理工チャレンジ 女子中高生・女子学生の理工系分野への選択

先輩からのメッセージ

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先輩に質問!
リコちゃんイメージ
  • 宇宙環境における線虫の筋萎縮に関する研究で博士号(学術)を取得。細胞や線虫を用いた宇宙実験の準備や解析に携わる。日本宇宙生物科学会で奨励賞を受賞。

理工系分野を選択した時期・理由

気が付いたら理系を選択していたというのが正直なところです。小さなころから生物に興味があり、医療に関することに憧れを持っていました。大学受験のときには、実験、研究というものに憧れが強かったと思います。

現在の仕事(研究)の魅力やおもしろさ

国際宇宙ステーション「きぼう」では、様々な宇宙実験が行われています。私は、生物宇宙実験を成功させるために、実験サポートの立場から携わっています。テーマが採択された後、実際に宇宙で出来るようになるまでの過程を研究者に一番近いところでサポートしています。

宇宙実験を成功させるには、様々な面から、問題がない、大丈夫ということを確認する必要があります。実際に試料に触れて手を動かし、実験のクリティカルポイントを研究者と共有できるお仕事なので、深く実験に携わることが出来ます。勉強不足で付いていけないこともしばしばありますが、様々な研究の一端を身近に拝見・体験できるのは一番の魅力です。

自分の手がけた試料がロケットで宇宙に上がる姿を見ることが出来たり、地球へ帰還してきた試料を手に取り、飛行後解析することも出来たりと、日常生活とは少し違ったとても面白い体験をさせて頂いています。

宇宙実験は、驚くほど多くの人々が関わっており、研究者、エンジニア、など様々な職種に渡る多数のメンバーが関わる巨大プロジェクトで、すべてのメンバーに誤解のないように客観的な言い方で正確に伝えることが日常的に求められます。私たちは、研究者の意図を最初に聞き、エンジニアに分かるように翻訳し、伝える役割も担っています。途中で意味が変わっていないか、大事な部分が抜け落ちていないかという確認を怠ると、実験計画がとんでもない方向へと進んでしまいかねません。研究者の身近で、実験への理解を深めておく必要があり、これは面白くもありますが、苦労する部分でもあります。

このようなお仕事を通じて、線虫の筋萎縮に関する研究に携わり、博士号の学位を取得することも出来ました。多くの研究者や関係者の方々に支援して頂き、機会とテーマに恵まれ、日々感謝しています。

女子中高生・女子学生の皆さんへのメッセージ

高校生のころから、実験や研究に漠然とした憧れを持っていましたが、何をしたいというのは明確ではありませんでした。やりたいことが見つからず、不安に思っている学生さんもいるかもしれません。日々の勉強や活動に向き合っていれば、その中の面白み、やりがいに出会うことが出来ます。不安にならず、目の前の勉強や活動に向き合って見てください。今は先が見えなくても、きっと何かに通ずるはずです。

理系に進学しても最終的には、理系の就職をしない人もいますが、理系で学んだ考え方やプレゼンテーション能力は、社会に出た時にとても役に立ち、全く無駄にはなりません。理系では、研究室や学会で様々なプレゼンテーションに触れ、実践する機会が多くあります。

また、報告書をまとめることもしばしばです。研究を続けるような職に就かなかったとしても、これらの技術は自分の中に残っているものです。学生時代にたくさんのものを吸収してください。