、噴霧器、肥料散布 器、粉砕機、さや取り機、紡績機、乾燥機であるとされた。
  • 小規模機具の導入による影響を評価するためには、女性農民の機械に対する特定のニーズに関する詳細な調査を行うことが重要である。小規模機具の使用による影響の評価は生産性への影響(作業を行うのに必要な時間量)と社会関係への影響との双方を考慮すべきである。

模倣性

  • この研究で明らかになったことは、購入費と修理費用を抑えて地元で生産できる小規模で適切な価格の農機具を必要とするような貧しい諸国の農民に適用可能である。女性農民は彼らが生産する生産物にふさわしい機械を必要としている。
  • 問い合わせ:ベトナム家庭学女性学センター(Center for Family and Women's Studies)
  • Tel: 84-4-933-0435
  • Fax: 84-4-933-2890
  • E-mail: cfws@netnam.vn
内閣府男女共同参画局 Gender Equality Bureau Cabinet Office〒100-8914 東京都千代田区永田町1-6-1
電話番号 03-5253-2111(大代表)
法人番号:2000012010019