APECにおける女性の統合のためのフレームワーク(仮訳)

APECにおける女性の統合のためのフレームワークとは何か?

フレームワークは、ジェンダーがAPECにおける横断的なテーマであるとのAPEC首脳の認識に対応するものである。それは、APECのプロセス及び活動の主流に女性を組み入れていくことを達成することに向けてAPECを導くための実際的・体系的アプローチである。それは3つの相互に関連した要素及び1998年女性問題担当大臣会合において、経済発展における女性の重要な役割を強化するために不可欠なものとして明示された実行のための戦略から構成されている。相互に関連した要素とは下記のとおりである。

  • ジェンダー分析-女性と男性の生活の違いを精査する方法論
  • 性別データの収集と利用-性別に分類され、男女別に示されたデータ
  • APECにおける女性の参加-APECのフォーラムへの女性の参加の拡大

加えて、ジェンダー分析、性別データの収集と利用及びAPECにおける女性の参加のための実用的なガイドが、フレームワークを補足し、APECにおける実施を支援するためのツールとして開発された。これらは、印刷物の形で、 また、APEC事務局のウェブサイトにおいて利用可能である。

フレームワークのマンデートは何か?

フレームワークは1998年の女性問題担当大臣会合の勧告及び、それに続く、女性をAPECのプロセスと活動の主流に組み入れるプロセスを加速する手段として“APECにおける女性の統合のためのフレームワークを作成するように”とのAPEC首脳の指示に従っている。フレームワークはこの目的のために設立されたSOMアドホックタスクフォースによって準備されている。1998年のAPEC女性問題担当大臣会合における共同声明は付録Iとして添付されている。

女性問題大臣会合からの勧告の基となっているものは何か?

大臣勧告は、共同声明全体に含まれる一連の原則に基づいている。

  • ジェンダーはAPECにおける横断的なテーマである。
  • TILF(貿易投資自由化促進)とECOTECH(経済技術協力)に関連するAPECの活動は、相互に連関し、女性とって重要なインプリケーションを持つ。
  • 女性は地域の持続可能な経済成長の達成にきわめて重要であり、女性の無償労働は経済に対して大きな貢献をしている。
  • 他のAPECのフォーラムの問題及び活動と、中小企業、科学技術、人材養成、金融、漁業、観光、運輸、電気通信その他の分野において女性に影響を与える問題とは緊密に関連している。
  • 政策、プログラム(経済復興プログラム含む)及びプロジェクトの形成と実行においては、女性が直面している特別な現実が認識され、理解され、体系的に考慮されなければならない。
  • 経済的機会と課題に対応するための女性の能力形成に力を与え、また、増進し、女性が経済に完全に参加するに当たっての障壁を除去することに対して努力がなされるべきである。
  • 社会のより広い分野における参加がより強調されるべきである。

“ジェンダー”とは何を意味するか?

“ジェンダー”とは、役割、態度、振る舞い、価値といったもののように、社会的に決められた男女の差異である。一方、“セックス”とは、男女の生物学的な差異を指す。セックスが遺伝的に決定されるのに対して、ジェンダーの役割は習得されるものであり、文化及び時間を通じて様々であり、従って変化しやすいものである。ジェンダーとは、男女両方を含む、関係を表す言葉である。

“ジェンダーの主流化”とは何を意味するか?

APECの文脈においては、“主流”とは、資源と機会の配分を決定する、社会における支配的な考え、政策、慣行、組織、機関のまとまりである。

“ジェンダーの主流化”とは、女性と男性が公平に社会の資源、機会及び報酬にアクセス、また、それらから利益を得ることができ、価値付けに影響を及ぼすこと及び方向性や決定を形成することに平等に参加することを意味する。それゆえ、APECにおいてジェンダーの主流化は、あらゆるレベルでの参画についてはもちろん、目標、構造、優先順位、政策、決定、過程、慣行、活動(プロジェクトを含む)、資源配分にジェンダーの視点を取り込むことになる。

加えて、特別な措置、あるいは、女性特有のプロジェクトもジェンダーの不平等に取り組み、地域における女性と男性に関するAPECの目標を達成するために必要かもしれない。

フレームワークはどのような影響を与える可能性があるか?

今後、フレームワークは、地域の社会的及び経済的福利に広くよい影響を及ぼすであろう。それを実行することは、以下に例を示すAPECのビジョンや目標を達成するための、その政策や活動の効果を高めることに貢献するであろう。

  • 1998年の女性問題担当大臣会合において明示された、女性が経済に全面的に参加することに対する障壁及び金融・経済危機が女性に対して不均等に及ぼす影響を特定、排除すること
  • すべての人、男性及び女性の才能を十分に利用する新たな労働力の創出
  • 貿易と投資の自由化及び円滑化並びに経済・技術協力によりもたらされる経済的機会に対応した女性の能力の向上
  • 女性の経済的利害を経済復興と将来の繁栄への戦略に明示的に組み込むこと
  • より多くの女性の参画を通して、APECに対するより広い理解と支援を得ること

誰に適用されるか?

フレームワークの実行は、首脳、大臣、上級行政官、委員長、ワーキンググループ議長、APEC事務局を含む、APECのプロセス、プロジェクト、活動に関わるすべての男女及びAPECの全てのフォーラムの責任である。
  フレームワークは個々のエコノミーのレベルにおいても適用されうる。

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