はじめに 平成25年度を振り返って

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はじめに 平成25年度を振り返って

1 成長戦略の中核としての女性の活躍推進

我が国最大の潜在力となっている「女性の力」を最大限発揮できるようにすることは,少子高齢化で労働力人口の減少が懸念される中で,新たな成長分野を支えていく人材を確保していくためにも不可欠である。

また,女性の労働参加の拡大や,経営への参加の促進は,多様な価値観を取り込む新たなサービス・製品の創出を促進し,新たな市場が開拓されることが期待されている。

こうした認識の下,平成25年4月,内閣総理大臣から経済界に対し,全上場企業において積極的に役員・管理職に女性を登用すること,まずは役員に一人は女性を登用すること,及び,子どもが3歳になるまで育児休業や短時間勤務を取得したい男女が取得しやすいように職場環境を整備することを要請した。

また,平成25年2月から開催された若者・女性活躍推進フォーラムでは,5月に「我が国の若者・女性の活躍推進のための提言」を取りまとめた。

この提言を踏まえ,平成25年6月に閣議決定された「日本再興戦略」においては,「出産・子育て等による離職を減少させるとともに,指導的地位に占める女性の割合の増加を図り,女性の中に眠る高い能力を十分に開花させ,活躍できるようにすることは,成長戦略の中核である。」とし,女性が活躍できる環境整備を推進することとした。

具体的には,(1)女性の活躍促進や仕事と子育て等の両立支援に取り組む企業に対するインセンティブ付与等,(2)女性のライフステージに対応した活躍支援,(3)男女が共に仕事と子育て等を両立できる環境の整備の3本柱で施策を展開することとした。

(1)については,ポジティブ・アクションに係る一定の研修プログラムを実施する事業主への助成金制度の創設,内閣府のホームページやコーポレート・ガバナンスに関する報告書を通じた,企業における女性の活躍状況の「見える化(可視化)」の推進,好事例の顕彰等に取り組むこととした。

(2)については,育児休業給付の給付率の見直し,次世代育成支援対策推進法の延長・強化,再就職に向けた学び直しの支援や起業等への支援を推進することとした。

(3)については,ワーク・ライフ・バランスの推進に向けた雇用環境の整備,待機児童解消加速化プランなど社会基盤の整備等を推進することとした。

さらに,平成26年1月の産業競争力会議で決定された「成長戦略進化のための今後の検討方針」では,「女性の活躍推進と全員参加型社会実現のための働き方改革」として「「女性が輝く日本」の実現」が掲げられ,平成26年年央の成長戦略改訂に向けて検討を進めている。

2 第3次男女共同参画基本計画の推進等

平成25年度は,平成23年度からの5年を視野に具体的施策を定めた第3次男女共同参画基本計画(以下「第3次基本計画」という。)の計画期間の中間年であった。男女共同参画会議の監視専門調査会では,女子差別撤廃委員会の最終見解への対応に係る政府の取組状況等について監視を実施し,11月に意見をとりまとめたが,当該意見においては,第3次基本計画に掲げられた数値目標の進捗も踏まえつつ,第3次基本計画に掲げられた具体的施策の一層の推進を図ること等が指摘された。

政策・方針決定過程への女性の参画拡大については,指導的地位に占める女性の割合を平成32年(2020年)までに30%程度とする政府目標の達成に向けて,ポジティブ・アクションの推進等の取組を進めている。「日本再興戦略」では,「隗より始めよ」の観点から,公務員から率先して取り組むこととされたことを受け,内閣府特命担当大臣(男女共同参画)から各府省大臣に,府省別の女性国家公務員の採用・登用等の状況を示しながらトップダウンでの一層の取組推進を要請した。

防災・復興に関しては,男女共同参画の視点から必要な対策・対応について,予防,応急,復旧・復興等の各段階において地方公共団体が取り組む際の基本的事項を示した「男女共同参画の視点からの防災・復興の取組指針」を平成25年5月に公表するとともに,地方公共団体への周知を図った。

3 男女共同参画に関わりの深い制度改革の動き

平成24年8月に成立した「子ども・子育て支援法」等の子ども・子育て関連3法に基づく新たな子ども・子育て支援制度について,内閣府では,25年4月に設置した子ども・子育て会議において,本格施行に向けた具体的な検討を進め,新制度における施設・事業の各種基準等について26年1月までにおおむねの内容を取りまとめた。

雇用分野に関しては,育児休業給付の給付率引き上げを盛り込んだ「雇用保険法の一部を改正する法律案」,パートタイム労働者の均等・均衡待遇の確保や納得性を高めるための措置等の更なる充実を内容とする「短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律の一部を改正する法律案」,平成26年度末までの時限立法である「次世代育成支援対策推進法」の有効期限の10年間の延長や新たな特例認定制度の創設等を内容とする改正法案を第186回国会に提出し,同国会で成立した。

4 国際的な動向への対応

2013(平成25年)9月,インドネシア共和国バリ島で開催されたアジア太平洋経済協力(APEC)女性と経済フォーラムでは,「経済の推進役としての女性」をテーマに議論が行われ,内閣府特命担当大臣(男女共同参画),経済産業大臣政務官及び民間からの代表者が参加し,我が国の女性の活躍推進の取組等について発言を行った。

2013(平成25年)9月の第68回国連総会において,内閣総理大臣は,(1)女性の活躍・社会進出と女性の能力強化,(2)女性を対象とする保健医療分野の取組強化,(3)平和と安全保障分野における女性の参画と保護を重点政策とし,途上国と共に「女性が輝く社会」の実現に貢献するため,今後3年間で30億ドル超の女性分野でのODA実施を表明する内容を含む一般討論演説を行った。

また,2014(平成26)年3月の第58回国連婦人の地位委員会(CSW)において,「自然災害におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメント」決議案を提出し,79か国の共同提案国を得てコンセンサスで採択された。この決議は,第56回委員会に提出した決議をフォローアップするための決議であり,自然災害と女性に関する様々な課題について,我が国の自然災害の経験や教訓を各国と共有し,国際社会の理解を深めることを目指して提出したものである。