理工チャレンジ 女子中高生・女子学生の理工系分野への選択

先輩からのメッセージ

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山野仮イメージ
  • 山野 奈美さん
  • 大阪市立大学
  • 理学研究科 物質分子系専攻 前期博士課程1回

理工系分野を選択した時期・理由

私が理系分野を志した理由は、中学校の理科の授業が好きだったからです。なぜ空は青いのか、なぜ雷の音は光ってから聞こえるまでに時間がかかるのか。身近な例で言えば、IHクッキングヒーターはどうやって物を加熱するのだろう、といったことなど小さいころから感じていた身近な疑問が、自然現象を記述する理論や法則を勉強することで次々に解決され、”そうだったのか”とよく興奮していたのを覚えています。そして疑問を解決することの楽しさを知りました。また、エネルギー問題に興味を持ち始め、先進国・途上国に限らず、平等にお金や大型設備がいらない、今までとは全く違うエネルギー源となるものは無いのだろうかと考え始めました。大学学部では物理学科に入学し、大学院ではまた違う視点で理系分野を学んでみたいと思い、思い切って化学系を専攻しました。

現在の仕事(研究)の魅力やおもしろさ

私は現在、植物の光合成において重要な役目を担う“カロテノイド”という色素分子の研究を行っています。光合成は、植物が生体を維持するために、太陽光のエネルギーを化学エネルギーに変換し、水と二酸化炭素からブドウ糖と酸素を作り出す反応です。この時、まさに太陽の光を集めているのが、葉緑体内の機能性タンパク質に結合した数種類のカロテノイド分子です。カロテノイド分子は、余ったエネルギーを散逸させる機能も持ちあわせており、植物が持つ天候の変化に合わせて供給エネルギー量を調節できる集光素子のようなものです。

具体的な研究内容として、私は、遺伝子改変の結果、本来必要なカロテノイドを著しく欠損した植物において、代替となって機能するカロテノイドの分子構造を特定し、その光合成能を野生株と比較する実験を行っています。最終的に、植物が獲得した効率的な集光・散逸方法が、カロテノイドのどのような分子構造に依存するのかが分かれば、代替エネルギーとして人間が太陽光の利用を考える上でも役に立つのではないかと考えています。

私の研究対象は、植物が生きていくために獲得したシステムに関するものです。ある側面からの実験・観察を積み重ねにより得られた結果は、植物がなぜそのようなシステムを持ったのかという経緯や謎の解明にヒントを与えてくれます。人類を含め、地球上で生物が生きていくために不可欠な機能とは何か、漠然と誰もが感じる生命の不思議に迫れる気がして、とても楽しいです。

女子中高生・女子学生の皆さんへのメッセージ

私自身まだまだ勉強不足です。大学に入り学んだことは、世界には“解らない”ことが多く溢れているということです。だからこそ、探求心は尽きないし、その探求心に日々突き動かされ、一つ一つ確実に“解る”ものに変えていく理系分野の世界はとても刺激的です。また、そこに身を置いて研究の面白さや楽しさに触れることができ、本当に幸せだなぁと思っています。

進路選択において、理系分野は女子が少ない、といったことから敬遠するところもあるかと思います。でも、“理科が好き”という思いがあるなら、迷わず飛び込んでしまっても後悔はしないと思います!

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