第3節 行政分野における女性の参画拡大

本編 > II > 第2部 > 第3章 > 第3節 行政分野における女性の参画拡大

第3節 行政分野における女性の参画拡大

(国の政策・方針決定過程への女性の参画拡大)

内閣官房内閣人事局及び各府省等では,国家公務員について,「女性活躍・ワークライフバランス推進取組指針」,女性活躍推進法等を踏まえ,各府省等において策定された取組計画に基づき,女性職員の活躍推進及び男女全ての職員の「働き方改革」によるワーク・ライフ・バランスの実現に向けて,取組を着実に進めていく。その際,ワーク・ライフ・バランスの確保を図るために現状行われている取組について,個々の職員の意識,受止め,改善ニーズ等を把握し,課題を整理し,的確な対応を検討していくことで,一層効果的に進める。

特に,女性国家公務員の採用・登用の拡大については,第4次基本計画における政府全体の目標(国家公務員採用試験からの採用者,国家公務員採用総合職試験からの採用者に占める女性の割合についてそれぞれ毎年度30%以上,令和2(2020)年度末までに,係長相当職(本省),地方機関課長・本省課長補佐相当職,本省課室長相当職,指定職相当に占める女性割合について,それぞれ30%,12%,7%,5%)を掲げているところである。各府省は,女性活躍推進法に基づき策定した特定事業主行動計画や「女性活躍・ワークライフバランス推進取組指針」及び各府省等の取組計画に基づき,以下の取組を進める。

女性の採用については,国家公務員を志望する女性の拡大に向けて,新規採用だけでなく経験者採用試験等を含めた中途採用についても,内閣官房内閣人事局と各府省等が有機的に連携・協力し,国家公務員の魅力等を伝えるための積極的な広報活動等を実施する。

女性の登用については,将来指導的地位に登用される候補者を確実に育成し,できる限り多くの女性職員が活躍することができるよう,内閣官房内閣人事局と各府省等が連携・協力しながら,女性職員の職域の拡大や研修等を通じたキャリア形成支援と計画的な育成や,育児・介護等と両立して活躍できるための改革に強力に取り組む。

また,男性職員の家庭生活(家事,育児,介護等)への参加を促進するため,大臣や事務次官,官房長等がメッセージを発出すること等により,職場の雰囲気の醸成,管理職員に対する意識啓発,職員への仕事と家庭の両立支援制度の周知等を行う。

特に,第4次基本計画における男性職員の育児休業取得についての政府目標(13%)の確実な達成や,「男の産休」(配偶者出産休暇及び育児参加のための休暇)について,全ての男性職員が両休暇合計5日以上取得することを,さらに,令和元(2019)年末に新たに決定した「国家公務員の男性職員による育児に伴う休暇・休業の取得促進に関する方針」(令和元年12月27日女性活躍・ワークライフバランス推進協議会決定)に基づき,子供が生まれた全ての男性職員が1か月以上を目途に育児に伴う休暇・休業を取得できることを目指し,取得促進の取組を進める。

加えて,男女全ての職員の「働き方改革」を進めるため,「女性活躍・ワークライフバランス推進取組指針」を踏まえ,働き方に対する価値観・意識を改革する。業務の効率化や職場環境の改善に向けた創意工夫を活かした優秀な取組事例の横展開を図るとともに,フレックスタイム制や,テレワークの推進等による働く時間と場所の柔軟化を進める。また,業務継続とワーク・ライフ・バランス推進双方の観点から「働き方改革」に重点的に取り組む期間として,7月から9月の間に「働き方改革推進強化月間」を実施し,業務の見直しやテレワークの推進,休暇の計画的な取得等に取り組む。

人事院においては,女性国家公務員の採用拡大に向けて,各府省や大学等と連携し,働き方改革の取組やワーク・ライフ・バランスの実践例,職業生活への多様な支援等に関する効果的な情報提供を行うことで,より多くの女子学生等の進路選択を公務志望に結び付けていく。

また,女性職員の登用拡大に向けては,引き続き,女性職員を対象とした研修の実施を通じて,女性職員に対して相互啓発等による業務遂行能力の伸長を図る機会を付与するとともに,「女性職員登用推進セミナー」の実施を通じて,各職場における人事管理・人材育成の責任を有する管理職員の意識啓発を図る。また,「メンター養成研修」の実施を通じて意欲と能力のある女性職員を支援するなど,女性職員の働きやすい勤務環境の整備を推進する。

仕事と育児・介護の両立支援策については,性別にかかわりなく制度が適正に利用されるよう,引き続き各府省に求めていく。

国の審議会等委員については,第4次基本計画における目標(令和2(2020)年までに,女性委員の割合が40%以上,60%以下)の達成に向け,積極的な取組を推進する。

(地方公共団体の政策・方針決定過程への女性の参画拡大)

地方公共団体の政策・方針決定過程への女性の参画の拡大については,第4次基本計画において,令和2(2020)年度までに,都道府県の地方公務員採用試験(全体)からの採用者,都道府県の地方公務員採用試験(大学卒業程度)からの採用者に占める女性の割合については,それぞれ40%,都道府県職員の各役職段階に占める女性の割合については,令和2(2020)年度末までに,本庁係長相当職,本庁課長補佐相当職,本庁課長相当職,本庁部局長・次長相当職に占める女性の割合について,それぞれ30%,25%,15%,10%程度,市町村職員の各役職段階に占める女性の割合については,令和2(2020)年度末までに,本庁係長相当職,本庁課長補佐相当職,本庁課長相当職,本庁部局長・次長相当職に占める女性の割合について,それぞれ35%,30%,20%,10%程度という目標を設定している。

総務省は,各地方公共団体の特定事業主行動計画に基づく取組に対する支援を充実させる。

令和元(2019)年度に開催した「女性地方公務員活躍・働き方改革推進協議会」において地方公共団体職員間の意見交換を通じた実践的な取組手法の検討を行い,「地方公務員におけるダイバーシティ・働き方改革推進のためのガイドブック」の作成を行ったところである。令和2(2020)年度も,地方公共団体職員間の意見交換や課題に対する対応策についての検討を行う。

また,女性職員の計画的な育成,時間外勤務の縮減,柔軟で多様な働き方の推進,男性職員の育児休業等の取得促進に向けた職場環境の整備など,女性活躍・働き方改革に資する先進事例や,ロールモデル職員及び「イクメン職員」の活躍事例について紹介を行う。

女性職員の人材育成に関しては,自治大学校における「地方公務員女性幹部養成支援プログラム」及び各研修課程での「女性活躍・働き方改革」に関する講義を実施する。

消防庁では,消防吏員の女性比率を,令和8(2026)年度当初までに5%に増加させることを全国の目標としている。消防本部等に対し数値目標の設定による計画的な増員の確保,女性消防吏員の職域の拡大等,ソフト・ハード両面での環境整備に取り組むよう引き続き要請するとともに,消防署所等における職場環境の整備が図られるよう,女性専用施設(浴室・仮眠室等)の整備に要する経費を支援している。また,消防吏員を目指す女性を増やすため,消防本部と連携しながら積極的な広報を展開するなど,引き続き取組を推進する。

また,女性消防団員のいない市町村に対して積極的な取組を求めるとともに,様々な媒体を通じて,消防団への加入を呼びかける広報を行う。

警察では,各都道府県警察において,定員に占める女性警察官の割合等を盛り込んだ計画を策定しており,令和5(2023)年中に全国平均で約10%とすることを目標として,女性警察官の採用・登用の拡大に向けた取組を推進していく。