ジェンダーの主流化:アジア太平洋地域の良い事例

〔事例1〕

プロジェクト名:
水産業における女性[APEC漁業作業部会]
期間:
1999年9月-2001年1月
関係機関:
APEC漁業ワーキングクループ、オーストラリア農林水産省、スターリング大学水産業研究所(英国)、アジア技術研究所ジェンダー開発学及び水産業研究所(タイ)、アジア 開発銀行、関係政府省庁、研究機関、中国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの女性のためのNGO
資金援助機関:
APEC漁業作業部会(53,850米ドル)、英国の国際開発局(14,000英ポンド(およそ2万米ドル))

プロジェクトの概要

水産業がより集約的で商業的になり、水産セクターの女性の役割はたびたびマイナスの影響を受けてきた。APEC漁業作業グループプロジェクトの目的は関連問題を検討し、このセクターにおける女性の十分な参画への障害及びこのセクターからの女性の利益を明確にし、政策手段を提案することである。

このプロジェクトは中国、インドネシア、マレーシア、フィリピン、タイ、ベトナムの内陸及び沿岸部の地方の女性に焦点を当てている。調査によると、これらの国々で女性が水産資源 に関与するあるいはコントロールする程度は相当に多様であることが明らかだが、貸付金、大規模水産団体、研修や市場情報へのアクセスに関する問題は共通している。調査から、水産業の規模と集約性が拡大すると、女性が活動を続けるための研修、市場情報及び付加的な天然資源へのアクセスは減少することが分かった。その結果、女性はそれまで小規 模水産業活動への参加とその経営による利益をあげられなくなる。

プロジェクトの目的

  • 水産業における地方の女性の役割及び水産業で女性が利用できる潜在的機会を明らかにし、説明する。
  • 発展途上国における水産業の女性の役割に関する重要な問題を明らかにする。
  • 女性が水産業における潜在的機会を活かせるようにアクセスに関する問題を扱う教育、研修及び普及の方策を明らかにする。
  • APEC漁業作業部会が水産業への女性の参画を促進し、女性が関わる方法を決定できるような戦略を提案する。

プロジェクトの活動

  • 水産業の開発におけるジェンダー課題が、女性の水産業活動への参画とそこから得る利益に影響を及ぼしている状況及び主要な要素を明らかにする。
  • 「水産業における女性の能力向上フレームワーク」が開発され、水産業活動への女性のアクセス、参画及びコントロールを明らかにし、監視することを促した。
  • 「水産業における女性の能力向上フレームワーク」に関する現地調査と討論が行われ、草の根レベルでのその妥当性と応用性が試された。
  • 英国国際開発局からの資金が追加されたことにより、当初計画されたプロジェクトの最後のワークショップは、11ヶ国からの政策決定者とプロジェクト企画者を参加者に含むより大規模のフォーラムになった。ワークショップの参加者はプロジェクトで発見したことを討議し、活動を通じて女性の利益とエンパワーメントを確保しながら女性が水産業に参加する最良の方法に関する勧告を作成した。
  • プロジェクトの成果は2001年5月にAPEC漁業作業部会に報告され、次の段階に行うことを明らかにした。最終報告書はAPEC事務局で入手可能で、プロジェクトの成果はインターネットで検索できる。

教訓

  • 水産業開発にかかわる組織や機関が行うジェンダー分析により、ワークショップ、会議、研修、普及プログラムに女性が参加できるような運営が行われるようになった。良い事例には、女性の時間の利用、家庭における責任、識字レベルを踏まえた研修と普及プログラム及び女性のニーズと身体的な能力に適した技術開発と技術設計への女性の参画を含む。
  • 女性の参画については、定期的に監視し、全てのニーズの明確化とイニシアティブの評価を促す指標が必要である。
  • 女性がより幅広い市場情報を得、より広い市場ネットワークに加われるようなメカニズムが必要である。

模倣性

  • 「水産業における女性の能力フレームワーク」は、活動への女性の貢献について評価することに関心のある機関や、政府が実施する大規模プロジェクトとともに、水産業を振興する草の根の開発組織においても利用可能である。このフレームワークは水産業活動の特定の種類に限るものでなく、漁獲前、あるいは漁獲後における女性の参画による利益を監視するのに十分対応する。
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