ジェンダーの主流化:アジア太平洋地域の良い事例

本書の事例は、重要な全般的な成功の要素を強調している。つまり、実践的な経験をつめるような研修、資金、機会を組み合わせた総合的なアプローチである。

マーケティング、資金調達、人事、技術を含むビジネス管理問題における公式な研修と教育へのアクセス

調査によると、研修プログラムは、家庭における責任に制約されることが多い女性が人材養成への投資に可能な時間量や一日あるいは週の時間帯を考慮する必要がある。短時間で順応性のある履修単位にまとめられた職業と技術の研修は、長期的で公的な学術プログラムよりも女性が申し込む率が高い。

資金へのアクセス

調査によると、<1>女性が経営するビジネスと男性が経営するものでは資金へのアクセスに通常、相当の格差がある。<2>女性が資金を得る際の障壁は、金融機関が女性起業者との取引に慣れていないこととともに、女性は金融機関と取引をする経験が相対的に不足していることに関連するだろう。<3>銀行には女性企業家をその規模や分野を理由に真剣に考えない傾向がある。例えば科学技術の分野では、資金調達が困難である。

事例にあるように、マレーシアのTMDC資金と技術研究所(TMDC Capital & Technology Research Sdn. Bhd.)は、中小企業開発会社と提携して技術分野における女性起業家を支援した。タイの事例では、企業の意思決定レベルに女性の参画を増やすという目的の達成が職員とメンバーのジェンダー研修からどのように始まったかが述べられている。

市場と情報へのアクセスと貿易振興

調査によると、女性が経営する中小企業の多くは主に地域の市場をターゲットにした製品あるいはサービスを生産しているが、輸出も可能である。国際貿易センター(UNCTAD/WTO)は貿易振興における女性起業家との技術協力の機会に取り組むためのジェンダー・フォーカルポイントを設立した。この項で描かれている潜在的な女性輸出業者のためのプロジェクトは、小規模の会社では女性起業家が管理レベルに多いことを踏まえて、会社所有者とともに女性経営者をターゲットにした。ビジネス女性協会、国の貿易振興機関、貿易促進機関 が関与して、研修、ビジネスマッチング、助言を統合したプログラムが実施された。トレードビルダー・バーチャル・ミッション(the TradeBuilders Virtual MissionTM)は「貿易ミッション」を試み、インターネットを活用したことにより、参加者が貿易ミッションに参加する時間と費用の双方を相当節約する方法を提案した。

貿易政策と貿易促進のためのキャパシティ・ビルディングにおけるジェンダー統合の良い事例は本書にはないが、グローバル化と貿易自由化のジェンダーへの影響についての研究は増えている。

公式及び非公式のネットワーク

男性の会社所有者が利用できるネットワークは、女性には閉ざされていることが多い。ネットワークは貴重な情報を提供し、女性による企業を作る鍵でもある。この理由から多くの女性は独自のビジネス団体を設立している。フィリピンでは女性ビジネス委員会が設立され、貸付金や研修へのアクセスにおけるジェンダー課題に取り組んでいる。戦略には政策支援、企業開発、ネットワーク作りが含まれる。APECによる女性指導者ネットワーク(WLN)はAPECにおけるビジネス、科学技術、人材養成でのジェンダーを促進するための機構として設立された。

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