理工チャレンジ 女子中高生・女子学生の理工系分野への選択

先輩からのメッセージ

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高橋(田中)美穂仮イメージ
  • 高橋(田中)美穂 さん
  • 東京海洋大学海洋科学部
  • 海洋環境学科助手

溶液に関する様々な微量元素の定量だけではなく、溶存状態を分子レベルで観測することを目的に研究をしております。この基礎研究は、様々な分野への応用が期待できますが、現在は、海洋におけるシリカの溶存状態から、けい藻など植物プランクトンに摂取されるシリカの分子の形などを明らかにしたり、工業化学的には循環水の中に生じるシリカスケールなどの除去など環境に対してだけでなく物質循環などにも応用できると考えています。いずれにしても、基礎的な分析化学的な手法の開発をし、これを基に環境や物質循環、やがては生物の機能などに応用できるような新しい考え方を志しております。

理学系分野を選択した時期・理由

私の場合は、高校生の時に、文系の勉強よりも理系の勉強の方が好きだったという事につきます。理系においては、宇宙科学や地球科学などの学問ができればいいなと漠然と思っていました。今、考えてみますと、文系の勉強でも非常におもしろいことはあったのではないかと思いますので、高校生の時の自分の志向がまだまだ人生において勉強不足であったと思っています。ただ、文系の勉強が嫌いだったかと言えば、それはありませんでした。今でも自分の好きな社会学系への興味はあり、自分なりに勉強しています。もともとはまだまだ文系の女性の就職が難しいということも心の中にあったのかもしれませんし、自分が一生仕事をしていくためには理系で技術を身につけた方がよいと思ったことも覚えています。しかし、私は幸いなことにこれまでに理系を選択したことに後悔したことはありません。

現在の仕事(研究)の魅力やおもしろさ

私の研究は、溶液の性質や環境に対する寄与を考えるもので、基本的には「自然」を相手にしています。自然を相手にしていると、時として自分が組み立ててきた一つ一つの基本的な考察が、見事に一つの大きなジグソーパズルが完成していくようにつながっていくことがあります。この時、私はこの上もなく「科学の醍醐味」を覚えます。例えば、高校生の化学でも習うコロイドの「塩析」という現象はシリカの溶存状態においても観測されます。おもしろいことに、その塩析が起こる濃度を塩化ナトリウム(食塩)だけで試みると、実験室で測定した塩分濃度が海水の濃度と同じだったりします。このことは、偶然ではなく、自然が何億年もかけてさまざまな溶解を繰り返してきた結果として、海水に与えられた濃度だと改めて知ることができます。「自然の摂理」とはなんと複雑ですごいものなのかと考えてしまいます。

女子中高生・女子学生の皆さんへのメッセージ

私がちょうど大学院生だったときに、男女雇用機会均等法が施行されました。それまでは大卒女性の就職はもっと大変であったといわれています。今も仕事をしている人は多いですが、子育て、仕事を両立している方はなかなか大変そうです。最近思うことは、人生は学生時代と異なり、マラソンです。自分の力を持続して出していく環境を自分から作り出せるように努力することが必要ではないかと思います。私は、男子学生にも女子学生にも「就職してから不安なことがあった時に、自分が少しでも心のよりどころにできるように、自分に力をつけてください」と言っています。また、社会ではに出て行く時に、理系の方が自分のペースで仕事をしやすいのではないかと思っています。

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