平成24年版男女共同参画白書

本編 > 第2部 平成23年度に講じた男女共同参画社会の形成の促進に関する施策 > はじめに 平成23年度を振り返って

はじめに 平成23年度を振り返って

  • 平成23年度は,第3次男女共同参画基本計画の開始年度であり,計画達成に向けた第一歩を踏み出す年となった。また,東日本大震災という未曽有の災害と復旧・復興に向けた取組の中で,被災地や地域における男女共同参画の重要性が改めて強く認識されるようになった。
  1. 東日本大震災に対応した男女共同参画の視点を踏まえた様々な取組 (特集参照)
    • 東日本大震災復興基本法の基本理念には,「女性,子ども,障害者等を含めた多様な国民の意見が反映されるべきこと」が明記され,新たな「防災基本計画」(平成23年12月中央防災会議決定)においても,女性を始めとする生活者の意見を反映すること等が盛り込まれている。
    • 他方で,国を始めとして防災や復興に係る意思決定の場での女性の参画割合はいまだ低調な状況にあり,男女共同参画の視点を一層積極的に取り入れていくことが期待される。
  2. 第3次男女共同参画基本計画の推進等
    • 第3次男女共同参画基本計画の各成果目標の現状値については,例えば,国の審議会等委員や民間企業の管理職に占める女性の割合,男女間の賃金格差等を示すデータは長期的には上昇又は改善傾向を示しており,女性の労働力率に表れるM字カーブの底上げも見られる。
    • 他方で,男性の育児休業取得率や出産前後の女性の就業継続割合のように目に見えるような変化が明確には表れていない分野もある。出産等を契機に就業を中断した女性が再び働き始める場合,必ずしも本人の希望に沿わずパート・アルバイト等の非正規雇用につくことも少なくなく,生涯を通じたキャリア形成や資産形成に影響を及ぼすことが懸念される。
    • 第3次男女共同参画基本計画における喫緊の課題等である「ポジティブ・アクションの推進」や「女性の活躍による経済社会の活性化」については,新たな議論・取組も進められた。
    • 「日本再生の基本戦略」(平成23年12月閣議決定)等において,女性を含む全ての人が社会に参加でき,お互いに支えあう全員参加型社会の実現を目指すことが打ち出された。
  3. 男女共同参画に関わりの深い制度改革の動き
    • 新たな子ども・子育て支援のための包括的・一元的な制度の構築について具体的な検討が進められ,平成24年3月に「子ども・子育て支援法案」等3法案が第180回国会に提出された。
    • 年金制度に関しても,短時間労働者に対する厚生年金の適用拡大や産休期間中の保険料免除等男女共同参画社会の形成に寄与する方向で制度改正のための法案が国会に提出された。
    • 所得税・個人住民税に係る配偶者控除の見直しについては,平成24年度税制改正大綱において,「引き続き,抜本的に見直す方向で検討する」とされている。
  4. 国際的な動向への対応
    • 平成23年10月に女子差別撤廃委員会において,同委員会の最終見解(21年8月)についての我が国政府のフォローアップ報告に対する審査が行われた。また,第56回国連婦人の地位委員会(24年2月〜3月)では,我が国が主導して提案した「自然災害におけるジェンダー平等と女性のエンパワーメント」決議案が採択された。
    • 平成23年9月に米国で開催された「APEC女性と経済サミット」で採択されたサンフランシスコ宣言は,女性の経済への完全参加を妨げる4つの主要課題を克服すべきことを明らかにし,同年11月の閣僚会合や首脳会議の成果文書に反映された。