平成23年版男女共同参画白書

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第13章 新たな取組を必要とする分野における男女共同参画の推進

  • 平成23年度から5か年の科学技術基本計画の策定のために調査審議を行ってきた総合科学技術会議は,22年12月24日「科学技術に関する基本政策について」答申を行った。自然科学系の女性研究者の採用割合を第3期科学技術基本計画の25%を早期に達成し,30%を目指すことなどを盛り込んでいる。
  • 東日本大震災は,死者15,281名,行方不明者8,492名(平成23年5月31日時点)に及ぶ極めて深刻な被害をもたらしており,被害が大きかった岩手県,宮城県,福島県の3県で収容された死者のうち,検視等を終えた者(4月11日時点)の男女別数については,男性5,971名,女性7,036名(性別不詳128名)であり,男女別・年齢階層別に見ると次図のとおりとなっている(第36図)。

第36図 東日本大震災の男女別・年齢階層別死者数(岩手県・宮城県・福島県)
第36図 東日本大震災の男女別・年齢階層別死者数(岩手県・宮城県・福島県)

  • 東日本大震災に際しては,内閣府男女共同参画局において,「女性や子育てのニーズを踏まえた災害対応について」の取りまとめ,女性の悩み相談サービスの提供と周知,女性の雇用を支援する取組,阪神・淡路大震災等での復興にかかる好事例の収集などを行った。また,HPや壁新聞などを通じて情報提供を行った。このほか,被災地において,被災者に対し,女性自衛官・女性警察官によるきめ細かな対応を行った(下段写真参照)。

「女性や子育てのニーズを踏まえた災害対応について」

東日本大震災への対応については,被災者支援や生活再建,まちづくりを始めとする復興など,災害対応の状況に応じて,男女共同参画の視点を踏まえ,多様なニーズに配慮しながら,更にきめ細かい取組を進めるとともに,女性の参画を促進していくことが必要である。

また,避難所運営等に当たり,女性のニーズへの配慮や女性の参画についての対応が十分に行われていない事例や,増大した家庭的責任が女性に集中している事例などが見られる。地域や社会全体で男女共同参画が十分に進んでいないこと,また,これまでの災害を通じて得られた教訓が十分にいかされていないことが,災害時において顕在化している面もある。日頃から防災やまちづくりを始め,地域・社会全体で男女共同参画を進めていくことが重要であり,また,東日本大震災について,男女共同参画の観点から,取組を更に進めるとともに,今後課題の抽出等を行い,その教訓をいかし,災害対策の改善を図っていく必要がある。

コラム<1>

〈東日本大震災への対応〉


避難所での取組の好事例を,4月26日に,「壁新聞」を使って他の避難所にも周知。

1.女性のニーズの反映

女性の意見を集約し,日常生活のルールを改善。

  • (1)男女別のトイレ,入浴施設,更衣室,物干し場の設置。
  • (2)生理用品や女性用下着等の物資を手渡す担当者を,必ず女性が担当。
  • (3)防犯ブザーやホイッスル(笛)を配って,防犯対策を進める。

2.避難所レイアウト

  • (1)間仕切り設置のきっかけ作り
    プライバシーのために間仕切りを設置することが有効。そこで,快晴の日に畳や布団を干して,みんなで一斉大掃除を呼びかけ,その機会に設置する。
  • (2)乳幼児のいる家族だけが滞在する部屋作り
    専用スペース設置により,赤ちゃんの夜泣き声や授乳など,周りを気にせず,子育てができるようにする。また,お母さん同士の情報交換などにもつながる。
  • (3)土足厳禁エリアの徹底
    ほこりも少なくなるなど,衛生面も改善される。

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