先輩からのメッセージ

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長谷山美紀プロフィール写真
  • 長谷山 美紀 さん
  • 北海道大学大学院情報科学研究科・教授
  • 画像や映像、音声、音楽など広く信号処理手法の構築とその応用に関する研究に従事。
  • 所属学会:IEEE・電子情報通信学会・映像情報メディア学会・日本音響学会会員。
  • 研究記事:『文字入力せずにクリックするだけの画像検索』 Newton GRAPHIC SCIENCE MAGAZINE, vol. 29, no. 9, p. 14 (2009年9月号)

工学系分野を選択した時期・理由

小学生の頃は、昆虫が大好きで、捕まえて図鑑で名前を調べたり飼ったりしました。昆虫の後は、天体に興味を持ち、天文学者になろうと思いました。中学生になって、英語を学び始めて、翻訳家になりたいと思いました。あの頃の私は、理科系や文科系を意識せずに、色々なものに興味を持っていたように思います。

その頃に、私が理工系を選択した具体的なきっかけがありました。小学校の算数の教科書の『奇数の和が整数の二乗になることを証明せよ』と言う演習問題です。問題には、ヒントが付いていたので答えを導くことはできましたが、解答に納得することができませんでした。私は、「なぜだろう?」を残したままで小学校を卒業し、納得できなかった事も忘れて、中学校を過ごしました。その後、突然に、私の「なぜだろう?」が解決することになります。私は、高校の数学で納得できる説明に出会うことができたのです。その時の驚きと感動を今でも覚えています。その演習問題が、学ぶことの楽しさと知ることの喜びを教えてくれて、私は、理科系に進んだのだと思います。

現在の仕事(研究)の魅力やおもしろさ

私は、『画像や映像を人間のように理解する次世代のマルチメディアシステム』について研究しています。この研究分野で過去に作り出された技術がインターネットの検索サイトで使われているとお話しすれば、私の研究を身近に感じて頂けるかもしれません。

私たちの周りで、大量の画像や映像等のディジタルデータが日々生み出されています。実は、すでに地球上で私たち人間が生み出しているデータの総量が、世界で利用可能なストレージ(ハードディスクやUSBメモリなどのデータを記録して保存する装置)の総量を上回っていることが報告されています。つまり、大量のデータの中に大切な情報が含まれていたとしても保存されることなく捨てられてしまっているのです。私たちの大切な情報を失わないために、必要な情報を自動で探し出す科学技術が必要です。

私が目指している『画像や映像を人間のように理解するシステムの実現』も、そのような科学技術の創出のために行っています。近い将来には、画像や映像、音楽などの世界中のあらゆる情報から、予想もしない新しい発見ができる検索システムが生まれると考えています。知的に探究し、学問の発展に貢献するのはもちろんですが、それが生活や産業に生かされ、社会に貢献することが、私たち工学の研究者にとって大きな励みになります。自分の生み出した研究成果が、皆さんの生活を豊かにするするために役立つことに喜びを感じています。

女子中高生・女子学生の皆さんへのメッセージ

現在、工学部で学ぶ女子学生の比率は10%程度。社会で活躍するエンジニアの女性比率は5%とも言われています。私はこれを大きなチャンスだと捉えています。社会が発展していくためには、多様性の維持は必要不可欠です。性別にかかわらず、同じような考え方の人ばかりで研究や開発を行っていれば、新しいものを生み出すことができずに、その分野はいずれ衰退していくことでしょう。少数派の視点、つまり、女性の視点は工学の発展のために不可欠なのです。実際、私の研究室で学んだ女子学生の就職率は100%。女性エンジニアへの社会的ニーズの高まりを肌で感じています。人はひとりになるのが不安で、似た者同士で集団を作ることで安心したりしますが、大集団の中では、平均的な幸せが得られるだけ。少数派に属する環境でこそ、大きな幸せをつかむチャンスがあります。それに加えて、工学の世界には、男女の差なく、実力を正当に評価してもらえる風土があります。私自身、女性だということで不利に感じたことは一度もありません。技術を身につければ、結婚・出産を経ても、ずっと仕事を続けられます。むしろ、女性エンジニアで「出産で仕事を辞める」という感覚を持っている人はほとんどいないでしょう。

これからの社会が求めているのは、新たな問題に対して、解決策を提示できる人材です。確固たる技術こそが、問題解決の道を切り拓きます。そんな人材を育てるのが、工学です。工学は、広く生活に根付いた学問です。興味があることや好きな科目があれば、それを中心に広げていけるのが「工学」の楽しさです。楽しみながら、女性ならではの視点を活かしてみませんか?

画像や映像を人間のように理解するシステムの実現

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