理工チャレンジ 女子中高生・女子学生の理工系分野への選択

先輩からのメッセージ

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先輩に質問!
ウォンタナースントーン・ナルモン仮イメージ
  • ウォンタナースントーン・ナルモンさん
    (Vongthanasunthorn Narumol)
  • 佐賀大学大学院工学系研究科 都市工学専攻
  • 准教授
  • タイ、バンコク生まれ。
  • タイのカセサート大学工学部環境工学科を卒業後、同学科の講師として着任。
  • 1998年10月に休職し、佐賀大学大学院工学系研究科博士前期課程に留学。2004年3月に佐賀大学大学院工学系研究科博士後期課程を修了。その後、カセサート大学に戻り環境工学科の講師として復職、2006年9月に同学科の助教授を経て、2013年11月に佐賀大学大学院工学系研究科都市工学専攻の准教授として着任しました。専門は水環境工学・水質管理。研究フィールドはタイと日本(九州内)の河川流域・海域。
  • 所属学会:土木学会、International Association of Lowland Technology, Environmental Engineering Association of Thailand
  • 学位:博士(工学)

理工系分野を選択した時期・理由

進学を希望した高校には、工学部・建築学部向けコースと医学部向けコースが分かれており、工学部向けコースを選択しました。選択した理由は土木エンジニアである父の背中を見てきたせいかもしれません。父はタイ発電公社に勤めていました。小さい頃、土日に家で設計図を描いたり、電卓で計算していた父が幼い私に設計図を指しながら階段の位置などを教えてくれました。ただ、当時の私にとっては、父の仕事は建物の絵を描くこととしか理解できていませんでした。その後、父の職場を訪れる機会が増え、父から発電所やダムの話を聞いて、パズルのように少しずつ父の仕事を理解できました。中学生になって土木エンジニアという職業に興味を持つようになりました。大学3年生時に水処理コンサルタントのR&D(Research and Development)の部署でインターンシップを経て、卒業する頃には環境問題を解決するために新しい技術を開発する研究者になりたいと思い始めました。

現在の仕事(研究)の魅力やおもしろさ

私の研究は、河川管理者へのサポートとして河川流域と海域における水環境問題について調べ、適切な対策を提案することです。大学院生の時代から筑後川流域と有明海の水質・底質に着目しています。修了後はタイ政府機関から委託依頼を受けてタイの各河川流域における水質管理に関する研究やプロジェクトに参加してきました。

河川や海の中で様々な現象が同時に進み、時間と場所によって水質と底質は変わります。河川流域と海域の規模は大きく、土地利用のパターンもそれぞれ違います。中身を調べるために対象の川や海そのものを研究室へ持って帰って調べることは不可能で、かといって、ミニチュアモデルのように同じ形の川、同じ水質・底質、そして同じ気候を実験室で再現することも難しいです。その代わり、観測データと数式を用いてパソコン上で対象フィールドに近い形と水質・底質の特性を持つ川や海(モデル)を作ることができます。自然現象の知識とデータ解析を組み合わせて複雑に絡み合っている水質・底質の挙動を一つ一つ、そして土地利用(人間の活動)による汚染と水質・底質の関連性を知ることできます。最も面白いことは河川流域や海域で実際に存在しない出来事や、実験できないことをパソコン上で試す(シミュレーション)ことができ、得られた情報に基づいて将来予測することが可能です。例えば、何らかの原因で、川の上流に塩を運ぶ巨大な船から大量の塩が漏れてしまい川に溶け込む事故を想定した時場合、川の下流の塩分濃度がどの程度高くなるか、そして塩分濃度の変化がどのように魚やコメ作りに影響を及ぼすか、ということを予測できます。

またシミュレーションによって、河川管理者も最も適切な対策を準備することができます。現在、私の研究室のハードディスクの中にいくつかの川と海が入っています。

女子中高生・女子学生の皆さんへのメッセージ

タイで工学系の高校・大学へ通った時、そして働いていた際には周りに男性の割合が多かったものの、自分が女性だから不利だと思ったことは一度もありませんでした。逆に男子より勉強できる・仕事できる自信はあったと言ってもよいくらい、男女の違いは感じませんでした。私の周りに男女の違いを気にせず勉強・仕事を頑張っているタイ人女性は沢山います。任された仕事をしっかり責任を持ってやれば、その成果は必ず評価されます。どんなことがあっても諦めないことと、感情的にならないことも大事だと思います。

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